JP2010196441A - ソイルセメント地中連続壁の芯材 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯材構造の重心が偏心しない芯材を提供する。
【解決手段】ソイルセメント地中連続壁の内部に鉛直方向に配置する芯材である。各芯材は、並行して配置した鋼材板であるフランジと、両フランジ間を接続したウエブとよりなる断面H状のH型鋼で構成する。上部芯材のフランジの幅は、下部芯材の複数のフランジの幅より小さい寸法に構成して、上部芯材と下部芯材のフランジの外面が同一平面を形成する状態で接合する。あるいは、上部芯材のフランジの厚さは、下部芯材の複数のフランジ厚さより小さい寸法に構成して、上部芯材と下部芯材のフランジの外面が同一平面を形成する状態で接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ソイルセメント地中連続壁の芯材に関するものである。
地盤を掘削して地下構造物を構築する際に、掘削壁面の崩壊を阻止するために事前に掘削範囲の外周にソイルセメント地中連続壁を構築する方法が広く採用されている。
たとえばオーガーで地盤を攪拌しながらセメントミルクを注入し、図6に示すように地盤に攪拌円柱dを形成し、その中に型鋼などの応力負担材となる芯材bを挿入してソイルセメント地中連続壁aを構築する方法が知られている。
その場合に従来の構造では、最大発生断面力に必要な寸法を、芯材bの全長に確保する構成になっている。
しかしそれでは資材を不必要に使用していることになるので、断面力に応じて断面を変化させて経済的な設計としたい。
一方、敷地面積をできるだけ広く活用する技術として、芯材bとして同一寸法の型鋼ではなく、深度方向に深い位置にある下側の鋼材はそのウエブ高さを大きく、上側の鋼材ではそのウエブ高さを小さく形成する方法が知られている。
このように、芯材bの上側のウエブの高さを小さくしておくと、それだけソイルセメント地中連続壁aが後退することになり、開削した側cの空間を有効に活用することが可能となる。
開削側cに建築物を構築する場合であれば、その建築物を大きくでき、敷地面積を有効に利用できることになる。
しかし上記のような構成では、次項の「発明が解決しようとする課題」に示すような問題が存在する。
なお本明細書で「ウエブ」とは、断面H状のH型鋼において、並行して配置した鋼材板である「フランジ」の間を接続する鋼板のことであり、「ウエブ高さ」とは両フランジの外面間の寸法をいう。
特開2003−342948号公報。
前記したような、ウエブ高さを異ならせる従来のソイルセメント地中連続壁の芯材にあっては、次のような問題点がある。
<1> 地盤を開削した場合に、壁面の土圧は外側のフランジで受ける。この土圧を受ける側、すなわち開削側とは反対側のフランジは、上下方向で同一平面として構成する。
<2> そのために、開削側のフランジの位置は、上下の芯材において、開削側へずれた位置に存在することになる。すなわち、開削側からみて、引っ込んだ面と出っ張った面とが形成される。
<3> その結果、上下の芯材の軸心位置は、上下において異なってしまい、芯材構造の重心が偏心することになり、セメントミルクを混合した攪拌円柱の内部に芯材を建てこむ際の鉛直精度の確保が困難である。
<4> さらに上下で軸芯がずれることによって、上側の芯材から伝わる鉛直荷重は、下側の芯材の中心ではなく偏心荷重として作用する。
<5> そのために芯材を、上載荷重の作用する他の用途に兼用することが困難である。この場合の他の用途とは、たとえば芯材を仮設桟橋の支持杭と兼用するような場合である。
<6> 上下の芯材のフランジ面の位置が同一平面ではないから、ウエブに負担をかけずに上下のフランジ間で確実な応力伝達を行うために、上下の芯材の中間に、断面を暫変させた中継部材が必要となる。この中継部材は上側の芯材と下側の芯材との二か所でボルト締結をする必要があり、部材と手数の面でコストアップとなる。
<7> 地盤を開削した場合に、上下の芯材の締結位置が同一深度に集中しないように配置する必要があり、開削側から見て、締結部を千鳥状に配置している。そのために同一深度では、フランジが開削側に出ている芯材と引っ込んでいる芯材が交互に位置することになり、腹起し材を設置する際には、引っ込んでいる芯材にはクサビなどをかませる必要があり、作業工程が煩雑である。
上記のような課題を解決するために本発明のソイルセメント地中連続壁の芯材は、ソイルセメント地中連続壁の内部に鉛直方向に配置する芯材であって、上部芯材と下部芯材より構成し、各芯材は、並行して配置した鋼材板であるフランジと、両フランジ間を接続したウエブとよりなる断面H状のH型鋼で構成し、上部芯材のフランジの幅は、下部芯材の複数のフランジの幅より小さい寸法に構成して、上部芯材と下部芯材のフランジの外面が同一平面を形成する状態で接合して構成したことを特徴としたものである。
さらに本発明のソイルセメント地中連続壁の芯材は、ソイルセメント地中連続壁の内部に鉛直方向に配置する芯材であって、上部芯材と下部芯材より構成し、各芯材は、並行して配置した鋼材板であるフランジと、両フランジ間を接続したウエブとよりなる断面H状のH型鋼で構成し、上部芯材のフランジの厚さは、下部芯材の複数のフランジ厚さより小さい寸法に構成して、上部芯材と下部芯材のフランジの外面が同一平面を形成する状態で接合して構成したことを特徴としたものである。
本発明のソイルセメント地中連続壁の芯材は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 芯材に発生する断面力に応じて芯材構造を変化させるために鋼材量の大幅な削減が可能である。
<2> 断面変化の上下、すなわち断面の変化する上部芯材と下部芯材の軸心が常に同一直線上にあるため、芯材構造の重心が偏心しない。そのために深度方向に同一断面の芯材を建て込む場合と同等の建て込み精度を得ることができる。
<3> 断面変化の上下で軸心が常に同一直線上にあるため、芯材の上に荷重を載荷しても、偏心荷重が発生しない。そのために仮設桟橋の支持杭と兼用するような、鉛直荷重を作用させる工法に利用することができる。
<4> 強軸外法を一定としたままで芯材断面を変化させる構造である。そのために芯材フランジ面が全深度で同一平面を維持することになり、土留め支保工の設置位置をずらすような必要が生じない。
<5> 強軸外法を一定としたままで芯材断面を変化させる構造である。そのために簡単な継ぎ手構造で、異なる断面の芯材間を接合することが可能となった。
本発明のソイルセメント地中連続壁の芯材であって、上部芯材と下部芯材のフランジ幅を異ならせた実施例の説明図。 図1の芯材の接合部の実施例の説明図。 本発明の芯材であって、上部芯材と下部芯材のフランジの厚さを異ならせた実施例の説明図。 図3の芯材の接合部の実施例の説明図。 本発明のソイルセメント地中連続壁の開削状態の説明図。 従来のソイルセメント地中連続壁の芯材の配置状態の説明図。
以下図面を参照にしながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<1>用途。
本発明の芯材は、図5に示すように、ソイルセメント地中連続壁5の内部に鉛直方向に配置する芯材である。
ソイルセメント地中連続壁5の構築方法としては多くの種類のものが開発され実施されていが、本発明の芯材はそのすべてに利用することができる。
実施例としてはたとえば地盤にオーガーで地盤を攪拌しながらセメントミルクを注入して地盤に攪拌円柱を形成し、まだ硬化する前にその攪拌柱の中に型鋼などの応力負担材となる芯材を挿入してソイルセメント地中連続壁5を構築する方法が利用されているが、本発明の芯材の用途は、このような工法に使用される芯材に限定されるものではない。
<2>芯材の基本構造。
本発明の芯材はひろく市販されている、断面H型のH型鋼を使用する。
すなわち、この芯材は、並行して配置した鋼材板であるフランジ2と、両フランジ2間を接続したウエブ1とよりなる断面H状のH型鋼で構成したものである。
<3>上下の芯材。
上記のH型鋼を芯材として、まだ硬化していない攪拌状態のソイルセメント地中連続壁5に挿入する場合に、上下方向で同一断面の芯材を使用せず、断面の異なる上部芯材Aと下部芯材Bより構成する。
両者の変化位置、すなわち断面変化点は、芯材に発生する深度方向の断面力に応じて決定することになる。
<4>フランジの幅の相違。(図1)
上部芯材Aと下部芯材Bの断面を異ならせた構造の一例は、ウエブ1幅を同一とし、フランジ2幅を異ならせた構造である。
すなわち、上部芯材Aのフランジ2の幅を、下部芯材Bの複数のフランジ2の幅より小さい寸法に構成する。
この上部芯材Aと下部芯材Bは、上下方向に接合する。
接合する場合に、上部芯材Aと下部芯材Bのフランジ2の外面が同一平面を形成する状態で、かつ上下のウエブ1が重なる状態で接合する。
<5>フランジの厚さの相違。(図3)
上部芯材Aと下部芯材Bの断面を異ならせた構造の他の一例は、ウエブ1幅を同一とし、フランジ2の厚さを異ならせた構造である。
すなわち、上部芯材Aのフランジ2の厚さを、下部芯材Bの複数のフランジ2厚さより小さい寸法に構成する。
この上部芯材Aと下部芯材Bは、上下方向に接合する。
接合する場合に、上部芯材Aと下部芯材Bのフランジ2の外面が同一平面を形成する状態で、かつ上下のウエブ1が重なる状態で接合する。
<6>フランジの同一平面の機能。
以上のように、強軸外法一定型の断面変化をさせることで、軸心外面を全深度において同一平面とすることができる。
そのために図5に示すように、芯材間を水平に連結する切梁をどの位置に設置しても、芯材ごとに支持条件が変わることがなく、上下の芯材で変形モードに差異が生じることがない。
<7>ウエブの位置の機能。
上記のいずれの実施例においても、断面が変化する上下の芯材A、Bの間で、芯材の軸心位置Gは常に同一円直線上にある。
そのために芯材構造の重心が偏心せず、芯材建て込み時の鉛直線の確保が簡単である。
またソイルセメント地中連続壁5の上部に荷重が作用しても、上下の芯材A、B間で軸心位置Gがずれていないので、芯材構造内に偏心荷重が発生する恐れがない。
<8>上下芯材の接合。
上部芯材Aと下部芯材Bの接合について説明する。
上下の芯材において、フランジ2の幅を異ならせたタイプでは、図2に示すように鋼板を継板3として使用する。
この継板3を、両者A、Bの接合部をまたがる位置において、フランジ2の両側に配置してボルトナットで接合する。
上下の芯材A、Bにおいて、フランジ2の厚さを異ならせるタイプでは図4に示すように、フランジ2の内側では、両者の接合部に厚さの相違に基づく段差が生じる。
そのために、フランジ2の厚さの薄い上部芯材Aでは、そのフランジ2内側に段差分の厚さを有する補助板4を介在させ、その補助板4を含めて継板3で抑える状態でボルトナットで接合する。
このように、上下の芯材A、Bの断面形状が異なっても、両者の接合には単純な矩形の鋼板をボルトナットで締結するだけでよく、従来のように特殊な形状のジョイント部材を必要としない。
<9>3本以上の接合。
以上の実施例は上下2本の芯材を接合した場合である。
しかし3本以上の複数本の芯材で構成することも可能である。
その場合には、常に連続する上下の2本の芯材A、Bにおいて、上記の関係が成立すれば、その機能を達成することができる。
A:上部芯材
B:下部芯材
1:ウエブ
2:フランジ
3:継板

Claims (3)

  1. ソイルセメント地中連続壁の内部に鉛直方向に配置する芯材であって、
    上部芯材と下部芯材より構成し、
    各芯材は、
    並行して配置した鋼材板であるフランジと、
    両フランジ間を接続したウエブとよりなる断面H状のH型鋼で構成し、
    上部芯材のフランジの幅は、下部芯材の複数のフランジの幅より小さい寸法に構成して、
    上部芯材と下部芯材のフランジの外面が同一平面を形成する状態で接合して構成した、
    ソイルセメント地中連続壁の芯材。
  2. ソイルセメント地中連続壁の内部に鉛直方向に配置する芯材であって、
    上部芯材と下部芯材より構成し、
    各芯材は、
    並行して配置した鋼材板であるフランジと、
    両フランジ間を接続したウエブとよりなる断面H状のH型鋼で構成し、
    上部芯材のフランジの厚さは、下部芯材の複数のフランジ2厚さより小さい寸法に構成して、
    上部芯材と下部芯材のフランジの外面が同一平面を形成する状態で接合して構成した、
    ソイルセメント地中連続壁の芯材。
  3. 複数本の芯材で構成し、
    常に連続する上下の2本の芯材において、
    請求項1又は2記載の構成が成立している、
    ソイルセメント地中連続壁の芯材。
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