JP2010201639A - 流体噴射装置の製造方法 - Google Patents

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透 ▲高▼橋
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Abstract

【課題】ヘッド毎に生ずる濃度の違いを補正すること。
【解決手段】媒体との相対移動方向に対して交差する方向に沿うノズル列から駆動パルスに応じた流体を噴射して、前記駆動パルスのパラメータを補正するためのパラメータ補正用パターンと、前記相対移動方向に沿って並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を補正するための濃度補正用パターンとを形成することと、前記パラメータ補正用パターンの濃度を測定することと、前記濃度補正用パターンの濃度を前記画素列毎に測定することと、前記パラメータ補正用パターンの濃度と、該パラメータ補正用パターンの目標濃度とに基づいて、前記画素列毎の濃度の測定値を補正することと、補正された前記画素列毎の濃度の測定値に基づいて、前記画素列毎の濃度を補正するための濃度補正値を求めることと、を含む流体噴射装置の製造方法。
【選択図】図12

Description

本発明は、流体噴射装置の製造方法に関する。
複数のヘッドを千鳥状に配置し、搬送される媒体に液体を噴射して画像を形成するライン型のインクジェットプリンタが考えられている。このようなプリンタは、各ヘッドの一部同士が媒体の搬送方向について重なるように配置される。
ヘッドは、ヘッド毎に最適な駆動電圧が異なり、これらはヘッド毎に求める必要がある。最適な駆動波形の設定方法が特許文献1に示されている。
特開2006−240127号公報 特開2006−264069号公報 特開2005−132034号公報
前述のようなライン型のインクジェットプリンタでは、ノズル列方向に複数のヘッドが並ぶことになるが、これらのヘッドは製造誤差から個々に流体の噴射特性が異なることがある。このような場合に、例えば同じ駆動電圧を各ヘッドに印加すると、ヘッド毎に異なる濃度の画像が形成されてしまう。よって、形成される画像についてヘッド毎に生ずる濃度の違いを補正する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッド毎に生ずる濃度の違いを補正することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
媒体との相対移動方向に対して交差する方向に沿うノズル列から駆動パルスに応じた流体を噴射して、前記駆動パルスのパラメータを補正するためのパラメータ補正用パターンと、前記相対移動方向に沿って並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を補正するための濃度補正用パターンとを形成することと、
前記パラメータ補正用パターンの濃度を測定することと、
前記濃度補正用パターンの濃度を前記画素列毎に測定することと、
前記パラメータ補正用パターンの濃度と、該パラメータ補正用パターンの目標濃度とに基づいて、前記画素列毎の濃度の測定値を補正することと、
補正された前記画素列毎の濃度の測定値に基づいて、前記画素列毎の濃度を補正するための濃度補正値を求めることと、
を含む流体噴射装置の製造方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
用語の説明図である。 印刷システム100の構成を示すブロック図である。 プリンタ1の搬送処理とドット形成処理を説明するための斜視図である。 ヘッドユニット40における複数ヘッドの配列の説明図である。 ヘッドの構造を説明する図である。 駆動信号を説明する図である。 ヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。 本実施形態におけるテストパターンを説明する図である。 濃度補正用パターンCPの説明図である。 プリンタドライバによる処理の説明図である。 本実施形態における濃度補正値算出処理を説明するためのフローチャートである。 推定濃度算出処理を説明するためのフローチャートである。 求められた各ヘッドの各インク色についての駆動電圧毎の平均濃度を示す表である。 各インク色の基準濃度を示す表である。 求められた一次関数の係数a、bを示す表である。 各ヘッドのインク色毎の適正駆動電圧を示す表である。 各ヘッドの適正駆動電圧を示す表である。 図18Aは、第1ヘッド41Aにおける駆動電圧と適正駆動電圧との差分を示す表であり、図18Bは、第2ヘッド41Bにおける駆動電圧と適正駆動電圧との差分を示す表であり、図18Cは、第3ヘッド41Cにおける駆動電圧と適正駆動電圧との差分を示す表である。 第1ヘッド41Aの駆動電圧に対する出力濃度の関係を示すグラフである。 図20Aは、第1ヘッド41Aの駆動電圧に対する出力濃度との関係式を示す表であり、図20Bは、第2ヘッド41Bの駆動電圧に対する出力濃度との関係式を示す表であり、図20Cは、第3ヘッド41Cの駆動電圧に対する出力濃度との関係式を示す表である。 図21Aは、第1ヘッド41Aにおける各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値を示す表であり、図21Bは、第2ヘッド41Bにおける各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値を示す表であり、図21Cは、第3ヘッド41Cにおける各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値を示す表である。 図22Aは、ラスタライン毎の濃度の測定値を示す表であり、図22Bは、濃度の測定値を補正した補正後の測定値を示す表である。 指令階調値がSa、Sb、ScのサブパターンCSPについてラスタライン毎の算出濃度を示すグラフである。 図24Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図であり、図24Bは、濃度むらが発生したときの説明図であり、図24Cは、濃度むらの発生が抑制された様子を示す図である。 補正値取得処理を説明するフローチャートである。 図26Aは、第iラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順についての説明図であり、図26Bは、第jラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順についての説明図である。 メモリ63に記憶された補正値テーブルを示す図である。 ユーザ下でプリンタドライバが行う印刷処理のフロー図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
媒体との相対移動方向に対して交差する方向に沿うノズル列から駆動パルスに応じた流体を噴射して、前記駆動パルスのパラメータを補正するためのパラメータ補正用パターンと、前記相対移動方向に沿って並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を補正するための濃度補正用パターンとを形成することと、
前記パラメータ補正用パターンの濃度を測定することと、
前記濃度補正用パターンの濃度を前記画素列毎に測定することと、
前記パラメータ補正用パターンの濃度と、該パラメータ補正用パターンの目標濃度とに基づいて、前記画素列毎の濃度の測定値を補正することと、
補正された前記画素列毎の濃度の測定値に基づいて、前記画素列毎の濃度を補正するための濃度補正値を求めることと、
を含む流体噴射装置の製造方法。
このようにすることで、ヘッド毎に生ずる濃度の違いを補正することができる。
かかる流体噴射装置の製造方法であって、前記パラメータ補正用パターンは、前記ノズル列により全ての画素にドットが形成されるパターンであることが望ましい。また、前記濃度補正用パターンは複数の階調からなるパターンであり、前記濃度補正値は該階調毎に求められることが望ましい。また、前記パラメータ補正用パターンの濃度を前記目標濃度にするための前記パラメータと前記補正用パターンを形成したときの前記パラメータとの差と、前記パラメータに対する前記補正用パターンの濃度の関係と、に基づいて、前記画素列毎の濃度の測定値が補正されることが望ましい。また、前記パラメータ補正用パターンは前記パラメータが異ならされて複数形成され、前記目標濃度にするための前記パラメータは、複数形成された前記パラメータ補正用パターンの濃度と、該パラメータ補正用パターンを形成したときの前記駆動パルスのパラメータと、に基づいて求められることが望ましい。
また、前記駆動パルスのパラメータは、駆動パルスの電圧の振幅値であることが望ましい。また、前記ノズル列のノズルから前記流体を噴射するために前記駆動パルスが印加される駆動素子はピエゾ素子であることが望ましい。また、一組の前記パラメータ補正用パターンと前記濃度補正用パターンは、1枚の前記媒体に形成されることが望ましい。
このようにすることで、ヘッド毎に生ずる濃度の違いを補正することができる。
===実施形態===
<用語の説明>
まず、本実施形態を説明する際に用いられる用語の意味を説明する。
図1は、用語の説明図である。
「印刷画像」とは、用紙上に印刷された画像である。インクジェットプリンタの印刷画像は、用紙上に形成された無数のドットから構成されている。
「ドットライン」とは、ヘッドと用紙とが相対移動する方向(移動方向)に並ぶドットの列である。後述の実施形態のようなラインプリンタの場合、「ドットライン」は、用紙の搬送方向に並ぶドットの列を意味する。一方、キャリッジに搭載されたヘッドによって印刷するシリアルプリンタの場合、「ドットライン」は、キャリッジの移動方向に並ぶドットの列を意味する。移動方向と垂直な方向に多数のドットラインが並ぶことによって、印刷画像が構成されることになる。図に示すように、n番目の位置にあるドットラインのことを「第nドットライン」と呼ぶ。
「画像データ」とは、2次元画像を示すデータである。後述する実施形態では、256階調の画像データや、4階調の画像データなどがある。また、画像データは、後述する印刷解像度へ変換前の画像データを指すことも、変換後の画像データを指すこともある。
「印刷画像データ」とは、画像を用紙に印刷するときに用いられる画像データである。プリンタが4階調でドットの形成(大ドット・中ドット・小ドット・ドット無し)を制御する場合、4階調の印刷画像データは、印刷画像を構成するドットの形成状態を示すことになる。
「読取画像データ」とは、スキャナによって読み取られた画像データである。
「画素」とは、画像を構成する最小単位である。この画素が2次元的に配置されることによって画像が構成される。
「画素列」とは、画像データ上において所定方向に並ぶ画素の列である。図に示すように、n番目の画素列のことを「第n画素列」と呼ぶ。
「画素データ」とは、画素の階調値を示すデータである。後述する実施形態において、ハーフトーン処理前であれば256階調などの多階調のデータを示し、ハーフトーン処理後の4階調の印刷画像データの場合、各画素データは、2ビットデータになり、ある画素のドット形成状態(大ドット・中ドット・小ドット・ドット無し)を示すことになる。
「画素領域」とは、画像データ上の画素に対応した用紙上の領域である。例えば、印刷画像データの解像度が360×360dpiの場合、「画素領域」は、1辺が1/360インチの正方形状の領域になり、用紙上の画素である。
「列領域」とは、画素列に対応した用紙上の領域であり、用紙上の画素列である。例えば、印刷画像データの解像度が360×360dpiの場合、列領域は、1/360インチ幅の細長い領域になる。「列領域」は、印刷画像データ上の画素列に対応した用紙上の領域を意味する場合もあるし、読取画像データ上の画素列に対応した用紙上の領域を意味する場合もある。図中の右下には、前者の場合の列領域が示されている。前者の場合の「列領域」は、ドットラインの形成目標位置でもある。正確に列領域にドットラインが形成される場合、そのドットラインはラスタラインに相当する。後者の場合の「列領域」は、読取画像データ上の画素列が読み取られた用紙上の測定位置(測定範囲)でもあり、言い換えると、画素列の示す画像(画像片)が存在する用紙上の位置でもある。図に示すように、n番目の位置にある列領域のことを「第n列領域」と呼ぶ。第n列領域は第nドットラインの形成目標位置になる。
「画像片」とは、画像の一部分を意味する。画像データ上において、ある画素列の示す画像は、画像データの示す画像の「画像片」になる。また、印刷画像において、あるラスタラインによって表される画像は、印刷画像の「画像片」になる。また、印刷画像において、ある列領域での発色によって表される画像も、印刷画像の「画像片」に該当する。
ところで、図1の右下には、画素領域とドットとの位置関係が示されている。ヘッドの製造誤差の影響によって第2ドットラインが第2列領域からズレた結果、第2列領域の濃度が淡くなる。また、第4列領域では、ヘッドの製造誤差の影響によってドットが小さくなった結果、第4列領域の濃度が淡くなる。このような濃度むらや濃度むら補正方法を説明する必要があるため、本実施形態では、「ドットライン」、「画素列」、「列領域」等の意味や関係を上記の内容に沿って説明している。
但し、「画像データ」や「画素」等の一般的な用語の意味は、上記の説明だけでなく、通常の技術常識に沿って適宜解釈して良い。
また、以下の説明において、階調値が高いときに濃度が高く、階調値が低いときに濃度が低いものとして説明を行う。また、説明中、濃度が高い場合は明度が低い場合に対応する。
<印刷システムについて>
図2は、印刷システム100の構成を示すブロック図である。本実施形態の印刷システム100は、図2に示すように、プリンタ1と、コンピュータ110と、スキャナ120とを有するシステムである。
プリンタ1は、流体としてのインクを媒体に噴射して該媒体に画像を形成(印刷)する流体噴射装置であり、本実施形態ではカラーインクジェットプリンタである。プリンタ1は、用紙、布、フィルムシート等の複数種の媒体に画像を印刷することが可能である。なおプリンタ1の構成については後述する。
コンピュータ110は、インターフェース111と、CPU112と、メモリ113を有する。インターフェース111は、プリンタ1及びスキャナ120との間でデータの受け渡しを行う。CPU112は、コンピュータ110の全体的な制御を行うものであり、当該コンピュータ110にインストールされた各種プログラムを実行する。メモリ113は、各種のプログラムや各種のデータを記憶する。コンピュータ110にインストールされたプログラムの中には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプリンタドライバや、スキャナ120を制御するためのスキャナドライバがある。そしてコンピュータ110は、プリンタドライバによって生成された印刷データをプリンタ1に出力する。
スキャナ120は、スキャナコントローラ125と、読取キャリッジ121とを有する。スキャナコントローラ125は、インターフェース122、CPU123、及びメモリ124を有する。インターフェース122は、コンピュータ110との間で通信を行う。CPU123は、スキャナ120の全体的な制御を行う。例えば読取キャリッジ121を制御する。メモリ124は、コンピュータプログラム等を記憶する。読取キャリッジ121は、例えばR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)に対応する不図示の3つのセンサ(CCDなど)を有する。
以上の構成により、スキャナ120は、不図示の原稿台に置かれた原稿に光を照射し、その反射光を読取キャリッジ121の各センサにより検出し、前記原稿の画像を読み取って、当該画像の色情報を取得する。そして、インターフェース122を介してコンピュータ110のスキャナドライバに向けて画像の色情報を示すデータ(読取データ)を送信する。
<プリンタの構成>
図3は、プリンタ1の搬送処理とドット形成処理を説明するための斜視図である。ここでは、図2のブロック図も参照しつつプリンタの構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット40、検出器群50、コントローラ60、及び、駆動信号生成回路70を有する。コントローラ60は、コンピュータ110と接続するためのインターフェース61、演算装置であるCPU62、記憶部に相当するメモリ63、及び、各ユニットを制御するためのユニット制御回路64を含む。
外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、用紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、用紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、上流側ローラ22A及び下流側ローラ22Bと、ベルト24とを有する。不図示の搬送モータが回転すると、上流側ローラ22A及び下流側ローラ22Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙された用紙Sは、ベルト24によって、印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。ベルト24が用紙Sを搬送することによって、用紙Sがヘッドユニット40に対して搬送方向に移動する。印刷可能な領域を通過した用紙Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。なお、搬送中の用紙Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、搬送中の用紙Sに対してインクを吐出することによって、用紙Sにドットを形成し、画像を用紙Sに印刷する。本実施形態のプリンタ1はラインプリンタであり、ヘッドユニット40は紙幅分のドットを一度に形成することができる。
駆動信号生成回路70は、ピエゾ素子PZTに印加するための駆動信号を生成する。本実施形態では、第1ヘッド41A〜第6ヘッド41Fの6つのヘッドが用いられ、各ヘッドにはそれぞれ別の駆動信号が供給される。そして、1つの駆動信号は供給されるヘッドの全てのノズル列で共通の駆動信号として用いられる。
駆動信号生成回路70は、6つの駆動信号COM1〜COM6を生成して出力する。また、各駆動信号の駆動パルスはそれぞれ振幅などのパラメータの設定ができるようになっている。
図4は、ヘッドユニット40における複数のヘッドの配列の説明図である。図に示すように、紙幅方向に沿って、複数のヘッド41が千鳥列状に並んでいる。尚、ここでは、下面からしか見ることができないノズル列を説明の容易のために上部から観察可能に図示している。
各ヘッドには、不図示であるが、ブラックインクノズル列NK、シアンインクノズル列NC、マゼンタインクノズル列NM、及び、イエローインクノズル列NYが形成されている。各ノズル列は、インクを吐出するノズルを複数個(ここでは、360個)備えている。各ノズル列の複数のノズルは、紙幅方向に沿って、一定のノズルピッチ(ここでは、360dpi)で並んでいる。また、各ヘッド間におけるノズル同士は、端部の10つのノズル同士が搬送方向について重なるように、言い換えると、紙幅方向の座標について同じ座標になるように並んでいる。
図5は、ヘッドの構造を説明する図である。本実施形態では、第1ヘッド41A〜第6ヘッド41Fが設けられている。これらの構造は、全てほぼ共通であるので、ここでは、第1ヘッド41Aの構造について説明する。図には、ノズルNz、ピエゾ素子PZT、インク供給路402、ノズル連通路404、及び、弾性板406が示されている。
インク供給路402には、不図示のインクタンクからインクが供給される。そして、これらのインク等は、ノズル連通路404に供給される。ピエゾ素子PZTには、後述する駆動信号の駆動パルスが印加される。駆動パルスが印加されると、駆動パルスの信号に従ってピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板406を振動させる。そして、駆動パルスの振幅に対応する量のインク滴がノズルNzから吐出されるようになっている。
図6は、駆動信号を説明する図である。本実施形態では、ヘッドが6個設けられているため、駆動信号も第1駆動信号COM1〜第6駆動信号COM6が出力される。尚、後述する駆動電圧設定処理において、第1駆動信号COM1〜第6駆動信号COM6における駆動パルスPS2の振幅が若干異なることになるものの、形状はほぼ同じであるので、ここでは第1駆動信号COM1を例に駆動信号の説明を行う。
第1駆動信号COM1は、繰り返し周期Tごとに繰り返し生成される。繰り返し周期である期間Tは、用紙Sが1画素領域分搬送される間の期間に対応する。例えば、搬送方向の印刷解像度が360dpiの場合、期間Tは、用紙Sが1/360インチ搬送されるための期間に相当する。そして、印刷データに含まれる画素データに基づいて、期間Tに含まれる各区間の微振動パルスPS1又は駆動パルスPS2がピエゾ素子PZTに印加されることによって、1つの画素領域内にドットが形成されたり、ドットが形成されないようにすることができる。
第1駆動信号COM1は、繰り返し周期における区間T1で生成される微振動パルスPS1と、駆動パルスPS2を有する。微振動パルスPS1は、ノズルのインク面(インクメニスカス)を微振動させるためのパルスである。このパルスが印加される場合には、ノズルからインクは噴射されない。一方、駆動パルスPS2は、ノズルからインクを噴射させるための駆動パルスである。このパルスが印加される場合には、ノズルからインクが噴射される。
図には、駆動パルスPS2の振幅としてVhが示されている。この振幅を大きくすると、大きなサイズのインク滴が噴射されることになり、振幅を小さくすると小さなサイズのインク滴が噴射されることになる。よって、後述する手法により、この振幅を補正して設定することにより、所望のサイズのインク滴を噴射することができる。そして、所望の濃度の印刷を行うことができるようになっている。尚、以下の説明において、このようにインクを噴射するための駆動パルスの振幅Vhを駆動電圧Vhと呼ぶ。
また、図には、駆動パルスPS2の各区間における時間間隔としてdis1、pwc1、pwh1、pwd1、pwh2、pwc2、及び、dis2が示されている。後述するように、振幅Vhを変化させるだけでなく、これらの期間を変更することによっても、インク滴のサイズを変更することができる。よって、駆動パルスの振幅だけでなく、駆動パルスを構成するこれらの各期間も駆動パルスのパラメータに相当する。
図7は、ヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。ここでは、説明の簡略化のため、ヘッドユニット40における2個のヘッド(第1ヘッド41A、第2ヘッド41B)のみが示されている。また、説明の簡略化のため、各ヘッドにはブラックインクノズル列NKだけ示されている。以下の説明において、搬送方向のことを「x方向」と呼び、紙幅方向のことを「y方向」と呼ぶことがある。
各ヘッドのブラックインクノズル列は、1/360インチ間隔で紙幅方向(y方向)に並ぶノズルから構成されている。各ノズルについて、図中の上から順にノズルの番号が付されている。
なお、搬送中の用紙Sに対して各ノズルから断続的にインク滴が吐出されることによって、各ノズルは、用紙に対応するドットラインを形成する。例えば、第1ヘッド41Aのノズル♯1は第1ドットラインを用紙上に形成する。各ドットラインは、搬送方向(x方向)に沿って形成される。
第1ヘッド41Aのブラックインクノズル列NKのノズル#351〜#360と、第2ヘッド41Bのブラックインクノズル列NKのノズル#1〜#10は、搬送方向について一致するように配置されている。図には、各画素領域に形成されたドットが示されているが、ドットに付された斜線は形成したノズルに付された斜線と一致するように示されている。そして、図に示されるように、第1ヘッド41Aの#1〜#355は、第1ドットライン〜第355ドットラインを形成し、第2ヘッド41Aの#6〜#710は、第356ドットライン〜第710ドットラインを形成するようになっている。
ここでは、第1ヘッド41Aと第2ヘッド41Bとの関係しか示されていないが、他のヘッドについても隣り合うヘッド同士は上記同様の関係になるような配置となっている。例えば、第3ヘッド41Cが図示されていないが、第3ヘッド41Cは第711ドットライン〜第1064ドットラインを形成する。
このようにして、重複するノズルについてドットラインを形成するノズルが予め決められている。
尚、各ドットがノズル列に沿う方向に正確に形成された場合には、各ドットラインは対応するラスタラインに一致するように形成される。すなわち、例えば、第1ドットラインは第1ラスタラインに一致するように形成されることになる。
図8は、本実施形態におけるテストパターンを説明する図である。図には、第1ヘッド41A〜第6ヘッド41Fが示されている。ここでも、ノズル列の位置が分かるように、本来上部からは視認できないノズル列を視認できるように示している。また、図には、用紙Sが2枚示され、一方の用紙Sには、第1駆動信号COM1〜第6駆動信号COM6の駆動パルスPS2の駆動電圧Vhに共通の駆動電圧V1が設定されていたときのパターンを形成したことを示すように駆動電圧V1が示され、他方の用紙Sには、駆動電圧V2が設定されていたときのパターンを形成したことを示すように、駆動電圧V2が示されている。
用紙S上には、テストパターンが形成されている。テストパターンは、駆動電圧補正用パターンDPと濃度補正用パターンCPとからなる。駆動電圧補正用パターンDPは、その濃度が測定され、ヘッド毎の駆動電圧Vhを補正するために用いられる。また、濃度補正用パターンCPは、ラスタライン毎の濃度補正値を求めることに用いられるほか、各ヘッドにおけるサブパターンCSP毎の駆動電圧と濃度との関係を求めることにも用いられる。以下、形成される駆動電圧補正用パターンDPと濃度補正用パターンCPについてそれぞれ説明する。
駆動電圧補正用パターンDPは、各ヘッドによってインク色毎に形成される。図には、駆動電圧補正用パターンDPにおいて測色される矩形領域として、K1〜K6、C1〜C6、M1〜M6、Y1〜Y6が示されている。符号のアルファベットが矩形領域のインク色を示すものであり、アルファベットの後に示された数字が、パターンを形成したヘッドの番号を示すものである。例えば、第1ノズル列41Aが形成したブラックのパターンの矩形領域には、K1の符号が付されている。
駆動電圧補正用パターンDPは、用紙Sが搬送方向に搬送させられつつ、最初にイエローインクノズル列NYからインクが噴射されることによりY1〜Y6を含むパターンが形成される。次に、マゼンタインクノズル列NMからインクが噴射されることによりM1〜M6を含むパターンが形成される。次に、シアンインクノズル列NCからインクが噴射されることによりC1〜C6を含むテストパターンが形成される。次に、ブラックインクノズル列NKからインクが噴射されることによりK1〜K6を含むパターンが形成される。
これらの駆動電圧補正用パターンDPを形成するときにおいて、媒体における仮想的な画素領域には、必ず1つのドットが形成されるようにされる。つまり、図7に示すように、搬送方向に並ぶドットにより形成されるドットラインが、紙幅方向にノズルピッチで並ぶように形成される。
尚、図には、全ての駆動信号COM1〜COM6に共通の駆動電圧Vhを設定したにもかかわらず、形成されるテストパターンの濃度が異なっていることが示されている。これは、各ヘッドの個体差などにより、同じく駆動電圧を印加した場合であっても、異なるサイズのドットが形成され、結果として異なる濃度のパターンが形成されていることによる。
図9は濃度補正用パターンCPの説明図である。濃度補正用パターンCPは、インク色毎に形成される。また、各濃度補正用パターンCPは、図9に示すように、5種類の濃度のサブパターンCSPで形成される。
各サブパターンCSPは、帯状パターンであり、搬送方向に沿うラスタラインが紙幅方向に複数並ぶことにより構成される。また、各サブパターンCSPは、それぞれ一定の階調値(指令階調値)の画像データから生成されたものであり、図9に示すように、左のサブパターンCSPから順に濃度が濃くなっている。具体的には、左から15%、30%、45%、60%。85%の濃度のサブパターンとなっている。以下、濃度15%のサブパターンCSPの指令階調値をSa、濃度30%のサブパターンCSPの指令階調値をSb、濃度45%のサブパターンCSPの指令階調値をSc、濃度60のサブパターンCSPの指令階調値をSd、そして、濃度85%のサブパターンCSPの指令階調値をSeと表記する。そして、例えば、指令階調値Saにて形成されたサブパターンCSPを、図9に示すように、CSP(1)と表記する。同様に、指令階調値Sb、Sc、Sd、Seにて形成されたサブパターンCSPを、それぞれCSP(2)、CSP(3)、CSP(4)、CSP(5)と表記する。
このように異なる階調値の画像データから生成された印刷を行うために、プリンタ1は、以下のようなプリンタドライバの処理によって得られたデータに基づいて印刷を行う。
図10は、プリンタドライバによる処理の説明図である。以下、プリンタドライバによる処理について、図を参照しながら説明する。
印刷画像データは、図に示すように、プリンタドライバによって解像度変換処理(S102)、色変換処理(S104)、ハーフトーン処理(S106)、及び、ラスタライズ処理(S108)が実行されることにより生成される。
先ず、解像度変換処理では、アプリケーションプログラムの実行により得られたRGB画像データの解像度が、指定された画質に対応する印刷解像度に変換される。次に、色変換処理では、解像度が変換されたRGB画像データがCMYK画像データに変換される。ここで、CMYK画像データとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び、ブラック(K)の色別の画像データを意味する。そして、CMYK画像データを構成する複数の画素データは、それぞれ256段階の階調値で表される。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められるものであり、以下、指令階調値ともいう。
次に、ハーフトーン処理では、画像データを構成する画素データが示す多段階の階調値が、プリンタ1で表現可能な少段階のドット階調値に変換される。ここでは、画素データが示す256段階の階調値が、2段階のドット階調値に変換される。具体的には、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応するドットありの2段階に変換される。
尚、複数のサイズのドットを形成可能な場合には、例えば、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成の4段階に変換されることとしてもよい。
その後、各ドットのサイズについてドット生成率が決められた上で、ディザ法等を利用して、プリンタ1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
次に、ラスタライズ処理では、ハーフトーン処理で得られた画像データに関し、各ドットのデータが、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更される。そして、ラスタライズ処理されたデータは、印刷データの一部として送信される。
図11は、本実施形態における濃度補正値算出処理を説明するためのフローチャートである。本実施形態における濃度補正値算出処理は、推定濃度算出処理(S202)と補正値取得処理(S204)とからなる。推定濃度算出処理は、列領域毎の濃度の測定値に基づいて適正駆動電圧が設定されたときにおける濃度の測定値を推定する処理である。また、補正値取得処理は、列領域毎の濃度を補正するための濃度補正値を求める処理である。以下に、それぞれの処理の説明を行う。尚、ここでは、説明を容易にするため、第1ヘッド41A〜第3ヘッド41Cに関してこれらの処理を行ったときについて説明を行う。
図12は、推定濃度算出処理を説明するためのフローチャートである。
まず、駆動電圧VhをVh1、Vh2に設定したときのそれぞれのテストパターンが形成される(S302)。つまり、駆動電圧をVh1(本実施形態においてVh1は22V)に設定したときにおけるテストパターンが1枚の用紙に印刷され、さらに、駆動電圧をVh2(本実施形態においてVh2は25V)に設定したときにおけるテストパターンがもう一枚の用紙に印刷されることになる。
次に、これらのテストパターンがスキャナ120によって読み取られる(S304)。テストパターンの駆動電圧補正用パターンDPと濃度補正用パターンCPは、スキャナ120によって同時に読み取られる。そして、駆動電圧補正用パターンDPと濃度補正用パターンCPの各画素領域についてのRGB色空間の輝度値(以下、RGB値、また、個々にR値、G値、Y値という)が得られる。
次に、各駆動電圧で形成された駆動電圧補正用パターンDPについて、各ヘッドのインク色毎の平均濃度が求められる(S306)。ところで、スキャナ120がテストパターンを読み取ることによって、RGB値を得ることができていた。ここでは、YMCK色空間の濃度を取得する必要があるため、RGBからYMCKへの色変換処理を行うことになる。変換式は、以下に示すような一般的な変換式が用いられる。
Y=(1−B/255−Kf)/(1−Kf)*255
M=(1−G/255−Kf)/(1−Kf)*255
C=(1−R/255−Kf)/(1−Kf)*255
K=Kf*255
但し、Kf=Min(1−R/255,1−G/255,1−B/255)
Minは、括弧内の最小値を返す関数
このようにすることで、各画素領域における256階調の濃度値を得ることができる。尚、これ以外の変換式が用いられることとしてもよい。
このようにすることで、濃度として各画素領域におけるY値、M値、C値、K値が求められることになるが、各インク色の矩形領域については対応するインク色の濃度のみが参照されることになる。例えば、矩形領域K1では上式で求められたブラックKの濃度のみが参照され、イエローY、マゼンタM、及び、シアンMの濃度値は無視される。
各画素領域における濃度が得られると、各駆動電圧で形成された駆動電圧補正用パターンDPについて、各ヘッドのインク色毎の平均濃度が求められる。ここで平均濃度は、図7における破線で囲われた各矩形領域における平均の濃度である。ここまでで、画素領域単位での濃度を得ることができているが、ここでは破線の矩形で囲われた矩形領域における画素領域の濃度の平均値を求めることによって、得られる濃度値の信頼性を高めている。
具体的には、例えば、駆動電圧Vhが22Vのときにおける矩形領域K1(第1ヘッド41AによるブラックKについてのもの)の平均濃度が求められる。平均濃度は、K1内の全ての画素領域のブラックKの濃度の平均を求めることにより行われる。
このような平均濃度の算出が、K1〜K3、C1〜C3、M1〜M3、Y1〜Y3のそれぞれについて行われる。同様に、駆動電圧Vhを22V及び25Vにしたときについても、これらの平均濃度の算出が行われる。
次に、各駆動電圧における各ヘッドのインク色毎のサブパターンSCPの平均濃度を算出する(S307)。サブパターンSCP毎の平均濃度を求める際の、RGBからYMCKへの変換は上述と同様に行われる。そして、サブパターンCSP毎に含まれる画素領域の濃度の平均値が求められることになる。
また、テストパターンを読み取った画像データ上において、搬送方向に相当する方向に画素が並んだ画素列数と、テストパターンを構成するラスタライン数(列領域数)が同数になるように調整される。つまり、スキャナ120にて読み取った画素列と列領域を一対一で対応させる。そして、ある列領域と対応する画素列の各画素が示す読み取り階調値の平均値を、その列領域の濃度の測定値とする。
つまり、ここでは、サブパターンCSP単位での濃度と、各サブパターンCSPにおける列領域の単位での濃度の測定値が得られることになる。
図13は、求められた各ヘッドの各インク色についての駆動電圧毎の平均濃度を示す表である。図には、駆動電圧Vh1、Vh2に対する各ヘッドのインク色毎の平均濃度が代数で示されている。ここでは、前述の通り、説明の容易のために第1ヘッド41A〜第3ヘッド41Cについて求められている。尚、駆動電圧が低いとき(Vh1)では駆動電圧が高いとき(Vh2)よりも濃度値が低くなることになる。
次に、各ヘッドのインク色毎の適正駆動電圧が求められる(S308)。適正駆動電圧は、各ヘッドの各インク色について、基準となる濃度を出力するために必要な駆動電圧を示すものである。このような適正駆動電圧を求めるために、各インク色の基準濃度が予め求められている。基準濃度は、カラー印刷を行うに際し、各インク色の発色が考慮されバランスのよいカラー印刷を行うために要求される仕様に応じて予め決められるものである。
図14は、各インク色の基準濃度を示す表である。ここでは、各インク色の基準濃度は代数で示されているが、プリンタ1では、このような基準濃度となる印刷を適切に行うことができることにより、所望のカラー印刷が実現できるような仕様になっている。
基準濃度となるような駆動電圧を求めることによって適正駆動電圧を求めることができるが、ここでは、既に得られた2つの駆動電圧Vh1とVh2における駆動電圧補正用パターンの濃度を線形補間し、この線形補間した濃度値から適正駆動電圧を求める。
線形補間した線分の式は、一次関数(y=ax+b)によって得られる。一次関数の係数a、及び、bは、各駆動電圧Vh1、Vh2をxとしたときの駆動電圧補正用パターンの各濃度をyとして代入したときの2つの1次方程式を連立させることにより求めることができる。
図15は、求められた一次関数の係数a、bを示す表である。表には、各インク色の各ヘッドの係数a及びbが代数で示されている。この表によると、例えば、第1ヘッド41Aのインク色がブラックKについての一次関数は、y=a1k・x+b1kということになる。
次に、求められた一次関数から、各ヘッドのインク色毎の適正駆動電圧が求められる。適正駆動電圧は、一次関数のyに基準濃度値を代入してx値を求めることで得ることができる。たとえば、前述のように、インク色がブラックKのときの第1ヘッド41Aの一次関数は、y=a1k・x+b1kであったので、yにブラックKの基準濃度Dkを代入してx値を求めると、そのときの適正駆動電圧が得られる。同様にして、各インク色の各ヘッドの適正駆動電圧を求めることができる。
図16は、各ヘッドのインク色毎の適正駆動電圧を示す表である。本表では、代数によって表されているが、これらの代数に対応する実際の数値はそれぞれ異なる値となる。すなわち、各ヘッドの有する個体差によって、同じ基準濃度を出力するために要求される駆動電圧が若干異なっている。
次に、ヘッド毎の適正駆動電圧の平均値をそのヘッドの駆動電圧に設定する(S310)。例えば、第1ヘッド41Aにおいて、ブラックの適正駆動電圧Vap1kとシアンの適正駆動電圧Vap1cとマゼンタの適正駆動電圧Vap1mとイエローの適正駆動電圧Vap1yとの平均値Vave1が求められる。そして、この平均値Vave1が第1ヘッド41Aの駆動電圧として設定される。
図17は、各ヘッドの適正駆動電圧を示す表である。図に示されるように、第2ヘッド41Bには、第2ヘッドにおける適正駆動電圧の平均値Vave2が設定され、第3ヘッド41Cには、第3ヘッドにおける適正駆動電圧の平均値Vave3が設定された。
次に、求められた適正駆動電圧と駆動電圧Vh1の差分を求める。尚、以下、ブラックKについてのみ説明を行うが、他のインク色についても同様の処理が行われる。
図18Aは、第1ヘッド41Aにおける駆動電圧と適正駆動電圧との差分を示す表である。図18Bは、第2ヘッド41Bにおける駆動電圧と適正駆動電圧との差分を示す表である。図18Cは、第3ヘッド41Cにおける駆動電圧と適正駆動電圧との差分を示す表である。それぞれの表には、対応するヘッドの適正駆動電圧と、駆動電圧Vh1と、これらの差分が示されている。たとえば、第1ヘッド41Aにおける差分dk1は、適正駆動電圧Vak1からVh1を減算して求められる。つまり、dk1=Vak1-Vh1となる。同様にして、第2ヘッド41B及び第3ヘッド41Cについての各差分も求めることができる。
次に、各サブパターンにおける加算値が求められる(S314)。
各サブパターンにおける加算値を求めるために、まず、各ヘッドが形成した濃度補正用パターンCPにおけるサブパターンCSP毎の駆動電圧と濃度との関係式が求められる。前述のように、駆動電圧をVh1(22V)にしたときとVh2(25V)にしたときについて濃度補正用パターンCPが形成され、対応するそれぞれのサブパターンCSPの濃度は既に求められている。これらの測定値に基づいて、各ヘッドのサブパターン毎の駆動電圧と濃度との関係は一次関数として求められる。尚、ここでは一次関数によって求めることとしたが、駆動電圧と濃度との関係に線形性がないヘッドを用いる場合には、一次関数以外の関数によって駆動電圧と濃度との関係を表すこととしてもよい。
図19は、第1ヘッド41Aの駆動電圧に対する出力濃度の関係を示すグラフである。図には、第1ヘッド41Aの駆動電圧がVh1に設定されたときのブラックKの濃度補正用パターンCPの各濃度の測定値と、駆動電圧がVh2に設定されたときの各濃度の測定値が直線によって結ばれた図が示されている。ここでは、第1ヘッド41AのブラックKについてのみ示しているが、同様のグラフが他のインク色(シアン、マゼンタ、イエロー)についても作成することができる。また、第2ヘッド41B及び第3ヘッド41Cについても同様のグラフを作成することができる。
図20Aは、第1ヘッド41Aの駆動電圧に対する出力濃度との関係式を示す表である。図20Bは、第2ヘッド41Bの駆動電圧に対する出力濃度との関係式を示す表である。図20Cは、第3ヘッド41Cの駆動電圧に対する出力濃度との関係式を示す表である。前述のように、駆動電圧をVh1に設定したときとVh2に設定したときについての各濃度の測定値が得られていることから、駆動電圧に対する濃度の測定値の関係式を一次関数として得ることができる。
このようにして、それぞれの一次関数を求めることができると、列領域毎に得られた濃度の測定値を適正駆動電圧を設定したときにおいて、測定値に補正するための加算値を得ることができるようになる。各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値は、駆動電圧に対する濃度の測定値の傾きに対して、前述の差分を乗ずることとして求めることができる。
図21Aは、第1ヘッド41Aにおける各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値を示す表である。図21Bは、第2ヘッド41Bにおける各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値を示す表である。図21Cは、第3ヘッド41Cにおける各ラスタラインの濃度の測定値に加算するサブパターンCSP毎の加算値を示す表である。それぞれの図には、駆動電圧に対する濃度の測定値の傾きに対して差分が乗じられた加算値が示されている。
次に、ラスタライン毎の補正された濃度の測定値が算出される(S316)。
図22Aは、ラスタライン毎の濃度の測定値を示す表である。図には、前述のステップS307で得られた各ラスタラインのサブパターンCSP毎の濃度の測定値が代数で示されている。ここで、代数の2文字目は、インク色を示し、次の文字はサブパターンCSPの番号を示す。そして、ハイフンの後の番号はラスタライン番号を示している。ここでは、第1ヘッド41Aから第3ヘッド41Cのノズルに対応する第1ラスタライン〜第1064ラスタラインについての濃度の測定値が示されていることになる。
図22Bは、濃度の測定値を補正した補正後の測定値を示す表である。前述のように、濃度の測定値を補正するためには、求められた加算値を対応するラスタラインの濃度の測定値に加算すればよい。前述のように、第1ヘッド41Aは、第1ラスタライン〜第355ラスタラインを形成しているので、これらのラスタラインのサブパターンCSP(1)の濃度の測定値については、第1ヘッド41AのサブパターンCSP(1)の加算値ak11・dk1が加算される。例えば、第1ラスタラインのサブパターンCSP(1)の濃度の測定値Rk1-1には、第1ヘッド41AにおけるサブパターンCSP(1)の加算値ak11・dk1が加算され、Rk1-1+ak11・dk1となる。
同様にして、これらのラスタラインのサブパターンCSP(2)の濃度の測定値については、サブパターンCSP(2)の加算値ak12・dk1が加算される。例えば、第1ラスタラインのサブパターンCSP(2)の濃度の測定値Rk2-1には、第1ヘッド41AにおけるサブパターンCSP(2)の加算値ak12・dk1が加算され、Rk2-1+ak12・dk1となる。このような濃度の測定値の補正が、サブパターンCSP(3)〜CSP(5)についても行われる。
また、ラスタラインの対応するヘッドが変わると、対応する加算値も異なることとなる。例えば、第3ヘッド41Cは、第711ラスタライン〜第1064ラスタラインを形成しているので、これらのラスタラインのサブパターンCSP(1)の濃度の測定値については、第3ヘッド41CのサブパターンCSP(1)の加算値ak31・dk3が加算される。例えば、第1060ラスタラインのサブパターンCSP(1)の濃度の測定値Rk1-1060には、第1ヘッド41AにおけるサブパターンCSP(1)の加算値ak31・dk3が加算され、Rk1-1060+ak31・dk3となる。
同様にして、これらのラスタラインのサブパターンCSP(2)の濃度の測定値については、サブパターンCSP(2)の加算値ak32・dk3が加算される。例えば、第1060ラスタラインのサブパターンCSP(2)の濃度の測定値Rk2-1060には、第3ヘッド41CにおけるサブパターンCSP(2)の加算値ak32・dk3が加算され、Rk2-1060+ak32・dk3となる。このような濃度の測定値の補正が、サブパターンCSP(3)〜CSP(5)についても行われる。
このようにすることによって、駆動電圧補正用パターンDPに基づいて駆動電圧が補正される場合であっても、駆動電圧が補正された後に形成されるであろう濃度補正用パターンCPの各列領域の濃度を求めることができる。以下、このようにして求められた濃度のことを算出濃度ともいう。
ところで、このように列領域毎の算出濃度を求めることができても、これらの濃度は列領域毎、すなわちラスタライン毎に異なる数値を示し、ラスタライン毎に濃淡が生じている。
図23は、指令階調値がSa、Sb、ScのサブパターンCSPについてラスタライン毎の算出濃度を示すグラフである。図23の横軸は、ラスタラインの位置を示し、縦軸は、算出濃度の大きさを示している。図23に示すように、各サブパターンCSPは、それぞれ同一の指令階調値で形成されたにも関わらずラスタライン毎に濃淡が生じている。このラスタラインの濃淡差が、印刷画像の濃度むらの原因である。
<濃度むらについて>
図24Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図である。理想的にドットが形成されるとは、画素領域の中心位置にインク滴が着弾し、そのインク滴が用紙S上に広がって、画素領域にドットが形成されることである。各ドットが各画素領域に正確に形成されると、ドットライン(搬送方向にドットが並んだドット列)が列領域に正確に形成される。
図24Bは、濃度むらが発生したときの説明図である。2番目の列領域に形成されたドットラインは、ノズルから吐出されたインク滴の飛行方向のばらつきにより、3番目の列領域側に寄って形成されている。その結果、2番目の列領域は淡くなり、3列目の列領域は濃くなる。また、5番目の列領域に吐出されたインク滴のインク量は規定のインク量よりも少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。その結果、5列目の列領域は淡くなる。
このように濃淡の違うラスタラインからなる印刷画像を巨視的に見ると、搬送方向に沿う縞状の濃度むらが視認される。この濃度むらは、印刷画像の画質を低下させる原因となる。
以上のような濃度むらを抑制するための方策としては、画像データの階調値(指令階調値)を補正することが考えられる。つまり、濃く(淡く)視認され易い列領域に対しては、淡く(濃く)形成されるように、その列領域を構成する単位領域に対応する画素の階調値を補正すればよい。このため、ラスタライン毎に画像データの階調値を補正する濃度補正値Hを算出することになる。この濃度補正値Hは、プリンタ1の濃度むら特性を反映した値である。
図24Cは、濃度むらの発生が抑制された様子を示す図である。ラスタライン毎の濃度補正値Hが算出されていれば、ハーフトーン処理の実行に際してプリンタドライバによって、その濃度補正値Hに基づいてラスタライン毎に画素データの階調値を補正する処理が行われる。この補正処理により補正された階調値で各ドットラインが形成されると、対応するラスタラインの濃度が補正される結果、図24Cに示すように、印刷画像における濃度むらの発生が抑制されることになる。
例えば、図24C中では、淡く視認される2番目と5番目の列領域のドット生成率が高くなり、濃く視認される3番目の列領域のドット生成率が低くなるように、各列領域に対応する画素の画素データの階調値が補正される。このように、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度むらが抑制される。
<濃度補正値Hの算出について>
次に、ラスタライン毎の濃度補正値Hを算出する処理(以下、補正値取得処理ともいう)について概説する。補正値取得処理は、例えば、プリンタ1の製造工場の検査ラインにおいて、補正値算出システムの下で行われる。補正値算出システムとは、プリンタ1の濃度むら特性に応じた濃度補正値Hを算出するためのシステムであり、上記の印刷システム100と同様の構成である。つまり、補正値算出システムは、プリンタ1、コンピュータ110、及び、スキャナ120(便宜上、印刷システム100の場合と同一の符号にて表記する)を有する。
プリンタ1は、補正値取得処理の対象機器であり、該プリンタ1を用いて濃度むらがない画像を印刷するためには、前記補正値取得処理において該プリンタ1用の濃度補正値Hを算出することになる。検査ラインに置かれたコンピュータ110には、該コンピュータ110が補正値取得処理を実行するための補正値算出プログラムがインストールされている。
<補正値取得処理について>
図25は、補正値取得処理を説明するフローチャートである。多色印刷が可能なプリンタ1を対象とする場合、各インク色についての補正値取得処理は同様の手順により実施される。以下の説明では、一のインク色(例えば、ブラック)についての補正値取得処理について説明する。補正値取得処理は、既に取得し補正されたラスタライン毎の濃度の測定値(算出濃度)に基づいて行われる。
コンピュータ110は、ラスタライン毎の濃度補正値Hを算出する(S402)。なお、濃度補正値Hは、指令階調毎に算出される。以下、指令階調Sa、Sb、Sc、Sd、Seについて算出された濃度補正値HのことをそれぞれHa、Hb、Hc、Hd、Heとする。濃度補正値Hの算出手順を説明するために、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)のラスタライン毎の算出濃度が一定になるように指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順を例に挙げて説明する。当該手順では、例えば、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)における全ラスタラインの算出濃度の平均値Dbtを、指令階調値Sbの目標濃度として定める。図23において、この目標濃度Dbtよりも算出濃度が淡い第iラスタラインでは、指令階調値Sbを濃くする方へ補正すれば良い。一方、目標濃度Dbtよりも算出濃度が濃い第jラスタラインでは、指令階調値Sbを淡くする方へ補正すればよい。
図26Aは第iラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順についての説明図である。また図26Bは、第jラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順についての説明図である。図26A及び図26Bの横軸は指令階調値の大きさを示し、縦軸は算出濃度を示している。
第iラスタラインの指令階調値Sbに対する濃度補正値Hbは、図26Aに示す指令階調値SbのサブパターンCSP(2)における第iラスタラインの算出濃度Db、及び、指令階調値ScのサブパターンCSP(3)における第iラスタラインの算出濃度Dc、に基づいて算出される。より具体的には、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)では、第iラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtよりも小さくなっている。換言すると、第iラスタラインの濃度は平均濃度よりも淡くなっている。仮に、第iラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtと等しくなるように該第iラスタラインを形成したいのであれば、該第iラスタラインに対応する画素データの階調値、すなわち、指令階調値Sbを、図27Aに示すように、第iラスタラインにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sb,Db)、(Sc,Dc)から直線近似を用いて、下記式(1)により算出される目標指令階調値Sbtまで補正すればよい。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Dbt−Db)/(Dc−Db)} (1)
そして、指令階調値Sbと目標指令階調値Sbtから、下記式(2)により、第iラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hが求められる。
Hb=ΔS/Sb=(Sbt−Sb)/Sb (2)
一方、第jラスタラインの指令階調値Sbに対する濃度補正値Hbは、図26Bに示す指令階調値SbのサブパターンCSP(2)における第jラスタラインの算出濃度Db、及び、指令階調値SaのサブパターンCSP(1)における第jラスタラインの算出濃度Da、に基づいて算出される。具体的には、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)では、第jラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtよりも大きくなっている。仮に、第jラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtと等しくなるように該第jラスタラインを形成したいのであれば、該第jラスタラインの指令階調値Sbを、図27Bに示すように、第jラスタラインにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sa,Da)、(Sb,Db)から直線近似を用いて、下記式(3)により算出される目標指令階調値Sbtまで補正すればよい。
Sbt=Sb+(Sb−Sa)×{(Dbt−Db)/(Db−Da)} (3)
そして、上記式(2)により、第jラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbが求められる。
以上のようにして、コンピュータ110は、ラスタライン毎に、指令階調値Sbに対する濃度補正値Hbを算出する。同様に、指令階調値Sa、Sc、Sd、Seに対する濃度補正値Ha、Hc、Hd、Heを、それぞれラスタライン毎に算出する。また、他のインク色についても、ラスタライン毎に、指令階調値Sa〜Seの各々に対する濃度補正値Ha〜Heを算出する。
その後、コンピュータ110は、濃度補正値Hのデータをプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ63に記憶させる(S404)。
図27は、メモリ63に記憶された補正値テーブルを示す図である。この結果、プリンタ1のメモリ63には、図27に図示された、ラスタライン毎に5つの指令階調値Sa〜Seの各々に対する濃度補正値Ha〜Heをまとめた補正値テーブルが作成される。
また、図27に示すように、補正値テーブルはインク色別に作成される。この結果、CMYK4色分の補正値テーブルが形成される。この補正値テーブルは、プリンタ1を用いて画像を印刷する際に、当該画像の画像データを構成する各ラスタラインの階調値を補正するためにプリンタドライバによって参照される。
本実施形態では、用紙上の画素列に対応するラスタラインごとに濃度を測定し、測定した濃度に基づいて階調値を補正するための補正値を求めている。このようにすることで、ラスタライン毎に濃度補正を行うことができる。そして、用紙上の色むらの発生を抑制することができる。
<印刷処理>
図28は、ユーザ下でプリンタドライバが行う印刷処理のフロー図である。プリンタ1を購入したユーザは、プリンタ1に同梱されているCD−ROMに記憶されたプリンタドライバ(若しくは、プリンタ製造会社のホームページからダウンロードしたプリンタドライバ)を、コンピュータにインストールする。このプリンタドライバには、図中の各処理をコンピュータに実行させるためのコードを備えている。また、ユーザは、コンピュータにプリンタ1を接続する。
まず、プリンタドライバは、プリンタ1のメモリに記憶されている補正値テーブル(図27参照)を、プリンタ1から取得する(S502)。
ユーザがアプリケーションプログラム上から印刷を指示したとき、プリンタドライバが呼び出され、印刷対象となる画像データ(印刷画像データ)をアプリケーションプログラムから受け取り、その印刷画像データに対して解像度変換処理を行う(S504)。解像度変換処理とは、画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、用紙に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。ここでは、印刷解像度は360×360dpiであり、解像度変換処理後の各画素データは、RGB色空間により表される256階調のデータである。
次に、プリンタドライバは、色変換処理を行う(S506)。色変換処理とは、プリンタ1のインク色の色空間に合わせて画像データを変換する処理である。ここでは、RGB色空間の画像データ(256階調)が、CMYK色空間の画像データ(256階調)に変換される。
これにより、256階調のCMYK色空間の画像データが得られる。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、CMYK色空間の画像データのうちの、ブラック平面の画像データについて説明する。
次に、プリンタドライバは、濃度むら補正処理を行う(S508)。濃度むら補正処理は、用紙上の画素列(ラスタラインに対応)ごとの補正値に基づいて、各画素列に属する画素データの階調値をそれぞれ補正する処理である。
例えば、ユーザのコンピュータ110のプリンタドライバは、各画素データの階調値(以下、補正前の階調値をSinとする)を、その画素データが対応するラスタラインの濃度補正値Hに基づいて補正する(以下、補正後の階調値をSoutとする)。
具体的には、あるラスタラインの階調値Sinが指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seの何れかと同じであれば、コンピュータ110のメモリに記憶されている濃度補正値Hをそのまま用いることができる。例えば画素データの階調値Sin=Sbであれば、補正後の階調値Soutは次式によって求められる。
Sout=Sb×(1+Hb)
一方、画素データの階調値が指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seと異なる場合、その周囲の指令階調値の濃度補正値を用いた補間に基づいて補正値を算出する。例えば指令階調値Sinが指令階調値Sbと指令階調値Scとの間の場合、指令階調値Sbの濃度補正値Hb、及び指令階調値Scの濃度補正値Hcを用いた線形補間により求めた補正値をH´とすると、指令階調値Sinの補正後の階調値Soutは次式によって求められる。
Sout=Sin×(1+H´)
このようにして、濃度補正処理が行なわれる。
濃度むら補正処理の後、プリンタドライバは、ハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、高階調数のデータを、低階調数のデータに変換する処理である。ここでは、256階調の印刷画像データが、プリンタ1の表現可能な2階調の印刷画像データに変換される。ハーフトーン処理方法としてディザ法などが知られており、本実施形態もこのようなハーフトーン処理を行う。
本実施形態において、プリンタドライバは、濃度むら補正処理された画素データに対して、ハーフトーン処理を行うことになる。この結果、濃く視認されやすい部分の画素データの階調値は低くなるように補正されているので、その部分のドット生成率は低くなる。逆に、淡く視認されやすい部分ではドット生成率が高くなる。
次に、プリンタドライバは、ラスタライズ処理を行う(S512)。ラスタライズ処理は、印刷画像データ上の画素データの並び順を、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理である。その後、プリンタドライバは、プリンタ1を制御するための制御データを画素データに付加することによって印刷データを生成し(S514)、その印刷データをプリンタ1に送信する(S516)。
プリンタ1は、受信した印刷データに従って、印刷動作を行う。具体的には、プリンタ1のコントローラ60は、受信した印刷データの制御データに従って搬送ユニット20などを制御し、印刷データの画素データに従ってヘッドユニット40を制御して各ノズルからインクを吐出する。このようにして生成された印刷データに基づいてプリンタ1が印刷処理を行えば、各ラスタラインのドット生成率が変更され、用紙上の列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像の濃度むらが抑制される。
===その他の実施の形態===
上述の実施形態では、流体噴射装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
<ヘッドについて>
前述の実施形態のようにインクを噴射させる方法としては、圧電素子を用いてインクを噴射することとすることができる。しかし、液体を噴射する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、22A 上流側ローラ、22B 下流側ローラ、24 ベルト、
40ヘッドユニット、
41A 第1ヘッド、41B 第2ヘッド、41C 第3ヘッド、
41D 第4ヘッド、41E 第5ヘッド、41F 第6ヘッド、
50 検出器群、60 コントローラ、61 インターフェース、
62 CPU、63 メモリ、64 ユニット制御回路、
70 駆動信号生成回路、
110 コンピュータ、111 インターフェース、
112 CPU、113 メモリ、
120 スキャナ、121 読取キャリッジ、122 インターフェース、
123 CPU、124 メモリ、125 スキャナコントローラ、
CP 濃度補正用パターン、DP 駆動電圧補正用パターン

Claims (8)

  1. 媒体との相対移動方向に対して交差する方向に沿うノズル列から駆動パルスに応じた流体を噴射して、前記駆動パルスのパラメータを補正するためのパラメータ補正用パターンと、前記相対移動方向に沿って並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を補正するための濃度補正用パターンとを形成することと、
    前記パラメータ補正用パターンの濃度を測定することと、
    前記濃度補正用パターンの濃度を前記画素列毎に測定することと、
    前記パラメータ補正用パターンの濃度と、該パラメータ補正用パターンの目標濃度とに基づいて、前記画素列毎の濃度の測定値を補正することと、
    補正された前記画素列毎の濃度の測定値に基づいて、前記画素列毎の濃度を補正するための濃度補正値を求めることと、
    を含む流体噴射装置の製造方法。
  2. 前記パラメータ補正用パターンは、前記ノズル列により全ての画素にドットが形成されるパターンである、請求項1に記載の流体噴射装置の製造方法
  3. 前記濃度補正用パターンは複数の階調からなるパターンであり、前記濃度補正値は該階調毎に求められる、請求項1又は2に記載の流体噴射装置の製造方法。
  4. 前記パラメータ補正用パターンの濃度を前記目標濃度にするための前記パラメータと前記補正用パターンを形成したときの前記パラメータとの差と、前記パラメータに対する前記補正用パターンの濃度の関係と、に基づいて、前記画素列毎の濃度の測定値が補正される、請求項1〜3のいずれかに記載の流体噴射装置の製造方法。
  5. 前記パラメータ補正用パターンは前記パラメータが異ならされて複数形成され、
    前記目標濃度にするための前記パラメータは、複数形成された前記パラメータ補正用パターンの濃度と、該パラメータ補正用パターンを形成したときの前記駆動パルスのパラメータと、に基づいて求められる、請求項4に記載の流体噴射装置の製造方法。
  6. 前記駆動パルスのパラメータは、駆動パルスの電圧の振幅値である、請求項1〜5のいずれかに記載の流体噴射装置の製造方法。
  7. 前記ノズル列のノズルから前記流体を噴射するために前記駆動パルスが印加される駆動素子はピエゾ素子である、請求項1〜6のいずれかに記載の流体噴射装置の製造方法。
  8. 一組の前記パラメータ補正用パターンと前記濃度補正用パターンは、1枚の前記媒体に形成される、請求項1〜7のいずれかに記載の流体噴射装置の製造方法。
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