JP2011235459A - 液体噴射装置、及び、その制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル列毎に特性ばらつきが生じていても、液体流路内に存在する気泡の排出性を確保することが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法を提供する。
【解決手段】プリンターコントローラーは、フラッシング用駆動信号COM1を発生可能であり、フラッシング用駆動信号は、単位周期T内に複数のフラッシング用駆動パルスFLP11を含み、時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスの対の間隔phを対毎に異ならせることにより圧電振動子の駆動状態が可変な駆動信号であり、プリンターコントローラーは、ノズル列に対応した圧電振動子毎に、フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを、駆動状態を変化させながら順次印加する。
【選択図】図6

Description

本発明は、ノズルに連通する圧力室に圧力変動を与えて、圧力室内の液体をノズルから噴射させる液体噴射ヘッドを備えるインクジェット式プリンター等の液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法に関する。
液体噴射装置は、液体を噴射(吐出)可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液滴状のインクを記録紙等の記録媒体(噴射対象)に対して噴射・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、或いはFED(面発光ディスプレイ)等のディスプレイ製造装置においては、色材や電極等の液体状の各種材料を、画素形成領域や電極形成領域等に対して噴射するためのものとして、液体噴射装置が用いられている。
上記の記録ヘッドでは、液体状のインクを封入したインクカートリッジなどの液体貯留部からのインクが導入されると共に、リザーバーから圧力室を経てノズルに至る一連の液体流路が形成された流路ユニットや圧力室の容積を変動可能な圧力発生素子を有するアクチュエーターユニットなどを備えている。この記録ヘッドでは、自然蒸発によるインクの増粘や、インクに混入した気泡の圧力変動の吸収による圧力損失などによって、ノズルからインクが噴射されない、所謂ドット抜けや飛翔曲がりが発生する虞があり、記録ヘッドがインクの噴射不良を発生させる等の不具合を招く問題があった。
このようなインクの噴射不良を防止するため、種々のフラッシング処理が実行されている。例えば、フラッシング用駆動パルスを圧力発生素子に印加して圧力発生素子を駆動させることで圧力室内に圧力変化を与えてノズルから液滴の空吐出を行う(以下、フラッシングという)ことによって、増粘したインクやインクに混入した気泡を強制的に除去することが行われている。
ところで、液体の粘度は、温度に応じて変化する。このため、フラッシング用駆動パルスを圧力発生素子に印加した際の気泡の排出性が変化する。このような温度変化に対応するために、圧力室を膨張させる第1のパルス部分と、膨張した圧力室を収縮させる第2のパルス部分と、第1のパルス部分と第2のパルス部分との間で膨張した圧力室の容積を保持(維持)する中間パルス部分とを含んでフラッシング用駆動パルスを構成し、記録ヘッドまたは記録ヘッド周辺の環境温度に応じて中間パルス部分の時間幅を調整(変更)することによって、フラッシング用駆動パルスを圧力発生素子に印加した際に圧力室に与える圧力変動を温度変化に応じて変化させて、圧力室内の気泡の排出性を向上させることが可能なプリンターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−286074号公報
しかしながら、上記プリンターにおいても、記録ヘッドの製造時に、液体流路や圧力発生素子の寸法などが予め設定された設計値に対して誤差が生じることがあり、この結果、ノズル列(より詳しくはノズル)毎に、このような製造誤差に起因する特性ばらつきが生じる。この特性とは、例えば、圧力室内のインクに生じるヘルムホルツ共振周期(固有振動周期Tc)や、ノズル列毎に圧力発生手段が異なる場合において特定の電圧を印加したときの各圧力発生手段の変位量等である。このため、このような特性ばらつきを有する記録ヘッドに対して、上記したフラッシング用駆動パルスを用いて一律にフラッシングを行うと、ノズル列毎に気泡の排出性にばらつきが生じる可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズル列毎に特性ばらつきが生じていても、液体流路内に存在する気泡の排出性を確保することが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、複数のノズルから構成されるノズル群を複数列設し、各ノズルに連通する圧力室の容積を変動させる圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動する駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生部と、を備えた液体噴射装置であって、
前記駆動信号発生部は、フラッシング用駆動信号を発生可能であり、
前記フラッシング用駆動信号は、当該フラッシング用駆動信号の繰り返し周期である単位周期内に、複数のフラッシング用駆動パルスを含み、
時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスの対の間隔を対毎に異ならせ、駆動電圧をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせ、又は、フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせるかの何れかにより前記圧力発生手段の駆動状態が可変な駆動信号であり、
前記駆動信号発生部は、前記ノズル群に対応した前記圧力発生手段毎に、前記フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを、駆動状態を変化させながら順次印加することを特徴する。
また、「駆動電圧」とは、フラッシング用駆動パルスの最低電位から最高電位までの電位差を意味する。
上記構成よれば、駆動信号発生部は、液体噴射ヘッドの液体流路内の気泡を除去するためのフラッシング用駆動信号を発生可能であり、フラッシング用駆動信号は、当該フラッシング用駆動信号の繰り返し周期である単位周期内に、複数のフラッシング用駆動パルスを含み、時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスの対の間隔を対毎に異ならせ、駆動電圧をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせ、又は、フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせるかの何れかにより圧力発生手段の駆動状態が可変な駆動信号であり、駆動信号発生部は、ノズル群に対応した圧力発生手段毎に、フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを順次印加するので、製造誤差などによってノズル群毎に特性ばらつきがある場合においても、各ノズル群に対応する液体流路内に存在する気泡の排出性を確保し、各ノズル群に対して噴射能力を回復させることができる。即ち、フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを順次印加することで、圧力発生手段の駆動状態が単位周期内で変化するので、各ノズル群の特性に応じた効果的な駆動状態を得ることができる。これにより、ノズル群毎の特性ばらつきによらず、各ノズル群の噴射能力を回復させることができる。
上記構成において、前記フラッシング用駆動パルスの対の間隔が、次第に広がり又は次第に狭くなることが望ましい。
この構成によれば、フラッシング用駆動パルスの対の間隔が、次第に広がり又は次第に狭くなるので、この駆動状態の変化の中で、対のうちの前側のフラッシング用駆動パルスによって圧力発生手段を駆動したときに圧力室内に生じる圧力振動と、後側のフラッシング用駆動パルスによって圧力発生手段を駆動したときに圧力室内に生じる圧力振動とが共振する状態を得ることができる。これにより、気泡の排出性を向上させることができる。
また、フラッシング用駆動パルスの種類を増やすことなく、フラッシング用駆動信号を構成することができる。
また、前記フラッシング用駆動パルスの駆動電圧が、次第に高まり又は次第に低くなる構成を採用することができる。
この構成によれば、フラッシング用駆動パルスの駆動電圧が、次第に高まり又は次第に低くなるので、この駆動状態の変化の中で気泡を液体中に溶解させるために効果的な圧力変動を得ることができる。これにより、気泡の排出性を向上させることができる。
さらに、前記フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅が、次第に長くなり又は次第に短くなる構成を採用することができる。
この構成によれば、フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅が、次第に長くなり又は次第に短くなるので、この駆動状態の変化の中で気泡を液体中に溶解させるために効果的な圧力変動を得ることができる。これにより、気泡の排出性を向上させることができる。
また、回路の負担を増加することなく、圧力発生手段の駆動状態を変化させながら各フラッシング用駆動パルスを順次印加することができる。
また、本発明の液体噴射装置の制御方法は、複数のノズルから構成されるノズル群を複数列設し、各ノズルに連通する圧力室の容積を変動させる圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動する駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生部と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記駆動信号発生部は、フラッシング用駆動信号を発生可能であり、
前記フラッシング用駆動信号は、当該フラッシング用駆動信号の繰り返し周期である単位周期内に、複数のフラッシング用駆動パルスを含み、
時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスの対の間隔を対毎に異ならせ、駆動電圧をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせ、又は、フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせるかの何れかにより前記圧力発生手段の駆動状態が可変な駆動信号であり、
前記駆動信号発生部は、前記ノズル群に対応した前記圧力発生手段毎に、前記フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを、駆動状態を変化させながら順次印加することを特徴する。
この制御方法によれば、製造誤差などによってノズル群毎に特性ばらつきがある場合においても、各ノズル群に対応する液体流路内に存在する気泡の排出性を確保し、各ノズル群に対して噴射能力を回復させることができる。即ち、フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを順次印加することで、圧力発生手段の駆動状態が単位周期内で変化するので、各ノズル群の特性に応じた効果的な駆動状態を得ることができる。これにより、ノズル群毎の特性ばらつきによらず、各ノズル群の噴射能力を回復させることができる。
プリンターの概略構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドを圧力発生ユニット側から見た斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 プリンターの電気的な構成を説明するブロック図である。 フラッシング用駆動パルスの基本構成を説明する波形図である。 第1実施形態に係るフラッシング用駆動信号の構成を説明する図である。 第2実施形態に係るフラッシング用駆動信号の構成を説明する波形図である。 第3実施形態に係るフラッシング用駆動信号の構成を説明する波形図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、図1に示すインクジェット式記録装置(以下、プリンターと略記する)に適用した場合を例示する。
プリンター1は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、インク(本発明の液体の一種)を貯留するインクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、記録ヘッド2が搭載されたキャリッジ4を記録紙6(着弾対象の一種)の紙幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、紙幅方向に直交する方向である紙送り方向に記録紙6を搬送する紙送り機構8等を備えて概略構成されている。ここで、紙幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)であり、紙送り方向とは、副走査方向(即ち、ヘッド走査方向に直交する方向)である。
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。キャリッジ4の主走査方向の位置は、リニアエンコーダー10によって検出され、検出信号が位置情報として制御部46(図4参照)に送信される。これにより、制御部46はこのリニアエンコーダー10からの位置情報に基づいてキャリッジ4(記録ヘッド2)の走査位置を認識しながら、記録ヘッド2による記録動作(噴射動作)等を制御することができる。
キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側(図1における右側)の端部領域には、走査の基点となるホームポジションが設定されている。本実施形態におけるホームポジションには、記録ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート36:図3参照)を封止するキャッピング機構12と、ノズル形成面を払拭するためのワイパー部材13とが配置されている。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4(記録ヘッド2)が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙6上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録が可能に構成されている。なお、キャッピング機構12は、インク滴の空吐出(捨て打ち)を行うことで、増粘したインクやインクに残存した気泡を排除(除去)するための後述するフラッシング処理においてインク滴を受けるインク受け部として用いられる。
次に、記録ヘッド2の構成について説明する。ここで、図2は、記録ヘッド2を圧力発生ユニット側から見た斜視図、図3は、記録ヘッド2の要部断面図である。例示した記録ヘッド2は、圧力発生ユニット(又はアクチュエーターユニット)19と、流路ユニット20とから構成されており、これらを重ね合わせた状態で一体化してある。圧力発生ユニット19は、圧電振動子26(本発明における圧力発生手段に相当)と、振動板27と、圧力室(圧力発生室)21を区画するための圧力室プレート22とを積層し、焼成等により一体化することで構成されている。
また、流路ユニット20は、供給口30や第2連通口31を形成した供給口形成プレート32と、リザーバー33及び第1連通口34を形成したリザーバープレート35とを積層することで構成されている。また、リザーバープレート35の供給口形成プレート32とは反対側の面には、ノズル(ノズル開口)28が形成されたノズルプレート36を設けている。
振動板27は、弾性を有する板材で構成されている。圧力室21とは反対側となる振動板27の外側表面には、各圧力室21に対応した状態で複数の圧電振動子26が配設される。例示した圧電振動子26は撓み振動モードの振動子であり、駆動電極26aと共通電極26bとによって圧電体26cを挟んで構成されている。そして、圧電振動子26の駆動電極に駆動信号が印加されると、駆動電極26aと共通電極26bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体26cに付与され、圧電体26cが付与された電場の強さに応じて変形する。
圧力室プレート22は、圧力室21を形成するのに適した厚さのセラミックス材の薄板、例えばアルミナやジルコニア等によって構成され、圧力室21を区画するための空部がプレートの厚さ方向に貫通した状態で形成されている。圧力室21は、ノズルプレート36のノズル28のピッチと同じ一定のピッチで列状に開設され、列設方向と直交する左右方向に細長い空部である。
供給口形成プレート32は、図3に示すように、ステンレス材等の金属材料によって構成された薄手の板状部材である。この供給口形成プレート32には、板厚方向を貫通する供給口30が複数開設されている。また、板厚方向を貫通する第2連通口31が、リザーバープレート35の第1連通口34に対応させて形成されている。供給口30は、インク流路(液体流路)内のインクに対して流体抵抗(流動抵抗)を付与する部分である。この供給口30に関し、リザーバー33側の口径が圧力室21側の口径よりも狭くなっている。この供給口30はプレス加工によって形成される。また、供給口形成プレート32には、肉厚を他の部分よりも十分に薄くしたコンプライアンス部38が形成されている。このコンプライアンス部38は、エッチングなどによってリザーバープレート35のリザーバー33に対応する領域内をリザーバー33とは反対面側から板厚方向に窪ませて凹部39を形成することで作製されている。
リザーバープレート35は、ステンレス材等の金属材料によって構成された板状部材である。このリザーバープレート35には、リザーバー33を区画するための空部が板厚方向を貫通した状態で形成されている。この空部がリザーバー33を区画形成する。このリザーバー33は、複数の圧力室21に共通な液室として機能する部分であり、インクの種類(色)毎に設けられ、インクカートリッジ3から供給されるインクを貯留する。また、リザーバープレート35には、板厚方向を貫通する第1連通口34が上記の第2連通口31に対応させて複数形成されている。
ノズルプレート36は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル28を列状に穿設した金属製の薄いプレートである。本実施形態では、このノズルプレート36をステンレス製の板材によって構成し、複数のノズル28からなるノズル列(本発明におけるノズル群の一種)を複数設けている。そして、1つのノズル列は、例えば180個のノズル28によって構成される。そして、本実施形態における記録ヘッド2は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の合計4種類のインクを吐出可能に構成されており、第1ノズル列から第4ノズル列までの合計4列のノズル列が、各色に対応させてノズルプレート36に形成されている。なお、ノズルプレート36は金属材料以外にも、有機プラスチックフィルムやSi(シリコン)等から構成してもよい。
そして、各プレート部材は、圧力発生ユニット19と供給口形成プレート32との間、供給口形成プレート32とリザーバープレート35との間、およびリザーバープレート35とノズルプレート36との間を接合して一体化される。これにより、図3に示すように、リザーバー33と圧力室21の他端部とが、供給口30を通じて連通する。また、圧力室21の一端部とノズル28とが、リザーバープレート35の第1連通口34および供給口形成プレート32の第2連通口31を通じて連通する。そして、リザーバー33から圧力室21を通って圧力発生ユニット19とノズル28とを連通する一連のインク流路がノズル28毎に形成される。
上記構成の記録ヘッド2では、圧電振動子26を変形させることで対応する圧力室21が収縮或いは膨張し、圧力室21内のインクに圧力変動が生じる。このインク圧力を制御することで、ノズル28からインクを噴射させることができる。インクを噴射するのに先だって定常容積の圧力室21を予備的に膨張させるとリザーバー33側から供給口30を通じて圧力室21内にインクが供給される。また、予備膨張の後に圧力室21を急激に収縮させるとノズル28からインクが噴射される。
次に、プリンター1の電気的な構成を説明する。
図4は、プリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー40(本発明における駆動信号発生部に相当)とプリントエンジン41とで概略構成されている。プリンターコントローラー40は、ホストコンピューター等の外部装置からのデータが入力される外部インターフェース(外部I/F)42と、各種データ等を記憶するRAM43と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM44と、各部の制御を行う制御部46と、クロック信号を発生する発振回路47と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路48と、印刷データ(ドットパターンデータ)や駆動信号等を記録ヘッド2に出力するための内部インターフェース(内部I/F)49と、を備えている。
制御部46は、外部装置から外部I/F42を通じて受信した印刷データをドットパターンデータに変換し、このドットパターンデータを内部I/F49を通じて記録ヘッド2側に出力する。このドットパターンデータは、階調データをデコード(翻訳)することにより得られる印刷データによって構成されている。また、制御部46は、発振回路からのクロック信号に基づいて記録ヘッド2に対してラッチ信号LAT、チェンジ信号CHを供給する。これらのラッチ信号やチェンジ信号は、駆動信号COMを構成する各パルスの供給タイミングを規定する。
次に、プリントエンジン41側の構成について説明する。プリントエンジン41は、記録ヘッド2と、キャリッジ移動機構7と、紙送り機構8と、リニアエンコーダー10と、から構成されている。記録ヘッド2は、シフトレジスター(SR)50、ラッチ51、デコーダー52、レベルシフター(LS)53、スイッチ54、及び圧電振動子26を、各ノズル28に対応させて複数備えている。プリンターコントローラー40からのドットパターンデータは、発振回路47からのクロック信号(CK)に同期して、シフトレジスター50にシリアル伝送される。このドットパターンデータは、2ビットのデータであり、例えば、非記録(微振動)、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調の記録諧調を表す諧調情報によって構成されており。具体的には、非記録が[00]、小ドットは[01]、中ドットが[10]と、大ドットが[11]と表される。
シフトレジスター50には、ラッチ51が電気的に接続されており、プリンターコントローラー40からのラッチ信号(LAT)がラッチ51に入力されると、シフトレジスター50のドットパターンデータをラッチする。このラッチ51にラッチされたドットパターンデータは、デコーダー52に入力される。このデコーダー52は、2ビットのドットパターンデータを翻訳してパルス選択データを生成する。本実施形態におけるパルス選択データは、合計2ビットのデータによって構成されている。
そして、デコーダー52は、ラッチ信号(LAT)又はチャンネル信号(CH)の受信を契機にパルス選択データをレベルシフター53に出力する。この場合、パルス選択データは、上位ビットから順にレベルシフター53に入力される。このレベルシフター53は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが「1」の場合、スイッチ54を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。レベルシフター53で昇圧された「1」のパルス選択データは、スイッチ54に供給される。このスイッチ54の入力側には、駆動信号発生回路48からの駆動信号COMが供給されており、スイッチ54の出力側には、圧電振動子26が接続されている。
そして、パルス選択データは、スイッチ54の作動、つまり、駆動信号中の噴射パルスの圧電振動子26への供給を制御する。例えば、スイッチ54に入力されるパルス選択データが「1」である期間中は、スイッチ54が接続状態になって、対応する噴射パルスが圧電振動子26に供給され、この噴射パルスの波形に倣って圧電振動子26の電位レベルが変化する。一方、パルス選択データが「0」である期間中は、レベルシフター53からはスイッチ54を作動させるための電気信号が出力されない。このため、スイッチ54は切断状態となり、圧電振動子26へは噴射パルスが供給されない。
ここで、記録ヘッド2のインク流路内のインクに残存する気泡について説明する。プリンター1は、インクカートリッジ3からのインクの初期充填時や記録処理によってノズル28内のメニスカス(インクの自由表面)が急激に振動することなどでインクに気泡が混入する場合がある。そして、このような気泡が圧力変動を吸収することによって、ノズル28からインクが噴射されない、所謂ドット抜けや飛翔曲がり等の吐出不良が発生する虞があった。そのため、プリンター1は、噴射駆動パルスを用いて記録紙6に対してインクを噴射させてテキストや画像等の印刷を行なう記録処理(印刷処理)の後や記録処理の実行中において一定間隔毎などに、記録ヘッド2をホームポジションのキャップ機構12やプラテン上に設けられたフラッシングポイントと呼ばれるインクを受ける位置に移動させてインク受け部に相対させた状態で、フラッシング処理としてフラッシングを実行する。このフラッシングでは、後述するフラッシング用駆動パルスFLPを圧電振動子26に繰り返し印加することによって、増粘したインクやインクに混入した気泡を強制的に除去する。
図5は、フラッシング用駆動パルスFLPの基本構成を説明する波形図である。なお、同図において、縦軸は駆動信号の電位である。また、横軸は時間である。
プリンター1は、フラッシングに用いるフラッシング用駆動パルスFLPを、繰り返し周期である単位周期T内に1つ又は複数含むフラッシング用駆動信号COMを駆動信号発生回路48から発生可能に構成されている。このフラッシング用駆動パルスFLPは、記録紙6に対してインクを噴射するための噴射駆動パルスよりも、電位の変化が大きくなるように設定されており、圧力発生室21に充填されたインク内の気泡を除去するための駆動パルスである。なお、本発明のフラッシング用駆動パルスFLPを含むフラッシング用駆動信号COMを用いるフラッシングでは、この1単位周期T内に駆動信号COM内の全てのフラッシング用駆動パルスFLPを印加することによる複数ショット分の噴射を、フラッシング単位(フラッシングユニット)としている。そして、フラッシングでは、所定のフラッシングユニット数(例えば、合計数〜数千ユニット)だけフラッシング用駆動信号COMが圧電振動子26に繰り返し印加(供給)されることで、インク流路内のインクがノズル28から排出される。
フラッシング用駆動パルスFLPは、図5に示すように、台形状のパルス信号であって、最低電位VLから最高電位(このパルスにおいては基準電位VB)までの電位差(本発明における駆動電圧に相当)はVhに設定されている。このフラッシング用駆動パルスFLPは、時間幅t1の間に基準電位VBから最低電位VLまで比較的急峻な一定勾配で電位を降下(変化)させる膨張要素p1(本発明における波形要素の一種)と、膨張要素p1の終端電位である最低電位VLを一定時間(時間幅t2(t2>t1))維持する膨張維持要素p2(本発明における波形要素の一種)と、時間幅t3(t3<t2)の間に最低電位VLから基準電位VBまで比較的急峻な一定勾配で電位を上昇(変化)させる収縮要素p3(本発明における波形要素の一種)と、から構成される。
このフラッシング用駆動パルスFLPが圧電振動子26に印加されると、圧力室21は、圧電振動子26が撓み変形することで、基準電位VBに対応する最小(基準)容積から最低電位VLに対応する最大容積まで膨張要素p1の供給期間に亘って膨張し、その後に最大容積を膨張維持要素p2の供給期間に亘って維持し、そして、最大容積から最小容積まで収縮要素p3の供給期間に亘って収縮させる。これにより、圧力室21の容積を最小容積から最大容積まで変化させた後に最大容積から最小容積まで急激に変化させることができ、記録処理に用いられる噴射駆動パルスの場合よりも圧力室21内のインクに生じる圧力変化が高められる。そして,フラッシングにおいては、このフラッシング用駆動パルスFLPを用いて圧力室21の膨張・収縮が繰り返されることにより、圧力変動を受けた気泡がインクに溶け込み易くなる(即ち、インクへの気泡の溶解が促進される)。その結果、フラッシングやこのフラッシングの後の噴射処理の際に、ノズル28からインクと共に気泡を排出するように構成されている。
ところで、上記した複数のノズル列を有するプリンター1においては、ノズル28や圧力室21などのインク流路の製造時の寸法誤差などによって、ノズル列(詳しくはノズル)毎に特性ばらつきが発生する。特性のばらつきとしては、圧力室21内のインクに生じる固有振動周期のばらつきや、特定の電圧を印加したときの圧電振動子26の変位量(当該変位量のばらつきは、ノズル列の噴射特性に関わるので、ノズル列の特性のばらつきとも言える。)等が挙げられる。そのため、特性ばらつきを有する記録ヘッドに対して、上記したフラッシング用駆動パルスFLPを用いてフラッシングを行ったとしても、ノズル列毎に気泡の排出性にばらつきが生じる。その結果、噴射能力が回復しないノズル列が発生する虞があった。
そこで、本発明におけるプリンター1では、ノズル列に対応した圧電振動子26毎に、圧電振動子26の駆動状態が可変なフラッシング用駆動信号COMを供給して、当該フラッシング用駆動信号COMに含まれる各フラッシング用駆動パルスFLPを、圧電振動子26に順次印加することで、単位周期T内で圧電振動子26の駆動状態を変化させることに特徴を有する。次に、圧電振動子26の駆動状態が可変な各実施形態に係るフラッシング用駆動信号COM1〜COM3について説明する。
図6は、第1実施形態に係るフラッシング用駆動信号COM1の構成を説明する図である。なお、同図において、横が時間軸であって、縦方向に延びる太線はフラッシング用駆動パルスFLP11を省略して示したものである。
第1実施形態におけるフラッシング用駆動信号COM1は、LAT信号で区切られた単位周期T内に同一波形の駆動パルスとなるフラッシング用駆動パルスFLPを複数、例えば11個のフラッシング用駆動パルスFLPを含んで構成されている。また、同図に示すように、時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスFLP11の対の間隔(同図に符号phで示す)を対毎に異ならせている。即ち、フラッシング用駆動パルスFLP11を印加する周波数を異ならせている。具体的には、フラッシング用駆動パルスFLP11の対の間隔ph1〜ph10が、次第に狭くなるように設定されている。なお、これらの間隔phの設定範囲に関し、記録ヘッド2の製造上で想定される特性のばらつきの範囲に応じて定められる。したがって、フラッシング用駆動パルスFLP11の各対の間隔や単位周期T内に含まれる個数については、本実施形態で例示したものには限られない。例えば、フラッシング用駆動信号COM1は、単位周期T内にフラッシング用駆動パルスFLP11を1つ(即ち、1ショットに対して1LAT(信号))含んで構成され、複数(例えば11周期分)の単位周期Tに亘るフラッシング用駆動パルスFLPの対の間隔Phを対毎に異ならせても良い。そして、このように構成されたフラッシング用駆動信号COM1に含まれる各フラッシング用駆動パルスFLP11が、ノズル列に対応した圧電振動子26毎に順次印加されて、1つのフラッシングユニットに対応するフラッシングが行われる。
これにより、圧電振動子26の駆動状態が単位周期T内で順次変化する。本実施形態では、間隔phが次第に短くなるので、圧電振動子26の駆動周波数が次第に高くなる。この駆動状態の変化の中で、何れかの時点でノズル列の特性に対応した駆動状態が得られる。具体的には、対のうちの前側のフラッシング用駆動パルスFLP11によって圧電振動子26を駆動したときに圧力室21内に生じる圧力振動と、後側のフラッシング用駆動パルスFLP11によって圧電振動子26を駆動したときに圧力室21内に生じる圧力振動とが共振する状態が得られる。共振状態が得られるパルス対の間隔phは、ノズル列毎の特性に応じて異なるので、ノズル列毎に特性が異なる場合、共振状態が得られるタイミングはノズル列毎に異なる。このような共振状態が得られると、より大きい圧力変動がインク流路内の気泡に付与され、これにより気泡がインクに溶解されることがより促進される。このようなフラッシングが、規定フラッシングユニット数だけ繰り返して行われる。これにより、ノズル列毎の特性ばらつきによらず、気泡の排出性を向上させることができる。上記のように、記録ヘッド2の製造上で想定される特性のばらつきの範囲に応じて間隔phの設定範囲が定められることで、単位周期T内の少なくともどこかのタイミングで、ノズル列の特性に応じた駆動状態が得られる。
なお、本発明におけるフラッシング用駆動パルスFLP11の対の間隔ph1〜ph10は、次第に広くなるように設定されていても良い。また、フラッシング用駆動信号COM1のフラッシング用駆動パルスFLP11の対の間隔ph1〜ph10は、狭くなる間隔と、広くなる間隔の両方が単位周期T内に交互に設定されていても良い。
図7は、第2実施形態に係るフラッシング用駆動信号COM2の構成を説明する図である。なお、同図において、縦軸は駆動信号の電位である。また、横軸は時間である。
第2実施形態におけるフラッシング用駆動信号COM2は、LAT信号で区切られた単位周期T内に駆動電圧Vhを異ならせたフラッシング用駆動パルスFLP21〜FLP24を複数、例えば4つ含んで構成されている。具体的には、フラッシング用駆動パルスFLP21〜FLP24の駆動電圧Vh1〜4が、次第に高まるように設定されている。なお、フラッシング用駆動信号COM2は、単位周期T内にフラッシング用駆動パルスFLPを1つ(即ち、1ショットに対して1LAT(信号))含んで構成され、複数(例えば4周期分)の単位周期Tに亘るフラッシング用駆動パルスFLP21〜FLP24の駆動電圧Vh1〜4を異ならせても良い。そして、このように構成されたフラッシング用駆動信号COM2に含まれる各フラッシング用駆動パルスFLP21〜FLP24が、ノズル列に対応した圧電振動子26毎に順次印加されて、1つのフラッシングユニットに対応するフラッシングが行われる。これにより、圧電振動子26の駆動状態が単位周期T内で順次変化する。本実施形態では、圧電振動子26の駆動時の変位量が次第に大きくなり、これに応じて、圧力室21内で生じる圧力変動の大きさも次第に大きくなる。この駆動状態の変化の中で、気泡をインク中に溶解させるために効果的な圧力変動を得ることができる。このようなフラッシングが規定フラッシングユニット数だけ繰り返して行われる。
これにより、ノズル列毎の特性ばらつきによらず、気泡の排出性を向上させることができる。本実施形態においても、記録ヘッド2の製造上で想定される特性のばらつき(特に、ノズル列毎に対応する圧電振動子26の特性)の範囲に応じて駆動電圧Vhの設定範囲が定められることで、単位周期T内の少なくともどこかのタイミングで、ノズル列の特性に応じた駆動状態が得られる。
なお、本発明におけるフラッシング用駆動パルスFLP21〜24の駆動電圧Vh1〜4は、次第に低くなるように設定されていても良い。これにより、フラッシングで最後に圧電振動子26に印加されるフラッシング用駆動パルスの駆動電圧Vhが最も低くなるので、フラッシングによるメニスカスの残留振動を抑制することができ、これにより、この残留振動による次の処理への悪影響を低減することができる。また、フラッシング用駆動信号COM2は、駆動電圧が昇順又は降順となるように各フラッシング用駆動パルスを配置する構成には限られず、要は、駆動電圧が異なる複数のフラッシング用駆動パルスが単位周期T内に順番に関係なく含まれていれば良い。
図8は、第3実施形態に係るフラッシング用駆動信号COM3の構成を説明する図である。なお、同図において、縦軸は駆動信号の電位である。また、横軸は時間である。
第3実施形態におけるフラッシング用駆動信号COM3は、LAT信号で区切られた単位周期T内に、フラッシング用駆動パルスFLPを構成する膨張要素p1及び収縮要素p3のうち、膨張要素p1の時間幅t1をフラッシング用駆動パルスFLP毎に異ならせたフラッシング用駆動パルスFLP31〜FLP34を複数、例えば4つ含んで構成されている。具体的には、フラッシング用駆動パルスFLP31〜FLP34を構成する膨張要素p1の時間幅t1が次第に短くなるように設定されている。即ち、膨張要素p1の電位勾配(単位時間あたりの電位変化量)θ1〜θ4が次第に大きくなるように設定されている。なお、フラッシング用駆動信号COM3は、単位周期T内にフラッシング用駆動パルスFLPを1つ(即ち、1ショットに対して1LAT(信号))含んで構成され、複数(例えば4周期分)の単位周期Tに亘るフラッシング用駆動パルスFLP31〜FLP34を構成する膨張要素p1及び収縮要素p3のうち、膨張要素p1の時間幅t1をフラッシング用駆動パルスFLP毎に異ならせても良い。そして、このように構成されたフラッシング用駆動信号COM3に含まれる各フラッシング用駆動パルスFLP31〜FLP34が、ノズル列に対応した圧電振動子26毎に駆動状態を変化させながら順次印加されて、1つのフラッシングユニットに対応するフラッシングが行われる。これにより、圧電振動子26の駆動状態が単位周期T内で順次変化する。本実施形態では、圧電振動子26の駆動時の単位時間あたりの変位量が次第に大きくなり、これに応じて圧力室21内に生じる圧力変動の大きさも次第に大きくなる。この駆動状態の変化の中で、気泡をインク中に溶解させるために効果的な圧力変動を得ることができる。このようなフラッシングが規定フラッシングユニット数だけ繰り返して行われる。
これにより、ノズル列毎の特性ばらつきによらず、気泡の排出性を向上させることができる。本実施形態においても、記録ヘッド2の製造上で想定される特性のばらつきの範囲に応じて膨張要素p1の時間幅t1の設定範囲が定められることで、単位周期T内の少なくともどこかのタイミングで、ノズル列の特性に応じた駆動状態が得られる。
なお、本発明におけるフラッシング用駆動パルスFLP31〜34を構成する膨張要素p1の時間幅t1が次第に長くなるように設定されていても良い。これにより、フラッシングで最後のフラッシング用駆動パルスによって駆動される圧電振動子26の駆動時の単位時間あたりの変位量が最も低くなり、圧力室21内に生じる圧力変動も最も小さくなるので、当該フラッシングによるメニスカスの残留振動を抑制することができ、これにより、この残留振動による次の処理への悪影響を低減することができる。また、フラッシング用駆動信号COM3は、膨張要素p1の時間幅t1が次第に短くなるフラッシング用駆動パルスと、膨張要素p1の時間幅t1が次第に長くなるフラッシング用駆動パルスとの両方を単位周期T内に交互に含んで構成されていても良い。さらに、フラッシング用駆動パルスFLPを構成する膨張要素p1、膨張維持要素p2、及び収縮要素p3のうち、膨張維持要素p2の時間幅t2又は収縮要素p3の時間幅t3をフラッシング用駆動パルスFLP毎に異ならせるように構成されていても良いし、これらの組み合わせでも良い。
このように、本実施形態のプリンター1のプリンターコントローラー40は、記録ヘッド2のインク流路内の気泡を除去するためのフラッシング用駆動信号COM1〜COM3を発生可能であり、フラッシング用駆動信号COM1〜COM3は、当該フラッシング用駆動信号COM1〜COM3の繰り返し周期である単位周期T内に、複数のフラッシング用駆動パルスFLPを含み、時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスFLPの対の間隔phを対毎に異ならせ、駆動電圧Vhをフラッシング用駆動パルスFLP毎に異ならせ、又は、フラッシング用駆動パルスFLPを構成する膨張要素p1の時間幅t1をフラッシング用駆動パルスFLP毎に異ならせるかの何れかにより圧電振動子26の駆動状態が可変な駆動信号であり、プリンターコントローラー40は、ノズル列に対応した圧電振動子26毎に、フラッシング用駆動信号COM1に含まれる各フラッシング用駆動パルスFLPを、順次印加するので、製造誤差などによってノズル列毎に特性ばらつきがある場合においても、各ノズル列に対応するインク流路内に存在する気泡の排出性を確保し、各ノズル列に対して噴射能力を回復させることができる。即ち、フラッシング用駆動信号COM1に含まれる各フラッシング用駆動パルスFLPを順次印加することで、圧電振動子26の駆動状態が単位周期T内で変化するので、各ノズル列の特性に応じた効果的な駆動状態を得ることができる。これにより、ノズル列毎の特性ばらつきによらず、各ノズル列の噴射能力を回復させることができる。
また、フラッシング用駆動信号COM1におけるフラッシング用駆動パルスFLP11の対の間隔phを異ならせる構成においては、単位周期T内に1種類のフラッシング用駆動パルスFLPを含ませるだけで、フラッシング用駆動信号COM1を構成することができる。これにより、フラッシング用駆動パルスの種類を増やす必要がない。
また、フラッシング用駆動信号COM2,COM3に含まれる各フラッシング用駆動パルスFLPの駆動電圧Vh又は膨張要素p1の時間幅t1を次第に変化させる構成においては、回路の負担を増加することなく、フラッシング用駆動信号COM2,COM3に含まれる互いに異なる複数のフラッシング用駆動パルスFLPを、圧電振動子26の駆動状態を変化させながら順次印加することができる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
上記実施形態では、本発明におけるフラッシング用駆動信号COMの一例として、図7,図8に示すフラッシング用駆動パルス信号COM2,COM3を挙げたが、パルスの形状は例示したものに限られず、圧電振動子26の駆動状態を可変に設定させていれば、任意の波形のものを用いることができる。また、フラッシングのユニット数については、任意の値に設定することができる。
なお、上記各実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電振動子26を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電振動子を採用することも可能である。この場合、例示した駆動信号に関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。また、圧力振動子26は、磁歪素子や発熱素子を用いる場合にも本発明を適用することが可能である。
以上は、液体噴射装置の一種であるプリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置、バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置等にも適用することができる。
1…プリンター、2…記録ヘッド、21…圧力室、26…圧電振動子、28…ノズル、40…プリンターコントローラー

Claims (5)

  1. 複数のノズルから構成されるノズル群を複数列設し、各ノズルに連通する圧力室の容積を変動させる圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
    前記圧力発生手段を駆動する駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生部と、を備えた液体噴射装置であって、
    前記駆動信号発生部は、フラッシング用駆動信号を発生可能であり、
    前記フラッシング用駆動信号は、当該フラッシング用駆動信号の繰り返し周期である単位周期内に、複数のフラッシング用駆動パルスを含み、
    時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスの対の間隔を対毎に異ならせ、駆動電圧をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせ、又は、フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせるかの何れかにより前記圧力発生手段の駆動状態が可変な駆動信号であり、
    前記駆動信号発生部は、前記ノズル群に対応した前記圧力発生手段毎に、前記フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを、駆動状態を変化させながら順次印加することを特徴する液体噴射装置。
  2. 前記フラッシング用駆動パルスの対の間隔が、次第に広がり又は次第に狭くなることを特徴する請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記フラッシング用駆動パルスの駆動電圧が、次第に高まり又は次第に低くなることを特徴する請求項1に記載の液体噴射装置。
  4. 前記フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅が、次第に長くなり又は次第に短くなることを特徴する請求項1に記載の液体噴射装置。
  5. 複数のノズルから構成されるノズル群を複数列設し、各ノズルに連通する圧力室の容積を変動させる圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動する駆動パルスを含む駆動信号を発生する駆動信号発生部と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
    前記駆動信号発生部は、フラッシング用駆動信号を発生可能であり、
    前記フラッシング用駆動信号は、当該フラッシング用駆動信号の繰り返し周期である単位周期内に、複数のフラッシング用駆動パルスを含み、
    時間軸上で隣り合うフラッシング用駆動パルスの対の間隔を対毎に異ならせ、駆動電圧をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせ、又は、フラッシング用駆動パルスを構成する波形要素のうちの少なくとも1つの時間幅をフラッシング用駆動パルス毎に異ならせるかの何れかにより前記圧力発生手段の駆動状態が可変な駆動信号であり、
    前記駆動信号発生部は、前記ノズル群に対応した前記圧力発生手段毎に、前記フラッシング用駆動信号に含まれる各フラッシング用駆動パルスを、駆動状態を変化させながら順次印加することを特徴する液体噴射装置の制御方法。
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