以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1〜図5を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。
外枠2は、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されると共に遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21(図1及び2を参照)と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。
遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2(図1を参照)を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、図1に示すように、本体枠3と、前面枠(ガラス扉枠)4と、上皿部材5と、下皿部材6と、遊技盤10(図4を参照)と、裏機構盤102(図24を参照)等を主要部としている。
本体枠3は、図3に示すように、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。尚、本体枠3の右端側には、施錠装置7が装着されている。この施錠装置7は、本体枠3を外枠2に施錠したり、前面枠4や上皿部材5を本体枠3に施錠するために用いられる。
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この本体枠3は、上半部に窓部3Mを備える枠本体部3bと、枠本体部3bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部3cとを備える。そして、本体枠3は、この突出部3cを用いて遊技盤10を保持するための保持部を構成している。つまり、突出部3cの突端面であって、窓部3Mの左方側の上下と、窓部3Mの右方側の上下には保持具3fが回動可能な状態で装着されている。そして、遊技盤10の前面部を前方に向けつつ突出部3cに嵌合するとともに、保持具3fの突端部を遊技盤10の後面部に当接させると、遊技盤10が本体枠3により保持される。
本体枠3が遊技盤10を保持したとき、「遊技盤10の前面部10aに構成される遊技領域11」を、窓部3Mによって本体枠3の前方から視認することができる。また、遊技盤10の背面部には、裏機構盤102(図24参照)が装着され、この背面部を覆う状態とされている。
前面枠4は、図1に示すように、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4はその中央部に視認窓41aを備えている。この視認窓41aは前面枠4の前後に貫通する状態に設けられ、遊技盤10の盤面に形成された遊技領域11(図4参照)の外周形状に対応して略円周状に開設されている。そして、前面枠4を閉じたときにその背後に配置される遊技領域11が、この視認窓41aによって前方から視認可能とされる。
前面枠4は、図1に示すように、枠本体41と、この枠本体41に装着されるガラス板43と、ガラス板43を枠本体41に保持させるための保持具(図示を省略)とを備える。また、前面枠4の上端部側の左右には、各々スピーカSP1、SP2(図26参照)が内蔵されている。また、本遊技機1においては、前板部22の左右両端にも、スピーカSP3、SP4(図26参照)が内蔵されている。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカSP1〜SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させる。尚、本遊技機1においては、前面枠4が閉鎖状態にされると(つまり、本遊技機1が使用状態にされると)、後述する中央表示装置27の表示画面27aが視認窓41aの内側においてその略中央部に配置され、後述する可動演出装置80が視認窓41aの内側において表示画面27aの右側方に配設される。
遊技機本体Hの前面部のうちで前面枠4の下方の部位には、上皿部材5と下皿部材6とが設けられている。すなわち、上皿部材5は前面枠4の下方に配置され、その略容器形状とされる内部に遊技機1から排出される遊技球を受け入れるための受入口5bを備えている。尚、上皿部材5の裏側には、球貸表示基板410(図25参照)及び演出ボタン基板228(図26参照)が設けられ、上皿部材5の上面部には「球貸操作部5c」と操作スイッチSWとが配置されている。
図1及び図2に示すように、下皿部材6は上皿部材5の下方に配置されている。この下皿部材6の略中央には、その略容器形状とされる内部に上皿部材5から排出される遊技球を受け入れるための受入口6aを備えている。また、下皿部材6の左端には灰皿6bが設けられ、下皿部材6の右端には発射ハンドル9が設けられている。また、下皿部材6の底面には球抜き孔(図示を省略)が設けられ、下皿部材6に貯留された遊技球を遊技機1から排出する際に開放状態とされる。
発射ハンドル9は発射装置ユニット(図示を省略)に接続されている。この発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、遊技機1の左端側には、プリペイドカードユニットが設けられている(図示を省略)。
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について図4等を用いて説明する。この遊技盤10は正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体10Aと、この遊技盤本体10Aに装着される各種の盤部品(外側レール12、内側レール13、中央装置20等)が装着されている。尚、この遊技盤本体10Aの前面部には、セル画が印刷されたシート状物が貼着されているが図示を省略する。
遊技盤本体10Aは、正面視で略円形とされる領域形成部10Bと、領域形成部10Bの周囲に位置する領域外部10Cとを備える。また、遊技盤本体10Aの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール12と、内側レール13とが配設されている。そして、領域形成部10Bの前面部は、この外側レール12及び内側レール13が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ、遊技領域11を構成している。
この領域形成部10B(つまり、遊技盤10において遊技領域11内に位置する部位)には、中央装置20と、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16と、始動入賞装置17と、下部装置30と、左下表示装置50と、右下表示装置60と、4個の一般入賞装置40、41、43、44と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車19等が配設されている。
中央装置20は、取付部材21と、中央表示装置27と、可動演出装置80とを備えている。また、図6に示すように、遊技盤本体10Aの略中央部には、開口形状が略矩形の貫通孔10Kが形成され、取付部材21は、この貫通孔10Kを用いて領域形成部10Bに装着されている。つまり、取付部材21は略箱形状に構成され、正面形状が略矩形とされる背板21Aと、背板21Aの周縁部より立ち上げられた周壁部21Bと、周壁部21Bの突端から屈曲状に突出する取付代21Cと、を備えている。そして、取付部材21は開口部21Dを前方に向けた状態にて遊技盤本体10Aにビス止め固定されている。
すなわち、遊技盤本体10Aの前方から貫通孔10Kに背板21A、周壁部21Bの順に挿入し、取付代21Cを「遊技盤本体10Aの前面部のうちで、貫通孔10Kの周囲に位置する部位に当接させる。更に、取付代21Cを遊技盤本体10Aの前面部にビス止め固定することで、取付部材21は遊技盤本体10Aに固定されている。そして、図4に示すように、この取付部材21は、遊技領域11の上半部のうちで、左端側を除く部位を占めている。
図6に示すように、背板21Aには正面視で略矩形状の窓部形成孔21dが設けられ、表示窓21eを構成している。そして、この表示窓21eと、背板21Aの背後に配設される表示画面27aとが前後に位置合わせされ、遊技機1の前方から表示画面27aが視認可能とされている。また、背板21Aの前面部のうちで、表示窓21eの右側方に位置する部位が、後述する可動演出装置80の取付部位(以下、「取付部21f」と称する。)を構成している。
図4に示すように、取付部材21の頂部から右側縁部の下端に至る部位は、外側レール12に近接し、頂部から左側縁部の上端に至る部位には、上部装飾部材21nが前方に突出する状態に装着されている。また、取付部材21の左側縁部には、左側装飾部材21qが前方に突出する状態に装着され、取付部材21の下縁部には、ステージ部材21pが前方に突出する状態に装着されている。また、左側装飾部材21qは、内部に遊技球通路(図示を省略)が形成された造形物21rを備えている。この遊技球通路の進入口は、左斜め上方に向かって開口し、遊技領域11を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、中央装置20の内部に進入させる。
ステージ部材21pは、その上面部によって、遊技球の転動面を構成する。この転動面は、左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面として構成されている。但し、転動面の中央部では、上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。また、ステージ部材21pには、転動面上の遊技球を、中央装置20の外部に排出するための排出通路が設けられている。尚、排出通路の入口部21uは、転動面の中央部の背後において、この中央部と連続する位置で開口し、排出通路の出口部21vは、この中央部よりも下方の位置で開口している。
本実施例では、遊技領域11を流下し、中央装置20の内部に進入した遊技球は、転動面の左端部に到達し、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いを衰えたところで、この遊技球は、排出通路を通過して中央装置20外に排出されるか、或いは、転動面の前縁部から、中央装置20外に排出される。尚、出口部21vの直下に、後述する始動入賞装置17が位置している。
中央表示装置27は、後述する右下表示装置60と同様に、可変表示装置の具体例を構成する。但し、この中央表示装置27においては、右下表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に連動する演出表示(変動表示および停止表示)を実行する。尚、本実施例では、右下表示装置60が、本図柄(特別図柄の一具体を示す。)を表示するための「可変表示装置」を構成し、中央表示装置27が、疑似図柄(特別図柄の他の具体例を示す。)を表示する。
中央表示装置27の表示画面27aは可変状態に用いられ、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。この表示画面27aには、図27(b)に示すように、3つの疑似図柄表示部27b〜27dと、その他の部分で構成される背景画面表示部27hとが出現することがある。この場合、この疑似図柄表示部27b〜27dは、表示画面27aにおいて横方向に3つ並んで配置される。このように出現する各疑似図柄表示部27b〜27dでは、「疑似図柄」を用いた変動表示と、停止表示等がなされる。また、表示画面27aに疑似図柄表示部27b〜27dが表示されるときには、この表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景を示す図柄(以下、背景図柄という。)を表示したり、この背景画面と共にキャラクタを示す図柄(以下、キャラクタ図柄という。)を表示することができる。尚、表示画面27aにおける具体的な表示態様に関しては後述する。
次に、可動演出装置80の機械的な構造について、図6〜図23を用いて簡単に説明する。この可動演出装置80は、図6に示すように、取付部21fに装着され、表示画面27aの右側に配設されている。この可動演出装置80は、図7及び図8等を用いて示されるように、固定ベース81と、可動ベース82と、第1の従動部材84と、鞘部材88と、拘束具部材90と、伝達部材91(図14〜図16参照)と、第2の従動部材92(図15及び図16参照)と、第1のモータ93(図15参照)と、傾動用カム部材97(図10及び図11参照)と、第2のモータ98(図8参照)とを備えている。
図7に示すように、固定ベース81は取付具81aを用いて取付部21fに固定状態で取り付けられている。また、可動ベース82の下端側は軸部材82aを用いて固定ベース81に回転可能に支持されているとともに、可動ベース82の下端部からは前方に向けて従動突起82mが突出している(図11参照)。但し、可動ベース82の上下方向中間部に回転範囲の規制部材82d(後述する。)が装着されているため、この可動ベース82は軸部材82aを軸心として所定の角度だけ回転可能(つまり、傾動可能)とされている。すなわち、「可動ベース82は頂軸心を略上下方向に向けた基本姿勢」から、「略上半部を表示画面27aの前方に臨ませるように傾動した傾動姿勢」へ姿勢変更可能とされている。
具体的には、図9〜図11に示すように、可動ベース82の上下方向中間部の背面からは係止用突起部82bが突出している。一方、取付部21fの前面部であって、可動ベース82の係止用突起部82bの突出位置よりも上方の部位からは規制用突起21gが突出している。そして、略クリップ形状に構成される回転規制部材82dが、係止用突起部82b及び規制用突起21gの間に掛け渡され、可動ベース82の回転範囲が規制されている。
ここで、規制部材82dは長円形状に構成される本体部82eと、本体部82eの長軸方向に沿った一端側から突出しつつ本体部82eの一端側と一体で三角枠形状を構成される支持部82fとを備えている。そして、規制用突起21gが支持部82fにクリアランスを持った状態で挿通されることで、規制部材82dは規制用突起21gによって回転可能な状態に支持されている。
係止用突起部82bは本体部82eに挿通され、本体部82e内をその長軸方向に沿って摺動可能とされることで、可動ベース82の傾動範囲が規制されている。つまり、本体部82eの長軸は、規制用突起21から係止用突起部82bに向かって下り傾斜となるように配設される。また、可動ベース82が基本姿勢にあるときには、係止用突起部82bが、本体部82eの長軸方向に沿った中間部(但し、本実施例では、本体部82eの他端部に近接する位置である。)に位置する(図10参照)。更に、可動ベース82が軸部材82aを軸心として左回転に傾動すると、係止用突起部82bは本体部82e内をその他端部方向に摺動可能する。そして、可動ベース82の傾動角が所定の角度(例えば、30度)となると、係止用突起部82bが、本体部82e内の他端部側の内壁に当接することで、可動ベース82の傾動角がそれ以上増加することが禁止される(図9及び図11参照)。
傾動用カム部材97は、図9〜図11に示すように、可動ベース82の下端側の前方において軸心を前後に向けて配設されている。この傾動用カム部材97は略円板形の外形を備える平面溝カムであるとともに、図10及び図11に示すように、その後面部には円弧状のカム溝97aが形成されている。但し、図10に示すように、このカム溝97aの描く略円弧状の経路K1の曲率中心は、傾動用カム部材97の回転中心(図中C1で表記)と一致しない状態とされている。このため、カム溝97aの描く略円弧状の経路K1は、傾動用カム部材97の回転中心C1を中心とする複数の仮想円E1、E2を縦断している。つまり、経路K1は、回転中心C1を中心とする仮想円の円弧として構成されるものではない。
傾動用カム部材97の回転軸心は、第2のモータ98の回転軸が一体回転可能な状態に装着とされ(図10及び図11参照)、正逆両回転方向に回転可能とされている。ここで、第2のモータ98はステッピングモータであり、この第2のモータ98の駆動は後述する演出制御部220Aによって制御される。
図11(b)に示すように、傾動用カム部材97のカム溝97aには従動突起82mが摺動可能な状態に挿入されているため、傾動用カム部材97が正逆方向に回転することで、「可動ベース82を基本姿勢(図10に示す姿勢)から傾動姿勢(図9及び図11に示す姿勢)に姿勢変更したり、傾動姿勢から基本姿勢に姿勢変更するための駆動力」を、可動ベース82に対して伝達する。つまり、本実施例では、可動ベース82が基本姿勢にあるとき、図10に示すように、従動突起82mが「カム溝97aにおいて、回転中心C1により近接する位置(例えば、回転中心C1により近接する端部)」に位置し、可動ベース82が傾動姿勢にあるとき、図11に示すように、従動突起82mが「カム溝97aにおいて、回転中心C1により離間する位置(例えば、回転中心C1により離間する端部)」に位置するように設定されている。
このため、本実施例では、可動ベース82が基本姿勢にあるときに、第2のモータ98の回転軸を所定量、正回転させ、傾動用カム部材97を所定量、正回転させると、「回転中心C1により近接する箇所に位置していた従動突起82m」が、回転中心C1により離間する箇所に到達するように回転することになる。これにより、可動ベース82の姿勢が基本姿勢から傾動姿勢に変更されることになる。一方、可動ベース82が傾動姿勢にあるときに、第2のモータ98の回転軸を所定量、反回転させ、傾動用カム部材97を所定量、反回転させると、「回転中心C1から離間する箇所に位置していた従動突起82m」が、回転中心C1に接する箇所に到達するように回転することになる。これにより、可動ベース82の姿勢が傾動姿勢から基本姿勢に戻される。
可動演出装置80の主要部は、第1の従動部材84と、鞘部材88と、拘束具部材90と、伝達部材91と、第2の従動部材92と、第1のモータ93とで構成されている。
第1の従動部材84は、図13に示すように、上方側を構成する柄部85と、上下方向中間部に構成する刃部86と、下方側を構成する隠蔽部87とを備えている。この第1の従動部材84の幅方向両端部84c、84cは、可動ベース82の幅方向両端部82k、82kに摺動可能な状態に当接しているため(図7参照)、この第1の従動部材84は可動ベース82を基準に上下方向にスライド可能とされている。尚、「柄部85及び刃部86の境界部」と、「刃部86及び隠蔽部87の境界部」は傾斜状に構成されている。また、柄部85は後述する鍔部85dとともに、第1の可動演出部材の具体例を構成する。
図12に示すように、柄部85は「刀の柄」をあしらった部分であり、その下端側に外面には鍔部85dが装着されている。この鍔部85dは「刀の鍔」をあしらった部分であり、柄部85の下端面85aの傾斜に沿って傾斜状に装着されている。また、刃部86は「刀の刃」をあしらった部分であり、透明(無色透明であっても、有色透明であってもよい。)な素材で構成されている。また、刃部86には複数個のLEDランプ86bが埋設されている。
鞘部材88は「刀の鞘」をあしらった部材であり、略半円筒状とされつつ可動ベース82の前面部下方側に固定状態で装着されている(図7を参照)。この鞘部材88と可動ベース82との間に形成される空間(トンネル状の空間)内において、刃部86と隠蔽部87とが上下可能な状態に配設されている。尚、図12に示すように、鞘部材88の上端面88aは、鍔部85dの下端面85eに対応して傾斜状に構成されている。また、鞘部材88は固定動演出部材の具体例を構成する。
第1の従動部材84が原点位置にあるとき、柄部85の下端面85aと鞘部材88の上端面88aとが再接近(例えば、当接)する。このとき、刃部86は鞘部材88の後方に位置することとなり、遊技者は刃部材86を視認することができない{図12(a)を参照}。つまり、あたかも、刀が納められたような状態を演出することとなる。この状態より、第1の従動部材84が可動ベース82を基準に上方向にスライドし、原点位置よりも所定量だけ上昇すると、刃部材86が遊技者に向かって露呈することとなる{図12(b)を参照}。つまり、あたかも、刀が抜かれたような状態を演出することとなる。
隠蔽部87は、第1の従動部材84の動作位置にかかわらず、鞘部材88の後方に位置する部分である。そして、図13に示すように、この隠蔽部87の下端側及び上下方向中間部には、前後(肉厚方向)に貫通する開口部87a、87bが設けられている。ここで、下端側の開口部(以下、「第1の開口部」という。)87aは隠蔽部87の幅方向に横長に形成され、上下方向中間部の開口部(以下、「第2の開口部」という。)87bは上下に長軸を向けた長円形状に構成されている。
図7に示すように、隠蔽部87の後面部であって第1の開口部87aよりも上方に位置する部位には、ローラ87c(図15では図示を省略)が回転軸を隠蔽部87の幅方向に向けつつ装着されている。このローラ87cは可動ベース82の前面部に当接する状態に配設され、隠蔽部87が上下動する際に、可動ベース82の前面部を転動することになる。また、図14に示すように、隠蔽部87の前面部であって第1の開口部87aよりも上方に位置する部位にも、ローラ87d(図13では図示を省略)が回転軸を隠蔽部87の幅方向に向けつつ装着されている。このローラ87dは鞘部材88の後面部に当接する状態に配設され、隠蔽部87が上下動する際に、鞘部材88の後面部を転動することになる。このため、隠蔽部87と可動ベース82との間隔や、隠蔽部87と鞘部材88との間隔が一定に保たれるとともに、第1の従動部材84の上下動の円滑化が図られる。
第2の開口部87bは、隠蔽部86b、ひいては、第1の従動部材84の移動範囲を規制する作用を有している。つまり、図21及び図23に示すように、鞘部材88の後面部から軸心を前後に向けて突出する規制ピン87gの端部側には、規制部材87gが装着されている(図15では図示を省略)。この規制部材87gは第2の開口部87bに装着され、その長軸方向に摺動可能な状態とされている。そして、隠蔽部86bが下限位置にあるときには、規制部材87gは第2の開口部87bの内壁面上部に当接し、隠蔽部86bが上限位置にあるときには、規制部材87gは第2の開口部87bの内壁面下部に当接することとされている。
図14に示すように、隠蔽部87の下端側は、「正面視で略L字形状の第1の開口部87a」を前後に貫通した枠形状とされている。以下の説明においては、第1の開口部87aを、便宜上、上方に位置する上部空間部87hと、下方に位置する下部空間部87iとに分けて説明する。
図14に示すように、上部空間部87hと下部空間部87iの上下方向に沿った幅は略等しくされているが、上部空間部87hの左右方向に沿った幅は、下部空間部87iの左右方向に沿った幅よりも狭くされている。より具体的には、下部空間部87iは隠蔽部86bの左右両方向に広く形成されているが、上部空間部87hは左方向に広く、右方向に狭く形成されている。また、隠蔽部87において、上部空間部87hと下部空間部87iとの右端側の境界に位置する部位からは突出壁87pが突出している。この突出壁87pの上面部は、突出壁87pの突端部に向かって下り傾斜を有している。
隠蔽部87において、第1の開口部87aの内壁87kを構成する部分のうちで、上部空間部87hの左端側上方に位置する部分によって、「第1の被押圧部87m」が構成され、下部空間部87iの右端側上方に位置する部分によって、「第2の被押圧部87n」が構成されている。ここで、図14(b)を用いて、第1の被押圧部87mと、第2の被押圧部87nと、後述する伝達部材91に設けられる動作用押圧部91aと、の位置関係を説明する。尚、図14(b)では、隠蔽部86b(第1の従動部材84)が原点位置(下限位置)にあるときを基準にとって説明する。
本実施例では、押圧部91aが伝達部材91の回転軸心91Jを基準に第1の回転方向(右回転方向)に、回転量「N1度(角度)」だけ回転すると到達する位置に第1の被押圧部87mが設けられ、第2の回転方向(左回転方向)に回転量「M1度(角度)」だけ回転すると到達する位置に第2の被押圧部87nが設けられている。また、第1の被押圧部87mの高さ位置は、第2の被押圧部87nの高さ位置よりも高くされている。尚、隠蔽部86b(第1の従動部材84)が原点位置(下限位置)にあるとき、動作用押圧部91aは下限位置に位置することとなる。
図15に示すように、伝達部材91は、隠蔽部86bの後方において回転軸心91Jを前後に向けつつ回転可能な状態に支持されている。また、図16に示すように、第1のモータ93の回転軸93aは、伝達部材91の回転軸心に対して一体回転可能な状態に装着とされ、第1の回転方向及び第2の回転方向の両回転方向(正逆両回転方向)に回転可能とされている。ここで、第1のモータ93もステッピングモータであり、この第1のモータ93の駆動は後述する演出制御部220Aによって制御される。尚、第1のモータ93は所定のブラケット等を用いて可動ベース82に装着されている。そして、この第1のモータ93は駆動手段の具体例を構成している。
図15及び図16に示すよう7に、伝達部材91は正面視が円形のカム部材を用いて構成され、前面部に前述の動作用押圧部91aが設けられ、後面部に回転用押圧部91pが設けられている。このうち、動作用押圧部91aは、図16に示すように、伝達部材91の前面部の外縁寄から突出する軸部91dと、軸部911aに回転可能な状態に装着された押圧ローラ91eとを備えている。尚、以下の説明において、動作用押圧部91aが下限位置にあるときに、伝達部材91aが原点位置にあるという。
伝達部材91を、第1の回転方向に回転量「N1度(角度)」だけ回転させると、動作用押圧部91aは第1の被押圧部87mに当接する。そして、伝達部材91の第1の回転方向への回転量を更に増やすと、動作用押圧部91aは第1の被押圧部87mを上方に押圧するため、第1の従動部材84は上方に移動する。但し、この場合、第1の回転方向への回転量は、「N1+N2」度(角度であって、180度以下である。)までの範囲とする。一方、伝達部材91を、第2の回転方向に回転量「M1度(角度)」だけ回転させると、動作用押圧部91aは第2の被押圧部87nに当接する。そして、伝達部材91の第2の回転方向への回転量を更に増やすと、動作用押圧部91aは第2の被押圧部87nを上方に押圧するため、第1の従動部材84は上方に移動する。但し、この場合、第1の回転方向への回転量は、M度(M1度よりも大きく、角度であって、180度より小さい。)までの範囲とする。
図17に示すように、伝達部材91の裏面部には、後述する第2の従動部材92の被押圧部92aを挿入しつつ通過させる通過溝98Mが設けられている。この通過溝98Mは、伝達部材91の裏面部から突出する壁体h1、h2、h3、h4、h5と、伝達部材91の裏面部において回転軸心91Jと同心状に配設されたボス91cとを用いて構成されている。そして、通過溝98Mは、略円弧状に構成される第1の溝部分91dと、略直線状に構成される第2の溝部分91eと、略円弧状に構成される第3の溝部分91fとを備える。
つまり、第1の溝部分91dと第3の溝部分91fは何れも、回転軸心91Jを曲率中心とするが、第1の溝部分91dの曲率半径は、第3の溝部分91fの曲率半径よりも大きくされている。また、伝達部材91の直径のうちで回転軸心91Jと動作用押圧部91aの軸心を通過する直径Lを基準に考えると、この直径L上において回転軸心91Jよりも動作用押圧部91a側の部位に第3の溝部分91fの中心部(円弧の中心部)が配設され、直径L上において回転軸心91Jを挟み、動作用押圧部91aの配設部位とは反対の部位に第1の溝部分91dの中心部(円弧の中心部)が配設されている。尚、第1の溝部分91dは曲率半径が異なる一対の「円弧状の壁体h1、h2」によって構成されているが、第3の溝部分91fは、ボス91cと「ボス91cよりも伝達部材91の半径方向外側において、円弧状に形成された壁体h3」とによって構成されている。
第2の溝部分91eは、直線状の経路を描きつつ平行に配設される一対の壁体h4、h5で構成され、第1の溝部分91dの「第1の回転方向側の端部(直径Lの右側に位置する端部)」と、第3の溝部分91fの「第2の回転方向側の端部(直径Lの左側に位置する端部)」とを接続するものである。この第2の溝部分91eが描く経路は、第1の溝部分91dが描く経路と、第3の溝部分91fが描く経路との双方に交差するものとされている。そして、第3の溝部分91fを構成する壁体h4、h5のうちで、伝達部材91の半径方向内側に位置するもの(壁体h5)によって、回転用押圧部91pが構成される。また、第1の溝部分91dを構成する壁体h1、h2のうちで、伝達部材91の半径方向内側に位置するもの(壁体h2)によって、回転姿勢維持用当接部91gが構成される。
ここで、本実施例では、回転用押圧部91pが、伝達部材91の回転軸心91Jを基準とする複数の仮想円を縦断する経路を描き、動作用押圧部91aが、伝達部材の回転軸心91Jから偏心した位置に設けられている。そして、伝達部材91を第1の回転方向に回転させると、動作用押圧部91aがその高さ位置が上限にある前に、「動作用押圧部91aの第1の回転方向への回転経路において最初に遭遇する第1の被押圧部91m」と当接する。また、伝達部材91を第2の回転方向に回転させると、動作用押圧部91aがその高さ位置が上限にある前に、「動作用押圧部91aの第2の回転方向への回転経路において最初に遭遇する第2の被押圧部91n」と当接する。しかも、伝達部材91を第1の回転方向に回転させると、動作用押圧部91aが第1の被押圧部91mに当接する前の段階で、回転用押圧部91pが後述する被押圧部91aと当接し、動作用押圧部91aが第1の被押圧部91mに当接した後の段階では、回転姿勢維持用当接部91gが後述する被押圧部91aと当接することとされている。
可動ベース82において、伝達部材91の配設部位の側方(本実施例では右側方)に位置する部位には、「軸心を前後に向けた軸部材82J(図15を参照)の後方側の端部」が回動可能な状態で支持されている。そして、図12に示すように、この軸部材82Jの前方側の端部には拘束具部材90が揺動可能な状態に支持され、軸部材82Jの軸方向中間部には、第2の従動部材92が揺動可能な状態に支持されている。
図16に示すように、第2の従動部材92は、略くの字型の板状体によって構成される本体部92aと、本体部92aの前面部の一端側から前方に突出する被押圧部92aとを備えている。つまり、本体部92aは、略板状体に構成される基体部92cと、略板状体に構成されつつ基体部92aの上端側から左側方に屈曲状に突出するアーム部92dとを備え、被押圧部92aは、「アーム部92dの前面部であって、アーム部92dの突端側に位置する部位」から前方に向かって突出している。尚、被押圧部92aは、アーム部92dの前面部から突出する支持突起92eと、支持突起92eに対して回転可能な状態に支持された被押圧ローラ92fとで構成されている。
第2の従動部材92は、そのアーム部92dの基端側を貫通する貫通孔92gに軸部材82Jを挿通することで、軸部材82Jに対して揺動可能とされている。また、第2の従動部材92には復帰バネ(例えば、トーションスプリング等)92h(図17を参照)が装着されている。このため、基本姿勢にある第2の従動部材92が正反何れかの方向に回転(傾動)すると、第2の従動部材92にはその姿勢を基本姿勢に戻すための付勢力が負荷されることとなっている。尚、第2の従動部材92の基本姿勢については後述する。
図17に示すように、第2の従動部材92の被押圧部92aは通過溝98Mに挿入されている。つまり、伝達部材91の回転位置が原点位置にある場合、被押圧部92aは第2の溝部分91eと、第3の溝部分91fとの境界の位置(以下、「原点挿入位置」という。)に挿入される。このとき、被押圧部92aが、伝達部材91から外力を受けない状態(壁体h4、h5、h3及びボス91cと非接触な状態)とされ、アーム部92dの下縁を略水平とし、基体部92cを略垂下させた姿勢となる。ここで、第2の従動部材92の姿勢を「基本姿勢」と称する。
被押圧部92aが原点挿入位置に挿入された状態で、図18(a)に示すように、伝達部材91を第1の回転方向(図中矢印Vの方向)に向かって回転させると、その回転量が「N1」になるまでの間、回転用押圧部91p(壁体h5)が、被押圧部92aを下方に押圧することになる。これにより、第2の従動部材92は復帰バネ92hの付勢力に対抗しつつ回転し、被押圧部92aを傾動させた姿勢となる。尚、伝達部材91の「第1の回転方向への回転量」が「N1」になるまでの間は、回転量の増加に伴って「伝達部材91の傾動量」は増加する。また、伝達部材91の「第1の回転方向への回転量」が「N1」を超えると、図18(b)に示すように、回転姿勢維持用当接部91g(壁体h2)が、被押圧部92aに当接することになる。但し、回転姿勢維持用当接部91g(壁体h2)は、回転軸心91Jを曲率中心とする円弧状に形成され、回転姿勢維持用当接部91gの何れの部位も、被押圧部92aに当接する際の高さ位置が一定とされる。つまり、伝達部材91の「第1の回転方向への回転量」を「N1度」から増加させても、この「高さ位置」は一定とされるため、第2の従動部材92の傾動量は、「伝達部材91の回転量がN1度であるときの傾動量」がそのままに維持される。
被押圧部92aが原点挿入位置に挿入された状態で、図19に示すように、伝達部材91を第2の回転方向(図中矢印Wの方向)に向かって回転させても、被押圧部92aが、伝達部材91から外力を受けない状態(壁体h3及びボス91cと非接触な状態)とされ、第2の従動部材92の姿勢は「基本姿勢」と維持される。
図12に示すように、拘束具部材90は、鞘部材88の前面部に配設され、第2の従動部材92と一体で傾動可能とされている。つまり、拘束具部材90を貫通する貫通孔90aに軸部材82Jの端部を挿通することで、軸部材82Jに対して揺動可能とされている。また、図15に示すように、第2の従動部材92を構成する基体部92cの右端部と、拘束具部材90の右端部が、上下一対の連結部材90d、90dで連結されている。このため、拘束具部材90は第2の従動部材92と一体にて揺動可能とされている。尚、拘束具部材90は、第2の可動演出部材の具体例を構成する。
次に、図20〜図23を用いて、可動演出装置80の駆動態様について簡単に説明する。この可動演出装置80において、図20(a)及び図21(a)に示すように、伝達部材91の回転位置が原点位置にある場合、第1の従動部材84、第2の従動部材92及び拘束具部材90は基本姿勢となる。この原点位置にある伝達部材91を第1の方向に回転させると、回転量がN1度になるまでの間、図20(b)及び図21(b)に示すように、第2の従動部材92及び拘束具部材90の姿勢が徐々に傾動姿勢に移行する。この状態から、伝達部材91第2の方向に回転させ、その回転位置を原点位置に戻すと、第2の従動部材92及び拘束具部材90が基本姿勢(傾動前の姿勢)に戻される。
また、第1の方向に回転量N1だけ回転している伝達部材91の回転量を第1の方向に更に増加させると、図20(c)及び図21(c)に示すように、第1の従動部材84は上方に移動する。これにより、刃部86が鞘部材88の上方に移動(変位)して、遊技者から視認可能な状態となるが、刃部86が上方に移動するタイミングに合わせて、刃部86のLEDランプ86bが点灯する。この伝達部材91の第1の方向への回転は、回転量が「N+N2」度(例えば、180度若しくはそれ以下の角度)となるまで行われ、第1の従動部材84が上限位置に到達する。
この状態から、伝達部材91を第2の方向に回転させ、その回転位置を原点位置に戻すと、第2の従動部材92及び拘束具部材90が基本姿勢(傾動前の姿勢)に戻されるとともに、刃部8が鞘部材88の背後に隠蔽された状態となる。
図22(a)及び図23(a)に示すように、原点位置にある伝達部材91を、第2の方向に回転させ、その回転量がM1度を超えると、図22(b)及び図23(b)に示すように、第1の従動部材84は上方に移動する。これにより、刃部8が鞘部材88の上方に移動して、遊技者から視認可能な状態となるが、刃部8が上方に移動するタイミングに合わせて、刃部86のLEDランプ86bが点灯する。この場合、第2の従動部材92の姿勢は「基本姿勢」と維持される。この状態から、伝達部材91を第1の方向に回転させ、伝達部材91の回転位置を原点位置に戻すと、刃部8が鞘部材88の背後に隠蔽された状態となる。
尚、第2のモータ98の回転軸を所定量、正回転させ、傾動用カム部材97を所定量、正回転させると、図9に示すように、可動ベース82の姿勢が基本姿勢から傾動姿勢に変更されるため、「可動演出装置80の主要部(第1の従動部材84、鞘部材88、拘束具部材90等)」の姿勢が、可動ベース82と一体で基本姿勢から傾動姿勢に変化する。これにより、可動演出装置80の上端側(柄部85)が、表示画面27aの前方に出現することになる。一方、第2のモータ98の回転軸を所定量、反回転させ、傾動用カム部材97を所定量、反回転させると、可動演出装置80の主要部(第1の従動部材84、鞘部材88、拘束具部材90等)の姿勢が、可動ベース82と一体で基本姿勢に戻される。
図4に戻り、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16は、遊技領域11において、中央装置20の左側方に位置する部位に配設されている。また、この普通図柄作動ゲート16内には普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s(図25参照)が配設されている。そして、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16sを遊技球が通過することを前提に、「普通図柄の変動開始条件」が成立すると、左下表示装置50(後述する。)において、普通図柄の変動表示(具体的は、普通図柄用のランプ装置の点滅表示)を開始する。そして、普通図柄の変動開始後、所定の変動時間を経過すると、普通図柄の確定表示(点灯、若しくは、消滅)がなされる。そして、普通図柄の当り表示(点灯表示)がなされると、普通電動役物17(後述する。)が、所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
始動入賞装置17は、ステージ部21dの排出路の直下に位置する部位に配設されている。そして、第1の始動入賞部17aと、第2の始動入賞部17bとを上下に配設した構成を備える。このうち、第1の始動入賞部17aは、上方に開口部、つまり、第1の始動口を開口させたポケット形状を備えている。この第1の始動口は、排出通路の出口部21vの直下に位置するため、排出通路を通過した遊技球は、この第1の始動口を通じて、始動入賞装置17に入賞する確率が高くされている。
第2の始動入賞部17bは、第1の始動入賞部17aの略直下に位置すると共に、入口側部分に普通電動役物を備えている。この普通電動役物は、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。つまり、第2の始動入賞部17bは、この一対の翼片部を作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図25参照)を備えている。そして、この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
始動入賞装置17の内部には、第1の始動入賞部17a、若しくは、第2の始動入賞部17bを遊技球の通過を検出する始動入賞検出スイッチ17s(図25参照)が配設されている。つまり、第1の始動入賞部17aに入賞した遊技球と、第2の始動入賞部17bに入賞した遊技球は、始動入賞装置17内の同一の通路(図示を省略)を通過し、この通路の経路途中に配設された始動入賞検出スイッチ17sによって検出される構成となっている。
下部装置30は、始動入賞装置17の下方に配設されている。この下部装置30は、可変入賞装置(大入賞装置)31によって構成されている。この可変入賞装置31は、遊技盤10の前面部10aに装着された取付板部31kを備える。この取付板部31kは、略中央部において平面形状が略帯状の開口部を表裏を貫通する状態に備え、この開口部によって大入賞口31aを構成している。そして、この大入賞口31aの後端部は、「大入賞口入賞通路(大入賞口31aから入賞する遊技球を通過させるための通路であり、図示を省略する。)」に連絡されている。そして、可変入賞装置31は、この大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(図25参照)と、大入賞口入賞通路の経路途中若しくは経路端末部に設けられた入賞球検出スイッチ31s(図25参照)と、を備えている。この可変入賞装置31は、開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが大入賞口31aを閉鎖するため、可変入賞装置31への遊技球の入賞が不可能となる。一方、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口31aを開放されると共に、開閉板31bの後面部(背面部)が遊技領域11を流下し、可変入賞装置31へ到達した遊技球を、大入賞口31aに誘導する誘導部を構成する。
左下表示装置50は、可変入賞装置(大入賞装置)31の左側方に配置されている。この左下表示装置50は、図5(a)に示すように、略円弧状に構成されると共に、遊技盤10の前面部に取り付けられる取付板51を備えている。そして、この取付板51には、普通図柄保留表示部52と、特別図柄保留表示部53と、遊技状態表示部55と、普通図柄表示部56とが設けられている。
普通図柄保留表示部52は、2個のLEDを用いて構成され、所謂「普通図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、後述する普通図柄表示部56において、当該通過に伴う当否抽選の結果の表示(抽選結果図柄の確定表示)と、これに先行する変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)とがなされていない遊技球を指す。
特別図柄保留表示部53も、2個のLEDを用いて構成され、所謂「特別図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「始動入賞装置17に入賞したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17に入賞したが、後述する特別図柄表示部61において、当該通過に伴う当否判定の結果の表示(判定結果図柄の確定表示)と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
尚、本実施例では、「遊技球が、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過すること条件に、主制御部200Aによって実行される判断、つまり、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)を開放状態とすべきか否かの判断を、「当否抽選」と称する。また、「遊技球が、始動入賞装置17に入賞すること条件に、主制御部200Aによって実行される判断、つまり、可変入賞装置(大入賞装置)31の開放を許容するか否かの判断(遊技機の遊技状態を、可変入賞装置31を閉鎖状態に維持する通常遊技状態から、可変入賞装置31の開閉を行う特別遊技状態にすべきか否かの判断)が「当否判定」の具体例を構成する。
普通図柄保留表示部52及び特別図柄保留表示部53においては、同様な態様で、保留数の表示を行う。つまり、2個LEDを消灯させることで、「保留数」が「ゼロ」であることを示す。また、1個のLEDを点灯させ、1個のLEDを消灯させることで、「保留数」が「1」であることを示す。更に、2個のLEDを点灯させることで、「保留数」が「2」であることを示す。また、1個のLEDを点滅させ、1個LEDを点灯させることで、「保留数」が「3」であることを示す。更に、2個のLEDを点滅させることで、「保留数」が「4」であることを示す。
遊技状態表示部55は、2個のLED55a、55bを用いて構成され、遊技機1の現在の遊技状態を表示するために用いられる。つまり、2個のLED55a、55bを消灯させることで、「遊技機1の現在の遊技状態が通常遊技状態である」旨が表示される。また、一方のLED55aを点灯させ、他方のLED55bを消灯させて、「遊技機1の現在の遊技状態が確変遊技状態である」旨が表示される。更に、一方のLED55aを消灯させ、他方のLED55bを点灯させて、「遊技機1の現在の遊技状態が時短遊技状態である」旨が表示される。
ここで、本実施例では、遊技機1の遊技モードが、通常遊技モードから確変モードになると、確変手段(特別図柄の当否判定において、大当り判定がなされる確率を高く設定することを内容とする手段)と、開放延長手段(普通電動役物17eの開放時間を長くしたり、開放回数が多く設定することを内容とする手段)とが作動する。そして、遊技機1の遊技モードが、確変モードから時短モードになると、確変手段は作動を停止し、時短手段(特別図柄や普通図柄の変動時間を短く設定することを内容とする手段)が作動を開始する。更に、遊技機1の遊技モードが、確変モードから通常遊技モードに戻されると、時短手段と、開放延長手段は作動を停止する。尚、本実施例では、確変手段の作動時に、確変手段は、「特別図柄の当否判定において、大当り判定がなされる確率を高く設定すること」に加えて、「特別図柄や普通図柄の変動時間を短く設定すること」も行う。つまり、遊技機1が実行する「確変モード」は、実質的に、時短モードをも実行するモードと言える。但し、本実施例では、確変モードが解除された後であって、時短手段と、開放延長手段とが作動している場合のみを「時短モード」と称することとする。
右下表示装置60は、可変入賞装置(大入賞装置)31の右側方に配置されている。この右下表示装置60は、図5(b)に示すように、略円弧状に構成されると共に、遊技盤10の前面部に取り付けられる取付板61を備えている。そして、この取付板61には、特別図柄表示部62と、大当り態様表示部63と、が設けられている。
特別図柄表示部62は、略長円状に配設された「7個のLED62a〜62g」を用いて構成され、「始動入賞装置17への遊技球の入賞(以下、「始動入賞」という。)に伴う当否判定の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、複数のLEDを用いて点灯表示)を経て実行する。つまり、図27(a)に示すように、この「当否判定に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、「7個のLED62a〜62g」を順次、点灯させる。具体的には、略長円状に配設された「7個のLED62a〜62g」において、この「略長円状を周回する方向に沿って、7個のLED62a〜62g」が点灯することを内容とする
より具体的には、所定のLED(例えば、LED62a)が点灯状態となると、残りのLED(例えば、LED62b〜62g)は消灯状態となる。このLED(例えば、LED62a)が消灯状態となると、略長円状を周回する方向に隣合う1つのLED(例えば、LED62b)のみが点灯状態となる。そして、点灯状態となるLEDを、略長円状を周回する方向に沿って順次変更することで、特別図柄表示部62の変動表示が実行される。この変動表示(以下、「LED62b〜62gを用いた循環表示」という。)を実行し、「特別図柄に関する当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部62において、特別図柄の停止表示(確定表示)が実行される。尚、特別図柄表示部62において表示される遊技の結果(当否判定の結果)と、中央表示装置27において表示される遊技の結果(当否判定の結果)は一致するものとされる。
大当り態様表示部63は、2個のLED63a、63bを用いて構成される。この大当り態様表示部63は、主に、「特別図柄に関する当否判定に関する結果が大当りである場合、その大当りの種類」を表示するために用いられる。つまり、特別図柄表示部62において大当り表示がなされていない場合には、2個のLED63a、63bは消灯状態とさせる。そして、特別図柄表示部62において大当り表示がなされる場合、何れかのLED63a、63bを点灯させて、当該大当りの種類が表示される。
図5(a)に示すように、2個の一般入賞装置40、41は、左下表示装置50を構成する取付板51に一体化され、図5(b)に示すように、残りの2個の一般入賞装置43、44は、右下表示装置60を構成する取付板61に一体化されている。そして、各一般入賞装置40、41、43、44の内部には、遊技球の入賞を検出するための入賞検出スイッチ40s、41s、43s、44s(図25参照)が配設されている。
図4に戻り、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設され、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられている。更に、アウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。そして、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材15は、内レール13の先端部に取り付けられている。
c.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図24を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏パック102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏パック102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。また、
裏パック102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、主制御部200Aを構成する主制御基板200が格納された主制御基板ケースと、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース130と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図24において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
(2)制御回路の構成
次に、図25及び図26を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを備えている。
副制御部としては、(a)演出制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司る演出制御部220Aと、(b)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(c)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。
これらの制御部(200A、220A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図25及び図26の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図25では「主制御基板200以外の制御基板」について、搭載されているCPUや、RAM、ROM等の図示を省略している。
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動入賞検出スイッチ17s、入賞球検出スイッチ40s、41s、43s、44s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、演出制御部200A(演出制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種のコマンドを出力する。また、主制御部200Aには、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。また、主制御部200Aは、普通電動役物ソレノイド17cや、大入賞口ソレノイド31c、左下表示装置50、右下表示装置60、駆動モータ88に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。
演出制御部220Aは、主制御部200Aからの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。即ち、中央表示装置(液晶表示装置)27を駆動する演出表示制御基板222やスピーカSP1〜SP4を駆動するアンプ基板224が接続されている。また、演出制御部220Aは、「各種LED4b〜4h搭載された基板」等の各種装飾用基板を駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。尚、操作スイッチSWからの操作信号は、演出ボタン基板228を介して、演出制御部220Aに入力される。
払出制御部240Aは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が受皿扉体5に設けられた球貸スイッチ5eや返却スイッチ5fを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置に伝達される。
主制御部200Aが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240Aが受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出された賞球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後ろ側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240Aに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200Aでも計数されている。また、払出制御部240Aは、主制御部200Aの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御部260Aに向かって出力している。そして、発射制御部260Aは、この発射許可信号を受けて遊技球を発射するための各種制御を行っている。
次に、演出制御部220A(演出制御基板220)に対する信号或いはコマンドの入出力関係について説明する。前述のように、演出制御部220A(演出制御基板220)には、演出表示制御基板222と、アンプ基板224、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などの各種基板が接続されている。
演出制御部220Aは、前述のように、主制御部200Aから各種の演出用のコマンドを受け取ると、コマンドの内容を解釈して、(a)中央表示装置27での具体的な表示内容や、(b)スピーカSPで出力する効果音、更には、(c)各種LEDやランプ類4b〜4f、86bの点灯若しくは点滅の具体的な態様を決定する。次いで、中央表示装置27の駆動信号(各種の図柄制御コマンド)を演出表示制御部222Aに出力して、演出用図柄の変動停止表示を行う。このとき、表示されるキャラクタ図柄や背景図柄などの一部データについては、中央表示装置27、或いは、演出表示制御基板222に内蔵された演出表示ROM27rに格納されているデータを使用する。
また、疑似図柄の変動停止表示に合わせて、音声信号をアンプ基板224に出力することによって、スピーカSP1〜SP4から効果音を出力する。加えて、装飾駆動基板226に信号を供給し、装飾駆動基板226から、各種LED4b〜4hの駆動信号を出力することによって、各種ランプ類(LED4b〜4h等)等の点灯・点滅動作等を制御する。また、演出制御部220Aには装飾駆動基板226を介して、「可動演出装置80を構成するモータ(第1のモータ93、第2のモータ98)」が接続されている。そして、演出制御部220Aは演出制御手段として、これらのモータ(第1のモータ93、第2のモータ98)の駆動制御(回転軸の回転量や回転方向の制御など)も行う。
上皿部材5の前面側に設けられた操作スイッチSWを遊技者が操作すると、この操作信号が演出制御部220Aに供給される。そして、演出制御部220Aは、供給された操作信号に基づいて、中央表示装置27を初めとする各種の演出内容に操作結果を反映させることが可能に構成されている。
(3)特別図柄の表示態様
前述のように、本遊技機1では、当否判定の結果を示す確定表示と、この確定表示の前段階に行われる演出表示(変動表示)とを、2種類の図柄表示装置(右下表示装置60及び中央表示装置27)において同時に実行する。ここで、右下表示装置60(つまり、特別図柄表示部62)において表示される特別図柄(LED62a〜62gの点灯と、消灯を用いて示される特別図柄)は、「本図柄」である。そして、本遊技機1において、遊技の基本進行を司る「主制御部200A(後述する。)」において、その表示態様(少なくとも「停止図柄」と、「変動時間」)が決定される。
一方、中央表示装置27の表示画面27aにおいて表示される特別図柄は「疑似図柄」であり、「主制御部200Aの制御の下で、遊技上の演出を制御する演出制御部220A(後述する。)」によって、その変動態様と、停止図柄とが決定される。そして、通常、この「疑似図柄」の変動表示は、本図柄と同一の時間だけ実行され、この「疑似図柄」の停止図柄の「表示内容(大当り、外れ等)」は、本図柄の停止図柄「表示内容(大当り、外れ等)」と矛盾を生じないものとされる。
次に、これらの特別図柄の表示態様を説明する。先ず、右下表示装置60においては、当否判定の結果の表示実行条件が成立する毎に、右下表示装置60の「特別図柄表示部62」を用いて、本図柄の変動表示を開始する。この変動表示の期間が経過すると、本図柄の停止表示(確定表示)が実行される。そして、本図柄の停止表示の態様には、以下の態様がある。
i)大当り
本図柄の停止表示(確定表示)を、図28(b)中欄に示すように、2個のLEDを点灯させて行うか、図28(c)中欄に示すように、3個のLEDを点灯させて行う場合である。また、この大当りの契機となる停止図柄(確定図柄のことで、2個若しくは3個のLEDが点灯させて表示される図柄)を「大当り図柄」と称するが、この大当りを生ずると、遊技機の遊技状態は、特別遊技状態(大当り状態)となり、特別遊技(大当り遊技)が実行される。そして、遊技機の遊技状態は、特別遊技状態となると、大入賞装置31の大入賞口31aが入賞容易な状態に開放され、多量の賞球を伴う利益が遊技者に付与される。
但し、「大当り」のうちで、図28(c)中欄に示すように、3個のLEDを点灯して行われるものは、当否判定の結果が「大当り」であると共に、「確率変動を行うか否かの判定(以下、「確変判定」ということもある。)の結果」も、「当り」であることを示す。一方、「大当り」のうちで、図28(b)中欄に示すように、2個のLEDを点灯して行われるものは、当否判定の結果が「大当り」であるが、「確変判定」の結果は「外れ」であることを示す。以下、当否判定の結果が、「大当りで、しかも、確変判定の結果も当選である場合を「確変当り(若しくは、確率変動大当り)」と称し、当否判定の結果が、「大当り」であるが、確変判定の結果が落選である場合を「通常当り(若しくは、通常大当り)」と称する。
ii)外れ
図28(a)中欄に示すように、「特別図柄表示部62」に、1個のLEDが点灯すると、当否判定の結果が「外れ」であることを示す。つまり、当否判定の結果が、「大当り」に該当しないことを示す。この場合、「確変判定」の結果も外れとなる。
iii)疑似図柄(演出図柄)
中央表示装置27においても、当否判定の結果(判定結果図柄)の表示実行条件が成立する毎に、その表示画面27aにおいて、疑似図柄の変動表示を開始する。そして、この変動表示の期間が経過すると、疑似図柄の停止表示(確定表示)が実行される。このとき、疑似図柄の停止表示も前述の本図柄の停止図柄と同様に、当否判定の結果を表示する。
中央表示装置27の表示画面27aにおいては、図27(b)に示すように、疑似図柄の変動表示を開始する際に、3つの疑似図柄表示部27b〜27dが出現し、各疑似図柄表示部27b〜27dにおいて、「疑似図柄」を用いた変動表示と、停止表示等がなされる。この疑似図柄の変動表示は、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示」によって構成される。また、疑似図柄表示部27b〜27dが変動表示を開始するときには、表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景図柄を表示したり、この背景画面と共にキャラクタ図柄を表示することができる。
疑似図柄表示部27b〜27dに、確定表示される確定図柄(判定結果図柄)には、図28(a)〜(c)の右欄に示す態様がある。即ち、図28(a)右欄の「外れを示す停止図柄(判定結果図柄)」と、図28(b)及び(c)の各右欄に示す大当りを示す停止図柄(判定結果図柄)」がある。このうち、「大当りを示す停止図柄」は「1」〜「9」のうちの何れかの「数字」を3つ並べて構成される。但し、この「大当り」が、確変当りである場合には、奇数の数字が揃えられ、通常当りである場合には、偶数数字が揃えられる。
疑似図柄表示部27b〜27dに確定表示される疑似図柄の表示内容と、特別図柄表示部62に確定表示される本図柄の表示内容とは一致するが、疑似図柄表示部27b〜27dにおいては、その変動の開始から停止に至るまでの間に、特別図柄表示部62よりも、派手な演出表示が実行される。つまり、疑似図柄表示部27b〜27dでは、所謂「リーチ演出」や所謂「再抽選演出」を行う。そして、本実施例では、左右の疑似図柄表示部27b、27dにリーチ表示を行った場合、所定の条件の下、後述する「特別演出」を実行する。
尚、特別図柄表示部62の表示態様は本実施例に例示するものに限定されない。例えば、特別図柄表示部62も、中央表示装置27と同様に、2つ又は3つ以上の特別図柄表示領域(識別情報表示領域)を表示可能な構成とする。そして、この特別図柄表示部62においても、変動表示の途中に、リーチ演出を行ってもよい。
(4)変動演出遊技及び大当り遊技の概要
変動演出遊技において、演出表示を通常態様で行う場合(以下、「通常演出」という。)と、特別態様で行う場合(以下、「特別演出」という。)と、がある。以下、この「通常演出で行われる変動演出遊技」の概要を述べた後、「特別演出で行われる変動演出遊技」の特徴的な部分について説明する。
a.通常演出の場合
始動入賞を生じ、当否判定の結果に関する「表示実行条件」が成立すると、図29〜31に示すように、右下表示装置60の特別図柄表示部62a〜62gで点灯表示を開始すると共に、中央表示装置27の疑似図柄表示部27b〜27dにおいて、疑似図柄を用いた変動演出表示を開始する。そして、所定の変動時間を経過した後、特別図柄表示部62a〜62gと、疑似図柄表示部27b〜27dとの双方において、特別図柄の停止図柄が確定表示される。以下、この「通常演出に関わる変動演出表示において、特別図柄の停止図柄の種類毎(当否判定の結果毎)に異なる点を説明する。尚、通常演出においては、特別図柄の変動中において、可動演出装置80を用いた演出が行われることはない。
先ず、図29に示すように、「特別図柄の停止図柄」を用いて、当否判定の結果が「外れである」旨の確定表示がなされると、この時点で、「一回の始動入賞に起因して開始された変動演出遊技」を終了するが、この場合、大当り遊技は、実行されない。尚、図29では、「リーチ演出を伴わない外れ表示(所謂「通常外れ」)を図示するが、外れ表示としては、「リーチ演出を伴う表示(所謂「外れリーチ」)」を実行することもできる。そして、「外れリーチ」の場合においては、所定の条件の下、後述する特別演出を実行することもできる。
図30に示すように、「特別図柄の停止図柄」を用いて、当否判定の結果が「通常大当りである」旨の確定表示を行う場合には、特別図柄の変動途中に「リーチ表示」が行われる。また、「リーチ表示」を行った後に、「大当り表示」が行われる。そして、この「大当り表示」がなされると、「大当りに移行するための移行表示」等を実行した後に、遊技機1の遊技状態が大当り状態に移行し、大当り遊技を開始する。この大当り状態に移行すると、開閉板31b(開閉部材)に単位駆動が施される。この「単位駆動」は、開閉板31b(開閉部材)の姿勢を、大入賞口31aを閉鎖する姿勢(以下、「閉鎖姿勢」という。)から、大入賞口31aを開放する姿勢(以下、「開放姿勢」という。)に移行させ、この開放姿勢を第1の時間(例えば、20秒〜30秒から選択される時間)維持した後、この開閉板31b(開閉部材)の姿勢を、閉鎖姿勢に戻すこと、で構成される「開閉板31b(開閉部材)の開閉動作)」によって構成される。
この「単位駆動」が、所定のインターバル時間を挟みつつ、計15回実行されると、遊技機1の遊技状態は、大当り遊技状態から通常遊技状態に戻される。これにより、「一回の始動入賞に起因して開始された変動演出遊技と大当り遊技」を終了する。そして、この「通常大当りに起因する大当り遊技状態の終了後においては、遊技機1の遊技モードが、通常遊技モードのままに維持される。
図31に示すように、「特別図柄の停止図柄」を用いて、当否判定の結果が「確率変動大当りである」旨の確定表示がなされる場合にも、特別図柄の変動途中に「リーチ表示」が行われる。そして、この「リーチ表示」を行った後に、「大当り表示」が行われ、変動演出遊技を終了する。この後、第2のモータ98の回転軸を所定量、正回転させ、可動演出装置80の上端側(柄部85)が、表示画面27aの前方に出現させる。この後、第2のモータ98の回転軸を所定量、反回転させ、可動演出装置80の姿勢を基本姿勢に戻すことになる。この「確率変動大当りに起因する大当り遊技」は、前述の「通常動大当りに起因する大当り遊技」と同様の態様で実行される。そして、この「確率変動大当りに起因する大当り遊技状態」の終了後においては、遊技機1の遊技モードが、通常遊技モードから確率変動モードに変更される。
b.特別演出の場合
次に、図32〜図37を用いて、特別演出の特徴的な部分について説明する。この「特別演出で行われる変動演出遊技(以下、単に「特別演出」という。)」においては、当否判定の結果に関する「表示実行条件(判定結果図柄の表示実行条件)」が成立すると、図32等に示すように、前述の「通常演出と同様に、特別図柄表示部62a〜62gで点灯表示を開始し、疑似図柄表示部27b〜27dにおいて疑似図柄を用いた変動演出表示を開始する。
この後、所定時間が経過すると、通常演出の場合と同様に、特別図柄の変動途中に「リーチ表示」が行われる。但し、この「特別演出」においては、「リーチ表示」の後、可動演出装置80を用いた演出(つまり、特別演出)が開始され、特別図柄の確定表示がなされる前に、可動演出装置80を用いた演出(特別演出)を終了させる。以下、この「特別演出」について、「外れリーチを表示する際に行われる特別演出(以下、「外れ用特別演出」という。)と、「大当りを表示する際に行われる特別演出(以下、「大当り用特別演出」という。)」とに分けて説明する。尚、本実施例では、後者の「大当り用特別演出」を2種類予定しているが、このうちの一方を「第1の大当り用特別演出」と称し、他方を「第2の大当り用特別演出」と称することとする。
b−1.外れ用特別演出
図32に示すように、「リーチ表示」の後、伝達部材91を第1の方向に回転量N1度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90が傾動姿勢とされる。但し、図33に示すように、特別図柄の確定表示(外れ表示)がなされる前に、伝達部材91を第2の方向に回転量N1度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90が基本姿勢(傾動前の姿勢)に戻される。
b−2.第1の大当り用特別演出
図34に示すように、「リーチ表示」の後、伝達部材91を第1の方向に回転量N1度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90が傾動姿勢とされる。この後、図35に示すように、伝達部材91の回転量を第1の方向に更に増加させ、伝達部材91の第1の方向への回転量を「N1+N2」度とする。これにより、第1の従動部材84が上方に移動し、刃部8が鞘部材88の上方に移動するとともに、刃部86のLEDランプ86bが点灯し、「大当りの発生が確定したこと」が遊技者に示される。そして、特別図柄の確定表示(大当り)がなされる前に、伝達部材91を第2の方向に回転量「N1+N2」だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90が基本姿勢(傾動前の姿勢)に戻すとともに、刃部8を鞘部材88の背後に隠蔽された状態とする。
b−3.第1の大当り用特別演出
図36に示すように、「リーチ表示」の後、伝達部材91を第2の方向に回転量Mだけ回転させ、第1の従動部材84を上方に移動させる。つまり、拘束具部材90の姿勢を基本姿勢に維持したまま、刃部8を鞘部材88の上方に移動させるとともに、刃部86のLEDランプ86bを点灯させ、「大当りの発生が確定したこと」が遊技者に示される。そして、図37に示すように、特別図柄の確定表示(大当り)がなされる前に、伝達部材91を第1の方向に回転量「M」だけ回転させ、刃部8を鞘部材88の背後に隠蔽された状態とする。
(5)コマンドの送信
本実施例の遊技機1が、前述の「変動演出表示」等を実現するために種々の制御を行っている。この制御を実行する際に、主制御部200(主制御基板200)から演出制御部200A(演出制御基板220)に向かって、種々のコマンドが送信される。次に、このコマンドが送信される様子について、図38(a)の模式図を用いて説明する。
主制御部200と演出制御部200Aとは、9ビット幅のパラレル信号ケーブルで接続されている。このうちの1ビット分はストローブ信号の出力用に割り当てられており、残りの8ビット分がコマンド出力用に割り当てられている。そして、主制御部200から演出制御部200Aにコマンドを出力する際には、先ず初めに、コマンド出力用に割り当てられた8ビット幅の信号ケーブルに8ビット分のコマンドデータが出力され、続いて1ビットのストローブ信号が出力される。また、演出制御部200Aは、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、主制御部200から送信されたコマンドを確実に読み取ることができる。
ここで、主制御部200(主制御基板200)から演出制御部200A(演出制御基板220)に出力されるコマンドとしては、例えば、図38(b)に図示したものを例示できる。つまり、(A)変動パターン指定コマンド(以下、「CHP」と表記することがある。)、(B)情報指定コマンド(以下、「CJS」と表記することがある。)等がある。尚、変動パターン指定コマンドは、疑似図柄の変動を開始させると共に、疑似図柄の変動時間を指定するコマンドでもある。
(6)主制御部200による遊技制御の概要
主制御部200Aを構成する主制御基板200に搭載されたCPU201は、以下のような制御(遊技制御)を行う。つまり、このCPU201は、所定の制御準備開始処理を終了すると、遊技機1の遊技制御を開始する。
図39は、主制御基板200に搭載されたCPU201が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。この遊技制御処理では、普通図柄遊技処理(S150)、普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S400)、特別電動役物遊技処理(S900)等の各処理が繰り返し実行されている。尚、図39の一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっているため、これらの処理は約4msec毎に繰り返し実行される。
また、前述のCTC(カウンター・タイマ・サーキット)は、約2msec毎に割込を発生させるように設定されており、CTCによる割込が発生すると、各種乱数値の更新や、各種の遊技球検出用スイッチなどの状態を検出する処理などが行われる。そして、図39に示す遊技制御では、制御が一周する間に、ほぼ2回ずつ割込を発生させて各種乱数の更新や遊技状態の検出を行いつつ、普通図柄遊技処理(S150)、普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S400)、特別電動役物遊技処理(S900)を実施する。そして、これら各処理中で、演出制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種の信号を送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行することになる。以下、図39のフローチャートに従って、遊技制御処理について説明する。
a.賞球払出処理
主制御基板200に搭載されたCPU101は、遊技球を賞球として払い出す処理(賞球払出処理)を行う(S10)。すなわち、始動入賞検出用スイッチ17sの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断する。そして、遊技球が入球していた場合は、この情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する。そして、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力する。また、RAM202上に、始動入賞検出用スイッチ17sへの入賞情報が既に記憶されていた場合には、先に記憶されていた情報を含めて適切な払出個数を指定して、払出信号を出力する。
主制御部200Aから払出制御部240Aへ払出信号を出力するに際しては、先ず、払出制御部240A(払出制御基板240)に向かってストローブ信号を出力し、続いて信号データを出力する。これに対して、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240に搭載されたCPUは、払出信号を受け取ると信号の内容を解釈し、賞球払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。そして、賞球払出装置109には、払い出された遊技球を検出する2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)が設けられているので、これらスイッチで遊技球を1球ずつ検出しながら、払出信号で指定された個数の賞球を払い出す処理を行う。
b.普通図柄遊技開始判断処理
次いで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、普通図柄遊技処理(S150)を開始するか否かを判断する(S100)。そして、CPU201が、図39の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、普通図柄遊技を開始すると判断すると(S100:YES)、以下に説明する普通図柄遊技処理(S150)を開始する。尚、普通図柄作動ゲート16の通過に起因して行われた当否抽選の結果を示す停止図柄について、図柄変動開始条件が成立すると、S100の処理において肯定的な判断がなされる。
c.普通図柄遊技処理
普通図柄遊技処理(S150)が開始されると、左下表示装置50の普通図柄表示部56において普通図柄の変動表示を開始させる。そして、CPU201は、図39の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、普通図柄の変動表示の実行時間が経過した判断すると、普通図柄の停止図柄の停止表示を行う。この停止表示には、前述の当否抽選の結果が当たりの場合の当り図柄(普通図柄表示部56を構成するランプ装置56aを点灯させることを内容とする。)と、当否抽選の結果が外れの場合の外れ図柄(普通図柄表示部56を構成するランプ装置56aを消灯させることを内容とする。)とがある。
CPU201は、図39の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、「普通図柄表示部56に外れ図柄が停止表示され、しかも停止表示の実行時間を経過した」判断すると、普通図柄遊技処理(S150)を終了させる。一方、CPU201は、図39の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、「普通図柄表示部56に当り図柄が停止表示され、しかも、停止表示の実行時間を経過した」判断すると、普通電動役物17dの作動を開始し、普通図柄遊技処理(S150)を終了させる。本遊技機1では普通電動役物17dが作動すると、内部に設けられた普通電動役物ソレノイド17cが駆動され、普通電動役物17dを構成する第2の始動入賞部17bの一対の翼片部が外側に回動して、第2の始動入賞部17bが開放状態となる。
d.普通電動役物遊技処理
CPU201が、図39の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、普通電動役物17dが作動中であると判断すると(S190;YES)、普通電動役物遊技処理(S200)を開始する。そして、CPU201は、図39の遊技制御処理を更に繰り返し行ううちに、普通電動役物17dの作動時間が所定時間を経過したと判断すると、普通電動役物17dの作動を停止させ、普通電動役物遊技処理を終了させる。尚、普通電動役物17dが作動を停止すると、第2の始動入賞部17bの一対の翼片部が「直立した通常の状態」に復帰する。但し、CPU201が、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の開放中に始動入賞装置17(第1の始動入賞17aであっても、第1の始動入賞17bであってもよい。)に規定数(例えば、8個)の遊技球が入球したと判断すると、前述の所定時間(開放時間が設定時間)に達していない場合でも、普通電動役物17dの作動を停止させ、普通電動役物遊技処理を終了させる。
図39に示すように、遊技制御処理では、普通電動役物遊技処理(S200)から復帰すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S300)。その結果、特別図柄遊技処理を開始しないと判断された場合には(S300;NO)、特別図柄遊技処理(S400)をスキップし、逆に、特別図柄遊技処理を開始すると判断された場合には(S300;YES)、特別図柄遊技処理(S400)を行う。
e.特別図柄遊技開始判断処理
特別図柄遊技開始判断処理は、特別図柄遊技処理を行うか否かを判断するための処理である(S300)。この特別図柄遊技開始判断処理について、図40を用いて説明する。この特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっても、先ず初めに、特別図柄の保留数に関わる処理を行う。具体的には、始動入賞装置17に遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。つまり、主制御基板200のCPU201は、「始動入賞検出用スイッチ17sが遊技球の通過を検出したか否か」を判断することによって、このS302の処理が行われる。
始動入賞装置17への入賞を生じている場合は(S302;YES)、特別図柄の保留数が4以上か否かを判断する(S304)。ここで、主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレス(図45の特別図柄保留数メモリ202bである。)には、特別図柄保留数のデータが書き込まれており、S304では、このアドレスに設定されているデータを読み出して、特別図柄の保留数が4以上か否かの判断を行う。そして、特別図柄の保留数が4に達していなければ(S304;NO)、特別図柄の保留数を1つ加算し(S306)、特別図柄の当否判定用の乱数を取得(発生・読み込み)して、この乱数値をRAM202の所定アドレス(図45の特別図柄当否判定乱数メモリ202aである。)に記憶し(S307)、S310の処理に移行する。
ここで、S306による保留数加算および後述のS752による保留数減算に伴って行われる特別図柄の保留数表示について説明する。即ち、図5(a)に示す「特別図柄保留表示部53」において、特別図柄の保留数が4個であれば2個のLEDを点滅させ、特別図柄の保留数が3個であれば、1個のLEDを点滅させ、もう1個のLEDを点灯させる。また、特別図柄の保留数が2個であれば2個のLEDを点灯させ、特別図柄の保留数が1個であれば、1個のLEDを点灯させ、もう1個のLEDを消灯させる。更に、特別図柄の保留数が0個であれば、2個のLEDを消灯させる。
尚、当否判定は、S307処理で記憶された当否判定用の乱数(乱数値)に基づいて行われるが、この当否判定用乱数を乱数発生用のプログラムによってソフトウェア的に発生させてもよいし、乱数発生用の専用ICを用いてハードウェア的に発生させてもよい。また、特別図柄当否判定乱数メモリ202a(図45を参照)は、読み込んだ判定用乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶している。そして、この特別図柄当否判定乱数メモリ202aは、図45(c)に示すように、「領域0」、「領域1」、「領域2」及び「領域3」の4つの記憶領域を備えている。そして、判定用乱数値を、「領域0」、「領域1」、「領域2」、「領域3」の順序で記憶可能となっている。つまり、最も古いタイミングで記憶された判定用乱数値が、「領域0」に記憶される。また、特別図柄当否判定乱数メモリ202aに、同時に記憶できる判定用乱数値の数(つまり、特定数)は領域の数に限定される。更に、現に生じている判定用乱数値の数が特定数を下回る場合には、判定用乱数値が記憶されていない空きの領域が存在する。そして、各判定用乱数値に対応する「特別図柄の変動表示」が実行される毎に、「領域0」の記憶データ(判定用乱数値であって、最古のもの)がクリアーされると共に、「領域1」、「領域2」、「領域3」のそれぞれの記憶データ(存在する場合のみであって、領域1〜領域3の全てに存在する場合と、領域1及び領域2に存在する場合と、領域1のみに存在する場合と、領域1〜領域3の全てに存在しない場合とがある。)が、「領域0」に向けて「1領域ずつ」シフトされる。
S304の処理において、特別図柄の保留数が4に達していると判断されると(S304;YES)、S305の処理やS307の処理を行わずにS310の処理に移行する。
このようにして特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、「大当り遊技中フラグ」が設定されている否かが判断される(S310)。つまり、「大当り遊技実行手段(制御プログラムであって、ROM203に格納されている。)」が作動中であるか否か、換言すると、「大当り遊技」を実行中であるかが判断される(図42のS780)。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、S310の処理において、「大当り遊技中フラグ」が設定されていると判断されれば(S310;YES)、重ねて特別遊技(つまり、大当り遊技)を開始することを避けるため、特別図柄遊技は開始しないと判断する(即ち、S300;YES)。一方、「大当り遊技中フラグ」が設定されていない場合は(S310;NO)、特別図柄遊技を開始すると判断する(S300;YES)。
図39に示した遊技制御処理のステップS300では、以上のようにして、特別図柄遊技を開始するか否かを判断する。そして、特別図柄遊技を開始すると判断した場合は(S300;YES)、以下に説明する特別図柄遊技処理(S400)を開始する(S320)。
f.特別図柄遊技処理
図41及び図42は、特別図柄遊技処理(S400)の流れを示したフローチャートである。この特別図柄遊技処理(S400)を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S404)。つまり、前述の特別図柄表示部62a〜62gにおいて、「ランプ装置の点滅表示を利用した変動表示」を実行中か否かが判断される(S404)。
特別図柄が変動中でない場合は(S404;NO)、特別図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかの、いずれかであると考えられる。そこで、特別図柄の停止図柄を表示させる表示時間中であるか否かを判断する(S410)。そして、特別図柄が変動表示されておらず、且つ、特別図柄の停止図柄を表示している表示時間中でもない場合は(S410;NO)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S500)。ここで、特別図柄保留数は、前述のように、RAM202の所定アドレス(特別図柄保留数メモリ202b)に記憶されており、S500の処理では、このアドレスに記憶されている特別図柄保留数のデータが「0」か否かを判断する。
S500の処理により、特別図柄保留数が「0」でないと判断される場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S500;NO)、特別図柄の当否判定処理(S600)を開始する。この特別図柄の当否判定処理(S600)は、図43に従って以下のように行われる。この当否判定ジョブ(S600)においては、「当否判定」を行うと共に、「特別図柄の変動後に確定表示する図柄(確定図柄)」を決定する処理が行われる。そして、この特別図柄の当否判定ジョブ(S600)では、先ず、S605において、特別図柄当否判定乱数メモリ202aから記憶している最も古い先頭の特別図柄判定乱数値を読み出し、S610に進む。次いで、S610においては、ROM203内の大当り番号メモリ482aから大当り番号(当り用判定値)を読み出し、上記特別図柄当否判定乱数値との比較を行い(S620又はS625)、両者が一致していれば大当り判定となり、大当り処理(S650)が行われる。一方、一致していなければ外れ判定となり、外れ処理(S680以降の処理)が行われる。
但し、当否判定に先立ち、遊技機1が高確率状態にあるか否か(確変移行フラグが設定されているか否か、つまり、遊技機1の遊技モードが確率変動モードであるか否か)が判断され(S615)、高確率状態にないとき(確変移行フラグが設定されていないとき)には(S615;NO)、「低確率時のデータテーブル」を用いて、この当否判定が行われる(S620)。一方、遊技機1が高確率状態にあるとき(確変移行フラグが設定されているとき)には(S615;YES)、「高確率時のデータテーブル」を用いて、この当否判定が行われる(S625)。
大当り処理(S650)においては、図44に示すように、先ず、S652に進み、当り本図柄(当りを示すための本図柄であって、特別図柄表示部62a〜62gにおいて、点灯表示を実行するランプ装置の数によって特定される。)を決定する当り本図柄決定乱数を読み出し、その読み出した乱数値を当り本図柄番号メモリ202e(図45参照)に記憶する(S654)。次いで、S605で読み出した当り本図柄決定乱数の値と、確率変動判定用の当り番号(以下、「確変当り番号」という。)とが一致するか否かを判定する(S660)。そして、両者が一致しない場合には(S660;NO)、落選(通常当り)となり、そのままS668の処理に移行する。一方、両者が一致していれば(S660;YES)、当選(確変当り)となり、「確変当りフラグ」を「設定」した後(S662)、S668の処理に移行する。
S668においては、「大当りフラグ(大当り判定の結果が当りであることを示すフラグ)」を、特別図柄判定結果メモリ202iにセットする。尚、本実施例では、S660処理、つまり、「確変(確率変動)」に関する抽選(確変判定)を「大当り図柄」を決定するための乱数(当り本図柄決定乱数)」を利用して行ったが、この確変に関する判定を、大当り判定に用いる乱数を用いて行っても、この確変に関する確変の抽選専用の乱数を用いて行ってもよい。
一方、外れ処理においては、S680で外れ本図柄を外れ本図柄決定乱数により同様に決定し、決定した乱数値を外れ本図柄番号メモリ202fに記憶する(S682)。そして、S690において、「外れフラグ」を、特別図柄判定結果メモリ202iにセットする。尚、「外れフラグ」は、当否判定の結果が「外れ」であったことを示すフラグである。
以上のように、特別図柄の当否判定処理(S600)を行ったら、今度は、特別図柄の変動パターン、つまり、変動パターン指定コマンド(CHP)を設定する処理を行う(S700)。この処理の詳細な説明は省略するが、この処理においては、特別図柄の当否判定処理(S600)において決定した停止図柄に応じて、特別図柄の変動パターンの設定(変動時間を設定する処理等)を実行する。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動パターンを設定すると、演出制御基板220に向かって「変動パターン指定コマンド(CHP)」を出力した後(S740)、特別図柄停止情報指定信号(CJS)を出力し(S744)、右下表示装置60の「特別図柄表示部62a〜62g」において、特別図柄の変動表示(点滅表示)を開始する(S748)。また、特別図柄保留数から1を減算する処理を行う(S752)。ここで、S740で出力される変動パターン指定コマンド(CHP)は、S700の特別図柄変動パターン設定処理中で設定された変動パターンを指定する信号であり、演出制御基板220を介して演出表示制御基板222に転送される。また、S744で出力される特別図柄停止情報指定信号(CJP)は、特別図柄の停止図柄の態様(大当り図柄、通常外れ図柄、リーチ外れ図柄等の停止図柄の態様)を指定する信号であり、演出制御基板220を介して演出表示制御基板222に転送される。
変動パターン指定コマンド(CHP)及び特別図柄停止情報指定信号(CJS)は、図38(a)に示したように、ストローブ信号とともに演出制御基板220に向かって出力される。このストローブ信号は、演出制御基板220に搭載されたCPUの割り込み端子に接続されており、演出制御基板220側のCPUは、ストローブ信号が入力されると直ちに各指定信号を受け取って、指定信号の内容を解析する。詳細な説明は省略するが、変動パターンは、リーチ演出を行うか否か、特別図柄を停止表示させる図柄が確変図柄等の種々の条件を考慮して決定されており、変動パターンが分かれば、特別図柄が変動表示する時間を決定することができる。また、特別図柄停止情報指定信号を解析すれば、特別図柄が確変図柄で停止するのか、更には外れ図柄で停止するのかを知ることができる。
演出制御基板220に搭載されたCPU220aは、これらの情報に基づいて、演出表示装置27での演出態様を決定した後、演出表示制御基板222に対して疑似図柄の表示制御信号を出力し、疑似図柄の変動・停止表示等を行う。また、特別図柄の変動時間(変動パターン指定コマンド)に基づいて、演出表示装置27でいわゆるリーチ演出を行うか否か、更にはどのような種類のリーチ演出とするかも決定する。そして、演出制御基板220は、こうして決定した演出内容に従って、演出表示制御基板222や、アンプ基板224、装飾駆動基板226などを制御することにより、決定した内容の演出を行うことになる。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと特別図柄の停止図柄とを決定し、これらに対応する変動パターン指定コマンドと特別図柄停止情報指定信号とを出力したら、図41及び図42に示した特別図柄遊技処理を終了して、図39に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄遊技処理(S400)を開始した直後の「S404の処理」で、特別図柄が変動中であると判断された場合は(S404;YES)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されているものと考えられる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S756)。即ち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S756;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S400)を終了して、図39に示す遊技制御処理に復帰する。これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S756;YES)、演出制御基板220に向かって、演出表示装置27で変動表示されている疑似図柄の演出停止指定信号(CZE)を出力すると共に、「特別図柄表示部62a〜62g」において変動表示(点滅表示)している特別図柄を停止表示する(S760)。なお、演出停止指定信号(CZE)は、演出制御基板220を介して演出表示制御基板222に転送される。そして、演出表示装置27上で特別図柄を停止表示させる表示時間を設定した後(S772)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S776)。
S776の処理で、特別図柄の停止表示時間が経過していないと判断されれば(S776;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S400)を終了して、図39に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S776;YES)、停止表示が大当りを示す表示(つまり、大当り図柄)か否かを判断する(図42のS778)。
S778の処理で肯定的な判断がなされると、主制御基板200のCPU201は、「大当り遊技中フラグ」を設定する(S780)。この「大当り遊技中フラグ」の設定により、遊技機1の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行する。詳細には別図を用いて説明するが、こうして「大当り遊技中フラグ」を設定することにより(つまり、大当り遊技実行手段が作動を開始することにより)、特別図柄遊技処理(S400)を抜けて図39の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。尚、主制御基板200のCPU201は、このS780の処理に先立ち、「大当り開始演出指定信号(CIS)を、演出制御基板220に向かって送信する。この大当り開始演出指定信号(CIS)は演出制御基板220から演出表示制御基板222に転送されるもので、これにより、大当り遊技の開始を遊技者に報知する演出表示(ファンファーレ表示)が中央表示装置27にて行われる。
ところで、本実施例の遊技機1では、「大当り遊技中フラグ」の設定中(つまり、大当り遊技実行手段の作動中)は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。このため、S780の処理において、「大当り遊技中フラグ」を設定したら、現在の遊技状態(大当り遊技中フラグの設定時の遊技状態)が確変中か否かを判断する(S782)。そして、確変中であれば(S782;YES)、確変機能(確率変動手段)及び時短機能(時短手段)が作動しているので、これら機能(手段)を停止させる(S790)。一方、現在の遊技状態(大当り遊技中フラグの設定時の遊技状態)が確変中でなかった場合は(S782;NO)、時短中か否かを確認し(S786)、時短中であった場合は(S786;YES)、時短機能(時短手段)を停止させる(S788)。
また、本実施例では、確変中である場合(S782;YES)や、時短中である場合(S786;YES)には、普通電動役物開放時間の延長機能(開放延長手段)も働いているので、S792の処理で、普通電動役物開放時間の延長機能(開放延長手段)も停止させた後(S792)、図41及び図42に示した特別図柄遊技処理(S400)を抜けて、図25の遊技制御処理に復帰する。一方、S780の処理で大当り遊技中フラグを設定したときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S786;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S400)を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
S778の処理で否定的な判断がなされると、つまり、「特別図柄表示部62a〜62g」において停止表示された特別図柄が「外れ図柄」の場合(S778;NO)、以下のような処理を行う。先ず、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S794)。このS794の処理で肯定的な判断がなされる場合(S794;YES)、「遊技機1が現在実行中の確変状態に移行した後に、S778の処理で肯定的な判断を得ることなく、実行された特別図柄の変動回数(累積回数)」が計数(インクリメント)される(S796)。そして、この変動回数(累積回数)が、上限回数(本実施例では、4回)に到達していない場合は(S798;NO)、確変状態を維持したまま、図41及び図42に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図39の遊技制御処理に復帰する。
一方、この変動回数(累積回数)が、上限回数(本実施例では、4回)に到達した場合(S798;YES)、主制御基板200のCPU201は、遊技機1の遊技モードを確変遊技モードから時短モードに移行させた後(S800,S802)、図41及び図42に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図39の遊技制御処理に復帰する。
S794の処理において現在の遊技状態が確変中ではないと判断された場合は(S794;NO)、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(804)。このS804の処理で肯定的な判断がなされる場合(S804;YES)、「遊技機1が現在実行中の時短状態に移行した後に、S778の処理で肯定的な判断を得ることなく、実行された特別図柄の変動回数(累積回数)」が計数(インクリメント)される(S806)。そして、この変動回数(累積回数)が、上限回数(例えば、46回)に到達していない場合は(S808;NO)、時短状態を維持したまま、図41及び図42に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図39の遊技制御処理に復帰する。一方、S808の処理で計数される変動回数(累積回数)が、上限回数(例えば、46回)に到達した場合(S808;YES)、主制御基板200のCPU201は、遊技機1の遊技モードを時短モードから通常モード戻し(S810)、更に、普通電動役物開放時間の延長機能(開放延長手段)を停止させた後(S812)、図41及び図42に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図39の遊技制御処理に復帰する。
g.特別電動役物遊技処理
主制御基板200に搭載されたCPU201が、図39の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、「大当り遊技中フラグ」が設定されていると判断すると(S880;YES)、特別電動役物遊技処理を開始させ(S900)、所謂「大当り遊技(特別遊技)」が実現される。つまり、S900の処理は「特別遊技状態発生手段」としての処理である。尚、本明細書の「特別電動役物」とは、大入賞口31dを備えた役物を意味し、本実施例では、可変入賞装置31が相当する。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開放されると、遊技球が高い確率で入球することになる。
CPU201は、図39の遊技制御処理を更に繰り返し行ううちに、大入賞口31dの開放と閉鎖とを繰り返したら、「大当り遊技(特別遊技)」を終了する。つまり、本遊技機1の遊技状態が大当り遊技状態(特別遊技状態)に移行すると、主制御部200Aが大入賞口ソレノイド31cを駆動し、起立姿勢にある開閉板31bを前傾姿勢とし、閉鎖状態とされていた大入賞口31aを開放状態に変化させ、大当り遊技が開始される。この開放された大入賞口31aは、所定の開放時間(本実施例では、30秒)が経過するか、或いは、所定数(例えば、10球)の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。そして、大入賞口31aが開放してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンド(本実施例では15ラウンド)を消化したら「大当り遊技(特別遊技)」が終了し、大当り遊技を終了し、本遊技機1の遊技状態が通常遊技状態に戻される。
そして、大当り遊技を終了すると、大当り遊技中フラグを解除する。尚、当該終了した大当り遊技に係る大当りが、「通常当り」である場合、そのまま特別電動役物遊技処理(S900)を終了するが、「確変当り」である場合、確変機能(確変手段)と、普通電動役物開放時間延長機能(開放延長手段)の作動を開始した後、特別電動役物遊技処理(S900)を終了する。
(7)図柄変動関連処理
以下、演出制御部220A(演出制御部220Aを構成する演出制御基板220のCPU)が行う「図柄変動関連処理」について説明する。尚、この図柄変動関連処理において、演出制御部220Aは「演出制御手段」として機能する。
この図柄変動関連処理は、図46に示すように、演出制御部220A(演出制御基板220)が、変動パターン指定コマンド(CHP)を受信すると(S1005;YES)、開始される。つまり、演出制御部220Aが、変動パターン指定コマンドを受信すると(S1005;YES)、演出制御部220Aは受信した変動パターン指定コマンド(CHP)を演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に転送し、中央表示装置27において、疑似図柄と、背景図柄の変動表示を開始させる(S1010)。このとき、疑似図柄の変動時間(変動演出表示の終了時間)を管理(特定)するための「変動時間タイマT1」がセットされる(S1010)。
そして、演出制御部220Aが、「情報指定コマンド」を受信すると(S1020;YES)、「演出制御処理」を行われる(S1100)。この演出制御処理(S1100)においては、図47に示すうように、先ず、受信した「情報指定コマンド」に基づき、主制御部200A(主制御基板200)において実行された当否判定の結果が、大当りであるか否かが判断される(S1105)。
大当りであると判断される場合(S1105;YES)、「演出表示の実行態様」を選択し、特定する(S1110)。このS1110の処理は、S1005で受信した変動パターン指定コマンド(CHP)の種類等を基づいて実行され、(1)疑似図柄表示部27b〜27dにおいて実行される「疑似図柄の表示態様(例えば、疑似図柄の停止図柄の態様、リーチ表示の態様等)」、(2)特別演出処理を実行するか否か、(3)特別演出を実行する場合には、その態様(実行を開始するタイミング、特別演出処理の実行時間等)が特定される。この特定を、例えば、「当該態様を特定するために予め用意された複数のデータ」の中から乱数抽選(演出制御部220Aが行う)の中から所定のデータを選択すること等によって行ってもよい。
また、S1110において、「リーチ表示を開始する時間(以下、「リーチ時」という。)」を管理するための「リーチタイマーT2」がセットされる。尚、リーチタイマーT2は「変動時間タイマT1」よりも早く終了するようにセットされる。また、特別演出の実行の可否は、特別図柄の変動時間の長さ(つまり、変動パターン指定コマンドの種類)等を考慮して、演出制御部220Aが判断する。例えば、特別図柄の変動時間の長さが、特別演出を実行する上で十分な長さであるか否かを考慮して、演出制御部220Aが特別演出の実行の可否を決定する。また、本実施例の遊技機1が特別図柄の保留数が多くなるほど、特別図柄の変動時間が短く設定される場合(所謂、「変動短縮機」の場合)、特別図柄の保留数が少ない場合(ゼロ若しくは1の場合)、特別演出を実行すると判断される確率を高めてもよい。
S1110で特定された「演出表示の実行態様」が、「特別演出の実行を予定しないもの」である場合(S1120;NO)、通常演出を実行し(S1620)、演出制御処理(S1100)を終了し、図46の「図柄変動関連処理」に復帰する。一方、S1110で特定された「演出表示の実行態様」が、「特別演出の実行を予定するもの」である場合(S1120;YES)、図48に示す「特別演出」を実行した後(S1200)、演出制御処理(S1100)を終了し、図46の「図柄変動関連処理」に復帰する。
S1020の処理において受信した「情報指定コマンド」に基づき、主制御部200A(主制御基板200)において実行された当否判定の結果が、「外れ」であると判断される場合(S1105;NO)も、「演出表示の実行態様」を選択し、特定する(S1600)。このS1600の処理は、S1005で受信した変動パターン指定コマンド(CHP)の種類等を基づいて実行され、(1)疑似図柄表示部27b〜27dにおいて実行される「疑似図柄の表示態様(例えば、疑似図柄の停止図柄の態様等)」、(2)リーチ表示の実行の可否、(3)リーチ表示の実行する場合には、その態様、(3)リーチ表示の実行する場合には、特別演出を実行するか否か、(4)特別演出を実行する場合には、その態様(実行を開始するタイミング、特別演出処理の実行時間等)が特定される。また、S1600において、「リーチ表示の実行」すべきと判断する場合、「リーチタイマーT2」がセットされる。
S1600の処理において、「リーチ表示の実行をしないとされた場合(S1610;NO)、通常演出を実行し、演出制御処理(S1100)を終了し、図46の「図柄変動関連処理」に復帰する。一方、S1600の処理において、「リーチ表示を実行するとされた場合(S1610;YES)、S1120の処理に移行する。この後、S1200の処理を実行(S1120;YESの場合)するか、通常演出を実行(S1120;NOの場合)する。
「特別演出処理」では、図48に示すように、「特別演出の開始時間を管理(特定)するための第3開始タイマT3」の終了時を、「リーチ後」に設定した後(S1205)、実行する特別演出の種類を判別する処理を行う(S1210、S1260)。そして、第1の大当り用特別演出を実行する場合(S1210;YES)、「2段階目の動作(刃部8を鞘部材88の上方に移動させる動作を開始させる動作)の開始時間を管理(特定)するための第4開始タイマT4」の終了時を、「リーチ後であって、タイマT3の終了時よりも後の時間」に設定するとともに、「特別演出の終了時間を管理(特定)するための第5開始タイマT5」の終了時を、「タイマT4の終了時よりも後の時間であって、タイマT1の終了時よりも前の時間」に設定する処理を行う(S1215)。
第2の大当り用特別演出を実行する場合(S1210;NO、S1260;YES)には、「特別演出の終了時間を特定するための第5開始タイマT5」の終了時を、「タイマT3の終了時よりも後の時間であって、タイマT1の終了時よりも前の時間」に設定する処理を行う(S1265)。また、外れ用特別演出を実行する場合(S1210;NO、S1260;NO)にも、「特別演出の終了時間を特定するための第5開始タイマT5」の終了時を、「タイマT3の終了時よりも後の時間であって、タイマT1の終了時よりも前の時間」に設定する処理を行う(S1305)。
S1215の処理を経て、S1220の処理で肯定判断されると、表示画面27aにおいてリーチ表示を行った後、タイマT3が終了するまで待機する(S1230)。そして、タイマT3が終了すると(S1230;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)93aを第1の方向に回転量N1度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90が傾動姿勢とし、タイマT4が終了するまで待機する(S1240)。
更に、タイマT4が終了すると(S1240;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)93aを第1の方向に回転量N2度だけ回転させ、第1の従動部材84を上方に移動させるとともに、刃部86のLEDランプ86bを点灯させ(S1245)、タイマT5が終了するまで待機する(S1250)。そして、タイマT5が終了すると(S1250;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)93aを第2の方向に回転量「N2+N1」度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90が基本姿勢(傾動前の姿勢)に戻して、刃部8を鞘部材88の背後に隠蔽された状態とし、特別演出処理を終了する。
S1265の処理を経て、S1270の処理で肯定判断されると、表示画面27aにおいてリーチ表示を行った後、タイマT3が終了するまで待機する(S1280)。そして、タイマT3が終了すると(S1280;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)93aを第2の方向に回転量M度だけ回転させ、第1の従動部材84を上方に移動させるとともに、刃部86のLEDランプ86bが点灯させ(S1285)、タイマT5が終了するまで待機する(S1290)。つまり、第2の従動部材92及び拘束具部材90の基本姿勢を維持したまま、刃部8を露呈させる動作を行う。そして、タイマT5が終了すると(S1290;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)93aを第1の方向に回転量「M」だけ回転させ、刃部8を鞘部材88の背後に隠蔽された状態とし、特別演出処理を終了する。
S1300の処理を経て、S1305の処理で肯定判断されると、表示画面27aにおいてリーチ表示を行った後、タイマT3が終了するまで待機する(S1315)。そして、タイマT3が終了すると(S1315;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)93aを第1の方向に回転量N1度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90を傾動姿勢とし、タイマT5が終了するまで待機する(S1325)。そして、タイマT5が終了すると(S1325;YES)、第1のモータ93の回転軸(伝達部材91)を第2の方向に回転量N1度だけ回転させ、第2の従動部材92及び拘束具部材90を基本姿勢(傾動前の姿勢)に戻し、特別演出処理を終了する。
演出制御処理(S1100)を経て、「図柄変動関連処理」に復帰した後、演出制御部220A(演出制御基板220)が、図柄停止コマンドを受信すると(S1700;YES)、疑似図柄と、背景図柄の変動が停止する(S1710)。このとき、「変動時間タイマT1」も終了する(S1710)。
尚、演出制御部220Aは、特別図柄の変動が停止した後、確変当りを生じているか否かを判断し(S1800)、確変当りを生じていない場合(S1800;NO)は、そのまま図柄変動関連処理を終了する。一方、確変当りを生じている場合(S1800;YES)、「確変当りの発生を示す演出」を行った後(S1810)、図柄変動関連処理を終了する。この「演出」は、「第2のモータ98の回転軸を所定量、正回転させ、可動演出装置80の上端側(柄部85)が、表示画面27aの前方に出現させた後、第2のモータ98の回転軸を所定量、反回転させ、可動演出装置80の姿勢を基本姿勢に戻すこと」を内容とする演出である。
(8)実施例の効果
本遊技機1では、伝達部材91の第1の回転方向への第1の回転量(N1度)になるまでは、第2の従動部材92及び拘束具部材90が動作し、伝達部材91の第1の回転方向への回転量が第1の回転量(N1度)を超えると、第1の従動部材84が動作する。一方、伝達部材91の第2の回転方向に回転すると、第2の従動部材92及び拘束具部材90は動作することなく、第1の従動部材84が動作する。そして、本遊技機1では、第1のモータ93の回転軸93aの回転方向のみならず、回転量を選択することでより効果的な演出を実行することができる。
つまり、伝達部材91の回転位置が原点位置(元の回転位置)にあるとき、拘束具部材90が傾動しない状態(拘束状態)で、刃部86が鞘部材88の後方に隠れた状態(刃が鞘に収まっている状態、つまり、収納状態)を実現できる。そして、伝達部材91の第1の回転方向への回転量を第1の回転量(N1度)までに制御すると、拘束具部材90を傾動した状態(解除状態)としつつ、刀を収納状態に維持する演出態様が実現される。つまり、「拘束具部材90による拘束演出(刀が抜かれることを、禁止しているように見せる演出)を、解除する演出を行いつつ、刀を収納状態に維持する演出態様が実現される。更に換言すると、「刀を今にも抜くぞ」と見せつつも、実は抜かないという演出(以下、「焦らし演出」という。)を行うことができる。
また、伝達部材91の第1の回転方向への回転量を第1の回転量(N1度)を超える量に制御すると、拘束具部材90を傾動させた状態(解除状態)としつつ、刃部86を鞘部材88の上方に出現させる(刀を鞘から抜く)演出態様(以下、「第1の抜き演出」という。)が実現される。つまり、伝達部材91の第1の回転方向への回転量を制御することで、前述の「焦らし演出」と「第1の抜き演出」とを択一に行うことができる。
一方、伝達部材91を第1の回転方向とは逆の「第2の回転方向」に回転させると、拘束具を「拘束状態」としつつ、刀を一気に「抜き状態」とする演出態様(以下、「第2の抜き演出」という。)が実現される。
すなわち、本実施例では、単一の「駆動手段(第1のモータ93)の回転軸93a」の回転方向及び回転量を制御することで、「焦らし演出(つまり、ガセ演出)」と「大当り用の演出」とを択一的に実現できる。しかも、回転軸93aの回転方向の選択により、可動物の可動態様が大きく異なる「大当り用の演出(第1の抜き演出、第2の抜き演出)」を択一的に実行することができる。
このように、本遊技機1によると、単一の駆動手段(第1のモータ93)の駆動制御を行うことで、効果的な演出を行うことができる。
特に、本実施例の遊技機1では、「第2の抜き演出」の実行確率を低く設定することで、演出効果を高めている。つまり、図49に示すように、大当り判定において、大当り判定が生ずる確率が約「1/400(但し、高確率時において約1/40)」とされ、外れ判定が生ずる確率が約「399/400(但し、高確率時において約39/40)」とされている。そして、「外れ判定に伴ってリーチ外れを生ずる確率」が、概ね「3/20」とされているため、「リーチ外れ演出(リーチ表示を伴う外れ演出)」が実行される確率は、「大当り演出」が実行される確率の概ね「60倍」とされている。
本実施例においては、「リーチ外れ演出」と「大当り演出」とが実行される際には、演出制御部220Aが、受信した変動パターン指定コマンド(CHP)に基づいて、特別演出の実行の可否を判断するのであるが、リーチ外れの場合も、大当りの場合も、概ね、同じ確率で特別演出が実行されるとすれば、「リーチ外れに伴う特別演出が実行される確率」は、「大当りに伴う特別演出が実行される確率」の概ね「60倍」となる。そして、図49に示すように、「第2の抜き演出」が実行される確率は、「1/10」と低く設定されているため、「第2の抜き演出」は「超プレミアムな演出(外れ用特別演出の発生確率の1/600の発生確率」となる。すなわち、「いきなり刀が抜かれる演出(第2の抜き演出)を生ずると、「その後、大当りが100%の確率で発生すること(信頼度の高い演出であること)」を示唆することとなる。
従って、本遊技機1によると、この希少な「第2の抜き演出」を遊技者の面前で実行することで、遊技者に強いインパクトを与えることができる。つまり、単一の駆動手段(第1のモータ93)の駆動制御を行うことで、遊技者に新鮮で強烈な印象を与えること(遊技者をびっくりさせること)ができる。