JP2010194958A - 金型の加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、樹脂の加熱成型に使用される金型の温度を均一にする加熱装置を提供することにある。
【解決手段】加熱装置10は、円筒状金型12を加熱する複数の誘導加熱装置14a,14b,14c、樹脂の温度を計測する温度計16a,16b,16c、および誘導加熱装置14a,14b,14cに流れる交流電流を制御する電源回路20を備える。電源回路20によって各誘導加熱装置14a,14b,14cの電流を制御し、円筒状金型12の温度を均一にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂の加熱成型に使用される金型に対する加熱装置に関するものである。
従来、電子写真複写機、プリンタなどの画像形成装置に搬送ベルトや転写ベルトなどの機能性ベルトが使用されている。機能性ベルトは、接合部の無いシームレスベルトである。
シームレスベルトは、円筒状金型の内面に樹脂溶液を塗布し、円筒状金型を回転させながら、加熱、成型、焼成させて製造する。円筒状金型の加熱方法としては、(1)円筒状金型をチャンバー内に配置し、(2)チャンバー内に熱風を送り込み、(3)チャンバー内を熱風循環させることで円筒状金型を段階的に加熱している。シームレスベルトの架橋時の温度分布のバラツキが少なくなり、シームレスベルトの物性が均質化する。
しかし、熱風循環による加熱は、鋼製である円筒状金型を所定の温度まで加熱させる時間が長くなり、エネルギー効率が悪い。近年の環境問題や製造効率を考慮すると好ましくない。
そこで、下記の特許文献に開示されるように、コイルによって円筒状金型を誘導加熱し、円筒状金型の加熱時間の短縮化が図られている。図5(a)、(b)に示すように、円筒状金型12の周囲に、円筒状金型12の中心軸と平行にコイル14が配置される。コイル14で発生した磁界の変化によって、円筒状金型12に渦電流を発生させ、渦電流損によって円筒状金型12が加熱される。
図5(c)に、煙霧によって調べた円筒状金型12の中の空気の流れを点線で示す。空気の流れとしては、(1)円筒状金型12を加熱すると内部の空気に熱が輻射され、空気が暖められる。(2)高温の空気は上昇気流によって、円筒状金型12の端部の上方から円筒状金型12の外部に出る。(3)空気が出たことによって、円筒状金型12の端部の下方Xから円筒状金型12の内部に冷えた空気が流入する。
上記(1)〜(3)の空気の流れによって、円筒状金型12の端部は常に冷えた空気に接する。円筒状金型12の中心部の温度に比べて端部の温度が低くなる。円筒状金型12の温度分布が均一にならないため、円筒状金型12の内部に塗布された樹脂温度も均一にならない。製造されるシームレスベルトの物性が均質化されない欠点がある。
なお、コイル14の両端にフェライトコアを配置して、円筒状金型12の端部への磁界を増加させることが考えられる。しかし、温度の微調整のためにフェライトコアの透磁率、大きさ、位置などを常に微調整する必要が生じ、実用的ではない。
特開2008−200939号公報 特開2008−173855号公報 特開2007−130870号公報 特許4014153号公報
本発明の目的は、樹脂の加熱成型に使用される金型の温度を均一にする加熱装置を提供することにある。
本発明の加熱装置は、長手方向の端部を開放した円筒状金型を回転させながら加熱する。加熱装置は、円筒状金型の周囲に配置された複数の誘導加熱装置と、円筒状金型または円筒状金型の内面に塗布された樹脂の温度を非接触で計測する温度計と、温度計が測定した温度から、円筒状金型の全体の温度が均一化されるように、それぞれの誘導加熱装置に交流電流を供給する電源回路とを備える。
前記電源回路によって誘導加熱装置ごとに出力が調節される。誘導加熱装置ごとに出力を調節し、円筒状金型の各所の温度が均一になるように調節する。
誘導加熱装置によって円筒状金型が加熱される。温度計で円筒状金型または樹脂の温度を測定し、その温度の値に基づいて電源回路が誘導加熱装置に流れる電流の周波数を変更する。
複数の誘導加熱装置は、円筒状金型の長手方向に延びた第1誘導加熱装置と、円筒状金型の長手方向の端部に配置された第2誘導加熱装置とを備える。第1誘導加熱装置で円筒状金型の全体を加熱し、第2誘導加熱装置で円筒状金型の端部を加熱する。
温度計は、誘導加熱装置から磁界が照射される円筒状金型の位置またはその位置にある樹脂の温度を測定する。誘導加熱装置で直接加熱される位置にある円筒状金型の温度を測定する。
電源回路は、誘導加熱装置に交流電流を供給するインバータ回路と、誘導加熱装置とで共振器を形成する共振コンデンサと、温度計で測定された温度に応じてインバータ回路のスイッチング周波数を制御する制御回路とを備える。インバータ回路のオン・オフを制御することによって、共振器のインピーダンスを制御し、誘導加熱装置に流れる電流を変化させる。
円筒状金型の長手方向が水平方向を向いており、円筒状金型の側方から下方に誘導加熱装置が配置される。熱せられた空気の経路を避けて誘導加熱装置を配置する。
本発明は、複数の誘導加熱装置によって円筒状金型の各所の温度を制御し、円筒状金型全体の温度を均一にすることができる。円筒状金型で成型されるシームレスベルトを均質なものにできる。
加熱装置の構成を示す図であり、(a)が側面図であり、(b)が(a)のA−A線断面図である。 加熱装置の電源回路の構成を示す図である。 本発明と従来の円筒状金型の温度を比較した図である。 加熱装置の他の構成を示す図であり、(a)は第1電磁誘導コイルを短くした図であり、(b)は電磁誘導コイルを螺旋状に並べた図である。 従来の加熱装置の構成を示す図であり、(a)が側面図であり、(b)が(a)のB−B線断面図であり、(c)が空気の流れを示す図である。
本発明の金型の加熱装置について図面を使用して説明する。
図1(a)に示す加熱装置10で加熱される金型は円筒状金型12である(図1(b))。円筒状金型12の内面で樹脂を成型してシームレスベルトが形成される。円筒状金型12は、S45Cなどの鋼で構成されるのが好ましいが、誘導加熱が可能であれば他の材料であっても良い。円筒状金型12の外面はハードクロムメッキ加工を施し、円筒状金型12の外面が錆びることや摩耗することを防止する。内面はハードクロムメッキ加工後鏡面仕上げを施す。内面でシームレスベルトが成型されるためである。さらに内面には、成型されたシームレスベルトが取り出せるように離型処理を施しておく。本発明で製造されるシームレスベルトの材料樹脂としては、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。
円筒状金型12で成型をおこなうため、円筒状金型12の中心軸(長手方向)は水平方向を向いている。円筒状金型12を回転させるために、円筒状金型12の外面に接するローラ13を設ける。なお、図1(b)ではローラ13を示しているが、図1(a)では省略している。ローラ13が回転し、ローラ13と円筒状金型12の摩擦によって円筒状金型12が回転する。円筒状金型12の端部から内部に樹脂溶液を塗布するためのノズル(図示せず)などを有する。
加熱装置10は、円筒状金型12を加熱する複数の誘導加熱装置14a,14b,14c、樹脂の温度を計測する温度計16a,16b,16c、および誘導加熱装置14a,14b,14cに流れる交流電流を制御する電源回路を備える。電源回路については図2に示す。
誘導加熱装置14a,14b,14cは磁界を発生する電磁誘導コイルである。以下、誘導加熱装置14a,14b,14cは電磁誘導コイルとして説明する。電磁誘導コイル14a,14b,14cで発生した磁界によって円筒状金型12に渦電流を生じさせ、渦電流損失によって加熱する。
図1において、電磁誘導コイル14a,14b,14cは、第1電磁誘導コイル14aと第2電磁誘導コイル14b,14cの2種類である。各電磁誘導コイル14a,14b,14cは、リッツ線によって形成される。各電磁誘導コイル14a,14b,14cはコイルの開口面が平面となっており、その平面が円筒状金型12と対向するようにする。円筒状金型12の直径が変わっても、各電磁誘導コイル14a,14b,14cの形状を変化させずに、容易に適用することができる。
第1電磁誘導コイル14aは、円筒状金型12の長手方向に沿って配置されている。第1電磁誘導コイル14aは、円筒状金型12の全体を加熱するものである。第1電磁誘導コイル14aは、円筒状金型12の全体に磁界を印加できる大きさにするために、円筒状金型12の端部付近でリッツ線がターンしてコイル状になるようにする。例えば、円筒状金型12の長さが1000mmである場合、第1電磁誘導コイル14aの長軸の長さは約1040mmである。なお、第1電磁誘導コイル14aの幅は約120mm、厚みは約8mmのものを使用する。
第2電磁誘導コイル14b,14cは、円筒状金型12の長手方向の端部の外周に配置される。第1電磁誘導コイル14aの近傍に第2電磁誘導コイル14b,14cを配置すると両方で発生した磁界がキャンセルされる場合がある。本発明では、円筒状金型12の外径が約200〜320mmであり、円筒状金型12の中心軸に対して90度の角度で第1電磁誘導コイル14aと第2電磁誘導コイル14b,14cが配置されるようになっている。この角度は、円筒状金型12の大きさや発生される磁界によって適宜変更される。なお、第2電磁誘導コイル14b,14cは、例えば直径約100mm、厚み約6mmの円筒状のコイルである。
第1電磁誘導コイル14aによって円筒状金型12の全体を加熱し、第2電磁誘導コイル14b,14cによって温度が低い端部を加熱する。第2電磁誘導コイル14b,14cが低温箇所への加熱をアシストする構成であり、制御が簡単である。
従来技術で説明したように、円筒状金型12の端部の下方から冷気が入り、円筒状金型12の端部の上方に熱せられた空気が流れる。また、円筒状金型12が加熱されると、円筒状金型12の周囲の空気温度が上昇し、上昇気流が生じる。電磁誘導コイル14a,14b,14cは熱せられた空気の経路に配置しない。電磁誘導コイル14a,14b,14cに熱せられた空気が当たり、電磁誘導コイル14a,14b,14cの熱による変形などの悪影響を避けるためである。円筒状金型12が水平方向を向いており、円筒状金型12の外面の側方から下方に電磁誘導コイル14a,14b,14cが配置されるようにする。また、上記の範囲で各電磁誘導コイル14a,14b,14cの磁界がキャンセルされないように各電磁誘導コイル14a,14b,14cの位置を決定する。この場合、できるだけ円筒状金型12の下方に各電磁誘導コイル14a,14b,14cが配置されることが好ましい。
なお、第2電磁誘導コイル14b,14cは第1電磁誘導コイル14aの補助的な役割のため、多少の変形などが生じても、円筒状金型12の温度制御に大きな変化が生じない場合がある。そのような場合、第2電磁誘導コイル14b,14cは、上記の範囲以外の位置に配置してもよい。
円筒状金型12が回転するため、電磁誘導コイル14a,14b,14cと円筒状金型12の外面とは所定間隔を有する。例えば、円筒状金型12の外面から2〜8mmの位置に配置される。
各電磁誘導コイル14a,14b,14cを円筒状金型12の外周形状に合わせて湾曲させても良い。円筒状金型12に対して効率よく磁界を印加させるためである。
温度計16a,16b,16cは円筒状金型12の内面に塗布された樹脂の温度を非接触で計測するものが好ましい。温度計16a,16b,16cの種類としては物体から放射される赤外線などを計測して温度測定する放射温度計である。温度計16a,16b,16cは、円筒状金型12の端部の開口から内部の樹脂温度が測定できる位置に配置される。例えば、円筒状金型12の端部から約300mmの位置に温度計16a,16b,16cを配置する。樹脂を測定する理由としては、上述した円筒状金型12の表面処理では円筒状金型12の表面が銀色になり、放射温度計では反射の影響によってノイズが大きくなるためである。
温度計16a,16b,16cで測定された温度は、電流や電圧に変換されて出力される。必要に応じて、アナログ・ディジタル変換回路を設け、電流や電圧の値をディジタルデータに変換する。
図2の電源回路20は、インバータ回路22、電磁誘導コイル14a,14b,14cとで共振器(タンク回路)を形成する共振コンデンサC1,C2、およびインバータ回路22のスイッチングを制御するための制御回路24を備える。
電磁誘導コイル14a,14b,14cごとに供給電流を制御するため、電磁誘導コイル14a,14b,14cごとにインバータ回路22と共振コンデンサC1,C2を備える。なお、図2は第1電磁誘導コイル14aについて示している。インバータ回路22は、直列接続されたスイッチング素子S1,S2を備える。各スイッチング素子S1,S2はMOSFETやIGBTなどのトランジスタT1,T2およびトランジスタT1,T2と並列の還流ダイオードD1,D2を備える。トランジスタT1,T2を交互にオンすることによって交流電流を電磁誘導コイル14a,14b,14cに印加する。両方のトランジスタT1,T2がオフになった直後に、電流が還流ダイオードD1,D2を含む還流経路に流れる。また、2つの共振コンデンサC1,C2は直列接続されており、インバータ回路22と並列である。スイッチング素子S1,S2同士の接続点と共振コンデンサ同士C1,C2の接続点の間に電磁誘導コイル14a,14b,14cが接続される。
商用の交流電源を使用する場合、整流回路26および平滑回路C3によってインバータ回路22の直流電源を構成する。平滑回路C3にリアクトルを追加しても良い。平滑回路C3とインバータ回路22との間にスナバ回路を設けて回路の保護をおこなっても良い。
制御回路24は全ての温度計16a,16b,16cからの値が入力され、円筒状金型12の温度分布を求める。円筒状金型12の温度分布が均一になるように、各電磁誘導コイル14a,14b,14cに接続されたインバータ回路22のスイッチングをおこなう。また、円筒状金型12の温度が樹脂を加熱成型するのに最適な温度になるようにも制御する。図2では、1つの制御回路24が1つのインバータ回22路を制御する構成となっているが、実際は全てのインバータ回路22の制御をおこなう。制御回路24によってそれぞれのインバータ回路22が独立して制御される。
上記スイッチングの具体的な方法について説明する。スイッチングのパルスの幅を一定にして、パルスの周波数を制御する。この周波数を高くすると、電磁誘導コイル14a,14b,14cと共振コンデンサC1,C2からなる共振器のインピーダンスが高くなり、電磁誘導コイル14a,14b,14cに流れる電流が小さくなる。その逆に周波数を低くすると、電磁誘導コイル14a,14b,14cに流れる電流が大きくなる。電流が変化することによって、電磁誘導コイル14a,14b,14cに発生する磁界の強さが変化する。このことにより、円筒状金型12に流れる渦電流が変化し、温度制御がなされる。それぞれのインバータ回路22が独立して制御されているため、各電磁誘導コイル14a,14b,14cから出力される磁界の強さが独立して制御されることとなり、円筒状金型12の各所の温度調整が可能となる。
上記のように円筒状金型12の温度制御をするにあたって、少なくとも円筒状金型12の中央部、両端部の3点の温度を測定する。これは、円筒状金型12の中央部が最も高温であり、端部にいくにしたがって徐々に低下するためである。
また、温度計が、電磁誘導コイル14a,14b,14cの配置された位置に対応する円筒状金型12の内面の位置にある樹脂の温度を計測する。電磁誘導コイル14a,14b,14cで生じた磁界で直接加熱される位置にある樹脂の温度を測定することによって、温度制御を正確にするためである。電磁誘導コイル14a,14b,14cごとに温度計16a,16b,16cが設けられる。
図3に、従来と本発明との円筒状金型12の温度の比較を示す。グラフの横軸両端が円筒状金型12の両端に対応する。円筒状金型12の内径は285mm、外径305mm、長さ900mm、第1電磁誘導コイル14aへの印加電力は15kW、第2電磁誘導コイル14b,14cへの印加電力は2.5kWである。また、樹脂ではなく円筒状金型12の内面温度を測定したものである。実施例は焼成工程と呼ばれるイミド化の工程である。円筒状金型12の外周における回転速度は30〜100mm/secである。従来は第2電磁誘導コイル14b,14cがないため、円筒状金型12の端部にいくにしたがって温度が低下している。温度差は約11.5℃である。本発明は、第2電磁誘導コイル14b,14cが円筒状金型12の端部の温度を上昇させて、ほぼ一定の温度分布である。温度差は約2℃であり、従来に比べて均一である。本発明であれば、各所で均一に樹脂に熱を加えることができ、樹脂の温度が均一になる。成型されるシームレスベルトの材質が均一になる。
以上のように、本発明は第2電磁誘導コイル14b,14cを使用して円筒状金型12の端部が冷却されて低温になるのを防止できる。円筒状金型12で成型されるシームレスベルトは均質なものになる。
以上、本発明について実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、図4(a)に示すように、図1の第1電磁誘導コイル14aの長軸の長さを短くして、第1電磁誘導コイル14a’と第2電磁誘導コイル14b,14cとで円筒状金型12の全体を加熱するようにしても良い。第1電磁誘導コイル14a’と第2電磁誘導コイル14b,14cを直列に配置すると両方の電磁誘導コイル14a’,14b,14cから発生する磁界がキャンセルされる場合があるため、磁界がキャンセルされない位置に両方の電磁誘導コイル14a’,14b,14cを配置する。例えば、円筒状金型12の中心軸に対して90度の角度で第1電磁誘導コイル14a’と第2電磁誘導コイル14b,14cを配置する。円筒状金型12の端部の温度が低くならないように、端部の温度に合わせて第2電磁誘導コイル14b,14cに流れる電流を高める。円筒状金型12の端部にある第2電磁誘導コイル14b,14cは円筒状金型12の端部の下方に配置し、熱せられた空気の経路を避ける。
また、上記の実施形態ではいずれも3個の電磁誘導コイル14a,14b,14cが使用されたが、電磁誘導コイル14a,14b,14cの数をさらに増加させてもよい。例えば図4(b)に示すように、円筒状金型12の周囲を螺旋状に電磁誘導コイル14dが並ぶようにする。各電磁誘導コイル14dは他の電磁誘導コイル14dとで磁界がキャンセルされないように配置する。電磁誘導コイル14dの数が増加することによって、円筒状金型12の細かな温度制御が可能になる。また、円筒状金型12の端部にある電磁誘導コイル14dほど、電流を高める。冷却されやすい位置ほど渦電流を高めて、昇温しやすいようにする。円筒状金型12の端部を加熱する電磁誘導コイル14dは、円筒状金型12の端部の下方に配置して、熱せられた空気の経路を避けて、電磁誘導コイル14dを保護する。
温度計16a,16b,16cで計測したのは円筒状金型12の内面に塗布された樹脂であったが、測定誤差が生じないのであれば、円筒状金型12の温度を計測するようにしてもよい。円筒状金型12の外面を放射温度計で測定する場合に、円筒状金型12の外面に対して黒クロムメッキなどの黒色メッキを施すのが望ましい。電磁誘導コイル14a,14b,14cで直接磁界が印加される位置の温度を測定する。電磁誘導コイル14a,14b,14cの制御を確実にするためである。16a,16b,16cは、非接触式ではなく円筒状金型12に直接接触させて温度を計測するものであってもよい。
温度計16a,16b,16cで測定する箇所が、電磁誘導コイル14a,14b,14cで直接磁界が印加される位置であったが、さらに他の位置を測定するようにしても良い。温度測定点を増やすことによって、電磁誘導コイル14a,14b,14cの制御による温度の均一化を細かくする。他の温度計で円筒状金型12が置かれた部屋の室温を測定し、制御回路24が円筒状金型12の温度上昇を予測して、スイッチング制御をおこなってもよい。
制御回路24は、インバータ回路22のスイッチングの周波数を制御したが、他の方法でインバータ回路22を制御しても良い。第1電磁誘導コイル14aに接続されたインバータ回路22は常にオン・オフを制御する。第2電磁誘導コイル14b,14cに接続されたインバータ回路22は、温度が中心部と端部との温度差が一定以上になったときにオン・オフを制御するようにする。円筒状金型12の中心部と端部との温度差が小さいときは第2電磁誘導コイル14b,14cは動作しないため、消費電力を抑えることができる。
図2に示した回路20によって円筒状金型12に流れる渦電流を制御したが、他の回路で渦電流を制御しても良い。
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
10:加熱装置
12:円筒状金型
14、14a,14b,14c、14a’:電磁誘導コイル(誘導加熱装置)
13:ローラ
16a,16b,16c:温度計
20:電源回路
22:インバータ回路
24:制御回路
26:整流回路
S1,S2:スイッチング素子
T1,T2:トランジスタ
D1,D2:還流ダイオード
C1,C2:共振コンデンサ
C3:平滑回路

Claims (6)

  1. 長手方向の端部を開放した円筒状金型を回転させながら加熱する加熱装置であって、
    前記円筒状金型の周囲に配置された複数の誘導加熱装置と、
    前記円筒状金型または円筒状金型の内面に塗布された樹脂の温度を測定する温度計と、
    前記温度計が測定した温度から、円筒状金型の全体の温度が均一化されるように、それぞれの誘導加熱装置に交流電流を供給する電源回路と、
    を備えた加熱装置。
  2. 前記電源回路によって誘導加熱装置ごとに出力が調節される請求項1の加熱装置。
  3. 前記複数の誘導加熱装置が、
    前記円筒状金型の長手方向に延びた誘導加熱装置と、
    前記円筒状金型の長手方向の端部に配置された誘導加熱装置と、
    を備えた請求項1または2の加熱装置。
  4. 前記温度計が、誘導加熱装置から磁界の照射される円筒状金型の位置またはその位置にある樹脂の温度を測定する請求項1から3の加熱装置。
  5. 前記電源回路が、
    前記誘導加熱装置に交流電流を供給するインバータ回路と、
    前記誘導加熱装置とで共振器を形成する共振コンデンサと、
    前記温度計で測定された温度に応じてインバータ回路のスイッチング周波数を制御する制御回路と、
    を備えた請求項1から4のいずれかの加熱装置。
  6. 前記円筒状金型の長手方向が水平方向を向いており、円筒状金型の側方から下方に誘導加熱装置が配置される請求項1から5のいずれかの加熱装置。
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