JP2010210024A - 液封防振ゴム品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液封防振ゴム品を構成する複数の部材を液中組付けした後の洗浄工程において、筒状に構成した洗浄槽78の内部に挿入セットした組付体10Aの外周面に向けて洗浄流体としての蒸気を噴射するノズル孔120を組付体10Aの周りに複数配置し、且つ複数のノズル孔120のそれぞれは、噴射の向きを組付体10Aの中心軸線Oに対して周方向の同じ方向に傾斜した向きとなし、各ノズル孔120からの蒸気の噴射流を組付体10Aの外周面に対し周方向に斜めに当てて洗浄を行う。
【選択図】 図7
Description
この種液封防振ゴム品を製造するに際しては、液封防振ゴム品を構成する複数の部材を液槽内に収容した液中で組み付けて液室に液を封入する液中組付工程を実施した後、その組付体を液槽から取り出して洗浄槽内に挿入し、そして洗浄槽内で組付体の外面に付着した液を洗浄し除去する洗浄工程を実施する。
図において200は液中組付けされた後の液封防振ゴム品の組付体で、内部の液室にポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール等の液が封入されている。
また液中組付けによってその外面にはその液が付着した状態にある。
上記組付体200はこの洗浄槽202の径方向中央部で架台206により回転可能に支持されている。
208は、組付体200の上面に洗浄流体としての蒸気(水の蒸気)を噴射する上ノズル孔で、210は組付体200の下面に蒸気を噴射する下ノズル孔、212は組付体200の側方に且つ組付体200周りに配置された側方ノズル孔(以下単にノズル孔とする)で、これらノズル孔212は洗浄流体としての蒸気を組付体200の周りからその外周面に且つ組付体200の中心軸線に向けて噴射する。
ここで配管214は洗浄槽202内部において周壁204から径方向中心側に離隔して配置されている。
また配管214及びノズル孔212は、図9(B)に示しているように周方向に90°ごと隔たった位置の4個所に設けられている。
尚、216は組付体200を180°ごと正逆両方向に回転させる回転軸体で、218は排気口、220は排液を排出する排出口である。
図9に示す比較例の洗浄方法では、各ノズル孔212から洗浄流体としての蒸気が組付体200の中心軸線に向けて噴射される。
その噴射流は組付体200の外周面の、ノズル孔212に対して真正面に位置している部分に対して強く当った後、周方向の右方向と左方向に即ち正逆両方向に分れ、組付体200の外周面に沿って流れる。
しかしながらこのように乾燥炉による乾燥を行う場合、乾燥炉のための設備費が必要となるとともに、そこで熱エネルギーを多量に消費し、ランニングコストも高くなってしまう。
この排液には封入用の液と洗浄流体として用いた蒸気による水分とが混合状態で含まれているため、この洗浄工程で発生した排液中の封入用の液は再利用することができず、封入用の液に要するコストも高くなってしまう。
また本発明の別の目的は、組付体の外面に付着した液を回収して再利用可能とする製造方法を提供することを目的とする。
このようにすることで、洗浄槽内において洗浄流体の供給用の配管がその周壁から組付体側に離隔して位置して、その配管が洗浄流体の噴射流の流れの妨げとなって、洗浄能力を低下させる原因になるといった問題を解決することが可能となる(請求項2)。
これにより封入用の液に要していたコストを節減することが可能となる。
図1及び図2において、10は本発明の適用対象の一例としての液封エンジンマウント(液封防振ゴム品)で、この液封エンジンマウント10は、図2にも示しているように図中下部のマウント本体12と、上部の蓋部材14と、中間の仕切部材16との3つの部材から成っている。
尚、液封エンジンマウント10は実際には図中上下を逆向きとした状態で車両に取り付けられる。
図中42はその段付部を表している。また44はその段付部42によって生じた窪みを表している。
ここで段付部42及び窪み44は何れも全周に円環状をなしている。
本例の液封エンジンマウント10は、この本体ゴム部24を壁として、その上側に液室28が形成され、そこに液Lが封入されている。
本実施形態では、この液Lとしてエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合液が用いられている。
但し液Lとしてエチレングリコールと水との混合液その他様々な液を使用することが可能である。
仕切部材16は、外周部に円環状をなす金属製のオリフィス部材30を備えており、そしてそのオリフィス部材30の外周端において、上記のゴム層26の内周面に、かかるゴム層26を弾性圧縮させる状態に内嵌状態に嵌合され、マウント本体12に組み付けられている。
このオリフィス通路32は、図示を省略する別途の開口を通じて主液室28-1と副液室28-2とに連通しており、液室28内の液Lが主液室28-1からオリフィス通路32を経て副液室28-2に、又は副液室28-2からオリフィス通路32を経て主液室28-1に流動可能となっている。
このゴム壁36は、その中央部を図中上下方向に弾性変位させることによって主液室28-1内部の液圧の変動を吸収する。
その減衰作用は液Lが液柱共振を生ずる際に最も高く、この例ではその液柱共振の周波数はシェイク等の10〜20Hz程度の低周波数の振動入力に対してチューニングされている。
図5はその際に用いる液切り装置51の構成を示している。
ここで回転部材54,カバー56及びモータ58は支柱62により昇降可能に支持されており、それらが昇降シリンダ60によって昇降せしめられるようになっている。
尚、組付体10Aの回転速度は例えば240r.p.mである。
この回収装置64は回収槽66を有しており、そこに液切り装置51にて組付体10Aから分離された液Lが回収される。
そして貯留槽69内に移送された液Lが、ポンプ70により別の移送管74を通じフィルタ72を通過して再び液槽46へと供給される。
図6〜図8にその際に用いられる洗浄装置76の構成が具体的に示してある。
詳しくは、洗浄槽78は円筒状をなす周壁80と底壁82と上壁84とを有する、全体が閉鎖した構造をなしており、そして周壁80に排気口86が、また底壁82に排液の排出口88が設けられている。
洗浄槽78の内部には、円筒状をなす架台92が洗浄槽78の上下及び径方向の中央部に配置されており、この架台92によって、組付体10Aが回転可能に下側から支持されるようになっている。
ここで回転軸体94は軸受96を介して底壁82に回転可能に取り付けられており、またその下端部はギヤ98,100を介してモータ102に作動的に連結されている。
回転軸体94は、このモータ102によって架台92とともに回転駆動される。
この通路部材104の中心部には、洗浄流体としての蒸気(ボイラで発生せしめられた温度130℃程度の水の蒸気)を流通させる縦の供給通路106が形成されており、流入口108を通じてこの供給通路106内に蒸気が導入されるようになっている。
この下ノズル孔109からの蒸気の上向きの噴射は、主として上記インナ金具22の雌ねじ孔20に付着した液Lを洗浄除去するためのものである。
この供給通路110は、流入口112に続いて上壁84内部を横方向に延びる横向きの供給通路114と、これに続いて周壁80内部を下向きに延びる縦の供給通路116とからなっている。
また周壁80には、その内部を図中下向きに縦に延びる供給通路116に連通した側方ノズル孔(以下単にノズル孔とする)120が、周壁80の内面で開口する形態で設けられている。
図7に示しているように、縦の供給通路116は周方向に60°間隔で6個所に設けられており、そしてそれぞれに対応して上,下位置に2つずつのノズル孔120が設けられている。
ここで角度θは5°〜15°の範囲内としておくことが好適である。角度θが5°未満の場合は、隣接する洗浄流体の噴射流による悪影響があり、15°を超えると組付体10Aに対する噴射の勢いが弱まってしまう。特にこの実施形態では角度θは10°とされている。
尚この実施形態では全てのノズル孔120の傾斜角度が同一の角度θとされているが、場合によって合計6個所の供給通路116ごとに、ノズル孔120の傾斜の向きを異なった角度とすることも可能である。
図8はそのノズル孔120の高さの位置関係を具体的に示している。
即ちこの実施形態では、図7の2つの供給通路116Aに連通した上,下のノズル孔120Aのうち、上位置のノズル孔120A同士が同じ高さで、また下位置のノズル孔120A同士が同じ高さで設けられている。
また2つの供給通路116Bに連通した上,下2つのノズル孔120Bのうち、上位置のノズル孔120B同士が同じ高さで、また下位置のノズル孔120B同士が同じ高さで設けられている。
なおかつ6個所の供給通路116A,116B,116C,116A,116B,116Cのうち、隣接するもの同士でノズル孔の高さが上下に異ならせてある。
続いて上部78-1が閉鎖された後、下ノズル孔109と上ノズル孔118とから洗浄流体としての蒸気がそれぞれ上向き及び下向きに噴射される。
また同時にノズル孔120から組付体10Aの外周面に対して蒸気が噴射される。
この結果組付体10Aの外周面に付着した液Lが、その旋回流によって良好に組付体10Aから洗い流され除去される。
その後同じノズル孔120から圧力0.45MPaで5秒間のエア噴射が行われる。
尚上ノズル孔118,下ノズル孔109からも同様に蒸気噴射に続いてエア噴射が行われる。
このエア噴射によって、組付体10Aの外面に付着していた蒸気に起因した水分と、もし未だ液Lが残っている場合にはその液Lがエア噴射によってその後完全に除去される。
またエア噴射によって水分が除去されることにより、組付体10Aの外面が乾燥処理される。
これにより封入用の液Lに要していたコストを節減することができる。
10A 組付体
28 液室
46 液槽
78 洗浄槽
80 周壁
116 供給通路
120 ノズル孔(側方ノズル孔)
L 液
Claims (5)
- 液封防振ゴム品を構成する複数の部材を液槽内に収容した液中で組み付けて液室に該液を封入する液中組付工程を実施した後、該液槽から取り出した該液封防振ゴム品の組付体を洗浄槽内に挿入し、該組付体の外面に付着した液を洗浄し除去する洗浄工程を実施する液封防振ゴム品の製造方法であって、
前記洗浄工程で用いる前記洗浄槽を筒状に構成し、内部に挿入される前記組付体の外周面に向けて洗浄流体を噴射するノズル孔を該組付体の周りに複数配置し、且つ該複数のノズル孔のそれぞれは、噴射の向きを該組付体の中心軸線に対して周方向の同じ方向に傾斜した向きとなし、前記洗浄工程において各ノズル孔からの前記洗浄流体の噴射流を該組付体の外周面に対し周方向に斜めに当てて洗浄を行うことを特徴とする液封防振ゴム品の製造方法。 - 請求項1において、前記洗浄流体の供給通路を前記洗浄槽の周壁に設けてあることを特徴とする液封防振ゴム品の製造方法。
- 請求項2において、前記洗浄流体の供給通路が前記洗浄槽の周壁の内部に設けてあって、前記ノズル孔が該供給通路に連通する状態で該周壁に設けてあり、且つ該ノズル孔が開口した該洗浄槽の周壁の内面が周方向にフラットな面となしてあることを特徴とする液封防振ゴム品の製造方法。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記液中組付工程と前記洗浄工程との間の工程として、前記組付体に付着した前記液の液切り工程が設けてあり、且つ液切り工程は、該組付体を高速回転させることで該組付体に付着した前記液を遠心力で飛散させ分離するものであることを特徴とする液封防振ゴム品の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記ノズル孔から前記洗浄流体を噴射した後、続いて同じノズル孔から前記組付体の外周面に向けてエア噴射することを特徴とする液封防振ゴム品の製造方法。
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