以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[光学フィルム]
本発明の一実施形態に係る光学フィルムは、透明性フィルム基材と、前記透明性フィルム基材上に形成された機能層とを備え、前記機能層が、液晶化合物を含有する光学異方性層を含み、前記透明性フィルム基材が、透明性樹脂と分子量が600〜2000のエステル系可塑剤とを含有することを特徴とするものである。
前記光学フィルムとしては、上記構成を備えるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、図1に示す層構造を備える光学フィルム10等が挙げられる。なお、図1は、光学フィルム10の例示を示す概略断面図である。
まず、前記光学フィルム10としては、例えば、図1(a)に示すように、前記透明性フィルム基材11上に前記機能層として光学異方性層13が積層された積層体であるものが挙げられる。そして、前記光学フィルム10としては、図1(a)に示すような、前記機能層として、前記光学異方性層13のみで構成されたものに限定されず、前記光学異方性層13と前記光学異方性層13以外の層とを備えたものであってもよい。
前記機能層として、前記光学異方性層13以外の層を備えたものとしては、具体的には、例えば、前記光学異方性層より前記透明性フィルム基材に近い側に、液晶配向層を備えたものが挙げられる。そして、このような液晶配向層を備えたものが、前記光学異方性層13に含有される液晶化合物の配向性をより高める点から好ましい。また、より具体的には、例えば、図1(b)に示すように、前記機能層12が、前記光学異方性層13と前記液晶配向層14との少なくも2つの層を積層したものであり、前記液晶配向層14が前記光学異方性層13より前記透明性フィルム基材11側に存在するものが挙げられる。さらに、図1(c)に示すように、前記光学異方性層13と前記液晶配向層14との間に、第1中間層15を備えていてもよいし、図1(d)に示すように、前記透明性フィルム基材11と前記液晶配向層14との間に、第2中間層16を備えていてもよい。また、前記第1中間層15及び前記第2中間層の両方を備えていてもよい。また、前記第1中間層15及び前記第2中間層16としては、例えば、帯電防止層、溶出抑制層、及び防眩層等が挙げられる。
また、前記光学フィルム10の厚みは、20μm以上であることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましい。ここでの厚みとは、平均膜厚のことであり、株式会社ミツトヨ製の接触式膜厚計により、フィルムの幅方向に20〜200箇所、膜厚を測定し、その測定値の平均値を膜厚として示す。また、前記透明性フィルム基材11の幅、物性、及び形状等は、特に限定なく、製造する光学フィルムの目的に合わせて、適宜選択することができ、特に限定されないが、光学フィルムの幅は、大型の液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率の点から、1000〜4000mmであることが好ましい。
また、前記光学フィルム10は、下記式(1)で求められる面内方向リタデーションRoが、0〜330nmであることが好ましい。また、下記式(2)で求められる厚み方向リタデーションRtが、−150〜150nmであることが好ましい。
Ro=(nx−ny)×d (1)
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d (2)
ここで、nxは、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nyは、フィルムの面内の遅相軸に直交する方向の屈折率を示し、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を示し、dは、フィルムの厚み(nm)を示す。上記各屈折率は、例えば、王子計測機器株式会社製のKOBRA−21ADHを用いて、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で、波長590nmで測定することができる。
(光学異方性層)
前記光学異方性層13は、液晶化合物を含有する層であれば、特に限定されず、視野角を拡大する等の所定の光学補償性能を発揮できる光学異方性層等が挙げられる。また、前記光学異方性層13は、前記液晶化合物が配向されていることが好ましく、その配向性が高いことがより好ましい。
また、前記液晶化合物としては、特に限定されず、光学異方性層に含有される従来公知の液晶化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、分子内に棒状のメソゲン基や円盤状のメソゲン基を有するもの等が挙げられる。この中でも、分子内に棒状のメソゲン基を有するものが好ましい。そして、前記液晶化合物としては、垂直配向でき、その配向を固定化することができる、いわゆる垂直配向性を有する液晶化合物であることがより好ましい。すなわち、前記光学異方性層13としては、例えば、分子内に棒状のメソゲン基を有する液晶化合物を含有し、前記メソゲン基が、その長軸方向を前記透明性フィルム基材の面方向に略垂直となるように配向(垂直配向)させた後、前記配向が固定化されているものが好ましい。
また、分子内に棒状のメソゲン基を有する液晶化合物としては、前記棒状のメソゲン基と重合性官能基とを含有する重合性液晶であってもよいし、少なくとも主鎖及び側鎖のいずれか一方に前記棒状のメソゲン基を含有する高分子液晶であってもよいし、前記棒状のメソゲン基と重合性官能基とを含有する高分子液晶であってもよい。前記重合性官能基を含有することによって、前記固定化の際、例えば、液晶転移温度未満まで冷却した後、冷却しながら、重合させることによって、前記配向をより固定化させることができ、さらに、光学異方性層として硬化させることもできる点等から好ましい。そして、前記メソゲン基の配向性や重合による光学異方性層の成形性等の観点から、重合性液晶が好ましい。
前記メソゲン基としては、特に限定されないが、垂直配向しうる棒状のメソゲン基であることが好ましい。具体的には、例えば、エステル基、シアノ基、アルキル基、及びアリール基を含有する官能基等が挙げられる。また、前記メソゲン基としては、上記各メソゲン基を1種含有するものであってもよいし、2種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
前記重合性官能基としては、特に限定されず、前記配向後、前記配向を保持したまま重合させることができることが好ましい。具体的には、例えば、熱によって重合が開始するものであってもよいし、紫外線等の活性線の照射によって重合が開始するものであってもよい。すなわち、重合性液晶の場合、熱硬化性のものであってもよいし、活性線硬化性のものであってもよい。また、前記液晶化合物を液晶転移温度未満で重合させる場合、あまり加熱しないほうが好ましいので、活性線硬化性のもののほうがより好ましい。
前記重合性官能基としては、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基やビニルエーテル等のビニル基、エポキシ基、及びオキセタニル基等が挙げられる。また、前記重合性官能基を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記重合性液晶としては、前記重合性官能基を分子内に1つ含有するものであってもよいし、2つ以上含有するものであってもよい。
前記重合性官能基としては、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基やビニルエーテル等のビニル基、及びエポキシ基等が挙げられる。また、前記重合性官能基を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記重合性液晶としては、前記重合性官能基を分子内に1つ含有するものであってもよいし、2つ以上含有するものであってもよい。
前記液晶化合物としては、前記メソゲン基を含有するものや前記メソゲン基と前記重合性官能基とを含有するもの等が挙げられる。具体的には、例えば、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、国際公開第95/22586号、国際公開第95/24455号、国際公開第97/00600号、国際公開第98/23580号、国際公開第98/52905号、特開平1−272551号公報、特開平6−16616号公報、特開平7−110469号公報、特開平11−80081号公報、特開2001−328973号公報、特開2004−240188号公報、特開2005−99236号公報、特開2005−99237号公報、特開2005−121827号公報、特開2002−30042号公報等に記載の化合物等が挙げられる。また、より具体的には、例えば、下記式(3)及び下記式(4)で表される化合物等が好ましく用いられる。
(R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はメチル基を示し、Xは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、又はニトロ基を示し、a及びbは、2〜12を示す。)
(R3は、水素又はメチル基を示す。)
また、前記上記式(1)で表される液晶化合物としては、前記R1及びR2が、ともに水素を示すものが、液晶相を示す温度範囲が広い点から好ましい。また、前記Xとしては、塩素又はメチル基が好ましい。前記a及び前記bは、2〜12を示すが、4〜10であることが好ましく、6〜9であることが好ましい。
また、前記液晶化合物は、上記各液晶化合物を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記液晶化合物としては、市販されているものとしては、具体的には、例えば、DIC株式会社製のUCL018や、BASF社製のパリオカラーLC242等が挙げられる。
なお、ここで垂直配向とは、前記透明性フィルム基材の厚み方向に対する、前記メソゲン基の長軸方向(前記液晶化合物の配向方向)の角度であるチルト角が、70〜90°であることを意味し、80〜90°であることが好ましい。また、前記液晶化合物が垂直配向するか否かは、液晶化合物、特にその棒状のメソゲン基の構造に依存することが知られている。すなわち、垂直配向する構造を有する液晶化合物であれば、公知の配向処理によって、垂直配向しうる。
前記配向処理としては、具体的には、例えば、透明フィルム基材等の被塗布基材上に塗布された、前記液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(塗布液)を、前記液晶化合物の液晶転移温度以上まで加熱することによって、垂直配向させ、その後、液晶転移温度未満まで冷却することによって、その垂直配向を固定化する方法等が挙げられる。また、その際、前記被塗布基材としては、垂直配向を促進させる垂直配向剤を含有する液晶配向層を備えたもの、例えば、垂直配向剤を含有する液晶配向層を表面に備えたものを用いることや、前記塗布液中に垂直配向剤を含有すること等が、配向性を高める点から好ましい。また、前記垂直配向剤としては、液晶化合物の垂直配向を促進させることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、下記式(5)で表される化合物等が挙げられる。
また、前記光学異方性層13を形成されるために用いる光学異方性層形成用組成物には、前記液晶化合物以外に、例えば、液晶化合物として、前記重合性官能基を有する重合性液晶等を用いる場合、光重合開始剤を含有してもよい。電子線を照射することによって重合させる場合には、光重合開始剤が不要であるが、一般的に用いられている重合、例えば、紫外線(UV)照射による重合の場合には、重合を促進させるために光重合開始剤を含有させることが好ましい。そうすることによって、重合温度を低くすることができ、前記固定化が好適に行うことができる。
前記光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ベンジル(ビベンゾイル)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。また、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記光重合開始剤の含有量としては、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の含有量が少なすぎると、光重合開始剤の効果が発揮できない傾向にあり、また、多すぎると、液晶化合物の重合性が低下して、分子量が低くなり、よって、耐擦傷性等が低下する傾向がある。
また、前記光学異方性層形成用組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、増感剤を含有させてもよい。前記増感剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、日本化薬株式会社製のカヤキュアDETX等が挙げられる。
また、前記光学異方性層13を形成する方法としては、詳細には、後述するが、例えば、液晶化合物を含有し、その液晶化合物が配向されたドライフィルム等をあらかじめ形成して、これを透明性フィルム基材上に積層する方法、前記液晶化合物等を融解させて基材上に塗工する方法、及び溶媒を含有した液状の光学異方性層形成用組成物を調製し、その光学異方性層形成用組成物を基材上に塗工する方法等が挙げられる。これらの中でも、液状の光学異方性層形成用組成物を用いる方法が、他の方法と比較して工程上簡便である点から好ましい。
前記光学異方性層形成用組成物の溶媒としては、前記液晶化合物を溶解することができれば、特に限定されない。また、透明性フィルム基材の性状等を変化させない溶媒であることが好ましい。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びテトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、及び2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、及びオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、及びブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、及びパラクロロフェノール等のフェノール類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の溶媒を組み合わせて使用することによって、液晶化好物等の溶解性を高めたり、透明性フィルム基材の変性等を抑制することができる。
また、前記溶媒の中で、例えば、単独で用いる溶媒として好ましいものとしては、炭化水素系溶媒、及びグリコールモノエーテルアセテート系溶媒等が挙げられる。また、2種以上を組み合わせて用いる溶媒の好ましい組み合わせとしては、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との組み合わせ等が挙げられる。
また、前記光学異方性層形成用組成物の固形分濃度は、液晶化合物等の溶解性や製造しようとする光学異方性層の膜厚等によって異なるので、一概には規定できないが、通常、1〜60質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましい。
また、前記光学異方性層形成用組成物には、上記各組成以外にも、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記添加剤を含有させてもよい。
前記添加剤としては、まず、例えば、多価アルコールと1塩基酸又は多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、及びアクリル基又はメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物、特開2007−45993号公報に記載のオニウム塩、フッ化アクリレートポリマー等が挙げられる。前記添加剤の添加により、前記光学異方性層形成用組成物の硬化性が向上し、得られる光学異方性層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
また、前記添加剤の含有量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、前記光学異方性層形成用組成物の40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましい。
また、溶媒を含有する光学異方性層形成用組成物には、塗工を容易にするために界面活
性剤等を含有させてもよい。前記界面活性剤としては、具体的には、例えば、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
前記界面活性剤の含有量としては、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液を塗工する配向膜の種類等にもよっても異なるが、通常は、前記液晶化合物に対して、10ppm〜10質量%であることが好ましく、100ppm〜5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることが好ましい。
また、前記光学異方性層13の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜5μmであることがより好ましい。
また、前記光学異方性層13は、上記式(1)で求められる面内方向リタデーションRoが、0〜10nmであることが好ましい。また、上記式(2)で求められる厚み方向リタデーションRtが、−500〜−100nmであることが好ましい。
(透明性フィルム基材)
前記透明性フィルム基材11としては、透明性樹脂と分子量が600〜2000のエステル系可塑剤を含有するものであれば、特に限定されない。
前記透明性樹脂としては、光学フィルムの基材として用いることができるものであれば、特に限定されず、例えば、フィルム基材等に成形した際に、透明性があることが好ましい。なお、ここで透明性があるとは、可視光の透過率が60%以上であることであり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。すなわち、前記透明性フィルム基材11としては、具体的には、例えば、透明性が高い樹脂フィルム等が挙げられる。
前記透明性樹脂としては、具体的には、例えば、セルロースエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セロファン、セルロースジアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂及びアクリル樹脂等が挙げられる。この中でも、セルロースアセテートプロピオネート樹脂が、透明性が高い点から好ましい。
また、前記エステル系可塑剤としては、分子量が600〜2000のエステル系可塑剤であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、リン酸エステル系可塑剤、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、及びポリエステル系可塑剤等が挙げられる。この中でも、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤が好ましい。芳香族カルボン酸エステル系可塑剤は、透湿性や脆弱性を高めることを抑制しつつ、柔軟性を高めることができる点から好ましい。さらに、透明性フィルム基材を溶融流延法により成形する場合、樹脂溶融液の溶融粘度を低下させることができ、生産性が高まる点からも好ましい。
芳香族カルボン酸エステル系可塑剤は、芳香族カルボン酸とアルコールとを縮合して得られるものであり、多価芳香族カルボン酸と多価アルコールとを重縮合することにより得られるものであることがより好ましい。
前記芳香族カルボン酸としては、カルボキシル基を有する芳香族化合物であれば、特に限定されないが、分子内にカルボキシル基を2個以上有する多価芳香族カルボン酸であることが好ましい。具体的には、例えば、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、及びテトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族カルボン酸、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニル、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン等の炭素数8〜15の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、安息香酸、及びトルイル酸が好ましい。また、前記芳香族カルボン酸は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。2種以上組み合わせて用いる場合、その組み合わせとしては、テレフタル酸と安息香酸との組み合わせ、テレフタル酸とトルイル酸との組み合わせが好ましい。また、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤としては、アルコールと反応して重縮合することができる前記芳香族カルボン酸の誘導体とアルコールとの重縮合したものであってもよい。
前記アルコールとしては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、1,2−プロピレングリコール及びペンタエリスリトール等が挙げられる。この中でも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジブチレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトール、1,2−プロピレングリコール及びペンタエリスリトール等が好ましい。また、前記アルコールは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記リン酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリブチルホスフェート等が挙げられる。
また、前記芳香族カルボン酸エステル系可塑剤を合成する際の、前記芳香族カルボン酸と前記アルコールとの縮合反応の反応温度は、160〜200℃であることが好ましい。前記反応温度が低すぎると、得られる可塑剤の分子量が大きくなりすぎる傾向があり、また、前記反応温度が高すぎると、得られる可塑剤の分子量が小さくなりすぎる傾向がある。
また、前記トリメリット酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、トリメリット酸とアルコールとの縮合物等が挙げられる。また、前記クエン酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、クエン酸とアルコールとの縮合物等が挙げられる。上記各アルコールは、芳香族エステル系可塑剤のアルコールと同様のものを挙げることができる。
また、前記ポリエステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールとの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等が挙げられる。これらの二塩基酸及びグリコールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記エステル系可塑剤は、分子量が600〜2000であり、700〜1500であることがより好ましい。分子量が小さすぎると、光学異方性層への溶出を充分に抑制できない傾向があり、また、分子量が大きすぎると、可塑剤としての性能が低下し、透明性フィルム基材の透湿性や脆弱性が高まったり、柔軟性が低くなったりする傾向がある。また、透明性フィルム基材を溶融流延法により成形する際の、樹脂溶融液の溶融粘度が高くなり、生産性が低下するおそれもある。
なお、ここでの分子量は、エステル系可塑剤が重縮合体等の重合体の場合、重量平均分子量のことである。重量平均分子量は、GPC等によって測定することができる。
また、前記エステル系可塑剤の含有量は、前記透明性樹脂に対して1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。前記エステル系可塑剤の含有量が少なすぎると、可塑剤としての性能が低下し、透明性フィルム基材の透湿性や脆弱性が高まったり、柔軟性が低くなったりする傾向がある。また、透明性フィルム基材を溶融流延法により成形する際の、樹脂溶融液の溶融粘度が高くなり、生産性が低下するおそれもある。また、多すぎると、光学異方性層への溶出を充分に抑制できない傾向がある。
また前記樹脂フィルムを製造する際、その原料である樹脂組成物の硬化を阻害しない範囲で、微粒子や紫外線吸収剤が含有されているものであってもよい。また、このような透明性フィルム基材である樹脂フィルムの製造方法についての詳細については、後述する。
前記透明性フィルム基材11の厚みは、光学フィルムの薄型化を達成するため薄いほうが好ましいが、製造中の破断等を防止するため、20μm以上であることが好ましい。ここでの厚みとは、平均膜厚のことであり、株式会社ミツトヨ製の接触式膜厚計により、フィルムの幅方向に20〜200箇所、膜厚を測定し、その測定値の平均値を膜厚として示す。また、前記透明性フィルム基材11の幅、物性、及び形状等は、特に限定なく、製造する光学フィルムの目的に合わせて、適宜選択することができ、特に限定されないが、光学フィルムの幅は、大型の液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率の点から、1000〜4000mmであることが好ましい。
また、前記透明性フィルム基材11は、上記式(1)で求められる面内方向リタデーションRoが、0〜330nmであることが好ましい。また、上記式(2)で求められる厚み方向リタデーションRtが、−100〜340nmであることが好ましい。
(液晶配向層)
前記液晶配向層14は、図1に示すように、前記透明性フィルム基材11上、又は前記第2中間層16を備える場合には、前記第2中間層16上に形成される。また、前記液晶配向層14は、例えば、活性線硬化樹脂等の樹脂を含み、ラビング処理を施したものであってもよいし、活性線硬化樹脂等の樹脂と前記垂直配向剤とを含むものであってもよい。
前記活性線硬化樹脂としては、紫外線等の活性線によって硬化するものであればよく、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基、及びオキセタニル基等の重合性官能基を有するもの等が挙げられる。また、前記活性線硬化樹脂としては、前記重合性官能基を2つ以上有し、活性線を照射することによって、架橋構造又は網目構造となるものが好ましい。また、活性線としては、作業性の観点等から、紫外線であることが好ましい。すなわち、前記活性線硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂であることが好ましい。
また、前記液晶配向層14は、前記活性線硬化樹脂だけではなく、セルロースエステル樹脂を含有していることが、前記液晶配向層14の上層と、前記液晶配向層14の下層との密着性、具体的には、前記光学異方性層13と前記透明性フィルム基材11との密着性を高めることができ、特に、高温高湿下での密着性を高めることができる。そして、その含有量としては、前記活性線硬化樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。セルロースエステル樹脂の含有量が少なすぎると、セルロースエステル樹脂を含有することによる密着性の向上の効果を充分に発揮することができない傾向がある。また、前記含有量が多すぎる場合、光学異方性層を形成する際、光学異方性層形成用組成物に溶出するセルロースエステル樹脂の量が増え、光学異方性層内の液晶化合物の配向性を低下させる傾向がある。また、液晶化合物を配向させるための配向時間が長時間化し、生産効率の点からも好ましくない。したがって、セルロースエステル樹脂の含有量が上記範囲ないであると、液晶化合物の配向性を阻害することなく、光学異方性層とその下層との密着性のより高い光学フィルムが得られる。
また、前記セルロースエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、透明性フィルム基材を構成するセルロースエステル樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、透明性フィルム基材のセルロースエステル樹脂として、後述で例示するもの等が挙げられる。
また、前記液晶配向層14の厚みが、1.2〜3μmであることが好ましい。薄すぎると、前記光学異方性層13の液晶化合物の配向を促進させるという効果や、上記のような密着性を高める効果を発揮しにくくなる傾向がある。さらに、透明性フィルム基材11の成分が前記光学異方性層13に溶出することを防止する効果も低減する傾向がある。また、厚すぎると、得られる光学フィルムが不必要に厚くなり、光学フィルムの薄型化を阻害するという傾向がある。
(中間層)
前記第1中間層15及び前記第2中間層16としては、上述したように、光学フィルムに備えられている、帯電防止層、溶出抑制層、及び防眩層等が挙げられる。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の他の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、前記透明性フィルム基材11上に、分子内に棒状のメソゲン基を有する重合性液晶化合物を含有する光学異方性層形成用組成物を塗布する工程と、前記光学異方性層形成用組成物を加熱することによって、前記メソゲン基を配向させる配向工程と、配向されたメソゲン基を固定させることによって、光学異方性層を形成する固定化工程とを備える。具体的には、以下のように製造される。ここでは、図1(a)に示すような、前記透明性フィルム基材11及び前記光学異方性層13のみからなり、前記液晶配向層14、前記第1中間層15及び第2中間層16を備えていない光学フィルムについて説明する。
具体的には、前記透明性フィルム基材11上に、前記光学異方性層13を形成する。より具体的には、前記透明性フィルム基材11上に、前記液晶化合物を含有する光学異方性層形成用組成物を塗布する。前記光学異方性層形成用組成物は、前記液晶化合物以外に、例えば、前記溶媒及び前記光重合開始剤等を含有していてもよい。
前記塗布方法としては、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。具体的には、例えば、グラビアコータ、スピナーコータ、ワイヤーバーコータ、ロールコータ、リバースコータ、押出コータ、エアードクターコータ、ダイコータ、ディップコータ及びインクジェット法等の塗布装置を用いたものが挙げられる。そして、塗布厚みとしては、前記光学異方性層形成用組成物の固形分濃度等によっても異なるが、具体的には、例えば、形成される光学異方性層の厚みが上記範囲内となるような厚みであることが好ましい。
そして、前記透明性フィルム基材11上に塗布された前記光学異方性層形成用組成物を、前記液晶化合物の液晶転移温度以上に加熱することによって、前記液晶化合物を配向させる。その配向時間としては、例えば、1〜10分間程度かかる。その後、前記光学異方性層形成用組成物を、前記液晶化合物の液晶転移温度未満に冷却し、その配向を固定し、そして、前記光学異方性層形成用組成物に、活性線を照射する。そうすることによって、その配向性がより固定され、そして、液晶化合物が垂直配向した光学異方性層13が形成される。
また、液晶配向層14を形成させる場合、前記光学異方性層13を形成させる前に、液晶配向層14を形成させ、その後、前記光学異方性層13を形成させる。液晶配向層14を形成させる方法としては、光学異方性層形成用組成物の代わりに、液晶配向層14を構成する材料を含有する液晶配向層形成用組成物を用いる以外、光学異方性層13と同様の方法により形成させることができる。なお、ラビング処理を施す場合は、液晶配向層14を形成させた後に、公知のラビング処理を施せばよい。
前記光学異方性層13や前記液晶配向層14等の機能層12の形成は、例えば、図2に示すような光学フィルムの製造装置によって行うこともできる。なお、光学フィルムの製造装置としては、図2に示すものに限定されず、他の構成のものであってもよい。
図2は、光学フィルムの製造装置20の基本的な構成を示す概略図である。光学フィルムの製造装置20は、巻出装置21、塗布装置22、第1温度調節装置23、第2温度調節装置24、硬化装置25、及び巻取装置26等を備える。
前記巻出装置21は、透明性フィルム基材等の被処理フィルムを前記塗布装置22等に供給する。前記巻出装置21は、例えば、被処理フィルムを繰出可能に巻回された巻出ローラを備え、前記巻出ローラを回転させることによって、被処理フィルムを前記塗布装置22等に供給する装置である。
前記塗布装置22は、前記巻出装置21から供給された被処理フィルムの表面上に液晶配向層形成用組成物又は光学異方性層形成用組成物を塗布する。前記塗布装置21は、一般的な塗布装置を限定なく使用できる。具体的には、例えば、上述した塗布装置等が挙げられる。また、被処理フィルム上に複数の層を塗布形成する場合には、マルチマニホールドを有するエクストルージョンダイのように一台の塗布装置で多層同時塗布してもよく、また、1層を塗布する塗布装置を複数並べて逐次塗布するようにしてもよい。
前記第1温度調節装置23は、液晶配向層を形成させる場合は、被処理フィルム上に塗布された液晶配向層形成用組成物を加熱して乾燥させる。光学異方性層を形成させる場合は、被処理フィルム上に塗布された光学異方性層形成用組成物を加熱して、光学異方性層形成用組成物中の液晶化合物を配向させる。前記第1温度調節装置23は、例えば、熱風による対流乾燥方式、赤外線等の輻射熱による輻射乾燥方式等を採用してもよい。
前記第2温度調節装置24は、液晶配向層を形成させる場合は、例えば、被処理フィルム上に塗布された液晶配向層形成用組成物を冷却して、硬化前の液晶配向層形成用組成物の流動性等を低下させる。光学異方性層を形成させる場合は、被処理フィルム上に塗布された光学異方性層形成用組成物を冷却して、硬化前の光学異方性層形成用組成物の流動性等を低下させるだけではなく、光学異方性層形成用組成物中の液晶化合物を固定させる。前記第2温度調節装置24は、例えば、冷風による対流乾燥方式等を採用してもよい。
前記硬化装置25は、被処理フィルム上に塗布され、上記処理が施された組成物に活性線を照射させて、硬化させる。具体的には、例えば、紫外線照射装置等の活性線照射装置が挙げられる。
前記巻取装置26は、上述のようにして得られた光学フィルムを巻き取る。前記巻取装置26は、例えば、回転可能な巻取ローラを備え、前記巻取ローラを回転させることによって、光学フィルムを巻き取る装置である。
(透明性フィルム基材の製造方法)
前記透明性フィルム基材としては、上述したように、光学フィルムの基材として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、後述する、溶液流延製膜法や溶融流延製膜法等によって得られた樹脂フィルム等を用いることができ、溶融流延製膜法によって得られた樹脂フィルムが好ましく用いられる。このような樹脂フィルムであれば、膜厚が均一であって、光学フィルムの基材として好適に使用できる。なお、ここでは、透明性フィルム基材として好適な樹脂フィルムであるセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
(溶液流延製膜法)
まず、溶液流延製膜法によって樹脂フィルムを製造する場合について説明する。
溶液流延製膜法は、透明性樹脂を溶解した樹脂溶液(ドープ)を、走行する支持体上に流延して流延膜(ウェブ)を形成する流延工程と、前記流延膜をフィルムとして前記支持体から剥離する剥離工程と、剥離したフィルムを延伸する延伸工程と、延伸したフィルムを複数の搬送ローラで搬送させることによって、前記フィルムを乾燥させる乾燥工程とを備える製膜法である。例えば、図3に示すような溶液流延製膜法による樹脂フィルムの製造装置によって行われる。なお、樹脂フィルムの製造装置としては、図3に示すものに限定されず、他の構成のものであってもよい。
図3は、溶液流延法による樹脂フィルムの製造装置31の基本的な構成を示す概略図である。樹脂フィルムの製造装置31は、無端ベルト支持体32、流延ダイ33、剥離ローラ34、延伸装置35、乾燥装置36及び巻取装置37等を備える。前記流延ダイ13は、透明性樹脂を溶解した樹脂溶液(ドープ)38を無端ベルト支持体32の表面上に流延する。前記無端ベルト支持体32は、前記流延ダイ33から流延されたドープ38からなるウェブを形成し、搬送させながら乾燥させることによってフィルムとする。前記剥離ローラ34は、フィルムを無端ベルト支持体32から剥離する。前記延伸装置35は、剥離されたフィルムを延伸する。前記乾燥装置36は、延伸されたフィルムを搬送ローラで搬送させながら、乾燥させる。前記巻取装置37は、乾燥したフィルムを巻き取って、フィルムロールとする。
前記流延ダイ33は、上端部に接続されたドープ供給管からドープが供給される。そして、その供給されたドープが前記流延ダイ33から前記無端ベルト支持体32に吐出され、前記無端ベルト支持体32上にウェブが形成される。
前記無端ベルト支持体32は、図1に示すように、表面が鏡面の、無限に走行する金属製の無端ベルトである。前記ベルトとしては、フィルムの剥離性の点から、例えば、ステンレス鋼等からなるベルトが好ましく用いられる。前記流延ダイ33によって流延する流延膜の幅は、無端ベルト支持体32の幅を有効活用する観点から、無端ベルト支持体32の幅に対して、80〜99%とすることが好ましい。そして、最終的に1000〜4000mmの幅の樹脂フィルムを得るためには、無端ベルト支持体32の幅は、1800〜5000mmであることが好ましい。また、無端ベルト支持体の代わりに、表面が鏡面の、回転する金属製のドラム(無端ドラム支持体)を用いてもよい。
そして、前記無端ベルト支持体32は、その表面上に形成された流延膜(ウェブ)を搬送しながら、ドープ中の溶媒を乾燥させる。前記乾燥は、例えば、無端ベルト支持体32を加熱したり、加熱風をウェブに吹き付けることによって行う。その際、ウェブの温度が、ドープの溶液によっても異なるが、溶媒の蒸発時間に伴う搬送速度や生産性等を考慮して、−5〜70℃の範囲が好ましく、0〜60℃の範囲がより好ましい。ウェブの温度は、高いほど溶媒の乾燥速度を早くできるので好ましいが、高すぎると、発泡したり、平面性が劣化する傾向がある。
無端ベルト支持体32を加熱する場合、例えば、無端ベルト支持体32上のウェブを赤外線ヒータで加熱する方法、無端ベルト支持体32の裏面を赤外線ヒータで加熱する方法、無端ベルト支持体32の裏面に加熱風を吹き付けて加熱する方法等が挙げられ、必要に応じて適宜選択することが可能である。
また、加熱風を吹き付ける場合、その加熱風の風圧は、溶媒蒸発の均一性等を考慮し、50〜5000Paであることが好ましい。加熱風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ベルト支持体32の走行方向で数段階の温度に分けて供給してもよい。
無端ベルト支持体32の上にドープを流延した後、無端ベルト支持体32からウェブを剥離するまでの間での時間は、作製する樹脂フィルムの膜厚、使用する溶媒によっても異なるが、無端ベルト支持体32からの剥離性を考慮し、0.5〜5分間の範囲であることが好ましい。
前記無端ベルト支持体32による流延膜の搬送速度は、例えば、50〜200m/分程度であることが好ましい。また、前記無端ベルト支持体32の走行速度に対する、流延膜の搬送速度の比(ドラフト比)は、0.8〜1.2程度であることが好ましい。前記ドラフト比がこの範囲内であると、安定して流延膜を形成させることができる。例えば、ドラフト比が大きすぎると、流延膜が幅方向に縮小されるネックインという現象を発生させる傾向があり、そうなると、広幅のフィルムを形成できなくなる。
前記剥離ローラ34は、無端ベルト支持体32のドープ38が流延される側の表面に接しており、無端ベルト支持体32側に加圧することによって、乾燥されたウェブ(フィルム)が剥離される。無端ベルト支持体32からフィルムを剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってフィルムは、フィルムの搬送方向(Machine Direction:MD方向)に延伸する。このため、無端ベルト支持体32からフィルムを剥離する際の剥離張力及び搬送張力は、50〜400N/mにすることが好ましい。
また、フィルムを無端ベルト支持体32から剥離する時のフィルムの全残留溶媒量は、無端ベルト支持体32からの剥離性、剥離時の残留溶媒量、剥離後の搬送性、搬送・乾燥後にできあがる樹脂フィルムの物理特性等を考慮し、30〜200質量%であることが好ましい。
前記延伸装置35は、無端ベルト支持体32から剥離されたフィルムを、ウェブの搬送方向と直交する方向(Transverse Direction:TD方向)に延伸させる。具体的には、フィルムの搬送方向に垂直な方向の両端部をクリップ等で把持して、対向するクリップ間の距離を大きくすることによって、TD方向に延伸する。そして、前記延伸装置35は、クリップを把持していた領域を切断する装置を備えていてもよい。また、延伸装置35は備えていなくてもよい。
前記乾燥装置36は、複数の搬送ローラを備え、そのローラ間をフィルムを搬送させる間にフィルムを乾燥させる。その際、加熱空気、赤外線等を単独で用いて乾燥してもよいし、加熱空気と赤外線とを併用して乾燥してもよい。簡便さの点から加熱空気を用いることが好ましい。乾燥温度としては、フィルムの残留溶媒量により、好適温度が異なるが、乾燥時間、収縮むら、伸縮量の安定性等を考慮し、30〜180℃の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めればよい。また、一定の温度で乾燥してもよいし、2〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥してもよい。また、乾燥装置36内を搬送される間に、フィルムを、MD方向に延伸させることもできる。前記乾燥装置36での乾燥処理後のフィルムの残留溶媒量は、乾燥工程の負荷、保存時の寸法安定性伸縮率等を考慮し、0.01〜15質量%が好ましい。
前記巻取装置37は、前記乾燥装置36で、所定の残留溶媒量となったフィルムを必要量の長さに巻き芯に巻き取る。なお、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮によるスリキズ、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。使用する巻き取り機は、特に限定なくしようでき、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。
上記のような工程によって、本実施形態で透明性フィルム基材として用いることができる樹脂フィルムが得られる。
上記溶液流延製膜法で使用する樹脂溶液の組成について説明する。
前記樹脂溶液に含有される透明性樹脂は、溶液流延製膜法等によって基板状に成形したときに透明性を有する樹脂であればよく、特に制限されないが、溶液流延製膜法等による製造が容易であること、液晶配向層等との接着性に優れていること、光学的に等方性であること等が好ましい。前記透明性樹脂としては、具体的には、例えば、セルローストリアセテート樹脂等のセルロースエステル系樹脂等を挙げることができる。また、溶液流延製膜法で使用されるドープには、微粒子を含有させてもよい。その際、使用される微粒子は、使用目的に応じて適宜選択されるが、透明性樹脂中に含有することによって、可視光を散乱させることができる微粒子であることが好ましい。前記微粒子としては、酸化珪素等の無機微粒子であってもよいし、アクリル系樹脂等の有機微粒子であってもよい。溶液流延製膜法で使用される溶媒は、前記透明性樹脂に対する良溶媒を含有する溶媒を用いることができ、透明性樹脂が析出してこない範囲で、貧溶媒を含有させてもよい。セルロースエステル系樹脂に対する良溶媒としては、例えば、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。また、セルロースエステル系樹脂に対する貧溶媒としては、例えば、メタノール等の炭素数1〜8のアルコール等が挙げられる。溶液流延製膜法で使用される樹脂溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、透明性樹脂、微粒子及び溶媒以外の他の成分(添加剤)を含有してもよい。前記添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤、導電性物質、難燃剤、滑剤、及びマット剤等が挙げられる。
また、上記各組成を混合させることによってセルロースエステル系樹脂の溶液が得られる。また、得られたセルロースエステル系樹脂の溶液は、濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過することが好ましい。
(溶融流延製膜法)
次に、溶融流延製膜法によって樹脂フィルムを製造する場合について説明する。
溶融流延製膜法は、透明性樹脂を溶融させた樹脂溶融液を、走行する支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を冷却させてフィルムを形成する冷却工程と、前記フィルムを前記支持体から剥離する剥離工程と剥離したフィルムを複数の搬送ローラで搬送させることによって、前記フィルムを延伸させる延伸工程とを備える製膜法である。例えば、図4に示すような溶融流延製膜法による樹脂フィルムの製造装置によって行われる。なお、樹脂フィルムの製造装置としては、図4に示すものに限定されず、他の構成のものであってもよい。
図4は、溶融流延製膜法による樹脂フィルムの製造装置41の基本的な構成を示す概略図である。樹脂フィルムの製造装置41は、第1冷却ローラ42、流延ダイ43、タッチローラ44、第2冷却ローラ45、第3冷却ローラ46、剥離ローラ47、搬送ローラ48、延伸装置49、及び巻取装置50等を備える。前記流延ダイ43は、透明性樹脂を溶融させた樹脂溶融液(ドープ)を第1冷却ローラ42の表面上に流延する。前記第1冷却ローラ42は、前記流延ダイ43から流延されたドープからなる流延膜を形成し、搬送させながら冷却させ、前記流延膜を第2冷却ローラ45に搬送する。その際、第1冷却ローラ42に外接されて設けられるタッチローラ44によって、流延膜の厚さの調整、や表面の平滑化がなされる。そして、第2冷却ローラ45は、前記流延膜を搬送させながら冷却させ、前記流延膜を第3冷却ローラ46に搬送する。そうすうことによって、前記流延膜をフィルムとする。前記剥離ローラ47は、フィルムを第3冷却ローラ46から剥離する。前記搬送ローラ48は、剥離されたフィルムを搬送しながら、MD方向に延伸する。前記延伸装置49は、フィルムをTD方向に延伸する。前記巻取装置50は、冷却固化されたフィルムを巻き取って、フィルムロールとする。
前記流延ダイ43は、ドープとして、樹脂溶液の代わりに、樹脂溶融液を吐出する以外、前記流延ダイ33と同様の構成である。
前記第1冷却ローラ42、第2冷却ローラ45及び第3冷却ローラ46は、表面が鏡面の金属製のローラである。前記各ローラとしては、流延膜やフィルムの剥離性の点から、例えば、ステンレス鋼等からなるローラが好ましく用いられる。前記流延ダイ43によって流延する流延膜の幅や前記第1冷却ローラ42、第2冷却ローラ45及び第3冷却ローラ46による流延膜の搬送速度等は、上記溶液流延製膜法と同様である。
前記タッチローラ44は、表面が弾性を有し、前記第1冷却ローラ42への押圧力によって、前記第1冷却ローラ42の表面に沿って変形し、前記第1冷却ローラ42との間に、ニップを形成する。前記タッチローラ44としては、溶融流延製膜法で従来から用いられているタッチローラであれば、特に限定なく使用できる。具体的には、例えば、ステンレス鋼製のものが挙げられる。
前記剥離ローラ47は、第3冷却ローラ46に接しており、加圧することによって、フィルムが剥離される。
前記搬送ローラ48は、複数の搬送ローラからなっており、搬送ローラ毎に異なる回転速度にすることによって、フィルムのMD方向に延伸することができる。
また、前記延伸装置49及び前記巻取装置50は、上記溶液流延製膜法における延伸装置35及び巻取装置37と同様のものを用いることができる。
以下、溶融流延製膜法で使用する樹脂溶融液の組成について説明する。
溶融流延製膜法で使用される透明性樹脂は、加熱して溶融することができれば、上記溶融流延製膜法における透明樹脂と同様のものを用いることができる。また、その他の組成も、上記溶融流延製膜法における場合と同様のものを用いることができる。
前記透明性フィルム基材は、前記溶液流延製膜法や前記溶融流延製膜法によって形成された樹脂フィルムに限定されず、他の方法によって形成された樹脂フィルムであってもよいし、他の層を積層した樹脂フィルムであってもよい。
なお、前記透明性フィルム基材が、前記透明性樹脂と前記可塑剤とを含有する樹脂溶融液を、走行する支持体上に流延し、前記流延膜を冷却することによって形成されたフィルムを、前記支持体から剥離することによって得られる樹脂フィルム、すなわち溶融流延法で形成された樹脂フィルムであることが好ましい。
上記のような、いわゆる溶融流延製膜法により得られた樹脂フィルムは、一般的に、樹脂溶融液の流動性を高める等の理由により、比較的多量の可塑剤が含有されていることが多い。このような樹脂フィルムを透明性フィルム基材として用いると、光学異方性層に可塑剤が溶出しやすく、液晶化合物の配向性を充分に高めることができない傾向があった。しかしながら、上記光学フィルムによれば、このような場合であっても、光学異方性層に含有される液晶化合物の配向性が充分に高く、光学補償性能に優れた光学フィルムが得られる。
[偏光板]
本発明の他の一実施形態に係る偏光板は、偏光素子と、前記偏光素子の表面上に配置された透明保護フィルムとを備え、前記透明保護フィルムが、前記光学フィルムである。前記偏光素子とは、入射光を偏光に変えて射出する光学素子である。
前記偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸することによって作製される偏光素子の少なくとも一方の表面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて、前記光学フィルムを貼り合わせたものが好ましい。また、前記偏光素子のもう一方の表面にも、前記光学フィルムを積層させてもよいし、別の偏光板用の透明保護フィルムを積層させてもよい。この偏光板用の透明保護フィルムとしては、例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC4FR−1、KC4HR−1、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4UESW(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。あるいは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを用いてもよい。この場合は、ケン化適性が低いため、適当な接着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
前記偏光板は、上述のように、偏光素子の少なくとも一方の表面側に積層する保護フィルムとして、前記光学フィルムを使用したものである。その際、前記光学フィルムが位相差フィルム等の光学補償フィルムとして働く場合、光学フィルムの遅相軸が偏光素子の吸収軸に実質的に平行または直交するように配置されていることが好ましい。
また、前記偏光素子の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが挙げられる。ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものとがある。前記ポリビニルアルコール系フィルムとしては、エチレンで変性された変性ポリビニルアルコール系フィルムが好ましく用いられる。
前記偏光素子は、例えば、以下のようにして得られる。まず、ポリビニルアルコール水溶液を用いて製膜する。得られたポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸させた後染色するか、染色した後一軸延伸する。そして、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を施す。
前記偏光素子の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
該偏光素子の表面上に、セルロ−スエステルを含むセルロースエステル系光学フィルムを張り合わせる場合、完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせることが好ましい。また、セルロースエステル系光学フィルム以外の光学フィルムの場合は、適当な粘着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
上述のような偏光板は、透明保護フィルムとして、上記実施形態に係る光学フィルムを用いることによって、前記光学フィルムが光学補償性能等に優れているので、光学補償性能等に優れた偏光板が得られる。さらに、前記光学フィルムの前記光学異方性層の密着性が高いので、その優れた光学補償性能が、例えば、高温高湿下等の劣悪な環境下であっても維持される偏光板が得られる。
[液晶表示装置]
本発明の他の一実施形態に係る液晶表示装置は、液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置された2枚の偏光板とを備え、前記2枚の偏光板のうち少なくとも一方が、前記偏光板である。なお、液晶セルとは、一対の電極間に液晶物質が充填されたものであり、この電極に電圧を印加することで、液晶の配向状態が変化され、透過光量が制御される。このような液晶表示装置は、光学補償性能等に優れた偏光板が用いられているので、液晶表示装置の視野角特性等の光学特性を改善することができる。したがって、液晶表示装置の高精細化を実現できる。
また、前記液晶表示装置としては、具体的には、例えば、反射型、透過型、及び半透過型のものが挙げられ、また、TN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のものが挙げられる。この中でも、本実施形態に係る光学フィルムを備えた偏光板は、IPS型の液晶表示装置で好適に用いられる。
本実施形態に係る光学フィルムを備えた偏光板を市販のIPS(In Plane
Switching)モード型の液晶表示装置に組み込むことによって、視認性に優れ、優れたカラーシフト、コーナームラ、正面コントラスト特性を有する本発明の液晶表示装置を作製することができる。
ここで、IPSモードとは、フリンジ電場スイッチング(FFS:Fringe−Field Switching)モードも含み、IPSモードと同様に、本実施形態に係る光学フィルムを備えた偏光板を組み込むことができ、同様の効果をもつ液晶表示装置を作製することができる。
IPSモード型の液晶表示装置における液晶パネルの液晶層は、初期状態で基板面と平行なホモジニアス配向で、且つ基板と平行な平面で液晶層のダイレクターは電圧無印加時で電極配線方向と平行または幾分角度を有する。そして、電圧印加時で液晶層のダイレクターの向きが、電圧の印加に伴い電極配線方向と垂直な方向に移行し、液晶層のダイレクター方向が、電圧無印加時のダイレクター方向に比べて45°電極配線方向に傾斜したとき、当該電圧印加時の液晶層は、まるで1/2波長板のように偏光の方位角を90°回転させ、出射側偏向板の透過軸と偏光の方位角が一致して白表示となる。
一般に、液晶層の厚みは一定であるが、横電界駆動であるため、液晶層の厚みに若干凹凸を設ける方がスイッチングに対する応答速度を上げることができるとも考えられるが、本実施形態に係る光学フィルムを備えた偏光板を組み込むことによって、液晶層の厚みが一定でない場合であっても、その効果を最大限生かすことができるものである。
したがって、液晶層の厚みの変化に対し影響が少ないが、2〜6μmであることが好ましく、3〜5.5μmであることがより好ましい。そうすることによって、本発明の効果を効果的に発揮できる液晶層となる。
また、本実施形態に係る光学フィルムを備えた偏光板は、大型の液晶テレビにも用いることができる。画面サイズとしては、17型以上に用いることができ、26型以上100型程度まで好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例A
実施例Aは、透明フィルム基材に含有される可塑剤についての影響について検討した。
[可塑剤の合成]
まず、各実施例で用いる可塑剤を合成した。
(可塑剤A)
反応容器に、芳香族カルボン酸として、テレフタル酸1モル当量、多価アルコールとして、テトラエチレングリコール2モル当量、及びテトライソプロピルチタネート0.1モル当量を一括して仕込んだ。そして、窒素気流中で、反応容器内温度(反応温度)180℃で攪拌し、生成する水を除去しながら、10時間加熱した。その後、200℃で100mmHgに減圧し、さらに徐々に3mmHgまで減圧することによって、留出分を除去し、ろ過することによって、可塑剤A(芳香族カルボン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Aの重量平均分子量は、810であった。ここでの重量平均分子量は、下記条件でGPCにより測定したものである。
溶媒:塩化メチレン
カラム:昭和電工株式会社製の、Shodex K806、Shodex K805、Shodex K803の3本を接続したもの
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:GLサイエンス社製のRI Model 504
ポンプ:日立製作所株式会社製のL6000
流量:1.0ml/分
(可塑剤B)
芳香族カルボン酸として、テレフタル酸2モル当量を用い、多価アルコールとして、ペンタエリスリトール3モル当量を用いた以外は、可塑剤Aと同様にして、可塑剤B(芳香族カルボン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Bの重量平均分子量は、990であった。
(可塑剤C)
芳香族カルボン酸として、テレフタル酸1モル当量と安息香酸2モル当量とを用い、多価アルコールとして、1,2−プロピレングリコール3モル当量を用いた以外は、可塑剤Aと同様にして、可塑剤C(芳香族カルボン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Cの重量平均分子量は、1225であった。
(可塑剤D)
芳香族カルボン酸として、テレフタル酸1モル当量とトルイル酸2モル当量とを用い、多価アルコールとして、1,2−プロピレングリコール3モル当量を用いた以外は、可塑剤Aと同様にして、可塑剤D(芳香族カルボン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Dの重量平均分子量は、1295であった。
(可塑剤E)
反応温度を140℃に変更したこと以外、可塑剤Dと同様にして、可塑剤E(芳香族カルボン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Eの重量平均分子量は、2849であった。
(可塑剤F)
反応温度を220℃に変更したこと以外、可塑剤Aと同様にして、可塑剤F(芳香族カルボン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Fの重量平均分子量は、550であった。
上記各可塑剤の合成条件及び重量平均分子量を表1に示す。
(可塑剤G)
可塑剤Gとしては、リン酸エステル系可塑剤(株式会社ADEKA製のFP500)を用いる。可塑剤Gは、下記式(6)で表される化合物であり、分子量686.6である。
(可塑剤H)
反応容器に、トリメリット酸1モル当量、2−エチルオクタノール3モル当量、及びテトライソプロピルチタネート0.1モル当量を一括して仕込んだ。そして、窒素気流中で、反応容器内温度(反応温度)180℃で攪拌し、生成する水を除去しながら、10時間加熱した。その後、200℃で100mmHgに減圧し、さらに徐々に3mmHgまで減圧することによって、留出分を除去し、ろ過することによって、可塑剤H(トリメリット酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Hの分子量は、630であった。
(可塑剤I)
反応容器に、アセチルクエン酸1モル当量、2−エチルオクタノール3モル当量、及びテトライソプロピルチタネート0.1モル当量を一括して仕込んだ。そして、窒素気流中で、反応容器内温度(反応温度)180℃で攪拌し、生成する水を除去しながら、10時間加熱した。その後、200℃で100mmHgに減圧し、さらに徐々に3mmHgまで減圧することによって、留出分を除去し、ろ過することによって、可塑剤I(クエン酸エステル系可塑剤)が得られた。得られた可塑剤Iの分子量は、654であった。
(セルロースエステル樹脂の合成)
特表平6−501040号公報の例Bを参考にして、プロピオン酸、酢酸の添加量を調整して、アセチル基置換度1.6、プロピオニル基置換度0.9のセルロースエステルAを合成した。なお、得られたセルロースエステルの置換度は、ASTM−D817−96に基づいて算出した。
[実施例1]
(透明性フィルム基材の製造)
80℃で6時間乾燥済み(水分率200ppm)のセルロースエステルA100質量部、モノペットSB(糖エステル化合物:第一工業製薬社製)9質量部、可塑剤A3質量部、紫外線吸収剤LA−31((株)ADEKA製)1.05質量部、Irganox1010(チバ・ジャパン(株)製)0.5質量部、アデカスタブPEP−36((株)ADEKA製)0.08質量部、SumilizerGS(住友化学(株)製)0.2質量部、シーホスターKEP−30(日本触媒(株)製)0.1質量部を真空ナウターミキサーで80℃、1Torrで3時間混合しながら、さらに乾燥した。
得られた混合物を、二軸式押出機を用いて235℃で溶融混合しペレット化した。セルロースエステルフィルムの製膜は、図4に示す製造装置で行った。ペレット(水分率50ppm)を、1軸押出機を用いて、流延ダイであるTダイから表面温度が100℃の第1冷却ローラ上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、初期膜厚128μm、幅1.0mのキャストフィルムを毎分35mの長さで得た。
この際、第1冷却ローラ上でフィルムを2mm厚の金属表面を有する弾性タッチローラで押圧した。
得られたフィルムを、まずローラ周速差を利用した延伸機によって195℃で製膜方向に60%で延伸速度1000%/分で延伸し、膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを得た。
このとき幅手方向の延伸は、製膜方向に延伸したあと、予熱ゾーン、延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーン(各ゾーン間には各ゾーン間の断熱を確実にするためのニュートラルゾーンも有する)を有するテンターにて延伸ゾーンにおいて165℃で行い、その後30℃まで冷却し、クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、透明性フィルム基材(セルロースエステルフィルム)を得た。
セルロースエステルフィルムのリタデーション値は、Roが71nm、Rtが190nmであった。リタデーション値は、23℃55%RHに調湿後、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて、波長590nmの測定した値である。
そして、前記セルロースエステルフィルムを800mm幅にカットして、両端部に幅1cm、平均高さ10μmのナーリング加工を施した。
(液晶配向層の形成)
ナーリング加工を施したセルロースエステルフィルム上に、下記手順により中間層として、液晶配向層を設けた。
まず、ナーリング加工を施したセルロースエステルフィルムに、コロナ放電を施した。そして、そのコロナ放電を施したセルロースエステルフィルム上に、下記組成の液晶配向層形成用組成物(液晶配向層塗布液)をダイコートで塗布し、80℃で30秒間乾燥させた後、酸素濃度0.2体積%、温度28℃の条件下で、紫外線を、照射量120mJ/cm2、照度200mW/cm2で照射させた。そうすることによって、セルロースエステルフィルム上に、膜厚1.5μmの中間層が形成された。
(液晶配向層塗布液の組成)
ポリエステルアクリレート(BASFジャパン(株)製のラロマーLR8800)
25質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 290質量部
イソプロピルアルコール 685質量部
光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア184) 0.05質量部
(光学異方性層の形成)
次いで、前記中間層上に下記組成の光学異方性層形成用組成物(光学異方性層塗布液)をダイコートでウェット8μmの厚みで塗布した。塗布後、100℃で2分間加熱した。そうすることによって、光学異方性層塗布液中の液晶化合物が配向した。すなわち、棒状のメソゲン基が垂直配向した。なお、この液晶化合物が配向したことは、白濁していた光学異方性層塗布液の塗布層が透明になることにより目視により確認することによって判断できる。
液晶化合物の配向を確認した後、そのフィルムを、紫外線を、照射量250mJ/cm2、照度300mW/cm2で照射した。そうすることによって、液晶配向層上に、膜厚1.6μmの光学異方性層が形成された。また、得られたフィルム(中間層及び光学異方性層を備えたもの)のリタデーション値は、Roが、71nmであり、Rtが、−10nmであった。
(光学異方性層塗布液の組成)
紫外線重合性液晶材料(DIC株式会社製のUCL−018)
20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 80質量部
ヒンダードアミン(三共ライフテック(株)製のLS−765) 0.02質量部
増感剤(日本化薬(株)製のカヤキュアーDETX) 0.10質量部
上記式(5)で表される垂直配向剤(空気界面側垂直配向剤) 0.01質量部
[実施例2]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Bを用いること以外、実施例1と同様である。
[実施例3]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Cを用いること以外、実施例1と同様である。
[実施例4]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Dを用いること以外、実施例1と同様である。
[実施例5]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Gを用いること以外、実施例1と同様である。
[実施例6]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Hを用いること以外、実施例1と同様である。
[実施例7]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Iを用いること以外、実施例1と同様である。
[比較例1]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Eを用いること以外、実施例1と同様である。
[比較例2]
可塑剤Aの代わりに、可塑剤Fを用いること以外、実施例1と同様である。
[評価]
上記作製した、実施例1〜7及び比較例1,2に係る各光学フィルムについて、下記方法により評価した。
(配向欠陥)
得られた各光学フィルムを、2枚の偏光板を直行(クロスニコル)状態にしたものの間に、光学フィルムの光学異方性層の面内遅相軸が、偏光用回転アナライザ透過軸と平行になるように置いて、所定面積あたりの配向欠陥の個数(個/mm2)を、偏光顕微鏡(オリンパス株式会社製のBX51)を用いて測定した。
(ブリードアウト)
得られた各光学フィルムを、温度80℃、相対湿度90%RHの環境下で2週間放置した後、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で調湿した。その調湿したフィルムに対し、ウェスによる拭き取りを行った。拭き取りあとが目視で確認できないものを「○」と評価し、拭き取りあとを目視で確認できるものを「×」と評価した。
上記の各結果を表2に示す。
表1からわかるように、分子量が600〜2000のエステル系可塑剤を含有する透明性フィルム基材を用いた場合(実施例1〜7)、分子量が2000を超える可塑剤を含有する透明性フィルム基材を用いる場合(比較例1)や分子量が600未満の可塑剤を含有する透明性フィルム基材を用いる場合(比較例2)と比較して、配向欠陥が少なく、さらに、ブリードアウトが発生しなかった。このことから、分子量が600〜2000のエステル系可塑剤を含有する透明性フィルム基材を用いることによって、光学異方性層に含有される液晶化合物の配向性が充分に高く、光学補償性能に優れた光学フィルムが得られることがわかった。
また、多価芳香族カルボン酸と多価アルコールとを重縮合して得られた可塑剤(可塑剤A〜D)を含有する透明性フィルム基材を用いた場合(実施例1〜4)、他の可塑剤であるリン酸エステル系可塑剤(可塑剤G)、トリメリット酸エステル系可塑剤(可塑剤H)、クエン酸エステル系可塑剤(可塑剤I)を含有する透明性フィルム基材を用いた場合(実施例5〜7)と比較して、配向欠陥がさらに少なかった。このことから、透明性フィルム基材に含有する可塑剤としては、多価芳香族カルボン酸と多価アルコールとを重縮合して得られた可塑剤が好ましいことがわかった。
さらに、多価芳香族カルボン酸と多価アルコールとを重縮合して得られた可塑剤の中でも、多価芳香族カルボン酸を2種用いて得られた可塑剤(可塑剤C及び可塑剤D)を含有する透明性フィルム基材を用いた場合(実施例3及び実施例4)は、配向欠陥が特に少なかった。このことから、透明性フィルム基材に含有する可塑剤としては、多価芳香族カルボン酸を2種用いて得られた可塑剤が特に好ましいことがわかった。
実施例B
実施例Bは、実施例1〜7及び比較例1,2に係る各光学フィルム(光学フィルム1〜9)を用いて、下記のようにして偏光板を作製し、これらの偏光板を液晶表示パネル(画像表示装置)に組み込んだときの視認性を評価した。
[実施例8〜14及び比較例3,4]
[偏光板の作製]
(アルカリ鹸化処理)
上記実施例1〜7及び比較例1,2に係る各光学フィルム(光学フィルム1〜9)と、市販のセルロースエステルフィルム(コニカミノルタオプト株式会社製のKC4UESW)に、アルカリ鹸化処理を施した。
具体的には、まず、各光学フィルムの光学異方性層上に剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けた。前記セルロースエステルフィルムの一方の面上に剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けた。そして、保護フィルムを貼り付けた、光学フィルム及びセルロースエステルフィルムに、ケン化工程、第1水洗工程、中和工程、第2水洗工程、乾燥工程の順に施した。そうすることによって、各光学フィルムの、光学異方性層を備えていない側の表面、及びセルロースエステルフィルムの保護フィルムが貼り付けられていない側の表面が、アルカリ鹸化処理された。
なお、各工程は、具体的には、ケン化工程としては、液温50℃の2.5M−NaOHに90秒間浸漬させた。第1水洗工程としては、液温30℃の水で45秒間水洗させた。中和工程としては、液温30℃の10質量%のHClで45秒間中和させた。第2水洗工程としては、液温30℃の水で45秒間水洗させた。そして、乾燥工程としては、80℃でフィルムが完全に乾燥するまで乾燥させた。
(偏向膜の作製)
厚さ120μmの長尺状のポリビニルアルコールフィルムを巻き取ったフィルムロールから、ポリビニルアルコールフィルムを巻き出し、ヨウ素0.1g/L、ホウ酸0.4g/Lを含む水溶液に順次浸漬させ、その後、50℃で6倍に製膜方向に延伸して偏光膜Lを作製した。
(偏向板の作製)
まず、アルカリ鹸化処理を施した、光学フィルム及びセルロースエステルフィルムから、保護フィルムを剥がした。
次に、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて、前記偏光膜Lの透過軸と前記光学フィルムの面内遅相軸が平行になるように、前記偏光膜Lの一方の面に前記光学フィルムのアルカリ鹸化処理を施した面を貼り合わせた。そして、前記偏光膜Lの他方の面に、前記セルロースエステルフィルムのアルカリ鹸化処理を施した面を貼り合わせた。そうすることによって、光学フィルム1〜9のいずれかを備えた偏光板101〜109をそれぞれ作製した。
[液晶表示装置(26インチ)の作製]
まず、26インチの液晶テレビ(パナソニック株式会社製のTH−26LX60)の液晶パネル(IPSモードの液晶パネル)の偏光板を剥がした。そして、視認側の偏光板に上記作製した各偏光板101〜109の光学異方性層と、液晶パネルの液晶セルのガラスとを、粘着剤層(厚さ:5μm)を介して貼合した。なお、この偏光板は、剥がした偏光板の透過軸と新たに貼合する偏光板の透過軸とが平行になるように貼合した。そうすることによって、各偏光板101〜109を備えた、実施例8〜14及び比較例3,4に係る液晶パネル201〜209を、下記のように評価した。
[液晶表示装置(37インチ)の作製]
まず、37インチの液晶テレビ(パナソニック株式会社製のTH−37LZ85)の液晶パネル(IPSモードの液晶パネル)の偏光板を剥がした。そして、視認側の偏光板に上記作製した各偏光板101〜109の光学異方性層と、液晶パネルの液晶セルのガラスとを、粘着剤層(厚さ:5μm)を介して貼合した。なお、この偏光板は、剥がした偏光板の透過軸と新たに貼合する偏光板の透過軸とが平行になるように貼合した。そうすることによって、各偏光板101〜109を備えた、実施例8〜14及び比較例3,4に係る液晶パネル301〜309を、下記のように評価した。
[コントラスト]
23℃、55%RHの環境で、各液晶パネルのバックライトを点灯させて、30分間放置した後、白色部分と黒色部分とを含むテストパターンを表示し、そのコントラストを目視にて評価した。コントラストが、従来のものより優れていると感じたものを「○」と評価し、従来のものと同程度か、劣っていると感じたものを「×」と評価した。その結果を表3に示す。
表3からわかるように、分子量が600〜2000のエステル系可塑剤を含有する透明性フィルム基材を用いて得られた光学フィルムを備えた偏光板を用いた場合(実施例8〜14)、分子量が2000を超える可塑剤や分子量が600未満の可塑剤を含有する透明性フィルム基材を用いて得られた光学フィルムを備えた偏光板を用いた場合(比較例3及び比較例4)と比較して、液晶パネルの大きさにかかわらず、コントラストが良好であった。