JP2010209146A - スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子、および該予備発泡粒子からなるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体 - Google Patents

スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子、および該予備発泡粒子からなるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】省エネルギー成形可能なスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子及び得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体を提供すること。
【解決手段】予備発泡粒子表面の難水溶性無機物が1000ppm以下であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
【選択図】 なし

Description

本発明はスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子に関する。さらには耐割れ性に優れたスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体に関する。
ポリオレフィン系樹脂の発泡体は、発泡ポリスチレン系発泡体と比較して柔らかく、繰り返しの応力に対しても歪の回復力が大きいという特徴の他に、耐油性、耐割れ性に優れることから、精密部品や重量製品の包装資材や衝撃吸収材、バンパー、フロアスペーサー等の自動車部材として広く利用されている。しかし、剛性が低く、型内発泡成形後の発泡体の収縮がおこりやすく、圧縮強度が低いという短所を有している。
このような欠点を改良する方法として、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸させて重合させたスチレン改質ポリエチレン樹脂が知られており、特許文献1にはポリエチレン系樹脂として酢酸ビニル含有量が2〜10重量%、密度が0.915〜0.935g/cm3、メルトフローレートが0.1〜5g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用する方法、特許文献2ではペレット状のポリエチレン粒子に有機過酸化物を含有したビニル芳香族モノマーを吸収させた後高温領域を通過させる方法、特許文献3には、融点95〜115℃のポリエチレン粒子にスチレン系単量体を含浸させて後第一の重合を行い、引き続いてスチレン系単量体の含浸と第二の重合を行う方法、さらに特許文献4にはポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させる際に特定の重合開始剤を使用する方法、さらに特許文献5にはアクリロニトリル−スチレン共重合体とポリエチレン系重合体を含むポリエチレン系樹脂核粒子を水性媒体中に懸濁させ、この懸濁液にスチレン系単量体を加え重合及び発泡剤含浸を行う発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法が開示されている。
上記文献に開示されているスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体は確かにポリオレフィン系樹脂発泡体よりも剛性が高く、型内発泡成形後の発泡体の収縮は起こりにくくなっている。
このようにスチレン改質ポリエチレン樹脂については知られているが、スチレン改質ポリエチレン樹脂を製造する際、通常、ポリエチレン系樹脂粒子を水中に懸濁分散させた状態で、スチレン系単量体を含浸重合させる。このポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させる場合にポリエチレン系樹脂粒子の合着を防ぐために難水溶性無機物を使用している。
この難水溶性無機物は重合後のスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子表面に付着しており、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を発泡させたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の表面にも付着している。
予備発泡粒子表面に付着した無機物は該予備発泡粒子を型内発泡成形する場合に予備発泡粒子同士の融着を阻害するため、難水溶性無機物が表面に付着したスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は型内発泡成形時に使用する蒸気量を減少させる省エネルギー成形が難しかった。
特開平8−59754号公報 特開昭62−280237号公報 特開2006−70202号公報 特開2006−298956号公報 特開2007−308580号公報
このような課題に鑑み、本発明は、省エネルギー成形可能なスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子及び得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討の結果、スチレン改質ポリエチレン樹脂予備発泡粒子表面に付着する難水溶性無機物の量を一定範囲とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、次の構成からなる。
〔1〕 予備発泡粒子表面の難水溶性無機物が1000ppm以下であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
〔2〕 難水溶性無機物が500ppm以下である〔1〕に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
〔3〕 スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子および/またはスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造時に難水溶性無機物を使用することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
〔4〕 難水溶性無機物が、第三リン酸カルシウムである〔1〕〜〔3〕いずれかに記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕いずれかに記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体。
本発明によれば省エネルギー成形可能なスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子及び得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体の提供が可能となる。
本発明のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる。
スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子は、一般的にポリエチレン系樹脂粒子を含む水性懸濁液にスチレン系単量体を添加することによりポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させて得ることができる。
本発明のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、予備発泡粒子表面の難水溶性無機物が1000ppm以下である。好ましくは500ppm以下である。予備発泡粒子表面の難水溶性無機物が1000ppm以下であると、省エネルギー成形が容易である。
本発明においては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子および/またはスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造時に難水溶性無機物を使用することが好ましい。詳細については後述するが、樹脂粒子の重合時、および/または樹脂粒子を発泡させて予備発泡粒子とするときに予備発泡粒子表面に難水溶性無機物が残存しやすく、改良効果が大きい。
本発明において、難水溶性無機物とは、20℃の水に対して溶解度が50mg以下の物質であり、好ましくは25mg以下、さらに好ましくは10mg以下である。溶解度が50mg以下の難水溶性無機物は通常の製造工程で除去することが難しく、改良効果が大きい。具体的には、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、カオリン、リン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。中でも、難水溶性無機物が第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、カオリンの場合には融着阻害効果が大きく、予備発泡粒子表面に存在する量を一定範囲とした場合の融着向上効果が大きいため好ましい。第三リン酸カルシウムの場合に融着向上効果が特に大きいため好ましい。
予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の量を1000ppm以下とするには、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子および/またはスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を水や塩酸等の酸で洗浄、化学反応による除去等により、達成することができる。
本発明では、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着する難水溶性無機物の量を一定範囲とすることにより、これまでよりも省エネルギー成形が可能となることがわかった。
近年、製造過程の炭酸ガス排出量を低減させる取り組みがあり、低コスト以外の観点でも省エネルギー性が求められている。したがって本発明の省エネルギー成形で得られた発泡体は多くのエネルギーを使用して得られた発泡体よりも好ましい。
なお、本発明において、予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の量は以下のようにして求めることができる。
5.00gの予備発泡粒子を150℃で2時間乾燥させ、その後500℃で2時間かけて灰化した時の重量(I)gから予備発泡粒子全体の難水溶性無機物の量(II)ppmを次式で計算する。
(II)=1000000×(I)/5
次に5.00gの予備発泡粒子を500mlの濃塩酸(ナカライテスクJIS試薬特級35%)、純水500ml、純水500ml、純水500ml、純水500ml、水酸化ナトリウム(ナカライテスクJIS試薬特級)の10重量%水溶液500ml、純水500ml、純水500ml、純水500ml、純水500mlの順序で洗浄することを3回繰り返した後に150℃で2時間かけて乾燥させた予備発泡粒子を500℃で2時間かけて灰化した時の重量(III)gから予備発泡粒子内部の難水溶性無機物の量(IV)ppmを次式で計算する。
(IV)=1000000×(III)/5
(II)から(IV)を差し引いた量を予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の量(V)ppmとする。
また簡易的な別の方法としてはあらかじめ予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の種類を一般的な定性分析法で特定し、特定された難水溶性無機物に含有される金属元素の含有量を蛍光X線法で測定することもできる。
さらに例えば、難水溶性無機物が第3リン酸カルシウムの場合、メタバナジン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウムおよび硝酸を含む水溶液(比色液)と所定量の予備発泡粒子をコニカルビーカーに採り、所定時間反応させ、得られた液相を分光光度計で410nmでの吸光度を測定することにより定量する方法が挙げられる。
以下に、本発明のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法を説明する。
(ポリエチレン系樹脂粒子)
ポリエチレン系樹脂粒子を構成するポリエチレン系樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレンの単独重合体、エチレンと、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンや酢酸ビニル、アクリル酸エステル、塩化ビニル等との共重合体があげられる。また、これらポリエチレン系樹脂にアクリロニトリル−スチレン共重合体を配合しても良い。
これらの中でもエチレン・酢酸ビニルの共重合体が好ましい。更に好ましくは、メルトフローレート(MFR)が1.5g/10分以下で酢酸ビニル含有量が10重量%以下であるエチレン・酢酸ビニル共重合体である。MFRが1.5g/10分を超えては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形してスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体としたときに耐割れ性の発現が難しくなる傾向がある。酢酸ビニルが10重量%を超えては融点が低いため、重合時に樹脂粒子が変形を起こしやすい傾向がある。なお、メルトフローレートは、JIS K 6924に準拠して測定した値である。
前記ポリエチレン系樹脂は、あらかじめ、例えば押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、水中或いは空気中に押出し、ストランドカットまたは水中カットすることによりポリエチレン系樹脂粒子となす。形状はパウダー、ペレット状等の粒子状態であることが好ましい。これら粒子の平均粒重量は0.1mg/粒以上3mg/粒以下が好適な範囲である。0.1mg/粒より小さい場合は発泡剤の逸散が激しく高倍率化させにくくなる場合があり、3mg/粒より大きい場合は成形時の充填性が悪くなる恐れがある。
この中でポリエチレン系樹脂を押し出し、水中カット方式により作製されたペレットが好ましい。
本発明においては、目的に応じて可塑剤、気泡調整剤等の各種添加剤を使用することができる。可塑剤としては、例えば、ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の植物油、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート等の脂肪族エステル、流動パラフィン、シクロヘキサン等の有機炭化水素、トルエン、エチルベンゼン等の有機芳香族炭化水素等があげられ、これらは併用しても何ら差し支えない。
気泡調整剤としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪族ビスアマイドやステアリン酸アミド等の有機系気泡調整剤、タルク、シリカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機系気泡調整剤等があげられる。
特に、後述する除圧発泡を行う場合、無機系気泡調整剤を使用することが好ましく、好ましい使用量としてはポリエチレン系樹脂100重量部に対し、0.01重量部以上0.5重量部以下である。無機系気泡調整剤が0.01重量部より少ないと安定的に気泡を生成することが困難となり、0.5重量部より多く使用した場合は型内発泡成形時の融着が悪化する傾向がある。
また、これらの各種添加剤は重合時や発泡剤含浸時に添加し、含浸させることも出来るし、あらかじめ前記ポリエチレン系樹脂に混ぜ込むことで使用することもできる。
(スチレン系単量体)
スチレン系単量体としては、スチレン、およびα−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系誘導体を主成分として使用することができる。また、例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート等のスチレン系誘導体と共重合が可能な単量体を1種または2種以上併用してもよい。更に、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体を使用することもできる。
ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、スチレン系単量体を好ましくは150重量部以上400重量部以下、更に好ましくは180重量部以上300重量部重合させる。当該範囲内であれば成形加工性と耐割れ性が両立出来るスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子となる傾向がある。
スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を重合させる方法としては、攪拌機を具備した容器内に仕込んだポリエチレン系樹脂粒子を含む水性懸濁液に、スチレン系単量体を連続的にまたは断続的に添加することにより、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸させ、重合させる。重合において、添加するスチレン系単量体の添加速度を任意に選択することで、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の重量平均分子量に調整することが可能である。
重合に際し好ましい態様としては、ポリエチレン樹脂粒子100重量部に対し、スチレン系単量体25重量部以上100重量部以下を本質的に重合が進まない温度下で添加して含浸させ、残りのスチレン系単量体を加熱下で添加することである。「本質的に重合が進まない温度下」とは、使用する主たる重合開始剤の10時間半減期温度以下の温度であることを言う。重合に際し、添加するスチレン系単量体の一部を本質的に重合が進まない温度下で添加、含浸させることにより、重合場であるポリエチレン系樹脂粒子の粘度を変化させることができるため、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子のゲル成分量及び重量平均分子量を調整し易い。
(重合)
重合温度は70℃以上90℃以下であると、所望の重量平均分子量であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子が得られるため、好ましい。
前記重合においては、更に、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等メルカプタン系の連鎖移動剤やアクリロニトリル−スチレン系樹脂の重合に一般的に用いられるα−メチルスチレンダイマー等を併用しても良い。
(重合開始剤)
使用する重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができ、代表的なものとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。重量平均分子量は重合開始剤の量と反応温度により調整できる。
これら重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100重量部に対して0.05重量部以上1.0重量部以下であることが好ましく、さらには0.1重量部以上0.5重量部以下であることが好ましい。
(架橋剤)
本発明においては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体の耐割れ性を向上させるために、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子内を架橋させることが好ましい。架橋を行うためにはラジカル種発生型架橋剤を使用することが出来る。具体的には、10時間半減期温度が100℃以上125℃以下のラジカル種発生型架橋剤が好ましい。このようなラジカル種発生型架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド(10時間半減期温度:123℃)、ジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度:116℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエ−ト(10時間半減期温度:104℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(10時間半減期温度:102℃)、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン(10時間半減期温度:103℃)等があげられる。これらは、スチレン系単量体の添加前あるいはスチレン系単量体と共に重合系に添加することができる。
(架橋)
架橋反応における温度に特に限定はないが115℃以上145℃以下が好ましい。115℃未満では所望のゲル成分量を得るために時間が長くなる傾向がある。145℃を超える装置は設備負担が大きくなる傾向がある。
本発明のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子中、熱キシレンに不溶なゲル成分量は、好ましくは10重量%以上50重量%以下、更に好ましくは15重量%以上40重量%以下である。当該範囲内であると、型内発泡成形を行う場合、高圧あるいは長時間の蒸気加熱を必要とせず、高倍率化しやすく、耐割れ性が良好なスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体が得られる傾向にある。
本発明における熱キシレンに不溶なゲル成分量は以下のようにして測定する。200メッシュの金網袋中に0.4gの予備発泡樹脂粒子を入れ、大気圧下で沸騰させたキシレン450ml中に2時間浸漬して冷却後に一旦、取り出し、更に新たな沸騰させたキシレン中に樹脂を1時間浸漬して冷却後にキシレンから取り出す。その後、同様に2時間、1時間の浸漬、溶出を繰り返し、その後、常温下で1晩液切りした後に150℃のオーブン中で1時間乾燥させ、常温まで自然冷却させ、冷却後の残留分をゲル成分とし、初期の予備発泡粒子量に対するゲル成分の量の重量比率をゲル成分量とする。
(難水溶性無機物)
本発明においては、ポリエチレン系樹脂粒子を含む水性懸濁液中にて重合を行うが、その際、ポリエチレン系樹脂粒子同士の融着を防止するために難水溶性無機物を使用する。使用できる難水溶性無機物としては、一般的に懸濁重合に用いられる難水溶性無機物、例えば、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、カオリン、リン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等の難水溶性無機物があげられる。
また、難水溶性無機物と共にα−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤を併用すると分散安定性が増すので効果的であるため好ましい。また、これらの難水溶性無機物等は重合中に追加しても良い。難水溶性無機物の使用量は種類によるが、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、基本的に0.2重量部以上10重量部以下が好ましい。
本発明の水性懸濁液とは、ポリエチレン系樹脂粒子とスチレン系単量体液滴を攪拌等により水または水溶液に分散させた状態を指し、水中には水溶性の界面活性剤や単量体が溶解していても良く、また、開始剤、難燃剤、可塑剤等がともに分散していても良い。得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子と水の重量比は、樹脂粒子/水で1.0/0.6から1.0/3.0が好ましい。
(発泡方法)
スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を発泡しスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得る方法としては、(1)スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を容器中に水性媒体に分散させ、該容器内に発泡剤を入れ、加熱した後、容器の一端を開放し、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子と水性媒体とを容器内より低圧の雰囲気下に放出する、いわゆる「除圧発泡」と呼ばれる方法、(2)スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を容器中に水性媒体と共に分散させ、該容器内に発泡剤を入れて発泡剤を含浸させた後に冷却して発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子とし、攪拌機を具備した容器内に発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を入れ、水蒸気等の熱源により加熱する、一般的に発泡性スチレン樹脂粒子の予備発泡に多用されている方法、(3)スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を容器中に入れ、撹拌しながら、該容器内に発泡剤を入れて発泡剤を含浸させた後に冷却して発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子とし、攪拌機を具備した容器内に発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を入れ水蒸気等の熱源により加熱する、いわゆる非水系発泡剤含浸法、が挙げられる。特に(1)の方法を選択することが、発泡剤の含浸と予備発泡を一連の操作で行うために過剰量の発泡剤を必要とせず、好ましい。
(1)の方法において、具体的にはスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を、一度容器より取り出して洗浄・乾燥を行った後に、除圧発泡用の容器に仕込み、発泡剤を追加した後に加熱昇温し、前記容器内の温度および圧力を所定に保ちながら容器の一端を開放し、例えば開孔径が1mmから10mmのオリフィス等を通して該容器内よりも低圧の雰囲気中、例えば大気中等の雰囲気中に内容物を放出し発泡させることにより、均一微細な気泡構造を有するスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
この除圧発泡でいう水性媒体は、水に分散剤が溶解または分散したものを示し、分散剤は重合時の水性懸濁液に使用した難水溶性無機物を使用することができる。この除圧発泡の工程にて可塑剤、気泡調整剤等の各種添加剤を含浸させても良い。この方法では発泡剤の含浸と予備発泡を同時に行うことができ、また発泡剤は吸引設備により回収することができるため、効率的である。
(発泡剤)
本発明において使用することが出来る発泡剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素類、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン等のオゾン破壊係数がゼロであるハイドロフルオロカーボン類等の揮発性発泡剤、空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス、水等があげられる。これらの発泡剤は併用しても何ら差し支えない。
また、発泡剤量としてはスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して10重量部以上30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは15重量部以上25重量部以下である。10重量部未満以下では十分な発泡倍率を得ることができない上に、成形加工性の良好なスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得ることが難しい場合がある。30重量部を超えると発泡剤含浸時の樹脂の分散状態が不安定となり、ポリエチレン系樹脂粒子同士が凝集を起こしやすくなる。
(型内発泡成形)
スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、一般的な型内発泡成形方法によって成形され、スチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体となる。具体的には、閉鎖し得るが密閉しえない金型内に、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、加熱融着せしめてスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体とされる。
一般的な型内発泡成形方法では、蒸気を使用した加熱工程は、(1)金型加熱、(2)一方加熱、(3)逆一方加熱、(4)両面加熱からなっている。各工程を下記に説明する。
(1)金型加熱:金型を加熱する予備昇温工程
(2)一方加熱:金型内の空気を排除する目的で行われるものであり、蒸気を一方の金型から充填された予備発泡粒子の間隙に流し、これを他方の金型を通して系外に排出する工程である。
(3)逆一方加熱:蒸気を一方加熱の逆ルートで通す工程。
(4)両面加熱:予備発泡粒子を二次発泡させて最終的に発泡粒同士を融着させる工程。
型内発泡成形における製造コストを下げるためには、より低い蒸気圧力、より短い加熱時間が求められるが、低い蒸気圧力、短い加熱時間では予備発泡粒子同士の融着が難しい傾向があり融着率が低下するために従来のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子ではより蒸気使用量を少なくした省エネルギー成形ができなかった。しかしながら、本発明のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、低い蒸気圧力、短い加熱時間であっても融着性の良好なスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体が得られる。
以下に実施例及び比較例をあげるが、これによって本発明は制限されるものではない。尚、測定評価については以下の通り実施した。
<予備発泡粒子の嵩倍率の測定>
6177mlの容器に予備発泡粒子をすり切り一杯まで投入し、その予備発泡粒子の重量を測定した。予備発泡粒子の「嵩倍率」は以下の式により予備発泡粒子の嵩倍率A(ml/g)求めた。
A=B/C
(ただし、B:6177(ml)、C:予備発泡粒子の重量(g))
<融着率測定方法>
450mm×横300mm×高さ25mmの直方体形状の発泡体の表面にカッターで横方向に長さ300mm、深さ3mmの切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡体を二分割した。分割面における発泡粒子について、粒子内で破断している発泡粒子数Dと、粒子間の界面で剥離している発泡粒子数Eを測定し、以下の式により融着率を算出した。発泡粒子の一部が粒子間の界面で剥離している発泡粒子の場合には分割面に露出している発泡粒子断面積の50%以上が粒子間の界面である場合に粒子間の界面で剥離している発泡粒子とし、発泡粒子断面積の50%未満である場合には粒子内で破断している発泡粒子数として測定した。
融着率(%)=100×D/(D+E)
<予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の定量方法>
5.00gの予備発泡粒子を150℃で2時間乾燥させ、その後500℃で2時間かけて灰化した時の重量(I)gから予備発泡粒子全体の難水溶性無機物の量(II)ppm
を次式で計算する。
(II)=1000000×(I)/5
次に5.00gの予備発泡粒子を500mlの濃塩酸(ナカライテスクJIS試薬特級35%)、純水500ml、純水500ml、純水500ml、純水500ml、水酸化ナトリウム(ナカライテスクJIS試薬特級)の10重量%水溶液500ml、純水500ml、純水500ml、純水500ml、純水500mlの順序で洗浄することを3回繰り返した後に150℃で2時間かけて乾燥させた予備発泡粒子を500℃で2時間かけて灰化した時の重量(III)gから予備発泡粒子内部の難水溶性無機物の量(IV)ppmを次式で計算する。
(IV)=1000000×(III)/5
(II)から(IV)を差し引いた量を予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の量(V)ppmとする。
(実施例1)
ポリエチレン系樹脂として、酢酸ビニル含有量5.0重量%(測定方法JIS K6924−2)、メルトフローレート0.5g/10分(測定方法JIS K 6924−2)、融点102℃(測定方法JIS K 7121)、密度0.922g/cm3(測定方法JIS K 7112)であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を使用し、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してタルク0.2重量部を混合し押出機内で溶融混合して造粒し、水中に押出した直後にカッティングすることで粒重量約1mg/粒の球状としたポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて6Lオートクレーブに水150重量部に、第3リン酸カルシウム1重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子30重量部を懸濁させ、スチレン15重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.26重量部(10時間半減期温度:74℃)、ラジカル種発生型架橋剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)0.60重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を70℃まで昇温し、30分間維持することでポリエチレン系樹脂粒子にスチレン単量体溶液を含浸させた。更に85℃まで昇温し、スチレン単量体55重量部を3時間40分かけて反応系中に滴下し重合を行い、更に125℃昇温して30分保持した。次いで40℃まで冷却後、スラリーを払い出し、脱水・乾燥することによりスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
4.5Lオートクレーブに水150重量部、第3リン酸カルシウム2重量部、n−パラフィンスルホン酸ソーダ0.01重量部と先に作製したスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子100重量部を仕込んだ。発泡剤として混合ブタン(ノルマルブタン/イソブタン比率=75/25)25重量部をオートクレーブに添加した後、140℃に昇温し30分保持した。その後、オートクレーブより開口径4mmのオリフィスを通して水性分散媒と共にスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を大気圧下に放出し、嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。大気圧下に放出している間、高圧窒素を導入することでオートクレーブ内の圧力が一定に保持されるように調整した。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子をpH2に調整した塩酸水溶液に5分間浸漬し、その後水洗・乾燥させた。予備発泡粒子表面の難水溶性無機物は169ppmであった。
室温で2日間養生させた予備発泡粒子を、ダイセンKR−57成形機を用いて450×300×25(t)mmサイズの金型にて下記二つの成形条件で成形を行った。
成形条件1:蒸気圧力0.07MPa、加熱時間(1)金型加熱2秒、(2)一方加熱3秒、(3)逆一方加熱2秒、(4)両面加熱15秒
成形条件2:蒸気圧力0.10MPa、加熱時間(1)金型加熱4秒、(2)一方加熱6秒、(3)逆一方加熱4秒、(4)両面加熱30秒
得られた発泡体の融着率は成形条件1が98%、成形条件2が99%であった。
(実施例2)
スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を浸漬する塩酸水溶液をpH4に調整した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例3)
スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を塩酸水溶液ではなく、5000ppmのヘキサメタリン酸ソーダを含む水溶液に浸漬した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
ポリエチレン系樹脂として、酢酸ビニル含有量5.0重量%(測定方法JIS K6924−2)、メルトフローレート0.5g/10分(測定方法JIS K 6924−2)、融点102℃(測定方法JIS K 7121)、密度0.922g/cm3(測定方法JIS K 7112)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用し、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してステアリン酸アミド0.1重量部を混合し押出機内で溶融混合して造粒し、水中に押出した直後にカッティングすることで粒重量約1mg/粒の球状としたポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて6Lオートクレーブに水150重量部に、第3リン酸カルシウム1重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子30重量部を懸濁させ、スチレン15重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.26重量部(10時間半減期温度:74℃)、ラジカル種発生型架橋剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)0.60重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を70℃まで昇温し、30分間維持することでポリエチレン系樹脂粒子にスチレン単量体溶液を含浸させた。更に85℃まで昇温し、スチレン単量体55重量部を3時間40分かけて反応系中に滴下し重合を行い、更に125℃昇温して30分保持した。
次いで40℃まで冷却後、発泡剤として混合ブタン(ノルマルブタン/イソブタン比率=75/25)25重量部を追加し、70℃に昇温して3時間保持することで発泡剤を含浸させ、30℃まで冷却して発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を含むスラリーを払い出した。
スラリーに塩酸を注いでpH2に調整した。5分間撹拌後、水洗・乾燥させて発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を発泡ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡に使用する予備発泡機を使用して0.01MPaの蒸気を使用して、嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子とした。予備発泡粒子表面の難水溶性無機物は193ppmであった。室温で2日間養生させた予備発泡粒子を実施例1と同様に成形させた。
(実施例5)
払い出された発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を含むスラリーに塩酸を注いでpH4に調整した以外は実施例4と同様に実施した。
(実施例6)
払い出された発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を含むスラリーを高速遠心脱水機(株式会社コクサン製 遠心機H−130C 2000rpm)で脱水し、脱水された樹脂を樹脂と同重量の水に投入して2分間撹拌し、再度高速遠心脱水機で脱水する操作を10回繰り返した以外は実施例4と同様に実施した。
(実施例7)
ポリエチレン系樹脂として、酢酸ビニル含有量5.0重量%(測定方法JIS K6924−2)、メルトフローレート0.5g/10分(測定方法JIS K 6924−2)、融点102℃(測定方法JIS K 7121)、密度0.922g/cm3(測定方法JIS K 7112)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用し、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してステアリン酸アミド0.1重量部を混合し押出機内で溶融混合して造粒し、水中に押出した直後にカッティングすることで粒重量約1mg/粒の球状としたポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて6Lオートクレーブに水150重量部に、第3リン酸カルシウム1重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子30重量部を懸濁させ、スチレン15重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.26重量部(10時間半減期温度:74℃)、ラジカル種発生型架橋剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)0.60重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を70℃まで昇温し、30分間維持することでポリエチレン系樹脂粒子にスチレン単量体溶液を含浸させた。更に85℃まで昇温し、スチレン単量体55重量部を3時間40分かけて反応系中に滴下し重合を行い、更に125℃昇温して30分保持した。
次いで40℃まで冷却後、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を含むスラリーを払い出し、スラリーに塩酸を注いでpH2に調整した。5分間撹拌後、水洗・乾燥させてスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を6Lオートクレーブに入れ、撹拌しながら発泡剤として混合ブタン(ノルマルブタン/イソブタン比率=75/25)20重量部を追加した。その後70℃に昇温して3時間保持することで発泡剤を含浸させ、30℃まで冷却して発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を発泡ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡に使用する予備発泡機を使用して0.01MPaの蒸気を使用して、嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子とした。予備発泡粒子表面の難水溶性無機物は180ppmであった。室温で2日間養生させた予備発泡粒子を実施例1と同様に成形させた。
(比較例1)
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を塩酸水溶液に浸漬せずにその後水洗・乾燥させた以外は実施例1と同様に実施した。
(比較例2)
払い出された発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を含むスラリーに塩酸を注がなかった以外は実施例4と同様に実施した。
(比較例3)
スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を含むスラリーに塩酸を注がなかった以外は実施例7と同様に実施した。
Figure 2010209146
表1に示すように予備発泡粒子表面の難水溶性無機物の付着量を少なくしたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子によれば、低い蒸気圧力、短い加熱時間である省エネルギー成形が可能となる。

Claims (5)

  1. 予備発泡粒子表面の難水溶性無機物が1000ppm以下であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
  2. 難水溶性無機物が500ppm以下である請求項1に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
  3. スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子および/またはスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造時に難水溶性無機物を使用することを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
  4. 難水溶性無機物が、第三リン酸カルシウムである請求項1〜3いずれか一項に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子。
  5. 請求項1〜4いずれか一項に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡体。
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