特許文献1に開示された動力伝動用ベルトの製造装置では、押込ローラを用いることによってセンターベルトへの複数のブロックの装着が行われるが、その前に、治具に対して全てのブロックをセンターベルトの長さ方向に所定ピッチ間隔をおいて配置して固定する必要がある。このため、全てのブロックを治具における所定の正確な位置に精度良く速やかに固定するためには、位置の割り出し機構を備えるインデックス装置等を用いて治具に対して各ブロックを搬送するとともに固定する複雑な装置構成や製造工程が別途必要となる。また、特許文献2に開示された動力伝動用ベルトの製造装置においても、押込ローラを用いることによってセンターベルトへの複数のブロックの装着が行われるが、その前に、ブロックガイドに対して全てのブロックを所定ピッチだけ離して環状に整列させて固定する必要がある。このため、特許文献2の装置では、前述したブロック供給手段と整列手段とを用いてブロックガイドへ複数のブロックを整列させる複雑な装置構成や製造工程が更に必要となる。このように、特許文献1及び特許文献2に開示された動力伝動用ベルトの製造装置では、装置構成や製造工程の複雑化を招いてしまうという問題があるため、簡素化が図られることが望ましい。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、センターベルトに対して複数のブロックを正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができるとともに、装置構成や製造工程の簡素化を図ることができる、動力伝動用ベルトの製造装置及び動力伝動用ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、環状に形成された一対のセンターベルトと当該一対のセンターベルトの間でこれらに対して取り付けられるとともに当該一対のセンターベルトの長手方向に沿って複数配置されるブロックとを有する動力伝動用ベルトを製造する際に用いられ、前記一対のセンターベルトのうちの一方のセンターベルトに対して複数の前記ブロックを装着する、動力伝動用ベルトの製造装置に関する。そして、第1発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、両側方に開放されるように形成されて前記センターベルトに嵌合する一対の嵌合溝がそれぞれ設けられた複数の前記ブロックが載置されることで、複数の前記ブロックを一方向に沿って配列させるレールと、前記一方のセンターベルトが載置されるとともに当該一方のセンターベルトをその周方向において回転自在に保持し、当該一方のセンターベルトの周方向における一部を前記レールの先端部の下方に配置可能なベルト保持機構と、前記レールに配列された複数の前記ブロックを当該レールに沿ってその先端側に向かって付勢する付勢機構と、前記レールの先端側において、下方に配置された前記一方のセンターベルトの一部に対して、一方向に沿って配列された複数の前記ブロックのうちの前記レールの先端側における先頭に位置する前記ブロックである先頭ブロックの位置を前記一対の嵌合溝のうちの一方の嵌合溝が対向するように位置決めする位置決め機構と、を備え、前記一方の嵌合溝に前記一方のセンターベルトが挿入されるように、前記先頭ブロックを前記一方のセンターベルトに向かって順次打ち込み、前記一方のセンターベルトに対して複数の前記ブロックを配列させて装着することを特徴とする。
この発明によると、複数のブロックは、レールに載置されることで一方向に沿って配列され、付勢機構によってレールに沿って先端側に付勢される。このとき、レールの先端側の先頭ブロックは、その下方においてベルト保持機構によって保持されたセンターベルトの一部に対して、一方の嵌合溝が対向するように位置決め機構によって正確に精度良く位置決めされる。そして、ベルト保持機構によって所定角度ずつセンターベルトを周方向に回転させながら先頭ブロックをセンターベルトに対して順次打ち込むことで、複数のブロックが所定の位置に装着されることなる。また、1つの先頭ブロックの打ち込み動作が終了すると、そのブロックの隣に配列されていたブロックが付勢機構によって付勢されて位置決め機構によって先頭ブロックとして位置決めされ、すぐに打ち込み可能な状態となる。このため、1つのブロックの打ち込み動作が終了すると、すぐに次のブロックの正確な位置での精度の良い打ち込み動作が可能な状態となり、打ち込み動作のサイクルタイムも短縮され、全てのブロックを順次速やかに装着することができる。また、この発明によると、レールに載置した複数のブロックを付勢しながら同時に位置決めして先頭のブロックから順次打ち込むという簡素な装置構成と製造工程によって、センターベルトに対して複数のブロックを正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができる。従って、従来技術のような、押込ローラを用いた装置によるブロックの装着のために事前に特殊な治具やブロックガイドに対して全てのブロックを正確に精度良く配置して固定するための複雑な装置構成や製造工程は不要となる。
従って、本発明によると、センターベルトに対して複数のブロックを正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができるとともに、装置構成や製造工程の簡素化を図ることができる動力伝動用ベルトの製造装置を提供することができる。
第2発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第1発明の動力伝動用ベルトの製造装置において、前記レールは、1本のモノレール構造として設けられ、前記一方の嵌合溝に対して嵌まり合うように複数の前記ブロックが載置されることで、当該複数のブロックを一方向に沿って配列させることを特徴とする。
この発明によると、モノレール構造として設けられたレールに対して、ブロックにおける一方の嵌合溝を嵌め合わせるように載置するだけで、レールに沿って容易に一方向に配列させることができる。従って、複数のブロックを一方向に配列させるレールの構造について、嵌合溝が設けられたブロックの形態を有効的に活用し、更なる簡素化を図ることができる。
第3発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第1発明又は第2発明の動力伝動用ベルトの製造装置において、前記位置決め機構は、前記先頭ブロックと当接するとともに、前記レールの先端部に対して空隙を介して対向する壁部を有し、前記壁部と前記レールの先端部との間の空隙である先端空隙部を介して前記先頭ブロックが前記一方のセンターベルトに向かって順次打ち込まれることを特徴とする。
この発明によると、レールの先端側で先頭ブロックを位置決めする位置決め機構について、レール先端部に先端空隙部を介して対向する壁部という簡素な構造を用いて実現することができる。そして、先端空隙部が設けられることで、位置決めされた先頭ブロックをレールの先端側からセンターベルトに向かって容易に打ち込むことができる。
第4発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第3発明の動力伝動用ベルトの製造装置において、前記先端空隙部における前記壁部と前記レールの先端部との間の距離寸法は、複数の前記ブロックの配列方向における前記ブロックの寸法であるブロック幅寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さいことを特徴とする。
この発明によると、先端空隙部における壁部とレール先端部との距離がブロック幅寸法の1つ分よりも大きく2つ分よりも小さい寸法に設定される。このため、センターベルトへの打ち込み動作の際に先頭ブロックのみが確実に打ち込まれ、先頭ブロックに隣接するブロックまでレールから脱落してしまうことを防止することができる。
第5発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第3発明又は第4発明の動力伝動用ベルトの製造装置において、前記先端空隙部を介して前記先頭ブロックを前記一方のセンターベルトに向かって順次打ち込む打ち込み機構を備え、前記打ち込み機構は、前記先頭ブロックの上方に配置される本体部と、前記本体部に対して往復移動自在に設けられ、下方に向かって突出して前記先頭ブロックに当接することで、当該先頭ブロックを前記先端空隙部を介して前記一方のセンターベルトに向かって付勢するロッド部と、を有していることを特徴とする。
この発明によると、先頭ブロックの上方から下方に突出して先頭ブロックに当接するロッド部を有する打ち込み機構が設けられる。これにより、先頭ブロックの直上からセンターベルトに向かって正確に先頭ブロックを打ち込む打ち込み機構の構成を簡素な装置構成で実現することができる。
第6発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第3発明乃至第5発明のいずれかの動力伝動用ベルトの製造装置において、前記位置決め機構は、前記レールの先端部の上方に配置されて少なくとも前記先頭ブロックに隣接する前記ブロックの上方への変位を規制するように配置されるカバー部を有し、前記カバー部は、前記壁部に対して前記先頭ブロックの上方において空隙を介して対向することを特徴とする。
この発明によると、先頭ブロックに隣接するブロックの上方への変位を規制するカバー部が設けられる。このため、打ち込み動作の際に打ち込み用の機器が先頭ブロックを打ち込んだ後に戻る変位を行うときにその変位に伴って、打ち込まれた先頭ブロックに隣接していた次の先頭ブロックが、上方に浮き上がるようにレールから外れてしまうことを防止できる。尚、先頭ブロックの上方には空隙が確保されるため、カバー部が打ち込み動作の際に打ち込み用の機器と干渉してしまうことも防止される。
第7発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第1発明乃至第6発明のいずれかの動力伝動用ベルトの製造装置において、前記付勢機構は、前記レールに対してスライド移動自在に配置されるとともに、複数の前記ブロックを押圧するよう付勢する押し治具と、前記押し治具を前記レールと平行な方向に沿って往復移動自在に支持し、当該押し治具の移動方向をガイドする押し治具用ガイドと、前記押し治具を前記レールと平行な方向に付勢する付勢バネと、を有していることを特徴とする。
この発明によると、付勢バネによって押し治具を付勢することで、複数のブロックを常時レールに沿って付勢することができる。そして、押し治具の移動方向が押し治具用ガイドによってガイドされているため、常時レールに沿った正確な方向に複数のブロックを付勢することができる。従って、押し治具、押し治具用ガイド及び付勢バネという簡素な構成で複数のブロックを常時レールに沿って正確に付勢できる機構を実現することができる。
第8発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第1発明乃至第7発明のいずれかの動力伝動用ベルトの製造装置において、前記レールにおいて、複数の前記ブロックは、隣接する前記ブロック同士の一方に設けられた凹部と他方に設けられた凸部とが係止した状態で配列されることを特徴とする。
この発明によると、複数のブロックは、隣接するブロック間で互いに凹部と凸部とが係止した状態でレールに配列される。これにより、複数のブロックが互いに凹凸部が係止した状態で付勢機構によって付勢されて位置決め機構との間で保持されることになる。このため、下方に向かって打ち込まれる先頭ブロックが打ち込み動作が行われていないときに単独で落下してしまうことを、凹凸形状をブロックに設けるという簡素な構成で容易に防止することができる。
第9発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第5発明の動力伝動用ベルトの製造装置において、前記一方のセンターベルトの一部が前記レールの先端部の下方に配置された状態の前記ベルト保持機構において前記一方のセンターベルトを周方向に所定角度回転させる毎に、前記ロッド部を前記一方のセンターベルトに向かって突出させるように、前記ベルト保持機構及び前記打ち込み機構を制御する制御部を更に備えていることを特徴とする。
この発明によると、ベルト保持機構によってセンターベルトが所定角度回転する毎にロッド部が先頭ブロックを順次打ち込むように、ベルト保持機構と打ち込み機構とが同期して動作するよう制御部によって制御される。このため、センターベルトの回転動作とブロックの打ち込み動作とを速やかに連続的に行うことができ、サイクルタイムを更に短縮することができる。
第10発明に係る動力伝動用ベルトの製造装置は、第1発明乃至第9発明のいずれかの動力伝動用ベルトの製造装置において、前記ベルト保持機構は、前記一方のセンターベルトの一部が前記レールの下方に配置されて当該一方のセンターベルトに対して前記先頭ブ
ロックの打ち込みが行われる打ち込み位置と、前記打ち込み位置から離れるように退避した退避位置との間で、移動自在に支持されていることを特徴とする。
この発明によると、ベルト保持機構が、打ち込み位置と退避位置との間で移動自在に支持される。このため、ブロック装着前のセンターベルトやブロックが装着されたセンターベルトの取り付け作業や取り外し作業を打ち込み位置から離れた退避位置で行うことができ、センターベルトの取り付け作業及び取り外し作業の容易化を図ることができる。
また、前述の目的を達成するための第11発明に係る動力伝動用ベルトの製造方法は、環状に形成された一対のセンターベルトと当該一対のセンターベルトの間でこれらに対して取り付けられるとともに当該一対のセンターベルトの長手方向に沿って複数配置されるブロックとを有する動力伝動用ベルトを製造する際に用いられ、前記一対のセンターベルトのうちの一方のセンターベルトに対して複数の前記ブロックを装着する、動力伝動用ベルトの製造方法に関する。そして、第11発明に係る動力伝動用ベルトの製造方法は、両側方に開放されるように形成されて前記センターベルトに嵌合する一対の嵌合溝がそれぞれ設けられた複数の前記ブロックをレールに載置することで、複数の前記ブロックを一方向に沿って配列させるブロック載置工程と、前記一方のセンターベルトが載置されるとともに当該一方のセンターベルトを周方向において回転自在に保持するベルト保持機構を、当該一方のセンターベルトの周方向における一部が前記レールの先端部の下方に配置されるように位置させるベルト配置工程と、前記レールに配列された複数の前記ブロックを当該レールに沿ってその先端側に向かって付勢する付勢工程と、前記レールの先端側において、下方に配置された前記一方のセンターベルトの一部に対して、一方向に沿って配列された複数の前記ブロックのうちの前記レールの先端側における先頭に位置する前記ブロックである先頭ブロックの位置を前記一対の嵌合溝のうちの一方の嵌合溝が対向するように位置決めする位置決め工程と、前記一方の嵌合溝に前記一方のセンターベルトが挿入されるように、前記先頭ブロックを前記一方のセンターベルトに向かって順次打ち込む打ち込み工程と、を備え、前記一方のセンターベルトに対して複数の前記ブロックを配列させて装着することを特徴とする。
この発明によると、複数のブロックは、レールに載置されることで一方向に沿って配列され、レールに沿って先端側に付勢される。このとき、レールの先端側の先頭ブロックは、その下方においてベルト保持機構によって保持されたセンターベルトの一部に対して、一方の嵌合溝が対向するように正確に精度良く位置決めされる。そして、ベルト保持機構によって所定角度ずつセンターベルトを周方向に回転させながら先頭ブロックをセンターベルトに対して順次打ち込むことで、複数のブロックが所定の位置に装着されることなる。また、1つの先頭ブロックの打ち込み動作が終了すると、そのブロックの隣に配列されていたブロックが付勢されて先頭ブロックとして位置決めされ、すぐに打ち込み可能な状態となる。このため、1つのブロックの打ち込み動作が終了すると、すぐに次のブロックの正確な位置での精度の良い打ち込み動作が可能な状態となり、打ち込み動作のサイクルタイムも短縮され、全てのブロックを順次速やかに装着することができる。また、この発明によると、レールに載置した複数のブロックを付勢しながら同時に位置決めして先頭のブロックから順次打ち込むという簡素な装置構成と製造工程によって、センターベルトに対して複数のブロックを正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができる。
本発明によると、センターベルトに対して複数のブロックを正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができるとともに、装置構成や製造工程の簡素化を図ることができる、動力伝動用ベルトの製造装置及び動力伝動用ベルトの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の実施形態に係る動力伝動用ベルトの製造装置及び動力伝動用ベルトの製造方法は、環状に形成された一対のセンターベルトに複数のブロックが取り付けられた動力伝動用ベルトを製造する際に用いられ、一対のセンターベルトのうちの一方に複数のブロックを装着するための製造装置及び製造方法として、広く適用することができるものである。
図1は、本実施形態に係る動力伝動用ベルトの製造装置及び製造方法によって製造される動力伝動用ベルト100の一部を示す斜視図であり、図2は、動力伝動用ベルト100の一部の側面図である。この動力伝動用ベルト100は、高負荷伝動用のベルトとしてベルト式無段変速装置に使用され、プーリのV状溝の幅を変更することでプーリに巻き掛かる有効径を変化させて速比を調整するような変速プーリに巻き掛けて使用される。
動力伝動用ベルト100は、それぞれ環状に形成された一対のセンターベルト101(101a、101b)と、一対のセンターベルト101の間でこれらに対して取り付けられとともに一対のセンターベルト101の長手方向に沿って複数配置されるブロック102とを備えて構成されている。そして、図1及び図2に示すように、各センターベルト(101a、101b)は、エラストマー103内に心線104がスパイラル状に埋設されて構成されている。
図1及び図2に示す各ブロック102は、熱可塑性樹脂に繊維補強材及び摩擦低減材を配合した樹脂組成物を素材として形成され、両側方に設けられた一対のビーム(105a、105b)とその間に設けられたピラー106とを備えて構成されている。各ブロック102の両側面(102a、102b)は、ベルト式無段変速機のプーリのV状溝(図示せず)と係合するよう傾斜を有する面として形成されており、駆動側のプーリからの駆動力を一対のセンターベルト101を介して従動側のプーリに伝達して動力を伝動するよう構成されている。また、各ブロック102の両側面(102a、102b)においては、両側方に開放されるように形成されて各センターベルト(101a、101b)に嵌合する一対の嵌合溝(107a、107b)がそれぞれ設けられている。尚、各嵌合溝(107a、107b)においては、溝の空間を介して対向する一対の凸条部(108a、10
8b)が設けられている。これらの各凸条部(108a、108b)は、各ブロック102の嵌合溝(107a、107b)が一対のセンターベルト101に嵌合した状態において、各センターベルト(101a、101b)に形成された凹条部(109a、109b)のそれぞれに対して係合するように形成されている。
次に、本発明の一実施の形態に係る動力伝動用ベルトの製造装置について説明する。図3は、本実施形態の動力伝動用ベルトの製造装置1(以下、単に「製造装置1」ともいう)の正面図であり、図4は、製造装置1の平面図である。製造装置1は、動力伝動用ベルト100を製造する際において、一対のセンターベルト101のうちの一方のセンターベルト(例えばセンターベルト101a)に対して複数のブロック102を装着するために用いられる。この製造装置1は、図3及び図4に示すように、基台ケース11、レール12、ベルト保持機構13、付勢機構14、位置決め機構15、打ち込み機構16、基台ケース11内に配置される制御装置17(図11参照)などを備えて構成されている。尚、レール12、ベルト保持機構13、付勢機構14、位置決め機構15及び打ち込み機構16は、基台ケース11上に設けられている。
図5は、レール12、付勢機構14及び位置決め機構15についてブロック102とともに模式的に示す平面図であり、図6はその側面図である。尚、図5及び図6では製造装置1におけるその他の要素についての図示は省略しており、また、図5にのみ一方のセンターベルト101aの一部を図示している。図3乃至図6に示すように、レール12は、基台ケース11上において固定されている。このレール12は、1本のモノレール構造として設けられ、細長い板状に形成されている。そして、複数のブロック102は、このレール12上に載置されることで、一方向に沿って配列される。尚、レール12は、図5、図6及び図6のB−B線矢視断面図である図7に示すように、一対の嵌合溝(107a、107b)のうちの一方の嵌合溝107aに対して嵌まり合うように複数のブロック102が載置されることで、複数のブロック102を一方向に沿って配列させるように構成されている。
図8は、レール12上で複数のブロック102が配列される場合における隣接するブロック102同士の位置関係について示すブロック102の側面図である。図8(a)に示すように、ブロック102には、レール12上で配列されるときにブロック102同士で対向する両面において、一方の面には凹むように形成された凹部110が設けられ、他方の面には凹部110の凹み形状に対応する外形で突出するよう形成された凸部111が設けられている。そして、レール12上においては、複数のブロック102は、隣接するブロック102同士の一方に設けられた凹部110と他方に設けられた凸部111とが図8(b)に示すように係止した状態で配列される(図5、図6参照)。
図3及び図4に示すベルト保持機構13は、移動台21、回転支持部22、ベルト保持部23等を備えて構成されている。移動台21は、基台ケース11上に設けられた平行な一対の移動用レール(25、25)上に配置され、この移動用レール(25、25)に沿って往復方向に移動自在に支持されている。そして、この移動台21は、その側面に取り付けられたブラケット24aを介して、基台ケース11上に設けられたシリンダユニット24において往復方向に駆動されるロッド部分に対して取り付けられている。尚、シリンダユニット24は、例えば、圧縮空気を作動流体として用いたエアシリンダ機構として設けられている。
回転支持部22は、移動台21上に設けられ、移動台21に対してベルト保持部23を回転自在に支持している。ベルト保持部23は、図3において一方のセンターベルト101aを二点鎖線で図示するように、一方のセンターベルト101aが載置されるとともに、この載置されたセンターベルト101aを保持する治具として構成されている。このよ
うな回転支持部22及びベルト保持部23によって、ベルト保持機構13は、ベルト保持部23に保持されたセンターベルト101aをその周方向において回転自在に保持している。尚、回転支持部22は、センターベルトを周方向に回転させるためのベルト回転用モータ44(図11参照)として、例えば、ステッピングモータを内蔵しており、ベルト保持部23を所定角度ずつ回転させることができるように構成されている。
また、ベルト保持機構13は、シリンダユニット24の作動によって駆動される移動台21が設けられていることで、後述のようにブロック102の打ち込みが行われる打ち込み位置と、退避位置との間で、移動用レール(25、25)に沿って移動自在に支持されている。尚、図5は、上記の打ち込み位置にベルト保持機構13が位置している状態においてベルト保持部23に保持されている一方のセンターベルト101aを図示している(図5では、ベルト保持機構13の図示は省略している)。上記の打ち込み位置では、一方のセンターベルト101aの一部がレール12の下方に配置される。そして、この打ち込み位置では、後述するように、一方のセンターベルト101aに対して、一方向に沿って配列された複数のブロック102のうちのレール12の先端側における先頭に位置するブロック102である先頭ブロック112(図5、図6参照)の打ち込みが行われる。一方、図4は、ベルト保持機構13が、打ち込み位置から離れるように退避した退避位置に位置した状態を示している。
上述のように、ベルト保持機構13は、シリンダユニット24の作動によって移動用レール(25、25)に沿って打ち込み位置と退避位置との間で移動し、打ち込み位置では、一方のセンターベルト101aの周方向における一部をレール12の先端部12a(図5、図6参照)の下方に配置可能に構成されている。尚、本実施形態では、ベルト保持機構13がシリンダユニット24によって駆動される場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、電動モータとともに回転する車輪によって駆動されるものであってもよく、また、リニアモータによって駆動されるものであってもよい。
図3乃至図6に示す付勢機構14は、押し治具26と、押し治具用ガイド27と、付勢バネ28とを備えて構成されている。押し治具26は、押し治具用ガイド27に連結された連結部26aと、この連結部26aに固定された当接部26bとで構成されている。尚、当接部26bは、レール12上に配列された複数のブロック102のうち先頭ブロック112から最も離れた反対側に位置するブロック102と当接する位置に設けられている。そして、押し治具26は、レール12上においてレール12に対してスライド移動自在に配置されるとともに、後述する付勢バネ28の付勢力に伴って複数のブロック102を押圧して付勢するように構成されている。
押し治具用ガイド27は、スライダ27aとガイドレール27bとを備えて構成されている。ガイドレール27bは、基台ケース11上において固定され、レール12と平行に延びるように配置されている。スライダ27aは、ガイドレール27bに対して、ガイドレール27b上をスライド移動自在に支持されている。そして、このスライダ27aに対して、押し治具26の連結部26aが固定されている。押し治具用ガイド27は、上記の構成を備えることで、押し治具26をレール12と平行な方向に沿って往復移動自在に支持し、押し治具26の移動方向をガイドするように構成されている。
付勢バネ28は、バネケース内でレール12と平行な直線方向に変位可能な引っ張りバネとして設けられたコイルバネを備えて構成されている。この付勢バネ28におけるコイルバネの一方の端部は基台ケース11に固定された所定の取付部に取り付けられ、コイルバネの他方の端部は押し治具26の連結部26aに取り付けられている。そして、付勢バネ28は、引っ張りバネとしての引っ張り方向(図5中の矢印A方向)の付勢力によって、押し治具26をレール12と平行な方向に付勢するように構成されている。
上述のように、付勢機構14は、押し治具26、押し治具用ガイド27及び付勢バネ28を備えることで、レール12に配列された複数のブロック102をレール12に沿ってその先端側に向かって付勢するように構成されている。尚、本実施形態では、付勢バネ28が引っ張りバネとして構成された場合を例にとって説明したが、圧縮バネとして構成された付勢バネによって押し治具26を図5中の矢印A方向に付勢してもよい。
図3、図5及び図6に示す位置決め機構15は、壁部29とカバー部30とを備えて構成され、基台ケース11上において固定されている。壁部29は、基台ケース11に固定されたブラケット33に対して固定されたブロック状の部材として設けられ、先頭ブロック112に当接するとともに、レール12の先端部12aに対して空隙を介して対向するように配置されている。複数のブロック102が付勢機構14によって付勢されることで、先頭ブロック112が壁部29に向かって常時付勢されることになる。この壁部29が設けられていることで、位置決め機構15は、レール12の先端側において、ベルト保持機構13が打ち込み位置に移動することで位置決め機構15の下方に配置された一方のセンターベルト101aの一部に対して、先頭ブロック112の位置を一方の嵌合溝107aが対向するよう位置決めするように構成されている(図5参照)。
尚、後述するように、壁部29とレール12の先端部12aとの間の空隙である先端空隙部31(図6参照)を介して、先頭ブロック112が一方のセンターベルト101aに向かって順次打ち込まれることになる。また、図6によく示すように、先端空隙部31における壁部29とレール12の先端部12aとの間の距離寸法D1は、複数のブロック102の配列方向におけるブロック102の寸法であるブロック幅寸法の1つ分の寸法D2よりも大きく2つ分の寸法D3よりも小さくなるように(即ち、D2<D1<D3となるように)設定されている。
カバー部30は、図5及び図6に示すように、ブラケット33から片持ち状に突出する板状の部材として設けられており、レール12の先端部12aの上方に配置されている。そして、このカバー部30は、少なくとも先頭ブロック112に隣接するブロック102(図6に示すブロック113)の上方への変位を規制するように配置されている。また、このカバー部30は、壁部29に対して先頭ブロック112の上方において空隙32を介して対向するように配置されている(図6参照)。
図9及び図10は、図6に対応する側面図において打ち込み機構16の作動を説明する図である。図3、図9及び図10に示す打ち込み機構16は、シリンダ本体部34(本実施形態における本体部)とロッド部35とを有し、先端空隙部31を介して先頭ブロック112を一方のセンターベルト101aに向かって順次打ち込むエアシリンダ機構として設けられている。シリンダ本体部34は、基台ケース11に対して固定されたブラケット36に対して固定され、先頭ブロック112の上方に配置されている。ロッド部35は、シリンダ本体部34に対して往復移動自在に設けられ、下方に向かって突出して先頭ブロック112に当接することで、先頭ブロック112を先端空隙部31を介して一方のセンターベルト101aに向かって付勢するように構成されている。尚、打ち込み機構16の周囲においては、基台ケース11に取り付けられて打ち込み機構16の周囲を覆う保護カバー37が設置されている。保護カバー37の正面の下方はベルト保持機構13の一部が進入可能なように開放形成されており、保護カバー37の側面の下方も付勢機構14で付勢されたブロック102が進入可能なように開放形成されている。
ここで、打ち込み機構16の作動について、図9及び図10に基づいて説明する。まず、図9(a)に示す状態においては、一方のセンターベルト101aの一部の所定箇所が先端空隙部31の下方に位置し、ロッド部35はシリンダ本体部34に対して縮退した位
置(突出動作を行っていない位置)に位置している。このとき、複数のブロック102は隣接するブロック102同士において凹部110と凸部111とが係止した状態で付勢機構14によって壁部29に向かって付勢されている。このため、先頭ブロック112の下方は先端空隙部31となっているが、先頭ブロック112は脱落することなく、その位置が保持されている。
上述した図9(a)に示す状態から、後述する制御装置17からの指令に基づいて打ち込み機構16が作動し、図9(b)に示すように、ロッド部35が下方に向かって(図中矢印C方向に向かって)突出することになる。そして、突出したロッド部35は、壁部29とカバー部30との間の空隙32を通過して先頭ブロック112に当接するとともに、更に突出する。これにより、先頭ブロック112とそれに隣接するブロック113との間での凸部111と凹部110との係止が外れ、図9(c)に示すように、図中矢印C方向のロッド部35の突出動作とともに、先端空隙部31を介して先頭ブロック112が下方に向かって打ち出されることになる。尚、凸部111と凹部110との係止が外れる際において複数のブロック102が付勢バネ28の付勢力に抗して一時的に押し戻される方向の変位分は、付勢バネ28の一時的な弾性変形で吸収されることになる。そして、ロッド部35が更に突出動作を行うことで、先頭ブロック112における一方の嵌合溝107aに一方のセンターベルト101aが挿入されるように、先頭ブロック112が下方に配置されたセンターベルト101aに向かって打ち込まれることになる(図10(a)参照)。尚、先頭ブロック112が打ち込まれることで、この打ち込まれた先頭ブロック112に隣接していたブロック102が、次の先頭ブロック112になることになる。
先頭ブロック112の打ち込み動作が終了すると、後述の制御装置17からの指令に基づいて、図10(b)に示すように、ロッド部35がシリンダ本体34に向かって(図中矢印D方向に向かって)縮退する動作が行われる。この縮退動作により、図10(b)に示すようにロッド部35が壁部29と次の先頭ブロック112との間から上方に退避すると、次の先頭ブロック112が付勢機構14の押し治具26からの付勢力によって壁部29に向かって(図中矢印E方向に向かって)すぐに突出し、壁部29に当接することになる。尚、ロッド部35の縮退動作の際には、その縮退動作に伴って次の先頭ブロック112が上方に浮き上がってレール12から外れてしまうことは、カバー部30によって防止されている。そして、ベルト保持機構13の回転支持部22の作動によってベルト保持部23とともにセンターベルト101aが周方向に(図10中の矢印F方向に)所定角度回転し、図9(a)に示す状態と同様に、打ち込み動作が行われる直前の状態に移行することになる。この後は、上記と同様に、図9(a)乃至図10(b)に示す打ち込み動作が繰り返されることになる。このように、打ち込み機構16によって、先頭ブロック112が一方のセンターベルト101aに向かって順次打ち込まれることで、一方のセンターベルト101aに対して複数のブロック102が配列されて装着されることになる。
図11は、製造装置1における打ち込み機構16による打ち込み動作についての制御構成を示すブロック図である。製造装置1の運転は、基台ケース11上に設置された操作パネル38や操作ボックス39(図3及び図4参照)での作業者による操作に基づいて開始される。そして、操作パネル38や操作ボックス39での運転開始操作が行われると、図11に示す制御装置17がベルト保持機構13及び打ち込み機構16の作動を制御し、一方のセンターベルト101aに複数のブロック102を順次打ち込んで装着する打ち込み動作が行われることになる。
図11に示す制御装置17は、基台ケース11内に設置されており、CPU(Central Processing Unit)40、メモリ41、インターフェイス回路(I/F回路)42等を備えて構成されている。そして、この制御装置17は、ベルト保持機構13の回転支持部22に備えられるベルト回転用モータ44を駆動するための駆動回路43と、打ち込み機構
16のシリンダ本体部34に対する圧縮空気の供給及び排出を制御する電磁弁ユニット46の切換駆動を行うための駆動回路45と、に接続されている。尚、操作パネル38及び操作ボックス39からの操作信号の入力や駆動回路(43、45)への駆動指令信号の出力は、インターフェイス回路42を通じて行われる。また、メモリ41には、ベルト回転用モータ44及び打ち込み機構16を制御する制御装置17としての処理を行うためのプログラムが記憶されており、CPU40により読み出されて実行される。
レール12の先端部12aの下方でベルト保持機構13によって保持されたセンターベルト101aに対してブロック102の打ち込み動作が行われる際には、打ち込み機構16のロッド部35を突出させる駆動指令信号が制御装置17から駆動回路45に出力される。そして、電磁弁ユニット46において、シリンダ本体部34内におけるロッド部35を突出させるための圧力室34aに圧縮空気が供給されるとともに、ロッド部35を縮退させるための圧力室34bに供給されていた圧縮空気が排出されるように、所定の電磁弁が切り換えられる。これにより、図9(b)、図9(c)及び図10(a)に示すようなロッド部35の突出動作が行われる。尚、圧縮空気は、基台ケース11内に設置されたコンプレッサ48において生成されてタンク47に貯留されており、電磁弁ユニット46の作動に伴って適宜供給される。
ロッド部35の突出動作が終了すると、ロッド部35を縮退させる駆動指令信号が制御装置17から駆動回路45に出力され、電磁弁ユニット46において、圧力室34bに圧縮空気を供給するとともに圧力室34aの圧縮空気を排出させるように、所定の電磁弁が切り換えられる。これにより、図10(b)に示すようなロッド部35の縮退動作が行われる。そして、ロッド部35の縮退動作が終了すると、続いて、制御装置17から駆動回路43に対してベルト回転用モータ44を所定角度回転させる回転指令信号が出力される。そして、ベルト回転用モータ44が所定角度回転し、レール12の先端部12aの下方において、ベルト保持部23に保持されたセンターベルト101aが周方向に所定角度回転する。ベルト回転用モータ44の上記回転動作が終了すると、再び、前述したロッド部35の突出動作のための駆動指令信号が制御装置17から駆動回路45に出力されることになる。
上述のように、制御装置17から所定の各指令信号が駆動回路45及び駆動回路43に繰り返し出力されることで、ベルト回転用モータ44及び打ち込み機構16が順番に繰り返し上記の作動を行うことになる。これにより、製造装置1においては、制御装置17により、一方のセンターベルト101aの一部がレール12の先端部12aの下方に配置された状態のベルト保持機構13においてセンターベルト101aを周方向に所定角度回転させる毎に、ロッド部35をセンターベルト101aに向かって突出させるように、ベルト保持機構13及び打ち込み機構16を制御する制御動作が行われる。
次に、本発明の一実施の形態に係る動力伝動用ベルトの製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」ともいう)について説明する。尚、前述した動力伝動用ベルトの製造装置1が作動することで、本実施形態の製造方法が実施されることになる。
本実施形態の製造方法は、動力伝動用ベルト100を製造する際において、一対のセンターベルト101のうちの一方のセンターベルト(例えば、センターベルト101a)に対して複数のブロック102を装着するために用いられる。尚、動力伝動用ベルト100の製造においては、本実施形態の製造方法の前工程として、一対のセンターベルト101の製造工程と複数のブロック102の製造工程とが行われる。また、本実施形態の製造方法は、一方のセンターベルト101aに複数のブロック102を装着した組立体を得るための一次組立工程として行われ、本実施形態の製造方法の後工程として、一次組立で得られた組立体に対して他方のセンターベルトも装着し、所定の治具を用いたプレス圧入を行
う二次組立工程が行われる。尚、二次組立工程では、一方のセンターベルト101aを一方の嵌合溝107aに奥まで嵌合させるとともに他方のセンターベルト101bを他方の嵌合溝107bに奥まで嵌合させるように、プレス圧入が行われる。この二次組立工程まで終了すると、最終的な状態の動力伝動用ベルト100が得られることになる。
図12は、本実施形態の製造方法を説明する工程図である。この図12に示すように、本実施形態の製造方法は、ブロック載置工程S101と、ベルト配置工程S102と、ブロック供給工程S103と、打ち込み工程S104と、ベルト取り外し工程S106と、を備えて構成されている。
ブロック載置工程S101は、複数のブロック102をレール12に載置することで、複数のブロック102を一方向に沿って配列させる工程として構成されている。このブロック載置工程S101では、例えば、レール12上に複数のブロック102を一度に載置するための所定のカートリッジが用いられる。まず、このカートリッジ内に複数のブロック102が順番に隣接した状態で一列に並べられる。そして、押し治具26を付勢バネ28の引っ張り力に抗して引っ張ってレール12上にブロック102の載置用のスペースを確保した状態で、上記カートリッジをレール12上に置いて一度に複数のブロック102をレール12に載置することが行われる。このとき、各ブロック102における一方の嵌合溝107aがレール12に嵌り合った状態で、複数のブロック102がレール上に一列に配列される。
ベルト配置工程S102は、一方のセンターベルト101aの周方向における一部がレール12の先端部12aの下方に配置されるようにベルト保持機構13を位置させる工程として構成されている。このベルト配置工程S102では、まず、退避位置に位置したベルト保持機構13のベルト保持部23に一方のセンターベルト101aが載置されて保持される。そして、シリンダユニット24が作動することで、ベルト保持機構13を退避位置から打ち込み位置に移動させ、これにより、センターベルト101aの一部をレール12の先端部12aの下方に配置することになる。
ブロック供給工程S103は、付勢工程S103aと位置決め工程S103bとで構成され、打ち込み機構16による打ち込み動作が可能な位置に先頭ブロック112を供給する工程として構成されている。付勢工程S103aは、付勢機構14の作動によって行われ、レール12に配列された複数のブロック102をレール12に沿ってその先端側に向かって付勢する工程として構成されている。また、位置決め機構S103bは、位置決め機構15の作動によって行われ、レール12の先端側において、下方に配置された一方のセンターベルト101aの一部に対して、先頭ブロック112の位置を一方の嵌合溝107aが対向するように位置決めする工程として構成されている。この付勢工程S103a及び位置決め工程S103bは、付勢機構14及び位置決め機構15が協働して作動することで略同時タイミングで行われることになる。
打ち込み工程S104は、打ち込み機構16の作動によって行われ、先頭ブロック112の一方の嵌合溝107aに一方のセンターベルト101aが挿入されるように、先頭ブロック112をセンターベルト101aに向かって打ち込む工程として構成されている。そして、一方のセンターベルト101aに対して打ち込みが必要なブロック102が残っていれば(S105、Yes)、上述したブロック供給工程S103と打ち込み工程S104とが繰り返し行われる。これにより、打ち込み工程S104では、先頭ブロック112が一方のセンターベルト101aに向かって順次打ち込まれることになる。こうして、一方のセンターベルト101aに対して複数のブロック102が配列されて装着されることになる。
一方のセンターベルト101aに対して打ち込みが必要な全てのブロック102の打ち込み動作が完了すれば(S105、No)、シリンダユニット24が作動することで、ベルト保持機構13の打ち込み位置から退避位置への移動が行われる。ベルト保持機構13が退避位置に移動すると、複数のブロック102が装着された一方のセンターベルト101aがベルト保持部23から取り外されるベルト取り外し工程S106が行われる。これにより、本実施形態の製造方法が終了することになる。
以上説明した製造装置1によると、複数のブロック102は、レール12に載置されることで一方向に沿って配列され、付勢機構14によってレール12に沿って先端側に付勢される。このとき、レール12の先端側の先頭ブロック112は、その下方においてベルト保持機構13によって保持されたセンターベルト101aの一部に対して、一方の嵌合溝107aが対向するように位置決め機構15によって正確に精度良く位置決めされる。そして、ベルト保持機構13によって所定角度ずつセンターベルト101aを周方向に回転させながら先頭ブロック112をセンターベルト101aに対して順次打ち込むことで、複数のブロック102が所定の位置に装着されることなる。また、1つの先頭ブロック112(102)の打ち込み動作が終了すると、そのブロック102の隣に配列されていたブロック102が付勢機構14によって付勢されて位置決め機構15によって先頭ブロック112として位置決めされ、すぐに打ち込み可能な状態となる。このため、1つのブロック102の打ち込み動作が終了すると、すぐに次のブロック102の正確な位置での精度の良い打ち込み動作が可能な状態となり、打ち込み動作のサイクルタイムも短縮され、全てのブロック102を順次速やかに装着することができる。また、この製造装置1によると、レール12に載置した複数のブロック102を付勢しながら同時に位置決めして先頭のブロック112から順次打ち込むという簡素な装置構成と製造工程によって、センターベルト101aに対して複数のブロック102を正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができる。
従って、製造装置1によると、センターベルト101aに対して複数のブロック102を正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができるとともに、装置構成や製造工程の簡素化を図ることができる動力伝動用ベルトの製造装置を提供することができる。
また、製造装置1によると、モノレール構造として設けられたレール12に対して、ブロック102における一方の嵌合溝107aを嵌め合わせるように載置するだけで、レール12に沿って容易に一方向に配列させることができる。従って、複数のブロック102を一方向に配列させるレール12の構造について、嵌合溝(107a、107b)が設けられたブロック102の形態を有効的に活用し、更なる簡素化を図ることができる。
また、製造装置1によると、レール12の先端側で先頭ブロック112を位置決めする位置決め機構15について、レール12の先端部12aに先端空隙部31を介して対向する壁部29という簡素な構造を用いて実現することができる。そして、先端空隙部31が設けられることで、位置決めされた先頭ブロック112をレール12の先端側からセンターベルト101aに向かって容易に打ち込むことができる。
また、製造装置1によると、先端空隙部31における壁部29とレール12の先端部12aとの距離がブロック幅寸法の1つ分よりも大きく2つ分よりも小さい寸法に設定される。このため、センターベルト101aへの打ち込み動作の際に先頭ブロック112のみが確実に打ち込まれ、先頭ブロック112に隣接するブロック113までレールから脱落してしまうことを防止することができる。
また、製造装置1によると、先頭ブロック112の上方から下方に突出して先頭ブロック112に当接するロッド部35を有する打ち込み機構16が設けられる。これにより、
先頭ブロック112の直上からセンターベルト101aに向かって正確に先頭ブロック112を打ち込む打ち込み機構16の構成を簡素な装置構成で実現することができる。
また、製造装置1によると、先頭ブロック112に隣接するブロック113の上方への変位を規制するカバー部30が設けられる。このため、打ち込み動作の際にロッド部35が先頭ブロック112を打ち込んだ後に戻る変位を行うときにその変位に伴って、打ち込まれた先頭ブロック112に隣接していた次の先頭ブロック112が、上方に浮き上がるようにレール12から外れてしまうことを防止できる。尚、先頭ブロック112の上方には空隙32が確保されるため、カバー部30が打ち込み動作の際にロッド部35と干渉してしまうことも防止される。
また、製造装置1によると、付勢バネ28によって押し治具26を付勢することで、複数のブロック102を常時レール102に沿って付勢することができる。そして、押し治具26の移動方向が押し治具用ガイド27によってガイドされているため、常時レール12に沿った正確な方向に複数のブロック102を付勢することができる。従って、押し治具26、押し治具用ガイド27及び付勢バネ28という簡素な構成で複数のブロック102を常時レール12に沿って正確に付勢できる機構を実現することができる。
また、製造装置1によると、複数のブロック102は、隣接するブロック102間で互いに凹部110と凸部111とが係止した状態でレール12に配列される。これにより、複数のブロック102が互いに凹凸部(110、111)が係止した状態で付勢機構14によって付勢されて位置決め機構15との間で保持されることになる。このため、下方に向かって打ち込まれる先頭ブロック112が打ち込み動作が行われていないときに単独で落下してしまうことを、凹凸形状をブロック102に設けるという簡素な構成で容易に防止することができる。
また、製造装置1によると、ベルト保持機構13によってセンターベルト101aが所定角度回転する毎にロッド部35が先頭ブロック112を順次打ち込むように、ベルト保持機構13と打ち込み機構16とが同期して動作するよう制御装置17によって制御される。このため、センターベルト101aの回転動作とブロック102の打ち込み動作とを速やかに連続的に行うことができ、サイクルタイムを更に短縮することができる。
また、製造装置1によると、ベルト保持機構13が、打ち込み位置と退避位置との間で移動自在に支持される。このため、ブロック102の装着前のセンターベルト101aやブロック102が装着されたセンターベルト101aの取り付け作業や取り外し作業を打ち込み位置から離れた退避位置で行うことができ、センターベルト101aの取り付け作業及び取り外し作業の容易化を図ることができる。
また、本実施形態の製造方法によると、製造装置1と同様の効果を奏することができる。即ち、本実施形態の製造方法によると、センターベルト101aに対して複数のブロック102を正確な位置に精度良く且つ速やかに装着することができるとともに、装置構成や製造工程の簡素化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。
本実施形態では、レールがモノレール構造として設けられる場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、平行に配置された複数本のレールに複数のブロックが載置されることで複数のブロックが一方向に配列されるものであってもよい。また、
本実施形態では、押し治具と押し治具用ガイドと付勢バネとで構成される付勢機構を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。付勢機構については、レールに配列された複数のブロックをレールに沿ってその先端側に向かって付勢可能な構成であれば、種々変更して実施することができる。また、位置決め機構についても、本実施形態で説明したような壁部を備えるものでなくてもよく、先頭ブロックの位置を一方の嵌合溝がセンターベルトに対向するように位置決めできる構成であれば、種々変更して実施することができる。また、本実施形態では、打ち込み機構については、エアシリンダ機構として設けられるものを例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、先頭ブロックをセンターベルトに向かって打ち込む動作が可能な構成であれば、種々変更して実施することができる。