以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。同図は、第1実施形態に係るドアガード1の斜視図である。
ドアガード1は、ドア100に設けられたアーム装置10と、ドアフレーム200に設けられたフック装置20と、を含んで構成されている。
アーム装置10は、アーム部材12と、アームベース16と、を含んで構成されている。アーム部材12は、アームベース16に軸支され、ドア100の開閉方向(同図の矢印A又はB方向)に回動可能に設けられている。
アーム部材12は、鉄等の金属製又はアルミニウム合金等の非鉄金属製でできており、概略U字形状の部材である。このアーム部材12のU字形状の内側には、案内部13が形成されている。また、アーム部材12のU字形状の開口端部側には一対の係合片14、14(第1係止片14A及び第2係止片14B)が形成されている。この一対の係合片14、14の間隔は、少なくとも係合片14を形成している部材の板厚よりも広くなっていることが好ましい。なお、本実施形態では、係合片14はU字形状の開口端部側に2つ設ける構造としたが、後で説明するフック装置20(若しくはドアフレーム200)の一部と係合し、所定の力によるドア100の開扉を阻止できるものであれば、これに限定されるものではない。例えば、U字形状のアーム部材12の開口端部側に複数の係合片を設けても好ましく、また、少なくとも係合片14の板厚よりも幅が広い1つの係合片を設けるようにしても好ましい。
案内部13は、開口端部側に開口部13aが形成され、さらに開口部13aと連続して、開口部13aよりも溝幅が狭い誘導溝13bがアーム部材12の先端近傍まで延在するように形成されている。また、誘導溝13bの先端近傍には嵌合凹部13cが設けられている。詳細は後で説明するが、フックボルト22は、アーム部材12と係合した状態で、誘導溝13bに案内されるとともに、誘導溝13bの先端近傍に設けられている嵌合凹部13cに対応する位置でフックベース24方向に押し込まれる。フックボルト22が押し込まれると、フックボルト22の先端に設けられているヘッド部22Aは、嵌合凹部13cに嵌まり込む。これにより、フックボルト22は、アーム部材12に係止され、誘導溝13b方向へのスライドができなくなる。つまり、ドア100は、嵌合凹部13cの位置でほぼ完全に固定され、開放又は閉扉ができなくなる。
また、アーム部材12は、係合片14の根元近傍にスライド溝12dが形成されている。このスライド溝12dは、係合片14の先端から根元側までの所定の範囲(本実施形態では、約2cm)に設けられた長穴形状の溝であり、後で説明するアームベース16の外側から挿入される軸ピン17がこのスライド溝12dと摺動可能に係合することにより、アーム部材12は、アームベース16に対して、スライド溝12dに沿ってフック装置20方向にスライドできるようになっている。
アームベース16は、鉄等の金属製又はアルミニウム合金等の非鉄金属製でできており、対向する一対の側壁16a、16aを有する概略コの字形状の部材である。このアームベース16は、複数のボルト300(本実施形態では、3つ)によりドア100に固定されている。また、アームベース16の一対の側壁16a、16aには、アーム部材12のスライド溝12dと略対向する位置に穴部16bが設けられ、その穴部16bに軸ピン17が挿設される。この軸ピン17は、穴部16b及びスライド溝12dに挿通され、対向する一対のスライド溝12d、12dの対向面側でCリング18等により係止されている。したがって、アーム部材12は、アームベース16に対して、スライド溝12dに沿ってフック装置20方向にスライドすることができるようになっている。なお、この軸ピン17とスライド溝12dの相対移動によるアーム部材12のスライドをスライド機構30と言う。
次に、フック装置20は、同図に示されるように、フックボルト22と、フックベース24とから構成されている。フックボルト22は、図2に示されるように、本体部22aと、本体22aの先端側にヘッド部22bが形成された断面T字形状の部材である。また、フックボルト22はフックベース24の収容部24fにスライド可能に収容されており、収容部24fに内装されている圧縮ばね26(付勢部材と言うことがある)の付勢力により、収容部24fから開口部24h方向外側に押し出すように(アーム部材10方向に)付勢されている。なお、本実施形態では、付勢部材として圧縮ばね26を用いているが、フックボルト22を収容部24fから開口部24h外側に突出する方向に付勢できるものであれば、これに限定されるものではなく、例えば、板ばね等でも良いことは言うまでもない。
図2(a)〜(d)を用いて、フック装置20の構造について説明する。同図(a)〜(d)は、図1の矢視I−I方向から見たフック装置20の断面図である。
初めに、同図(a)は、フックボルト22が収容部24fに収容されている状態(収容位置S0と言う)であり、本実施形態では、収容位置S0において、フックボルト22のヘッド部22bは、収容部24fに略完全に収容された状態になっている。
フックボルト22の本体22aは、四角柱状の六面体部材であり、収容部24fに収容される1つの側面(本実施形態では、ドアフレーム200側の側面)に付勢抑制凹部23が3か所に形成されている。3か所の付勢抑制凹部23は、本体22aの1つの側面に略同間隔で1列に形成され、ヘッド部22b近傍から、第1付勢抑制凹部23a、第2付勢抑制凹部23b、第3付勢収容凹部23cが形成されている。また、各付勢抑制凹部23a〜23cは、それぞれ鋸歯形状に形成され、ヘッド部22b側の壁面がいわゆるテーパ形状になっている。本体22aの底面24g側には、ばね収容部22cが形成され、圧縮ばね26の一部を収容するとともに、その圧縮ばねの一端を固定できるようになっている。
また、圧縮ばね26の他端側は、収容部24fの底面24gに固定されている。圧縮ばね26は、圧縮された状態で収容部22c及び24fに収容されており、フックボルト22を収容部24fの開口部24h方向外側に付勢するように配設されている。
なお、フックボルト22は、フックベース24の収容部24f内でスライド可能に支持(図示省略)されている。したがって、フックボルト22は、圧縮ばね26の付勢力によって開口部24h方向にスライドし、また、圧縮ばね26の付勢力に逆らって、その付勢力に打ち勝つ力をヘッド22bを収容部24fに押し込む方向(ヘッド22b方向から底面24g方向)に加えることにより、フックボルト22は、同図(d)に示される矢印N方向にスライドできるようになっている。
フックベース24の上面(操作者側)には、ロック解除ボタン29(付勢抑制解除手段と言うことがある)を収容する収容部24dが形成されている。
ロック解除ボタン29は、金属製又は樹脂製の部材で、略中央部に開口孔29aを有する六面体部材である。ロック解除ボタン29の開口孔29aには、フックボルト22が挿通される。フックボルト22は、ロック解除ボタン29の開口孔29aに挿通された状態で、前述したように収容部24fの開口部24h方向又は底面24g方向にスライドできるように構成されている。
また、開口孔29aの内壁の下面には、付勢抑制凸部29bが形成されている。付勢抑制凸部29bは、各付勢抑制凹部23a〜23cに嵌り合う鋸歯形状に形成され、フックボルト22の各付勢抑制凹部23a〜23cと確実に嵌合できるようになっている。
また、ロック解除ボタン29は、板ばね等の付勢部材29cにより矢印E方向(同図でロック解除ボタン29を持ち上げる方向)に付勢されている。これにより、開口孔29aの内壁に設けられた付勢抑制凸部29bは、フックボルト22の各付勢抑制凹部23a〜23cの奥方向まで押し付けられ、付勢抑制凸部29bが各付勢抑制凹部23a〜23cとしっかり嵌り合うようになっている。なお、付勢抑制凸部29bが各付勢抑制凹部23a〜23cと係合することによって、圧縮ばね26の付勢力に対抗して、フックボルト22を各付勢抑制凹部23a〜23cの位置で固定する構造を付勢抑制手段と言う。
一方、同図(b)に示されるように、ロック解除ボタン29を矢印F方向に押下した場合、ロック解除ボタン29は、付勢部材29cの付勢力に逆らって、矢印F方向に押下される。つまり、ロック解除ボタン29の開口孔29aの内壁下面に設けられている付勢抑制凸部29bは、第1付勢抑制凹部23aから離れるように移動して、付勢抑制凸部29bと第1付勢抑制凹部23aの係合状態が解消され、フックボルト22は、圧縮ばね26の付勢力により長手方向(矢印M方向)へスライドする。
また、ロック解除ボタン29を押下している指を離すと(ロック解除ボタン29の押下を止めた場合)、ロック解除ボタン29は、付勢部材29cにより、同図(c)に示す矢印E方向(押下方向と反対方向)に付勢される。そして、ロック解除ボタン29の付勢抑制凸部29bは、第1付勢抑制凹部23aの後方の位置に形成されている第2付勢抑制凹部23bと係合し、フックボルト22のスライドが再び規制される(ロック状態)。
同様に、フックボルト22を開口部24hから更に突出させたい場合には、ロック解除ボタン29を押下することによって、上述と同様の原理により、フックボルト22は、第2付勢抑制凹部23bと第3付勢抑制凹部23cの1ピッチ分だけ開口部24hから突出するようにスライドし、第2付勢抑制凹部23bの後方の位置に形成されてる第3付勢抑制凹部23cと係合して停止する。(同図(d)参照)。
反対に、同図(d)に示されるように、フックボルト22のヘッド部22bが飛び出している状態において、ヘッド部22bの外側から、ヘッド部22bを収容部24f方向(同図(d)に示される矢印N方向)に、圧縮ばね26の付勢力に打ち勝つ力で押し込むと、フックボルト22は、収容部24fに収容される方向にスライドする。具体的には、フックボルト22を圧縮ばね26の付勢力よりも大きな力で収容部24f方向に押し込むと、ロック解除ボタン29の付勢抑制凸部29bは、フックボルト22の第3付勢抑制凹部23cの鋸歯形状に形成された凹部の斜面を乗り越え、第3付勢抑制凹部23cよりもヘッド部22bに近い位置に形成された第2付勢抑制凹部23bと係合する位置までスライドする。そして、付勢抑制凸部29bと第2付勢抑制凹部23bが係合すると、フックボルト22は固定される。フックボルト22を更に押し込みたい場合には、同図(c)の状態から、フックボルト22を収容部24f方向に更に押し込むことによって、フックボルト22は、同図(a)の位置までスライドする。この時、付勢抑制凸部29bは、第2付勢抑制凹部23bとの係合状態から脱出し、第2付勢抑制凹部23bよりもヘッド部22bに近い位置に形成されている第1付勢抑制凹部23aと係合して固定される。なお、本実施形態では、同図(a)に示される位置よりも、フックボルト22を押し込むことはできなくなっている。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、同図(c)に示される状態は、フックボルト22によってアーム部材12が挟まれて固定される固定位置S1であり、同図(d)に示される状態は、アーム部材12がフックボルト22に係合した状態で案内部13に沿ってスライド可能となるスライド可能位置S2である。
換言すると、ロック解除ボタン29を押下する毎に、フックボルト22を各付勢抑制凹部23a、23b、23cの間隔である1ピッチ分だけ、アーム部材12方向(矢印M方向)に飛び出させるようにスライドすることができる。また、フックボルト22をフックベース24の収容部24f方向(矢印N方向)に押し込むことによって、フックボルト22は、段階的(本実施形態では、3段階)に収容部24fに収納される。つまり、フックベース24に対して、フックボルト22は、付勢抑制凹部23a〜23cの数だけ段階的に伸縮することができるようになっている。勿論、フックボルト22の収容段階数は、本実施形態で示される、収容位置S0、固定位置S1及びスライド可能位置S2の3段階に限定されるものではない。
また、収容位置S0においては、フックボルト22は、開口部24hから突出した状態でも良いことは言うまでもない。つまり、少なくとも、収容位置S0の状態を無くし、固定位置S1とスライド可能位置S2の2段階あれば、ロック解除ボタン29の押下若しくはヘッド部22bの押下という1工程で、アーム部材12を固定し、又は固定の解除を行うことができる。
図1に戻って、フック装置20のフックベース24は、鉄等の金属製又はアルミニウム合金等の非鉄金属製でできており、概略L字型形状の部材である。このフックベース24は、底面24aから垂直方向にJ型アーム24bが伸び、J型アーム24bのJ字状に曲がっている先端側には、前述したフックボルト22を収容する収容部24f及びロック解除ボタン29を収容する収容部24dが形成されている。
また、底面24aに立設されたJ型アーム24bの根元近傍には固定穴24cが形成され、ボルト25等でドアフレーム200に固定されている。J型アーム24bのJ字状に曲がっている先端側には係合板24eが設けられている。前述した、アーム部材12がフック装置20方向にスライドした場合に、アーム部材12の係合片14は、この係合板24eの少なくとも一部と係合するようになっている。なお、アーム部材12の係合片14は、係合板24eと係合する場合に限られず、ドアフレーム200に直接係合するようにしても好ましい。
<ドアガード機能>
次に図3、4を用いて、同ドアガード1によるドアガード機能について説明する。図3(a)、(b)は、第1実施形態に係るドアガード1の動作を説明する為の概略斜視図であり、図4は、同ドアガード1を模式的に示した平面図である。このドアガード機能は、ドア100が所定の開放状態以上に開放するのを規制する、ドアガード1の機能の1つである。
初めに、フックボルト22が収容位置S0にある状態(図2(a)参照)において、ロック解除ボタン29をF方向に押下してフックボルト22をスライド可能位置S2までスライドさせる(図3(a)参照)。この時、前述したように、フックボルト22は、ロック解除ボタン29の付勢抑制凸部29bがフックボルト22の第1付勢抑制凹部23aに係合する位置から第3付勢抑制凹部23cに係合する位置までスライドする。
次に、図3(b)に示されるように、アーム装置10のアーム部材12を矢印A方向に回動させて、アーム部材12をドア100に対して約90°立てた状態にする。この時、フックボルト22のヘッド部22bは、アーム部材12の開口部13aに挿入された状態となっている。
次に、図4(a)に示されるように、フックボルト22のヘッド部22bがアーム部材12の開口溝13aに挿入された状態のまま、ドア100を開放すると、ヘッド部22aは、開口部13aから誘導溝13bに係合しながらスライドする。
フックボルト22のヘッド部22bを誘導溝13bと係合させつつ誘導溝13bの先端近傍まで移動させる。ヘッド22bが誘導溝13bの先端側に形成された嵌合凹部13cの位置まで移動したところで、ヘッド部22bを収容部24f方向(矢印N方向)に押下する(同図(b)参照)。
ヘッド部22bが押下されると、フックボルト22は、前述した第3付勢抑制凹部23cと第2付勢抑制凹部23bの1ピッチ分押し込まれるとともに、ヘッド部22bが嵌合凹部13cに嵌り込む(図4(c)参照)。
この時、アーム部材12は、フックボルト22のヘッド部22bと、フックベース24の係合板24eとの間で挟まれて固定されるようになっている(ロック状態)。したがって、アーム部材12は、自身に形成された嵌合凹部13cに落し込まれて嵌合するヘッド部22bにより、フックボルト22に固定されるとともに、フックボルト22のヘッド部22bとフックベース24の係合板24eに挟まれた状態で固定されるので、外部からの振動などでヘッド部22bと嵌合凹部13cの嵌合状態が外れ難く、より確実にドア100の開放を防止することができる。
また、ロック状態を解除し、ドア100を閉じる場合には、同図(c)に示されるように、ロック解除ボタン29を押下する(矢印F方向に押す)ことにより、フックベース22は、圧縮ばね26によって、第2付勢抑制凹部23bから付勢抑制凹部23cの1ピッチ分飛び出す(矢印N方向にスライドする)。これにより、ヘッド部22bは、嵌合凹部13cから脱出し、フックボルト22が案内溝13bに沿って移動できるようになり、そのままドア100を閉めることができる。
したがって、ドアガード1は、案内部13を有するアーム部材12と、案内部13に係合された状態で案内部13の長手方向にスライド可能なフックボルト22と、フックボルト22を支持するフックベース24を備えている。また、アーム部材12は、案内部13の係止位置(例えば、嵌合凹部13c)において、フックボルト22とフックベース24の間に挟まれて固定される構造とした。つまり、本発明は、アーム部材12をフックボルト22とフックベース24の間に挟むことにより、アーム部材12をフックボルト22とフックベース24により押圧される摩擦力により、より強い力で固定(ロック)することができる。
また、係止位置として、案内部13のヘッド部22bと係合する位置に、誘導溝13bよりも一段低い段差として形成される嵌合凹部13cが設けられ、ヘッド部22bは、この嵌合凹部13cに落し込まれるように係合する。したがって、アーム部材12は、ヘッド部22bの周囲を包囲されるように嵌合凹部13cと係合し、振動などでアーム部材12が揺れてもヘッド部22bとアーム部材12の係合状態が外れ難くなり、より確実にアーム部材12を固定することができる。
また、ドアガード1は、フックボルト22をアーム部材12方向(収容部24fの開口部24h方向)に付勢するための付勢力を発生させる圧縮ばね26と、フックボルト22がアーム部材24方向に付勢されるのを阻止する付勢抑制手段(ロック解除ボタン29の付勢抑制凸部29aとフックボルト22の各付勢抑制凹部23a〜23cの係合機構により構成される、フックボルト22のスライド防止機構)と、付勢抑制手段による付勢の抑制を解除するロック解除ボタン29(抑制解除手段と言うこともある)と、を備えている。また、ロック解除ボタン29は、フックボルト22のスライド方向(図3に示される矢印M方向又は矢印N方向)と垂直方向で、且つ、ドア100の内側(室内側)方向に配設されている。つまり、ロック解除ボタン29は、ドアガード1を使用する使用者の正面に設けられているので、ドアガード1の使用者は、ロック解除ボタン29の操作が非常に容易に行うことができる。
また、アーム部材12の案内部13のヘッド部22bとの係止位置に滑り止め部材を設けるようにしても好ましい。ヘッド部22bと案内部13の間に滑り止め部材を設けることにより、アーム部材12に特別な係止部(例えば、嵌合凹部)を設けなくても、容易にヘッド部22bを係止することができ、フックボルト22を確実に固定することができる。勿論、本実施形態で説明した嵌合凹部13cとヘッド部22bとの当接面に滑り止め部材を設けるようにしてもより好ましい。なお、滑り止め部材としては、案内部13とヘッド部22bとの当接面に摩擦抵抗の大きいゴムを張り付けたり、アーム部材12の案内部13とヘッド部22bとの当接面にシボ加工などを施すことにより実現できる。
また、付勢抑制手段は、第1付勢抑制凹部23a、第2付勢抑制凹部23b、第3付勢抑制凹部23cを備え、ロック解除ボタン29の押下操作に基づく付勢抑制凸部29bが第2付勢抑制凹部23bと係合したときには、フックボルト22のヘッド部22bがアーム部材12と係合してアーム部材12を固定する固定位置となり、第3付勢抑制凹部23cと係合したときには、フックボルト22が案内部13に沿ってスライドが可能になり、アーム部材12の移動を可能にするスライド可能位置の、少なくとも2段階で、フックボルト22を固定することができるようになっている。したがて、1回のロック解除ボタン29の押下操作により、容易にアーム部材12の固定状態を解除することができ、また、ヘッド部22bを押し込むことによる1回の操作でアーム部材12を固定することができる。
また、フックボルト22がアーム部材12の案内部13に沿ってスライドできるものであれば、本実施形態のように回動可能なアーム部材12でなくても良い。例えば、ドア100からドア100の内側方向に垂直に立設した形状のアーム部材としても好ましい。この場合、フックボルト22のヘッド部22bは、ドア100の開放とともにアーム部材の案内部に沿ってスライドするので、アーム部材12は固定されていても構わない。
<サブロック機能>
次に、本発明に係るドアガード1の1つの機能であるサブロック機能について説明する。サブロック機能は、ドアガード1によりドア100の開放を完全に防止する機能である。本発明のドアガード1は、アーム部材12をスライドさせるという操作者による1工程の操作で容易にサブロックを行うことができる。
アーム装置10及びフック装置20が図5(a)の位置にある状態から、アーム部材12を矢印C方向にスライドさせる。アーム部材12は、矢印C方向に力を加えられると、アーム部材12のスライド溝12dが軸ピン17に対してスライドし、フック装置20方向(矢印C方向)にスライドできるようになっている。
アーム部材12を更にスライドさせると、アーム部材12の係合片14(第1係合片14A、第2係合片14B)がフックベース24の係合板24eの位置に達する。そして、アーム部材12の係合片14は、フックベース24の係合板24eに係合しながらスライドし、所定の位置で係合片14に形成されている段形状の当接部14aと係合板24eの端部が当接し、それ以上アーム部材12がフック装置20方向にスライドできないようになっている。この係合片14の当接部14aと係合板24eの端部が当接し、ドア100が開放できない状態をサブロック状態という。
サブロック状態では、係合片14と係合板24eは、略密着した状態で係合しているので、ドア100を開扉しようとすると、係合片14は係合板24eに移動を阻止され、ドア100を開放することができない。したがって、サブロック状態では、ドア100は殆ど開放できない状態になっている。
したがって、ドアノブ(図示省略)に設けられているドア鍵(図示省略)によりドアを施錠しなくても、アーム部材12をフック装置20方向にスライドするという僅か1工程の操作で、容易にドア100の開扉を阻止することができる。また、反対にアーム部材12をフック装置20と反対方向にスライドさせるだけでサブロック状態を容易に解除することができる。
なお、係合片14の当接部14aと係合板24eの間に所定の隙間を設け、その隙間の分だけ、ドア100が開放するようにしても好ましい。このようにすることによって、部屋内の住人は僅かに開扉したドア100の隙間から外の様子を見ることができ、また、開扉状態でドア100を固定することによって部屋内の空気の入れ替え等も可能となる。
また、アーム部材12は、フック装置20方向に突出する一対の係合片14、14を有している。したがって、アーム部材12がスライドし、一対の係合片14、14がフック装置20の係合板24eに係合することにより、大きな力によりドア100が開放される場合でも、ドア100の開放を確実に阻止することができる。
また、一対の係合片14、14は、少なくとも第1係合片14Aと、第2係合片14Bの2つの係合片を備えている。また、第1係合片14Aと第2係合片14Bの間隔が第1係合片14A又は第2係合片14Bを構成している板厚よりも広くなるように構成されている。したがって、1つの係合片でドア100を押さえるよりも、一定間隔離れた2つの係合片により、ドア100を押さえることができ、ドア100の開放を確実に阻止することができる。
また、アーム部材12は、略U字形状に形成され、第1係合片14A及び第2係合片14Bは、U字開口端部に形成されているので、一定間隔離れた2つの係合片により、ドア100を押さえることができ、ドア100の開放を確実に阻止することができる。
なお、本実施形態では、ドア100にアーム装置10を設け、ドアフレーム200にフック装置20を設ける構成としたが、逆でも良いことは言うまでもない。つまり、ドアフレーム200にアーム装置10を設け、ドア100にフック装置20を設ける構造としても良い。このことは、次に説明する第2実施形態でも同様である。
次に、図6〜8を用いて、第2実施形態に係るドアガード2について説明する。ドアガード2は、フックボルト22の代わりに、フックベースに対して回動及びスライド可能に設けられるキャッチを備え、キャッチのスライド位置によって、アーム部材12を固定したり、スライド可能にしたりできるところに特徴がある。なお、アーム装置10については、第1実施形態で説明したアーム装置10と変わらないので、同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。また、第2実施形態でも、サブロック機能を有していることは言うまでもないが、第1実施形態で説明したサブロック機能と同様であるので、説明は省略する。
初めに、図6は第2実施形態に係るドアガード2の概略斜視図である。ドアガード2は、フック装置50は、キャッチ52と、フックベース54を有して構成されている。
フックベース54は、第1実施形態で説明したフックベース24と同様に、底面54a、一対のJ型アーム54b、54b、係合板54eが形成されている。また、底面54aに形成される固定穴54cから挿通されるボルトにより、ドアフレーム200に固定されている。またJ型アーム54bの側面には、案内ピン54Aが設けられている。この案内ピン54Aは、キャッチ52の案内部56と係合しながら、案内部56に沿ってスライドできるようになっている。
キャッチ52は、先端近傍にヘッド部52aが形成されるとともに、両側面に案内部56が形成されている。
案内部56は、キャッチ52の長手方向に誘導溝56cが形成され、誘導溝56cのキャッチ52の先端近傍に固定溝56aと、固定溝56aよりもヘッド部52aから離れている位置にスライド可能溝56bが形成されている(スライド可能溝56b、誘導溝56cについては図7参照)。詳細は後述するが、キャッチ52のヘッド部52aがアーム部材12の案内部13に係合している時に、案内ピン54Aがスライド可能溝56bと係合している場合は、キャッチ52は案内部13に沿ってスライド可能となる。また、キャッチ52のヘッド部52aがアーム部材12の係合凹部13cの位置にある時に、ヘッド部52aを押し込むと案内ピン54Aは、固定溝52aと係合する。この時、ヘッド部52aは、嵌合凹部13cと嵌合し、キャッチ52のスライドが固定されるようになっている。したがって、キャッチ52は、案内ピン54Aを中心に、反時計まわり(同図の矢印J方向)に回動できるようになっているとともに、アーム部材12方向にスライドできるように構成されている。
次に、図7、8を用いて、ドアガード2のドアガード機能について説明する。
まず、図7(a)に示されるように、アーム装置10及びフック装置50は、初期位置にある。ここで言う初期位置とは、アーム装置10のアーム部材12がドア100と略平行になっている状態(ドア100側に倒れている状態)であり、フック装置20のキャッチ52は、ヘッド部52aがアーム装置10と略180°反対向きの位置にある状態を言う。
次に、同図(b)に示されるように、キャッチ52を反時計回り(矢印J方向)に回動させて、ヘッド部52aをアーム装置10方向に向けるとともに、キャッチ52をアーム部材12方向(矢印M方向)にスライドさせて、案内ピン54Aをスライド可能溝56bに係合させる。また、アーム部材12もフック装置20方向(矢印A方向)に回動させる。この時、キャッチ52のヘッド部52aは、案内部13の開口部13aに挿入された状態となっている。
次に、図8(a)に示されるように、ドア100を開放して、ヘッド部52aと誘導溝13bが係合した状態で誘導溝13bに沿ってヘッド部52aをアーム部材12の先端方向にスライドさせる。そして、ヘッド部52aが嵌合凹部13cの位置に来た時に、ヘッド部52aをフックベース54方向(矢印N方向)に押し込む。
すると、キャッチ52のヘッド52aが案内部13の嵌合凹部13cに嵌り込んで、アーム部材12は、キャッチ52に係止されて固定される。第1実施形態と同様に、この状態では、ヘッド部52aは嵌合凹部13cに包囲されるように係合し、振動などで外れ難くなっている。
また、ドア100を閉じたい場合には、キャッチ52を矢印M方向に移動させることによって、ヘッド部52aは、嵌合凹部13cから脱出し、キャッチ52は、誘導溝13bに沿ってスライドできるようになる。
したがって、フックベース54に設けられ、アーム部材12方向に回動及びスライドするキャッチ52を更に備え、キャッチ52は、少なくとも、フックベース54と係合された状態でアーム部材12方向にスライド可能にされるスライド部(例えば、案内部56のスライド可能溝56b)と、アーム部材12方向へのスライドを制限される固定部(例えば、誘導部56の固定溝56a)と、を備えている。したがって、キャッチ52をスライドさせるという1工程の操作のみで、ドア100を固定し、又は固定の解除を行うことができる。
また、本発明は、アーム部材13を、フック装置20方向にスライドさせることで、ドア100の開放を略完全に阻止することができる。したがって、同一のアーム装置10及びフック装置20、50を用いて、ドアガード機能及びサブロック機能の2つの機能を持たせることができる。