JP2010201665A - 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出ヘッドの加減速区間で液体を吐出させる構成において、着弾対象物上の記録画像等の品質の低下を抑制することが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】キャリッジ移動機構によって記録ヘッドを加速又は減速させながらインクの吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる吐出駆動パルスの形状を、記録ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出されるインクの量を増加させる。
【選択図】図7
【解決手段】キャリッジ移動機構によって記録ヘッドを加速又は減速させながらインクの吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる吐出駆動パルスの形状を、記録ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出されるインクの量を増加させる。
【選択図】図7
Description
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体吐出装置、及び、その制御方法に関するものであり、特に、液体吐出ヘッドの加減速区間で液体を吐出させることが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法に関するものである。
例えば、液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録紙等の記録媒体(着弾対象物)に対して吐出・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造装置等、各種の製造装置にも液体吐出装置が応用されている。
ここで、上記プリンターには、液体吐出ヘッドを着弾対象物に対して相対的に移動させながら、この移動に同期させつつインクを吐出させることで、着弾対象物(記録紙やその他のメディア)に画像等を記録する構成のものがある。このような構成のプリンターでは、着弾対象物に対して液滴を位置精度良く着弾させる必要があり、液体吐出ヘッドの実際の位置と制御上の位置とを一致させることが求められる。このため、液体吐出ヘッド(詳しくは、液体吐出ヘッドが搭載されているキャリッジ)の移動に伴ってパルス信号を出力するリニアーエンコーダーを設け、このリニアーエンコーダーからのエンコーダーパルスからタイミングパルス(以下、PTS(print timing signal)信号という。)を生成し、このPTS信号に同期させて印刷データの転送や、圧力発生手段を駆動するための吐出駆動パルスを含む駆動信号の発生等を行っている。このような制御を行うことで、液体吐出ヘッドの実際の位置と制御上の位置を高い精度で一致させることができ、着弾対象物に対するインクの着弾位置精度を高めることができる。
ここで、従来のプリンターでは、液体吐出ヘッドの加速或いは減速を着弾対象物における印刷領域から側方に外れた位置で行い、この加減速区間ではインクの吐出を行なっていなかった。ところが、近年、印刷速度の向上と装置の小型化の要請から、液体吐出ヘッドの移動距離(走査距離)を短くすべく、印刷領域上でも加減速を行い、この加減速区間でインクの吐出を行うことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、加減速区間でインクを吐出した場合、液体吐出ヘッドの移動速度が一定な定速区間に比べて液体吐出ヘッドの移動速度が遅いため、上記のエンコーダーパルスの発生間隔が長くなる。このため、PTS信号の発生間隔も長くなるので、これに応じて駆動信号の発生間隔も長くなり、着弾対象物上でドットの形成間隔が広がってしまう。これにより、着弾対象物に記録された画像に色ムラ等が生じて画質が低下してしまう問題があった。
また、定速区間の場合に比べて加減速区間における駆動信号の発生間隔が長くなるのに伴ってインクを吐出する間隔が長くなると、吐出されるインクの量が定速区間での場合よりも減少する問題がある。即ち、一般的に、比較的短い間隔でインクを連続的に吐出する場合、前側でのインクの吐出動作によって生じる残留振動を利用することで後側での吐出動作におけるインクの量が増加するようになっている。ところが、インクを吐出する間隔が長くなると、その分、前側での吐出動作による残留振動が減衰してその影響が小さくなるため、後側の吐出時におけるインクの量が低下する。これにより、定速区間と比べて加減速区間における単位面積あたりのインクの着弾量が減少し、着弾対象物に記録された画像等の画質の低下を招いていた。
また、定速区間の場合に比べて加減速区間における駆動信号の発生間隔が長くなるのに伴ってインクを吐出する間隔が長くなると、吐出されるインクの量が定速区間での場合よりも減少する問題がある。即ち、一般的に、比較的短い間隔でインクを連続的に吐出する場合、前側でのインクの吐出動作によって生じる残留振動を利用することで後側での吐出動作におけるインクの量が増加するようになっている。ところが、インクを吐出する間隔が長くなると、その分、前側での吐出動作による残留振動が減衰してその影響が小さくなるため、後側の吐出時におけるインクの量が低下する。これにより、定速区間と比べて加減速区間における単位面積あたりのインクの着弾量が減少し、着弾対象物に記録された画像等の画質の低下を招いていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体吐出ヘッドの加減速区間で液体を吐出させる構成において、着弾対象物上の記録画像等の品質の低下を抑制することが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、吐出駆動パルスによって圧力発生手段を駆動することで圧力発生室内に圧力変動を生じさせ、当該圧力変動によってノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記圧力発生室を膨張させる膨張要素、膨張した圧力発生室を一定時間維持する膨張維持要素、及び膨張した圧力発生室を収縮させる収縮要素を少なくとも有する吐出駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
前記液体吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、
を備えた液体吐出装置であって、
前記ヘッド移動手段によって液体吐出ヘッドを加速又は減速させながら液体の吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させるパルス補正手段を設けたことを特徴とする。
前記圧力発生室を膨張させる膨張要素、膨張した圧力発生室を一定時間維持する膨張維持要素、及び膨張した圧力発生室を収縮させる収縮要素を少なくとも有する吐出駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
前記液体吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、
を備えた液体吐出装置であって、
前記ヘッド移動手段によって液体吐出ヘッドを加速又は減速させながら液体の吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させるパルス補正手段を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させるので、加減速区間に対応する着弾対象物上の領域における単位面積あたりの液体の着弾量を、定速区間に対応する着弾対象物上の領域おける単位面積あたりの液体の着弾量に揃える、或いは、これよりも増加させることができる。これにより、着弾対象物上で液体の着弾位置が偏ることによって生じる空白(液体が着弾していない部分)を低減することができ、その結果、記録画像等の品質の低下を抑制することができる。
上記実施形態において、前記液体吐出ヘッドの移動に応じた位置情報を出力する位置情報出力手段を備え、
前記駆動信号発生手段は、前記吐出駆動パルスを含む駆動信号を、前記位置情報に基づく繰り返し周期毎に発生し、
前記パルス補正手段は、前記加減速区間において前記駆動信号単位で各吐出駆動パルスの形状を補正する構成を採用することが望ましい。
前記駆動信号発生手段は、前記吐出駆動パルスを含む駆動信号を、前記位置情報に基づく繰り返し周期毎に発生し、
前記パルス補正手段は、前記加減速区間において前記駆動信号単位で各吐出駆動パルスの形状を補正する構成を採用することが望ましい。
また、上記構成において、前記パルス補正手段は、前記加減速区間で発生する吐出駆動パルスの電圧変化の大きさを、定速区間で発生される吐出駆動パルスの電圧変化の大きさよりも大きくする構成を採用することが望ましい。
さらに、前記駆動信号が、前記吐出駆動パルスを複数含む構成を採用することができる。
この構成において、同一駆動信号に含まれる複数の吐出駆動パルスは、互いに同一の形状である構成を採用することができる。
この構成において、同一駆動信号に含まれる複数の吐出駆動パルスは、互いに同一の形状である構成を採用することができる。
また、本発明は、吐出駆動パルスによって圧力発生手段を駆動することで圧力発生室内に圧力変動を生じさせ、当該圧力変動によってノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記圧力発生室を膨張させる膨張要素、膨張した圧力発生室を一定時間維持する膨張維持要素、及び膨張した圧力発生室を収縮させる収縮要素を少なくとも有する吐出駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、前記液体吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
前記ヘッド移動手段によって液体吐出ヘッドを加速又は減速させながら液体の吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させることを特徴とする。
前記ヘッド移動手段によって液体吐出ヘッドを加速又は減速させながら液体の吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させることを特徴とする。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1はプリンター1の構成を示す斜視図である。このプリンター1は、液体吐出ヘッドとして記録ヘッド2が取り付けられると共に、インクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ4を記録紙6(着弾対象物の一種)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構7と、主走査方向に直交する副走査方向に記録紙6を搬送する紙送り機構8と、を備えて概略構成されている。
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。キャリッジ4の主走査方向の位置は、リニアーエンコーダー10によって検出され、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)がプリンターコントローラー31の制御部37(図4参照)に送信される。リニアーエンコーダー10は本発明における位置情報出力手段の一種であり、記録ヘッド2の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。本実施形態におけるリニアーエンコーダー10は、プリンター1の筐体内側に主走査方向へ張設されたスケール10a(エンコーダーフィルム)と、キャリッジ4の背面に取り付けられたフォトインタラプター(図示せず)とを備えている。スケール10aは透明な樹脂製フィルムによって作製された帯状部材であり、例えば、透明なベースフィルムの表面に帯幅方向を横断する不透明なストライプが複数印刷されたものである。各ストライプは、同じ幅とされ、帯長手方向に一定ピッチ、例えば180dpiに相当するピッチで形成されている。また、フォトインタラプターは、互いに対向配置された一対の発光素子と受光素子とによって構成され、スケール10aの透明部分での受光状態とストライプ部分での受光状態の差異に応じてエンコーダーパルスを出力するようになっている。
ストライプは同じ幅のものが一定ピッチで形成されているため、キャリッジ4の移動速度が一定であれば、エンコーダーパルスEPは一定間隔で出力される一方、キャリッジ4の移動速度が一定でない場合(加速中又は減速中)では、エンコーダーパルスEPの間隔はキャリッジの移動速度に応じて変化する。そして、このエンコーダーパルスEPは制御部37に入力されている。このため、制御部37は、受信したエンコーダーパルスEPに基づいてキャリッジ4に搭載された記録ヘッド2の走査位置を認識できる。即ち、例えば、受信したエンコーダーパルスEPをカウントすることで、キャリッジ4の位置を認識することができる。これにより、制御部37はこのリニアーエンコーダー10からのエンコーダーパルスEPに基づいてキャリッジ4(記録ヘッド2)の走査位置を認識しながら、記録ヘッド2による記録動作を制御することができる。
キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側の端部領域には、キャリッジの走査の基点となるホームポジションが設定されている。本実施形態におけるホームポジションには、記録ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート29:図3参照)を封止するキャッピング部材11と、ノズル形成面を払拭するためのワイパー部材12とが配置されている。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙6上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録が可能に構成されている。
図2及び3に示すように、記録ヘッド2は、圧力発生ユニット15と流路ユニット16とから構成されており、これらを重ね合わせた状態で一体化してある。圧力発生ユニット15は、圧力発生室17を区画するための圧力発生室プレート18、供給側連通口22及び第1連通口24aを開設した連通口プレート19、及び、圧電素子20を実装した振動板21と、を積層し、焼成等により一体化することで構成されている。また、流路ユニット16は、供給口23や第2連通口24bを形成した供給口プレート25、リザーバー26や第3連通口24cを形成したリザーバープレート27、及び、ノズル28が形成されたノズルプレート29からなるプレート部材を積層状態で接着することで構成されている。ノズルプレート29は、複数(例えば、180個)のノズル28が列設されてノズル列が構成されている。このノズル列は、例えば、インクの色毎に設けられる。
圧力発生室17とは反対側となる振動板21の外側表面には、圧力発生室17毎に対応して圧電素子20が配設される。例示した圧電素子20は撓み振動モードの振動子であり、駆動電極20aと共通電極20bとによって圧電体20cを挟んで構成されている。そして、圧電素子20の駆動電極に駆動信号(吐出駆動パルス)が印加されると、駆動電極20aと共通電極20bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体20cに付与され、圧電体20cが付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極20aの電位を高くする程、圧電体層20cは電場と直交する方向に収縮し、圧力発生室17の容積を減少させるように振動板21を変形させる。
図4は、プリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー31とプリントエンジン32とで概略構成されている。プリンターコントローラー31は、ホストコンピューター等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インターフェース(外部I/F)33と、各種データ等を記憶するRAM34と、各種制御のための制御プログラム等を記憶したROM35と、ROM35に記憶されている制御プログラムに従って各部の統括的な制御を行う制御部37と、クロック信号を発生する発振回路38と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路39(駆動信号発生手段の一種)と、印刷データをドット毎に展開することで得られたドットパターンデータや駆動信号等を記録ヘッド2に出力するための内部インターフェース(内部I/F)40と、を備えている。また、プリントエンジン32は、記録ヘッド2、キャリッジ移動機構7、紙送り機構8、及び、リニアーエンコーダー10から構成されている。
制御部37は、リニアーエンコーダー10から出力されるエンコーダーパルスEPからタイミングパルスPTSを生成するタイミングパルス生成手段として機能する。このタイミングパルスPTSは、駆動信号発生回路39が発生する駆動信号の発生開始タイミングを定める信号である。つまり、駆動信号発生回路39は、このタイミングパルスを受信する毎に繰り返し駆動信号を出力する。なお、例えば、タイミングパルスPTSを720dpiに対応する間隔で出力する場合、エンコーダーパルスEPが180dpiに対応する間隔で発生されているため、制御部37は、エンコーダーパルスEPを4逓倍することでタイミングパルスPTSを生成する。
また、制御部37は、印刷データのラッチタイミングを規定するラッチ信号LAT、及び、駆動信号に含まれる各吐出駆動パルスの選択タイミングを規定するチェンジ(又はチャンネル)信号CHを出力する。さらに、制御部37は、本発明のパルス補正手段の一種としても機能する。本発明に係るプリンター1は、キャリッジ4の加速移動中又は減速移動中(加減速区間)においても記録ヘッド2からインクを吐出して着弾対象物としての記録紙6の記録領域に画像やテキストの記録を行うことが可能に構成されている。これにより、印刷速度の向上を図ることができると共に、ヘッドの走査範囲を短くすることができるので、装置の小型化にも寄与することができる。その一方で、加減速区間では、何らの対策無しには後述する理由により記録画像の画質が低下するので、これを改善すべく、制御部37は、上記加減速区間において、キャリッジ4の速度に応じて吐出駆動パルスの駆動電圧を補正する。この制御の詳細については後述する。
上記の駆動信号発生回路39は、タイミングパルスPTSの受信毎に複数の吐出駆動パルスを含む駆動信号COMを発生する。換言すると、駆動信号発生回路39は、上記のエンコーダーパルスEPに基づく繰り返し周期毎に駆動信号COMを発生する。
図5は、本実施形態における駆動信号発生回路39が発生する駆動信号COMの構成の一例を説明する図である。なお、同図(a)は、後述する定速区間で発生される駆動信号COMの構成を示す図であり、同図(b)は、後述する加減速区間で発生される駆動信号COMの構成の一例を示す図である。本実施形態における駆動信号COMは、3つの吐出駆動パルスを記録周期(繰り返し周期)T内に有する一連の信号であり、記録周期Tで繰り返し発生される。本実施形態において、駆動信号COMの一記録周期Tは、3つの期間(パルス発生期間)t1〜t3に区分されている。そして、期間t1で第1吐出駆動パルスP1が発生し、期間t2で第2吐出駆動パルスP2が発生し、期間t3で第3吐出駆動パルスP3が発生する。
図5は、本実施形態における駆動信号発生回路39が発生する駆動信号COMの構成の一例を説明する図である。なお、同図(a)は、後述する定速区間で発生される駆動信号COMの構成を示す図であり、同図(b)は、後述する加減速区間で発生される駆動信号COMの構成の一例を示す図である。本実施形態における駆動信号COMは、3つの吐出駆動パルスを記録周期(繰り返し周期)T内に有する一連の信号であり、記録周期Tで繰り返し発生される。本実施形態において、駆動信号COMの一記録周期Tは、3つの期間(パルス発生期間)t1〜t3に区分されている。そして、期間t1で第1吐出駆動パルスP1が発生し、期間t2で第2吐出駆動パルスP2が発生し、期間t3で第3吐出駆動パルスP3が発生する。
次に、この記録ヘッド2の電気的構成について説明する。この記録ヘッド2は、図4に示すように、第1シフトレジスター41及び第2シフトレジスター42からなるシフトレジスター(SR)回路と、第1ラッチ回路43及び第2ラッチ回路44からなるラッチ回路と、デコーダー45と、制御ロジック46と、レベルシフター47と、スイッチ48と、圧電素子20とを備えている。そして、各シフトレジスター41,42、各ラッチ回路43,44、レベルシフター47、スイッチ48、及び、圧電素子20は、それぞれノズル28毎に対応した数だけ設けられる。なお、図4では、1ノズル分の構成のみを図示し、他のノズル分の構成の図示は省略している。
この記録ヘッド2は、プリンターコントローラー31から送られてくる印刷データ(画素データ)SIに基づいてインクの吐出制御を行う。本実施形態では、2ビットで構成された印刷データSIの上位ビット群、印刷データSIの下位ビット群の順に記録ヘッド2へクロック信号CLKに同期して送られてくるので、まず、印刷データSIの上位ビット群が第2シフトレジスター42にセットされる。全てのノズル28について印刷データSIの上位ビット群が第2シフトレジスター42にセットされると、次にこの上位ビット群が第1シフトレジスター41にシフトする。これと同時に、印刷データSIの下位ビット群が第2シフトレジスター42にセットされる。
第1シフトレジスター41の後段には、第1ラッチ回路43が接続され、第2シフトレジスター42の後段には、第2ラッチ回路44が接続されている。そして、プリンターコントローラー31側からのラッチパルスが各ラッチ回路43,44に入力されると、第1ラッチ回路43は印刷データSIの上位ビット群をラッチし、第2ラッチ回路44は印刷データSIの下位ビット群をラッチする。各ラッチ回路43,44でラッチされた印刷データSI(上位ビット群,下位ビット群)はそれぞれ、デコーダー45へ出力される。このデコーダー45は、印刷データSIの上位ビット群及び下位ビット群に基づいて、駆動信号COMを構成する各パルスを選択するためのパルス選択データを生成する。このパルス選択データは、例えば、図5の駆動信号COMの場合、第1吐出駆動パルスP1(期間t1)、第2吐出駆動パルスP2(期間t2)、第3吐出駆動パルスP3(期間t3)に対応する合計3ビットのデータによって構成されている。
デコーダー45によって生成された各パルス選択データは、制御ロジック46による制御の下、上位ビット側から順次レベルシフター47に入力される。このレベルシフター47は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが[1]の場合には、スイッチ48を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。
スイッチ48の入力側には駆動信号発生回路39からの駆動信号COMが供給される。また、スイッチ48の出力側には、圧電素子20が接続されている。即ち、スイッチ48は、圧電素子20への駆動信号COMの供給・非供給の切り替えを行うように構成されている。そして、このような動作をするスイッチ48は、選択供給手段として機能する。上記のパルス選択データは、スイッチ48の作動を制御する。即ち、スイッチ48に入力されたパルス選択データが[1]である期間中は、このスイッチ48が導通状態になり、駆動信号COMが圧電素子20に供給される。一方、スイッチ48に入力されたパルス選択データが[0]の期間中は、スイッチ48が切断状態となり、圧電素子20へは駆動信号が供給されない。要するに、パルス選択データとして[1]が設定された期間のパルスが選択的に圧電素子20に供給される。このようなスイッチ制御により、駆動信号COMに含まれる吐出駆動パルスを圧電素子20へ印加させることができる。すなわち、駆動信号COMの一部分を、選択的に圧電素子20へ印加させることができる。この例では、繰り返し周期(記録周期)Tの開始タイミング(ラッチ信号LATのラッチパルスのタイミング)の後のt1〜t3間の境界のタイミング(チェンジ信号CHのチェンジパルスのタイミング)で、圧電素子20に印加させるパルスを切り替えることができる。
駆動信号COMに含まれる各吐出駆動パルスP1〜P3は、膨張要素p1と、膨張ホールド要素p2(膨張維持要素)と、収縮要素p3(吐出要素)と、制振ホールド要素p4と、制振要素p5とからなる。膨張要素p1は、圧力発生室17の定常容積(膨張又は収縮の基準となる容積)に対応する中間電位VB(基準電位)から膨張電位VLまで一定勾配で電位を下降させる波形要素であり、膨張ホールド要素p2は、膨張電位VLで一定な波形要素である。収縮要素p3は、膨張電位VLから収縮電位VHまで急勾配で電位を上昇させる波形要素であり、制振ホールド要素p4は、収縮電位VHを所定期間維持する波形要素である。また、制振要素p5は収縮電位VHから中間電位VBまで一定勾配で電位を復帰させる波形要素である。
このように構成された吐出駆動パルスが圧電素子20に供給されると、まず、膨張要素p1によって圧電素子20は圧力発生室17から離隔する方向に撓み、これにより圧力発生室17が中間電位VBに対応する定常容積から膨張電位VLに対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、メニスカスが圧力発生室17側に大きく引き込まれると共に、圧力発生室17内にはリザーバー26側から供給口を通じてインクが供給される。そして、この圧力発生室17の膨張状態は、膨張ホールド要素p2の供給期間中に亘って維持される。その後、収縮要素p3が印加されることで圧電素子20が圧力発生室17側に撓む。この圧電素子20の変位により、圧力発生室17は膨張容積から収縮電位VHに対応する収縮容積まで急激に収縮される。この圧力発生室17の急激な収縮により圧力発生室17内のインクが加圧され、ノズル28から規定量(例えば、数ng〜十数ng)のインクが吐出される。圧力発生室17の収縮状態は、制振ホールド要素p4の供給期間に亘って維持され、この間に、インクの吐出によって減少した圧力発生室17内のインク圧力は、その固有振動によって再び上昇する。この上昇タイミングにあわせて制振要素p5が供給されるように調整されている。この制振要素p5の供給により、圧力発生室17が定常容積まで膨張復帰し、圧力発生室17内のインクの圧力変動(残留振動)が吸収される。
ここで、図6は、記録ヘッド2の移動速度に対応させてタイミングパルスPTSと駆動信号を示したタイミングチャートである。また、図7は、加速区間と定速区間(何れも一部のみを図示)におけるドットの着弾位置を示す模式図である。なお、以下では、駆動信号COMに含まれる全ての吐出駆動パルスP1〜P3を圧電素子20に順次印加することでノズル28から連続的にインクを吐出させて、これらを記録紙6上に着弾させて大ドットを形成し、この大ドットにより記録紙6上の所定の領域を塗りつぶす構成を例示する。
上述したように、本発明に係るプリンター1は、キャリッジ4の加速移動中又は減速移動中(加減速区間)においても記録ヘッド2からインクを吐出して着弾対象物としての記録紙6の記録領域に画像やテキストの記録を行うように構成されている。ところが、加減速区間では、キャリッジ4の移動速度が定速区間の移動速度よりも遅いため、これに基づくエンコーダーパルスEPの発生間隔が長くなってしまう。そして、駆動信号発生回路39は、このエンコーダーパルスEPに基づくタイミングパルスPTSの受信を条件に駆動信号COMを出力する構成であるため、駆動信号COMの発生周期(記録周期)も長くなってしまう。このため、何の対策を施さないプリンターでは、図7(a)に示すように、記録紙6上で大ドット同士の形成間隔B1が大きくなり空白が生じてしまう。これにより、着弾対象物に記録された画像に色ムラ等が生じて画質が低下してしまう問題があった。また、定速区間では、加減速間の場合よりも記録周期が短いので、前側の記録周期でのインクの吐出動作によって生じる残留振動を利用することで後側の記録周期での吐出動作におけるインクの量が増加するようになっている。ところが、加減速区間では、記録周期の間隔が長くなるので、その分、前側の記録周期での残留振動が減衰してその影響が小さくなるため、後側の記録周期における特に先頭の吐出駆動パルスによって吐出されるインクの量が低下する。これにより、定速区間と比べて加減速区間における単位面積あたりのインクの着弾量が減少し、着弾対象物に記録された画像等の画質の低下を招いていた。
そこで、本発明に係るプリンター1では、加減速区間において、当該加減速区間で発生する駆動信号COMの各吐出駆動パルスの形状を、定速区間で発生される駆動信号COMの吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出されるインクの量を増加させるようにしている。即ち、パルス補正手段として機能する制御部37は、加減速区間において、キャリッジ4の移動速度が遅い程、図5(b)に示すように、定速区間で発生される各吐出駆動パルスの電圧変化の大きさと比較して、各吐出駆動パルスの電圧変化の大きさをより大きくする。具体的には、定速区間における各吐出駆動パルスの駆動電圧Vd(最低電位である膨張電位VLから最高電位である収縮電位VHまでの電位差であり、目標とするインクの重量を得るための適正電圧値)と比較して、加減速区間の駆動信号COM内の各吐出駆動パルスの駆動電圧Vd′を、キャリッジ4の移動速度に応じてより高めるように補正する(Vd′>Vd)。本実施形態では、キャリッジ4の移動位置(タイミングパルスPTSのカウント数)と吐出駆動パルスの駆動電圧Vdとを対応付けた補正テーブルをプリンター1の記憶手段に記憶させておき、制御部37は、この補正テーブルに基づいて、加減速区間の吐出駆動パルスの駆動電圧Vd′を補正する。
これにより、加速区間でキャリッジの移動速度が遅い程、吐出されるインクの量が増加するので、図7(b)に示すように、加速区間に対応する記録紙6上の領域に形成されるドットの大きさが全体的に大きくなるので、大ドット同士の間隔B2が小さくなり、空白の面積を小さくすることができる。つまり、加減速区間に対応する記録紙6上の領域における単位面積あたりのインクの着弾量を、定速区間に対応する記録紙6上の領域おける単位面積あたりのインクの着弾量に揃える、或いは、これよりも増加させることができる。これにより、記録紙上でインクの着弾位置が偏ることによって生じる大ドット同士の間隔B2が空白(液体が着弾していない部分)を低減することができ、その結果、記録画像等の品質の低下を抑制することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態においては、駆動信号COM内に3つの吐出駆動パルスを含ませる構成を例示したが、これには限られない。例えば、2つ以下、或いは4つ以上の吐出駆動パルスを駆動信号COM内に含ませる構成を採用することもできる。
また、上記実施形態においては、キャリッジ4の移動速度が遅い程、各吐出駆動パルスの電圧変化の大きさをより大きくすることにより、加減速区間において吐出されるインクの量を増加させるようにした構成を例示したが、これには限られない。例えば、膨張要素p1や収縮要素p3の傾きをより急峻にしたり、膨張ホールド要素p2の時間幅(圧電素子20への印加時間)を調整したりすることで、加減速区間において吐出されるインクの量を増加させるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、圧力発生手段として、圧力発生室17の一方の面に設けられた所謂撓み振動型の圧電素子20を例示したが、これには限られず、同様な吐出駆動パルスを採用して駆動するものであれば、所謂縦振動型の圧電素子等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
さらに、以上では、液体吐出装置の一種であるインクジェット式プリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、液体吐出ヘッドを着弾対象物に対して移動させながら液体の吐出を行う液体吐出装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルターを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,ごく少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。
1…プリンター,2…記録ヘッド,4…キャリッジ,7…キャリッジ移動機構,10…リニアーエンコーダー,20…圧電素子,28…ノズル,37…制御部,39…駆動信号発生回路
Claims (6)
- 吐出駆動パルスによって圧力発生手段を駆動することで圧力発生室内に圧力変動を生じさせ、当該圧力変動によってノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記圧力発生室を膨張させる膨張要素、膨張した圧力発生室を一定時間維持する膨張維持要素、及び膨張した圧力発生室を収縮させる収縮要素を少なくとも有する吐出駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
前記液体吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、
を備えた液体吐出装置であって、
前記ヘッド移動手段によって液体吐出ヘッドを加速又は減速させながら液体の吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させるパルス補正手段を設けたことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記液体吐出ヘッドの移動に応じた位置情報を出力する位置情報出力手段を備え、
前記駆動信号発生手段は、前記吐出駆動パルスを含む駆動信号を、前記位置情報に基づく繰り返し周期毎に発生し、
前記パルス補正手段は、前記加減速区間において前記駆動信号単位で各吐出駆動パルスの形状を補正することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記パルス補正手段は、前記加減速区間で発生する吐出駆動パルスの電圧変化の大きさを、定速区間で発生される吐出駆動パルスの電圧変化の大きさよりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記駆動信号は、前記吐出駆動パルスを複数含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体吐出装置。
- 同一駆動信号に含まれる複数の吐出駆動パルスは、互いに同一の形状であることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
- 吐出駆動パルスによって圧力発生手段を駆動することで圧力発生室内に圧力変動を生じさせ、当該圧力変動によってノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記圧力発生室を膨張させる膨張要素、膨張した圧力発生室を一定時間維持する膨張維持要素、及び膨張した圧力発生室を収縮させる収縮要素を少なくとも有する吐出駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、前記液体吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
前記ヘッド移動手段によって液体吐出ヘッドを加速又は減速させながら液体の吐出動作を行う加減速区間において、当該加減速区間で用いる前記吐出駆動パルスの形状を、液体吐出ヘッドを定速移動させつつ吐出動作を行う定速区間で使用される吐出駆動パルスの形状を基準として補正することにより、加減速区間において吐出される液体の量を増加させることを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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JP2009047492A JP2010201665A (ja) | 2009-03-02 | 2009-03-02 | 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法 |
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JP2004050771A (ja) * | 2002-07-24 | 2004-02-19 | Seiko Epson Corp | インク吐出駆動信号生成方法、記録ヘッド制御装置、該記録ヘッド制御装置を備えたインクジェット式記録装置、及びインク吐出駆動信号生成プログラム |
JP2007190694A (ja) * | 2006-01-17 | 2007-08-02 | Seiko Epson Corp | 液体噴射装置 |
-
2009
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