JP2010209153A - 油脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全トリグリセリド中に2つの飽和脂肪酸残基と1つの不飽和脂肪酸残基からなる2飽和1不飽和型トリグリセリド(X2U型トリグリセリド)を20〜60質量%含有する油脂を、不飽和脂肪酸低級アルキルエステルを10〜100質量%含有する脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%の存在下で分別し、X2U型トリグリセリドに富んだ油脂を得る。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明第1の発明は、全トリグリセリド中に2つの飽和脂肪酸残基と1つの不飽和脂肪酸残基からなる2飽和1不飽和型トリグリセリド(X2U型トリグリセリド)を20〜60質量%含有する油脂を、不飽和脂肪酸低級アルキルエステルを10〜100質量%含有する脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%の存在下で分別することを特徴とするX2U型トリグリセリドに富んだ油脂の製造方法である。
本発明第2の発明は、第1の発明における脂肪酸低級アルキルエステルが不飽和脂肪酸低級アルキルエステルを30〜100質量%含有する脂肪酸低級アルキルエステルである油脂の製造方法である。
本発明第3の発明は、第1〜第2の発明において、全トリグリセリド中にX2U型トリグリセリドを20〜60質量%含有する油脂が、油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとの混合物を、1,3選択性リパーゼによりエステル交換した後、蒸留により脂肪酸低級アルキルエステルを50質量%以下に低減させた蒸留残渣由来である、油脂の製造方法である。
本発明第4の発明は、第1〜第3の発明における油脂の製造方法により製造されたX2U型トリグリセリドに富んだ油脂を含む食品である。
本発明でいう2飽和1不飽和型トリグリセリド(X2U型トリグリセリド)は、製造目的とされるトリグリセリドによって、対称型(XUX型)であっても非対称型(XXU型またはUXX型)であっても、また、それらの混合型であっても構わない。
X2U型トリグリセリドを構成する脂肪酸残基については、食品産業上有用であるという面で、飽和脂肪酸残基Xは、炭素数が12〜26であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。特に、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基であることが好ましい。また、不飽和脂肪酸残基Uは、炭素数が16〜26であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。不飽和脂肪酸の不飽和度は1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。不飽和脂肪酸残基としては、特に、オレイル基、リノロイル基、リノレイル基であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、全トリグリセリド中にX2U型トリグリセリドを20〜60質量%含有する油脂を分別原料に使用する必要がある。分別効率及び経済性を考慮すると、全トリグリセリド中のX2U型トリグリセリドは、30〜60質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることが最も好ましい。
なお、本発明で油脂とは、脂肪酸低級アルキルエステルとの混合物の場合、脂肪酸低級アルキルエステルを除いた部分とする。従って、上述のようなエステル交換後の蒸留残渣を使用する場合、全トリグリセリド中にX2U型トリグリセリドを20〜60質量%含有する油脂は、該蒸留残渣中に残留した脂肪酸低級アルキルエステルを除いた部分が該当油脂となる。
すなわち、本発明の製造方法においては、不飽和脂肪酸低級アルキルエステルの含量が10〜100質量%である脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%を含有し、脂肪酸低級アルキルエステルを除く油脂部分の全トリグリセリド中のX2U型トリグリセリド含量が20〜60質量%である分別原料を、冷却結晶化工程を経て分別し、X2U型トリグリセリドに富んだ油脂を得る。分別は、脂肪酸低級アルキルエステル1〜30質量%の存在下で行なわれるのが好ましく。4〜25質量%の存在下で行なわれることがより好ましく、7〜23質量%の存在下で行なわれることが最も好ましい。脂肪酸低級アルキルエステルが上記範囲であると、X2U型トリグリセリドに富んだ油脂が効率よく得られるので好ましい。
不飽和脂肪酸低級アルキルエステル以外の任意成分である飽和脂肪酸低級アルキルエステルは特に限定されるものではないが、炭素数16から22の飽和脂肪酸(好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸)の低級アルコールエステルが好ましく、特に、飽和脂肪酸と炭素数1〜6のアルコールとのエステルが好ましい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、このなかでも食用油脂の加工ということからエタノールが好ましい。
脂肪酸低級アルキルエステル中の不飽和脂肪酸低級アルキルエステルは10〜100質量%であり、20〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。脂肪酸低級アルキルエステル中の不飽和脂肪酸低級アルキルエステルの含量が上記範囲にあると、分別における晶析温度を低く設定できるので、X2U型トリグリセリドに富んだ油脂が効率よく得られ好ましい。
ここで用いる脂肪酸低級アルキルエステルとしては、炭素数16から22の飽和脂肪酸(好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸)の低級アルコールエステルが好ましく、特に、炭素数1〜6のアルコールとのエステルが好ましい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、このなかでも食用油脂の加工ということからエタノールが好ましい。
2位にオレオイル基を50質量%以上有する油脂対脂肪酸低級アルキルエステルの使用比率(モル比)は、1/2以下であるのが好ましく、特に、1/2〜1/30であるのが好ましい。
XLX型トリグリセリドを含有する油脂は、2位にリノロイル基を50質量%以上有する油脂、具体的には、トリリノロイルグリセリン、ハイリノールヒマワリ油、ハイリノールサフラワー油などを原料油脂に、XOX型トリグリセリドと同様に、炭素数16から22の飽和脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)を加え、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、次いで脂肪酸低級アルキルエステルの一部又は全部を蒸留した蒸留残渣に得ることができる。
XLnX型トリグリセリドを含有する油脂は、2位にリノレイル基を50質量%以上有する油脂、具体的には、トリリノレイルグリセリン、アマニ油、シソ油、エゴマ油などを原料油脂に、XOX型トリグリセリドと同様に、炭素数16から22の飽和脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)を加え、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、次いで脂肪酸低級アルキルエステルの一部又は全部を蒸留した蒸留残渣に得ることができる
XXU型及び/又はUXX型トリグリセリドを含有する油脂は、より具体的には、炭素数16以上の脂肪酸が80質量%以上である動植物油脂の極度硬化油に、オレイン酸低級アルキルエステル、リノール酸低級アルキルエステル及びリノレン酸低級アルキルエステルの中から選択される1種又は2種以上の脂肪酸低級アルキルエステル(遊離脂肪酸が0.01〜10質量%含まれていても良い)を加え、XUX型トリグリセリドの調製と同様に、1,3選択性リパーゼを作用させて、エステル交換反応を行い、次いで脂肪酸低級アルキルエステルの一部又は全部を蒸留した蒸留残渣に得ることができる
これらのリパーゼとしては、ロビン社の商品:ピカンターゼR8000や、天野エンザイム社の商品:リパーゼF−AP15等が挙げられるが、最も適したリパーゼとしては Rhizopus oryzae由来、天野エンザイム社の商品:リパーゼDF(Amano)15−K(リパーゼDともいう)が挙げられる。このものは粉末リパーゼである。なお、このリパーゼDF(Amano)15−Kについては従来はRhizopus delemar由来の表記であった。
ここで、使用するリパーゼとしては、リパーゼの培地成分等を含有したリパーゼ含有水溶液を乾燥して得られたものでもよい。粉末リパーゼとしては、球状で、水分含量が10質量%以下であるものを用いるのが好ましい。特に、リパーゼ粉末の90質量%以上が粒径1〜100μmであるのが好ましい。又、粉末リパーゼはpHが6〜7.5に調整されてなるリパーゼ含有水溶液を噴霧乾燥して製造されるものが好ましい。
上記リパーゼを大豆粉末を用いて造粒し、粉末化した造粒粉末リパーゼ(粉末リパーゼともいう)を用いるのも好ましい。
また、市販の固定化リパーゼも好適に使用できる。例えば、ノボザイムズ社製の商品名Lipozyme RM IM、Lipozyme TL IM等が挙げられる。
エステル交換反応後、蒸留して、未反応原料や副生する脂肪酸や、脂肪酸低級アルキルエステルを50質量%以下になるまで除いて、本発明で分別原料に用いるX2U型トリグリセリドを全トリグリセリド中に20〜60質量%、好ましくは30〜60質量%含有する油脂を得る。
ここで新たに添加する脂肪酸低級アルキルエステルは特に限定されるものではないが、炭素数16から22の脂肪酸の低級アルコールエステルが好ましく、特に、不飽和飽和脂肪酸と炭素数1〜6のアルコールとのエステルが好ましい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、このなかでも食用油脂の加工ということからエタノールが好ましい。
本発明の製造方法においては、また、脂肪酸低級アルキルエステルと遊離脂肪酸とは、質量ベースで、脂肪酸低級アルキルエステル/遊離脂肪酸≧10であることが好ましく、脂肪酸低級アルキルエステル/遊離脂肪酸≧20であることがより好ましい。脂肪酸低級アルキルエステル/遊離脂肪酸が上記範囲であると、X2U型トリグリセリド含量に富んだ油脂が効率よく得られるので好ましい。
尚、X2O型トリグリセリドの場合は上記条件で、X2L型トリグリセリドまたはX2Ln型トリグリセリドについては、冷却温度を20℃以下、好ましくは、5〜15℃とするのがよい。
上記加熱溶解から冷却工程においては、攪拌及び/又は静置して行うことができる。
尚、X2O型トリグリセリドの場合は上記条件で、X2L型トリグリセリドまたはX2Ln型トリグリセリドについては、最終分別段階の冷却温度を20℃以下、好ましくは、5〜15℃とするのがよい。
また、この後に行う任意工程である精製工程は、常法(例えば、水蒸気蒸留など)により行うことができ、最終製品にする前に脂肪酸低級アルキルエステルを除去することができる。このようにして、トリグリセリド含量が好ましくは85質量%であり(より好ましくは90質量%、最も好ましくは94質量%)、全トリグリセリド中にX2U型トリグリセリドの含有量が65質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、最も好ましくは80質量%以上の油脂を得ることができる。
また、必要に応じて、脱酸、脱色、脱臭等の通常行う油脂の精製を行ってもよい。
また、本発明の製造方法により得られるX2U型トリグリセリドに富んだ油脂は、例えば、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ピーナッツ油、パーム油、カカオ脂、シア脂、ヤシ油、パーム核油、牛脂、豚脂、乳脂等、及び、これらに、分別、水素添加、エステル交換等の処理をした加工油の中から選ばれた1種類以上の油脂と混合し、マーガリン、ショートニング、フィリング、O/Wクリーム等の加工油脂製品の原材料油脂として好適に使用できる。
分析法:
トリグリセリドの分析は、JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じたガスクロマトグラフィー法によって行なった。
トリグリセリドの対称性は、J.High Resolut.Chromatogr.,18,105−107(1995)の方法に準拠した銀イオンカラム−HPLC法により測定した。
脂肪酸低級アルキルエステルの分析は、ガスクロマトグラフィー法で行なった。
粉末リパーゼ組成物Aの調製:
天野エンザイム社の商品:リパーゼDF(Amano)15−K(リパーゼDともいう)の酵素溶液(150000U/ml)に、予めオートクレーブ滅菌(121℃、15分)を行い、室温程度に冷やした脱臭全脂大豆粉末(脂肪含有量が23質量%、商品名:アルファプラスHS−600、日清コスモフーズ(株)社製)10%水溶液を攪拌しながら3倍量加え、0.5N NaOH溶液でpH7.8に調整後、噴霧乾燥(東京理科器械(株)社、SD−1000型)を行い、粉末リパーゼ組成物Aを得た。
ハイオレイックヒマワリ油(商品名:オレインリッチ、昭和産業(株)製)14000gに、ステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)21000gを混合し、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加し、40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物1を34379g得た。得られた反応物1(34300g)を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度140℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去し、トリグリセリド含量が93.2質量%、脂肪酸エチル含量が2.9質量%である蒸留残渣1を13721g得た。得られた蒸留残渣1を使用して〔実施例1〕〜〔実施例4〕、〔比較例1〕及び〔参考例1〕の分別を行った。なお、薄膜蒸留時の留出物を留出物1とした。結果は表1、2に纏めた。
845gの蒸留残渣1に、155gのオレイン酸エチル(商品名:エチルオレートSP、(株)井上香料製造所製)を混合し、脂肪酸エチル含量が18.0質量%(うち不飽和脂肪酸エチル90質量%)、遊離脂肪酸0.2質量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(464g)及び液状部(515g)を得た。
845gの蒸留残渣1に、155gの薄膜蒸留による留出物1を混合し、脂肪酸エチル含量が17.7質量%(うち不飽和脂肪酸エチル28質量%)、遊離脂肪酸0.5重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い固体脂部(453g)及び液状部(527g)を得た。
845gの蒸留残渣1に、48gの薄膜蒸留による留出物1と107gのステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)とを混合し、脂肪酸エチル含量が17.8質量%(うち不飽和脂肪酸エチル11質量%)、遊離脂肪酸0.3重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(431g)及び液状部(547g)を得た。
958gの蒸留残渣1に、42gのオレイン酸エチル(商品名:エチルオレートSP、(株)井上香料製造所製)を混合し、脂肪酸エチル含量が7.0質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが71質量%)、遊離脂肪酸0.1重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(494g)及び液状部(482g)を得た。
845gの蒸留残渣1に、155gのステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)を混合し、脂肪酸エチル含量が18.0質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが3.5質量%)、遊離脂肪酸0.2重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却したところ、増粘が著しく、圧搾ろ過できなかった。
845gの蒸留残渣1に、155gのステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)を混合し、脂肪酸エチル含量が18.0質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが3.5質量%)、遊離脂肪酸0.2重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで20℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(401g)及び液状部(577g)を得た。
ハイオレイックヒマワリ油(商品名:オレインリッチ、昭和産業(株)製)6000gに、薄膜蒸留により回収した留出物を極度水素添加したステアリン酸エチル9000gを混合し、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加し、40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物2を14700g得た。得られた反応物2(14500g)を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度140℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去し、トリグリセリド含量が91.8質量%、脂肪酸エチル含量が3.4質量%である蒸留残渣2を5723g得た。得られた蒸留残渣2を使用して〔実施例5〕及び〔実施例6〕の分別を行った。なお、薄膜蒸留による留出物を留出物2とした。結果は表2に纏めた。
845gの蒸留残渣2に、155gの薄膜蒸留による留出物2を混合し、脂肪酸エチル含量が17.2質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが27質量%)、遊離脂肪酸0.7重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(443g)及び液状部(537g)を得た。
845gの蒸留残渣2に、130gの薄膜蒸留による留出物2と25gのオレイン酸エチル(商品名:エチルオレートSP、(株)井上香料製造所製)と混合し、脂肪酸エチル含量が17.6質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが37質量%)、遊離脂肪酸0.6重量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて2.5時間、次いで18℃にて4時間冷却後、圧搾ろ過(圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(451g)及び液状部(525g)を得た。
ハイリノールサフラワー油(商品名:サフラワー油、日清オイリオグループ(株)製)1600gに、ステアリン酸エチル(商品名:エチルステアレート、(株)井上香料製造所製)2400gを混合し、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加し、40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物3を3929g得た。得られた反応物3(3900g)を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度140℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去し、トリグリセリド含量が79.3質量%、脂肪酸エチル含量が16.9質量%である蒸留残渣3を1801g得た。得られた蒸留残渣3を使用して〔実施例7〕の分別を行った。結果は表3に纏めた。
985gの蒸留残渣3に、15gのオレイン酸エチル(商品名:エチルオレートSP、(株)井上香料製造所製)を混合し、脂肪酸エチル含量が18.1質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが34質量%)、遊離脂肪酸0.3質量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、27℃にて3時間冷却し、圧搾ろ過(第1圧搾ろ過:圧搾圧力7kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(29g)及び液状部(941g)を得た。得られた液状部(600g)を攪拌を行いながら、ゆっくりと10℃まで冷却し、圧搾ろ過(第2圧搾ろ過:圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(284g)及び液状部(304g)を得た。
菜種極度硬化油(商品名:菜種極度硬化油、横関油脂(株)製)1600gに、オレイン酸エチル(商品名:エチルオレートSP、(株)井上香料製造所製)2400gを混合し、粉末リパーゼ組成物Aを0.3質量%添加し、40℃で20時間攪拌反応させた。ろ過処理により酵素粉末を除去し、反応物4を3921g得た。得られた反応物4(3900g)を薄膜蒸留にかけ、蒸留温度140℃にて反応物から脂肪酸エチルを除去し、トリグリセリド含量が72.0質量%、脂肪酸エチル含量が24.3質量%である蒸留残渣4を1983g得た。得られた蒸留残渣4を使用して〔実施例8〕の分別を行った。結果は表3に纏めた。
1000gの蒸留残渣4を分別原料とした。蒸留残渣4は、脂肪酸エチル含量が24.3質量%(うち不飽和脂肪酸エチルが66質量%)、遊離脂肪酸0.3質量%である分別原料を得た。50℃にて完全溶解後、攪拌を行いながら、28℃にて3時間冷却し、圧搾ろ過(第1圧搾ろ過:圧搾圧力7kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固形部(297g)及び液状部(685g)を得た。得られた液状部(600g)を攪拌を行いながら、ゆっくりと20℃まで冷却し、圧搾ろ過(第2圧搾ろ過:圧搾圧力30kgf/cm2、日清オイリオ自作加圧ろ過機使用)にて固液分離を行い、固体脂部(283g)及び液状部(301g)を得た。
実施例6で得られた固体脂部を、油脂の通常の精製方法に従って脱色、脱臭の精製を行い、ハードバターを得た。このハードバターを用いて、ハードバター7.5部、砂糖43.45部、カカオマス(油分55%)40.0部、カカオバター1.0部、パーム油中融点画分7.5部、レシチン0.5部、香料0.05部からなる配合で、常法に従い、ロール掛け、コンチング、テンパリング、型入れを行い、チョコレートを試作した。試作したチョコレートは型離れも良く、風味・口溶けに優れたものであった。
実施例8で得られた固体脂部と実施例6で得られた固体脂部を、油脂の通常の精製方法に従って脱色、脱臭の精製を行い、6:4で混合した混合油脂を得た。この混合油脂50部、菜種油47部及びパーム極度硬化油3部とを混合し、急冷練り合わせしたところ、ちょう度に優れたショートニングが得られた。
Claims (4)
- 全トリグリセリド中に2つの飽和脂肪酸残基と1つの不飽和脂肪酸残基からなる2飽和1不飽和型トリグリセリド(X2U型トリグリセリド)を20〜60質量%含有する油脂を、不飽和脂肪酸低級アルキルエステルを10〜100質量%含有する脂肪酸低級アルキルエステル1〜50質量%の存在下で分別することを特徴とするX2U型トリグリセリドに富んだ油脂の製造方法。
- 脂肪酸低級アルキルエステルが不飽和脂肪酸低級アルキルエステルを30〜100質量%含有する脂肪酸低級アルキルエステルであることを特徴とする請求項1記載の油脂の製造方法。
- 全トリグリセリド中にX2U型トリグリセリドを20〜60質量%含有する油脂が、油脂と脂肪酸低級アルキルエステルとの混合物を、1,3選択性リパーゼによりエステル交換した後、蒸留により脂肪酸低級アルキルエステルを50質量%以下に低減させた蒸留残渣由来であることを特徴とする請求項1〜2何れか1項に記載の油脂の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法により製造されたX2U型トリグリセリドに富んだ油脂を含む食品。
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