JP2010209925A - シールリング - Google Patents

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JP2010209925A
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Kokichi Hamamoto
耕吉 濱本
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Nok Corp
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Abstract

【課題】PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングにおいて摺動面の表面粗さを低減し、軸との微小隙間を低減し、隙間漏れを抑制し、もって密封性を向上させる。
【解決手段】PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングであって、当該シールリングは軸としめしろをもって往復動可能に密接する摺動面を有し、前記摺動面に別途PTFEよりなるコート層が前記摺動面の表面粗さを埋める程度に薄くコーティングされることにより前記摺動面が平滑化されている。PTFEよりなるコート層コーティング前の摺動面の表面粗さは10μmよりも大きく、コーティング後の摺動面の表面粗さは10μm以下とされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、密封技術に係るシールリングに係り、特に往復動シールの構成要素として用いられるシールリングに関する。本発明のシールリングは油圧機器の全般に広く用いられる。
従来から図3(A)に示す往復動シール1が知られており、この往復動シール1は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)よりなるシールリング2とゴム状弾性体よりなるOリング3とを有し、ハウジング21内周側の溝22内に装着され、シールリング2は軸23としめしろをもって密接し、これにより軸23の停止時および軸23の往復動時に密封対象液(オイル、燃料油など)を密封している。密封対象液側には圧力Pが発生する。
上記PTFEよりなるシールリング2はその形状を削り出し加工によって製作されるが、図3(B)に拡大して示すように加工部(軸23との摺動部)は表面粗さが大きく、使用初期では軸23との間に微小な隙間cを生じ、密封対象液側に圧力Pが発生したときに隙間漏れが発生し、これが密封性低下の要因となっている。削り出し加工部の表面粗さは加工方法にもよるが一般に、10μmよりも大きく40μm程度である。
尚、上記以外の従来技術として、ゴム状弾性体製のシールリップの表面にPTFE層を設けた技術が散見されるが、これは「ゴム+PTFE層」の組み合わせであって、本発明のように「削り出し加工PTFEシールリング+PTFEコート層」の組み合わせは見当たらない。
特開2005−23791号公報(図6〜7)
本発明は以上の点に鑑みて、PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングにおいてその摺動面の表面粗さを低減し、軸との微小隙間を低減し、隙間漏れを抑制し、もって密封性を向上させることができるシールリングを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるシールリングは、PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングであって、当該シールリングは軸としめしろをもって往復動可能に密接する摺動面を有し、前記摺動面に別途PTFEよりなるコート層が前記摺動面の表面粗さを埋める程度に薄くコーティングされることにより前記摺動面が平滑化されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2によるシールリングは、上記した請求項1記載のシールリングにおいて、PTFEよりなるコート層コーティング前の摺動面の表面粗さは10μmよりも大きく、コーティング後の摺動面の表面粗さは10μm以下とされていることを特徴とする。
上記構成を有する本発明において、PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングは軸としめしろをもって往復動可能に密接する摺動面を有するものとされ、このようにしめしろを設定されるPTFEシールリングの摺動面に別途PTFEよりなるコート層が摺動面の表面粗さを埋める程度に薄くコーティングされることにより摺動面が平滑化されている。したがって摺動面はPTFEコート層がコーティングされるので表面粗さが低減し、また、しめしろにより軸に密着するので、使用の初期段階から軸との微小隙間が低減する。尚、PTFEコート層の厚みを摺動面の表面粗さを埋める程度に薄くと限定したのは、以下の理由による。
すなわち、PTFEシールリングへのPTFEコーティングは接着性が低いので、PTFEコート層を厚くすると、摩耗によりコート層の剥がれが生じ易くなり、摩耗粉による過大摩耗が生じ易くなる。したがってこれを未然に抑制するには、コート層の厚みを摺動面の表面粗さを埋める程度に薄く設定するのが好適である。
摺動面の表面粗さの大きさとしては、PTFEコート層のコーティング前は10μmよりも大きかったものが、コーティング後は10μm以下にまで低減される。
以上のように本発明によれば、PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングにおいて摺動面の表面粗さが低減し、軸との微小隙間が低減し、隙間漏れが抑制される。したがって使用の初期段階からシールリングの密封性を向上させることができる。
また、本発明によれば、削り出し加工による表面粗さの精度が要求されなくなるために、加工スピードをアップさせることができる。したがってシールリングの生産性を向上させることができる。
(A)は本発明の実施例に係るシールリングを備える往復動シールの半裁断面図、(B)は同図(A)におけるD部拡大図 比較試験に係るPTFEリング表面粗さと漏れ量との関係を示すグラフ図 (A)は従来例に係るシールリングを備える往復動シールの半裁断面図、(B)は同図(A)におけるE部拡大図
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)削り出し加工後のPTFEリングの少なくとも摺動表面に、PTFEコーティングをシールリングの粗さを埋める程度に塗布し、PTFEリングの表面粗さ(凹凸)を小さくする。コーティング塗布により、表面粗さを10μm以下とする。これによりPTFEリングと軸との密着性が良くなり、接触面の隙間が抑制されることで、密封性が向上する。
(2)PTFEコーティングをシールリングの粗さを埋める程度に塗布することにより、初期段階からPTFEリングの表面を摺動シールとして機能させる。
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1(A)は、本発明の実施例に係るシールリング2を備える往復動シール1の装着状態の半裁断面を示しており、そのD部拡大図が同図(B)に示されている。当該往復動シール1は、油圧機器に装着されてハウジング21および軸23間で燃料油などの密封対象液を密封するものであって、以下のように構成されている。尚、密封対象液側には圧力Pが発生する。
すなわち先ず、当該シール1は、PTFE素材からの削り出し加工によって製作されるシールリング2を有しており、このシールリング2の外周側にゴム状弾性体よりなるOリング3が配置されている。シールリング2およびOリング3はハウジング21内周側の溝22内に装着され、シールリング2は軸23としめしろをもって密接し、これにより軸23の停止時および軸23の往復動時に密封対象液を密封する。
シールリング2は、断面矩形状に加工され、その内周面に軸23に対する円筒面状の摺動面2aを有している。摺動面2aは削り出し加工により30μm程度の初期的な表面粗さ2bを有するところ、当該実施例では、この摺動面2aの全面に亙ってPTFEよりなるコート層4が摺動面2aの表面粗さ2bを埋める程度に薄くコーティングされることにより摺動面2aが平滑化され、コーティング後の表面粗さは10μm程度とされている。したがって摺動面2aはPTFEコート層4がコーティングされるので表面粗さが低減し、また摺動面2aはしめしろにより軸23に密着するので、軸23との微小隙間が低減し、隙間漏れが抑制される。
PTFEコート層4をコーティングする前後における漏れ量を比較すると、以下のようになる。比較の対象は、摺動面2aにPTFEコート層4がコーティングされて表面粗さが「10μm」とされたものと、摺動面2aにPTFEコート層4がコーティングされずに表面粗さが「30μm」のままとされたものとである。
比較試験の試験条件は、以下のとおりとした。
油種:作動油(低粘度)
圧力:0.5MPa
軸摺動速度:0.22m/s
温度:R.T.
試験結果は、図2のグラフ図に示すように、摺動面2aにPTFEコート層4がコーティングされずに表面粗さが「30μm」のままとされたものでは、漏れ量が約0.08cc/hであったのに対し、摺動面2aにPTFEコート層4がコーティングされて表面粗さが「10μm」とされたものでは、漏れ量が約0.03cc/hまで減じられており、本発明のPTFEコーティングによる密封性向上の効果を確認することができた。尚、PTFEコーティングはこれを定法によって行なうものであり、工程によっては摺動面2a以外の表面にもPTFEコート層4がコーティングされることが有り得る。
1 往復動シール
2 PTFEシールリング
2a 摺動面
2b 初期的な表面粗さ
3 Oリング
4 PTFEコート層
21 ハウジング
22 装着溝
23 軸

Claims (2)

  1. PTFEの削り出し加工によって製作されるシールリングであって、
    当該シールリングは軸としめしろをもって往復動可能に密接する摺動面を有し、前記摺動面に別途PTFEよりなるコート層が前記摺動面の表面粗さを埋める程度に薄くコーティングされることにより前記摺動面が平滑化されていることを特徴とするシールリング。
  2. 請求項1記載のシールリングにおいて、
    PTFEよりなるコート層コーティング前の摺動面の表面粗さは10μmよりも大きく、コーティング後の摺動面の表面粗さは10μm以下とされていることを特徴とするシールリング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014192947A1 (ja) 2013-05-31 2014-12-04 三菱電線工業株式会社 樹脂組成物およびそれを用いたシール部材

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