以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。よって、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて、構成部材の再利用が容易にされている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11を樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成するようにしてもよい。
内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂により構成されている。ABS樹脂は、材料コストが安価で、メッキ等ののりが良く装飾性に優れ、耐衝撃性が大きいので、内枠12の構成材料として好適である。内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて遊技球発射ハンドル18の設置箇所の反対側に上下に延設されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようにされている。開閉軸線は遊技球発射ハンドル18の反体側に設けられているので、内枠12を大きく開放することができる。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を遊技球発射ハンドル18側に設けると、内枠12と共に開放される遊技球発射ハンドル18が隣のパチンコ機10に当接して開放量が減少してしまうからである。
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲で内枠12を覆うようにして前面枠セット14が取り付けられている。下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。この内枠12の外周には、前面側へ突設された外周壁が形成されており、その外周壁の内側に前面枠セット14が配設される。即ち、内枠12に前面枠セット14を取り付けた状態では、前面枠セット14の側面外周は、内枠12の外周壁により囲繞されるので、内枠12と前面枠セット14との間への針金等の挿入を困難なものにして、不正行為を抑制することができる。
内枠12の上部には、円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ25が設けられている。この開閉スイッチ25は、前面枠セット14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠セット14が内枠12に対して閉じられている場合には開閉スイッチ25が押圧状態となり、逆に、前面枠セット14が内枠12に対して開放されている場合には開閉スイッチ25は非押圧の突出状態となって、前面枠セット14の開閉状態を検出する。また、内枠12の左上部(図2参照)には、配線孔26が穿設されている。配線孔26は、前面枠セット14の配線を内枠12を通過させて遊技盤30の裏面に配線するための孔である。配線孔26の角部にはRが形成されており、配線孔26内に配線される各コードが、角部で損傷しないようにされている。なお、図4に示す通り、遊技盤30の左上部にも配線孔26に対応して、配線孔37が穿設されている。
図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示した正面図である。図3では、便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。図3に示すように、下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16から排出された遊技球が下皿15内に貯留可能に構成されている。下皿ユニット13は、内枠12と同様に、難燃性のABS樹脂により形成されている。必ずしも、この下皿15のすべてをABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿15の表面部分、即ち下皿15の表面層と下皿15奥方の前面パネルとをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿15には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。なお、前面パネルには、スピーカからの音を出力するための多数のスピーカ孔24が穿設されている。
下皿15の正面下方部には、下皿15に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー17が設けられている。この球抜きレバー17は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿15の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー17の操作は、通常、下皿15の下方に、下皿15から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。また、下皿15の右方には、遊技球発射ハンドル18が下皿ユニット13から手前側へ突出した状態で配設されると共に、下皿15の左方には灰皿が片持状に取着されている。灰皿は下皿15に回転可能に取着された軸と共に手前方向及び奥方向へ回転可能にされている。このように、下皿15の一側に遊技球発射ハンドル18を、他側に灰皿を配設することにより、下皿ユニット13の左右の美的バランスを保ってパチンコ機10の装飾性を向上させている。
一方、図1に示すように、下皿15の上方における前面枠セット14には、球受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置へ導出するためのものである。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。これは、本実施の形態の前面枠セット14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるようにするために略楕円形状に大きく欠成された窓部101を備えているので、前面枠セット14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠セット14に上皿19を一体化して形成しているのである。この上皿19も下皿15と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。なお、遊技領域が、従来のパチンコ機に比べて如何に大きく形成されているかについては後述する。
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。この樹脂ベース20の後側には、遊技盤30が内枠12に対して着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板より構成され、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。即ち、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているのである。
次に、図4を参照して遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、大物口(始動口)33、小物門(スルーゲート)34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30の前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、大物口33に遊技球が入球し、後述する検出スイッチから所定の出力がなされると、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、小物門34の遊技球の通過をトリガとして小物図柄(普通図柄)を変動表示する小物図柄表示装置41と、大物口33への遊技球の入賞をトリガとして大物図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置としての大物図柄表示装置42とが設けられている。小物図柄表示装置41は、小物図柄用の表示部43と保留ランプ44とを有し、遊技球が小物門34を通過する毎に、表示部43において表示図柄(小物図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に大物口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球の小物門34の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44に点灯表示される。なお、小物図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部43において複数のランプの点灯を切り換えることにより行うものの他、大物図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ44の点灯についても、大物図柄表示装置42の一部で行うようにしても良い。
大物図柄表示装置42は液晶表示装置により構成されており、後述する表示制御装置45によって表示内容が制御される。大物図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして大物図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお、本実施の形態では、大物図柄表示装置42は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット35には、この大物図柄表示装置42を囲むようにして、センターフレーム400が配設されている。
可変入賞装置32は、その中央部に横長矩形状に形成された大入賞口を備えている。大入賞口は、通常時は、遊技球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。詳しくは、大物口33に遊技球が入賞すると、大物図柄表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生する。特別遊技状態が発生すると、可変入賞装置32の大入賞口が、遊技球が入賞しやすい状態、即ち所定の開状態となるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される(開状態となる)。
遊技球が大物口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。この保留ランプ46は、最大保留数分の4つ設けられ、大物図柄表示装置42の上方にバランス良く配設されている。なお、保留ランプ46を削除して、その点灯を、大物図柄表示装置42の一部で行うようにしても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて遊技領域に案内される。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール部51と外レール取付部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されると共に、外レール取付部52は、その一部(主に左側部)が内レール部51に向かい合うようにして形成されている。これら内レール部51と外レール取付部52とにより誘導レールが構成され、この内レール部51と外レール取付部52とが所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により、遊技球を遊技領域へ案内する球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、即ち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。
外レール取付部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール取付部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって、勢いが減衰されて跳ね返される。外レール取付部52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、長尺状のステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。更に、本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、即ち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路の入口には、その球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール部51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)へ導くためのものである。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられており、この貼着スペースK1,K2を確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。このように、遊技盤30自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙を遊技盤30に直接貼付することにより、その証紙により遊技盤30を一義的に特定することができる。即ち、遊技盤の不正な交換を容易に発見することができる。
従来のパチンコ機では、レールは遊技盤に直接打ち込まれていた。しかし、上述するように本実施の形態のパチンコ機10では、レールユニット50は、フランジ56にネジ等が挿通されて遊技盤30に締結されている。即ち、本実施の形態では、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成したため、レールを遊技盤に直接打ち込むことができないので、レールユニット50をフランジ56と共に樹脂で一体成形し、このフランジ56をネジ止め等して遊技盤30に締結している。かかる構成を採用した本実施の形態によれば、廃棄時にレールユニット50を遊技盤30から容易に取り外すことができるので、樹脂成形されるレールユニット50を容易にリサイクルすることができる。なお、遊技球の発射を安定して行わせるために、遊技球の発射側のレールユニット50は、より多くのネジにより他のレールユニット50の部分に増してしっかりと固定されている。このレールユニット50を構成する樹脂材料としては、摩擦抵抗の小さいフッ素入りのポリカーボネートが好適である。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部に略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール取付部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール取付部52の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール部51の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール部51及び外レール取付部52によって囲まれる領域のうち、内レール部51及び外レール取付部52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール取付部52によってではなく内レール部51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール取付部52によって特定される。従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
なお、可変表示装置ユニット35の両側に位置する小物門34は、該小物門34を通過した遊技球が遊技領域の中央へ寄せられる案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張された構成でも、遊技球を遊技領域中央の大物口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞し難くなることによる興趣の低下を抑制することができる。更には、遊技領域が左右方向に拡張されているので、風車、小物門34、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、可変表示装置ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができる。また、遊技領域が上下方向にも拡張されているので、更に風車、小物門34、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができる。
図3に戻って説明する。前記樹脂ベース20において、窓孔21の下方(遊技盤30の下方)には、遊技球発射装置より発射された直後の遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて遊技領域に案内される。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないので、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(即ち発射レール61を立ち上げるようにし)、更に発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール61を、遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間が形成され、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15へ排出される。本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール61の先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール取付部52に沿って流れ、外レール取付部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内される。よって、ファール球と次に発射される遊技球との干渉を抑制することができる。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側とにそれぞれガイド部材65,66を設置したので、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球は常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作を実現できる。
また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。この打球槌に関しては軽量化が望まれているので、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなる。
排出口67は上皿19に通じており、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される(払い出される)。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられており、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67を閉鎖するように構成されている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるように構成されている。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部の貼着スペースK1に張られたシール等は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
図3における内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。また、前面枠セット14の図12の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14を開閉可能に装着することができる。更に、支持金具81の支持孔83は切欠を有し、且つ図12に図示する通り支持金具151の下端部は細く形成されているので、支持金具151を支持孔83から完全に抜かなくても、支持金具151の細い部分を支持孔83の切欠に通すことによって前面枠セット14を内枠12(パチンコ機10)から容易に取り外すことができる。
次に、図4及び図5を参照して、センターフレーム400について説明する。図5は、センターフレーム400の下部周辺を拡大して示した斜視図である。センターフレーム400は、図4に示すように遊技盤30(パチンコ機10)の正面視において、大物図柄表示装置42の周りを囲う形状に形成される。このセンターフレーム400は、合成樹脂材料で形成され、その内部には上述した保留ランプ44,46等を含む複数のランプが備えられる。
センターフレーム400には、その左右両側に、遊技球が通過可能にトンネル状に形成された導入経路(いわゆるワープルート)401,402が設けられている。導入経路401,402は、遊技球の外径分より大きな幅を持たせた略矩形の断面形状に形成され、大物図柄表示装置42の上部の高さで左右両側に開口する入口401a,402aと、大物図柄表示装置42の下側に形成されたステージ403(図5参照)とを連続させる。入口401a,402aへ流入した遊技球は、導入経路401,402を経由してステージ403上に導かれる。なお、入口401a,402aは、必ずしも大物図柄表示装置42の左右両側に形成する必要はなく、大物図柄表示装置42の上側に形成しても良い。また、センターフレーム400に設けられる入口401a,402aの数は、2つに限定されるものでなく、いずれか1つ、或いは左右両側と上側など3つ以上としても良い。
センターフレーム400の下部には、図5に示すようにステージ403が設けられている。ステージ403は、導入経路401,402を経由して誘導された遊技球をセンターフレーム400の下部中央に誘導するものである。ステージ403は、その中央に向けて左右両側から一旦下降傾斜した後、中央部に近い側で再度上昇するように、即ち、中央部と左右両側が高く、その途中が低く窪んだ形状に形成されている。また、ステージ403の中央部は、左右に分断されており、その分断された中央部分には、遊技領域と平行な軸であって略水平な回動軸410a(図7参照)により回動可能にセンターフレーム400に支持された振分ローラ410が設けられている。
ここで、図6及び図7を参照して振分ローラ410について説明する。図6は、振分ローラ410を示す斜視図であり、図7は、振分ローラ410に設けられる4本の溝411〜414を別々に示した図である。
振分ローラ410は、図6に示すように円筒状に形成されたものであり、その両端には細く棒状に突出した回動軸410aが設けられる。両端の回動軸410aがセンターフレーム400に設けられる穴(図示せず)に差し込まれることにより、振分ローラ410は、回動可能となっている。この振分ローラ410は合成樹脂を射出成型して形成され、その外周面には、遊技球を予め定めた方向に沿って転動させるための4本の溝411〜414が形成されている。
また、振分ローラ410は、4本の溝411〜414の形成により溝411〜414のない外周面(突出部)415が回動軸410aから振分ローラ410の半径方向に突出した形状となっている。この突出部415は、溝411〜414がステージ403に連続する上方には位置していないときにステージ403と振分ローラ410との境界に段差を形成する。この段差により、ステージ403を転動して振分ローラ410が位置するステージ403中央部に到達した遊技球の振分ローラ410側への進行が阻止され、ステージ403の右側又は左側における流下部U1,U2(図5参照)から遊技盤30前面に遊技球が流下する。
図7(a)は、振分ローラ410に形成される溝(第1溝)411の形状を示している。第1溝411は、振分ローラ410の中央部と右側端部とを結ぶ直線状に円筒の外面が窪み、更に中央部において図7(a)の上側に連続して窪んだL字状に形成されている。また、振分ローラ410の外周面415には、各溝411〜414を識別するための「1」から「4」までの数が表示(印字)され、また、各溝411〜414には、遊技球が案内される方向を示す矢印が表示される。
図7(b)は、図7(a)に示す第1溝411に対して回動軸410aを中心に90度離間した位置に形成された溝(第2溝)412の形状を示している。第1溝411が振分ローラ410の上方に位置した状態から、その前面側が上昇するように(図5の矢印R方向に)振分ローラ410が90度回動すると、振分ローラ410の上方に第2溝412が位置する。この第2溝412は、第1溝411とは逆に振分ローラ410の左側端部と中央部とを結ぶ直線状に円筒の外面が窪み、更に中央部において第1溝411とは反対側(図7(b)の下側)に連続して窪んだL字状に形成されている。
図7(c)は、図7(a)に示す第1溝411に対して回動軸410aを中心に180度離間した位置、即ち、第1溝411の裏側に形成された溝(第3溝)413の形状を示している。第1溝411が振分ローラ410の上方に位置した状態から、その前面側が上昇するように振分ローラ410が180度回動すると、振分ローラ410の上方に第3溝413が位置する。この第3溝413は、第1溝411とは左右対称の形状、即ち、振分ローラ410の左側端部と中央部とを結ぶ直線状に円筒の外面が窪み、更に中央部において第1溝411と同一の周方向(図7(b)の上側)に連続して窪んだL字状に形成されている。
図7(d)は、図7(a)に示す第1溝411に対して回動軸410aを中心に270度離間した位置、すなわち第2溝412の裏側に形成された溝(第4溝)414の形状を示している。第1溝411が振分ローラ410の上方に位置した状態から、その前面側が上昇するように振分ローラ410が270度回動すると、振分ローラ410の上方に第4溝414が位置する。この第4溝414は、第2溝412に対して左右対称の形状、即ち、振分ローラ410の右側端部と中央部とを結ぶ直線状に円筒の外面が窪み、更に中央部において第2溝412と同一の周方向(図7(b)の下側)に連続して窪んだL字状に形成されている。
また、第1溝411から第4溝414において、振分ローラ411の中央部よりその周方向に沿って連続した経路は、各溝がその上方に位置したときに連続する側に下降するように傾斜して形成されている。これにより、遊技球が各溝411〜414上を転動中に停留し難くなり、各溝411〜414上を経由中の遊技球が後続の遊技球に衝突され難いようになっている。
図4及び図5に戻って説明する。図5に示すように、第1溝411が振分ローラ410の上側に位置した状態においては、振分ローラ410の右側から近づいた遊技球は第1溝411上へ転動し、溝411に沿って振分ローラ410の中央部にまで転動した後、溝411の形状に沿って進行方向を右に変え、大物図柄表示装置42側へ誘導される。振分ローラ410と大物図柄表示装置42との間には特別穴404が形成されており、第1溝411上を転動した遊技球は特別穴404へ誘導される。
ここで、図8を参照して特別穴404について説明する。図8は、図4のSa−Sa線で遊技盤30を断面視して示した図である。なお、図8においては、理解の容易のために特別穴404を形成するセンターフレーム400等の主要な部材のみを示し、他の部材を省略して示している。特別穴404は、センターフレーム400により形成されたものであり、ステージ403上で転動する遊技球が流下する流下部の1つを形成する。この特別穴404は、振分ローラ410の後側と下側とを接続する経路により円穴405に連続している。特別穴404から円穴405を経由した遊技球は、円穴405のすぐ下にある大物口33にほぼ確実に入賞する。4本の溝411〜414のうち第1溝411又は第3溝413が振分ローラ410の上方に位置すると、ステージ403の右側又は左側と特別穴404とが連続した状態となり、導入経路401,402を経由してステージ403上へ誘導された遊技球は振分ローラ410の溝上を転動して特別穴404へ流下する。
4つの溝411〜414がステージ403に連続していない場合、又は、いずれかの溝がステージ403に連続しているものの、ステージ403と溝とが連続していない側から遊技球が振分ローラ410に近づく場合には、振分ローラ410の突出部415により形成される段差に遊技球が衝突して跳ね返され、ステージ403の窪んだ位置(左右の流下部U1,U2)において遊技盤30の前面に流下する。左右の流下部U1,U2から流下した遊技球は、その下側にある釘に衝突し、特別穴404を通過する場合に比べて低確率で大物口33に入賞する。
パチンコ機10の正面視における振分ローラ410の右側には、図4に示すように、振分ローラ410に駆動力を付与するためのモータ420が設けられている。このモータ420は、パチンコ機10の電源基板に接続されており、電源が投入されると一定速度で常時回動する。モータ420と振分ローラ410とにはそれぞれを連結するギアが接続されており、モータ420の回動力がギアを介して振分ローラ410に伝達されることにより振分ローラ410が回動する。また、モータ420は、図5に示す矢印R方向に振分ローラ410が回動するように駆動される。これにより、パチンコ機10の電源がオンとなって遊技者が遊技を行う間は振分ローラ410は常時矢印R方向に回動する。
なお、振分ローラ410を必ずしも矢印R方向に回動させる必要はなく、その反対方向に回動させても良い。また、必ずしも一方に回動させる必要はなく所定数の回転毎(例えば10回転毎)に回動方向が切り替わるなど、両方向に回動させるようにしても良い。また、モータ420は、本実施例においては電気モータによって構成されるものであるが、ステッピングモータやサーボモータ等の別のモータで構成しても良い。また、モータに代えてソレノイド等の別の装置によって振分ローラ410に駆動力を付与するようにしても良い。ソレノイドによる駆動力の付与は、一方側と他方側とに振分ローラ410が揺動するようにしても良い。
次に、図4及び図9を主に参照して、上述したセンターフレーム400と振分ローラ410とによる遊技球の誘導について遊技の進行に沿って説明する。遊技者により遊技球発射ハンドル18(図1参照)が回動操作されると、遊技球が遊技領域へ向けて発射される。遊技者により発射された遊技球が図4に示す大物口33に入賞すると変動表示の始動条件の成立となり、後述する主制御装置261により大当たり抽選が行われ、その抽選結果に基づいて主制御装置261及び後述する表示制御装置45が大物図柄表示装置42に図柄の変動表示を行わせる。主制御装置261による大当たり抽選において大当たりの抽選結果が導出されると、変動表示に大当たり図柄の組み合わせが現出させられると共に、可変入賞装置32の大入賞口が閉状態から、遊技球が入賞し易い開状態に切り替わり、遊技者に対する所定の遊技価値の付与として大入賞口が繰り返し開放される。
遊技領域へ打ち込まれた遊技球が大物口33へ入賞するまでの経路については、センターフレーム400の外側を通る経路と、センターフレーム400に形成された導入経路401,402を通る経路とがある。センターフレーム400の外側を通る経路は、遊技盤30の前面に設けられた多数の釘と風車とにより誘導される遊技球が偶発的に大物口33にまで誘導される。この大物口33は通常大物図柄表示装置42の下側に設けられるため、大物図柄表示装置42が大型化されるほど釘等により大物口33に遊技球を近寄らせることは難しい。
センターフレーム400に形成された導入経路401,402を通る経路は、遊技盤30の前面を流下中の遊技球が2つの導入経路401,402の入口401a,402aのいずれかに流入した場合に大物口33へ誘導される経路である。入口401a,402aに流入した遊技球は、導入経路401,402を経由してセンターフレーム400により形成されるステージ403上へ誘導される。ステージ403上へ誘導された遊技球は、ステージ403の左右それぞれの中央部に設けられる2つの流下部U1,U2(図5参照)、特別穴404(振分ローラ410の奥側)、及び、振分ローラ410の手前側のいずれかへ誘導され、ステージ403又は振分ローラ410の上から遊技盤面(遊技盤30の前面)へ向けて流下する。
ステージ403と振分ローラ410とは、大物図柄表示装置42と大物口33との間にあるので、導入経路401,402へ流入した遊技球は、センターフレーム400の外側を通る場合に比較して大物口33の上側へ確実に誘導される。この導入経路401,402を設けることにより、大物図柄表示装置42が大型化されても大物口33に遊技球を近寄らせることが簡易になるので、近年の大型化された表示装置が設けられるパチンコ機に広く採用されている。
ここで、図9を参照して、センターフレーム400に形成された導入経路401,402を経由した遊技球が大物口33へ入賞する態様について説明する。図9(a)から図9(d)は、振分ローラ410に設けられる4本の溝411〜414が振分ローラ410の上側に位置した状態をそれぞれ示した図である。
図9(a)に示すように、第1溝411が振分ローラ410の上方に位置した状態においては、左側の導入経路401よりステージ403上に誘導された遊技球は振分ローラ410に向けて進行した後、振分ローラ410の突出部415により形成される段差に跳ね返され、左側の流下部U1より遊技盤30の前面へ流下する。流下部U1より遊技盤30の前面へ流下した遊技球は、特別穴404を通過する場合より低確率で大物口33に入賞する。一方、右側の導入経路402よりステージ403上に誘導された遊技球は振分ローラ410に向けて進行した後、ステージ403に連続する第1溝411に沿って振分ローラ410の中央部に進行した後に特別穴404側へと誘導される。特別穴404に誘導された遊技球は、円穴405(図5参照)を経由してほとんど確実に大物口33へ入賞する。
第2溝412が振分ローラ410の上方に位置した状態においては、図9(b)に示すように、左側の導入経路401よりステージ403上に誘導された遊技球は振分ローラ410に向けて進行した後、ステージ403に連続する第1溝412に沿って振分ローラ410の中央部に進行した後に振分ローラ410の手前側(図9の下側)へと誘導される。ここで、振分ローラ410の手前側真下には、大物口33が位置するものの、図5に示すように、円穴405(図5参照)より高い位置から大物口33へ向けて遊技球は流下する。このため、円穴405を経由する場合に比べて遊技球に勢いがつき大物口33への入賞はし難くなっている。釘の調整によるものの、例えば5分の1程度の確率で大物口33へ入賞する。ただし大物口33の真上に遊技球が流下するため、左右の流下部U1,U2を経由する場合よりは高確率で大物口33へ入賞する。一方、右側の導入経路402よりステージ403上に誘導された遊技球は振分ローラ410に向けて進行した後、振分ローラ410の突出部415により形成される段差に跳ね返され、右側の流下部U2より遊技盤30の前面へ流下する。
第3溝413が振分ローラ410の上方に位置した状態においては、図9(c)に示すように、左側の導入経路401よりステージ403上に誘導された遊技球は特別穴404側へと誘導され、円穴405(図5参照)を経由してほとんど確実に大物口33へ入賞する。右側の導入経路402よりステージ403上に誘導された遊技球は右側の流下部U2より遊技盤30の前面へ流下し、低確率で大物口33へ入賞する。
第4溝414が振分ローラ410の上方に位置した状態においては、図9(d)に示すように、左側の導入経路401よりステージ403上に誘導された遊技球は左側の流下部U1より遊技盤30の前面へ流下し、右側の導入経路402よりステージ403上に誘導された遊技球は特別穴404側へと誘導されて大物口33へ高確率で入賞する。なお、いずれの溝411〜414も振分ローラ410の上方に位置しない途中の状態においては、両側の導入経路401,402よりステージ403上に誘導された遊技球は各側に形成された流下部U1,U2より遊技盤30の前面へ流下する。
これら4本の溝411〜414が形成された振分ローラ410には、モータ420により駆動力が付与されており、振分ローラ410は常時回動している。このため、4本の溝411〜414のうち第1溝411又は第3溝413が振分ローラ410の上方に位置してステージ403と特別穴404との間が連続させられた状態(誘導状態)と、非連続とされた状態(非誘導状態)とが刻々と切り替えられる。誘導状態においては、第1溝411又は第3溝413のいずれかによってステージ403と特別穴404との間が連続するので、その連続した側からステージ403上へ誘導された遊技球は、溝を経由して特別穴404へと流入し得る。一方、非誘導状態においては、ステージ403上へ誘導された遊技球は特別穴404へは誘導されず、2つの流下部U1,U2(図5参照)または振分ローラ410の手前側を経由して遊技盤30前面へ流下する。
このように、振分ローラ410の状態に対応して特別穴404へ遊技球が誘導される確率が変化し、ステージ403又は振分ローラ410より遊技球が流下する部位が振分ローラ410の状態に対応して変化する。ステージ403等より遊技球が流下する部位のうちでは、特別穴404へ誘導される場合に限って大物口33へ遊技球がほぼ確実に入賞するので、4本の溝411〜414のうち第1溝411又は第3溝413が振分ローラ410の上方に位置したときには大物口33への遊技球の入賞確率が上昇する。よって、大物口33への遊技球の入賞確率(始動入賞率)を時間の経過に対応して変化させることができる。
ここで、遊技中に大物口33へ遊技球が近寄らないと、遊技者には無駄に遊技球を消費している感じを抱かせて弾球遊技に対する不満感を募らせ易い。パチンコ機10においては、導入経路401,402へ流入する遊技球の数を増加させても、振分ローラ410により始動入賞率を変化させ、始動入賞率の低い状態を選択的に発生させることができるので、結果として始動入賞率を上げ過ぎることなく大物口33へ多くの遊技球を近寄らせて大物口33への入賞機会を生じさせることができる。
また、4本の溝411〜414のうち第1溝411又は第3溝413が振分ローラ410の上方に位置した誘導状態では、特別穴404に連続したステージ403の一方側に遊技球が流下した場合にほぼ確実に大物口33へ入賞する。よって、遊技者には、振分ローラ410の状態によってはパチンコ機10のステージ403及び振分ローラ410による始動入賞を信頼させることができる。従って、大物口33への入賞が生じ難い構造であるとして敬遠されることを少なくすることができる。
また、振分ローラ410が回動し続ける期間中には、導入経路401,402からステージ403上に遊技球が誘導されるタイミングにおける振分ローラ410の状態は毎回異なったものとなり、特に2本の導入経路401,402のどちらから遊技球が誘導されたかによってその後に大物口33へ入賞する確率が異なったものとなる。よって、導入経路401,402へ遊技球が誘導されると、遊技者は、その誘導されたタイミングと振分ローラ410の状態との組み合わせによって、大物口33への入賞に対して異なる期待を抱く遊技を楽しむことができる。
更に、モータ420が振分ローラ410に駆動力を付与して第1溝411又は第3溝413が振分ローラ410の上方に位置した状態では、ステージ403の一方側と第1溝411又は第3溝413とにより一方の導入経路401,402の入口と特別穴404とを結ぶ経路が形成される。このため、遊技球は、ステージ403上や振分ローラ410上等の経路の途中で停留することなく転動して特別穴404へ誘導することができる。
ここで、遊技球をステージの上等に一旦停留させてから遊技盤面へ向けて流下させるパチンコ機においては、一旦停留状態となった遊技球に後続の遊技球が追突して始動入賞率の低い流下部へ遊技球が流されることがあり、遊技者がその追突を避けようと遊技球の発射を止めることがあった。本実施形態のパチンコ機10においては、遊技球は経路の途中で停留することなく転動して特別穴404へ誘導されるので、遊技球同士の衝突が少なくなり、遊技球の発射停止による稼働の低下を抑制することができる。
また、センターフレーム400は、大物図柄表示装置42の右側の入口402aとステージ403とを連続させる右側の導入経路402と、大物図柄表示装置42の左側の入口401aとステージ403とを、右側の導入経路402とは別の出口で連続させる左側の導入経路401とを形成している。このため、第1溝411が振分ローラ410の上方に位置し、右側の導入経路402の入口402aと特別穴404とが結ばれた状態において右側の導入経路402へより多くの遊技球が流入するように、遊技者が遊技球発射ハンドル18を回動操作することで特別穴404を経由しての大物口33への入賞が多くなる。一方、第3溝413が振分ローラ410の上方に位置し、左側の導入経路401の入口401aと特別穴404とが結ばれた状態においては左側の導入経路401へ多くの遊技球が流入するように、遊技者が遊技球発射ハンドル18を回動操作することで大物口33への入賞が多くなる。
つまり、振分ローラ410の状態に応じて有利になる別々の出口からステージ403へ遊技球が流入されるように、いずれかの導入経路の入口を遊技者に選択して狙うことによりその操作に応じて始動入賞率を変化させることができる。よって、大物図柄表示装置42の変動表示に傾注しがちな遊技者の意識を弾球遊技にも向けさせて遊技の面白みを増大させることができる。
更に、第1溝411によって振分ローラ410の右側端部でステージ403と特別穴404との間を連続させる経路が形成される場合には、その左側端部ではステージ403と特別穴404との間が突出部415により遮断される。逆に、第3溝413により振分ローラ410の左側端部でステージ403と特別穴404との間を連続させる経路が形成される場合には、その右側端部ではステージ403と特別穴404との間が突出部415により遮断される。このため、振分ローラ410が1回転する間にステージ403上を転動する遊技球が特別穴404へ誘導され得る期間は、第1溝411が振分ローラ410の上方に位置した期間と第3溝413が振分ローラ410の上方に位置した期間とを加えた期間となる。よって、ステージ403の左右両側と特別穴404とを結ぶ経路が同時に形成される場合に比較して、遊技者に特別穴404へ遊技球が誘導される機会を長く提供することができる。
また、第1溝411と第3溝413とは、共に、振分ローラ410の左右方向において同一の位置となる中央部にまで窪んで形成されるので、第1溝411と第3溝413とによりステージ403と結ばれる特別穴404は1箇所に共通化することができる。よって、第1溝411と第3溝413とに対して別々に特別穴を設ける場合に比較して特別穴の構成を単純にし、パチンコ機10のコストを低減したり、他の構造物の配置スペース拡大により設計自由度を向上することができる。
更に、第1溝411と第4溝414とは、図9(a)及び図9(d)に示すように、共に振分ローラ410の右端部側と中央部とを結ぶものであり、ステージ403上における振分ローラ410の右端部側へ経由された遊技球は、その右端部側へ遊技球が到達したとき誘導される溝により振分ローラ410の中央部まで誘導されてから特別穴404側又は振分ローラ410の前面側へ振り分けて誘導される。よって、振分ローラ410の溝を経由する頻度を高めつつ、別々の流下部へ遊技球を誘導して特別穴404へ過度に遊技球が誘導されて始動入賞率が高くなり過ぎるのを抑制することができる。
また、振分ローラ410は、遊技領域にほぼ平行かつ略水平な回動軸410aを中心に回動するものであり、モータ420により遊技者が位置する前面側が上昇し遊技者から離れた側が下降するように回動する。このため、遊技者は、次に振分ローラ410の上方に位置してステージ403に連続する溝を予め視認することができる。即ち、遊技者には、モータ420により振分ローラ410が回動する速度や溝の位置等から、次の溝がステージ403に連続する時期やその形状を予め認識させることができる。よって、次に第1溝411又は第3溝413が上方に位置して特別穴404とステージ403とが連続する場合には、特別穴404へ遊技球が誘導される期待感を徐々に増大させることができる。これにより、大物図柄表示装置42の変動表示に傾注しがちな遊技者の意識を弾球遊技にも向けさせることができるのである。
更に、モータ420は電源投入後に常時一定速度で回動し、振分ローラ410には、常時一定速度で回動するように駆動力が付与される。よって、振分ローラ410は、一定周期で規則的な動作を行うこととなり、パチンコ機10としての始動入賞率を一定に維持することができる。
また、パチンコ機10のように大物図柄表示装置42が大型の液晶ディスプレイで構成されるとその下側に位置する大物口33へ釘や風車のみで遊技球を近寄らせることが困難であるので、振分ローラ410により大物口33への遊技球の入賞確率(始動入賞率)を時間の経過に対応して変化させることが好ましい。導入経路を利用して大物口33の上側へ確実に遊技球が近寄る構造としつつ、導入経路を経由した遊技球の始動入賞率を抑えることができる。つまり、遊技領域を広くしたパチンコ機ほど大型の表示装置を設けることができ、遊技領域を広くする構成を有するパチンコ機に対して導入経路を経由した遊技球の始動入賞率を変化させることが好ましいのである。遊技領域を広く設けたパチンコ機の構成としては、遊技盤30を支持する内枠に対してその遊技盤30の前面を開閉可能な部材(前面枠セット14)に球受皿(上皿19)を一体化したパチンコ機、遊技盤30前面の遊技領域を外部から視認するための窓部101を略楕円形状に欠成したパチンコ機、或いは、遊技領域が左右方向に最大幅となる位置とは異なる位置に前面枠セットや内枠等の施錠と解錠とを行わせる施錠用の鍵穴を配置したパチンコ機等が挙げられる。
なお、モータ420は、必ずしも常時一定速度で振分ローラ410が動作するように回動させる必要はなく、一定周期で規則的に回動と停止とを繰り返したり、振分ローラ410の回動速度が変化するように回動させても良い。例えば、各溝411〜414が上方に位置する毎に一旦停止し、その後に次の溝が上方に位置するまで回動を行わせるようにしても良い。また、モータ420を遊技の内容に応じた別々の速度で回動するように後述する主制御基板C等で制御し、各溝411〜414がステージ403に連続する時間が遊技の内容に対応して長くなったり、短くなったりするように振分ローラ410に駆動力が付与されるようにしても良い。例えば、大当たりとなって大入賞口が繰り返し開放される期間中には第1溝411と第3溝413とが振分ローラ410の上方に位置した状態の継続時間を長くして大当たり中の入賞が増大するように構成しても良い。
次に、図10及び図11を参照して上記実施形態(以下、適宜「第1の実施形態」と略す。)とは異なる他の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態におけるセンターフレーム450の下部周辺を示した斜視図であり、図11は第2の実施形態におけるセンターフレーム450の下部を上面視した図である。以下、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
第2の実施形態におけるセンターフレーム450は、第1の実施形態におけるセンターフレーム400に対して振分ローラ410より遊技盤30(パチンコ機10)の前面側にステージ451が追加されている。このステージ451は、遊技盤30の正面視において中央部が窪んだ形状に形成されると共に、その左右両側においては振分ローラ410側に傾斜し、中央部のみが遊技盤30の前面側に傾斜する形状となっている。
センターフレーム450には、第1の実施形態と同様に左右の導入経路401,402が設けられ、その導入経路401,402に流入した遊技球は、図11に矢印で示すように、ステージ451を経由した後にその奥側のステージ452を経由して振分ローラ410の位置へ誘導される。振分ローラ410の第1溝411又は第3溝413によって特別穴404に誘導されると、遊技球は円穴405(図10参照)を経て大物口33へほぼ確実に入賞する。一方、特別穴404に誘導されなかった遊技球は、ステージ451の中央部より遊技盤30の前面へ流下して特別穴404を経由する場合より低確率で大物口33へ入賞する。
このように、ステージ451は、振分ローラ410より遊技者が位置する前面側(遊技盤30の前面側)で振分ローラ410を横切る経路を形成するので、振分ローラ410の前を遊技球が一旦通過した後、振分ローラ410により形成される第1溝411又は第3溝413を経由して特別穴404へ遊技球が誘導される。このため、遊技者は、遊技球が振分ローラ410の前を通過したときの振分ローラ410の状態と、その後に振分ローラ410の溝により遊技球が特別穴404へ導かれるか否かとを、視点の移動をほとんどせずに確認することができる。よって、導入経路401,402へ遊技球が流入することを確認しなくても始動入賞に対する期待感に対して抑揚を持たせることができ、弾球遊技の面白みを簡易に増大することができる。
次に、第1の実施形態に戻り、図1及び図12を参照して、前面枠セット14について説明する。図12は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には、遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。この窓部101の略中央部を直線状に形成してもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール取付部52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の可変表示装置ユニット35を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図12では右側に示されている)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール取付部52の左端部はもちろん、内レール部51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール取付部52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール部51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
加えて、前面枠セット14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行って、大当たり中であることを報知する。更に、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。
また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓107が設けられている。環状電飾部102が手前に凸に形成されているのに対し、小窓107は平らに形成されている。前述した通り、小窓107の背面には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられているので、そこに貼着されたシール等の内容を、スキャナなどの読み取り装置によって光学的に読み取り可能とするために平らにされているのである。また、小窓107部分を平らに形成することによって、2台のパチンコ機10間に配設される球貸機(図示せず)の貸し球レールがパチンコ機10から遊技者側へ出っ張らないようにして、球貸機を配設することができる。
窓部101の下方には貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には、球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化を図ることができる。
図12に示すように、前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図12の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。この樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134が前面枠セット14にて環状にループ接続されるのを防いでいる。金属製の補強板131〜134が環状にループ接続されていると、遊技球の発射動作に伴う電磁ノイズが遊技盤30の前面に配設された前面枠セット14の周囲をループし、遊技盤30に悪影響を及ぼして、パチンコ機10の誤動作を誘発するが、本実施の形態のパチンコ機10では、樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134の環状接続を回避しているので、かかるノイズの悪影響を抑制することができる。なお、金属製の補強板131〜134の一部に樹脂パーツ135を使用することによる強度の低下は、その樹脂パーツ135にリブを設けたり、樹脂パーツ135の厚さを増して、補っている。
図12の右側の補強板131には、その中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりを防止することができる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等を抑制することができる。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となって、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着される。
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内レール部51及び外レール取付部52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うように前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
また、レールカバー140の右端部(即ち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図12の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
更に、レールカバー140には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図12の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた場合には、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール部51にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良い。かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させ難くなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
次に、図13から図18を参照して、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図13はパチンコ機10の背面図であり、図14はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示した分解斜視図である。図15は、パチンコ機10裏面における第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203の配置を示す模式図であり、図16は、内枠12及び遊技盤30の構成を示す背面図である。図17は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図18は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称する。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成について後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
実際には、図15の概略図に示すように、各ユニット201〜203が上下に並んで配置され、取り付けられている。なお、図15において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
更に、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
一方、図16は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態を示す背面図である。また、図17は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図18は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。ここでは図16〜図18を用いて、内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図16は、係止固定具211,212がロック位置にある状態を示している。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤30を固定した状態では内枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具で構成される。
遊技盤30の中央には、可変表示装置ユニット35が配置されている。可変表示装置ユニット35においては、センターフレーム400(図4参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる大物図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム400に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31、可変入賞装置32、大物口33(それぞれ図4参照)の遊技盤30開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図16に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、更に排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10の外部に排出される。
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤30の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32には、特定領域スイッチ222とカウントスイッチ223とが設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり状態で可変入賞装置32に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ223は入賞球をカウントするスイッチである。また、大物口33に対応する位置には作動口スイッチ224が設けられ、小物門34に対応する位置にはゲートスイッチ225が設けられている。
入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、更にこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。また、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続され、更にこの大入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。これに対し、作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置261に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、大物口33には、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。なお、図16において、パチンコ機10の裏面左下方部には打球槌等を備えるセットハンドル228が配設され、その左横には発射モータ229が配設されている。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、図18に示すように遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の背面右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)232が設けられ(図16参照)、同左上部には係止爪片233が設けられている。
内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、図16に示すように、内枠12の背面右端部には、図19に示す長尺状の支持金具235が取り付けられている。図19に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット202用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット203用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、内枠12には、図16に示すように、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット202用の支持金具と裏パックユニット203用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。また、裏パックユニット203用の取付機構として回動式の3つの固定具241,242,243が内枠12に設けられており、それら固定具241,242,243と遊技盤30との間に裏パックユニット203は挟み込んで支持される。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。即ち、図17に示す遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。また、内枠12の下端部には、下皿15に穿設されたスピーカ孔24の背後を囲む樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられ、そのスピーカボックス246内にスピーカが設置されている。このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
次に、図20〜図23を参照して、第1制御基板ユニット201を説明する。図20は第1制御基板ユニット201の正面図であり、図21は同ユニット201の斜視図であり、図22は同ユニット201の分解斜視図であり、図23は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、遊技の主たる制御を司る1チップマイコンとしてのMPU501(図30参照)、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図21等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る1チップマイコンとしてのMPUや、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力される。
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
一方の基板搭載面252上には、主制御装置261が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上には、音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図21等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図22及び図23に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置261は第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
取付台251には、図21等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図18等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図18等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図18等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、支持金具231及び支軸256が前記図15の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、図24〜図26を参照して、第2制御基板ユニット202を説明する。図24は第2制御基板ユニット202の正面図であり、図25は同ユニット202の斜視図であり、図26は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなす1チップマイコンとしてのMPU、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機10の前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ358a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータ358aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
また、取付台301には、図24等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図16等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図16等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図15の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、図27及び図28を参照して、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、図27はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット203の背面図を示しており、図28はその分解斜視図を示している。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。即ち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、更にタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図28に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ360を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ360は、ユニット化されているので、タンクレール356へ容易に取り付けることができる。
ここで、図29を参照してタンクレール356の構成について詳述する。図29は、タンクレール356の分解斜視図である。タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355から落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、更にその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消される。なお、レール本体361は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
図27及び図28に戻って説明する。払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック351には、図27等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図16等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図16等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図16等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。固定具242及び係止孔387の部分にナイラッチを使用しないのは、図27における係止孔387の左隣に遊技球を貯留するタンク355が設けられるので、この部分を強固に固定するためである。固定具242の固定時には、図16等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図15の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
次に、図30を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込処理(図40参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図33参照)において実行される。なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
表示制御装置45は、小物図柄表示装置41における小物図柄(普通図柄)の変動表示と、大物図柄表示装置42における大物図柄(特別図柄)の変動表示とを制御するものである。表示制御装置45は、MPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力側には主制御装置261の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、MPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力側には小物図柄表示装置41や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力側には大物図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のMPU521は、主制御装置261から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて小物図柄表示装置41及び大物図柄表示装置42の表示を制御する。ROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、大物図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き替えることにより、大物図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、大物図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して大物図柄表示装置42に表示させるものである。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323を有するRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては、払出制御装置311を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323が押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア503a,513aのデータをクリアする。
ここで、図31を参照して、大物図柄表示装置42の表示内容について説明する。大物図柄表示装置42には、左・中・右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成され、これら各主図柄及び副図柄がそれぞれ大物図柄を構成している。各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。即ち、各図柄列には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の大物図柄が設けられ、各図柄列毎に20個の大物図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示される。特に、左図柄列においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列及び右図柄列においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。大物図柄表示装置42には、各図柄列毎に上・中・下の3段に大物図柄が表示される。従って、大物図柄表示装置42には、3段×3列の計9個の大物図柄が表示される。また、大物図柄表示装置42には、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして、大当たり動画が表示される。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や大物図柄表示装置42の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図32に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大物図柄表示装置42の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、大物図柄表示装置42が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、大物図柄表示装置42の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。また、小物図柄表示装置41の抽選には小物図柄乱数カウンタC4が用いられる。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、MPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、大物口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜676)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が大物口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、大物図柄の組合せが予め定められた確率変動図柄の組合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、大物図柄表示装置42の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、大物図柄表示装置42において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されているので、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。即ち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が大物口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、リーチ乱数カウンタC3=0,1は前後外れリーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=2〜21は前後外れ以外リーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=22〜238は完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、大物図柄表示装置42の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が大物口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、大物図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列大物図柄、中列大物図柄、右列大物図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の大物図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、MPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する。即ち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、大物図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
小物図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。小物図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの小物門(スルーゲート)34を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
次に、図33から図40のフローチャートを参照して、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図38は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置261のMPU501により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S601)。即ち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S602)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する(S603)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。その後は、大物口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S604)。
図39のフローチャートを参照して、この始動入賞処理を説明する。まず、遊技球が大物口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する(S701)。遊技球が大物口33に入賞したと判別されると(S701:Yes)、大物図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S702)。大物口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S702:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S703)、更に、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S704)。一方、大物口33への入賞がないか(S701:No)、或いは、大物口33への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S702:No)、S703及びS704の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理の終了後は、MPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
なお、遊技球が大物口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、大物図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(S704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットする。具体的には、上記始動入賞処理は2ms周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する大物図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定される。
図40は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置261のMPU501により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から主制御装置261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図40のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM503のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のMPU511のNMI端子に出力され、MPU511は実行中の制御を中断して図40のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
図33は、主制御装置261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM503のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM503の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM503の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116)、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図34のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S207の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置45に送信する。なお、大物図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(即ち、4ms毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間終了のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。更に、外れ図柄カウンタ更新処理により、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する(S203)。
ここで、図35を参照して、外れ図柄カウンタ更新処理を説明する。まず、左図柄列の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し(S301)、更新時期であれば(S301:Yes)、左図柄列の外れ図柄カウンタCLを更新する(S303)。次に、左図柄列の更新時期でなければ(S301:No)、中図柄列の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別し(S302)、更新時期であれば(S302:Yes)、中図柄列の外れ図柄カウンタCMを更新する(S304)。更に中図柄列の更新時期でなければ(S302:No)、右図柄列の更新時期なので、右図柄列の外れ図柄カウンタCRを更新する(S305)。
上記S303〜S305の各処理における外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新される。
その後、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S306)、大当たり図柄の組み合わせであれば(S306:Yes)、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせでなければ(S306:No)、リーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S307)、リーチ図柄の組み合わせであれば(S307:Yes)、更にそれが前後外れリーチであるか否かを判別する(S308)。前後外れリーチの組み合わせであれば(S308:Yes)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する(S309)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせであれば(S308:No)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する(S310)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせでなく(S306:No)、且つリーチ図柄の組み合わせでもなければ(S307:No)、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせは外れ図柄の組み合わせになっているので、かかる場合には、その外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM503の完全外れ図柄バッファに格納する(S311)。
外れ図柄カウンタCL,CM,CR更新処理(S203)の終了後は、図34の通常処理へ戻って、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S204)、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示を行うための大物図柄変動処理を実行する(S205)。この大物図柄変動処理により、大当たり判定や大物図柄の変動パターンの設定などが行われる。なお、大物図柄変動処理の詳細は図36を参照して後述する。
大物図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する(S206)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
次に、小物図柄表示装置41による小物図柄(例えば「○」又は「×」の小物図柄)の表示制御を実行する(S207)。簡単に説明すると、遊技球が小物門(スルーゲート)34を通過したことを条件に、その都度の小物図柄乱数カウンタC4の値が取得されると共に小物図柄表示装置41の表示部43にて小物図柄の変動表示が実施される。そして、小物図柄乱数カウンタC4の値により小物図柄の抽選が実施され、小物図柄の当たり状態になると、大物口33に付随する電動役物が所定時間開放される。なお図示は省略したが、小物図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図38に示すタイマ割込処理により更新される。
その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。まず、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S209)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。次に、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、S201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
次に、図36及び図37のフローチャートを参照して、大物図柄変動処理(S205)を説明する。大物図柄変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に大物図柄表示装置42で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S401:No)、大物図柄表示装置42による大物図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、大物図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、大物図柄表示装置42の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S403)。作動保留球数Nが0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S403:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S404)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、大物図柄の変動開始処理を実行する(S406)。なお、変動開始処理については図37を参照して後述する。
S402の処理において、大物図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S407)。大物図柄の変動時間はその大物図柄の変動パターンに応じて決められており、この変動時間が経過するまで、S408の処理の実行をスキップする(S407:No)。一方、大物図柄の変動時間が経過すれば(S407:Yes)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定して(S408)、本処理を終了する。
次に、図37のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、即ち大当たり図柄を大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表す図示しないテーブルに基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する(S502)。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち、予め定められた特定図柄(確変図柄)で揃った場合には以後確変状態に移行するが、予め定められていない特定図柄(非確変図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
次に、大当たり図柄で停止するまでの大物図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S503)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)等、より細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動パターンは、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけでパターン設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値でパターン設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。これは、後述する前後外れリーチ表示、前後外れ以外リーチ表示、完全外れ表示を行なう場合における変動パターンの設定でも同様である。
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し(S504)、リーチ発生の場合には(S504:Yes)、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する(S505)。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合(S505:Yes)、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S506)。また、前後外れリーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S507)。このとき、S503の処理と同様に、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
前後外れ以外リーチ発生の場合(S505:No)、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S508)。また、前後外れ以外リーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S509)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。
大当たりでなくリーチでもない場合には(S501:No,S504:No)、RAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S510)。また、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S511)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
次に、図41を参照して、払出制御装置311内のMPU511により実行される払出制御について説明する。図41は、払出制御装置311のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置261から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
その後は、MPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM513のバックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S915からのRAMの初期化処理では、RAM513の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM513の初期値を設定する(S916)。その後、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU511周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図42のフローチャートを参照して、払出制御処理を説明する。この払出制御処理は、払出制御装置311のメイン処理に続いて実行される。払出制御処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い(S1002)、状態復帰スイッチ321をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。
その後、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図43に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図44に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後は、本払出制御処理の先頭に戻り、以降は前述した処理を繰り返す。
図43に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図42の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図42の払出制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図42の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図42の払出制御処理に戻る。
図44に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ358aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図42の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図42の払出制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図42の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図42の払出制御処理に戻る。
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、大物図柄表示装置42の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別の領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。識別情報を表示する表示装置と、その表示装置の下側に形成される所定の始動領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段によって前記遊技球の入球が検出された場合に抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記表示装置に前記識別情報の動的表示を行わせる変動実行手段と、前記抽選手段による所定の抽選結果の導出を条件として第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に変化する可変入賞手段とを備え、前記所定の抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記可変入賞手段によって遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機であって、前記表示装置と前記始動領域との間に遊技球が転動する転動面を形成すると共にその転動面から遊技球が流下する流下部を少なくとも2箇所以上に形成する誘導手段と、その誘導手段により形成される転動面とその転動面より上方に設けられる入口とを連続させる導入経路を形成してその入口に流入した遊技球を前記転動面上へ誘導する導入部材とを備えた遊技機において、前記誘導手段は、前記転動面の一部として非可動式の転動面を形成する固定部材と、前記流下部の1つを形成すると共に他の流下部の少なくとも1つに対して前記始動領域への遊技球の入球確率を異ならせた所定の流下部と、前記固定部材により形成される非可動式の転動面との間を連続させる連続経路を前記転動面の一部として形成するものであって前記固定部材に対して可動可能に設けられる動作部材とを有し、その動作部材に駆動力を付与して、前記連続経路により前記非可動式の転動面と前記所定の流下部との間を連続させる誘導状態と、前記非可動式の転動面と前記所定の流下部とを遮断する非誘導状態とを切り替える駆動手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
なお、「遊技球が転動する」とは、遊技球が有体物に支持されつつ移動することを意味しており、遊技球が転がって移動することはもちろん、遊技球が滑って移動することをも含むものである。また、「転動面」とは、遊技球を面で支持するものに限定されず、多数の突起やリブ状に突出した面等、点又は線支持により遊技球を支持して転動させる有体物の外面をも含むものである。また、上記実施形態における転動面としては、センターフレーム400により形成されるステージ403と、振分ローラ410とによって、遊技球が転動し得るように遊技球が転動する空間を上部に形成した面が該当する。
また、「固定部材に対して可動可能に設けられる」とは、固定部材に対して直線的に往来するスライド移動を可能に設けられる場合、固定部材に対して所定の支点を中心に往来する揺動を可能に設けられる場合、若しくは、固定部材に対して所定の軸(回動軸)を中心に少なくとも一方向へ回転移動する回動を可能に設けられる場合、又はこれらの2以上を組み合わせた移動を可能に設けられる場合のいずれであっても良い。
また、「所定の流下部」は、他の流下部の少なくとも1つに対して始動領域への遊技球の入球確率を異ならせていれば良く、所定の流下部と始動領域への入球確率が同一とされた他の流下部が1箇所以上に設けられていても良い。ここで、流下部における「始動領域への遊技球の入球確率」とは、流下部より流下した遊技球がその後に始動領域へ入球する確率を意味している。
遊技機1において、前記誘導手段は、前記駆動手段が前記動作部材に駆動力を付与して前記誘導状態となった場合には、前記非可動式の転動面上と前記連続経路上とに遊技球を停留させることなく転動させて前記所定の流下部へ遊技球を誘導するものであることを特徴とする遊技機2。導入経路を経由して誘導された遊技球が転動面上で停留すると、停留中の遊技球と後続の遊技球とが転動面上で衝突して1の遊技球のみの挙動とは異なる挙動を示す。この遊技球同士の衝突により、始動領域への遊技球の入球確率が高い流下部へ行くはずの遊技球が他の流下部へ流される(又は流されたと遊技者が感じる)と、遊技者は、1の遊技球が転動面上へ誘導された場合に遊技球の発射を止め、転動面上の遊技球が流下してから発射を再開することがある。かかる遊技球の発射停止は、遊技機の稼働率を低下させるものであり、遊技場にとって好ましくない行為である。
遊技機2によれば、誘導状態においては、非可動式の転動面上と連続経路上とに遊技球が停留することなく転動させられるので、所定の流下部を経由させて転動面より遊技球を速やかに流下させることができる。よって、遊技球が転動面上に停留する場合に比較して、遊技者が衝突を避けようと遊技球の発射を止めることが少なくなり、遊技機の稼働率低下を抑制することができる。
なお、遊技機2における「遊技球を停留させる」とは、遊技球の転動による下流側への進行を停止させることを意味しており、遊技球が一定位置に一時的に停止した状態、遊技球が磁石等に吸着されるなどして遊技球自体の転動が行われない状態や、一定範囲内で遊技球が往来して下流側への遊技球の進行が停滞している状態等を意味している。
遊技機1又は2において、前記所定の流下部は、他の流下部に比べて始動領域への遊技球の入球確率が最も高くされていることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、所定の流下部は、他の流下部より始動領域への遊技球の入球確率が高いので、遊技者には、誘導状態において遊技球が始動領域へ入球することを特に期待させることができる。また、非誘導状態においては、始動領域への遊技球の入球確率が高い経路を遮断して誘導状態に対して始動領域への遊技球の入球確率を大きく低下させることができる。よって、導入経路へ流入する遊技球の数を増加させても始動領域への遊技球の入球確率をより低く抑えることができる。なお、遊技球の入球確率が最も高くされた所定の流下部としては、他の流下部より始動領域に対する左右方向の位置ずれを少なくして遊技球を落下させる部位や、他の流下部より始動領域の真上に近づけて始動領域との高さ差を少なくして遊技球を落下させる部位等が例示される。
遊技機1又は2において、前記所定の流下部は、他の流下部より前記始動領域との高さ差を少なくした位置で遊技球を落下させる部位であることを特徴とする遊技機4。始動領域との高さ差が大きいほど遊技球は勢いよく始動領域へ向けて落下するので、始動領域を形成する障害釘等に当たった場合に弾かれて始動領域外へ誘導される。逆に始動領域との高さ差が小さいと、遊技球の勢いが少ない状態で障害釘等に当たり、この場合には始動領域へ遊技球が入球し易い。
遊技機4によれば、所定の流下部は、他の流下部より始動領域との高さ差を少なくした位置で遊技球を落下させる部位であるので、他の流下部より始動領域への遊技球の入球確率を高めて、遊技者には、誘導状態においては始動領域への遊技球の入球を特に期待させることができ、また導入経路へ流入する遊技球の数を増加させても始動領域への遊技球の入球確率をより低く抑えることができる。
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記導入部材は、前記表示装置に対して右側に設けられる入口と前記転動面とを連続させる右側導入経路と、前記表示装置に対して左側に設けられる入口と前記転動面とを、前記右側導入経路とは別の出口で連続させる左側導入経路とを形成するものであることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、導入部材により形成される右側導入経路と左側導入経路とは、転動面に別々の出口で連続させられており、各導入経路の入口は表示装置に対して左右に別々に設けられる。このため、動作部材の状態に応じて有利になる別々の出口から転動面へ遊技球が流入されるよう、遊技者には、いずれかの導入経路の入口を選択して狙わせることができる。従って、遊技者の操作に応じて始動領域への遊技球の入球確率を変化させることができるので、表示装置の動的表示に傾注しがちな遊技者の意識を弾球遊技にも向けさせて遊技の面白みを増大させることができる。
なお、遊技機5及び後述する遊技機8において右側導入経路(又は左側導入経路)の入口が設けられる「表示装置に対して右側(又は左側)」とは、表示装置の右側(又は左側)はもちろん、表示装置の上側であって表示装置の左右方向における中心より右側(又は左側)に位置する場合をも含むものである。
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記動作部材は、前記固定部材に対して回動可能に設けられ、その外周面に前記連続経路を形成する溝と、その溝より回動軸から離間するように突出する突出部とを設けて形成されたものであることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、溝により形成される連続経路が非可動式の転動面に連続した場合に非可動式の転動面と溝とが連続した経路を形成して誘導状態となり、遊技球は所定の流下部へ誘導される。一方、誘導状態から動作部材が回動することにより回動軸から離間した突出部が非可動式の転動面に対して突出すると非誘導状態となり、動作部材側への遊技球の進行が遮断されて他の流下部へと遊技球が誘導される。よって、動作部材の状態に対応して転動面より遊技球が流下する流下部を変化させることができる。
遊技機6において、前記動作部材は、その回動軸に沿った一端部とその一端部より前記動作部材の中央部側とを結ぶ溝で形成される第1連続経路と、その第1連続経路に対して前記回動軸を中心に所定角度離間した位置に形成され前記一端部とは反対側の他端部とその他端部より前記動作部材の中央部側とを結ぶ溝で形成される第2連続経路とを有し、一方の前記端部で前記非可動式の転動面と前記所定の流下部との間を連続させる連続経路を形成する場合には、他方の前記端部では前記非可動式の転動面と前記所定の流下部との間を遮断するものであることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、いずれか一方の端部で非可動式の転動面と所定の流下部との間が連続する場合には、他方の端部では非可動式の転動面と所定の流下部との間が遮断されるので、非可動式の転動面上を転動する遊技球が動作部材に近づく経路によって所定の流下部へ誘導されるか否かが切り替わる。よって、非可動式の転動面上を転動する遊技球が所定の流下部へ誘導され得る期間を長くして遊技者に所定の流下部へ遊技球が誘導される機会を長く提供することができる。
なお、遊技機7における第1連続経路と第2連続経路とは、動作部材の中央部側において動作部材の回動方向側又はその逆側であって所定の流下部側に遊技球が下降するように傾斜して形成されるものとしても良い。遊技球が連続経路上で停留し難くなり、連続経路上を経由中の遊技球が後続の遊技球に衝突して所定の流下部以外の他の流下部へ流されて、所定の流下部への流下を期待する遊技者に不利益を被らせることを防止することができる。
遊技機7において、前記所定の流下部の1つとして、前記第1連続経路または第2連続経路の一方が前記非可動式の転動面に連続した場合にその一方の連続経路における前記動作部材の中央部側の端部に隣り合う位置に配置されると共に遊技球が入球可能な大きさに形成された特別穴を備え、前記第1連続経路と前記第2連続経路とは、共に、前記非可動式の転動面と前記特別穴との間を連続させるものであることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、第1連続経路と第2連続経路とは、共に、非可動式の転動面と特別穴との間を連続させるものであるので、所定の流下部を共通化することができる。よって、各連続経路毎に別々に流下部としての特別穴を設ける場合に比較して流下部の構成を単純にし、遊技機のコストを低減したり、他の構造物の配置スペース拡大により設計自由度を向上することができる。
なお、遊技機8における第1連続経路は、動作部材の一端部とその一端部より動作部材の回動軸方向に沿った所定位置とを結ぶ溝で形成されて非可動式の転動面と特別穴との間を連続させるものであり、遊技機8における第2連続経路は、第1連続経路に対して回動軸を中心に所定角度離間した位置に形成されるものであって所定位置に対して回動軸を中心に所定角度離間した位置と他端部とを結ぶ溝で形成されて非可動式の転動面と特別穴との間を連続させるものとしても良い。第1連続経路の端部と第2連続経路の端部とが、共に回動方向に沿った共通の位置まで形成されるので、各連続経路を経由した遊技球を共通の特別穴に案内して下降させることができ、遊技機のコスト低減や、設計自由度の向上を実現することができる。ここで、上記した所定位置としては、上記実施形態における振分ローラ410の回動軸方向に沿った中央部が該当する。
遊技機8において、前記導入部材は、前記表示装置に対して右側に設けられる入口と前記転動面とを連続させる右側導入経路と、前記表示装置に対して左側に設けられる入口と前記転動面とを前記右側導入経路とは別の出口で連続させる左側導入経路とを形成するものであり、前記右側導入経路又は前記左側導入経路のうち一方の導入経路と前記第1連続経路とがその導入経路の入口と前記所定の流下部とを連続させる経路を形成し、他方の導入経路と前記第2連続経路とがその導入経路の入口と前記所定の流下部とを連続させる別の経路を形成するものであることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、導入部材により形成される右側導入経路と左側導入経路とは、転動面に別々の出口で連続させられており、各導入経路の入口は表示装置に対して左右に別々に設けられる。このため、第1連続経路と第2連続経路とのうち動作部材の状態に応じて有利になっている一方の出口から転動面へ遊技球が流入されるよう、遊技者には、いずれかの導入経路の入口を選択して狙わせることができる。従って、遊技者の操作に応じて始動領域への遊技球の入球確率を変化させることができるので、表示装置の動的表示に傾注しがちな遊技者の意識を弾球遊技にも向けさせて遊技の面白みを増大させることができる。
遊技機6から9のいずれかにおいて、前記動作部材は、その回動軸に沿った一端部と中央部とを結ぶ溝で形成される第1連続経路と、その第1連続経路に対して前記回動軸を中心に所定角度離間した位置に形成され前記一端部側と中央部とを結ぶ溝で形成される第3連続経路とを有し、前記第1連続経路は前記中央部において前記回動軸を中心とする一の方向へ遊技球を誘導して前記所定の流下部へ遊技球を誘導し、前記第3連続経路は前記中央部において前記回動軸を中心とする他の方向へ遊技球を誘導して前記所定の流下部とは異なる他の流下部へ遊技球を誘導するものであることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、第1連続経路と第3連続経路とは同一の端部側と中央部とを結ぶ溝により形成され、非可動式の転動面における動作部材の一端部側へ経由された遊技球は、その一端部側へ到達したときに連続している連続経路に応じて回動軸を中心とする一の方向又は他の方向へ誘導される。よって、動作部材の連続経路を経由する頻度を高めつつ、複数の流下部へ遊技球を誘導して過度に始動領域への遊技球の入球確率が高められることを抑制することができる。
なお、遊技機10における第1連続経路と第3連続経路とは中央部において動作部材の回動方向側又はその逆側に遊技球が下降するように傾斜して形成されるものとしても良い。また、遊技機10における所定の流下部は、他の流下部より始動領域との高さ差を少なくした位置で遊技球を落下させる部位であるものとしても良い。
遊技機6から10のいずれかにおいて、前記動作部材は、平板状に形成されて遊技球が打ち込まれる遊技領域にほぼ平行な軸であって略水平な回動軸を中心に回動するものであり、前記駆動手段は、前記動作部材における遊技者が位置する前面側が上昇しつつ前記動作部材が回動するように駆動力を付与するものであることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、動作部材は、遊技領域にほぼ平行な軸であって略水平な回動軸を中心に回動するものであって、駆動手段により遊技者が位置する前面側が上昇し遊技者から離れた側が下降するように回動する。このため、連続経路を形成する溝を遊技者側に配置して遊技者に視認させた後に動作部材の上側に溝が配置されて非可動式の転動面に連続する連続経路が形成される。よって、遊技者には、駆動手段により動作部材が回動する速度等から、次に連続経路が非可動式の転動面に連続する時期を認識させることができる。従って、所定の流下部へ遊技球が誘導される期待感に抑揚を持たせて、表示装置の動的表示に傾注しがちな遊技者の意識を弾球遊技にも向けさせることができる。
遊技機1において、前記動作部材は、前記固定部材に対して回動可能に設けられ、その外周面には前記連続経路を形成する溝として、その一端部と中央部とを結ぶ第1の溝と、その第1の溝に対して前記回動軸を中心に所定角度離間した位置に形成され前記一端部とは反対側の他端部と前記中央部とを結ぶ第2の溝と、その第2の溝及び前記第1の溝より回動軸から離間するように突出する突出部とを設けて形成され、前記第1の溝又は前記第2の溝により一方の前記端部で前記非可動式の転動面と前記所定の流下部との間を連続させる連続経路を形成する場合には、他方の前記端部では前記非可動式の転動面と前記所定の流下部との間を遮断するものであり、前記誘導手段は、前記所定の流下部として前記動作部材の中央部に隣接する特別領域(又は特別穴)と、その特別領域(又は特別穴)より下側へ遊技球を案内して他の流下部より前記始動領域との高さ差を少なくした位置で遊技球を落下させる落下領域とを結ぶ特別経路を形成するものであることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、上記した遊技機1、遊技機4、遊技機7及び遊技機8と同様の効果を奏する遊技機を提供することができる。なお、遊技機12におけ特別領域としては、上記実施形態における特別穴404が該当し、落下領域としては上記実施形態における円穴405が該当し、特別経路としては上記実施形態においてセンターフレーム400により形成され特別穴404と円穴405とを結ぶ経路が該当する。また、遊技機12には、遊技機2、遊技機5または遊技機9から遊技機11のうち少なくとも1の遊技機の構成を追加しても良い。これにより、遊技機2、遊技機5または遊技機9から遊技機11のうち構成を追加した少なくとも1の遊技機と同様の効果をも奏する遊技機を提供することができる。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記固定部材は、前記動作部材より遊技者が位置する前面側でその動作部材を横切る経路を前記非可動式の転動面として形成するものであることを特徴とする遊技機13。
遊技機13によれば、動作部材の前を遊技球が一旦通過した後、動作部材により形成される連続通路を経由して所定の流下部へ遊技球が導かれる。このため、遊技者は、遊技球が動作部材の前を通過したときの動作部材の状態と、その後に連続経路により遊技球が所定の流下部へ導かれるか否かとを、視点の移動をほとんどせずに確認することができる。よって、始動入賞に対する期待感に対して簡易に抑揚を持たせることができ、弾球遊技の面白みを簡易に増大することができる。
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記駆動手段は、前記動作部材に一定周期で規則的な駆動力を付与するものであることを特徴とする遊技機14。動作部材は、一定周期で規則的な動作を行うので、遊技における始動領域への遊技球の入球確率を一定に維持することができる。
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記駆動手段は、前記動作部材に対して遊技の内容に応じて前記誘導状態の継続時間が変化するように前記動作部材に駆動力を付与するものであることを特徴とする遊技機15。
遊技機15によれば、遊技の内容に応じて誘導状態の継続時間が変化するので、遊技における始動領域への遊技球の入球確率に変化を生じさせることができる。よって、連続経路を経由して始動領域へ遊技球が誘導されることに対する期待感を一時的に高めることができ、遊技の幅を広げて飽きにくい遊技性を提供することができる。
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機16。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された始動領域に入球(始動口へ入賞又は始動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、所定の遊技価値の付与時には、可変入賞手段として遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。