JP2010195348A - ハイブリッド車両のクラッチ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源と駆動輪との間に介在されたクラッチのクラッチトルク特性が、低トルク容量側に変動しても、HEVモードにおける発進時の加速レスポンス悪化を防止でき、また、クラッチのクラッチトルク特性が、高トルク側に変動しても、EVモードにおける発進時の締結状態からスリップ状態に移行遅れを防止できるハイブリッド車両のクラッチ制御装置を提供すること。
【解決手段】HEVモードと、EVモードと、を形成可能な駆動機構100に設けられた油圧駆動のクラッチCL2に、電流−油圧特性に基づき電流指令値を与えて締結状態を制御する統合コントローラ14を備え、統合コントローラ14は、HEVモードで用いる電流−油圧特性であるHEVモードマップが、EVモードで用いる電流−油圧特性であるEVモードマップに対して、高く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のクラッチ制御装置とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動源にエンジンとモータとを備え、モータの駆動力のみで走行するEVモードと、エンジンとモータとの駆動力で走行するHEVモードと、を形成可能なハイブリッド車両において、駆動源と駆動輪との間に介在されたクラッチの制御技術に関する。
従来、エンジン、第1クラッチ、モータ、第2クラッチ、駆動輪の順に配置され、第1クラッチを開放してモータの駆動力のみで走行するEVモードと、第1クラッチを締結してエンジンとモータとの駆動力で走行可能なHEVモードと、を形成可能なハイブリッド車両が、例えば、特許文献1などにより知られている。なお、第2クラッチには、自動変速機に用いられる油圧クラッチを適用することが考えられる。
このようなハイブリッド車両では、停車時、第1クラッチを開放したEVモードでは、モータの駆動を停止しており、第2クラッチの入力軸は非回転状態となっているから、第2クラッチは締結したままとしている。一方、第1クラッチを締結させたHEVモードでは、第2クラッチにエンジン回転の入力があることから、第2クラッチは開放している。
このように、EVモードとHEVモードとでは、第2クラッチの状態が異なることから発進時の制御も異なっている。
すなわち、EVモードの場合は、第2クラッチを締結した状態のまま、モータを駆動させ、ある程度の車速が発生した時点から、車速に基づいて第2クラッチをスリップさせてスムーズな発進を可能としている。
一方、HEVモードの場合は、第2クラッチを、開放状態からスリップさせながら締結させ、エンジンおよびモータの駆動力で発進する。
特開2008−44523号公報
しかしながら、油圧クラッチでは、油温やライン圧などが車両状態に応じて変化するため、特性が容易に変動する。また、製造バラツキや劣化に伴う特性変化の影響も生じ得る。このような特性変動が生じると、油圧に依存するクラッチトルク容量(伝達トルク)に誤差が生じるおそれがある。
したがって、上述のようなハイブリッド車両の第2クラッチにおいて、このような制御油圧に対してクラッチトルク容量に変動が生じた場合、以下に述べる問題が生じる。
なお、上述の特性の変動として、クラッチトルク容量が高トルク(高圧)側に変動する場合と、低トルク(低圧)側に変動する場合とがあり得るため、それぞれの変動が生じた場合の問題点を説明する。
クラッチトルク容量が、高トルク(高圧)側に変動した場合、EVモードで発進するときに、第2クラッチを締結状態からスリップ状態に移行させるまでに要する時間が長くなる。この場合、スリップへの移行遅れを原因とするショックが生じるおそれがある。
一方、クラッチトルク容量が、低トルク(低圧)側に変動した場合、HEVモードで発進するときに、第2クラッチを、スリップ状態から締結する際に、締結タイミングが遅れ、発進時の加速レスポンスの悪化を招く。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、駆動源と駆動輪との間に介在されたクラッチのクラッチトルク特性が、低トルク容量側に変動しても、HEVモードにおける発進時の加速レスポンス悪化を防止でき、また、クラッチのクラッチトルク特性が、高トルク側に変動しても、EVモードにおける発進時の締結状態からスリップ状態に移行遅れを防止できるハイブリッド車両のクラッチ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両のクラッチ制御装置では、駆動源と駆動輪との間の駆動力伝達経路中に設けられた油圧駆動のクラッチと、このクラッチに、あらかじめ設定された電流−油圧特性に基づき電流指令値を与えて締結状態を制御するクラッチ制御手段と、を備えたハイブリッド車両のクラッチ制御装置であって、前記クラッチ制御手段は、前記HEVモードで用いる前記電流−油圧特性であるHEVモード特性が、前記EVモードで用いる前記電流−油圧特性であるEVモード特性に対し、高く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のクラッチ制御装置とした。
本発明のハイブリッド車両のクラッチ制御装置にあっては、クラッチの電流−油圧特性を、HEVモードとEVモードとで変えることで、これらのモードに応じて特性を変えないものと比較して、各モードにより適した制御が実現可能となる。
例えば、クラッチトルク特性が指令値に対し低油圧側に変動した場合、HEVモードにおける発進時では、HEVモード特性が高めに設定されているため、開放時の油圧がリターン圧以下になるのを抑制し、開放から締結/半締結側に移行する際のレスポンスが低下するのを抑制し、発進時の加速レスポンスが著しく悪化するのを防止できる。なお、この場合、EVモードでの発進時は、通常、締結状態に保持しており、レスポンスの影響は無い。
また、クラッチが指令値に対し高油圧側に変動した場合、EVモードにおける発進時では、EVモード特性が低めに設定されているため、締結状態からスリップ状態に移行するまでにかかる時間を短縮できる。なお、この場合、HEVモードでの発進時には、開放から締結のタイミングが早くなるものの、加速レスポンスを悪化させることはない。
実施例1のハイブリッド車両のクラッチ制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1のハイブリッド車両のクラッチ制御装置の統合コントローラ14にて実行される処理を示すフローチャートであり、処理の前半部分を示している。 実施例1のハイブリッド車両のクラッチ制御装置の統合コントローラ14にて実行される処理を示すフローチャートであり、処理の後半部分を示している。 実施例1における目標駆動トルクTdを演算するのに用いるマップの一例を示す目標駆動トルク特性図である。 実施例1におけるバッテリー充電量SOCに対する目標充放電量特性(モータトルク)の一例を示す目標充放電量特性図である。 ステップS5の第2クラッチ制御モードCL2MODEを設定する処理の詳細を示すフローチャートである。 (a)は、第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp とTempcl2との関係を示す特性図であり、(b)はエンジン始動配分モータトルクTEng_startと第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp との関係を示す特性図である。 第2クラッチCL2の制御ブロック図であり、特に、ステップS11の回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値の演算処理を詳細に示す制御ブロック図である。 ノミナルマップIN_map(Pcl2)と、HEVモードマップIH_map(Pcl2)と、EVモードマップIE_map(Pcl2)との関係を示すマップ特性図である。 実施例1における最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 から第2クラッチ電流指令値Icl2 を演算するのに用いるマップを示しており、(a)はクラッチトルク容量に対するクラッチ油圧特性図であり、(b)はクラッチ油圧に対する第2クラッチ電流指令値特性図である。 ノミナルマップIN_map(Pcl2)のノミナル電流補正量ΔIN_mapの上下限値である基準特性上限値Ihosei_st_HLMTおよび基準特性下限値Ihosei_st_LLMTを示すノミナルマップ特性図である。 ノミナルマップIN_map(Pcl2)と、HEVモードマップIH_map(Pcl2)と、EVモードマップIE_map(Pcl2)とを、高圧側に補正した例を示すマップ補正説明図である。 実施例1におけるHEVモードマップIH_map(Pcl2)の高圧側への油圧特性変動の最大量であるHEV上限値IH_map_maxと、EVモードマップIE_map(Pcl2)の低圧側への油圧特性変動の最小量であるEV下限値IE_map_minとを説明するマップ補正説明図である。 HEVモードマップIH_map(Pcl2)の最終補正処理とEVモードマップIE_map(Pcl2)の最終補正処理とを説明するマップ補正特性図である。 HEVモードマップIH_map(Pcl2)の最終補正処理とEVモードマップIE_map(Pcl2)の最終補正処理とを説明するマップ補正特性図である。 HEVモードマップIH_map(Pcl2)とEVモードマップIE_map(Pcl2)との補正方法を説明するマップ補正特性図である。 第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が低トルク側(低圧側)に変動した場合の、補正を実施しない比較例におけるHEVモードでの発進時の動作例を示すタイムチャートである。 第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が低トルク側(低圧側)に変動した場合の、実施例1におけるHEVモードでの発進時の動作例を示すタイムチャートである。 第2クラッチCL2のトルク特性が高トルク側(高圧側)に変動した場合の、補正を実施しない比較例におけるEVモードでの発進時の動作例を示すタイムチャートである。 第2クラッチCL2のトルク特性が高トルク側(高圧側)に変動した場合の、実施例1におけるEVモードでの発進時の動作例を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態のハイブリッド車両のクラッチ制御装置は、駆動輪(LT,RT)を駆動させる駆動源としてエンジン(Eng)およびモータ(MG)を備え、前記エンジン(Eng)と前記モータ(MG)との駆動力で走行するHEVモードと、前記モータ(MG)のみの駆動力で走行するEVモードと、を形成可能な駆動機構(100)と、この駆動機構(100)において、前記駆動源と前記駆動輪との間の駆動力伝達経路中に設けられた油圧駆動のクラッチ(CL2)と、このクラッチ(CL2)に、あらかじめ設定された電流−油圧特性に基づき電流指令値を与えて締結状態を制御するクラッチ制御手段(14)と、を備えたハイブリッド車両のクラッチ制御装置であって、前記クラッチ制御手段(14)は、前記HEVモードで用いる前記電流−油圧特性であるHEVモード特性が、前記EVモードで用いる前記電流−油圧特性であるEVモード特性に対し、高く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のクラッチ制御装置である。
図1〜図20に基づき、この発明の最良の実施の形態の実施例1のハイブリッド車両のクラッチ制御装置について説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のハイブリッド車両のクラッチ制御装置が適用されたパラレルハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。以下、図1に基づいて、駆動系および制御系の構成を説明する。
実施例1のパラレルハイブリッド車両の駆動機構100は、図1に示すように、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、ファイナルギヤFGと、左駆動輪LTと、右駆動輪RTと、を備えている。
駆動機構100は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、準電気自動車走行モード(以下、「準EVモード」という。)と、駆動トルクコントロール発進モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。
「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、モータアシスト走行モード・走行発電モード・エンジン走行モードの何れかにより走行するモードである。前記「準EVモード」は、第1クラッチCL1が締結状態であるがエンジンEngをOFFとし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。
「WSCモード」は、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時、または、「EVモード」や「HEVモード」からのDレンジ発進時等において、モータジェネレータMGを回転数制御させることで第2クラッチCL2のスリップ締結状態を維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start Clutch」の略である。
エンジンEngは、希薄燃焼可能であり、スロットルアクチュエータによる吸入空気量とインジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するように制御される。
モータジェネレータMGは、交流同期モータ構造であり、発進時や走行時に駆動トルク制御や回転数制御を行うと共に、制動時や減速時に回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーのバッテリー9への回収を行なうものである。
第1クラッチCL1は、エンジンEngとモータジェネレータMGとの間の位置に介装される。この第1クラッチCL1としては、ダイヤフラムスプリングによる付勢力にて常時締結(ノーマルクローズ)の乾式クラッチが用いられ、エンジンEng〜モータジェネレータMG間の締結/半締結/開放を行なう。この第1クラッチCL1が完全締結状態ならモータトルク+エンジントルクが第2クラッチCL2へと伝達され、開放状態ならモータトルクのみが、第2クラッチCL2へと伝達される。なお、半締結/開放の制御は、油圧アクチュエータ(図示省略)に対するストローク制御により行われる。
第2クラッチCL2は、ノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキであり、クラッチ油圧(押付力)に応じて伝達トルク(クラッチトルク容量)が発生する。この第2クラッチCL2は、自動変速機ATおよびファイナルギヤFGを介し、エンジンEngおよびモータジェネレータMG(第1クラッチCL1が締結されている場合)から出力されたトルクを左右駆動輪LT,RTへと伝達する。
なお、第2クラッチCL2としては、図1に示すように、独立のクラッチをモータジェネレータMGと自動変速機ATの間の位置に設定する以外に、自動変速機ATの各変速段にて締結される摩擦締結要素として用いられるクラッチやブレーキを流用しても良い。また、自動変速機ATと左右駆動輪LT,RTの間の位置に設定しても良い。
自動変速機ATは、有段階の変速段を得る機であり、複数の遊星歯車から構成される。変速機内部のクラッチならびにブレーキをそれぞれ締結/開放し、トルク伝達経路を変えることにより変速する。
実施例1のパラレルハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、第2クラッチ入力回転数センサ6(=モータ回転数センサ)と、第2クラッチ出力回転数センサ7と、インバータ8と、バッテリー9と、アクセルポジションセンサ10と、エンジン回転数センサ11と、クラッチ油温センサ12と、ストロークセンサ13と、統合コントローラ14と、変速機コントローラ15と、クラッチコントローラ16と、エンジンコントローラ17と、モータコントローラ18と、バッテリーコントローラ19と、を備えている。
第2クラッチ入力回転数センサ6は、現在の第2クラッチ入力回転数を検出する。
第2クラッチ出力回転数センサ7は、現在の第2クラッチ出力軸回転数を検出する。
インバータ8は、直流/交流の変換を行ない、モータジェネレータMGの駆動電流を生成する。
バッテリー9は、モータジェネレータMGからの回生エネルギーを、インバータ8を介して蓄積する。
アクセルポジションセンサ10は、運転者の加速意思を検出する。
エンジン回転数センサ11は、現在のエンジン回転数を検出する。
クラッチ油温センサ12は、現在の第2クラッチCL2の油温を検出する。なお、第2クラッチCL2への油圧は、自動変速機ATに設けられた図示を省略したコントロールバルブユニットから供給されるものであり、クラッチ油温センサ12は、自動変速機ATの内部に設けられている。
ストロークセンサ13は、第1クラッチCL1の図示を省略したピストンのストローク量を検出する。
統合コントローラ14は、バッテリー状態、アクセル開度、および車速(変速機出力回転数に同期した値)から目標駆動トルクを演算する。そして、その結果に基づき各アクチュエータ(モータジェネレータMG、エンジンEng、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、自動変速機AT)に対する指令値を演算し、各コントローラ15,16,17,18,19へと送信する。
変速機コントローラ15は、統合コントローラ14からの変速指令を達成するように変速制御を行なう。
クラッチコントローラ16は、第2クラッチ入力回転数センサ6と第2クラッチ出力回転数センサ7とクラッチ油温センサ12からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ14からの第1クラッチ油圧指令値と第2クラッチ油圧指令値に対して、クラッチ油圧(電流)指令値を実現するようにソレノイドバルブの電流を制御する。
エンジンコントローラ17は、エンジン回転数センサ11からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ14からのエンジントルク指令値を達成するようにエンジントルク制御を行なう。
モータコントローラ18は、統合コントローラ14からのモータトルク指令値やモータ回転数指令値を達成するようにモータジェネレータMGの制御を行なう。
バッテリーコントローラ19は、バッテリー9の充電状態(SOC)を管理し、その情報を統合コントローラ14へと送信する。
次に、実施例1の統合コントローラ14において実行される処理の流れを、図2および図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、両図に示す処理内容は、一定のサンプリング周波数で実行されることとする。
ステップS1では、バッテリー充電量SOC、自動変速機ATのシフト位置、第2クラッチCL2の入出力回転数、車速Vspといった車両状態を示すデータを受信し、次のステップS2に進む。
ステップS2では、アクセル開度Apo、第1クラッチCL1のストローク計測値xscl1を読み込み、ステップS3に進む。
ステップS3では、アクセル開度Apo、車速Vspから目標駆動トルクTdを演算し、ステップS4に進む。なお、詳細については省略するが、目標駆動トルクTdは、例えば、図4に示すようなマップに基づいて演算することができる。
ステップS4では、バッテリー充電量SOCや目標駆動トルクTdおよび車速Vspといった車両状態に基づいて、第1クラッチ制御モードフラグfCL1の判断および設定を行ない、ステップS5に進む。第1クラッチ制御モードフラグfCL1とは、第1クラッチCL1を締結するモード(fCL1=1であり、HEVモードおよびWSCモード時に設定される)と、第1クラッチCL1を開放するモード(fCL1=0であり、EVモード時に設定される)を備えている。
なお、ここでは、第1クラッチ制御モードフラグfCL1の設定の詳細な説明は省略するが、例えば、低加速での発進といった比較的エンジンEngの効率が良くない走行シーンでは、EVモード走行とするため、第1クラッチCL1は開放(fCL1=0)する。
また、急加速やバッテリー充電量SOCがあらかじめ設定された充電量設定値SOCth1以下、あるいは車速Vspがあらかじめ設定された車速閾値Vspth1以上となった場合に、EVモード走行は困難なため、HEVモードで走行するために、第1クラッチCL1を締結(fCL1=1)する。
図5に、バッテリー充電量SOCに対する目標充放電量特性(モータトルク)の一例を示す。このように、バッテリー充電量SOCが、基準値よりも低くなれば、目標充放電量が低く設定されて充電され、バッテリー充電量SOCが高くなれば、目標充放電量が高く設定されて放電される。
ステップS5では、バッテリー充電量SOC、目標駆動トルクTd、第1クラッチ制御モードフラグfCL1および車速Vspといった車両状態に基づいて、第2クラッチ制御モードCL2MODEの判断および設定を行ない、ステップS6に進む。なお、第2クラッチ制御モードCL2MODEは、第2クラッチCL2を、締結、開放、スリップのいずれの状態に制御するかを決定するもので、その詳細については後述する。
ステップS6では、各クラッチCL1,CL2の制御モードと車両状態とに基づいて、目標駆動トルクTdのエンジンEngとモータジェネレータMGとの分担を決定しステップS7に進む。すなわち、ステップS6では、エンジンEngの駆動トルク配分量に応じた基本エンジントルク指令値Te_base を決定するとともに、モータジェネレータMGの駆動トルク配分量に応じた基本モータトルク指令値Tm_base を決定する。なお、このトルク配分の方法はさまざま考えられるが、詳細については説明を省略する。
ステップS7では、第2クラッチCL2のスリップ回転数制御(WSC)を実行するか否かの判断を行なう。この場合、ステップS5で設定された第2クラッチ制御モードCL2MODEがスリップのモード(CL2MODE=2)であり、かつ、実際のスリップ回転数(第2クラッチ入力回転数−第2クラッチ出力回転数)の絶対値が、設定値以上となった場合は、スリップ回転数制御をONとしてステップS8へ進む。一方、第2クラッチ制御モードCL2MODEが、開放(CL2MODE=0)または締結(CL2MODE=1)と設定されている場合は、スリップ回転数制御をOFFとしてステップS12へ進む。
ステップS8では、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base を演算し、ステップS9に進む。なお、ここで、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base は、例えば、目標駆動トルクTdと同値とする。
ステップS9では、第1クラッチ制御モードフラグfCL1、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base 、第2クラッチ油温Tempcl2、バッテリー充電量SOCおよび第2クラッチ出力回転数計測値ωから第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を演算し、ステップS10に進む。なお、この演算の詳細な説明については後述する。
ステップS10では、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i と第2クラッチ入力回転数計測値ωcl2iとが一致するように回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONを演算し、ステップS11に進む。なお、この回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONを決定する構成が、モータトルク演算手段に相当する。
この回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONの演算方法は、様々考えられるが、本実施例1では、下記の式(1)に基づいて、PI制御による演算を行なう。この演算は、本実施例1では、タスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
m_FB_ON={(Kpms+Klm)/s}(ωcl2i −ωcl2i)・・・(1)
なお、上記式(1)において、Kpmは、モータ制御用比例ゲイン、Klmは、モータ制御用積分ゲイン、sは、微分演算子である。
ステップS11では、回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONを演算し、ステップS14に進む。この回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONは、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base と回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONと基本エンジントルク指令値Te_base から求めるが、この演算の詳細については後述する。
ステップS12では、前述した回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONならびに回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONを演算するための内部状態変数を初期化し、ステップS13に進む。
ステップS13では、回転数制御を行なわない場合、すなわち、第2クラッチCL2を締結する場合と、開放する場合と、締結状態から回転数制御を行なう(スリップ状態にする)場合のクラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_OFFをそれぞれ演算し、ステップS14に進む。
ここで、クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_OFFは、締結する場合と、開放する場合と、締結状態から回転数制御を行なう場合とは、それぞれ、下記の式(2)(3)(4)(5)に基づいて求める。
(締結する場合)
<Tcl2_z1 <Td×Ksafeの場合>
cl2_FB_OFF=Tcl2_z1 +ΔTcl2LU ・・・(2)
<Tcl2_z1 ≧Td×Ksafeの場合>
cl2_FB_OFF=Td×Ksafe ・・・(3)
(開放する場合)
cl2_FB_OFF=0 ・・・(4)
(第2クラッチを締結→スリップ状態にする場合)
cl2_FB_OFF=Tcl2_Z1 −ΔTcl2slp ・・・(5)
ただし、上記式(2)〜(5)において、Ksafeは、第2クラッチ安全率係数(>1)、ΔTcl2LUは、スリップ(または開放)→締結移行時のトルク容量変化率、ΔTcl2slpは、締結→スリップ移行時トルク容量変化率、Tcl2_Z1 は、最終第2トルク指令値前回値である。
ステップS14では、最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 を決定し、ステップS15に進む。この最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 を決定するのにあたり、スリップ回転数制御中の場合は、下記の式(6)により求め、スリップ回転数制御停止の場合は、下記の式(7)により求める。
cl2 =Tcl2_FB_ON ・・・(6)
cl2 =Tcl2_FB_OFF ・・・(7)
ステップS15では、第1クラッチ制御モードフラグfCL1に基づき第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 を決定し、ステップS16に進む。
なお、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 を決定するのに、第1クラッチ制御モードフラグfCL1が締結モード(=1)になっていて、かつ、第2クラッチスリップ回転数計測値ωcl2slpがスリップ回転数目標値ωcl2slp 以上の場合は、下記の式(8)に基づいて演算する。
cl1 =Tcl1_max ・・・(8)
また、第1クラッチ制御モードフラグfCL1=0(開放)となっている場合は、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 を下記の式(9)に基づいて演算する。
cl1 =0 ・・・(9)
なお、上記式(8)において、ωcl2slp は、エンジン始動時スリップ回転数目標値、Tcl1_maxは、第1クラッチ最大トルク容量、Tcl1_ENG_STは、エンジンクランキングトルクである。
ステップS16では、第1クラッチトルク容量指令値Tcl1 から第1クラッチCL1の締結油圧を制御する圧力制御弁(図示省略)への第1クラッチ電流指令値Icl1 を演算し、ステップS17に進む。
ステップS17では、最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 から、第2クラッチCL2にかかる油圧を制御する圧力制御弁(図示省略)への第2クラッチ電流指令値Icl2 を演算し、ステップS18へ進む。この第2クラッチ電流指令値Icl2 の演算の詳細は、後述する。
ステップS18では、モータトルク指令値Tmを決定し、ステップS19に進む。なお、モータトルク指令値Tmを決定するのにあたり、回転数制御中の場合は、下記の式(10)に基づいて決定し、回転数制御停止の場合は、下記の式(11)に基づいて決定する。
Tm=Tm_FB_ON ・・・(10)
Tm=Tm_base ・・・(11)
ステップS19では、ステップS16,S17,S18で得られた第1クラッチ電流指令値Icl1 、第2クラッチ電流指令値Icl2 、モータトルク指令値Tmを、各コントローラ15,16,17,18,19へ送信する。
以上で、統合コントローラ14における1回のサンプリング周期で実行される処理の流れを終える。
(第2クラッチ制御モードCL2MODEの設定方法の詳細)
次に、ステップS5の第2クラッチ制御モードCL2MODEの設定方法の詳細について説明する。この第2クラッチ制御モードCL2MODEは、バッテリー充電量SOC、目標駆動トルクTd、第1クラッチ制御モードフラグfCL1および車速Vspといった車両状態から設定する。以下、その詳細を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
S51では、第1クラッチ制御モードフラグfCL1を判別し、第1クラッチ制御モードフラグfCL1が、開放モード(エンジン停止)の場合はステップS52に進み、締結モード(エンジン始動)の場合はS55へ進む。
S52では、車速Vspがゼロ(停止)か否かを判定し、停止している場合は、ステップS53に進み、それ以外はステップS54に進む。
S53では、第2クラッチ制御モードCL2MODEを締結モード(CL2MODE=1)として、1回の処理を終える。また、S54では、第2クラッチ制御モードCL2MODEをスリップモード(CL2MODE=2)として、1回の処理を終える。
S55では、車速Vspが、あらかじめ設定した設定値Vth1(例えば、エンジンEngが始動できる最低車速)より高いか否かを判定し、設定値Vth1よりも低い場合はステップS56へ進み、設定値Vth1よりも高い場合はステップS58に進む。
ステップS56では、目標駆動トルクTdの符号を判別し、正値の場合にはステップS54へ、負値の場合にはステップS57へ進む。
ステップS57では、第2クラッチ制御モードCL2MODEを開放モード(CL2MODE=0)として、1回の処理を終える。
ステップS58では、前回の第2クラッチ制御モードCL2MODEが締結モード(CL2MODE=1)か否かを判定し、締結モードの場合はステップS53へ進み、それ以外の場合はステップS59へ進む。
ステップS59では、エンジン回転数計測値ωe、第2クラッチスリップ回転数計測値ωcl2slpが以下のスリップ継続条件を満たすか否か判定し、満たす場合はステップS54に進んで、スリップを開始または継続し、スリップ継続条件を満たさない場合には、ステップS53に進んで、スリップを終了して締結モードへ移行する。ここで、スリップ継続条件を満たす場合とは、ωe≠ωcl2i(すなわち、第1クラッチCL1開放またはスリップ)、または、ωcl2slp>ωcl2slpthが成立する場合である。なお、ωcl2slpthはスリップ回転数閾値である。
(第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i の演算方法)
次に、ステップS9における第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i の演算方法の詳細について説明する。なお、この演算を行なう部分が、クラッチ入力回転数演算手段に相当する。
まず、第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp を演算する。この第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i は、走行モードがEVモード(fCL1=0)の場合は、下記の式(12)に基づいて演算し、エンジン始動中の場合は、下記の式(13)に基づいて演算する。
ωcl2_slp =fcl2_slp_cl1OP(Tcl2_base,Tempcl2) ・・・(12)
ここで、fcl2_slp_cl1OP()は、基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base および第2クラッチ油温Tempcl2を入力とした関数である。具体的には、図7(a)に示すマップに基づいて設定することができる。すなわち、「油温が高い」もしくは、「クラッチ容量指令値が大きい」場合は、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を小さくすることにより、クラッチ油温の上昇を防止できる。
ωcl2_slp =fcl2_slp_cl1OP(Tcl2_base‘Tempcl2)+ffcl2_Δωslp(TEng_start) ・・・(13)
ここで、ffcl2_Δωslp()は、エンジン始動時のための第2クラッチCL2のスリップ回転数増加量を演算する関数であり、エンジン始動配分モータトルクTEng_startを入力とする。具体的には、図7(b)に示すマップに基づいて、エンジン始動配分モータトルクTEng_startが低下した場合には、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を高め(増加量を多く)に設定する。これにより、第1クラッチCL1からの外乱を完全に打ち消すことができず回転数が低下しても、急な締結を防止でき、その結果、加速度変動を生じることなくエンジンを始動できる。
なお、エンジン始動後もスリップ制御を継続する場合、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i は、EV走行中と同様とする(増加分は加算しない)。
次に、下記の式(14)に基づいて、第2クラッチスリップ回転数目標値ωcl2_slp と第2クラッチ出力回転数計測値ωoとから、第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i を演算する。
ωcl2i =ωcl2_slp +ωo ・・・(14)
最後に、上記式(14)から算出した第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i に、上下限制限を施し、最終的な第2クラッチ入力回転数目標値ωcl2i とする。なお、上下限制限値は、エンジン回転数の上下限値とする。
(回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ON の演算方法)
次に、 ステップS11の回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ON の演算方法の詳細について説明する。
図8に、第2クラッチCL2の制御ブロック図を示している。本制御系は、フィードフォワード(F/F)補償とフィードバック(F/B)補償とからなる2自由度制御手法で設計している。F/B補償部については様々な設計方法が考えられるが、今回はその一例としてPI制御の例を示している。以下、その演算方法について説明する。
まず、下記の式(15)に示す位相補償フィルタGFF(s)に基づき基本第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_base に位相補償を施し、F/F第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FFを演算する。実際の演算は、タスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
cl2_FF/Tcl2_base =GFF(s)=(τcl2・s+1)/(τcl2ref・s+1) ・・・(15)
ただし、τcl2は第2クラッチモデル時定数、τcl2refは第2クラッチ制御用規範応答時定数である。
次に、第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tを演算する。ここで、第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tは、EVモード(第1クラッチCL1が開放状態)の場合は、下記の式(16)に基づいて演算し、HEVモード(第1クラッチCL1が締結状態)の場合は、下記の式(17)に基づいて演算する。
cl2_t=Tcl2_base ・・・(16)
cl2_t=Tcl2_base −Te_est ・・・(17)
なお、HEVモードにおける第2クラッチトルク容量目標値Tcl2_tは、全体(エンジンおよびモータ)のトルク容量に対し、モータ分の容量を意味する。
また、Te_estはエンジントルク推定値であり、例えば下記の式(18)に基づき演算する。
e_est=(1/τs+1)e−Les×Te_base ・・・(18)
ただし、τはエンジン一次遅れ時定数、Leはエンジンむだ時間である。
次に、下記の式(19)に基づいて第2クラッチトルク容量規範値Tcl2_refを演算する。
(Tcl2_ref/Tcl2_t)=Gcl2_REF(s)=1/τcl2_ref・s+1 ・・(19)
次に、第2クラッチトルク容量規範値Tcl2_refと、前述した回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONとから、下記の式(20)に基づいてF/B第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FBを演算する。
cl2_FB={(KPcl2s+KIccl2)/s}×(Tcl2_ref−Tm_FB_ON) ・・・(20)
ただし、KPcl2は第2クラッチ制御用比例ゲイン、KIccl2は2クラッチ制御用積分ゲインである。
さらに、下記式(21)のように入力回転数変化によって生じるトルク(イナーシャトルク)を考慮することにより、入力回転数が変化している場合にも精度よくトルク容量を制御できる。
cl2_FB={(KPcl2s+KIccl2)/s}×(Tcl2_ref−Tm_FB_ON−TIcl2_est) ・・・(21)
なお、TIcl2_estはイナーシャトルク推定値であり、例えば、入力回転数変化量(微分値)に入力軸周りの慣性モーメントを乗算して求める。
そして、F/F第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FFとF/B第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FBとを加算し、最終的な回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONを演算する。
(第2クラッチ電流指令値Icl2 の演算方法)
次に、ステップS17における処理である第2クラッチ電流指令値Icl2 の演算方法の詳細を説明する。
第2クラッチ電流指令値Icl2 の演算においては、最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 に応じた圧力制御弁(図示省略)の目標油圧Pcl2に対応して第2クラッチ電流指令値Icl2 を演算するマップを用いる。
本実施例1では、このマップとして、HEVモード走行時に使用するHEVモードマップ(HEVモード特性)IH_map(Pcl2)と、EVモード走行時に使用するEVモードマップ(EVモード特性)IE_map(Pcl2)とを備えている。
すなわち、両モードマップIH_map(Pcl2)、IE_map(Pcl2)は、図9に示すように、目標油圧Pcl2に第2クラッチ電流指令値Icl2 が正比例した特性であり、HEVモードマップIH_map(Pcl2)はEVモードマップIE_map(Pcl2)よりも、高く設定されている。
そして、両モードマップIH_map、IE_mapの中間に、ノミナルマップ(基本特性)IN_map(Pcl2)が設定されており、両モードマップIH_map、IE_mapは、このノミナルマップIN_map(Pcl2)に基づいて設定される。
本実施例1の最も特徴とするところは、第2クラッチCL2が、油温やライン圧といった車両状態、製造バラツキ、劣化などにより特性が変動した場合に、変動に応じて両モードマップIH_map(Pcl2)、IE_map(Pcl2)を補正(学習)することにある。
この補正は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正に基づいて行なうもので、まず、ノミナルマップIN_mapの補正について説明する。
基本的には、ノミナルマップIN_map(Pcl2)は、フィードバック制御を用いて補正(学習)する。そして、HEVモード、EVモード毎に異なるHEV補正量 ΔIH_mapおよびEV補正量ΔIE_mapを算出し、ノミナルマップIN_map(Pcl2)に各補正量 ΔIH_map,ΔIE_mapを加え、最終的なマップとする。図示のように、各補正量 ΔIH_map,ΔIE_mapは、HEVモードの場合は、実油圧が高めに、またEVモードの場合には、実油圧が低めになるように設定する。
(ノミナルマップ補正)
次に、ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正(学習)方法について詳細に説明する。このノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正は、「モータトルクの制御性能(精度)は高い」、「第2クラッチ入力回転数が略一定であれば、第2クラッチCL2がスリップ中は第2クラッチトルク容量(=油圧)とモータトルクとは等しい」という特徴を利用して行なう。
このノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正は、回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONと回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONとに基づいて行なう。
具体的には、ステップS10で算出した回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONと、ステップS11で算出した回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONと、入力回転角加速度計測値&cl2iを用いて、下記の式(22)に基づいて、まず、ノミナル補正量基本値ΔTbase を演算する。
ΔTbase =Tcl2 −Tm_FB_ON−Jcl2cl2i・・・(22)
ただし、Jcl2は、第2クラッチ入力(モータジェネレータMG)の慣性モーメントである。
なお、入力回転角加速度計測値&cl2iの演算方法についての詳細な説明は省略するが、例えば、ハイパスフィルタを用いた近似微分を用いて算出する。
次に、ノミナル補正量基本値ΔTbase に、ノイズを除去するローパスフィルタ処理を施し、最終的なトルク補正量ΔTとする。
そして、トルク補正量ΔTに相当する油圧特性変動ΔPN_mapを、図10(a)を線形近似した特性により算出した後、同じく図10(b)を線形近似して得られた特性を用いてノミナル電流補正量ΔIN_mapを算出する。
なお、図10は、トルク補正量ΔTから第2クラッチ電流指令値Icl2 の補正電流指令値するのに用いるマップを示しており、(a)はクラッチトルク容量に対するクラッチ油圧特性図であり、(b)はクラッチ油圧に対する第2クラッチ電流指令値特性図である。
本実施例1では、図11に示すように、ノミナルマップIN_map(Pcl2)のノミナル電流補正量ΔIN_mapには、あらかじめ基準特性上限値Ihosei_st_HLMTおよび基準特性下限値Ihosei_st_LLMTが設定されており、ノミナル電流補正量ΔIN_mapは、両値の範囲内の値に設定される。
なお、これらの基準特性上限値Ihosei_st_HLMTおよび基準特性下限値Ihosei_st_LLMTは、例えば、製造バラツキ、摩耗、劣化などのように、定常的に生じる油圧特性変動の範囲内の値に設定されている。
最後に、下記の式(23)に示すように、ノミナルマップIN_map(Pcl2)の各点毎の値IN_map(Pcl2)に加算することで補正(学習)する。
N_map(Pcl2)=IN_mapz1(Pcl2)+ΔIN_map ・・・(23)
なお、式(23)において、IN_map(Pcl2)はノミナルマップ今回値、IN_mapz1(Pcl2)は、ノミナルマップ前回値である。
この補正の様子を示すのが、図12であり、実線で示すノミナルマップIN_map(Pcl2)の各点に対し、ノミナル電流補正量ΔIN_mapを加算し、ノミナルマップIN_map(Pcl2)は、同時の二点鎖線で示すように補正される。
なお、上記の補正の仕方に代えて、図10(a)、図10(b)をそのまま利用し、各点毎のノミナル電流補正量ΔIN_mapを算出し、補正してもよい。
<両モードマップIH_map(Pcl2)、IE_map(Pcl2)の補正>
次に、HEVモードマップIH_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)の補正(学習)方法について説明する。
この補正では、下記の式(24)(25)に示すように、ノミナル電流補正量ΔIN_mapに、それぞれHEVマップ補正ゲインKおよびEVマップ補正ゲインKを掛けて、HEVモードマップIH_map(Pcl2)とEVモードマップIE_map(Pcl2)とに加算する(図16参照)。
H_map(Pcl2)=IH_map_z1(Pcl2)+KΔIN_map ・・・(24)
E_map(Pcl2)=IE_map_z1(Pcl2)+KΔIN_map ・・・(25)
なお、KはHEVマップ補正ゲイン、KはEVマップ補正ゲイン、IH_mapはHEVマップ今回値、IE_mapはEVマップ今回値である。
ただし、高圧側に補正する場合、HEVマップ補正ゲインK、EVマップ補正ゲインKは、下記の式(26)を満足する値とし、HEVモードマップIH_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)と同等に補正し、EVモードマップIE_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)よりも小さめに補正する。
1.0=K≧K ・・・(26)
また、低圧側に補正する場合、HEVマップ補正ゲインK、EVマップ補正ゲインKは、下記の式(27)を満足する値とし、EVモードマップIE_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)と同等に補正し、HEVモードマップIH_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)よりも小さめに補正する。
1.0=K≧K ・・・(27)
これにより、EVモードマップIE_map(Pcl2)は高圧側への補正を抑制し、HEVモードマップIH_map(Pcl2)は低圧側への補正を抑制される。このため、仮に補正が誤った方向に行なわれた場合でも、EVモードマップIE_map(Pcl2)での高圧側への変動、ならびにHEVモードマップIH_map(Pcl2)での低圧側の変動を防止できる。
(上限値下限値の設定)
本実施例1では、HEVモードマップIH_map(Pcl2)の上限値であるHEV上限値IH_map_max、EVモードマップIE_map(Pcl2)の下限値であるEV下限値IE_map_minを設定する。
HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)から油圧特性の変動が最大のときの幅を確保すればよく、最大変動を超えて、ノミナルマップIN_map(Pcl2)との幅を拡大する必要はない。
そこで、HEV上限値IH_map_max(図13参照)は、高圧側への油圧特性変動の最大量であって、下記の式(28)を満足する値とする。
H_map_max(Pcl2)≧IH_map(Pcl2) ・・・(28)
一方、補正量を加算したEV下限値IE_map_min(図13参照)は、低圧側への油圧特性変動の最小量であって、下記の式(29)を満足する値とする。
E_map_min(Pcl2)≦IE_map(Pcl2) ・・・(29)
以上説明した方法が、基本的なHEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)の生成方法である。
次に、HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)の補正の制限について説明する。
上述のように、HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)は、定常的な変動と過渡的な変動(車両状態、油温など)を併せた最大幅を考慮することになる。
このため、ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正が十分に行なわれ、定常的な変動分はノミナルマップIN_map(Pcl2)で補正されていると、HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)は、余分な変動分までを考慮することになる。
そこで、ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正回数(もしくは補正量の変動量)に応じて、HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)を、ノミナルマップIN_map(Pcl2)に近づける。
以下、その詳細について説明する。
まず、ノミナルマップIN_map(Pcl2)において、どの程度補正が行なわれているかを判定する。実際には、以下の条件を満たした場合には、補正が完了したとし、ノミナルマップ補正完了フラグfNomをセットする(fNom=1)。
ここで、補正完了条件は、補正回数が、あらかじめ設定された設定回数以上となり、かつ、補正量の差分(ΔIN_map−ΔIN_map_z1)が、あらかじめ設定された設定値以下となった場合としている。
次に、ノミナルマップ補正完了フラグfNomがセット(=1)された場合の処理(最終補正処理)を説明する。
この場合、以下の手順でHEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)をノミナルに近づける。
<HEVモードマップIH_map(Pcl2)の最終補正処理>
HEVモードマップIH_map(Pcl2)の最終補正は、以下のA)、B)の条件に応じて行なう。
A)IH_map(Pcl2)−ΔD≧IN_map(Pcl2)+Ihosei_ex_HLMT(Pcl2)の場合には、上記式(24)もしくは式(28)で算出したHEVモードマップIH_map(Pcl2)から設定値ΔDだけ、差し引いた値を、最終的なマップの値とする(図14参照)。
B)IH_map(Pcl2)−ΔD<IN_map(Pcl2)+Ihosei_ex_HLMT(Pcl2)の場合には、補正後のノミナルマップIN_map(Pcl2)に過渡的な油圧変動の基準特性上限値Ihosei_ex_HLMT(Pcl2)を加えた値を最終的なHEVモードマップIH_map(Pcl2)の値とする。(図15参照)
<EVモードマップIE_map(Pcl2)の最終補正処理>
EVモードマップIE_map(Pcl2)の最終補正は、以下のC)D)の条件に応じて行なう。
C)IE_map(Pcl2)−ΔD≦IN_map(Pcl2)+Ihosei_ex_LLMT(Pcl2)の場合、上記式(25)もしくは式(29)で算出したEVモードマップIE_map(Pcl2)から、設定値ΔDだけ加えた値を最終的なマップの値とする(図14参照)。
D)IE_map(Pcl2)−ΔD<IN_map(Pcl2)−Ihosei_ex_LLMT(Pcl2)の場合には、補正後のノミナルマップIN_map(Pcl2)に過渡的な油圧変動の基準特性下限値Ihosei_ex_LLMT(Pcl2)を差し引いた値を最終的なEVモードマップIE_map(Pcl2)の値とする(図15参照)。
ここで、ΔD、ΔDは(図14参照)、HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)の1演算毎に近づける割合であり任意の値とするが、充分に小さい値とすることでHEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)の急な補正を防止する。
以上、HEVモードマップIH_map(Pcl2)、EVモードマップIE_map(Pcl2)の補正方法について説明したが、HEVモードマップIH_map(Pcl2)は、全体的に油圧を高圧に補正しているため、高圧に補正しすぎた場合、例えば、電流指令値が下限制限(油圧指令値=0)されると、第2クラッチCL2の容量過多により、加速度が過大になる可能性がある。そこで、図8に示す第2クラッチCL2のF/B制御時において、電流指令値が下限制限された場合には、HEVモードマップIH_map(Pcl2)の値を徐々に低圧側に補正する。これにより、第2クラッチ電流指令値Icl2 は徐々に低下するため、それに伴い油圧も低下し、過大な加速も防止できる。
次に、実施例1の作用を説明する。
この作用を説明するのにあたり、HEVモード発進時と、EVモード発進時において、補正を実行した場合と、補正を実行しない比較例との作動例をタイムチャートに基づいて説明する。
(HEVモード発進時)
図17は第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が低トルク側(低圧側)に変動した場合の、HEVモードでの発進時の動作例を示している。
この図に示すように、クラッチトルク特性が低トルク側に変動した場合、目標油圧Pcl2の指令値(第2クラッチ電流指令値Icl2 )に対し、実値の立ち上がりが遅くなり、駆動トルクTdも指令値(目標駆動トルクTd)に対する実値の立ち上がりも遅れる。
したがって、第2クラッチCL2の締結タイミングが遅れ、発進時の加速レスポンスの悪化を招く。
このように、第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が低トルク側(低圧側)に変動した場合、本実施例1では、まず、ノミナルマップIN_map(Pcl2)が、図12に示すように高圧側に補正される。さらに、このノミナルマップIN_map(Pcl2)を基準として、HEVモードマップIH_map(Pcl2)ならびにEVモードマップIE_map(Pcl2)が高圧側に補正される。
したがって、図18に示すように、目標油圧Pcl2の指令値が、高圧側に補正され、この結果、実値が、図17の比較例と比べて、高圧となり、駆動トルクTdも、指令値に対する実値の立ち上がりが改善される。
この結果、HEVモードでの発進加速応答性が改善された。
(EVモード発進時)
図19は第2クラッチCL2のトルク特性が高トルク側(高圧側)に変動した場合の、EVモードでの発進時の動作例を示している。
EVモードで発進する場合は、第2クラッチCL2を締結状態からスリップ状態へ移行させる。この場合に、第2クラッチCL2のトルク特性が高圧側に変動した場合、この図に示すように、目標油圧Pcl2の指令値(第2クラッチ電流指令値Icl2 )に対し、実値が高圧になり、スリップ状態への移行タイミングが、本来t1の時点で成されるように制御しているのに対し、t2の時点に遅れる。
この結果、スリップ状態へ移行する前にエンジンEngが駆動されると、ショックが発生する。
このように、第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が高トルク側(高圧側)に変動した場合、本実施例1では、まず、ノミナルマップIN_map(Pcl2)が、図12とは逆に低圧側に補正される。さらに、このノミナルマップIN_map(Pcl2)を基準として、HEVモードマップIH_map(Pcl2)ならびにEVモードマップIE_map(Pcl2)が低圧側に補正される。
したがって、図20に示すように、目標油圧Pcl2の指令値が、低圧側に補正され、この結果、目標油圧Pcl2の実値が、図19の例と比べて、低圧となり、駆動トルクTdも指令値に対し、実値が略一致する。
この結果、第2クラッチCL2の締結状態からスリップ状態に移行するタイミングが適正になり、エンジンEngが始動されてもショックが生じないかあるいは小さくなる。
以上説明した本実施例1では、以下に列挙する効果が得られる
a)HEVモードで使用するHEVモードマップIH_map(Pcl2)と、EVモードで使用するEVモードマップIE_map(Pcl2)とを設定した。
このように、HEVモードとEVモードとで、第2クラッチCL2のクラッチトルク特性を変えることで、走行モードに適した特性を実現できる。
したがって、第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が低油圧側に変動しても、HEVモードでの発進時に、開放時の油圧がリターン圧以下になるのを抑制し、発進時の加速レスポンスが著しく悪化するのを防止できる。
また、第2クラッチCL2のクラッチトルク特性が高油圧側に変動した場合でも、EVモードでの発進時に、締結状態からスリップ状態に移行するまでに要する時間を短縮し、ショックの発生を抑制できる。
b)HEVモードマップIH_map(Pcl2)とEVモードマップIE_map(Pcl2)との中間にノミナルマップIN_map(Pcl2)を設定した。そして、このノミナルマップIN_map(Pcl2)を、EVモード時のスリップ中に、回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONと、この回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONに基づいて求めた回転数制御用第2クラッチトルク容量指令値Tcl2_FB_ONと、入力回転角加速度計測値&cl2iとに基づいて、補正を行なうようにした。
すなわち、EVモードでは、エンジンEngによる外乱が無く、「モータトルクの制御性能(精度)は高い」「入力回転数が略一定であれば、第2クラッチCL2がスリップ中は、クラッチトルク容量(油圧)と、モータトルクとは等しい」ということが言え、これに基づいて、ノミナル補正量基本値ΔTbase を演算するようにした。
この好条件であるEV走行時の回転数制御用モータトルク指令値Tm_FB_ONに基づいて、補正を行なうようにしたため、より精度良く補正できる。そして、この補正の結果、油圧制御精度が向上し、HEVモードでの加速応答遅れやEVモード発進からのエンジン始動性能を改善できる。
c)ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正に伴い補正されるHEVモードマップIH_map(Pcl2)が高圧側への油圧特性変動の最大値であるHEV上限値IH_map_maxに達する場合は、HEVモードマップIH_map(Pcl2)はHEV上限値IH_map_maxに維持しつつ、ノミナルマップIN_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)を補正する。
また、EVモードマップIE_map(Pcl2)を補正した際に、EVモードマップIE_map(Pcl2)が低圧側への油圧特性変動の最小値であるEV下限値IE_map_minに達する場合は、EVモードマップIE_map(Pcl2)をEV下限値IE_map_minに維持しつつ、ノミナルマップIN_map(Pcl2)およびHEVモードマップIH_map(Pcl2)を補正するようにした。
このように、HEVモードマップIH_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)を、油圧特性が変動し得る範囲内に限定して補正することで、油圧精度悪化を防止できる。
これにより、HEVモードでの加速応答遅れやEVモード発進からのエンジン始動性能、ショックを改善できる。
d)ノミナルマップIN_map(Pcl2)は、予め求めた定常油圧特性の変動幅に基づき基準特性上下限値Ihosei_st_HLMT、Ihosei_st_LLMTを設定するようにした。
ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正を、定常の油圧特性が変動し得る範囲に限定することにより、それ以外の(車両状態や油温といった過渡的な)変動分の補正を除去することができる。
これにより、ノミナルマップIN_map(Pcl2)が、定常の最大変動幅を超えて一時的に生じた過渡的な変動分も補正してしまい、その後過渡的な変動分が変化することにより、リターン圧以下への低下、ならびに高圧側への変動によるスリップ制御への移行時間の長期化を防止できる。
e)HEVモードマップIH_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)を、高圧側に補正する際には、HEVマップ補正ゲインKをEVマップ補正ゲインKよりも大きな値として、HEVモードマップIH_map(Pcl2)の補正量が、EVモードマップIE_map(Pcl2)の補正量よりも大きくなるようにした。
したがって、仮に補正が誤った方向に行なわれた場合でも、HEVモードでの油圧低下を抑制できる。
f)HEVモードマップIH_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)を、低圧側に補正する際は、EVマップ補正ゲインKをHEVマップ補正ゲインKよりも大きな値として、EVモードマップIE_map(Pcl2)よりもHEVモードマップIH_map(Pcl2)の補正量を小さくした。
したがって、仮に補正が誤った方向に行なわれた場合でも、EVモードでの高圧側への変動を抑えることができる。
g)ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正に伴い補正されるHEVモードマップIH_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)の補正量は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)の補正回数が多くなるほど、小さくした。
具体的には、HEVモードマップIH_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)に過渡的な油圧変動の基準特性上限値Ihosei_ex_HLMT(Pcl2)を加えた値に向けて、設定値ΔDを差し引いていく。
具体的には、EVモードマップIE_map(Pcl2)は、ノミナルマップIN_map(Pcl2)から過渡的な油圧変動の基準特性下限値Ihosei_ex_LLMT(Pcl2)を差し引いた値に向けて、所定値ΔDを加算していく。
ノミナルマップIN_map(Pcl2)が充分に補正された場合、ノミナル値は定常な油圧特性変動分を考慮した値となるため、HEVモードマップIH_map(Pcl2)およびEVモードマップIE_map(Pcl2)の補正量については、定常的な変動分は考慮する必要がなくなる。
したがって、両補正量から定常な油圧特性変動分を無効にすることで、より精度良く油圧を制御できる。これにより、第2クラッチCL2に差回転が生じてモータトルク指令値Tmを用いた最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 の補正(F/B制御)の開始直後から所望の加速度を実現できる。
h)図8に示すF/B制御系では、制御の結果、最終第2クラッチトルク容量指令値Tcl2 が0となる場合には、HEVモードマップIH_map(Pcl2)を低圧側に補正するようにした。
したがって、HEVモードにおいて、実際の油圧−電流特性が高圧側に変動した際、第2クラッチ電流指令値Icl2 が下限に制限されたことにより油圧の補正が行なえない(下げられない)ことを防止できる。したがって、HEVモードでの走行時に、油圧増加に伴い加速過多になることを防止できる。
以上、本発明のハイブリッド車両のクラッチ制御装置を、実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、FRハイブリッド車両を示したが、前輪駆動や四輪駆動タイプのハイブリッド車両へ適用することもできる。
実施例1では、第1クラッチの切換によりHEVモードとEVモードとを選択的に切り換えることが可能な駆動機構を示したが、HEVモードとEVモードとを選択的に切換可能であれば、第1クラッチを用いない駆動機構を適用してもよい。例えば、遊星歯車機構を用いてもよい。
また、実施例1,2では、モータとして、回生が可能なモータジェネレータMGを示したが、これに限定されるものではなく、力行のみが可能なモータを用いてもよい。
14 統合コントローラ(クラッチ制御手段)
100 駆動機構
CL2 第2クラッチ
Eng エンジン
E_map(Pcl2) EVモードマップ(EVモード特性)
E_map_min EV下限値
H_map(Pcl2) HEVモードマップ(HEVモード特性)
H_map_max HEV上限値
hosei_st_HLMT 基準特性上限値
hosei_st_LLMT 基準特性下限値
N_map(Pcl2) ノミナルマップ(基本特性)
LT 左駆動輪
RT 右駆動輪
MG モータジェネレータ(モータ)
ωcl2i 第2クラッチ入力回転数目標値

Claims (8)

  1. 駆動輪を駆動させる駆動源としてエンジンおよびモータを備え、前記エンジンと前記モータとの駆動力で走行するHEVモードと、前記モータのみの駆動力で走行するEVモードと、を形成可能な駆動機構と、
    この駆動機構において、前記駆動源と前記駆動輪との間の駆動力伝達経路中に設けられた油圧駆動のクラッチと、
    このクラッチに、あらかじめ設定された電流−油圧特性に基づき電流指令値を与えて締結状態を制御するクラッチ制御手段と、
    を備えたハイブリッド車両のクラッチ制御装置であって、
    前記クラッチ制御手段は、前記HEVモードで用いる前記電流−油圧特性であるHEVモード特性が、前記EVモードで用いる前記電流−油圧特性であるEVモード特性に対して、高く設定されていることを特徴とするハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  2. 前記クラッチの入力回転数を演算するクラッチ入力回転数演算手段と、
    前記モータのトルクを演算するモータトルク演算手段と、
    前記クラッチのスリップ状態を判定するスリップ判定手段と、
    を備え、
    前記クラッチ制御手段は、前記HEVモード特性と前記EV特性との中間に、あらかじめ設定された基準特性が設定され、前記EVモード時に、クラッチ入力回転数とモータトルクとスリップ状態とに基づいて、前記基準特性を補正し、かつ、前記基準特性に基づいて、前記HEVモード特性および前記EVモード特性を補正する補正手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記基準特性の補正に伴い、補正された前記HEVモード特性があらかじめ設定された変動範囲内の上限値であるHEV上限値に達する場合は、前記HEVモード特性を前記上限値に維持しつつ、前記基準特性および前記EVモード特性を補正し、補正された前記EVモード特性があらかじめ設定された変動範囲内の下限値であるEV下限値に達する場合は、前記EVモード特性を前記下限値に維持しつつ、前記基準特性および前記HEVモード特性を補正することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記基準特性に、あらかじめ求めた定常油圧特性の変動幅に基いて設定された基準特性上限値および基準特性下限値を有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記基準特性を高圧側に補正する際には、
    前記HEVモード特性の補正量に対して前記EVモード特性の補正量を小さくすることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記基準特性を、低圧側に補正する際は、前記EVモード特性の補正量に対して前記HEVモード特性の補正量を小さくすることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  7. 前記補正手段は、前記基準特性の補正に伴い補正される前記HEVモード特性および前記EVモード特性の補正量を、前記基準特性の補正回数が多くなるほど、小さくすることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
  8. 前記補正手段は、前記第2クラッチのスリップ中に、クラッチトルク容量指令値が、モータトルク指令値と一致するように、前記クラッチトルク容量指令値を補正し、この補正結果で、前記クラッチトルク容量指令値が0となる場合には、前記HEVモード特性を低圧側に補正することを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
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