JP2010190835A - 流体測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体の物性を適切に測定可能な測定装置を提供する。
【解決手段】流体を流す流路管10に配置される測定装置1であって、流路管10の外部に配置されるチャンバ5と、流路管10内部に突出するよう配置される、流路管10内部からチャンバ5に流体を導入する導入部材20と、チャンバ5に配置され、流体の物性を測定するマイクロチップ8と、を備える測定装置1を提供する。導入部材20が流路管10内部に突出しているため、流路管10内部の流体を効率的にチャンバ5に導入することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、計測技術に関し、流体測定装置に関する。
ガスを効率よく使用するためには、濃度変化等によるガス物性の変化を監視、制御する必要がある。そのため、ガスの物性を測定する測定装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。流路を流れるガス等の流体の物性を測定する測定装置においては、安定的な測定の観点から、流路からチャンバにガスを導き、チャンバ内のセンサで、ガスの物性を測定している。
特開平11−174010号公報 特開2007−248220号公報
しかし、流体を流路からチャンバに効率的に導かないと、チャンバ内にガスを充填するために必要な時間が長くなり、ガス等の流体の物性の変化を適切に測定できないという問題があった。そこで本発明は、流路から流体を効率的にチャンバに導き、流体の物性変化を適切に測定可能な測定装置を提供することを目的の一つとする。
本発明の態様は、流体を流す流路管に配置される測定装置であって、流路管の外部に配置されるチャンバと、流路管内部に突出するよう配置される、流路管内部からチャンバに流体を導入する導入部材と、チャンバに配置され、流体の物性を測定するセンサと、を備える測定装置であることを要旨とする。本発明の態様に係る測定装置によれば、導入部材が流路管内部に突出しているため、流路管内部の流体を効率的にチャンバに導入することが可能となる。そのため、センサによって流体の物性を適切に測定することが可能となる。
本発明によれば、流体の物性を適切に測定可能な測定装置を提供可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る測定装置の断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るマイクロチップの斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るマイクロチップの図2のIII−III方向から見た断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る補助ヒータに関する回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る測定装置の中央演算処理装置の模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るガスの放熱係数と熱伝導率との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態に係るガスの放熱係数と濃度との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態の比較例に係る測定装置の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る測定装置の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る導入部材の図9のX−X方向から見た断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る測定装置の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る導入部材の図11のXII−XII方向から見た断面図である。 本発明の実施例に係るチャンバ内のガスの置換に要する時間を示すグラフである。 本発明のその他の実施の形態に係る導入部材の模式図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る測定装置1は、断面図である図1に示すように、上流側から下流側に気体又は液体等の流体を流す流路管10に配置される。測定装置1は、流路管10の外部に配置されるチャンバ5と、流路管10内部に突出するよう配置される、流路管10内部からチャンバ5に流体を導入する導入部材20と、チャンバ5に配置され、流体の物性を測定するマイクロチップ8を含むセンサと、を備える。以下において、「流体」としてガスが流路管10を流れる例を説明する。
流路管10には、開口11が設けられている。また、流路管10の外壁には、開口11を囲むように、円筒状の雌ねじ12が配置されている。雌ねじ12としては、Rcねじ(ISO規格)等が使用可能である。チャンバ5は、雌ねじ12にはまる雄ねじ13と一体的に成形されている。チャンバ5は、雄ねじ13を雌ねじ12にはめ込むことにより、流路管10の外部に固定される。はめあわされた雄ねじ13と雌ねじ12は、流路管10とチャンバ5の接続部を構成する。雄ねじ13内部には、流路管10内部とチャンバ5内部とを連通させる貫通孔14が設けられている。
導入部材20は管状であり、互いに連通された導入口としての開口21と、排出口としての開口22とを有する。開口21は円管状の導入部材20の先端を管の軸線に対して斜めに切り落とした形状に設けられている。導入部材20は、開口21が流路管10の上流に向くように、例えば貫通孔14の内壁に固定される。ここで「開口21が流路管10の上流に向く」とは、開口21全体が完全に上流を向いていることを必ずしも意味しない。流路管10の上流側から導入部材20を見たときに、開口21の一部が見える状態であれば良い。また、導入部材20の外径は貫通孔14の内径よりも小さいので、導入部材20の外側には空間が存在する。
流路管10内部に突出する管状の導入部材20の導入口としての開口21が流路管10内のガスの進行方向に対して斜めになるよう設けられており、流路管10の上流側に対向しているため、導入部材20の内壁が流路管10の上流側に露出する。したがって、流路管10内部を上流側から流れてきたガスの一部は、導入部材20の開口21に入り、導入部材20の内壁に衝突して、進行方向を変えられる。そのため、導入部材20の上流側と下流側で差圧が発生し、進行方向を変えられたガスの一部が導入部材20内部に流れ込み、排出口としての開口22を介してチャンバ5に導かれる。さらにチャンバ5に導かれたガスの一部は、貫通孔14(導入部材20の外側の空間)を通って、開口11から流路管10の内部に還流する。
なお、開口21を斜めに設けず、ガスの進行方向と平行に設けてもよい。具体的には、開口21を、円管状の導入部材20の先端を管の軸線に対して垂直に切り落とした形状に設けてもよい。導入部材20が流路管10内部に突出するよう配置されているため、開口21をガスの進行方向と平行に設けても、導入部材20の上流側と下流側で差圧が発生し、進行方向を変えられたガスの一部が導入部材20内部に流れ込む。
導入部材20を流れる流量に対してチャンバ5の容積が小さい場合、チャンバ5内の流体の置換が速くなる利点はあるが、マイクロチップ8の測定値が流体の流速の影響を受け易いという欠点が生じる。逆に、導入部材20を流れる流量に対してチャンバ5の容積が大きい場合、チャンバ5内の流体の置換が遅くなる欠点はあるが、マイクロチップ8の測定値が流体の流速の影響を受けにくいという利点が生じる。したがって、導入部材20を流れる流体の流量とチャンバ5の容積との関係については、何回かの試行によって最適な状態に定めることが望ましい。
チャンバ5内に配置されたマイクロチップ8は、斜視図である図2、及びIII−III方向から見た断面図である図3に示すように、キャビティ66が設けられた基板60、及び基板60上にキャビティ66を覆うように配置された絶縁膜65を備える。基板60の厚みは、例えば0.5mmである。また、基板60の縦横の寸法は、例えばそれぞれ1.5mm程度である。絶縁膜65のキャビティ66を覆う部分は、断熱性のダイアフラムをなしている。
さらにマイクロチップ8は、絶縁膜65に設けられた発熱抵抗体61と、発熱抵抗体61を挟むように絶縁膜65に設けられた第1の測温抵抗素子62及び第2の測温抵抗素子63と、基板60上に設けられたガス温度センサ64を備える。ガス温度センサ64も電気抵抗素子等からなる。発熱抵抗体61は、キャビティ66を覆う絶縁膜65の中心に配置されている。発熱抵抗体61は、電力を与えられて発熱し、図1に示すチャンバ5内に導入されて発熱抵抗体61に接するガスを加熱する。図2及び図3に示すガス温度センサ64は、絶縁膜65を介して発熱抵抗体61から隔離されて設けられており、図1に示すチャンバ5内に導入されたガスのガス温度を検出する。
図2及び図3に示す基板60の材料としては、シリコン(Si)等が使用可能である。絶縁膜65の材料としては、酸化ケイ素(SiO2)等が使用可能である。キャビティ66は、異方性エッチング等により形成される。また発熱抵抗体61、第1の測温抵抗素子62、第2の測温抵抗素子63、及びガス温度センサ64のそれぞれの材料には白金(Pt)等が使用可能であり、リソグラフィ法等により形成可能である。
ここで、発熱抵抗体61は、温度によって抵抗値が変化する。発熱抵抗体61の発熱温度THと、発熱抵抗体61の抵抗値RHの関係は、下記(1)式で与えられる。
RH = RSTD×[1+α(TH-TSTD) + β(TH-TSTD)2] ・・・(1)
(1)式において、TSTDは標準温度を表し、例えば20℃である。RSTDは標準温度TSTDにおける予め計測された抵抗値を表す。αは1次の抵抗温度係数、βは2次の抵抗温度係数を表す。また、発熱抵抗体61の抵抗値RHは、発熱抵抗体61の駆動電力PHと、発熱抵抗体61の通電電流IHから、下記(2)式で与えられる。
RH = PH / IH 2 ・・・(2)
あるいは発熱抵抗体61の抵抗値RHは、発熱抵抗体61にかかる電圧VHと、発熱抵抗体61の通電電流IHから、下記(3)式で与えられる。
RH = VH / IH ・・・(3)
発熱抵抗体61の発熱温度THは、発熱抵抗体61とガスの間が熱的に平衡になったときに安定する。なお、熱的に平衡な状態とは、発熱抵抗体61の発熱と、発熱抵抗体61からガスへの放熱と、が釣り合っている状態をいう。平衡状態において、下記(4)式に示すように、発熱抵抗体61の駆動電力PHを、発熱抵抗体61の発熱温度THとガスのガス温度TOとの差で割ることにより、ガスの放熱係数MOが得られる。なお、放熱係数MOの単位は、例えばW/℃である。
MO = PH / (TH - TO) ・・・(4)
発熱抵抗体61の通電電流IHと、駆動電力PH又は電圧VHは計測可能であるため、上記(1)乃至(3)から発熱抵抗体61の発熱温度THが算出可能である。また、ガスのガス温度TOは、図2に示すガス温度センサ64で測定可能である。したがって、図2及び図3に示すマイクロチップ8を用いて、図1に示すチャンバ5内に導入されたガスの放熱係数MOが算出可能である。
図2及び図3に示すマイクロチップ8は、熱伝導性の基板60の温度を一定に保つ補助ヒータをさらに備えていてもよい。基板60の温度を一定に保つことにより、マイクロチップ8の近傍のガスの温度が、基板60の一定の温度と近似する。そのため、ガスの温度の変動が抑制され、より高い精度で放熱係数MOを算出することが可能となる。補助ヒータにも電気抵抗素子等が使用可能である。また、ガス温度センサ64が補助ヒータを兼ねていてもよい。
図4に示すように、ガス温度センサ64は、抵抗ブリッジ回路の一部をなしている。抵抗ブリッジ回路は、ガス温度センサ64と直列に接続された抵抗素子181と、ガス温度センサ64及び抵抗素子181と並列に接続された抵抗素子182,183を備える。ここで、ガス温度センサ64の抵抗値をRr、抵抗素子181,182,183の固定された抵抗値をそれぞれR181,R182,R183とする。抵抗ブリッジ回路には、オペアンプ171が接続されている。ガス温度センサ64を補助ヒータとして機能させる場合、抵抗素子181とガス温度センサ64の間のブリッジ電圧V2aが、抵抗素子182と抵抗素子183の間のブリッジ電圧V2bと等しくなるよう、ブリッジ駆動電圧V1がフィードバック制御される。これにより、ガス温度センサ64の抵抗値Rrが一定となり、ガス温度センサ64が補助ヒータとして一定の温度で発熱する。
図1に示すように、マイクロチップ8は、断熱部材18を介してチャンバ5内に配置される。断熱部材18によって、マイクロチップ8の温度が、チャンバ5の内壁の温度変動の影響を受けにくくなる。断熱部材18の熱伝導率は、例えば10W/(m・K)以下である。なお、チャンバ5内に、マイクロチップ8を覆うように、金網等のフィルタを配置してもよい。フィルタを配置することにより、チャンバ5内に導入されるガスに含まれる塵芥等が、マイクロチップ8に衝突することを防止することが可能となる。また、フィルタを配置することにより、マイクロチップ8に向かうガスの流速を緩和することも可能となる。
測定装置1は、マイクロチップ8に電気的に接続された回路基板100を含む計測ユニット30をさらに備える。回路基板100は、図5に模式的に示す中央演算処理装置(CPU)300を備える。CPU300は、放熱係数算出部301を含む。放熱係数算出部301は、上記(4)式に示すように、図2及び図3に示すマイクロチップ8の発熱抵抗体61の駆動電力PHを、発熱抵抗体61の発熱温度THとガス温度センサ64で測定されたガスのガス温度TOとの差で割り、発熱抵抗体61と熱的に平衡なときのガスの放熱係数の値を算出する。
図5に示すCPU300には、熱伝導率記憶装置352が接続されている。ここで、図6は、ガス温度TOが0℃、20℃、及び40℃のときのプロパンガスの放熱係数と熱伝導率との関係を示す。図6に示すように、ガスの放熱係数と熱伝導率とは、一般に比例関係にある。そこで、図5に示す熱伝導率記憶装置352は、図1に示すチャンバ5に導入されるガスの放熱係数と熱伝導率との対応関係を、近似式あるいはテーブル等で予め保存する。
図5に示すCPU300は、熱伝導率算出部302をさらに含む。熱伝導率算出部302は、放熱係数算出部301からガスの放熱係数の算出された値を受信し、熱伝導率記憶装置352からガスの放熱係数と熱伝導率との対応関係を読み出す。さらに熱伝導率算出部302は、ガスの放熱係数の値と、ガスの放熱係数と熱伝導率との対応関係とに基づいて、図1に示すチャンバ5に導入されたガスの熱伝導率を算出する。
図5に示すCPU300には、濃度記憶装置353がさらに接続されている。ここで、図7は、ガス温度TOが0℃、20℃、及び40℃のときのプロパンガスの放熱係数と濃度との関係を示す。図7に示すように、ガスの放熱係数とガスの濃度とは、一般に比例関係にある。そこで、図5に示す濃度記憶装置353は、図1に示すチャンバ5に導入されるガスの放熱係数と濃度との対応関係を、近似式あるいはテーブル等で予め保存する。
図5に示すCPU300は、濃度算出部303をさらに含む。濃度算出部303は、放熱係数算出部301からガスの放熱係数の算出された値を受信し、濃度記憶装置353からガスの放熱係数と濃度との対応関係を読み出す。さらに濃度算出部303は、ガスの放熱係数の値と、ガスの放熱係数と濃度との対応関係とに基づいて、図1に示すチャンバ5に導入されたガスの濃度を算出する。
以上示した第1の実施の形態に係る測定装置1は、流路管10に開口11と雌ねじ12を設けることにより、流路管10の太さに関係なく、流路管10に容易に配置可能である。そのため、流路管10が既設の配管であっても、流路管10に測定装置1を容易に配置可能である。また、流路管10内部を流れるガスの一部をチャンバ5に導入することにより、ガスの物性を測定するため、ガスの総てをチャンバに導入する測定装置と比較して小型化が可能となる。
また、測定装置1を小型化するために、雌ねじ12と雄ねじ13の径を細くすると、雌ねじ12の貫通孔14内にマイクロチップ8を配置するのが困難になる。そのため、雄ねじ13と一体的に成形されたチャンバ5内にマイクロチップ8が配置されている。ここで、図8に示すように、導入部材20を設けなかった場合、流路管10からチャンバ5に流入するガスはわずかである。そのため、流路管10を流れるガスと同じガスにチャンバ5内が置換されるのに時間がかかるという問題がある。すなわち、流路管10を流れるガスの組成が変化した場合、その変化をマイクロチップ8が検出するまでに時間がかかり、応答性が悪い。
これに対し、第1の実施の形態によれば、図1に示すように、流路管10内部に突出するよう配置された管状の導入部材20の導入口としての開口21が、流路管10の上流側に対向している。そのため、流路管10を流れるガスが効率的にチャンバ5内に導入される。したがって、流路管10を流れるガスと同じガスでチャンバ5内が置換されるのに必要な時間を短縮することが可能となり、応答性が良い。また、従来、計測装置が取り付けられる流路管10に設けられていたオリフィスを省略することも可能となる。
(第2の実施の形態)
図9及びX−X方向から見た断面図である図10に示すように、第2の実施の形態に係る測定装置1の導入部材220には、複数の貫通孔25,26a,26b,26c,26d,26e,26fが平行に設けられている。円柱状の導入部材220の断面において、複数の貫通孔26a,26b,26c,26d,26e,26fは円周上に一定の間隔をおいて設けられており、貫通孔25は、円周の中心に設けられている。
図9に示すように、流路管10内に突出するように位置する、導入部材220の端部は、略円錐状である。貫通孔26aは、導入部材220の略円錐状の端部の側面に設けられた開口221aと、チャンバ5側の端部に設けられた開口222aとを連通する。貫通孔26dは、導入部材220の略円錐状の端部の側面に設けられた開口221dと、チャンバ5側の端部に設けられた開口222dとを連通する。図10に示す貫通孔26b,26c,26e,26fのそれぞれも、略円錐状の端部の側面に設けられた開口と他端に設けられた開口とを連通する。また、図9に示す貫通孔25は、略円錐状の端部の頂点に設けられた開口223と他端の開口224を連通する。
開口223以外の複数の開口は、略円錐状の端部の側面に設けられているため、流路管10内のガスの進行方向に対して斜めになる。したがって、流路管10内部を上流側から流れてきたガスの一部が、複数の開口の少なくとも一部に入り、導入部材220の内壁に衝突して進行方向を変えられ、当該貫通孔を通してチャンバ5に導入され、他の貫通孔を通って開口223及び開口221d等から流路管10の内部に還流する。
また、図1に示すように導入部材20の開口21が1個しかない場合、図1に示すようなねじによる接続部を用いると、ねじ込み具合によって開口21が上流側に対向しているか否か、外部から目視確認が困難である場合が生じうる。これに対し、図9及び図10に示す導入部材220は、略円錐状の端部の側面に円周上に等間隔に設けられた少なくとも3つ以上の複数の開口を有する。そのため、流路管10内に導入部材220をいずれの向きに挿入しても、複数の開口のいずれかを、流路管10の上流向かせることが可能となる。ここで「開口のいずれかを、流路管10の上流に向かせる」とは、開口全体が完全に上流を向いていることを必ずしも意味しない。流路管10の上流側から導入部材220を見たときに、少なくともいずれかの開口の一部が見える状態であれば良い。なお、図9においては、導入部材220が雄ねじ13内の貫通孔14に挿入されている例を示しているが、導入部材220と雄ねじ13を一体的に成形してもよい。
(第3の実施の形態)
図11及びXII−XII方向から見た断面図である図12に示すように、第3の実施の形態に係る測定装置1の雄ねじ13の貫通孔14に挿入された導入部材320は、断面において放射状に配置された複数の仕切り板32A,32B,32C,32Dを備える。複数の仕切り板32A,32B,32C,32Dは、雄ねじ13の貫通孔14を4つの空間に仕切る。また、導入部材320の複数の仕切り板32A,32B,32C,32Dは、流路管10内に突出する。
流路管10内部を上流側から流れてきたガスの一部は、複数の仕切り板32A,32B,32C,32Dの少なくとも一部に衝突して進行方向を変えられ、4つに仕切られた雄ねじ13の貫通孔14の一部を通って、チャンバ5に導入される。なお、少なくとも3つ以上の仕切り板を設けることにより、流路管10内に導入部材320をいずれの向きに挿入しても、仕切り板のいずれかを流路管10の上流側に対向させることが可能となる。なお、図11においては、導入部材320が雄ねじ13内の貫通孔14に挿入されている例を示しているが、導入部材320と雄ねじ13を一体的に成形してもよい。
(実施例)
図1、図8、及び図11に示す測定装置1のチャンバ5に充填された濃度100%の窒素(N2)ガスを、濃度100%の二酸化炭素(CO2)ガスに置換するために要する時間を計測した結果を、図13に示す。図13において、横軸は流路管10内のガスの流速を示し、縦軸はチャンバ5内に充填されたガスの置換に要した時間を示す。導入部材を有さない図8に示す測定装置1の場合、流路管10内のガスの流速が2m/s以下ではチャンバ5内のガスの置換は長い時間を要した。また、流路管10内のガスの流速が2m/sより早くなっても、チャンバ5内のガスを置換するために数分を要した。これに対し、図1及び図11に示す測定装置1の場合、流路管10内のガスの流速が2m/s以下となっても、チャンバ5内のガスを20秒以内に置換することが可能であった。よって、本発明の実施の形態に係る導入部材により、チャンバ5内のガスの置換を効率的に行えることが示された。
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
例えば、図1において、雄ねじ13と雌ねじ12を用いてチャンバ5と流路管10を接続する例を説明したが、フランジ(図示せず)を用いてチャンバ5と流路管10を接続してもよい。雄ねじ13と導入部材20を一体化すると、雄ねじ13をどの程度まで回転させて雌ねじ12にねじ込むか(回転角)によって、導入部材20の開口21の向きが異なってしまい、開口21を上流に向かせて配置することが困難な場合が生じうる。これに対し、フランジを用いることにより、例えばチャンバ5に固定された導入部材20の開口21を上流に向けたまま、チャンバ5と流路管10を接続することが可能となる。すなわち、測定装置1において貫通孔14を有する筒状部分の開口端に一方のフランジが設けられ、流路管10において開口11の周囲に立ち上げた筒状部分の開口端に他方のフランジが設けられている。これらのフランジにはそれぞれ締結用の複数のボルト孔が予め設けられており、それぞれのボルト孔の位置が合うように両フランジを突き合わせてボルト・ナットにより締結する。両フランジの各ボルト孔の位置がそれぞれ適切に配置されていれば、開口21を正確に上流に向けて固定することができる。
あるいは、図1において、チャンバ5の周囲に回転自在かつ脱落不能に設けられた図示しない袋ナット(中央に貫通孔を有し、この貫通孔にチャンバ5が挿入されているもの)を用いて、測定装置1と流路管10とを結合する構造を採ることもできる。この場合、測定装置1の円筒部の外周面と、流路管10の開口11の周囲に立ち上げた円筒部の内周面とには、それぞれ雄ねじ13および雌ねじ12は形成せずに、単なる嵌め合い状態とする。そして、流路管10の開口11の周囲に立ち上げた円筒部の外周面に雄ネジを形成し、これに対応する雌ねじを上記袋ナットの内周面に形成し、両者を締結することで測定装置1を流路管10に固定する。この構成によれば、測定装置1と流路管10との位置関係を固定したまま袋ナットを回転させて両者の締結を行えるので、開口21を正確に上流に向けた状態で固定することができる。上記以外にも、測定装置1と流路管10との位置関係に回転を生じさせない締結構造は種々のものが公知であるので、用途に応じて適宜採用することができる。
また、図14に示すように、管状の導入部材420の側壁を周回するように少なくとも3つ以上の複数の開口42a,42b,42cを設けてもよい。図8に示す流路管10内に、図14に示す導入部材420をいずれの向きに挿入しても、複数の開口42a,42b,42cのいずれかが、流路管10の上流側に対向する。また、複数の開口42a,42b,42cは管状の導入部材420の側壁に設けられているため、流路管10内のガスの進行方向に対して垂直になる。そのため、ガスを効率的に導入部材420の内部に取り込むことも可能となる。また、ねじ締結を用いる部分以外については、管・筒・孔の断面形状が円形に限定されるものではない。角管・角筒・角孔であっても良い。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
1 測定装置
5 チャンバ
8 マイクロチップ
10 流路管
11 開口
14 貫通孔
18 断熱部材
20,220,320 導入部材
21,221a,221d,223 開口
22,222a,222d,224 開口
25,26a,26b,26c,26d,26e,26f 貫通孔
30 計測ユニット
32A,32B,32C,32D 仕切り板
60 基板
61 発熱抵抗体
62 測温抵抗素子
63 測温抵抗素子
64 ガス温度センサ
65 絶縁膜
66 キャビティ
100 回路基板
171 オペアンプ
181,182,183 抵抗素子
301 放熱係数算出部
302 熱伝導率算出部
303 濃度算出部
352 熱伝導率記憶装置
353 濃度記憶装置

Claims (13)

  1. 流体を流す流路管に配置される測定装置であって、
    前記流路管の外部に配置されるチャンバと、
    前記流路管内部に突出するよう配置される、前記流路管内部から前記チャンバに前記流体を導入する導入部材と、
    前記チャンバに配置され、前記流体の物性を測定するセンサと、
    を備える測定装置。
  2. 前記導入部材が管状である、請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記管状の導入部材が、前記流路管の内部に配置される少なくとも一つの開口を有する、請求項2に記載の測定装置。
  4. 前記開口が、前記流路管内の流体の進行方向に対して斜めになるよう設けられている、請求項3に記載の測定装置。
  5. 前記開口が、前記流路管内の流体の進行方向に対して垂直になるよう設けられている、請求項3に記載の測定装置。
  6. 前記開口の少なくとも一部が、前記流路管の上流を向く、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の測定装置。
  7. 前記導入部材が、複数の前記開口を有する、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の測定装置。
  8. 前記導入部材が、3つ以上の前記開口を有する、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の測定装置。
  9. 前記導入部材が、放射状に配置された複数の仕切り板を備える、請求項1に記載の測定装置。
  10. 前記流体が、ガスである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の測定装置。
  11. 前記流体の物性が、前記ガスの放熱係数である、請求項10に記載の測定装置。
  12. 前記流体の物性が、前記ガスの熱伝導率である、請求項11に記載の測定装置。
  13. 前記放熱係数に基づいて、前記ガスの濃度を算出する濃度算出部を更に備える、請求項11に記載の測定装置。
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