JP2010197529A - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させる造粒工程が循環式である重合トナーの製造方法において、スケール付着を抑制し、造粒工程後の装置内の洗浄効率を上げることにある。
【解決手段】分散安定剤を含有する水系媒体を高剪断力を有する分散機と撹拌槽との間を循環させることによって調製しながら、生成した分散安定剤を撹拌槽と分散機および循環経路の内壁に十分に接触させ、その後、分散機および循環経路内を通気及び/または加熱により乾燥し、分散安定剤を装置内壁に強く付着させてから重合性単量体組成物の造粒を行なう。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等に用いられる、静電荷像を現像するための重合トナーの製造方法に関する。
電子写真法に用いられるトナー粒子の製造方法として、重合性単量体を液滴状に分散させ、重合を行なうことにより直接トナー粒子を得る重合トナー粒子の製造方法が提案されている。例えば、懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法では、重合性単量体、着色剤、離型剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤及びその他の添加剤を均一に溶解又は分散せしめて重合性単量体組成物とした後、これを、分散安定剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散し、重合反応を行なわせて、所望の粒径を有する重合トナー粒子の懸濁液を得る。重合トナー粒子の懸濁液を必要であれば酸又はアルカリで処理し、分散安定剤を取り除いた後に、固液分離工程で水系媒体を分離することによりトナー粒子を得る。
このような方法によって得られる重合トナー粒子は、球形もしくは球に近い形状で表面が均一である。このため、流動性、転写性が良好で、多数回の連続現像を行なっても良好な現像特性を示し、トナー粒子へのストレスが少なく、感光体へのフィルミングの発生が少ないという特徴を有している。また、前記方法は、粉砕工程が含まれないため、得られるトナー粒子の粒度分布がシャープなことから、分級工程を行なってもほとんど損失を生じない。だが、さらに生産性を高めるためには、分級による損失を最小限にする必要があり、よりシャープな粒度分布とすることが求められる。
懸濁重合法による重合トナーの製造法では、重合性単量体組成物を高剪断力を有する分散機を用いて水系媒体中に分散する工程(造粒工程)を有する。この工程は回分式または連続式の高剪断力を有する分散機で行なうことができる。回分式の場合には、竪型の容器等に重合性単量体と水系媒体を投入し、高剪断力を有する分散機で処理することによって行なう。連続式では撹拌槽で重合性単量体組成物と水系媒体を予備的に分散させた後に、この撹拌槽からポンプなどを使って連続的に予備分散液を抜き出し、高剪断力を有する分散機で連続的に処理することによって行なう。
連続式の造粒工程の場合、一度高剪断力を有する分散機で処理された液を、前述の撹拌槽に戻し、再度高剪断力を有する分散機で処理することを何度か繰り返す循環式で行なうこともできる。造粒工程を循環式で行なうと、処理される液が受ける剪断力の履歴が均等化され、より均一な分散状態を得ることができる。一方、循環式で造粒工程を行なうと、工程が終了した後、撹拌槽と分散機及び処理液の循環経路(ポンプや配管等)を洗浄し、重合性単量体組成物を洗浄除去する必要がある。この洗浄が不十分であると、撹拌槽内壁や配管内壁等へのスケール付着が発生し、これが剥離/脱落して製品に混入した場合、製品の性状に悪影響を及ぼす。また、付着物による配管等のつまりの危険性もある。
撹拌槽と分散機及び循環経路の洗浄方法としては、一般に造粒工程終了後に水系洗浄水による洗浄(特許文献1)や有機溶剤による洗浄(特許文献2)がある。何れの方法も、重合性単量体組成物を完全に洗い流すためには何度か繰り返して洗浄を行なわなければならず、過度の時間と煩雑な操作が必要となる。また循環経路中の配管同士の接続部のフランジとガスケットにより、配管内に凸凹部が形成されるため、この部分の洗浄を有効に行なうことが困難であり、重合性単量体組成物がこの部分に溜まってしまう傾向がある。重合性単量体組成物が配管内に溜まると、それが重合し、やがてスケール付着となる。付着したスケールの除去作業は、過大な労力と時間を要し、装置の稼働率が落ち生産効率の低下に繋がっている。
スケール付着を防止する方法としては、予めスケール付着防止効果を有する化合物(スケール付着防止剤)を撹拌槽の内壁面や分散機内面に塗布する方法(特許文献3)があるが、スケール付着防止剤が製品に混入し品質低下(フィシュアイ、異物の増加)の原因となっている。また回分式の造粒工程においては、このようなスケール付着防止剤を撹拌槽や分散機にそれぞれ塗布する例はあるが、連続式の分散機について循環経路の配管やポンプをも一括してスケール付着防止剤を塗布する例はない。
特開平11−106407号公報 特開2004−117560号公報 特開平05−287564号公報
本発明の目的は、重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させる造粒工程が循環式である重合トナーの製造方法において、製品の品質が低下する恐れのないスケール付着防止剤を造粒工程前に撹拌槽と分散機および循環経路内に塗布することによって、これら内壁へのスケール付着を著しく抑制し、造粒工程後の装置内の洗浄効率を上げることにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、以下の方法を見出した。
(1)少なくとも重合性単量体および着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に分散させて重合性単量体組成物の分散液を得る造粒工程を有し、該造粒工程を、
(a)撹拌手段が設置された撹拌容器に重合性単量体組成物と分散安定剤を含有する水系媒体を供給する
(b)これらの一部を該撹拌容器から抜き出し、分散機に導入し処理して、重合性単量体組成物分散液とする
(c)重合性単量体組成物分散液を循環経路を通して該撹拌容器に戻し、循環させる
ことによって行なう重合トナーの製造方法において、
分散安定剤を含有する水系媒体を重合性単量体組成物よりも先に該撹拌容器と該分散機、該循環経路を通過させた後、これらの内壁を通気及び/または加熱することを特徴とする重合トナーの製造方法。
(2)重合性単量体組成物を該撹拌容器の撹拌手段によって分散安定剤を含有する水系媒体中に予備的に分散させたのち、造粒工程を開始することを特徴する(1)に記載の重合トナーの製造方法。
(3)分散安定剤を含有する水系媒体を該撹拌容器内で調整することを特徴とする(1)又は(2)に記載の重合トナーの製造方法。
(4)分散安定剤を含有する水系媒体を、該分散機と該撹拌容器とを循環させながら調製することを特徴とする(1)乃至(3)の何れかに記載の重合トナーの製造方法。
(5)分散安定剤に難水溶性無機化合物を用いることを特徴とする(1)乃至(4)の何れかに記載の重合トナーの製造方法。
(6)水系媒体中の分散安定剤濃度が、重合性単量体100質量部に対して0.2乃至10質量部であることを特徴とする(1)乃至(5)の何れかに記載の重合トナーの製造方法。
本発明によれば、重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させる造粒工程が循環式である重合トナーの製造方法において、造粒工程での装置内壁へのスケール付着の発生を著しく抑制し、付着物に由来する異物の混入による製品性状の悪化を防ぎ、さらに造粒工程後の撹拌槽と分散機及び循環経路の洗浄が容易である、重合トナーの新たな製造方法を提供することができる。
本発明の重合トナー粒子の製造方法に用いる装置の一例を示す概略図である。 本発明の重合トナー粒子の製造方法に用いる装置の他の一例を示す概略図である。
本発明は、重合性単量体組成物を機械的撹拌手段を用いて水系媒体中に分散させた後に、重合を行なって重合トナー粒子を得る懸濁重合法に好適に用いることができる。
本発明により得られるトナーは、上述した重合法により得られるトナー粒子のみ、又は必要に応じて他の添加剤をトナー粒子に外添して得られる一成分現像剤であっても良いし、上記トナー粒子とキャリアとを混合して二成分現像剤としたものであっても良い。
本発明に好適に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体類;
メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン類等が挙げられる。
前記多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明では、上記した単官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上組み合わせて、又は上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、又は多官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用する。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独もしくは混合して、又はそれらとほかの単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性及び耐久性等の観点から好ましい。
本発明で用いられる着色剤としては、例えば、シアントナー用の着色剤として、C.I.ピグメントブルー2,3,15:1,15:2,15:3,16,17,C.I.アシッドブルー6,C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
また、マゼンタトナー用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,150,155,163,202,206,207,209,238,C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等の顔料が挙げられる。さらには、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料;
C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。
イエロートナー用の着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,93,94,95,97,109,110,111,120,127,128,129,147,151,154,155,168,174,175,176,180,181,191,194、C.I.バットイエロー1,3,20、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG等の顔料が挙げられる。さらには、C.I.ソルベントイエロー9,17,24,31,35,58,93,100,102,103,105,112,162,163等の染料が挙げられる。
ブラックトナー用の着色剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック等、または先に例示したイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤、さらに必要に応じて前記した黒色の着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
着色剤を選択する上で、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。特に染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので、使用の際に注意を要する。好ましくはこれらに表面改質、例えば重合阻害のない物質による疎水化処理を施すことが好ましい。染料を表面処理する方法としては、予めこれら染料の存在下に重合性単量体を重合させる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。さらにカーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えばポリオルガノシロキサンでグラフト処理を行なっても良い。
本発明で用いられる離型剤としては、室温で固体状態のワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で好ましい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、炭素数15乃至100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいはモンタン系誘導体のワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられる。これらは低分子量成分が除去されており、示差走査熱量計によって得られる吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
OHPに定着した画像の透光性を向上させるためには、特に直鎖状エステルワックスが好適に用いられる。
直鎖状エステルワックスは、重合性単量体100質量部に対して1乃至40質量部、より好ましくは4乃至30質量部含有されることが好ましい。
本発明により製造されるトナーは、荷電制御剤を含有しても良い。荷電制御剤としては公知のものが利用できる。荷電制御剤は、トナー粒子に対して外添することも可能であるが、重合性単量体組成物中への分散等により、トナー粒子の内部に添加することも可能である。
例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、他にモノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。また、トナーを負荷電性に制御するものとしては、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物等が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等があり、これらを単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部使用することが好ましい。
前記重合性単量体を重合させるために、重合開始剤を用いることができる。本発明においては重合性単量体組成物への取り込みが容易であることから、油溶性の重合開始剤が好適に用いられる。本発明に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤がある。アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等が挙げられる。
また、有機過酸化物系開始剤を用いることもできる。有機過酸化物系開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
前記重合開始剤は10時間半減期温度を参考に選択され、単独又は混合して利用される。前記重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部が添加される。また、これらの重合開始剤が使用する温度において固体である場合、あらかじめ有機溶媒等に溶解し液状とするほうが取り扱い性や均一混合の観点から好ましい。
本発明では、例えば重合性単量体を重合させる場合に、各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等の多官能性化合物が挙げられる。
重合性単量体組成物を分散させる際の連続相である分散媒には、各種重合法に使用される公知のものを用いることができ、使用する重合性単量体や重合法等によって適宜選択され、特に限定されない。なお、懸濁重合においては、水系媒体が用いられる。水系媒体は、水、又は水溶性有機溶剤や水溶性無機塩等の水溶性成分を含有する水を主成分とする媒体であり、重合性単量体組成物が液滴として分散するものであれば特に限定されない。
重合性単量体組成物を水系媒体中に良好に分散させるための分散安定剤としては、一般に保護コロイド層を形成して立体障害による反発力を発現させる水溶性高分子と、静電気的な反発力を発現させて分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチンが知られている。難水溶性無機化合物としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の無機水酸化物;等を挙げることができる。これら難水溶性無機化合物は、単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。難水溶性無機化合物の多くは、金属化合物であるため、難水溶性金属化合物と呼ぶことがある。これらの難水溶性無機化合物は、水系媒体中に微粒子として存在することにより分散安定剤としての機能を発揮する。
難水溶性無機化合物の微粒子は、液性を酸やアルカリにすることによって溶解する物が好適に用いられる。酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができ、画像特性に優れたトナー粒子を得ることができる。
これらの難水溶性無機化合物の中でも燐酸アルミニウム、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸亜鉛等の燐酸金属塩が好適に用いられる。さらに、燐酸カルシウム等の燐酸アルカリ土類金属塩が好ましい。例えばリン酸三カルシウムの場合、十分な撹拌下にリン酸三ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を投入混合することで懸濁重合法に好適な分散安定剤を得ることができる。
分散安定剤の濃度は、重合性単量体100質量部に対して0.2乃至10質量部が好ましい。分散安定剤濃度が0.2質量部未満であると、スケール付着防止剤として装置内壁に付着させる分散安定剤量が不足し十分なスケール付着抑制効果が得られらない。10質量部を超えると、過剰な分散安定剤により極微小な重合性単量体組成物の液滴が増加する他、装置内壁の乾燥時や造粒工程中に付着した分散安定剤の剥離が生じるため好ましくない。
懸濁重合のように水系媒体を用いる重合法の場合には、重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することにより、離型剤の内包化の促進を図ることができる。水系媒体に懸濁した重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから、極性樹脂が水系媒体と重合性単量体組成物との界面付近に移行しやすいため、トナー粒子の表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果トナー粒子はコア−シェル構造を有し、多量の離型剤を含有する場合でも離型剤の内包性が良好になる。
また、シェルに用いる極性樹脂に溶融温度の高いものを選択すれば、低温定着を目的としてバインダー樹脂をより低温で溶融するような設計とした場合でも、保存中にブロッキング等の弊害の発生を抑制することができる。
このような極性樹脂としては、トナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に極性樹脂自身のもつ流動性が期待できることから、特に飽和又は不飽和のポリエステル系樹脂が好ましい。
前記ポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合したものを用いることができる。酸成分単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
前記アルコール成分単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等のアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。外添剤はトナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、カーボンブラック、シリカ等が用いられる。
これら外添剤はトナー粒子100質量部に対し0.01乃至10質量部が用いられ、好ましくは0.05乃至5質量部が用いられる。外添剤は単独で用いても、また複数併用しても良いが、疎水化処理を行なったものを用いることがより好ましい。
さらに、本発明の製造方法は磁性材料を含有する磁性トナーの製造方法にも適用できる。この場合、トナー粒子に含有される磁性材料は、着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明において磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの磁性材料は平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1乃至0.5μm程度のものが良い。上記磁性材料のトナー粒子中への含有量は、重合性単量体100質量部に対して20乃至200質量部、特に好ましくは重合性単量体100質量部に対して40乃至150質量部が良い。
また、上記磁性材料は800kA/m印加時の磁気特性として、保磁力(Hc)が1.6乃至24kA/m、飽和磁化(σs)が50乃至200Am2/kg、残留磁化(σr)が2乃至20Am2/kgであることが好ましい。これらの磁気特性は振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、例えば25℃,外部磁場800kA/mの条件下において測定することができる。
また、これらの磁性材料のトナー粒子中での分散性を向上させるために、磁性材料の表面を疎水化処理することも好ましい。疎水化処理には、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等のカップリング剤類が用いられるが、中でもシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明により製造されるトナーは、前述したように一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれにも使用できる。本発明で製造されるトナーは、その種類に応じた適当な方法で画像形成に用いられる。例えば一成分系現像剤として磁性材料をトナー粒子中に含有させた磁性トナーの場合、この磁性トナーを用いる画像形成時には、現像スリーブ中に内蔵されたマグネットを利用して磁性トナーを搬送し帯電する方法が用いられる。また、磁性材料を含有しない非磁性トナーの場合、この非磁性トナーを用いる画像形成時には、例えばブレード及びファーブラシを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電し、スリーブ上にトナーを付着させることで搬送させる方法が用いられる。
一方、本発明の製造方法により得られるトナーを、一般的に利用されている二成分現像剤として用いる場合には、トナーと共にキャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用されるキャリアとしては、特に限定されるものではないが、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン及びクロム元素からなる単独又は複合のフェライトを含有する粒子が用いられる。
飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点から、キャリアの形状も重要である。例えば球状、扁平、不定形等の中からキャリアの形状を選択し、更にキャリアの表面状態の微細構造、例えば表面凹凸性をもコントロールすることが好ましい。
前記キャリアとしては、一般的には上記金属の化合物を焼成、造粒することによりキャリアコア粒子を生成し、これに樹脂をコーティングして得られる樹脂コーティングキャリアが用いられる。キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、磁性材料と樹脂とを混練後、粉砕、分級して得られる低密度分散キャリアや、さらには直接金属化合物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合させて真球状に分散して得られる重合キャリア等も用いることが可能である。
これらキャリアの平均粒径は10乃至100μm、より好ましくは20乃至50μmであることが望ましい。
二成分現像剤を調製する場合のキャリアと本発明で製造されるトナーとの混合比率は、現像剤中のトナー濃度として2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低く実用が困難であり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が増加し、画像の劣化及び現像剤の消費量増加が起こることがある。
本発明の製造方法に用いる装置の例を図1及び図2に示す。図1に示される装置では、溶解槽6が造粒槽1に連結され、さらに造粒槽1は重合槽7と連結されている。造粒槽1には抜き出しライン4、ポンプ2、戻しライン5、及びこれらの付帯機器(図示せず)から構成される循環経路が接続され、循環経路中に分散機3が設置されている。図2に示される装置は、溶解槽6が設置されていない他は図1の装置と同じである。
以下、本発明の製造方法の例を図1及び図2に示される装置を用いて詳細に説明する。
造粒槽1で分散安定剤を含有する水系媒体を調製する。水系媒体は造粒槽1に備えられている撹拌手段(図示せず)にて回分式で調製しても良く、また外部で既に調製したものを造粒槽1に投入しても良いが、以下に示すように分散機3を用いて循環式で調製するとより微細で均一な分散安定剤粒子が形成できるため好ましい。
造粒槽1にリン酸三ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を投入し、撹拌しながらこれらの一部を抜き出しライン4の途中に設置されたポンプ2で抜き出し、分散機3へ導入して処理し、戻しライン5を通じて造粒槽1に戻す。この操作を所定時間繰り返し、処理液を造粒槽1と分散機3との間で循環させることにより、水系媒体を調製する。高剪断力を有する分散機を用いることで、微細で均一な分散剤粒子が形成され、より好適な水系媒体が得られる。
分散機3を用いて水系媒体を調製する場合、循環経路の配管内を流れる水系媒体の線速は0.1乃至2.5m/sの範囲であることが好ましい。線速が0.1m/sより小さいと所定の流量を出すために配管径を非常に大きくしなければならなくなり、この場合、水系媒体中の分散安定剤が配管内で沈降する可能性があり好ましくない。線速が2.5m/sより大きい場合には配管内で乱流状態となり、渦の発生による配管の異常振動を起こす恐れがあるためやはり好ましくない。
また分散機3内の圧力は、ゲージ圧で0.01MPa以上に保たれていることが好ましい。分散機3内の圧力が0.01MPaより小さいと分散機3内でキャビテーションが発生しやすくなる。キャビテーションが発生すると分散機3のエネルギーが分散液に伝わりにくくなり、均一な分散状態が得られなくなる。
水系媒体中の分散安定剤粒子は、時間が経つにつれて凝集し見かけの粒径が増大する。分散安定剤は粒径が小さく比表面積が大きい方が、重合性単量体組成物の水系媒体中での分散安定性が向上するため好ましい。このため造粒工程の直前に造粒槽1にて水系媒体を調製することで、造粒開始時点での分散安定剤粒子の凝集度を低減し、細かい粒子を得ることができる。
水系媒体を循環式で調製した場合、調製終了時に水系媒体の循環を停止する。水系媒体を造粒槽1内の撹拌手段(図示せず)にて回分式で調製した場合、または外部で既に調製した水系媒体を造粒槽1に投入した場合は、造粒槽1内の撹拌手段(図示せず)にて撹拌しながら水系媒体の一部を抜き出しライン4の途中に設置されたポンプ2で造粒槽1から抜き出し、分散機3および戻しライン5を通じて造粒槽1に戻し、分散機3および循環経路内壁に分散安定剤を接触させる工程を設ける。水系媒体は分散機3を用いて循環式で調製した方が、分散機3および循環経路内壁への分散安定剤の接触頻度が増大し、これら内壁への分散安定剤の付着量を効率的に増加できるため好ましい。
循環経路内の水系媒体の残液は排水ライン9から排出し、次いで通気ライン8からエアーを注入する。エアーを注入することにより分散機3及び循環経路内の水分を飛ばし、分散安定剤を分散機3及び循環経路内壁に強く付着させる。付着した分散安定剤は後の造粒工程で重合性単量体組成物の液滴の表面を覆う分散安定剤と静電反発してスケール付着防止剤の効果をもつため、スケール付着を首尾よく抑制することができる。分散機3及び循環経路内壁が濡れた状態であると、分散安定剤の付着力が弱くスケール付着防止効果が低減する。
循環経路内に送入するエアーの流速は配管の種類や大きさによって適宜選択することができるが、5乃至100m/sの範囲内であることが好ましい。エアー流速が5m/sより小さい場合、循環経路の長さによっては風量が足りず乾燥状態が不十分となる。エアー流速が100m/sを超える場合、循環経路内でのエアーの流速が速く、内壁に付着した分散安定剤を吹き飛ばしてしまう可能性があり、好ましくない。
また、分散機3及び循環経路内壁をジャケット(図示せず)による加熱で乾燥させる場合、加熱温度は40.0乃至80.0℃の範囲内であることが好ましい。加熱温度が40.0℃より低い場合、分散機3および循環経路内壁に分散安定剤が均一に付着しない他、加熱時間が長くなり生産効率が損なわれる。加熱温度が80.0℃を超える場合、乾燥速度が速すぎるため分散安定剤の付着が不十分となり、造粒工程中に剥離しやすくなるため好ましくない。
図1の装置を用いた場合、溶解槽6に重合性単量体、着色剤、必要であれば離型剤、荷電制御剤およびその他の添加物を混合/分散して重合性単量体組成物を調製する。図2の装置を用いた場合は、外部で既に調製した重合性単量体組成物を用いる。
前述の重合性単量体組成物を造粒槽1に投入して水系媒体に加え、撹拌することによって重合性単量体組成物の予備分散液を得る。造粒工程を行なう前に重合性単量体組成物を水系媒体中に予備的に分散させておくと、造粒工程で高剪断力を有する分散機3の負荷を低減でき、より粒度分布をシャープ化できる。
次に造粒槽1内の重合性単量体組成物の予備分散液の一部を抜き出しライン4の途中に設置されたポンプ2で抜き出し、分散機3に導入する。導入された予備分散液はここで高剪断力を受け微細な液滴へと分散された後に、戻りライン5を通じて造粒槽1に戻される。この操作を所定時間繰り返し、処理液を造粒槽1と分散機3との間で循環させることにより、重合性単量体組成物の分散液を得る。
造粒工程中に循環経路の配管内を流れる分散液の線速は0.1乃至2.5m/sの範囲であることが好ましい。線速が0.1m/sより小さいと所定の流量を出すために配管径を非常に大きくしなければならなくなり、この場合、重合性単量体組成物の比重によっては流速不足による配管内での沈降が生じる可能性があり好ましくない。線速が2.5m/sより大きい場合には、配管内での乱流による過剰な剪断力が造粒性に悪影響を及ぼす可能性があり、また、配管の異常振動の原因となるためやはり好ましくない。
造粒工程に用いる高剪断力を有する分散機3には、マイルダー(荏原製作所社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、DRS2000(IKA社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)等があり、適宜選択することができる。
造粒工程に用いるポンプ2としては、定量性があり、かつ脈動の少ないものであれば任意のものを利用することができる。例えば、ロータリーポンプ、ギアポンプのような容積式ポンプ、モーノポンプ(兵神装備社製)のような1軸偏心ネジポンプ、ラジアルスクリューポンプ(伏虎金属工業社製)のような2軸スクリューポンプ、スムーズフローポンプ(タクミナ社製)のような脈動を減らしたダイヤフラムポンプ、各種遠心ポンプ類などが挙げられる。
造粒槽1は撹拌手段を設置したものであれば形状は問わないが、上端および下端に鏡部を有する通常の円筒形の容器が、滞留部がなく、気相部の液溜り、排出時の液残りを防げることから適している。撹拌手段は、重合性単量体組成物分散液を滞留させることなく流動させ、かつ槽内の温度を均一に保てるようなものならば、どのようなものを用いても良い。例えば、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、プロペラ翼、ディスクタービン翼、ヘリカルリボン翼、アンカー翼、フルゾーン(神鋼パンテック社製)、ツインスター(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド(住友重機社製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業社製)、Hi−Fミキサー(綜研化学社製)等の撹拌翼を有するものが好適に用いられる。
また、造粒槽1内の撹拌については過度な気泡の巻き込みについても考慮する必要がある。気泡の巻き込み量が過剰であると造粒工程を行なう際に、ポンプ2の吐出が不安定になったり、そのまま気泡が分散機3まで到達した場合には分散機3の動力がうまく伝達されなくなったりするため、結果として造粒性が乱れる原因となる。
また造粒工程時の分散機3内の圧力は、ゲージ圧で0.01MPa以上に保たれていることが好ましい。分散機3内の圧力が0.01MPaより小さいと分散機3内でキャビテーションが発生しやすくなる。キャビテーションが発生すると分散機3のエネルギーが分散液に伝わりにくくなり、均一な分散状態が得られなくなるため好ましくない。
造粒工程は必要な循環回数を得るために、ポンプ2の移送能力、分散機3の能力を考慮して任意の時間で行なうことができる。
重合開始剤は造粒工程中、または終了後に重合性単量体組成物分散液中に添加する。重合開始剤の添加は造粒槽1、循環経路の配管、重合槽7のいずれの場所で行なってもよいが、撹拌手段(図示せず)の設置された造粒槽1または重合槽7に添加するほうが、重合開始剤が重合性単量体組成物分散液中に均一に取り込まれやすいため好ましい。
重合開始剤の添加は造粒工程以降であれば任意の時期と所要時間で行なうことができるが、重合性単量体の重合転化率が90%に達する前に終了することが望ましい。重合性単量体組成物の重合転化率が90%を超えてから重合開始剤の添加を行なうと、分散した重合性単量体組成物の液滴中に添加された重合開始剤がうまく取り込まれにくくなるため、所望の分子量のトナー粒子が得られなかったり、トナー粒子間で分子量分布に差が生じたりするため好ましくない。
造粒工程の後、重合性単量体組成物分散液を重合槽7へ移送し重合工程を行なう。重合工程では重合性単量体組成物分散液を所定の温度に保ちながら撹拌を行ない、重合体微粒子分散液を得る。重合槽7には造粒槽1に用いるものと同様の撹拌手段を使用することができる。重合温度は40℃以上、一般的には50乃至90℃で行なわれる。重合温度は終始一定でも良いが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温しても良い。
上述の製造装置に用いられる装置を構成する各部材の材料としては、ステンレス、鋼、ガラス、FRP(繊維強化プラスチック)、セラミック等の通常使用されるものを用いることができる。また、これらの表面は、電解研磨、フッ素樹脂コーティング、グラスライニング等の処理が施されていても良い。
未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合工程終了後に一部水系媒体を蒸留工程により留去しても良い。蒸留工程は常圧もしくは減圧下で行なうことができる。
重合体微粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、重合体微粒子分散液を酸またはアルカリで処理することもできる。その後、一般的な固液分離法により、重合体微粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリ及びそれに溶解した分散安定剤を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体微粒子を洗浄する。この工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は、必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。以下に各測定および評価方法を示す。
(1)循環経路の配管内のスケール付着状態の評価
循環経路内壁のスケール付着の状態は、循環経路中の所定位置の配管の内壁において、洗浄後のスケール付着面積を目視にて確認し、下記の評価基準に従い評価した。
A:良好なレベル(所定面積あたりのスケール付着面積が5%未満)
B:許容レベル(所定面積あたりのスケール付着面積が5%以上30%未満)
C:悪いレベル(所定面積あたりのスケール付着面積が30%以上)
(2)トナーの重量平均粒径(D4)、体積および個数基準メジアン径の測定
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
[1]Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
[2]ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
[3]発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic DispensionSystem Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
[4]前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
[5]前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
[6]サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
[7]測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および体積および個数基準メジアン径を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、「中位径」が体積基準メジアン径(Dv50)である。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「中位径」が個数基準メジアン径(Dn50)である。
(3)粒度分布のシャープさの評価
前項の粒径の測定により算出された各メジアン径を用い、下記式により粒度分布のシャープさを求めた。
粒度分布のシャープさ=体積基準メジアン径(Dv50)÷個数基準メジアン径(Dn50)
上式の値が1に近いほど粒度分布がシャープであることを意味する。
(4)画質評価
トナー粒子100質量部に対して、BET法で測定した比表面積が300m2/gである疎水系シリカ微粉体を1.5質量部となるよう外添し、一成分系現像剤を得た。この現像剤を、キヤノン製レーザープリンターLBP−2160を用いて、常温常湿環境下(23℃、60%RH)において連続通紙による画出し耐久試験を行ない、ベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
また、画出し前の普通紙の反射率、およびベタ白画像の反射率をリフレクトメーター(東京電色(株)社製TC−6DS)によって測定し、下記の式によりカブリ(%)を算出した。
カブリ(%)=普通紙の反射率−ベタ白画像の反射率
得られたカブリの値により下の評価基準に従い5段階で評価した。
A:非常に良好なレベル(0.5%未満)
B:良好なレベル(0.5%以上1.0%未満)
C:問題ないレベル(1.0%以上2.0%未満)
D:許容レベル(2.0%以上3.0%未満)
E:悪いレベル(3.0%以上)
<実施例1>
図1に例示される構成の装置を用い、以下の手順によりトナー粒子を製造した。
(着色剤の分散液の調製)
スチレン 50.0質量部
サリチル酸系化合物アルミニウム錯体(オリエント化学工業社製ボントロンE−88)
0.95質量部
カーボンブラック 10.0質量部
上記の成分を温度調節可能な撹拌槽に仕込み、撹拌を行なって十分均一になじませた後に、SCミル(三井鉱山社製)を途中に組み込んだ循環ライン中をポンプを用いて、90分間循環させることによって着色剤の分散液を調製した。SCミルには直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、SCミルにおけるローター周速を10.0m/sとした。
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン 33.0質量部
着色剤の分散液 60.95質量部
n−ブチルアクリレート 17.0質量部
テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA重合体
(平均分子量:7500、酸価:10mgKOH/g) 5.0質量部
ベヘン酸ベヘニル(融点:73℃) 13.75質量部
上記の成分のうちベヘン酸ベヘニル以外を温度調節が可能な撹拌槽に投入し、常温下で撹拌混合した後、これを60℃まで昇温してからベヘン酸ベヘニルを前記撹拌槽に投入し、さらに撹拌を継続して重合性単量体組成物を得た。
(水系媒体の調製)
水 112.5質量部
リン酸三ナトリウム 4.3質量部
上記の成分をフルゾーン翼(神鋼パンテック社製)を備え、上端及び下端に鏡板を備えた、竪型で温度調節可能な造粒槽に投入し、60℃に昇温するまで低速で撹拌した後、この液の一部を造粒槽底部に開口した抜き出しラインよりロータリーポンプを用いて連続的に抜き出し、キャビトロンCD1020(ユーロテック社製)に15m3/hの流量で導入した。キャビトロンの最外周ローターの周速は40m/sであった。キャビトロンにより分散された処理液は戻りラインを通して造粒槽に戻した。造粒槽内ではフルゾーン翼の回転数40rpmにて処理液の混合を行なった。この操作を所定時間繰り返しリン酸三ナトリウムを完全に溶解させたのち、塩化カルシウム2.5質量部を水に溶解した水溶液を添加した。塩化カルシウム水溶液の添加後、さらに30分間処理液を循環させて分散し、微細なリン酸三カルシウム粒子の懸濁液である水系媒体を得た。この水系媒体中のリン酸三カルシウム濃度は重合性単量体100質量部に対して1.8質量部であった。
(通気工程)
水系媒体の調製終了後、造粒槽底部の抜取り口を閉じ、循環経路内に残留した水系媒体を循環経路中に設けた排水ラインから排出した。次いで、循環経路中に設けた通気ラインからエアーを流速40m/sで送入し、分散機および循環経路内壁を乾燥し、分散機および循環経路内壁にリン酸三カルシウム微紛末を付着させた。
(予備分散工程)
前述の造粒槽内の水系媒体を60℃に保ち、この中に同じく60℃の重合性単量体組成物を水系媒体と重合性単量体組成物の質量比が2:1となるように投入し、フルゾーン翼にて回転数60rpmで撹拌して、重合性単量体組成物の予備分散液を調製した。
(造粒工程)
造粒槽内の重合性単量体組成物の予備分散液の一部を、造粒槽底部に開口した抜き出しラインよりロータリーポンプを使って連続的に抜き出し、キャビトロンに15m3/hの流量で導入した。キャビトロンの最外周ローターの周速は40m/sであった。キャビトロンにより造粒された分散液は、戻りラインを通じて造粒槽に戻した。この操作を60分間繰り返し行なうことによって、重合性単量体組成物分散液を得た。
(移送・洗浄工程)
重合性単量体組成物分散液を重合槽へ移送し、重合槽に具備されているフルゾーン翼にて撹拌を行なった。一方、分散液を移送した後の造粒槽には60℃の洗浄水を投入し、フルゾーン翼にて撹拌しつつ、洗浄水の一部を造粒槽底部よりロータリーポンプを使って抜き出し循環経路に通し、キャビトロンと造粒槽の間を3分間循環させた。この洗浄水を重合槽へ移送し、先の重合性単量体組成物分散液に加えた。
その後、造粒槽とキャビトロンおよび循環経路を洗浄水にてさらに2回洗浄し、洗浄水を循環経路中に設けた排水ラインから排出した。洗浄終了後に循環経路中の配管の内壁の付着汚れ具合を目視にて確認した。結果を表1に示す。
(重合工程)
重合槽内の重合性単量体組成物分散液をフルゾーン翼で撹拌しながら、重合性単量体100質量部に対して重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート7.0質量部を添加した。液温を67℃まで昇温させ5時間重合を行なった後、さらに液温を80℃に昇温し4時間重合工程を継続して重合体微粒子分散液を得た。
(粒子洗浄/固液分離/乾燥工程)
得られた重合体微粒子分散液に塩酸を添加して撹拌し、重合体微粒子を覆ったリン酸三カルシウムを溶解した後に、加圧ろ過器で固液分離し、重合体微粒子を得た。これを水中に投入して撹拌し、再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。重合体微粒子の水への再分散と固液分離とを、リン酸三カルシウムが十分に除去されるまで繰り返し行なった後に、最終的に固液分離した重合体微粒子を、気流式乾燥機によって十分に乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒度分布の測定結果を表2に示す。
(トナーの画質評価)
得られたトナー粒子に前記疎水系シリカ微粉体を外添してトナー(一成分現像剤)とした。このトナーを用いて連続20000枚の画出しを行なって画質評価を行なった。評価結果を表2に示す。
<実施例2>
循環経路中にエアーを送入せず、ジャケット式加熱によりキャビトロン及び循環経路内壁の乾燥を行なった他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。このときのジャケット温度は70℃であった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例3>
循環経路中にエアーを送入し、これと併せてジャケットによる加熱も同時に行ないキャビトロン及び循環経路内壁を乾燥した他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。この時のジャケット温度は70℃であった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例4>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、水112.5質量部とリン酸三ナトリウム24.0質量部を造粒槽に投入し、60℃に昇温するまでフルゾーン翼にて低速で撹拌した。その後、この液の一部を造粒槽底部よりポンプで抜き出しキャビトロンに15m3/hの流量で導入し、戻りラインを通して造粒槽に戻した。造粒槽内ではフルゾーン翼の回転数40rpmにて処理液の混合を行なった。この操作を所定時間繰り返したのち、塩化カルシウム13.9質量部を水に溶解した水溶液を添加し、さらに30分間処理液を循環させて分散し、微細なリン酸三カルシウム粒子の懸濁液である水系媒体を得た。この水系媒体中のリン酸三カルシウム濃度は重合性単量体100質量部に対して10質量部であった。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例5>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、水112.5質量部とリン酸三ナトリウム0.48質量部を造粒槽に投入し、60℃に昇温するまでフルゾーン翼にて低速で撹拌した。その後、この液の一部を造粒槽底部よりポンプで抜き出しキャビトロンに15m3/hの流量で導入し、戻りラインを通して造粒槽に戻した。造粒槽内ではフルゾーン翼の回転数40rpmにて処理液の混合を行なった。この操作を所定時間繰り返したのち、塩化カルシウム0.28質量部を水に溶解した水溶液を添加し、さらに30分間処理液を循環させて分散し、微細なリン酸三カルシウム粒子の懸濁液である水系媒体を得た。この水系媒体中のリン酸三カルシウム濃度は重合性単量体100質量部に対して0.2質量部であった。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例6>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、水112.5質量部とリン酸三ナトリウム26.3質量部を造粒槽に投入し、60℃に昇温するまでフルゾーン翼にて低速で撹拌した。その後、この液の一部を造粒槽底部よりポンプで抜き出しキャビトロンに15m3/hの流量で導入し、戻りラインを通して造粒槽に戻した。造粒槽内ではフルゾーン翼の回転数40rpmにて処理液の混合を行なった。この操作を所定時間繰り返したのち、塩化カルシウム15.3質量部を水に溶解した水溶液を添加し、さらに30分間処理液を循環させて分散し、微細なリン酸三カルシウム粒子の懸濁液である水系媒体を得た。この水系媒体中のリン酸三カルシウム濃度は重合性単量体100質量部に対して11質量部であった。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例7>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、水112.5質量部に市販のポリビニルアルコール1.8質量部を造粒槽に投入し、60℃に昇温するまでフルゾーン翼にて低速で撹拌した。その後、この液の一部を造粒槽底部よりポンプで抜き出しキャビトロンに15m3/hの流量で導入し、戻りラインを通して造粒槽に戻した。造粒槽内ではフルゾーン翼の回転数20rpmにて処理液の混合を行なった。この操作を所定時間繰り返し、水系媒体を得た。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例8>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、水112.5質量部とリン酸三ナトリウム4.3質量部を造粒槽に投入し、60℃に昇温するまでフルゾーン翼にて低速で撹拌した。その後、塩化カルシウム2.5質量部を水に溶解した水溶液を添加し、フルゾーン翼の回転数60rpmにて30分間撹拌したのちリン酸三カルシウム粒子の懸濁液である水系媒体を得た。この水系媒体中のリン酸三カルシウム濃度は重合性単量体100質量部に対して1.8質量部であった。
造粒槽内の水系媒体を低速で撹拌しながら、造粒槽内の水系媒体を低速で撹拌しながら、水系媒体の一部を造粒槽底部より抜き出し、循環経路及びキャビトロンを通過させた。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例9>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、既に調製された市販のリン酸三カルシウムの水系懸濁液(日本化学工業(株)製 スーパタイト10)を造粒槽に投入し、リン酸三カルシウム濃度が重合性単量体100質量部に対して1.8質量部となるように水で希釈した。60℃に達するまで低速で撹拌し、水系媒体を得た。造粒槽内の水系媒体を低速で撹拌しながら、水系媒体の一部を造粒槽底部より抜き出し、循環経路及びキャビトロンを通過させた。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例10>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、既に調製された市販のリン酸三カルシウムの水系懸濁液(日本化学工業(株)製 スーパタイト10)を、リン酸三カルシウム濃度が重合性単量体100質量部に対して11質量部となるように造粒槽に投入し、液温が60℃に達するまで低速で撹拌して水系媒体を得た。造粒槽内の水系媒体を低速で撹拌しながら、水系媒体の一部を造粒槽底部より抜き出し、循環経路及びキャビトロンを通過させた。その他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<実施例11>
予備分散工程を行なわずに造粒工程を開始した他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<比較例1>
水系媒体の調製後、通気工程を行なわなかった他は、実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
<比較例2>
水系媒体の調製を次のように行なった。すなわち、水112.5質量部とリン酸三ナトリウム4.3質量部を造粒槽に投入し、60℃に昇温するまでフルゾーン翼にて低速で撹拌した後、塩化カルシウム2.5質量部を水に溶解した水溶液を添加した。塩化カルシウム水溶液の添加後、フルゾーン翼の回転数を60rpmにし、30分間撹拌したのちリン酸三カルシウム粒子の懸濁液である水系媒体を得た。この水系媒体中のリン酸三カルシウム濃度は重合性単量体100質量部に対して1.8質量部であった。
調製後の水系媒体はキャビトロンと循環経路内を通過させず、また通気工程は行なわなかった。上記の他は実施例1と全く同様にしてトナー粒子の製造を行なった。
循環経路内壁のスケール付着状態の評価を表1に、得られたトナー粒子の粒度分布と画質評価結果を表2に示す。
Figure 2010197529
Figure 2010197529
1 造粒槽(撹拌容器)
2 ポンプ
3 分散機
4 抜き出しライン
5 戻りライン
6 溶解槽(撹拌容器)
7 重合槽(撹拌容器)
8 通気ライン
9 排水ライン

Claims (6)

  1. 少なくとも重合性単量体および着色剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に分散させて重合性単量体組成物の分散液を得る造粒工程を有し、該造粒工程が、
    (a)撹拌手段が設置された撹拌容器に重合性単量体組成物と分散安定剤を含有する水系媒体を供給する
    (b)これらの一部を該撹拌容器から抜き出し、分散機に導入し処理して、重合性単量体組成物分散液とする
    (c)重合性単量体組成物分散液を循環経路を通して該撹拌容器に戻し、循環させる
    ことによって行なう重合トナーの製造方法において、分散安定剤を含有する水系媒体を重合性単量体組成物よりも先に該撹拌容器と該分散機、該循環経路を通過させた後、これらの内壁を通気及び/または加熱することを特徴とする重合トナーの製造方法。
  2. 重合性単量体組成物を該撹拌容器の撹拌手段によって分散安定剤を含有する水系媒体中に予備的に分散させたのち、造粒工程を開始することを特徴する請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
  3. 分散安定剤を含有する水系媒体を該撹拌容器内で調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の重合トナーの製造方法。
  4. 分散安定剤を含有する水系媒体を、該分散機と該撹拌容器とを循環させながら調製することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
  5. 分散安定剤に難水溶性無機化合物を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
  6. 水系媒体中の分散安定剤濃度が、重合性単量体100質量部に対して0.2乃至10質量部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
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