JP2010209305A - 植物性廃棄物を利用した環境に優しい生分解性樹脂複合材料の製造方法およびその成形方法 - Google Patents

植物性廃棄物を利用した環境に優しい生分解性樹脂複合材料の製造方法およびその成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コスト、生産性に優れた植物性有機物を添加する新規で有用な生分解性樹脂複合材料の製造方法の提供。
【解決手段】粉砕した植物性有機物(農業植物性廃棄物、或いはその副産物)と熱可塑性生分解性樹脂を溶融混合することにより生分解性樹脂複合材料を製造する。その植物性有機物と生分解性樹脂はそれぞれ1種類以上混合し、植物性有機物の総含有量は、10〜90重量%の範囲で、粒径(或いは繊維直径)が1mm以下であり、さらに必要に応じて、植物性有機物と生分解性樹脂の相溶性を改善するために、相溶化剤を添加することを特徴とする生分解性樹脂複合材料の製造方法である。また、製品への成形加工は現在における通常のプラスチック成形加工方法で行い、その溶融成形時の最高温度が植物性有機物および生分解性樹脂の分解開始温度の−25〜+30℃の範囲にすることを特徴とする生分解性樹脂複合材料の成形方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性樹脂複合材料の製造方法および生分解性樹脂複合材料の成形方法に関し、特に、植物性有機物(バイオマス)を含有し、低コスト、生産性に優れる環境に優しい生分解性樹脂複合材料の製造方法およびその成形加工方法に関するものである。
近年、持続可能な循環型社会を目指して植物由来プラスチックや生分解性プラスチックの普及に向けての取組みとしては、生分解の機能を失わせずに、生分解性樹脂を高強度化する試みとして、グリーンコンポジットと呼ばれる生分解性複合材料に関する研究に注目が集まっている。また、その植物繊維との複合材料の製品としては射出成形品、プレス成型品、シート成型品、押出成型品等の様々な分野に利用されようとしている。
例えば、生分解性樹脂と竹繊維の生分解性複合材料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この複合材料は、植物繊維として強度の強い竹繊維を用い、直径7〜15μmの竹繊維もしくは繊維束で、その長さを繊維もしくは繊維束直径の100倍以上に規定し、生分解性樹脂として脂肪族ポリエステルを規定することで十分高い性能を出すことができるとされている。しかしながら、すべての脂肪族ポリエステルに適応できす、また成形条件により植物繊維が分解し、安定的に十分な性能を引き出すことが困難である。
特開2000−160034号公報
また、植物繊維とポリ乳酸との射出成形体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術においては、植物繊維とポリ乳酸を150〜200℃の雰囲気下で混合することを規定して射出成形している。しかしながら、この方法では十分強度のある成型物を得ることは難しく、製造条件の特定無しではかえって植物繊維が分解し、補強材の効果としては利用できないという問題があった。
特開2002−69303号公報
さらに、近年、研究としては生分解性を有する植物繊維との複合化により、繊維補強効果を生かして強度を上げることを検討されている。植物繊維として、竹(例えば、非特許文献1〜7参照)、麻(例えば、非特許文献8〜9参照)、ケナフ(例えば、非特許文献10参照)、バカス、サトウキビの絞り滓(例えば、非特許文献11〜12参照)などの天然植物繊維をお用いて、生分解性樹脂との複合化が盛んに試みられている。しかし、それらの多くはプレス成形で作製されており、実用化を考えた場合には、押し出し連続成形や射出成形で作製できることが必要である。さらに、現在でも生分解性プラスチックスの価格が同じ性能の汎用プラスチックより高く、それに環境問題やコストの面を考えた場合には、これらの高価な有機繊維より、食品廃棄物や農業廃棄物から排出された植物性廃棄物を添加することが望ましい。
高木 均;生分解性プラスチック−竹紛複合ボードの試作とその強度評価、材料、52(4)、pp357−361(2003) 藤井 透;竹繊維を用いた生分解性複合材料の開発とその強度特性、強化プラスチック、45(9)、pp.365−371(1999) 藤井 透;ミクロフィブリル化セルロースの添加による竹繊維強化複合材料の曲げ強度、破壊じん性および衝撃強度の向上、Bamboo Journal、(21)、pp35−45(2004) 藤井 透;竹繊維を用いた低環境負荷型複合材料の開発とその強度特性、Bamboo Journal、(19)、pp15−23(2002) 高橋 宣也;ミクロフィブリル化した竹繊維を用いたグリーンコンポジットの開発、Bamboo Journal、(22)、pp81−92(2005) 北川 和男;産学公連携による竹利用新技術 −竹繊維・生分解性プラスチックの界面制御型複合材料の研究開発−、現代林業、(450)、pp26−31(2003) 北川 和男;バイオマス(ミクロ及びナノ)ファイバーを用いた高植物度複合材料の開発、科学と工業、80(5)、pp219−224(2006) 合田 公一;ブレス成形法によるラミー麻/生分解性樹脂複合材料の創製と化学処理効果、材料、52(10)、pp1245−1252(2003) 高木 均;竹繊維および麻繊維で強化した生分解性複合材料の力学的特性に及ぼす加熱処理の影響、材料、53(6)、pp673−677(2004) 柴田 信一;プレス成形によるケナフ繊維と生分解性樹脂の複合材料作製と曲げ弾性率の検討、日本機械学会論文集(C編)、72(714)、pp676−681(2006) 柴田 信一;ガバス繊維と生分解性樹脂による複合材料の作製と強度の検討、日本機械学会論文集(C編)、71(704)、pp1400−1405(2005) 柴田 信一;ガバス繊維と生分解性樹脂による複合材料の曲げ弾性係数について、日本機械学会論文集(C編)、71(707)、pp2414−2419(2005)
本発明は、上記の植物性有機物を含有する生分解性樹脂複合材料の問題を解決し、コスト、生産性に優れた生分解性樹脂複合材料の製造方法および得られた生分解性樹脂複合材料の成形方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、かねてより植物性有機物と生分解性樹脂の物性や製造条件について研究を行っていたところ、植物性有機物はその添加量・形状・粒度や混錬・成形条件により、複合材料の物性、特に機械的特性に大きな影響を与えることがわかった。生分解性樹脂複合材料のコストを下げるために、農業廃棄物(或いは副産物)を利用することを考えた。さらに製品の品質を確保するために、植物性有機物の添加量・形状・粒度や混錬・成形条件などを調整することにより、製品に必要な機械的特性を有する複合材料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、粉砕した植物性有機物と熱可塑性生分解性樹脂を溶融混合することによる生分解性樹脂複合材料を製造する方法で、その植物性有機物と生分解性樹脂はそれぞれ1種類以上混合し、さらに必要に応じて、植物性有機物と生分解性樹脂の相溶性を改善するために、相溶化剤を添加することを特徴とする生分解性樹脂複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、植物性有機物の総含有量は、10〜90wt%の範囲で、粒径(或いは繊維直径)が1mm以下であり、ただし、必要に応じて、平均粒径(或いは繊維直径)を10μm以下、10〜100μm、100〜300μm、300〜500μm、500〜1000μmに分けて添加するか、或いは各平均粒径(或いは繊維直径)を互いに混合して添加することを特徴とする生分解性樹脂複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、混合特性・流動性或いは機械的特性などを改善するために、必要に応じて、少量の無機系微粒子充填材を添加することを特徴とする生分解性樹脂複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、必要に応じて植物性有機物(例えば、おから)の溶剤による脱脂処理や予備加熱処理による植物性有機物の揮発成分量の調整(例えば、10重量wt%以下)をすることを特徴とする生分解性樹脂複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明で得られる生分解性樹脂複合材料の製品への成形方法として、現在における通常のプラスチック成形加工方法で行い、その溶融成形時の最高温度が植物性有機物および生分解性樹脂の分解開始温度の−25〜+30℃の範囲にすることを特徴とする生分解性樹脂複合材料の成形方法が提供される。
本発明の生分解性樹脂複合材料は、低コスト、強度、生産性に優れた新規で有用な生分解性樹脂複合材料である。
本発明で得られる生分解性樹脂複合材料は、植物性有機物と生分解性樹脂の溶融混合物であり、その構成材料、溶融混合方法について以下に説明する。
1.構成材料
(1)植物性有機物
本発明の製造方法により得られる生分解性樹脂複合材料で用いる植物性有機物は、特に限定されず、どのような植物性有機物でも良く、例えば、おから、稲わら、籾殻、小麦の茎、およびケナフ繊維、ジュート、葦繊維、稲わら、竹繊維、バガス、シサル麻、マニラ麻、亜麻、ラミー、笹繊維、バナナの茎、椰子の果実皮等を挙げることができる。これらの中では、材料コストおよび農業廃棄物の有効利用の観点からおから、稲わら、籾殻、小麦・トモロコシの茎などが好ましい。
これらの植物性有機物は粉砕加工などにより、微細化・繊維化した後、ふるいなどで様々な粒径・繊維長に分級し、複合材料の特性の要求に応じて添加する。例えば、強度の向上が必要される場合は繊維状の有機物が好ましい。
例えば、豆腐の副産物であるおからは乾燥処理後、粉砕加工により約300μm以下の粒度にすることができる。稲わらは、その内部構造として、10μm前後の繊維束となっており、その引張強度は最大400MPaにも達している。粉砕処理した後、繊維状のものを取り出し、強化材として生分解性樹脂に添加すれば、複合材料の強度を向上させることが可能である。籾殻は稲刈り後、脱穀・籾摺りの過程を経て、1mm以下に粉砕した。また、籾殻はセルロース35%,ヘミセルロース25%,リグニン20%,灰分17%(内,94%シリカ)を含んでいるため、強化材として利用できる。
(2)生分解性樹脂
本発明で用いる生分解性樹脂は、特に限定されず、どのようなものでも良く、例えば、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合などにより得られるポリエチレンサクシネ−ト、ポリブチレンサクシネ−ト、ポリヘキサメチレンサクシネ−ト、ポリエチレンアジペ−ト、ポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリブチレンアジペ−ト、ポリエチレンオキザレ−ト、ポリブチレンオキザレ−ト、ポリネオペンチルオキザレ−ト、ポリエチレンセバケ−ト、ポリブチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンセバケ−ト、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂などが挙げられる。また、ポリグリコ−ル酸やポリ乳酸などのようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシブチレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシバリレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシカプロレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエ−ト)のようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエ−ト)とポリ(4−ヒドロキシブチレ−ト)などの脂肪族ポリエステルを用いることも可能である。さらに、セルロース系としては酢酸セルロース、澱粉脂肪酸エステル、澱粉/ポリカプロラクトン、澱粉/ポリブチレンアジペートテレフタレート等があげられる。これらは2種類あるいはそれ以上を混合して用いても良い。
本発明で得られる生分解性樹脂複合材料においては、上記の植物性有機物により使用する生分解性樹脂の種類が制限される。すなわち、生分解性樹脂の融点は、混合する植物性有機物の分解開始温度+30℃以下であり、好ましくは植物性有機物の分解開始温度−50℃〜分解開始温度+25℃である。
生分解性樹脂の融点が植物性有機物の分解開始温度+30℃を超えると、生分解性樹脂と植物性有機物とを溶融混合する際に植物性有機物が熱により大きく分解し、植物性有機物が変色し、強度も大きく低下させ、得られた生分解性樹脂複合材料の強度と概観が悪くなる。例えば、植物性有機物として、稲わらを用いると、稲わらの分解開始温度は200℃であるので、生分解性樹脂の融点は230℃以下である必要がある。
ここで、植物性有機物の分解開始温度及び生分解性樹脂の融点は、以下の方法で規定した温度である。
分解開始温度は島津製作所(株)製のDTG−60により、昇速温度10℃/minで加熱したときの加熱減量を測定し、100℃以上で第1の変曲温度の開始温度を分解開始温度とした。例えば、籾殻およびその複合材料は、図1に示すとおり、分解開始温度は220℃以上となることがわかる。
樹脂の融点は島津製作所(株)製のDTG−60により、昇速温度10℃/min、窒素雰囲気下で最大吸熱ピークの温度より求める。一方、非結晶性生分解性樹脂の場合は融点がないため、複合材料の混錬・成形温度が基本的に非結晶性生分解性樹脂と植物性有機物の分解開始温度以下であることが必要である。
(3)混合割合
生分解性樹脂複合材料中における植物性有機物と生分解性樹脂の混合割合は、植物性有機物が好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜70重量%であり、生分解性樹脂が好ましくは90〜10重量%、より好ましくは70〜20重量%である。植物性有機物の含量が10重量%未満(生分解性樹脂の含有量が90重量%を超える)であると植物性有機物の添加効果は少なく、90重量%を超えると(生分解性樹脂の含有量が10重量%未満)植物性有機物と生分解性樹脂の分散が不良で、密着不良が生じる。
複合材料を作製するには、まず、各構成材料を乾燥し、次に前述の混合範囲において一定の重量割合で混合し、一軸或いは二軸混練押出機により複合材料のペレットを製造する。ただし、生分解性樹脂の流動性および植物性有機物の添加量により一軸或いは二軸混練押出機で複合材料のペレットを製造することができない場合は別の混錬機械(例えば、加圧式ニーダ(トーシン製、TD3−10M型)など)で混錬し、その後、粉砕機で粉砕加工により複合材料のペレットを製造する。
2.生分解性樹脂複合材料の製造
本発明の生分解性樹脂複合材料は、上記植物性有機物と生分解性樹脂複合材料を溶融混練して製造する。
植物性有機物と生分解性樹脂とを溶融混練する温度は、植物性有機物の分解開始温度の−25〜+30℃の範囲であり、好ましくは植物性有機物の分解開始温度の−15〜+25℃である。溶融混練温度が植物性有機物の分解開始温度の−25℃未満であると、植物性有機物は生分解性樹脂中に均一に分散されるが、生分解性樹脂と植物性有機物の密着性が悪く、強度がやや低い。また、溶融混練温度が植物性有機物の分解開始温度の+30℃を超えると、植物性有機物と生分解性樹脂の密着性は良いが、植物性有機物が分解し、植物性有機物の強度が繊維補強材として寄与しない。また、本発明の生分解性樹脂複合材料からの成形体の成形においても、溶融成形時の最大温度は、植物性有機物の分解開始温度の−25〜+30℃の範囲であることが好ましい。
また、植物性有機物の揮発成分量が多いほど、植物性有機物の分解を促進させ、変色・強度低下がおこりやすいため、製品の要求、成形温度などにより、必要に応じて予め、高温槽などで130℃、5〜15分間、加熱し、その揮発成分を調整する。つまり、特に高温成形の場合、植物性有機物と生分解性樹脂との溶融混練に際しては、植物性有機物の揮発に起因する揮発成分量が130℃において10重量%以下となるように予め調整しておくのが好ましく、より好ましくは3重量%以下となるように調整しておく。また、揮発成分量の測定は熱分析装置Tgで行う。
3.生分解性樹脂複合材料の用途
上記のようにして得られた本発明の生分解性樹脂複合材料は、低コストで、植物性有機物の種類・粒度・形状・添加量によって複合材料の物性などを調整できるとともに植物性有機物と生分解性樹脂として環境に負荷を与えることが少ないので、様々な成型品として好適に使用できる。特に圧縮強度を必要とする構造部材(例えば、コンテナ・トラック用下敷き板材)、建築材料はもちろんのこと、建具材料、建設仮設材、看板、ディスプレー用台板、家具(板材)、家電製品筐体および花火の玉皮、農業用材、園芸用ポット、さらに使い捨ての各種容器などに好適である。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例で実施した評価方法は以下の通りである。
(1)引張特性:JISK−7113に準拠して測定した。
(2)曲げ特性:JISK−7171に準拠して測定した。
(3)衝撃特性:JISK−7111に準拠して測定した。
3.1おから添加した複合材料について
(実施例1)
おからの成分中の脂質には、大豆特有の臭いの原因となる不飽和脂肪酸等が含まれ、成形中に高温で使用すると臭いが発生するため、溶剤を用いて脱脂処理によりこの問題を解決した。脱脂の方法は、粉砕したおからと溶剤を一定の割合で容器に入れ、攪拌機で撹拌を行い、その後、濾過することにより脱脂おからを製造した。溶剤としては、エチルアルコール、アセトンなどを用いた。図2に示したように脱脂後のおからと性分解性樹脂(セルグリーン(PH7)の複合材料のペレットは未脱脂処理のものと比べると、その効果がはっきりわかる。
(実施例2)
おからの脱脂処理による複合材料の機械的特性に与える影響を調べるために、射出成形により脱脂前後におけるおからと生分解性樹脂(セルグリーン、PH7)との複合材料を作製した。おからを10wt%添加した場合は、脱脂処理によって引張強度が約12%向上した。さらに、いずれのおから添加率においても脱脂処理した方が未処理の場合より、全体的に高い引張強度を有することがわかる。これらの変化は脱脂処理によりおから粒子の2次粒子化が抑えられ、複合材料内部で粒子分散性も改善され、さらに脂質の除去によりおから表面に形成された多くの微細空孔が、樹脂の滲入によって母材と異相界面の接着性を向上させたため、複合材料の強度が向上したと考えられる。
(実施例3)
脱脂おからとコーンポール複合材料の引張試験の結果により、おから添加した複合材料とコーンポール単体ともその破断ひずみが10%以内であり、基本的に脆性的な材料であることがわかる。また、おからの添加により、その初期弾性係数がやや向上する傾向が認められる。一方、引張強度、破断ひずみとおからの添加量の関係を見ると、コーンポール単体は引張強度が約28MPaで、破断歪みが約8%であるが、おからの添加量の増加に伴って、引張強度と破断歪みともに低下している。ただし、引張強度については、おからを20wt%まで添加すると、約25MPaとなり、母材より約11%低下したが、それほど急激な減少が生じなかった。また、50wt%添加しても、約20MPaの引張強度を維持している。
(実施例4)
脱脂おからとコーンポール複合材料の曲げ試験の結果により、曲げ応力−ひずみ曲線は引張試験の結果とほぼ同様な傾向を示している。また、曲げ強度と破断ひずみもおからの増加に伴って基本的に低下することがわかる。ただし、曲げ強度についてはおからの増加によりほぼ直線的に減少するが、急激な低下が生じなかった。破断ひずみでは、おから10wt%まで添加した場合は規定たわみ(6mm)に達しても破断しなかったが、30wt%以上添加すると、大きく低下した。ただし、もともと母材の破断ひずみが小さいため、おからの添加による材料特性に与える影響はそれほど大きくないと思われる。
(実施例5)
脱脂おからとコーンポール複合材料のシャルピー衝撃試験の結果により、おから20wt%まで添加した場合はその添加量の増加に伴って衝撃強度が約2.8KJ/mから1.5KJ/mまで直線的に急激に低下したが、それ以上おからを添加しても衝撃強度の変化が少なかった。この変化傾向は引張試験における破断ひずみと似ており、つまり、材料の塑性変形特性と一致している。
3.2稲わら添加した複合材料について
(実施例6)
図3には稲わらとコーンポール複合材料の引張特性の関係を示す。引張強さは、稲わらの添加量が増えるに従い増加する傾向を示し、稲わらを50wt%添加した場合、約35MPaとなり、母材の引張強さに比べて約25%向上した。しかし、破断歪みは、稲わらの添加量が増えるに従い急激に低下した。応力−歪み線図から、稲わらの添加量が増えることによって弾性域付近で破断していることがわかる。すなわち、稲わらを添加することで高い弾性率と引張強さを得ているが、ある力以上の負荷がかかると界面で剥離がおき、急激に破壊に至ったのではないかと考えられる。稲わらを添加することによって強度が向上した要因としては、内部でアスペクト比が高い稲わらが一方向に配向したことで繊維補強効果が得られたためであると考えられる。破断面のSEM観察により、稲わら先端に樹脂の付着が確認され、樹脂と稲わらの接着性は比較的に良好であることがわかる。樹脂と稲わらの接着性をさらに向上させることにより、稲わらの繊維から破断に至るようにすることで、さらに強度の向上が期待できる。
(実施例7)
稲わらとポリ乳酸複合材料の場合、ポリ乳酸単体は、ひずみが約5%のとき降伏が生じ、その引張強さ(降伏強さ)が約33MPaであり、破断ひずみが約600%である。しかし、10wt%稲わらを添加した場合の破断ひずみは約12%であり、稲わらを添加することにより急激に減少している。一方、引張強さについては、20wt%まで稲わらを添加すると向上し、約36MPaとなりポリ乳酸より10%向上した。また、30wt%添加してもポリ乳酸とほぼ同等な強度を有している。
(比較例1)
稲わらとポリ乳酸複合材料の引張特性に及ぼす稲わら粒度の影響について、引張強さは106μm以下の稲わらを添加した場合が最も低く約29MPaであり、300〜1000μmの稲わらを添加した場合が最も高く約32MPaである。引張強さにおいては粒度(または稲わらの長さ)が大きいほど高くなっている。一方、破断ひずみについては、106μm以下の稲わらを添加した場合が最も高く約5.4%であり、300〜1000μmの稲わらを添加した場合が最も低く約3.7%である。
(実施例7)
図4に示した稲わらとコーンポール複合材料の曲げ試験の結果により、コーンポール単体では曲げ強さが約43MPa、破断歪みが約4%であるが、引張試験結果と同様に、曲げ強さは、稲わらの添加量が増えるに従い増加する傾向を示し、稲わらを50wt%添加した複合材料においては、約53MPaとなり、母材の曲げ強さに比べて約20%向上した。特に、曲げ弾性率は稲わらの添加量が増えるに従い大きく向上した。しかし、破断歪みは、稲わらの添加量が増えるに従い急激に低下した。
(実施例8)
稲わらとポリ乳酸複合材料の曲げ特性の結果により、ポリ乳酸の曲げ強さは約56MPaである。稲わらを添加した場合は、稲わらの添加量の増加に伴って曲げ強さ、破断ひずみとも低下している。曲げ強さの場合、20wt%稲わらを添加した複合材料は約50MPaであり、ポリ乳酸の約90%の強度を有しており、急激な低下は生じていない。また、30wt%添加した場合においても、約45MPaと約19%の低下にとどまっている。
(比較例2)
稲わらとポリ乳酸複合材料の曲げ特性に及ぼす稲わら粒度の影響を調べたところ、曲げ強さでは、粒度が106μm以下の場合が最も低く約41MPaであり、粒度が300〜1000μmの場合は約46NPaと最も高くなっている。つまり、稲わらの粒度が大きいほど強度が向上する。一方、破断ひずみについては、すべての条件で約4%以下であり、稲わらの粒度の変化による影響があまりなかった。
(実施例9)
稲わらとコーンポール複合材料の衝撃試験の結果により、コーンポール単体では、シャルピー衝撃値は約2.8kJ/mの値であるが、稲わらを10wt%添加すると、衝撃値が低下して約2.0kJ/mとなった。しかし、稲わらの添加量が10wt%以上になっても、衝撃値がほとんど変化しなかったため、大量の稲わらを添加しても、2.0kJ/m以上の衝撃特性を維持することができる。
(実施例10)
稲わらとポリ乳酸複合材料の衝撃試験の結果により、ポリ乳酸単体では約7.2kJ/mと最も高い衝撃強さを示しているが、20wt%稲わらを添加すると、衝撃強さは約3.6kJ/mとポリ乳酸の約半分の値に急激に低下している。しかし、30wt%以上稲わらを添加した場合は、20wt%添加したものとほぼ同等な衝撃強さを有している。
(比較例3)
稲わらとポリ乳酸複合材料の衝撃特性に及ぼす稲わら粒度の影響については、粒度が106μm以下の場合が最も低く約2.8kJ/mであり、粒度が300〜1000μmの場合は約4.8kJ/mになり、約70%向上した。つまり、衝撃強さにおいても粒度が大きいほど衝撃強さが高くなっており、引張試験および曲げ試験と同様な結果となっている。
3.3籾殻添加した複合材料について
(実施例11)
図1には籾殻および籾殻/ポリ乳酸複合材料の熱重量分析の結果を示す。なお、図中の0wt%はポリ乳酸のみ、100wt%は籾殻のみを表している。分析の結果により、ポリ乳酸単体および籾殻10wt%添加した場合は分解温度が約260℃付近で、籾殻30wt%添加すると、約230℃付近になり、籾殻単体では約200℃付近であることがわかる。このことから、籾殻を添加することで複合材料の熱分解温度が減少したと言える。また、籾殻の熱分解温度は約200℃付近であるため、籾殻を添加した複合材料を作製する際、成形温度の上限界値を注意する必要がある。
(実施例12)
籾殻とポリ乳酸複合材料の引張試験結果により、各粒度で粉砕処理した籾殻を10wt%以上添加した複合材料は、籾殻の添加量の増加に伴い、その引張強度と破断ひずみが低下する傾向を示しているが、引張弾性率では大きく増加している。また、粒度の影響について、引張強さはあまり変化が見られなかったが、破断ひずみでは粒度が小さいほど増加した。
(実施例13)
籾殻とポリ乳酸複合材料の曲げ結果により、曲げ強さは籾殻添加量が30wt%までやや低下しているが、50wt%になると逆に増加している。曲げ弾性率は引張特性と同様、籾殻の添加量の増加に伴って大きく向上した。また、曲げ強さも粒度の変化による影響を受けず、引張強さ同様にあまり変化が見られなかった。
(実施例14)
作製した生分解性複合材料の生分解性特性を調べるために、室内放置、室外暴露および土壌埋設試験を行った。比較のため汎用結晶性プラスチックであるPPと非結晶性エンジニアリングプラスチックであるPCも同様な試験を行った。その結果により、長時間にわたり、稲わらを添加したポリ乳酸複合材料の外観と物性は室内放置試験において、PP、PCとほぼ同様に変化が少ないが、室外における暴露試験ではPPより優れた耐久性があることがわかる。一方、土壌による埋設試験においてはPPとPCは殆ど変化がないが、生分解性ポリ乳酸およびその複合材料は明らかに劣化が進み、特に稲わらを添加すると、その劣化(分解性)がより激しくなることが確認される。つまり、植物性有機物の添加は複合材料の生分解速度を促進することがわかる。
籾殻とその複合材料の分解開始温度の測定例の結果を示す図である。 おからの脱脂処理前後におけるその複合材料の変色状況の結果を示す図である。 稲わらとコンポールの複合材料の引張試験の測定例の結果を示す図である。 稲わらとコーンポール複合材料の曲げ試験の測定例の結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 粉砕した植物性有機物と熱可塑性生分解性樹脂を溶融混合することによる生分解性樹脂複合材料を製造する方法で、その植物性有機物と生分解性樹脂はそれぞれ1種類以上混合し、さらに必要に応じて、植物性有機物と生分解性樹脂の相溶性を改善するために、相溶化剤を添加することを特徴とする生分解性樹脂複合材料の製造方法。
  2. 植物性有機物の総含有量は、10〜90重量%の範囲で、粒径(或いは繊維直径)が1mm以下であり、ただし、必要に応じて、平均粒径(或いは繊維直径)を10μm以下、10〜100μm、100〜300μm、300〜500μm、500〜1000μmに分けて添加するか、或いは各平均粒径(或いは繊維直径)を互いに混合して添加することを特徴とする請求項1に記載の生分解性樹脂複合材料の製造方法。
  3. 混合特性・流動性或いは機械的特性などを改善するために、必要に応じて、少量の無機系微粒子充填材を添加することを特徴とする請求項1および2に記載の生分解性樹脂複合材料の製造方法。
  4. 必要に応じて植物性有機物(例えば、おから)の溶剤による脱脂処理や予備加熱処理による植物性有機物の揮発成分量の調整(例えば、10重量%以下)をすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性樹脂複合材料の製造方法。
  5. 請求項1〜4或いはいずれか1項に記載の生分解性樹脂複合材料の製造方法で得られる生分解性樹脂複合材料の製品への成形方法として、現在における通常のプラスチック成形加工方法で行い、その溶融成形時の最高温度が植物性有機物および生分解性樹脂の分解開始温度の−25〜+30℃の範囲にすることを特徴とする生分解性樹脂複合材料の成形方法。
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