JP2010202126A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2010202126A
JP2010202126A JP2009052208A JP2009052208A JP2010202126A JP 2010202126 A JP2010202126 A JP 2010202126A JP 2009052208 A JP2009052208 A JP 2009052208A JP 2009052208 A JP2009052208 A JP 2009052208A JP 2010202126 A JP2010202126 A JP 2010202126A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
belt
force
crossing
offset
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009052208A
Other languages
English (en)
Inventor
Iwao Suzuki
巌 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2009052208A priority Critical patent/JP2010202126A/ja
Publication of JP2010202126A publication Critical patent/JP2010202126A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】構造の微小な変更で操縦安定性を更に高めた空気入りラジアルタイヤを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る空気入りラジアルタイヤは、カーカスのタイヤ径方向外側に2枚のスチールベルト14、15を有する交錯ベルト層13を備えており、タイヤ径方向最外側のスチールベルト15のコード15Cが右斜め上方向に沿って配置されている。そして、交錯ベルト層13の中心ライン13Mが右側へオフセットされている。このように、タイヤ径方向最外側のスチールベルト15のコード15Cの方向に合わせて交錯ベルト層13のオフセット方向を設定している。これにより、路面走行時に、タイヤ径方向最外側のスチールベルト15のコード方向によってタイヤに発生するタイヤ軸方向の力と、交錯ベルト層13のタイヤ軸方向へのオフセットによって発生するタイヤに加えられるタイヤ軸方向の力とを同じ方向にできる。
【選択図】図2

Description

本発明は、交錯ベルト層を備えた空気入りラジアルタイヤに関する。
乗用車向けの空気入りタイヤには多岐にわたる性能が求められている(例えば特許文献1〜3参照)。その中でも重要な操縦安定性については高度なレベルで要求されている。
操縦安定性については、従来よりタイヤ横剛性やコーナリングパワーといったメジャーを活用し開発してきているが、実質的には車両での官能評価結果に対してのタイヤ構造変更による評価−確認のステップを行うことが多い。これは、同一カテゴリーの車両であってもメーカ間や車系によって荷重やキャンバー角設定等の違いがあるためと考えられる。
特開平6−1110号公報 特開平6−16011号公報 特開平7−223407号公報
ところで、このような開発では、横剛性やコーナリングパワーの位置付けという大きな枠や、構造の微小な変更によるトライアンドエラーでの仕上げ、で整理し開発に取り組んでいる。しかし、近年、構造の微小な変更の積み上げでは、操縦安定性のレベル向上に苦慮するケースが増えてきている。
本発明は、上記事実を考慮して、構造の微小な変更で操縦安定性を更に高めた空気入りラジアルタイヤを提供することを課題とする。
上記課題を解決するにあたり、本発明者は以下の検討を行った。
タイヤ左右の対称性の違い(製造ばらつきや非対称構造・形状等)によってコニシティ成分が存在し、そのレベルはタイヤ個体ごとに異なるのが従来より認識されている。コニシティについては、MAX規制でレベルを管理しており、レベル内のタイヤを同等として扱いランダムに装着している。
車両側としては、タイヤ摩耗性等の観点からアライメントトーの設定を2〜3mm程度とする設定が一般的となってきており、過去一部に見られた7mm等の過大な設定はなくなっている。キャンバーは過去より−1.5°程度である。アライメントトー設定値の減少は直進走行時のタイヤ横力発生レベルの抑制につながっており、それもあって操縦安定性向上が難しくなっている面もあると考えられる。
一方、タイヤの左右ばらつき成分であるコニシティ成分をコントロールすることによって、またそれを組み合わせることで直進走行時の横力を増大させ、それにより操縦安定性能のポテンシャルアップにつなげることが出来る。すなわち、タイヤコニシティレベルや、左右輪での組み合わせをコントロールすることで、操縦安定性の向上につなげることが出来る。なお、本明細書でコニシティとはコニシティフォースのことを意味する。
操縦安定性は、大きくは車両運動に対するタイヤ発生力と捉えることが出来る。操縦安定性の内容としては、直進走行時における操縦性レベルが悪いものは旋回性も低下することから、直進走行時の操縦性レベルが最重要である。
車両の直進走行状態におけるタイヤの発生力を考えると、左右輪が同等の力を発生することで釣り合い直進走行が可能となる。
これを細かく考えると、
1.タイヤは、プライステアの回転方向成分LFDが左右輪でそれぞれの回転方向成分で発生する。
2.その左右輪のLFDは力の向きとしては同一方向に発生しており、左右輪の釣り合いのためには、発生力と逆方向にボディSA(ボディステップアングル)が付くことが必要となる(プライステア成分を相殺する形)。
3.ボディSAとCP(コーナーリングパワー)のバランスから左右輪の釣り合い点が出来るが、左右輪のLFDレベルが異なる場合(コニシティ相当)はその力が残留し、左右輪の釣り合いの力に足された形となる(例えば後述の図4参照)。ここで、(LFDcw−LFDccw)/2がプライステアとなり、(LFDcw+LFDccw)/2がコニシティとなる。
この左右輪の釣り合いの状態について考えると、車両の直進状態から旋回状態へ変化する際、リヤ軸に旋回時外輪における車両内側向きの力が作用することが必要であり、外側向きの力が作用したのでは旋回時外輪において旋回方向に十分な力が出ずに不安定となる。直進時より車両内側向きの力が大きければ、旋回時外輪の力も大きくなり(例えば後述の図5参照)より安定し、直進性、旋回性ともに向上すると考えられる
また旋回時の操縦安定性を考えると、より大きいサイドフォースが必要となる。SA−SFの微小領域(SA0〜0.4°)においては、ほぼ直線の関係となっており、これをCON(コニシティ)の観点で見ると、SA0°での力が大きい側にずれたとき、SA付加時も並行線となり、同一SAでの絶対サイドフォースレベルが高くなる。よって車両装着で考えると左右輪合力(右輪、左輪それぞれのLFDの和)が高い方がサイドフォースの絶対レベルが高くなり旋回性が向上する方向にある(例えば後述の図7参照)。
以上より、車両の運動を大きく考えると、内側向きの左右輪の釣り合う力や左右輪の合力を大きくする方向が実車操縦性の直進性や旋回性の向上につながることがわかる。
これらのことをタイヤで考えると、左右輪での発生力のレベル・違いにつながっており、すなわちコニシティ成分をコントロールすることである。それには、ベル卜部をずらすことが有効であり、概略のところ20N/mm程度の変化が可能である。ベル卜部をずらすと反対側にLFD(軸力)が大きくなりそれによりコニシティが変化する。
本発明者は以上のような検討を行い、実験を重ねて更に検討を加え、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、一対のビードコアに跨るカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に少なくとも2枚の交錯ベルトを有する交錯ベルト層と、を備えた空気入りラジアルタイヤであって、前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが右斜め上方向に沿って配置されている場合には前記交錯ベルト層の中心ラインが右側へオフセットされ、前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが左斜め上方向に沿って配置されている場合には前記交錯ベルト層の中心ラインが左側へオフセットされていることを特徴とする。
タイヤが回転することによって路面からタイヤに作用する左右方向(タイヤ軸方向)の力は、タイヤ径方向最外側のベルトの向き(ベルトプライのコード方向)に大きく依存する。そして、ベル卜層のオフセット方向でもこの力の大小は変化する。コニシティコントロールの狙いにおいては、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが右上がり(右斜め上に沿った方向)の場合では走行によってタイヤは路面から進行方向に対して右向きの力を受ける。このため、タイヤ回転軸には進行方向に対して左方向の軸力が生じる。そしてこの軸力を車両内側方向とした場合にはこの軸力は大きい方が好ましい。従って、ベルト層を右側(セリアル側)にずらしてタイヤに右向きの力を更に生じさせることにより、車両内側向方向の軸力を更に大きくして操縦安定性を更に向上させることが有効である。一方、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが左上がり(左斜め上に沿った方向)の場合では、ベルト層を左側(反セリアル側)にずらすことが有効である。
請求項1に記載の発明では、このように、交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコード方向に合わせて交錯ベルト層のずらし方向(オフセット方向)を設定している。この構成によって、路面走行時に、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコード方向によってタイヤに発生するタイヤ軸方向の力と、交錯ベルト層の左右方向(タイヤ軸方向)へのオフセットによってタイヤに加えられるタイヤ軸方向の力とを同じ方向にすることができる。
これにより、コニシティをコントロール出来、そのレベルや左右輪の組み合わせ等によって、車両の操縦安定性、直進性、旋回性を大幅に向上させることが可能となる。
一般に、道路にはカントと呼ばれる傾斜が付けられており、路面は水はけ等を考慮して中央から両端にかけて高さが徐々に低くなっている。わが国では車両は路面の左側走行が基本となっているので、走行時にタイヤに右方向への横力が作用するように、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコードを右上方向に沿った方向にするとともに、交錯ベルト層の中心ラインを右側へオフセットさせたタイヤとすることが好ましい。また、車両の路面の右側走行が基本となっている米国等の仕様では、走行時にタイヤに左方向への横力が作用するように、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコードを左上方向に沿った方向にするとともに、交錯ベルト層の中心ラインを左側へオフセットさせたタイヤとすることが好ましい。
なお、タイヤ装着時の装着位置の選定が可能な場合では、左右輪をコニシティの大小で選定して組み合わせることにより更なる大きな力の発生を図ることや操縦安定性の向上を図ることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、前記交錯ベルト層がスチール交錯ベルト層で構成されていることを特徴とする。これにより、請求項1に記載の発明によって得られる効果がより顕著となる。
請求項3に記載の発明は、前記交錯ベルト層のタイヤ径方向外側にベルト保護層が配置され、前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが右斜め上方向に沿って配置されている場合には前記ベルト保護層の中心ラインが右側へオフセットされ、前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが左斜め上方向に沿って配置されている場合には前記ベルト保護層の中心ラインが左側へオフセットされていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、路面走行時にタイヤに生じるタイヤ軸方向の力と同方向の力が更にタイヤに加えられるように、ベルト保護層のオフセット方向をも更に合わせている。これにより、より大きな効果が得られる。
請求項4に記載の発明は、乗用車用のタイヤであって、前記ベルト層及び前記ベルト保護層が1〜2mmの範囲内でオフセットされていることを特徴とする。
ずらし量(オフセット量)とLFD変化とはほぼ線形の関係にあり、1〜2mmのオフセットで十分な力の変化が得られる。オフセット量が2mmよりも大きいと、力の変化は十分以上であるが、左右のタイヤ構造の違いが大きいため製造時の作業性に難が出易い。また、オフセット量が1mm未満であると、あまり大きな効果を得にくい。
本発明によれば、構造の微小な変更で操縦安定性を更に高めた空気入りラジアルタイヤとすることができる。
第1実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第1実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのベルト層及びベルト保護層の構成を説明する説明図である。 第2実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのベルト層及びベルト保護層の構成を説明する説明図である。 検討例を説明する説明図である。 検討例のケースAでは安定して走行できることを説明する模式的な平面図である。 検討例のケースBでは不安定に走行することを説明する模式的な平面図である。 解析例での解析結果を示すグラフ図である。
以下、実施形態として乗用車用の空気入りラジアルタイヤを挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る空気入りラジアルタイヤ10は、両端部がそれぞれビードコア11で折り返された1層又は複数層で構成されるカーカス12を備えている。
カーカス12のクラウン部12Cのタイヤ径方向外側には、2枚のスチールベルト14、15で構成される交錯ベルト層13が埋設されている。図2に示すように、カーカス12に近いほうのスチールベルト(すなわち1ベルトでありタイヤ径方向内側のスチールベルト)14のコード14Cが左斜め上方向に沿った方向とされている。そして、カーカス12から遠いほうのスチールベルト(すなわち2ベルトでありタイヤ径方向外側のスチールベルト)15のコード15Cが右斜め上方向に沿った方向、すなわちタイヤ回転方向Rに対して右側に鋭角αをなす方向とされている。
更に、交錯ベルト層13のタイヤ径方向外側にベルト保護層16が設けられている。ベルト保護層16のコード16Cは、有機繊維で構成されていてタイヤ赤道面CLとほぼ同じ方向に配置されている。
交錯ベルト層13のタイヤ径方向外側には、溝を配設したトレッド部18が形成されている。トレッド部18には、図1に示すように、車両装着内側Iに2本の周方向主溝22A、22Bが、車両装着外側Eに2本の周方向主溝22C、22Dがそれぞれ形成されている。周方向主溝22Bは周方向主溝22Aよりもタイヤ赤道面CLに近い位置に配置されている。周方向主溝22Cは周方向主溝22Dよりもタイヤ赤道面CLに近い位置に配置されている。この構成により、トレッド部18には5列の陸部列が形成されている。
交錯ベルト層13の中心ライン13Mは、タイヤ軸方向右側(セリアル側)へオフセットされている。更に、ベルト保護層16の中心ライン16Mもタイヤ軸方向右側へオフセットされている。本実施形態では、交錯ベルト層13及びベルト保護層16のオフセット量(オフセット長さ)dは何れも1〜2mmの範囲内である。
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。
タイヤ径方向最外側のスチールベルト15のコード15Cが右斜め上方向に沿って配置されている。この構成により、空気入りラジアルタイヤ10が路面上を走行することによって路面からタイヤに進行方向に対して右方向の力が作用する。また、交錯ベルト層13の中心ラインが右側へオフセットされており、このことによっても、空気入りラジアルタイヤ10が路面上を走行することによって路面からタイヤに進行方向に対して右方向の力が作用する。更に、ベルト保護層16の中心ライン16Mもタイヤ軸方向右側へオフセットされており、このことによっても、空気入りラジアルタイヤ10が路面上を走行することによって路面からタイヤに進行方向に対して右方向の力が作用する。
この結果、空気入りラジアルタイヤ10が路面走行によって右方向に受ける横力は従来に比べて大幅に大きい。従って、この空気入りラジアルタイヤ10を支えている車軸には左方向の力が大幅に大きくなる。よって、この空気入りラジアルタイヤ10を車両の右側に装着することにより、車両内側向方向の軸力を大幅に大きくして操縦安定性を飛躍的に向上させることができる。
そして、本実施形態では交錯ベルト層13がスチールベルト14、15で構成されているので、これにより、この効果がより顕著となる。
また、交錯ベルト層及びベルト保護層16のオフセット量dが何れも1〜2mmの範囲内である。従って、タイヤの左右(タイヤ赤道面の両側)でのタイヤ構造が大きく異なることはないので、タイヤ製造時の作業性を悪化させることなく上記効果を効率的に得ることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図3に示すように、本実施形態では、第1実施形態に比べ、交錯ベルト層13に代えて交錯ベルト層33が配置され、ベルト保護層16に代えてベルト保護層36が配置されていることが異なる。
交錯ベルト層33は2枚のスチールベルトで構成されており、カーカス12に近いほうのスチールベルト(すなわちタイヤ径方向内側のスチールベルト)34のコード34Cの方向が右斜め上方向とされている。そして、カーカス12から遠いほうのスチールベルト(すなわちタイヤ径方向外側のスチールベルト)35のコード35Cの方向が左斜め上方向、すなわちタイヤ回転方向Rに対して左側に鋭角βをなす方向とされている。
また、交錯ベルト層33のタイヤ径方向外側に配置されたベルト保護層36のコード36Cは、有機繊維で構成されていてタイヤ赤道面CLとほぼ同じ方向に配置されている。
交錯ベルト層33の中心ライン33Mはタイヤ軸方向左側(反セリアル側)へオフセットされている。更に、ベルト保護層36の中心ライン36Mもタイヤ軸方向左側へオフセットされている。本実施形態では、交錯ベルト層33及びベルト保護層36のオフセット量(オフセット長さ)dは何れも1〜2mmの範囲内である。
本実施形態では、タイヤ径方向最外側のスチールベルト35のコード35Cが左斜め上方向に沿って配置されている。この構成により、空気入りラジアルタイヤが路面上を走行することによって路面からタイヤに進行方向に対して左方向の力が作用する。また、交錯ベルト層33の中心ライン33Mが左側へオフセットされており、このことによっても、空気入りラジアルタイヤが路面上を走行することによって路面からタイヤに進行方向に対して左方向の力が作用する。更に、ベルト保護層36の中心ライン36Mもタイヤ軸方向左側へオフセットされており、このことによっても、空気入りラジアルタイヤが路面上を走行することによって路面からタイヤに進行方向に対して左方向の力が作用する。
この結果、空気入りラジアルタイヤが路面走行によって左方向に受ける横力は従来に比べて大幅に大きい。従って、この空気入りラジアルタイヤを支えている車軸には右方向の力が大幅に大きくなる。よって、この空気入りラジアルタイヤを車両の左側に装着することにより、車両内側向方向の軸力を大幅に大きくして操縦安定性を飛躍的に向上させることができる。
<検討例>
タイヤ装着時の装着位置の選定が可能な場合では、左右輪をコニシティの大小で選定して組み合わせることにより更なる大きな力の発生を図ることや操縦安定性の向上を図ることが可能となる。このことを以下に例を挙げて説明する。
本検討例では、図4に示すように、ケースA(左輪と右輪とでLFDを異ならせたもの)、及び、ケースB(左輪と右輪とでLFDが同じもの)を想定して検討した。
図4に示したように、ケースAでは、コニシティが40となり、ケースBではコニシティが0となる。また、発生するLFDに応じ、ボディSA(ボディステップアングル)は、ケースAでは左へ0.20°、ケースBでは右へ0.22°となる。そして、左右輪の釣り合う力は、ケースAでは車両内側方向に40となり、ケースBでは相殺される。
車体の後輪(リア)にケースAの組合せでタイヤを取り付けると、図5に示すように、路面からタイヤに作用する力は安定して走行させ易い力となる。また、車体の後輪(リア)にケースBの組合せでタイヤを取り付けると、図6に示すように、路面からタイヤに作用する力は不安定に走行させ易い力となる。
<解析例>
本発明者は、コニシティを違えた第1実施形態の空気入りラジアルタイヤ10の一例(以下、実施例タイヤという)、及び、従来の空気入りラジアルタイヤの一例(以下、従来例タイヤという)について、SA(ステップアングル)とSF(サイドフォース)との関係を調べるために解析計算を行った。この解析計算では、何れのタイヤについても、SAをパラメータとして変更して、各SAでのSFとしてコーナーリングフォースを解析計算で求めた。計算結果を図7に示す。
図7から判るように、SAが0〜1°の範囲で、実施例タイヤのコーナーリングフォースは従来例タイヤに比べて高かった。しかも、何れのタイヤであっても、SAが0°のときのコーナーリングフォースが高いと(すなわちSFが高いと)、SAの増大に伴ってコーナーリングフォースが高くなる(すなわちSFが高くなる)という結果になった。
<試験例1>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、第1実施形態の空気入りラジアルタイヤ10の一例(以下、実施例1のタイヤという)、第2実施形態の空気入りラジアルタイヤの一例(以下、実施例2のタイヤという)、比較のための空気入りラジアルタイヤの二例(以下、比較例1のタイヤ、比較例2のタイヤという)、及び、従来例の空気入りラジアルタイヤの二例(以下、従来例1のタイヤ、従来例2のタイヤ、という)を用意し、コニシティを測定した。各タイヤは全て乗用車用のタイヤである。
比較例1、2のタイヤ、及び、従来例1、2のタイヤには、交錯ベルト層として2枚のベルトプライが設けられ、更に、第1実施形態や第2実施形態で説明したベルト保護層と同様のベルト保護層が設けられている。比較例1のタイヤ及び従来例1のタイヤでは、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコード方向が右上方向とされ、比較例2のタイヤ及び従来例2のタイヤでは、タイヤ径方向最外側のベルトプライのコード方向が左上方向とされている。
従来例1、2のタイヤでは、交錯ベルト層及びベルト保護層のオフセット量がゼロである。比較例1のタイヤでは、交錯ベルト層及びベルト保護層が、実施例1のタイヤとは逆方向にオフセットされている。そして、比較例2のタイヤでは、交錯ベルト層及びベルト保護層が、実施例2のタイヤとは逆方向にオフセットされている。
本試験例における各タイヤの諸条件を表1に示す。
Figure 2010202126
本試験例では、全てのタイヤについて、リムに装着して内圧を200kPaにして3.77kNの荷重を負荷した状態で回転させることによる走行試験を行い、タイヤのコニシティを測定した。測定結果を表1に併せて示す。表1で、コニシティが正の場合には右方向の力、コニシティが負の場合には左方向の力を意味している。
表1から判るように、従来例1のタイヤに比べて実施例1のタイヤのほうがコニシティが高く、従来例2のタイヤに比べて実施例2のタイヤのほうがコニシティが高い、という結果になった。また、比較例1のタイヤでは従来例1のタイヤよりもコニシティが低く、比較例2のタイヤでは従来例2のタイヤよりもコニシティが低いという結果になった。
また、本試験例では、左輪と右輪とでのタイヤの組み合わせをパラメータとして変更したものについて、車両に装着して実車走行試験を行い、運転者のフィーリングで操縦安定性の評価を行った。組合せ例は10例である。組合せ例及び評価結果を表2に示す。
Figure 2010202126
表2で、「実車での操縦安定性の評点」以外の欄では、+は右側(セリアル側)、−は左側(反セリアル側)であることを示す。また、左右輪残留力(計算値)、左右輪合力(計算値)、及び、実車操縦性評点は、何れも数値が大きいほうが良好であることを示す。更に、「実車での操縦安定性の評点」の欄では、±の表示なしに比べ、+はやや良い、−はやや悪いことを示す(例えば、6+は6よりもやや良く、6−は6よりもやや悪いことを示す)。なお、組合せ例1〜5ではアライメントトー設定がイン0.3°であり、組合せ例6〜10ではアライメントトー設定がイン0.1°である。
表2から判るように、組合せ例3、5は組合せ例2(両輪とも従来例1のタイヤにしたもの)に比べて良好で、組合せ例8、9は組合せ例7(両輪とも従来例2のタイヤにしたもの)よりも良好であるという結果になった。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
10 空気入りラジアルタイヤ
11 ビードコア
12 カーカス
13 交錯ベルト層
13M 中心ライン
14 スチールベルト(ベルトプライ)
14C コード
15 スチールベルト(ベルトプライ)
15C コード
16 ベルト保護層
16C コード
16M 中心ライン
33 交錯ベルト層
33M 中心ライン
34 スチールベルト
34C コード
35 スチールベルト
35C コード
36 ベルト保護層
36C コード
36M 中心ライン

Claims (4)

  1. 一対のビードコアに跨るカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に少なくとも2枚の交錯ベルトを有する交錯ベルト層と、を備えた空気入りラジアルタイヤであって、
    前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが右斜め上方向に沿って配置されている場合には前記交錯ベルト層の中心ラインが右側へオフセットされ、
    前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが左斜め上方向に沿って配置されている場合には前記交錯ベルト層の中心ラインが左側へオフセットされていることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記交錯ベルト層がスチール交錯ベルト層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記交錯ベルト層のタイヤ径方向外側にベルト保護層が配置され、
    前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが右斜め上方向に沿って配置されている場合には前記ベルト保護層の中心ラインが右側へオフセットされ、
    前記交錯ベルトのうちタイヤ径方向最外側のベルトプライのコードが左斜め上方向に沿って配置されている場合には前記ベルト保護層の中心ラインが左側へオフセットされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 乗用車用のタイヤであって、前記ベルト層及び前記ベルト保護層が1〜2mmの範囲内でオフセットされていることを特徴とする請求項3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
JP2009052208A 2009-03-05 2009-03-05 空気入りラジアルタイヤ Pending JP2010202126A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009052208A JP2010202126A (ja) 2009-03-05 2009-03-05 空気入りラジアルタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009052208A JP2010202126A (ja) 2009-03-05 2009-03-05 空気入りラジアルタイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010202126A true JP2010202126A (ja) 2010-09-16

Family

ID=42964043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009052208A Pending JP2010202126A (ja) 2009-03-05 2009-03-05 空気入りラジアルタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010202126A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20180043735A1 (en) * 2016-08-09 2018-02-15 Toyo Tire & Rubber Co., Ltd. Pneumatic tire
JP7476685B2 (ja) 2020-06-12 2024-05-01 住友ゴム工業株式会社 タイヤのシミュレーション方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20180043735A1 (en) * 2016-08-09 2018-02-15 Toyo Tire & Rubber Co., Ltd. Pneumatic tire
JP2018024300A (ja) * 2016-08-09 2018-02-15 東洋ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
CN107696799A (zh) * 2016-08-09 2018-02-16 东洋橡胶工业株式会社 充气轮胎
CN107696799B (zh) * 2016-08-09 2020-04-28 东洋橡胶工业株式会社 充气轮胎
US10773553B2 (en) 2016-08-09 2020-09-15 Toyo Tire Corporation Pneumatic tire
JP7476685B2 (ja) 2020-06-12 2024-05-01 住友ゴム工業株式会社 タイヤのシミュレーション方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9937755B2 (en) Motorcycle tire
JP2008189040A (ja) 自動二輪車用タイヤ
US20190061430A1 (en) Pneumatic radial tire
JP2012096666A (ja) 空気入りタイヤ
JP2010012881A (ja) 空気入りタイヤ
JP6423739B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6282930B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2016033009A (ja) 空気入りタイヤ
JP6825309B2 (ja) タイヤ及びそれを装着した自動三輪車
JP2010120478A (ja) 空気入りタイヤ
JP2010202126A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP6950371B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2010221820A (ja) 空気入りタイヤ
JP6950367B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP5444052B2 (ja) 自動二輪車用空気入りタイヤ
JP5293015B2 (ja) レーシングカート用バイアスタイヤ
JP5145646B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP2014076733A (ja) 自動二輪車用タイヤ
JP6950369B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP6907823B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP5724279B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP4601476B2 (ja) 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ
JP2016141317A (ja) 空気入りタイヤ
JP2016175598A (ja) 自動二輪車用タイヤ
CN104411511A (zh) 用于两轮车辆的轮胎胎体增强件