JP2010193816A - 釣り糸 - Google Patents

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章裕 上畠
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祐二 荻野
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洋祐 和志武
Takashi Katayama
隆 片山
Yosuke Saito
陽介 齋藤
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Abstract

【課題】高強力、高弾性率、低伸度であり、且つ結節強度、耐フィブリル性が改良されているだけでなく、耐熱性にも優れる釣り糸を提供する。
【解決手段】釣り糸は、下記[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反復構成単位からなる部分が90モル%以上である芳香族ポリエステルアミドで構成された溶融異方性ポリエステルアミド繊維から形成され、150℃雰囲気下で、強度が16cN/dtex以上かつ弾性率が710cN/dtex以上である溶融異方性ポリエステルアミド繊維を含む。
Figure 2010193816

【選択図】なし

Description

本発明は、高強力、高弾性率、低伸度であり、且つ結節強度、耐フィブリル性が改良されているだけでなく、耐熱性にも優れる溶融異方性ポリエステルアミド繊維を用いてなる釣り糸に関する。
従来、釣り糸の素材にはナイロン等のポリアミド繊維やポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維のような汎用樹脂からなる繊維が使用されてきた。しかし、これらの繊維は一般に釣り糸として使用するに十分な強度を有していないため、太い直径の物を用いざるを得ず、魚への警戒心を与えてしまうなどの問題点があった。また、伸度も10〜数十%と大きく、初期弾性率も低いため、魚が掛ったことを示す魚信が伝達されにくいなどの問題点があった。
近年の開発の進捗により、高強力ポリエチレン繊維(特許文献1:特開平3−72832号公報)やアラミド繊維(特許文献2:特開2002−335837号公報)などのような十分な強度、初期弾性率が有し、且つ低伸度である繊維が上市されつつある。
同様の高強力繊維として、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維(特許文献3:特開昭63−317032号公報)は、高強度、高弾性率、低伸度を有し、且つ密度が大きく、低吸水性であることが知られている。
特開平3−72832号公報 特開2002−335837号公報 特開昭63−317032号公報
しかしながら、高強力ポリエチレン繊維は水より密度が小さく、釣り糸が水に沈まない等の問題点があるだけでなく、伸度の面でも問題点を有している。
また、アラミド繊維は吸水性であるために取り扱い性や寿命に問題があるだけでなく、繊維間の摩擦でフィブリル化が発生しやすく、容易に切断してしまう。
一方、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維については、非吸水性であるという利点は有しているが、繊維直角方向で弱い分子間力しか働かないため、やはり摩擦により容易にフィブリル化してしまい、トラブルの原因となる。また、キンクバンドや座屈現象が生じやすく結節強力が弱いという問題を有している。
また、釣り糸がリールからすばやく引き出される際や、釣り糸がテトラポットや岩場、堤防基礎部分とこすれる際、釣り糸に発生する摩擦熱により釣り糸が切断してしまうため、このような摩擦による糸切れを防ぐことのできる釣り糸が求められている。
従って本発明の目的は、本発明は、高強力、高弾性率、低伸度であり、且つ吸水率が低く、高比重、高結節強度、耐フィブリル性に優れるだけでなく、耐熱性にも優れた釣り糸を提供することにある。
本発明の別の目的は、結節強度が高く、耐疲労性に優れるとともに、耐磨耗性にも優れた釣り糸を提供することにある。
本発明者等は上記した従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(i)特定の紡糸原糸に対して、紡糸原糸を構成するポリマーの融点に対する特定の温度領域で特定の加熱処理を行うことにより、常温のみならず、高温下においても機械的物性に優れるポリエステルアミド繊維が得られること、(ii)そしてこのポリエステルアミド繊維を釣り糸として用いると、幅広い温度範囲において、高強力、高弾性率、低伸度であり、且つ吸水率が低く、高比重、高結節強度、耐フィブリル性に優れるだけでなく、耐磨耗性にも優れた釣り針が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反復構成単位からなる部分が90モル%以上であり、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20のモル比を有する芳香族ポリエステルアミドから溶融紡糸され、
150℃雰囲気下の強度(T150)が17cN/dtex以上であり、かつ
150℃雰囲気下の弾性率(E150)が710cN/dtex以上である溶融異方性ポリエステルアミド繊維を含む釣り糸であって、該樹脂を溶融紡糸により原糸を得た後に、特定の熱処理をすることにより得ることができる。
Figure 2010193816
上記により得られたポリエステルアミド繊維は150℃雰囲気下の強度が20cN/dtex以上であってもよく、弾性率が720cN/dtex以上であってもよい。また、結節強度が8cN/dtex以上であってもよい。
前記ポリエステルアミド繊維では、広角X線回折測定により得られる2θ=29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より算出した結晶サイズが、7nm〜11nm程度であってもよい。
本発明の釣り糸は耐疲労性や耐磨耗性に優れており、例えば、繊維間摩擦試験により求められる耐磨耗性が700回以上であってもよく、繊維屈曲疲労試験より求められる耐疲労性が10000回以上であってもよい。
なお、本発明において、特に温度が規定されていない限り、結節強度、耐磨耗性、耐疲労性などに関する値は、常温下(25℃)で測定された値を示すものとする。
本発明により得られる釣り糸は、高強力のため、任意の強力を得るために繊維径を細くすることが可能であり、高弾性率、低伸度であるため、魚信が伝わりやすい。
また高比重、低吸水であるため沈みやすく、釣り糸として有利である。さらに非吸水性、耐薬品性であるため、海水中での劣化等に強く、扱いやすい。
さらに、本発明釣り糸では、高温から低温までの幅広い温度領域に対して、高強度および高弾性率を達成することができ、耐熱性にも優れるだけでなく、高い耐磨耗性を有しているため、岩場、テトラポットなどとの摩擦による糸切れを防ぐことができる。
さらに、また、リールから急激に糸が引き出された場合であっても、繊維間の磨耗性に優れるため、繊維の寿命を長引かせることができる。
さらにまた、本発明の釣り糸は、特定のポリエステルアミド繊維を用いるため、結節強度が高く、耐フィブリル性能を向上させることができるだけでなく、耐磨耗性や耐疲労性にも優れ、それにより耐切創性なども向上させることができる。
実施例において、釣り糸の耐疲労特性を測定する方法を説明するための概略図である。 実施例において、釣り糸の耐磨耗特性を測定する方法を説明するための概略図である。
本発明の釣り糸は、本発明の釣り糸は、前記ポリエステルアミド繊維を少なくとも含んでおり、前記溶融異方性ポリエステルアミド繊維(または、芳香族ポリエステルアミド繊維)は、下記に記載する芳香族ポリエステルアミドから溶融紡糸されて得ることができる。下記にて、ポリエステルアミド繊維の製造方法について説明するが、その製造方法は特に限定されるものではない。
(芳香族ポリエステルアミド)
芳香族ポリエステルアミドは、下記式に示す[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反復構成単位からなる部分が90モル%以上であり、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20のモル比、好ましくは、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]のモル比が100:3〜10:15〜60:10〜45:5〜15のモル比を有する。
Figure 2010193816
なお、ここで、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20とは、反復構成単位[A]に対する、それ以外の構成単位[B]〜[E]までの比を表している。
特に、紡糸性、強度、弾性率、耐疲労性、耐切創性、非吸水性等の観点から、化2に示す反復構成単位の中で構成単位[A]が40〜80モル%、また構成単位[D]がn=2である芳香族ポリエステルアミドが好ましい。
本発明の効果が損なわれない程度に、芳香族ポリエステルアミドは、構成単位として、他の芳香族、脂環族、脂肪族のジオ−ル、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ジアミン、ヒドロキシアミン等を含んでいてもよい。具体的には、イソフタル酸、ナフチレンジカルボン酸、ジオキシナフタレン、べンゼンジアミン等が挙げられる。しかしながら、これらのモノマ−が10モル%を越えると本発明の効果は損なわれる虞がある。
なお本発明にいう溶融異方性とは、溶融相において光学的異方性を示すことである。例えば試料をホットステ−ジにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
溶融異方性ポリマ−は分解開始温度(Td)と融点(Tm)の温度差が40℃以上であることが好ましい。溶融紡糸は紡糸機を融点以上に加温して行うのだが、設定温度に対してある程度の幅をもって温度が変化するため、設定温度よりも高温になることがある。もし溶融異方性ポリマ−の分解開始温度(Td)と融点(Tm)の温度差が40℃未満であれば、ポリマ−が配管を滞留中、温度が融点を越えて分解温度に達し、ポリマ−に分解が生じ、紡糸ノズル付近でビス即ち断糸が発生する。
ビスが生じない場合でも、繊維中に分解ガスと考えられる気泡が発生し、力学的性能が低下する。ここで述べる分解開始温度(Td)とはTG曲線(熱重量曲線)における減量開始温度であり、ここで述べるTmとは、示差走査熱量(DSC:例えばmettler 社製、TA3000)で観察される主吸熱ピ−クのピ−クトップ温度であり、以下、融点ピーク温度と称する場合がある(JIS K 7121)。
本発明のポリエステルアミド繊維は、常法によりポリマーを溶融紡糸して得られるが、該芳香族ポリエステルアミドの融点よりさらに10℃以上高い紡糸温度(かつ溶融液晶を形成している温度範囲内)で、剪断速度10sec−1以上、紡糸ドラフト20以上の条件で紡糸するのが好ましい。かかる剪断速度および紡糸ドラフトで紡糸することにより、分子の配向化が進行し優れた強度等の性能を得ることができる。剪断速度(γ)は、ノズル半径をr(cm)、単孔当たりのポリマ−と吐出量をQ(cm/sec)とするときr=4Q/πrで計算される。ノズル横断面が円でない場合には、横断面積と同値の面積を有する円の半径をrとする。
本発明で用いられるポリエステルアミド繊維を得るためには、強度、弾性率、耐疲労性および耐切創性を向上させるために、紡糸原糸を熱処理及び/あるいは延伸熱処理する必要がある。熱処理は、不活性雰囲気のみで行っても良いし、途中から活性雰囲気化で熱処理を行なっても良い。
なお、不活性雰囲気下とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが0.1体積%以下であることをいう。また活性雰囲気下とは、酸素等の活性ガスを1%以上含んでいる雰囲気を言い、好ましくは10%以上の酸素含有気体であり、コスト的には空気を用いることが好ましい。水分が存在すると加水分解反応も併行して進行するので、露点が−20℃以下,好ましくは−40℃以下の乾燥気体を使用する。
好ましい熱処理の温度条件は、溶融紡糸前のポリマ−の融点Tm対して、Tm−35℃からTm−2℃の温度範囲であり、このような温度条件で加熱することにより高温下において高い強度をおよび弾性率を実現できる高強力高弾性率ポリエステルアミド繊維を得ることができる。また、加熱処理は、一定の温度で行っても良いし、加熱により漸進的に上昇する繊維の融点にあわせて、順次昇温してもよい。
また、熱処理条件は、単繊維繊度(dtex)あたりに加熱された、(融点との温度差:℃)と(加熱時間:時間)との積によって表わすことも可能であり、この場合、50≦(融点との温度差)×(加熱時間)/(単繊維繊度)≦100程度の熱処理により、本発明で規定する特定の高強度高弾性率ポリエステルアミド繊維を得ることが可能となる。
熱の供給は、気体等の媒体によって行う場合、加熱板、赤外ヒ−タ−等による輻射を利用する方法、熱ロ−ラ−、プレ−ト等に接触させて行う方法、高周波等を利用した内部加熱方法等があり、目的により、緊張下あるいは無緊張下で行われる。熱処理は、フィラメント糸を、カセ状、またはチ−ズ状にして、または、トウ状にしてバッチ式で行うか、あるいは、フィラメントをロ−ラ−上を走行させながら連続式で行うことが出来る。また、繊維をカットファイバ−にして、金網等にのせて熱処理を行っても良い。
さらに、本発明のポリエステルアミド繊維は、必要に応じて酸化チタン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カ−ボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤や、各種樹脂を含んでいても良い。
(ポリエステルアミド繊維の強度)
前記ポリエステルアミド繊維は、150℃雰囲気下の強度(T150)が17cN/dtex以上(例えば、17.5〜40cN/dtex程度)、好ましくは18cN/dtex以上(例えば、18.5〜38cN/dtex程度)であってもよい。
また前記ポリエステルアミド繊維は、室温下(例えば25℃)の強度(T25)が、18cN/dtex以上(例えば、18.5〜45cN/dtex程度)、好ましくは20cN/dtex以上(例えば、20.5〜40cN/dtex程度)を示してもよい。
(ポリエステルアミド繊維の弾性率)
前記ポリエステルアミド繊維は、150℃雰囲気下の弾性率(E150)が710cN/dtex以上(例えば、720〜1500cN/dtex程度)であり、好ましくは730cN/dtex以上(例えば、740〜1400cN/dtex程度)であってもよい。
また前記ポリエステルアミド繊維は、室温下(例えば25℃)の弾性率(E25)が、750cN/dtex以上(例えば、755〜1500cN/dtex程度)、好ましくは760cN/dtex以上(例えば、765〜1300cN/dtex程度)であってもよい。
(ポリエステルアミド繊維の結節強度)
本発明で用いられるポリエステルアミド繊維の結節強度は、室温下での結節強度が8cN/dtex以上(例えば、8.5〜20cN/dtex程度)、好ましくは9cN/dtex以上(例えば、9.5〜17cN/dtex程度)、さらに好ましくは10cN/dtex以上(例えば、10.5〜15cN/dtex程度)であってもよい。なお、本発明でいう結節強度の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
(ポリエステルアミド繊維の融点)
前記ポリエステルアミド繊維は、耐熱性が高く、その融点ピーク温度は、370℃以上(例えば、375〜450℃程度)、好ましくは380℃以上(例えば、385〜440℃程度)であってもよい。なお、融点ピーク温度の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
(ポリエステルアミド繊維の結晶サイズ)
前記ポリエステルアミド繊維では、高温下で高い強力および弾性率を発現する観点から、高融点の結晶構造を分子構造の中に有さなければならない。その結晶に関しては、広角X線回折測定により得られる2θ=29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より、その結晶サイズを算出することができ、例えば、そのような結晶サイズとしては、7nm〜11nm程度であってもよく、好ましくは8nm〜10nm程度であってもよい。なお、具体的な測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
[釣り糸]
本発明の釣り糸は、前記ポリエステルアミド繊維を少なくとも含んでおり、釣り糸は、例えば、(i)ポリエステルアミド繊維(および必要に応じて用いられるその他の繊維)をフィラメントとして用い、このフィラメントに油剤などを付着後、撚り合わせ、コーティング樹脂でなどコーティングするなどして製造してもよい。
本発明における釣り糸は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。また本発明における釣り糸は、その性能を損なわない程度で、複数本の他素材マルチフィラメントと撚り合わせて構成することも可能である。その場合のポリエステルアミド繊維構成比率は、30〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは50〜100重量%である。
混紡する他素材マルチフィラメントとしては特に制限はなく、例えば、ナイロン6、ナイロン6・6等のナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、高強力ポリエチレン繊維、溶融液晶ポリエステル繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維など従来公知の繊維を用いることができる。これらの繊維は、単独でまたは組み合わせて用いてもよい。また混紡の仕方にも特に制限は無く、フィラメント同士の撚り合わせ、フィラメントと短繊維との紡績糸などを用いることができる。
本発明における釣り糸は、溶融紡糸時に炭素紛や顔料などを混練することにより、様々な色に着色することも可能である。一般的に釣り糸は、着色されて使用されることが多く、着色することにより糸道がみやすくなるという利点がある。また着色の方法は、上記に限定されるものではなく、他に繊維表面への樹脂塗布などがある。
具体的には、例えば、本発明では、上記記載の通り得られた溶融異方性ポリエステルアミドのマルチフィラメントに、シリコーン系油剤を付着させた後、80回/incで撚糸し、着色したエポキシ樹脂でコーティングし、固めることにより釣り糸を作製してもよい。
本発明における釣り糸は、ポリエステルアミドを芯、他素材を鞘とする芯鞘型複合繊維としてもよい。鞘成分に用いることができる素材は特に限定されるものではなく、溶融成形可能な公知なポリマーを使用することができる。またその構成比率は、好ましくは芯成分重量比が50〜100%であり、より好ましくは70〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。
また本発明における釣り糸は、ポリエステルアミド繊維に樹脂(例えば、フッ素樹脂)や金属等でコーティングして用いることも可能である。
特に、本発明で用いられるポリエステルアミド繊維は、高い耐熱性を有しているため、フッ素樹脂を付着するために焼成工程を高温下で行っても、繊維劣化を抑制することができる。
(釣り糸の結節強度)
本発明で用いられる釣り糸の結節強度は、室温下での結節強度が8cN/dtex以上(例えば、8.5〜20cN/dtex程度)、好ましくは9cN/dtex以上(例えば、9.5〜17cN/dtex程度)、さらに好ましくは10cN/dtex以上(例えば、10.5〜15cN/dtex程度)であってもよい。なお、本発明でいう結節強度の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
(釣り糸の繊維間磨耗性)
本発明で用いられる釣り糸は、繊維間磨耗試験により求められる耐磨耗性700回以上(例えば、750回〜1500回程度)、好ましくは800回以上(例えば、850回〜1200回程度)を示してもよい。なお、本発明でいう繊維間磨耗性とは、磨耗試験により求められる値であり、その測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
(釣り糸の屈曲耐疲労性)
本発明の釣り糸は、屈曲疲労試験により求められる耐屈曲疲労性10000回以上(例えば、10000〜12000回程度)、好ましくは11000回以上(例えば、11000〜12000回程度)を示してもよい。なお、本発明でいう耐疲労性とは、屈曲疲労試験により求められる値であり、その測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[融点ピーク温度]
DSC装置(metler社製TA3000)にサンプルを10〜20mgとり、アルミ製パンへ封入した後、キャリヤ−ガスとしてNを100cc/分流し、昇温速度20℃/分で測定し、吸熱ピ−クの位置の示す温度を測定した。
[強度および弾性率]
JIS L 1013に準じ、各温度雰囲気下において、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で破断強伸度及び弾性率(初期引張抵抗度)を求め、5点以上の平均値を採用した。
[伸度]
JIS L 1013に準じ、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で引張破断時の伸び率(%)を求め、5点以上の平均値を採用した。
[結節強度]
JIS L 1013に準じ、つかみ間の中央に結節をつくり、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で破断強伸度を求め、5点以上の平均値を採用した。
[結晶サイズ]
広角X線回折測定装置として、ブルカー社製、「D8 Discover with GADDS」を用いて、カメラ距離10cm、露光時間:600秒、電流110mA、電圧:45kV、コリメータ径0.3mmにより繊維の赤道方向における広角X線回折図を得た。次いで、2θが29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より次式を用いて、結晶サイズ(C)を算出した。
Figure 2010193816
ここで、Bは回折ピーク強度の半価幅、θは回折角、λはX線の波長(1.54178オングストローム)を表わす。
[耐疲労性]
実施例または比較例で作製した釣り糸を準備し、図1に示す耐疲労性試験機において、定滑車1および動滑車2に対し、図に示すようにセットして2本の釣り糸3,3の両端をかしめた後、動滑車2に対して10kgの荷重をかけるとともに、定滑車1を1分当たり40回、6cmストロークで往復させた。そして釣り糸が切断に至るまでの往復回数を測定し、その回数をもって耐疲労性を評価した。
[耐磨耗性]
実施例または比較例で作製した釣り糸を準備し、図2に示す耐磨耗性試験機において、定滑車4および動滑車5に対し、2本の釣り糸6,6の両端をかしめるとともに、両端がかしめられた釣り糸6,6を8の字状にし、その交差部分7において釣り糸6,6を3回撚り合わせた状態にセットした。そして動滑車2に対して10kgの荷重をかけるとともに、定滑車1を1分当たり40回、6cmストロークで往復させた。釣り糸が切断に至るまでの往復回数を測定し、その回数をもって繊維間耐磨耗性を評価した。
[耐吸水性]
JIS L 1907 繊維製品の吸水性試験方法に従い、吸水率を測定し、耐吸水性を以下の基準により評価した。
○:0.1%未満
△:0.1〜2%
×:2%以上
[比重]
JIS L−1013 比重(浮沈法)に従い測定した。
[参考例1]
p−アセトキシ安息香酸[A]60モル、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸[B]4モル、テレフタル酸[C]18モル、4−4’−ビスフェノ−ル[D]14モル、およびp−アミノフェノ−ル[E]4モルから溶融異方性芳香族ポリエステルアミドを得た。このポリマ−の融点は340℃であった。該ポリマ−を、ノズル径0.1mmφ、ホ−ル数600個の口金より、紡糸温度360℃、紡糸速度1000m/min,剪断速度55200sec−1、ドラフト30で溶融紡糸し、1670dtex/600fのフィラメントを得た。得られたフィラメントを330℃で8時間熱処理した。得られた熱処理糸は、表1の強度及び弾性率を示した。
また、得られた熱処理糸では、その結節強度(KT)は8.5cN/dtex、伸度4%、融解ピーク温度は378℃、結晶サイズは9nm、ガラス転移点(Tg)は87℃、および25℃雰囲気下の貯蔵弾性率(E’25)と150℃雰囲気下の貯蔵弾性率(E’150)との比(E’25/E’150)が0.57であった。
Figure 2010193816
[実施例1]
参考例1に示すとおり得られたポリエステルアミドのフィラメントにシリコーン系油剤を塗布した後、80回/incで撚糸した。更にエポキシ系樹脂でコーティングすることで固め、釣り糸とした。釣り糸の性能を表2に示す。
[比較例1]
使用するフィラメントをポリアリレート繊維((株)クラレ製、「べクトランHT」、1670dtex/600f)とすること以外は、実施例1と同様の方法により釣り糸を作成した。性能を表2に示す。
[比較例2]
使用するフィラメントを高強力ポリエチレン繊維(東洋紡(株)製、「ダイニーマ」、1320dtex/1170f)とすること以外は、実施例1と同様の方法で釣り糸を作成した。性能を表2に示す。
Figure 2010193816
表2から明らかなように、実施例1の釣り糸は、高い強度を有するだけでなく、結節強度にも優れていた。また、10%以下の低い伸度を有しているだけでなく、耐疲労性にも優れていた。また、耐吸水性にすぐれるとともに、沈み性も良好であった。そして、特に、繊維間の摩擦熱と関係する耐磨耗性に関しては、極めて優れた値を示していた。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1,4…定滑車
2,5…動滑車
3,6…釣り糸

Claims (5)

  1. 下記[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反復構成単位からなる部分が90モル%以上であり、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20のモル比を有する芳香族ポリエステルアミドから溶融紡糸され、
    150℃雰囲気下の強度(T150)が17cN/dtex以上であり、かつ
    150℃雰囲気下の弾性率(E150)が710cN/dtex以上である溶融異方性ポリエステルアミド繊維を含む釣り糸。
    Figure 2010193816
  2. 請求項1において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の結節強度が8cN/dtex以上である釣り糸。
  3. 請求項1または2において、繊維間摩擦試験により求められる耐磨耗性が700回以上である釣り糸。
  4. 請求項1から3のいずれか一項において、繊維屈曲疲労試験より求められる耐疲労性が10000回以上である釣り糸。
  5. 請求項1から4のいずれか一項において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、広角X線回折測定により得られる2θ=29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より算出した結晶サイズが7nm〜11nmである釣り糸。
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