JP2010209909A - 遠心送風機 - Google Patents
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Abstract
【課題】漏れ流れに起因する騒音を低減できる遠心送風機を提供する。
【解決手段】遠心送風機11は、羽根車17と、ベルマウス6と、気流抵抗部材20とを備えている。前記気流抵抗部材20は、気流が略均等に通過可能である。前記気流抵抗部材20は、漏れ流れの通気量を減らす。前記漏れ流れは、羽根車17からの吹出気流の一部が、シュラウド15とベルマウス6との間を通り、空気吸込側端部15aと空気流出口部6cとの隙間Gから羽根車17内に流入する空気の流れである。
【選択図】図2
【解決手段】遠心送風機11は、羽根車17と、ベルマウス6と、気流抵抗部材20とを備えている。前記気流抵抗部材20は、気流が略均等に通過可能である。前記気流抵抗部材20は、漏れ流れの通気量を減らす。前記漏れ流れは、羽根車17からの吹出気流の一部が、シュラウド15とベルマウス6との間を通り、空気吸込側端部15aと空気流出口部6cとの隙間Gから羽根車17内に流入する空気の流れである。
【選択図】図2
Description
本発明は、遠心送風機の構造に関するものである。
図18は、遠心送風機の一例しての従来のターボファンを備えた天井埋込型の空気調和機1の構造を示している。図18に示すように、この空気調和機1は、カセット型の本体ケーシング2を有している。この本体ケーシング2は、その下面パネル(吸気口及び吹出口が設けられたパネル)4が天井3と略同一平面に連続するように、天井3内に埋設されている。
下面パネル4の中央部には方形の空気吸込グリル5が設けられている。空気吸込グリル5の内側には、空気吸込グリル5に沿って設けられたプレフィルタFと、ベルマウス6と、羽根車17と、この羽根車17を回転させるファンモータ13とが前方F側から後方R側に向かってこの順に配置されている。下面パネル4の前記空気吸込グリル5の周囲には、空気吸込グリル5の外周に沿って延びる複数の空気吹出口9が設けられている。
本体ケーシング2内には空気吸込グリル5からベルマウス6及び羽根車11を経て各空気吹出口9に到る送風流路10が形成されている。この送風流路10を流れる空気は、空気吸込グリル5から流入し、ベルマウス6を通過した後、羽根車17の全周に広がるように半径方向の外側に向かって流れる。送風流路10には、羽根車17を囲むように空気熱交換器12が配置されている。
羽根車17は、ファンモータ13の回転軸13aに固定された円形のハブ(主板)14と、羽根車17の内部の遠心方向への空気吸込口を形成し、一端側と他端側の径が異なる筒状のシュラウド15と、ハブ14とシュラウド15との間に所定の翼角及び所定の翼間隔で周方向に並設された複数枚の羽根(翼)16とを有している。
シュラウド15の空気吸込側端部15a内には、ベルマウス6の下流側の空気流出口部6cが所定の隙間Gを保って所定寸法挿入されている。
図18に示すように、ベルマウス6は、空気流入口部6bと空気流出口部6cとからなる気流ガイド面を有している。空気流入口部6bは、下面パネル4への取付縁部6aから内方に延び、空気の流れの上流側から下流側に向かうにつれて次第に開口径が縮小した所定の曲率半径の円弧面からなる。空気流出口部6cは、空気流入口部6bからシュラウド15の空気吸込側端部15aに向かって延びている。これにより、ベルマウス6は、空気吸込グリル5から吸い込まれた空気を、羽根車17の空気吸込口を形成しているシュラウド15の空気吸込側端部15aにスムーズに流入させることができる。
羽根車17のシュラウド15は、羽根車17の吸込側の空気を吹出方向である遠心方向にスムーズにガイドすることによって送風時に生じる空力騒音を可能な限り低減している。
このようにターボファン等の遠心送風機では、ベルマウスおよびシュラウドの気流ガイド面の形状を理想的な形状に近づけることによって、羽根車の外周部や吸込部の気流の乱れをできるだけ少なくして騒音の低減を図っている。
しかし、遠心送風機においては、次のような空力騒音も発生する。例えば図19に示すように、羽根車17の回転時において、シュラウド15とベルマウス6の間の隙間Gから漏れる高速の漏れ流れBと、本来の主流Aのうちのシュラウド15寄りの主流A′との干渉により、シュラウド15の表面での気流の剥離、および羽根16の負圧面側での気流の剥離が増大する。これにより、騒音が発生する。
ところで、ベルマウス6とシュラウド15との間の隙間Gは、羽根車17が回転するときに、シュラウド15がベルマウス6に接触しないように設けられている。
そして、この隙間Gの幅は、一般に次の3つの要因を考慮して設定されている。
(1) ファンの製造精度に起因する回転ぶれ
(2) 室内機の組立て誤差
(3) 室内機の設置時に発生しうる羽根車の芯ずれ
しかし、前記隙間Gの存在により、例えば図19のように羽根車17の羽根16の部分から吹き出された気流の一部が、シュラウド15とベルマウス6との間から隙間Gを通って高速で羽根車の羽根16の吸込み側に漏れる漏れ流れBが生じる。この漏れ流れBが、上述のように空力騒音を発生させるとともにファン効率の低下を招いている。
(2) 室内機の組立て誤差
(3) 室内機の設置時に発生しうる羽根車の芯ずれ
しかし、前記隙間Gの存在により、例えば図19のように羽根車17の羽根16の部分から吹き出された気流の一部が、シュラウド15とベルマウス6との間から隙間Gを通って高速で羽根車の羽根16の吸込み側に漏れる漏れ流れBが生じる。この漏れ流れBが、上述のように空力騒音を発生させるとともにファン効率の低下を招いている。
これまでに、羽根車17の製造精度を向上させて、可能な限り回転ぶれを低減する試みがなされてきた。また、室内機の組立て誤差を小さくする努力もなされてきた。さらに、室内機を設置するときに、その水平度をできるだけ保持して、室内機の微小な変形による羽根車17の芯ずれを減らす試みもなされてきた。
しかし、実際にはある程度の芯ずれは避けられないため、例えば前記隙間Gは、所定寸法以上に大きく設定されている。したがって、前述のように、前記漏れ流れBが生じることによってファン効率が低下してファンモータの入力が大きくなるため、前記漏れ流れBは空気調和機の省エネ性を損なう一因となっている。
上記のような課題に対して、例えば、ベルマウス6の下流側の空気流出口部6cがシュラウド15の空気吸込側端部15a内に所定の隙間Gを保って挿入された挿入部の外周を覆うように、シュラウドの外周面とベルマウスの外周面との間に円筒壁を設けた空気調和機が提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1の空気調和機では、前記ベルマウスの空気流出口部とシュラウドにおけるベルマウス側の空気吸込側端部との隙間を流れる漏れ流れは、その通路面積の縮小により絞られるので、前記漏れ流れの流速が均一化される、と記載されている。
しかしながら、前記特許文献1の空気調和機では、依然として漏れ流れは乱れるので、乱れた気流が羽根とぶつかり、空力騒音の上昇を招く問題は残されている。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、漏れ流れに起因する騒音を低減できる遠心送風機を提供することにある。
(1) 本発明の遠心送風機は、ファンモータ(13)に取り付けられるものである。この遠心送風機は、羽根車(17)と、ベルマウス(6)と、気流抵抗部材(20,21,22)とを備えている。前記羽根車(17)は、前記ファンモータ(13)の回転軸の軸方向の前方側に固定された円形のハブ(14)と、前記ハブ(14)の周方向に並ぶ複数の羽根(16)と、前記回転軸を中心として開口する空気吸込側端部(15a)を有し、前記複数の羽根(16)の前記前方側に固定されたシュラウド(15)とを含む。前記ベルマウス(6)は、前記回転軸を中心として開口する空気流出口部(6c)を有している。前記ベルマウス(6)は、前記空気吸込側端部(15a)の前記開口内に所定の隙間を保って前記空気流出口部(6c)側の一部が挿入されている。前記気流抵抗部材(20,21,22)は、漏れ流れの通気量を減らす。前記漏れ流れは、前記羽根車(17)からの吹出気流の一部が、前記シュラウド(15)とベルマウス(6)との間を通り、前記空気吸込側端部(15a)と前記空気流出口部(6c)との前記隙間から前記羽根車(17)内に流入する空気の流れである。前記気流抵抗部材(20,21,22)は、合成樹脂製の線条体で編製したネット構造、又は合成樹脂を成形した格子構造を有しており、気流を、乱れが小さく流速が略均等な流れに整流する。
この構成では、前記漏れ流れが通過する部分には気流が略均等に通過可能な前記気流抵抗部材(20,21,22)が設けられている。前記シュラウド(15)の空気吸込側端部(15a)とベルマウス(6)の空気流出口部(6c)との隙間を流れる前記漏れ流れの通過を均等に抑制して前記漏れ流れの量を低減させるとともに、前記漏れ流れを均一に細流化することによって流れを整流する。
したがって、前記漏れ流れが前記気流抵抗部材(20,21,22)を通過する際の気流抵抗によって漏れ流れの量が有効に低減されるとともに、前記漏れ流れが均一な流速の流れに整流されて、漏れ流れの乱れが小さくなる。この構成の場合、前記漏れ流れが前記気流抵抗部材(20,21,22)を略均等に通過可能であるので、前記漏れ流れの流れ方向の変化が小さい。その結果、前記気流抵抗部材(20,21,22)を設けたことに起因する騒音が生じにくい。しかも、前記漏れ流れがスムーズに流れるので、ファン効率が向上するとともに、主流との干渉による羽根(16)の負圧面側での気流の剥離も有効に抑制される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。また、ファンモータ(13)の入力が低減され、省エネ性能が向上する。
また、前記気流抵抗部材(20,21,22)が、合成樹脂製の線条体で編製したネット構造を有している構成では、合成樹脂製の線条体で編製したネット構造を有する前記気流抵抗部材(20,21,22)を前記漏れ流れが通過する際の気流抵抗によって前記漏れ流れの量が低減されるとともに、前記漏れ流れが整流されて、前記漏れ流れの乱れが小さくなる。
特に、前記線条体が細い糸からなる場合、前記気流抵抗部材(20,21,22)を前記漏れ流れが通過する際の漏れ流れの乱れがより小さくなる。また、前記線条体が細い糸からなる場合、前記漏れ流れが前記気流抵抗部材(20,21,22)を通過する際に、前記漏れ流れの流れ方向の変化をより小さくすることができる。その結果、前記気流抵抗部材(20,21,22)を設けたことに起因する騒音が生じにくい。これにより、前記漏れ流れの通過時の騒音(風切り音)をより低く抑えることができる。また、前記漏れ流れが一層スムーズに流れるので、ファン効率が向上するとともに、主流との干渉による羽根(16)の負圧面側での剥離も有効に抑制される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。また、ファンモータ(13)の入力が低減され、省エネ性能が向上する。
また、前記気流抵抗部材(20,21,22)が、合成樹脂を成形した格子構造を有している構成では、合成樹脂を成形した格子構造を有する前記気流抵抗部材(20,21,22)を前記漏れ流れが通過する際の気流抵抗によって前記漏れ流れの量が低減されるとともに、前記漏れ流れが整流されて、前記漏れ流れの乱れが小さくなる。これにより、前記漏れ流れがスムーズに流れるので、ファン効率が向上するとともに、主流との干渉による羽根(16)の負圧面側での剥離も有効に抑制される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。また、ファンモータ(13)の入力が低減され、省エネ性能が向上する。しかも、前記格子構造の気流抵抗部材(20,21,22)は、容易に成形できるので、安価に製造することができる。
また、この構成では、扁平なプレート片によって格子が構成されている場合、前記気流抵抗部材(20,21,22)を前記漏れ流れが通過する際の騒音(風切り音)をより低く抑えることができる。
(2) 前記気流抵抗部材(20,21)は、前記シュラウド(15)の前記空気吸込側端部(15a)の外周部に位置して設けられているのが好ましい。
この構成では、前記空気吸込側端部(15a)の外周を囲む前記気流抵抗部材(20,21)を前記漏れ流れが通過する際の気流抵抗により、漏れ流れの量が有効に低減されるとともに、前記漏れ流れが均一な流速の流れに整流されて、漏れ流れの乱れが小さくなる。この構成の場合、前記漏れ流れが前記気流抵抗部材(20,21,22)を略均等に通過可能であるので、前記漏れ流れの流れ方向の変化が小さい。その結果、前記気流抵抗部材(20,21)を設けたことに起因する騒音が生じにくい。しかも、前記漏れ流れがスムーズに流れるので、ファン効率が向上するとともに、主流との干渉による羽根(16)の負圧面側での剥離も有効に抑制される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。また、ファンモータ(13)の入力が低減され、省エネ性能が向上する。
(3) 前記気流抵抗部材(22)は、前記ベルマウス(6)の前記空気流出口部(6c)との間で前記シュラウド(15)の前記空気吸込側端部(15a)を囲むように設けられていてもよい。
この構成では、前記ベルマウス(6)の前記空気流出口部(6c)との間で前記シュラウド(15)の前記空気吸込側端部(15a)を囲むように設けられた前記気流抵抗部材(22)を前記漏れ流れが通過する際の気流抵抗によって前記漏れ流れの量が低減されるとともに、前記漏れ流れが整流されて、漏れ流れの乱れが小さくなる。
特に、この構成では、前記気流抵抗部材(22)が、前記シュラウド(15)の空気吸込側端部(15a)とベルマウス(6)の空気流出口部(6c)との隙間に近接した状態で設けられるので、前記漏れ流れが前記気流抵抗部材(22)を通過する際に前記漏れ流れが細かく乱されて生じるスケールの小さな乱れによって、前記隙間において気流の混合が促進される。その理由は次の通りであると推測される。すなわち、空気吸込側端部(15a)と空気流出口部(6c)との前記隙間(オーバーラップ部)は小さいので、前記漏れ流れは前記隙間及びその近傍では流速が高くなる。したがって、この流速の高い漏れ流れが気流抵抗部材(22)を通過する際には、気流抵抗部材(22)によってその下流側にスケールの小さな乱れ(渦)がいくつか発生する。これらの小さい渦が気流の乱流混合を促進するので、前記隙間内の偏流が改善される。これにより、例えば羽根車(17)の回転ぶれなどに起因して発生する偏流を解消する効果が高くなるので、偏流に起因する送風音が効果的に低減される。
また、この構成では、前記気流抵抗部材(22)は、前記ベルマウス(6)と別体に設けられているのが好ましい。例えばベルマウス(6)と前記気流抵抗部材(22)を一体成形する場合と比べると、成形が容易でコストダウンを図ることができる。
また、この構成では、前記気流抵抗部材(22)の先端は、前記シュラウド(15)から所定寸法離して設けられ、回転する前記シュラウド(15)との干渉が回避される。
(4) 前記気流抵抗部材(20,21,22)は、前記ベルマウス(6)側から前記シュラウド(15)側に筒状に延びるように設けられていてもよい。
この構成では、筒状の前記気流抵抗部材(20,21,22)を前記漏れ流れが通過する際の気流抵抗によって前記漏れ流れの量が低減されるとともに、前記漏れ流れが整流されて、前記漏れ流れの乱れが小さくなる。これにより、前記漏れ流れがスムーズに流れるので、ファン効率が向上するとともに、主流との干渉による羽根(16)の負圧面側での剥離も有効に抑制される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。また、ファンモータ(13)の入力が低減され、省エネ性能が向上する。
また、この構成では、前記気流抵抗部材(20,21,22)は、前記ベルマウス(6)と別体に設けられているのが好ましい。例えばベルマウス(6)と前記気流抵抗部材(20,21,22)を一体成形する場合と比べると、成形が容易でコストダウンを図ることができる。
また、この構成では、前記気流抵抗部材(20,21,22)の先端は、前記シュラウド(15)から所定寸法離して設けられ、回転する前記シュラウド(15)との干渉が回避される。
(5) 前記遠心送風機は、例えば空気調和機用の送風機として用いられる。
この構成では、高性能、低騒音で省エネ性能の高い空気調和機用室内機を安価に実現することができる。
(6) 本発明の遠心送風機は、次のような構成であってもよい。すなわち、本発明の遠心送風機は、ファンモータ(13)に取り付けられるものである。この遠心送風機は、羽根車(17)と、ベルマウス(6)と、気流抵抗部材(20)とを備えている。前記羽根車(17)は、前記ファンモータ(13)の回転軸の軸方向の前方側に固定された円形のハブ(14)と、前記ハブ(14)の周方向に並ぶ複数の羽根(16)と、前記回転軸を中心として開口する空気吸込側端部(15a)を有し、前記複数の羽根(16)の前記前方側に固定されたシュラウド(15)とを含む。前記ベルマウス(6)は、前記回転軸を中心として開口する空気流出口部(6c)を有している。前記ベルマウス(6)は、前記空気流出口部(6c)側の一部が、前記空気吸込側端部(15a)の前記開口の縁部との間に所定の隙間を設けた状態で前記空気吸込側端部(15a)の前記開口に挿入されている。前記気流抵抗部材(20)は、筒形状を有している。前記気流抵抗部材(20)は、略均一な複数の孔が略全体にわたって設けられている。前記気流抵抗部材(20)は、その内側に前記空気吸込側端部(15a)及び前記空気流出口部(6c)が位置するように配置されている。
この構成では、筒形状を有し、略均一な複数の孔が略全体にわたって設けられた前記気流抵抗部材(20)が、その内側に前記空気吸込側端部(15a)及び前記空気流出口部(6c)が位置するように配置されているので、前記漏れ流れは、前記空気吸込側端部(15a)と前記空気流出口部(6c)との前記隙間から前記羽根車(17)内に流入する前に、前記気流抵抗部材(20)を通過する。
したがって、この構成では、前記気流抵抗部材(20)が漏れ流れの抵抗となるので、前記気流抵抗部材(20)が設けられていない場合に比べて前記漏れ流れの量を低減させることができる。しかも、前記気流抵抗部材(20)は、略均一な複数の孔が略全体にわたって設けられているので、前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制することができる。このように前記漏れ流れの量が低減し、前記漏れ流れの乱れが抑制されることにより、送風音を低減することができる。
(7) 前記気流抵抗部材(20)における前記軸方向の後方側の端部の外径は、前記シュラウド(15)の外径よりも大きいのが好ましい。
この構成では、前記気流抵抗部材(20)の前記後方側の端部の外径を前記シュラウド(15)の外径よりも大きくしているので、前記羽根車(17)の組立時のわずかな位置ずれ(芯ずれ)、前記羽根車(17)の回転時の回転ぶれなどが生じた場合であっても、前記気流抵抗部材(20)が前記シュラウド(15)に接触するのを抑制できる。
(8) 前記気流抵抗部材(20)は、前記前方側から前記後方側に向かうにつれて外径が大きくなる略円錐台形状を有していてもよい。
この構成では、略円錐台形状を有する前記気流抵抗部材(20)は、前記シュラウド(15)との接触が抑制される効果に加え、さらに、外径がほぼ一定の気流抵抗部材(20)と比べて、前記漏れ流れの量を低減させる効果、及び前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果をより高めることができる。すなわち、外径がほぼ一定の気流抵抗部材(20)と比べて略円錐台形状を有する気流抵抗部材(20)は、前記軸方向の長さが同じであっても側面の面積を大きくすることができる。これにより、外径がほぼ一定の気流抵抗部材(20)と比べて前記漏れ流れが通過する面積を増加させることができるので、前記漏れ流れの抵抗を増加させて前記漏れ流れの量を低減する効果を高めることができるとともに、前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果も高めることができる。
したがって、この構成では、前記シュラウド(15)の外周面と前記ベルマウス(6)の外周面との前記軸方向の間隔が小さいタイプの遠心送風機であっても、前記気流抵抗部材(20)の側面の面積が小さくなるのを抑制できるので、前記漏れ流れの量を低減させる効果、及び前記前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果が低減するのを抑制できる。
(9) 前記気流抵抗部材(20)は、断面が波形状であってもよい。
この構成では、断面が波形状の前記気流抵抗部材(20)は、外径がほぼ一定の気流抵抗部材(20)と比べて、前記軸方向の長さが同じであっても側面の面積を大きくすることができる。これにより、略円錐台形状の前記気流抵抗部材(20)の場合と同様の前記効果を得ることができる。
(10) 前記気流抵抗部材(20)は、断面が湾曲形状であってもよい。
この構成では、断面が湾曲形状の前記気流抵抗部材(20)は、外径がほぼ一定の気流抵抗部材(20)と比べて、前記軸方向の長さが同じであっても側面の面積を大きくすることができる。これにより、略円錐台形状の前記気流抵抗部材(20)の場合と同様の前記効果を得ることができる。
(11) 前記気流抵抗部材(20)は、30メッシュ〜70メッシュの網目を有するネット構造を有しているのが好ましい。
この構成では、後述する実施例1〜5に示すように、顕著な送風音の低減効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、前記漏れ流れに起因する騒音を低減できる遠心送風機を提供することができる。
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1、及びターボファン11の気流抵抗部材20を示している。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1、及びターボファン11の気流抵抗部材20を示している。
図1に示すように、空気調和機1は、カセット型(箱型)の本体ケーシング2を有している。本体ケーシング2は、その下面パネル(吸気口及び吹出口が設けられたパネル)4が天井3と略同一平面に連続するように、天井3内に埋設されている。
下面パネル4には、中央部に方形の空気吸込グリル5が設けられている。空気吸込グリル5の内側には、空気吸込グリル5に沿って設けられたプレフィルタFと、ベルマウス6と、羽根車17と、この羽根車17を回転させるファンモータ13とが前方F側から後方R側に向かってこの順に配置されている。下面パネル4の前記空気吸込グリル5の周囲には、所定の幅で空気吸込グリル5の外周に沿って延びる複数の空気吹出口9が設けられている。
本体ケーシング2内には空気吸込グリル5からベルマウス6及び羽根車11を経て各空気吹出口9に到る送風流路10が形成されている。この送風流路10を流れる空気は、空気吸込グリル5から流入し、ベルマウス6を通過した後、羽根車17の全周に広がるように半径方向の外側に向かって流れる。送風流路10には、羽根車17を囲むように空気熱交換器12が配置されている。
羽根車17は、ファンモータ13の回転軸13aに固定された円形のハブ(主板)14と、羽根車17の内部の遠心方向への空気吸込口を形成し、一端側と他端側の径が異なる筒状のシュラウド15と、ハブ14とシュラウド15との間に所定の翼角及び所定の翼間隔で周方向に並設された後ろ向きタイプの複数枚の羽根(翼)16とを有している。
シュラウド15の空気吸込側端部15a内には、シュラウド15が回転可能なように、ベルマウス6の下流側の空気流出口部6cが所定の隙間Gを保って所定寸法挿入されている。
図1に示すように、ベルマウス6は、空気流入口部6bと空気流出口部6cとからなる気流ガイド面を有している。空気流入口部6bは、下面パネル4への取付縁部6aから内方に延び、空気の流れの上流側から下流側に向かうにつれて次第に開口径が縮小した所定の曲率半径の円弧面からなる。空気流出口部6cは、空気流入口部6bからシュラウド15の空気吸込側端部15aに向かって延びている。これにより、ベルマウス6は、空気吸込グリル5から吸い込まれた空気を、羽根車17の空気吸込口を形成しているシュラウド15の空気吸込側端部15aにスムーズに流入させることができる。
羽根車17のシュラウド15は、羽根車17の吸込側の空気を吹出方向である遠心方向にスムーズにガイドすることによって送風時に生じる空力騒音を可能な限り低減している。
図2に示すように、この第1実施形態の遠心送風機11は、円筒状の気流抵抗部材20を備えている。気流抵抗部材20は、その壁面の全周にわたって気流が略均等に通過可能な複数の隙間を有している。気流抵抗部材20は、シュラウド15の空気吸込側端部15aの外周を囲むように配置されている。具体的には、気流抵抗部材20は、シュラウド15の空気吸込側端部15aの内部にベルマウス6の空気流出口部6cが挿入された挿入部の外周を覆うように、シュラウド15の外周面とベルマウス6の外周面との間に位置している。
図3に示すように、気流抵抗部材20は、例えば合成樹脂を成形して得られる格子構造を有している。この気流抵抗部材20は、複数の縦格子20aと複数の横格子20bからなり、前記複数の隙間は、これらの格子20a,20bにより形成されている。
図1及び図4に示すように、気流抵抗部材20は、ベルマウス6の外周面からシュラウド15の外周面に向かって円筒状に延びている。気流抵抗部材20の後方R側の周縁部は、回転するシュラウド15に接触(干渉)しないように所定の隙間をあけて配置されている。
以上説明したように、本実施形態では、図4に示すように、ベルマウス6の外周面とシュラウド15の外周面の間には、前記挿入部の外周を囲むように円筒状の気流抵抗部材20よりなるフェンスが形成されている。このフェンスの存在により、漏れ流れBに対する気流抵抗が増大して漏れ流れBの量が低減されるだけでなく、漏れ流れB自体が細かく均等に細流化されて整流され、均一な流速で乱れなく流れるようになるので、流れが安定する。
その結果、ファン効率が向上するとともに、ベルマウス6の後方R側の周縁部を通過した漏れ流れBがスムーズにシュラウド15の内面に沿って流れる。これにより、従来のような漏れ流れBとシュラウド15寄りの主流A′との干渉による羽根16の負圧面側における気流の剥離も有効に抑制される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。
また、仮に羽根車17に回転ぶれや芯ずれが発生し、半径方向の一方側で前記挿入部の隙間の寸法が増大して偏流が生じても、この偏流を有効に低減(均一化)することができる。
さらに、気流抵抗部材20は、例えば図3のような合成樹脂を成形した格子構造を有しているので、例えば射出成形により、容易かつ安価に形成することができる。
また、気流抵抗部材20は、ベルマウス6と別体に設けられている。例えばベルマウスと前記気流抵抗部材を一体成形する場合と比べると、成形が容易でコストダウンを図ることができる。
また、気流抵抗部材20は、扁平なプレート片によって格子が構成されているので、気流抵抗部材20を前記漏れ流れが通過する際の騒音(風切り音)をより低く抑えることができる。
したがって、この第1実施形態によれば、空力騒音が低く、送風性能の高い遠心送風機、及び送風性能が高く、低騒音で、省エネ性能に優れた空気調和機を安価に提供することができる。
(第2実施形態)
図5〜図7は、本発明の第2実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1、及びターボファン11の気流抵抗部材21を示している。
図5〜図7は、本発明の第2実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1、及びターボファン11の気流抵抗部材21を示している。
この第2実施形態の遠心送風機11は、図6及び図7に示す気流抵抗部材21を備えている。この気流抵抗部材21は、合成樹脂製又は金属製の複数の細い線条体Xと複数の細い線条体Yとを網目状に編製したネット構造の円筒状のメッシュ部材21aを有している。円筒状のメッシュ部材21aは、その内側に所定間隔をあけて配列された複数の縦リブ21cと複数の横リブ21bとにより補強されている。
この第2実施形態では、図5に示すように、ベルマウス6の外周面とシュラウド15の外周面の間には、前記挿入部の外周を囲むように円筒状のネット構造体からなるフェンスが形成されている。このフェンスの存在により、漏れ流れBに対する気流抵抗が増大して前記挿入部の隙間Gを流れる漏れ流れBの量が効果的に低減されるとともに、その流れが均一に全体に細流化されて広く均一な流速の流れに整流される。
したがって、羽根車17に回転ぶれや芯ずれが発生したとしても、全周にわたって漏れ流れの量が均一に低減されて流れがスムーズになる。これにより、ファン効率が向上するとともに、主流との干渉による羽根16の負圧面における気流の剥離も有効に抑制される。
特に、この第2実施形態の場合、線条体X,Yが細い糸からなる場合、気流抵抗部材21を漏れ流れBが通過する際の漏れ流れBの乱れがより小さくなる。これにより、漏れ流れBの通過時の騒音(風切り音)をより低く抑えることができる。
その結果、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、有効に送風音が低減される。
したがって、この第2実施形態によれば、空力騒音が低く、送風性能の高い遠心送風機、及び送風性能が高く、低騒音で、省エネ性能に優れた空気調和機を安価に提供することができる。
(第3実施形態)
図8及び図9は、本発明の第3実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1を示している。
図8及び図9は、本発明の第3実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1を示している。
図8及び図9に示すように、このターボファン11は、前記第1実施形態又は第2実施形態における気流抵抗部材20,21に代えて、気流抵抗部材22を備えている。気流抵抗部材22は、円筒形状の側壁部22aと、この側壁部22aの底部から半径方向の内側に屈曲したフランジ部22bとを有し、断面が鉤形である。この気流抵抗部材22は、前記第2実施形態と同様の合成樹脂製又は金属製のネット構造を有している。
この気流抵抗部材22は、側壁部22a及びフランジ部22bと、ベルマウス6の空気流出口部6cの外周面との間で、シュラウド15の空気吸込側端部15aを囲むように配置されている。
この第3実施形態では、図8に示すように、前記挿入部付近を囲むように前記ネット構造のフェンスが形成されている。このフェンスの存在により、漏れ流れに対する気流抵抗が増大して前記挿入部の隙間Gを流れる漏れ流れの量が低減されるとともに、その流れが細流化され、均一な流速の流れに整流されて、漏れ流れの乱れが小さくなる。
したがって、羽根車17に回転ぶれや芯ずれが発生しても、漏れ流れの量が低減されてファン効率が向上するとともに、その流れ自体もスムーズとなって主流との干渉による羽根16の負圧面における気流の剥離も有効に抑制される。
しかも、この第3実施形態の場合、図9から明らかなように、気流抵抗部材22が前記挿入部の隙間Gに近接した状態で設けられているので、漏れ流れBが気流抵抗部材22を通過する際に前記漏れ流れが細かく乱されて、隙間Gにおいて気流の混合が促進される。これにより、例えば羽根車17の回転ぶれなどに起因して発生する偏流を解消する効果が高くなるので、偏流に起因する送風音が効果的に低減される。したがって、従来の遠心送風機に比べて、送風性能が向上するとともに、前記偏流に起因する騒音が効果的に低減される。
また、この第3実施形態では、気流抵抗部材22は、ベルマウス6と別体に設けられている。例えばベルマウス6と気流抵抗部材22を一体成形する場合と比べると、成形が容易でコストダウンを図ることができる。
また、この第3実施形態では、気流抵抗部材22の先端は、シュラウド15から所定寸法離して設けられ、回転するシュラウド15との干渉が回避される。
したがって、この第3実施形態によれば、空力騒音が低く、送風性能の高い遠心送風機、及び送風性能が高く、低騒音で、省エネ性能に優れた空気調和機を安価に提供することができる。
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11に用いられる羽根車17を示す斜視図である。図11(a)は、第4実施形態のターボファン11に用いられるベルマウス6を示す平面図である。図11(b)は、図11(a)のベルマウス6に気流抵抗部材20を取り付けた状態を示す斜視図である。図12は、第4実施形態に係るターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1における本体ケーシング2に収容された各部品の配置を説明するための底面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図10は、第4実施形態に係る遠心送風機としてのターボファン11に用いられる羽根車17を示す斜視図である。図11(a)は、第4実施形態のターボファン11に用いられるベルマウス6を示す平面図である。図11(b)は、図11(a)のベルマウス6に気流抵抗部材20を取り付けた状態を示す斜視図である。図12は、第4実施形態に係るターボファン11を備えた天井埋込型の空気調和機1における本体ケーシング2に収容された各部品の配置を説明するための底面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
この第4実施形態のターボファン11は、第1実施形態と同様に、羽根車17と、ベルマウス6と、気流抵抗部材20とを備えている(図1参照)。図10に示すように、羽根車17は、ハブ14と、シュラウド15と、複数の羽根16とを含む。
ハブ14は、ファンモータ13の回転軸13aの下端部に固定されている。ハブ14は、平面視で回転軸13aを中心とする円形状を有している。
シュラウド15は、ハブ14に対して回転軸13aの軸方向の前方F側に対向配置されている。シュラウド15は、回転軸13a(回転軸13aを通る直線)を中心として開口する空気吸込側端部15aを有している。シュラウド15の外径は、前方F側から後方R側に向かうにつれて大きくなっている。
複数の羽根16は、ハブ14とシュラウド15との間に羽根車17の周方向に沿って所定の間隔をあけて配列されている。各羽根16は、ハブ14の半径方向に対して回転方向の反対向き(後ろ向き)に傾斜した後ろ向き羽根である。
各羽根16の後方R側の端部はハブ14に接合されている。各羽根16の前方F側の端部はシュラウド15に接合されている。具体的には、各羽根16の前方F側の一部(突出部)16aは、シュラウド15に設けられた図略の貫通孔に挿入された状態でシュラウド15に接合されている。したがって、突出部16aは、シュラウド15の表面から前方F側に突出している。突出部16aをシュラウド15に接合する方法としては、例えばレーザーによる溶着などが挙げられる。
図1に示すように、ベルマウス6は、シュラウド15に対して軸方向の前方F側に対向配置されている。図11(a),(b)に示すように、ベルマウス6は、空気が通過する貫通口を有している。ベルマウス6は、前記貫通口の前方F側において空気の流入口となる空気流入口部6bと、前記貫通口の後方R側において空気の流出口となる空気流出口部6cと、空気流入口部6bから周囲にフランジ状に張り出した取付縁部6aと、この取付縁部6aよりも後方R側に凹む段差部6dとを含む。
取付縁部6aは下面パネル4に取り付けられる。空気流入口部6bは、内径及び外径が前方F側から後方R側に向かうにつれて小さくなる湾曲形状を有している。段差部6dの下方(前方F側)に形成される空間には、図12に示す細長い矩形状の電装品ボックス31が配置される。
図1に示すように、ベルマウス6は、空気流出口部6c側の一部が、シュラウド15の空気吸込側端部15aとの間に所定の隙間を設けた状態で空気吸込側端部15aの前記開口に挿入されている。
図1及び図11(b)に示すように、気流抵抗部材20は、筒形状を有し、その内側(中空内)にシュラウド15の空気吸込側端部15a及びベルマウス6の空気流出口部6cが位置するように配置されている。図11(b)に示すように、気流抵抗部材20の一部は、ベルマウス6の段差部6dの形状に沿うように切り欠かれている。
気流抵抗部材20は、前方F側の端部(周縁部)がベルマウス6の取付縁部6aの表面に接触し、シュラウド15の後方R側の端部(周縁部)15bに向かって筒状に延びている。気流抵抗部材20の前方F側の端部は、溶接、ろう付けなどにより取付縁部6aの表面に固定されている。したがって、気流抵抗部材20は、ベルマウス6の取付縁部6aの表面とシュラウド15の後方R側の周縁部15bとにより形成された周方向の全体に開口する開口部のほぼ全体を覆うように設けられている。これにより、周方向に開口する前記開口部を通過する漏れ流れの大半が気流抵抗部材20を通過するので、漏れ流れの量を効果的に低減させるとともに、漏れ流れを効果的に整流することができる。
気流抵抗部材20は、ネット部20aと、このネット部20aを支持する複数の横枠20bと、複数の縦枠20cとを含む。各横枠20bは、円形状を有し、隣り合う横枠20bに対して前後方向に所定の間隔をあけて配置されている。各縦枠20cは、前後方向に延びる棒形状であり、隣り合う縦枠20cに対して周方向に所定の間隔をあけて配置されている。各縦枠20cは、複数の横枠20bを連結している。複数の横枠20b及び複数の縦枠20cが格子状に組み合わされることにより、複数の開口が形成されている。
ネット部20aは、前記複数の開口に被さるように横枠20b及び縦枠20cに固定されている。ネット部20aは、略均一な複数の孔が略全体にわたって形成されたネット構造を有している。ネット部20aを作製する方法としては、特に限定されないが、例えばステンレス鋼などの金属、合成樹脂などからなる複数の細線を網状に編むなどして組み合わせる方法などが挙げられる。
ネット部20aの目の細かさは、好ましくは10メッシュ以上、より好ましくは30メッシュ以上、さらに好ましくは30メッシュ〜70メッシュ程度であるのがよい。後述する実施例に示すように、ネット部20aの目の細かさが30メッシュ以上であるときには、送風音を低減する特に顕著な効果が得られる。なお、メッシュは、1インチあたりの目の数を表している。
また、ネット部20aの厚みは、送風音の低減効果を高めるためには、小さくするのが好ましい。ネット部20aの厚みは、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.25mm以下であるのがよい。したがって、ネット部20aを構成する前記細線としては、ネット部20aの厚みが前記範囲となるような線径の小さなものを選定するのが好ましい。
図13(a)に示す気流抵抗部材20は、前後方向にわたって外径がほぼ一定の円筒形状を有している。この気流抵抗部材20の外径はシュラウド15の後方R側の周縁部15bの外径とほぼ同じである。気流抵抗部材20は、羽根車17が回転したときに、気流抵抗部材20がシュラウド15及び突出部16aに接触しないようにこれらと所定の間隔をあけて配置されている。図13(a)に示す気流抵抗部材20は、後方R側の周縁部がシュラウド15及び突出部16aに近接している。
図13(b)は、気流抵抗部材20の変形例1を備えたターボファン11を示す断面図である。この気流抵抗部材20は、図13(a)の気流抵抗部材20と同様に、前後方向にわたって外径がほぼ一定であるが、この気流抵抗部材20の外径は、シュラウド15の後方R側の周縁部15bの外径よりも大きい。したがって、この気流抵抗部材20の後方R側の周縁部は、図13(a)の気流抵抗部材20と比べて、シュラウド15の後方R側の周縁部15b及び突出部16aとの間隔が大きい。これにより、気流抵抗部材20はシュラウド15及び突出部16aに対してより接触しにくくなるので、羽根車17をより円滑に回転させることができる。
図13(c)は、気流抵抗部材20の変形例2を備えたターボファン11を示す断面図である。この気流抵抗部材20は、筒形状を有し、前方F側から後方R側に向かうにつれて外径が大きくなっている。すなわち、この気流抵抗部材20は側面視で略円錐台形状を有している。この気流抵抗部材20の後方R側の周縁部の外径は、シュラウド15の後方R側の周縁部15bの外径よりも大きい。一方でこの気流抵抗部材20の前方F側の周縁部の外径は、シュラウド15の後方R側の周縁部15bの外径以下である。
この変形例2の気流抵抗部材20は、空気調和機1が例えば図14に示すような構成を有している場合に有効である。図14に示す空気調和機1は、熱交換器12の下方に設けられたドレンパン18が図1に示す空気調和機1に比べて羽根車17の回転中心側に張り出している。このような構成であっても、変形例2の気流抵抗部材20は、略円錐台形状を有しているので、シュラウド15の後方R側の周縁部15bに対しては半径方向の外側に離隔して十分な間隔を維持し、ドレンパン18に対しては半径方向の内側に離隔して十分な間隔を維持することができる。これらの間隔を維持したうえで、変形例2の気流抵抗部材20は、ベルマウス6の取付縁部6aの表面とシュラウド15の後方R側の周縁部15bとにより形成された周方向の前記開口部のほぼ全体を覆うことができる。
また、図11(b)に示す気流抵抗部材20では、電装品ボックス31を配置するための段差部6dの形状に沿わせるために気流抵抗部材20の一部が切り欠かれているが、変形例2のような略円錐台形状の気流抵抗部材20を用いることにより、気流抵抗部材20を切り欠く領域を小さくしても(又は気流抵抗部材20を切り欠かなくても)段差部6dを避けて気流抵抗部材20を配置できる。
また、変形例2の気流抵抗部材20は、略円錐台形状であるので、側面が回転軸13aの軸方向に対して傾斜している。したがって、図13(a)又は図13(b)に示すような外径がほぼ一定の気流抵抗部材20と比べて、変形例2の気流抵抗部材20は、前記軸方向の長さが同じであってもネット部20aの面積(側面の面積)を大きくすることができる。これにより、変形例2では、漏れ流れの量を低減させる効果、及び漏れ流れを整流する効果をより向上させることができる。
図15(a)は、気流抵抗部材20の変形例3を備えたターボファン11を示す断面図である。図15(a)に示すように、この変形例3の気流抵抗部材20は、筒形状を有し、ネット部20aの断面が円弧状に湾曲している。この変形例3では、半径方向の外側に突出する円弧形状を有しているが、突出する方向は半径方向の内側であってもよい。
図15(b)は、気流抵抗部材20の変形例4を備えたターボファン11を示す断面図である。図15(b)に示すように、この変形例4の気流抵抗部材20は、筒形状を有し、ネット部20aの断面が波形に屈折している。
変形例3の気流抵抗部材20は断面が湾曲形状であり、変形例4の気流抵抗部材20は断面が波形であるので、図13(a)又は図13(b)に示すような外径がほぼ一定の気流抵抗部材20と比べて、変形例3,4の気流抵抗部材20は、前記軸方向の長さが同じであってもネット部20aの面積(側面の面積)を大きくすることができる。これにより、変形例3,4では、漏れ流れの量を低減させる効果、及び漏れ流れを整流する効果をより向上させることができる。
図16は、図1に示すような空気調和機1を用いて風量を変化させたときの送風音を測定した結果を示すグラフである。実施例1〜3では、図11(b)に示すような外径が前後方向にほぼ一定の気流抵抗部材20を用いて試験を行った。比較例では、気流抵抗部材20を取り付けずに試験を行った。
実施例1のネット部20aには、縦方向の目の細かさが30メッシュ、横方向の目の細かさが30メッシュの網を1枚用いた。実施例2のネット部20aには、縦方向の目の細かさが60メッシュ、横方向の目の細かさが40メッシュの網を1枚用いた。実施例3のネット部20aには、縦方向の目の細かさが70メッシュ、横方向の目の細かさが70メッシュの網を1枚用いた。
また、実施例1のネット部20aの厚みは約0.103mmであり、実施例2のネット部20aの厚みは約0.098mmであり、実施例3のネット部20aの厚みは約0.085mmであった。
図16に示すように、実施例1〜3では比較例に比べて送風音が約1dBA低減されていることがわかる。また、ネット部20aの目の細かさを細かくするほど送風音の低減効果が向上していることがわかる。
図17は、図1に示すような空気調和機1を用いて風量を変化させたときの送風音を測定した結果を示すグラフである。実施例2,4,5では、図11(b)に示すような外径が前後方向にほぼ一定の気流抵抗部材20を用いて試験を行った。比較例では、気流抵抗部材20を取り付けずに試験を行った。
実施例2のネット部20aには、図16と同様に、縦方向の目の細かさが60メッシュ、横方向の目の細かさが40メッシュの網を1枚用いた。実施例4のネット部20aには、実施例2と同じ網を2枚重ねて用いた。実施例5のネット部20aには、実施例2と同じ網を3枚重ねて用いた。
また、実施例2のネット部20aの厚みは約0.098mmであり、実施例4のネット部20aの厚みは約0.171mmであり、実施例5のネット部20aの厚みは約0.228mmであった。
図17に示すように、実施例2,4,5では比較例に比べて送風音が約1dBA低減されていることがわかる。また、1枚の網を用いた実施例2よりも2枚の網を重ねた実施例4及び3枚の網を重ねた実施例5の方が送風音の低減効果が向上していることがわかる。実施例4と実施例5とは送風音の低減効果に有意差は見られなかった。
以上説明したように、第4実施形態では、筒形状を有し、略均一な複数の孔が略全体にわたって設けられた前記気流抵抗部材が、その中空内に前記空気吸込側端部及び前記空気流出口部が位置するように配置されているので、前記漏れ流れは、前記空気吸込側端部と前記空気流出口部との前記隙間から前記羽根車内に流入する前に、前記気流抵抗部材を通過する。
したがって、この第4実施形態では、前記気流抵抗部材が漏れ流れの抵抗となるので、前記気流抵抗部材が設けられていない場合に比べて前記漏れ流れの量を低減させることができる。しかも、前記気流抵抗部材は、略均一な複数の孔が略全体にわたって設けられているので、前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制することができる。このように前記漏れ流れの量が低減し、前記漏れ流れの乱れが抑制されることにより、送風音を低減することができる。
また、第4実施形態において、前記気流抵抗部材の前記後方側の端部の外径を前記シュラウドの外径よりも大きくしている場合には、前記羽根車の組立時のわずかな位置ずれ(芯ずれ)、前記羽根車の回転時の回転ぶれなどが生じた場合であっても、前記気流抵抗部材が前記シュラウドに接触するのを抑制できる。
また、第4実施形態では、前記気流抵抗部材が略円錐台形状を有する場合、断面が波形状の場合、又は断面が湾曲形状の場合には、前記シュラウドとの接触が抑制される効果に加え、さらに、外径がほぼ一定の気流抵抗部材と比べて、前記漏れ流れの量を低減させる効果、及び前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果をより高めることができる。すなわち、これらの場合には、外径がほぼ一定の気流抵抗部材と比べて、気流抵抗部材の前記軸方向の長さが同じであっても気流抵抗部材の側面の面積を大きくすることができるので、前記漏れ流れが通過する面積を増加させることができる。これにより、前記漏れ流れの抵抗を増加させて前記漏れ流れの量を低減する効果を高めることができるとともに、前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果も高めることができる。
したがって、これらの場合には、前記シュラウドの外周面と前記ベルマウスの外周面との前記軸方向の間隔が小さいタイプの遠心送風機であっても、前記気流抵抗部材の側面の面積が小さくなるのを抑制できるので、前記漏れ流れの量を低減させる効果、及び前記前記漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果が低減するのを抑制できる。
また、これらの場合には、気流抵抗部材の側面の面積が大きいので、網目を多少粗くしても、漏れ流れの量を低減する効果、及び漏れ流れを細流化して気流の乱れを抑制する効果が低減するのを抑制できる。
また、第4実施形態では、前記気流抵抗部材は、30メッシュ〜70メッシュの網目を有するネット構造を有している場合には、特に顕著な送風音の低減効果を得ることができる。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は、前記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記第4実施形態では、気流抵抗部材20が、ネット部20aと、このネット部20aを支持する複数の横枠20bと、複数の縦枠20cとを含む場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、気流抵抗部材20のネット部20aがある程度の剛性を有している場合には、横枠20b及び縦枠20cの一方又は両方を省略することもできる。
1 空気調和機
2 本体ケーシング
3 天井
4 下面パネル
5 空気吸込グリル
6 ベルマウス
6c 空気流出口部
9 空気吹出口
10 送風流路
11 ターボファン
13 ファンモータ
14 ハブ
15 シュラウド
15a 空気吸込側端部
16 羽根
17 羽根車
18 ドレンパン
20,21,22 気流抵抗部材
2 本体ケーシング
3 天井
4 下面パネル
5 空気吸込グリル
6 ベルマウス
6c 空気流出口部
9 空気吹出口
10 送風流路
11 ターボファン
13 ファンモータ
14 ハブ
15 シュラウド
15a 空気吸込側端部
16 羽根
17 羽根車
18 ドレンパン
20,21,22 気流抵抗部材
Claims (13)
- ファンモータに取り付けられる遠心送風機であって、
前記ファンモータ(13)の回転軸の軸方向の前方側に固定された円形のハブ(14)と、前記ハブ(14)の周方向に並ぶ複数の羽根(16)と、前記回転軸の軸方向を中心として開口する空気吸込側端部(15a)を有し、前記複数の羽根(16)の前記前方側に固定されたシュラウド(15)とを含む羽根車(17)と、
前記回転軸を中心として開口する空気流出口部(6c)を有し、前記空気吸込側端部(15a)の前記開口内に所定の隙間を保って前記空気流出口部(6c)側の一部が挿入されたベルマウス(6)と、
前記羽根車(17)からの吹出気流の一部が、前記シュラウド(15)とベルマウス(6)との間を通り、前記空気吸込側端部(15a)と前記空気流出口部(6c)との前記隙間から前記羽根車(17)内に流入する漏れ流れの通過量を減らす、気流が略均等に通過可能な気流抵抗部材(20,21,22)と、を備えている遠心送風機。 - 前記気流抵抗部材(20,21)は、前記シュラウド(15)の前記空気吸込側端部(15a)の外周部に位置して設けられている、請求項1記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(22)は、前記ベルマウス(6)の前記空気流出口部(6c)との間で前記シュラウド(15)の前記空気吸込側端部(15a)を囲むように設けられている、請求項1又は2記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20,21,22)は、前記ベルマウス(6)側から前記シュラウド(15)側に筒状に延びるように設けられている、請求項1又は2記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20,21,22)は、合成樹脂製の線条体で編製したネット構造を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20,21,22)は、合成樹脂を成形した格子構造を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遠心送風機。
- 空気調和機用の送風機として構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の遠心送風機。
- ファンモータ(13)に取り付けられる遠心送風機であって、
前記ファンモータ(13)の回転軸の軸方向の前方側に固定された円形のハブ(14)と、前記ハブ(14)の周方向に並ぶ複数の羽根(16)と、前記回転軸を中心として開口する空気吸込側端部(15a)を有し、前記複数の羽根(16)の前記前方側に固定されたシュラウド(15)とを含む羽根車(17)と、
前記回転軸を中心として開口する空気流出口部(6c)を有し、前記空気流出口部(6c)側の一部が、前記空気吸込側端部(15a)の前記開口の縁部との間に所定の隙間を設けた状態で前記空気吸込側端部(15a)の前記開口に挿入されたベルマウス(6)と、
筒形状を有し、略均一な複数の孔が略全体にわたって設けられた気流抵抗部材(20)と、を備え、
前記気流抵抗部材(20)は、その内側に前記空気吸込側端部(15a)及び前記空気流出口部(6c)が位置するように配置されている、遠心送風機。 - 前記気流抵抗部材(20)における前記軸方向の後方側の端部の外径は、前記シュラウド(15)の外径よりも大きい、請求項1又は8に記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20)は、前記前方側から前記後方側に向かうにつれて外径が大きくなる略円錐台形状を有している、請求項9に記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20)は、断面が波形状である、請求項1,8〜10のいずれか1項に記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20)は、断面が湾曲形状である、請求項1,8〜10のいずれか1項に記載の遠心送風機。
- 前記気流抵抗部材(20)は、30メッシュ〜70メッシュの網目を有するネット構造を有している、請求項1,8〜12のいずれか1項に記載の遠心送風機。
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