JP2010189748A - 金属凸部を有するポリマー材料の製造方法 - Google Patents

金属凸部を有するポリマー材料の製造方法 Download PDF

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明夫 小佐々
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Abstract

【課題】金属凸部を有するポリマー材料の製造方法を提供する
【解決手段】ポリマー基板上に1個又は2個以上の金属凸部を有するポリマー材料の製造方法であって、下記工程(1)〜(5):
(1)ポリマー基板上の紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層表面をプラズマ処理する工程、
(2)プラズマ処理を行った該アクリル樹脂層表面に、無電解めっき法により金属皮膜を形成する工程、
(3)リソグラフィ処理により、1個又は2個以上の開口部を金属皮膜上に有するめっき用レジスト皮膜を形成する工程、
(4)電解めっき処理により、めっき用レジスト皮膜の開口部の金属皮膜上に金属を析出させる工程、及び
(5)めっき用レジスト皮膜を除去する工程
を含むポリマー材料の製造方法
【選択図】なし

Description

本発明は、金属凸部を有するポリマー材料の製造方法に関する。
ポリマー材料は、金属やガラス材料と比較して安価であり、軽量かつ良好な剛性、優れた加工性を有し、化学的にも安定で、良好な耐食性を有するという数多くの利点を有する。そのため、最近では、金属やガラスに代わる材料としてさまざまな用途に利用されている。
特に、ポリマー材料の表面に金属配線を形成することによって、ポリマー材料に導電性等の各種機能を付与することができるため、ポリマー材料の用途は著しく広がっている。
この様なポリマー材料は、例えば、半導体デバイス、半導体デバイス実装部品、各種パネル表示装置、ICカード、光デバイス、多層回路基板等として用いられ、表面に金属微細線パターンが形成された樹脂基材を有する樹脂部材への用途は非常に幅広い。
また、微生物等の分析に用いられるバイオチップには、表面に金属微細線の各種パターンが形成された部材が用いられている。しかしながら、このような部材では、表面の金属パターンの部分しか分析に利用できないため、多くの分析試料を一度に分析することはできない。一方、ポリマー材料の金属微細線の各種パターン上の一部又は全部にある程度の厚みを有する部分、例えば、円柱、角柱等の金属凸部を形成できれば、分析に利用できる金属部分の表面積が大幅に大きくなり、微生物等を一度に大量に分析することが可能になる。
さらに、透明なポリマー材料の金属微細線の各種パターン上にこのような金属凸部を形成できれば、透明性が求められる各種パネル表示部等への応用が期待できる。
しかしながら、従来、金属皮膜をポリマー材料に対して密着性良く積層させることは非常に困難であったため、このような金属凸部を該金属皮膜上に形成しても、該金属凸部が金属皮膜と共にポリマー基板表面から容易に剥がれてしまうという問題点があった。
特表2007-522531号公報 特開2005-133096号公報
本発明は、ポリマー基板上に金属凸部を有するポリマー材料の製造方法を提供することを主な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリマー基板上の紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層表面にプラズマ処理を施すことにより、金属皮膜が密着性良く積層されたポリマー基材が得られることを見出した。さらに、該金属皮膜上にリソグラフィ処理および電解めっき処理を施すことにより、ポリマー基板の金属皮膜上の一部又は全部に、円柱、角柱等の金属凸部が密着したポリマー材料が得られることを見出した。
該ポリマー材料は、ポリマー基板が有する本来の物性を維持しつつ、ポリマー基板と金属皮膜及び該金属皮膜と金属凸部との密着性にも極めて優れている。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
本発明は、下記項1〜10に示すポリマー材料の製造方法に関する。
項1. ポリマー基板上に1個又は2個以上の金属凸部を有するポリマー材料の製造方法であって、下記工程(1)〜(5):
(1)ポリマー基板上の紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層表面をプラズマ処理する工程、
(2)プラズマ処理を行った該アクリル樹脂層表面に、無電解めっき法により金属皮膜を形成する工程、
(3)リソグラフィ処理により、1個又は2個以上の開口部を金属皮膜上に有するめっき用レジスト皮膜を形成する工程、
(4)電解めっき処理により、めっき用レジスト皮膜の開口部の金属皮膜上に金属を析出させる工程、及び
(5)めっき用レジスト皮膜を除去する工程
を含むポリマー材料の製造方法。
項2. 前記工程(2)と工程(3)の間に、下記工程(2−1)〜(2−3):
(2−1)リソグラフィ処理により、金属皮膜上に1個又は2個以上の開口部を有するエッチング用レジスト皮膜を形成する工程、
(2−2)エッチング処理により金属皮膜のパターンを形成する工程、及び
(2−3)工程(2−2)で形成されたエッチング用レジスト皮膜を除去する工程
を含む項1に記載の製造方法。
項3. ポリマー基板上の前記アクリル樹脂層表面からの金属凸部の高さが0.05〜500μmである項1又は2に記載の製造方法。
項4. 前記めっき用レジスト皮膜の開口部の深さが0.1〜600μmである項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5. 前記紫外線硬化型組成物が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、又はウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートである項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6. 金属皮膜が、銅皮膜、ニッケル皮膜、パラジウム皮膜、スズ皮膜、タングステン皮膜、コバルト皮膜又はこれらの合金皮膜である項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7. 金属皮膜が金属微細線パターンである項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8. 電解めっき処理により析出する金属が、銅、ニッケル、パラジウム、スズ、タングステン、コバルト又はこれらの合金である項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
項9. ポリマー基板が、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、又はセルロース樹脂からなる項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
項10. リソグラフィ処理が、UV光又は電子線を用いる処理である項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
本発明の金属凸部を有するポリマー材料の製造方法は、下記工程(1)〜(5)を有する。
(1)ポリマー基板上の紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層表面をプラズマ処理する工程、
(2)プラズマ処理を行った該アクリル樹脂層表面に、無電解めっき法により金属皮膜を形成する工程、
(3)リソグラフィ処理により、1個又は2個以上の開口部を金属皮膜上に有するめっき用レジスト皮膜を形成する工程、
(4)電解めっき処理により、めっき用レジスト皮膜の開口部の金属皮膜上に金属を析出させる工程、及び
(5)めっき用レジスト皮膜を除去する工程
以下、各工程について詳述する。
工程(1)
本発明の工程(1)では、ポリマー基板上に積層された、紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層の表面にプラズマ処理を施す。
本発明のポリマー基板を形成するポリマーとしては、基板として使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、又はセルロース系樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリマー基板の厚みは、求められる強度等に応じて、適宜選択すれば良いが、例えば、0.1〜5mm程度、好ましくは0.3〜3mm程度、より好ましくは0.5〜1.5mm程度である。
本発明の紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートとエポキシアクリレートとの混合物等の紫外線硬化型組成物を紫外線照射によってラジカル重合を起こさせ、硬化させて形成されたものである。
本発明において、紫外線硬化型組成物に使用できるウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートとエポキシアクリレートとの混合物等は、市販品を購入してもよく、また、従来公知の方法で得ることもできる。
ウレタンアクリレートを製造する方法としては、例えば、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とから得られる末端イソシアネートプレポリマーを、水酸基を有するアクリレートと反応させる方法が挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリール、アクリル酸エステル類とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのコポリマー等が挙げられる。ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコールが挙げられる。ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらポリオール化合物は、従来公知の方法で得ることができ、市販品を購入してもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、メチレンビス(p-フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体、1,5-ナフチレンジイソシアンネート、チオプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート二量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4-フェニルイソシアネート)ネオフォスフェート等が挙げられる。これらイソシアネート化合物は、従来公知の方法で得ることができ、市販品を購入してもよい。
水酸基を有するアクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
また、本発明の紫外線硬化型組成物において、ウレタンアクリレートを使用する場合、水酸基を有する多官能アクリレートモノマーを併用することによって、本発明の前記アクリル樹脂(ハードコート層)にさらに硬度を付与することもできる。
水酸基を有する多官能アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明において、エポキシアクリレートを紫外線硬化型組成物に使用する場合、例えば、ビキシレノール型、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はこれらの混合物、イソシアネレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等)、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂等を使用すればよい。これらのエポキシアクリレートは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、通常使用される(上記特許文献1等でも使用されている)アクリル樹脂は、メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート=MMA)ポリマー、又はメタクリル酸メチルとアクリル酸エステル(アクリレート)とのコポリマーからなる樹脂である。
本発明で使用する前記紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂と、通常使用されるメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂とは、化学構造、物性面等で全く異なる樹脂である。本発明で使用する紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂は、プラズマ処理を受けやすい反応点(官能基)が通常のアクリル樹脂に比べて多く存在する。従って、プラズマ処理をすれば、該アクリル樹脂層表面のぬれ(親水)性が向上するとともに、無電解めっきによる金属が積層しやすくなるための活性点が増大する。本発明においては、プラズマ処理を施した前記アクリル樹脂層表面に金属皮膜を形成することにより、密着性のよい金属皮膜を有するポリマー材料を得ることができる。
本発明において、前記アクリル樹脂層の厚みは、求められる強度、透明性等に応じて、適宜選択すれば良いが、通常0.1〜300μm程度、好ましくは0.5〜200μm程度、より好ましくは1〜100μm程度である。
本発明の前記アクリル樹脂層を有するポリマー基板は、市販品を購入しても良いし、公知の方法により、前記透明ポリマー基板上にウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートとエポキシアクリレートとの混合物等を塗布し、紫外線のエネルギー照射によってラジカル重合を起こさせ、硬化させることによって得たものを使用しても良い。
すなわち、本発明では、工程(1)の前に、ポリマー基板上に紫外線硬化型組成物を塗布し、紫外線照射によってラジカル重合を起こさせ、硬化させる工程(0)を設けても良い。
本発明の前記アクリル樹脂層を有するポリマー基板の製造方法としては、例えば、ポリマー基板フィルム(ポリカーボネートフィルム等)1枚毎にアクリル樹脂層(ハードコート層)を形成する枚葉式と、長尺のポリマー基板に連続的にハードコート層を形成しロール状に巻き取る連続式等がある。
枚葉式でハードコート層を形成する場合、塗布方式としてディップコート、スピンコート、スプレー方式等がある。また、連続式においては、生産性の向上、ポリマー基板フィルムの薄膜化によるコストダウン効果が期待される。更に、連続式においては、ハードコート層の連続形成であるため、溶液状態のハードコート剤にポリマー基板が接している状態が短く、ハードコート剤の希釈溶剤としてポリマー基板が可溶な溶剤も使用できる。
工程(1)のプラズマ処理においては、ポリマー基板上の前記アクリル樹脂層表面をプラズマ処理する。
プラズマの発生は、例えば、酸素、窒素、アルゴンからなる群から選ばれた少なくとも1種を使用すれば良く、これらの中でも酸素を使用するのが好ましい。
プラズマ処理は、通常、圧力760Torr(大気圧)〜5×10−4Torrかつ温度5〜70℃に維持した真空チャンバー内で行われる。これらの中でも、好ましくは圧力760Torr〜0.01Torrかつ温度15〜40℃、より好ましくは圧力1Torr〜0.01Torrかつ温度20〜30℃に維持した真空チャンバー内で行われる。
プラズマ処理は、通常、発生出力100〜1000W程度で5〜30分間程度、好ましくは発生出力400〜600W程度で10〜20分間程度行うのが好ましい。
なお、プラズマ処理を行う前に、前記アクリル樹脂層を有するポリマー基板を脱水処理するのが好ましい。脱水処理は、通常、圧力1×10Pa〜1×10Pa程度、温度60〜110℃程度に維持した真空乾燥機で30〜80時間程度、好ましくは圧力1×10Pa〜1×10Pa程度、温度80〜100℃程度に維持した真空乾燥機で45〜60時間程度行えばよい。
なお、本発明のポリマー基板が透明である場合は、透明ポリマー基板上に積層された前記アクリル樹脂層も透明であれば、アクリル樹脂層を有するポリマー基板全体として透明な基板上に円柱、角柱等の金属凸部を設けることができる。このような透明基板上に金属凸部が形成されたポリマー材料は、光デバイス等として好適に使用できる。
工程(2)
本発明の工程(2)は、上記工程(1)でプラズマ処理を行った前記アクリル樹脂層表面に、無電解めっき法により金属皮膜を形成する工程である。
無電解めっき法により金属皮膜を形成させる際には、アクリル樹脂層表面上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の無電解めっき触媒を付着させ、かつアクリル樹脂層表面を活性化液で活性化させるのが一般的である。
めっき触媒の付着と触媒の活性化方法は、特に制限されず、公知の方法を採用すればよい。例えば、過マンガン酸カリウム水溶液、過マンガン酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液をアクリル樹脂層表面と接触させた後、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液等の酸性水溶液により中和還元処理し、次いで、アクリル樹脂層表面を、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の金属化合物、これら金属化合物の塩又は錯体を、水、アルコール、クロロホルム等に0.001〜10重量%程度の濃度で溶解した液(必要に応じて、酸、アルカリ、錯化剤、還元剤等を含有していてもよい)に浸漬した後、触媒金属を還元する方法等が挙げられる。
無電解めっきによって析出させる金属皮膜は、特に限定されないが、例えば、銅皮膜、ニッケル皮膜、パラジウム皮膜、スズ皮膜、タングステン皮膜、コバルト皮膜、及びこれらの合金膜等が挙げられる。密着性の点から、これらの中でも、銅皮膜、コバルト皮膜、ニッケル皮膜、ニッケル−タングステン皮膜が好ましく、ニッケル皮膜が特に好ましい。さらに、コバルト皮膜は耐摩耗性、抗菌性、ニッケル-タングステン皮膜は耐摩耗性、耐食性、ニッケル皮膜は耐熱性、耐摩耗性、離型性、電気伝導性の点においてもそれぞれ優れている。
無電解めっきに用いる無電解めっき液としては、従来公知の自己触媒型の無電解めっき液を使用すればよい。例えば、次亜リン酸ナトリウム等を還元剤とする無電解ニッケル-リンめっき液、アミンボラン、ジメチルアミンボラン等を還元剤とする無電解ニッケル-ホウ素めっき液、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリン等を還元剤とする無電解銅めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウム等を還元剤とする無電解パラジウム-リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム等を還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液、次亜リン酸等を還元剤とする無電解ニッケル−タングステンめっき液、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム等を還元剤とする無電解コバルトめっき液、無電解ニッケル−ホウ素−タングステンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。
無電解めっき皮膜層の厚み(合計厚み)は、必要に応じて適宜選択すればよいが、通常0.05〜5μm程度、好ましくは0.05〜3μm程度、より好ましくは0.1〜1μm程度である。無電解めっきにより得られる金属皮膜層は、導電体回路として使用する場合、導電体回路に求められる厚みにまでめっき層を成長させることが好ましい。
なお、工程(2)の無電解めっき法によりアクリル樹脂層表面上に金属めっき層を形成した後、アクリル樹脂層表面と金属めっき層との間の密着性を向上させるため、金属皮膜が形成されたポリマー基材を、オーブン等を用いて50〜110℃程度、好ましくは80〜100℃程度で、0.1時間〜10時間程度、好ましくは0.1時間〜5時間程度、加熱処理することが好ましい。
加熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。さらに、必要に応じて、加熱処理時に、プレス板等で金属皮膜が形成されたポリマー基材を加圧してもよい。
以上の工程(1)及び工程(2)により、ポリマー基板上のアクリル樹脂層表面に、密着性良く金属皮膜を積層させることができる。
工程(1)及び工程(2)により得られた、ポリマー基板上のアクリル樹脂層表面に金属皮膜を有するポリマー基材は、金属皮膜がアクリル樹脂表面に密着しているので、さらに下記工程(3)〜(5)を施すことにより、レジストパターンの開口部の形状に対応した、円柱、角柱等の金属凸部をポリマー基材の金属皮膜表面の少なくとも一部に形成することができる。
本発明の製造方法においては、工程(2)と後述の工程(3)との間に以下の工程(2−1)〜(2−3)を有していてもよい。
(2−1)リソグラフィ処理により、工程(2)で形成された金属皮膜表面に1個又は2個以上の開口部を有するエッチング用レジスト皮膜を形成する工程、
(2−2)エッチング処理により金属皮膜のパターンを形成する工程、及び
(2−3)工程(2−2)で形成されたエッチング用レジスト皮膜を除去する工程
すなわち、工程(2−1)〜(2−3)は、工程(2)で形成された金属皮膜を望みのパターンに成形する工程である。以下、工程(2−1)〜(2−3)について詳述する。
工程(2−1)
本発明の工程(2−1)は、前記工程(1)及び工程(2)により金属皮膜を形成した後、リソグラフィ処理により金属皮膜上にエッチング用レジストパターン(開口部を有するエッチング用レジスト皮膜)を形成する工程である。
エッチング用レジストパターンの形成は、UVリソグラフィ技術により、所望のパターンを形成するためのUVマスクを施す方法、又は電子線、レーザ等を用いる直接描画技術により、必要なパターンをレジストに形成する方法等によって行うことができる。
工程(2−1)におけるリソグラフィ処理は、特に制限されず、従来公知のエッチング用レジスト組成物を光硬化、現像する工程を含む、従来公知のリソグラフィ処理が採用できる。エッチング用レジストは、ポジレジスト又はネガレジストの何れのレジストも利用することができる。さらに、液状型又はドライフィルム型の何れのレジストも利用することができる。
ポジレジストにおいては、UV光、電子線等にさらされたレジスト領域は、分解され、現像液中で可溶性になる。また、ネガレジストにおいては、UV光、電子線等にさらされたレジスト領域は、硬化され、現像液中で不溶性になる。
該レジストをUV光、電子線等にさらした後、ポリマー基材は、適当な現像液中に浸漬される。この現像液により、レジストがUV光、電子線等にさらされた領域(ポジレジストの場合)、又はレジストがUV光、電子線等にさらされなかった領域(ネガレジストの場合)は、選択的に取り除かれ、ポリマー基材上の金属皮膜表面に開口部が形成される。なお、工程(2−1)においては、下記工程(3)において好適に使用されるめっき用レジスト組成物を重合して得られるポリマーをエッチング用レジストとして使用することもできる。
工程(2−2)
本発明の工程(2−2)は、工程(2−1)のレジストパターンにより形成された開口部を利用して、金属皮膜をエッチング処理することにより、不必要な金属皮膜を除去する工程である。
エッチング処理は、従来公知の方法を採用でき、湿式エッチング処理又は乾式エッチング処理の何れの方法でもよい。
湿式エッチング処理による金属パターンの形成は、加熱した硝酸・塩化第二鉄混合水溶液に浸漬することにより、不必要なニッケル膜が除去できる。硝酸・塩化第二鉄混合水溶液中の硝酸濃度は、通常、5〜30%程度、好ましくは10〜20%程度であり、塩化第二鉄濃度は、通常、1〜20%程度、好ましくは3〜10%程度である。
湿式エッチング処理によって金属パターンを形成する場合、浸漬温度は、通常、40〜80℃程度、好ましくは50〜70℃程度、浸漬時間は、通常、10秒〜5分間程度、好ましくは30秒〜2分間程度とすることが好ましい。
工程(2−3)
本発明の工程(2−3)は、前記工程(2−2)で不必要な金属皮膜を除去した後、エッチング用レジスト膜を除去することにより、所望の金属パターンを形成する工程である。
エッチング用レジスト膜を除去する方法としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液にレジスト膜を浸漬する方法等が挙げられる。水酸化ナトリウム水溶液の濃度としては、例えば、1〜20%程度、好ましくは5〜10%程度である。該レジスト膜を除去する際の浸漬温度は、通常、20〜60℃程度、好ましくは30〜50℃程度、浸漬時間は、通常、10秒〜5分間程度、好ましくは30秒〜2分間程度とすれよい。
乾式エッチング処理によって金属パターンを形成する場合は、開口部からアルゴンプラズマを金属皮膜に当てることにより不必要な金属皮膜を除去し、引き続き、アルゴンプラズマの条件を変えることによって、不必要なレジストを除去することにより、所望の金属パターンが得られる。なお、乾式エッチング処理において、上記水酸化ナトリウムを用いる方法等で不必要なレジストを除去してもよい。
例えば、得られる金属パターンが金属微細線の場合、該微細線の幅は、通常5〜2000μm程度、好ましくは10〜1000μm程度とすることができる。
本発明においては、以上の工程(2−1)〜(2−3)を有することにより、ポリマー基板上に望みの金属皮膜のパターンを形成することができる。そして、後に続く工程(3)〜(5)において、めっき用レジストパターンの形成、電解めっき処理等を施すことにより、ポリマー基板の金属皮膜パターンの上に、円柱、角柱等、めっき用レジストパターンの開口部の形状に対応した望みの形状の金属凸部を形成することができる。以下、工程(3)〜(5)について詳述する。
工程(3)
工程(3)は、前記工程(2)又は必要に応じて前記工程(2−1)〜(2−3)において、無電解めっき法によりポリマー基板上に金属皮膜(所望の形状に成形された金属皮膜)を形成した後、リソグラフィ処理により、1個又は2個以上の開口部を金属皮膜上に有するめっき用レジスト皮膜を形成する工程である。
工程(3)のめっき用レジスト皮膜を形成する工程は、前記工程(2−1)に記載のリソグラフィ処理を採用できる。
めっき用レジスト皮膜の厚みは、ポリマー基板上に形成する金属凸部の高さに合わせて適宜選択すればよく、通常0.1〜600μm程度、好ましくは0.1〜300μm程度、より好ましくは0.1〜100μm程度である。
めっき用レジスト皮膜の開口部の形状、大きさは、目的とする金属凸部の形状に併せて任意に設計すればよく特に限定されない。例えば、目的とする金属凸部の形状が、例えば、円柱(正円柱、楕円中)、角柱(三角柱、四角柱、五角柱、六角柱等)等の柱体の場合、該開口部の径の上限値に特に制限はなく、下限値は、5μm程度である。該開口部の径は、通常5〜2000μm程度、好ましくは50〜1000μm程度、より好ましくは100〜500μm程度とすることができる。
前記の通り、工程(3)においては、工程(2−1)と同様、従来公知のめっき用レジストを使用できるが、後述のめっき用フォトレジスト組成物を用いることにより、開口部が極めて精密に形成され、後述の工程(4)における金属析出を良好に進行させることができる。以下、本願発明において好適に使用される当該フォトレジスト組成について詳述する。なお、前述の通り、該フォトレジスト組成物は、前記工程(2−1)においてエッチング用レジストとしても好適に使用することができる。
めっき用フォトレジスト組成物
本発明において好適に使用されるめっき用フォトレジスト組成物は、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物A(以下、「化合物A」ということがある)、エポキシ基含有不飽和化合物B(以下、「化合物B」ということがある)及び下記一般式(1)
Figure 2010189748
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のN,N-ジアルキルアミノ基、アジド基又はニトロ基である]
で示される化合物C(以下、「化合物C」ということがある)を重合して得られるポリマー、並びに溶媒を含み、モノマー成分の合計量中、化合物Aの割合が0〜90重量%程度、化合物Bの割合が0〜50重量%程度及び化合物Cの割合が15〜100重量%程度であることを特徴とする。
本発明においては、前記化合物A、化合物B及び化合物C、さらにこれらの化合物と共重合可能な後述の他の重合性モノマーを総称してモノマー成分という。
化合物A
本発明で使用するエチレン性不飽和二重結合を有する重合性水溶性化合物Aとしては、例えば、(メタ)アクリレート誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート誘導体、窒素原子含有ビニルモノマー誘導体、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(炭素数1〜6)硫酸エステル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレート誘導体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル-(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル-(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-(メタ)アクリルアミド、3-メタクリルアミド-N,N-ジメチルプロピルアミン等が挙げられる。
前記N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-エチル-アミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-エチル-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-プロピル-アミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル,N-プロピル-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-エチル,N-プロピル-アミノエチル(メタ)アクリレート、N-エチル,N-プロピル-アミノプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記窒素原子含有ビニルモノマー誘導体としては、例えば、アクリロニトリル、N-ビニル-2-ピロリドン、ビニルイミダゾール、N-ビニルスクシンイミド、p-アミノスチレン、N-ビニルカルバゾール、2-ビニルピリジン、ビニルモルホリン、2-シアノエチル-(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニル安息香酸等が挙げられる。
前記不飽和スルホン酸としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸、炭素数6〜20の芳香族不飽和スルホン酸、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等が挙げられる。
炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸としては、例えば、ビニルスルホン酸等が挙げられる。
また、前記炭素数6〜20の芳香族不飽和スルホン酸としては、例えば、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
スルホン酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、p-(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、4-(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、p-(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アリルスルホコハク酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(炭素数1〜6)硫酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(モル数2〜50のエチレンオキシド付加物)硫酸エステル等が挙げられる。
本発明で使用する化合物Aは、これらの中でも(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、3-メタクリルアミド-N,N-ジメチルプロピルアミンが特に好ましい。
化合物Aは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
化合物Aの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常0〜90重量%程度、好ましくは10〜75重量%程度、より好ましくは20〜70重量%程度である。
化合物B
本発明で使用するエポキシ基含有不飽和化合物Bとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-N-プロピルアクリル酸グリシジル、α-N-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸-β-メチルグリシジル、アクリル酸-3,4-エポキシブチル、アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸-6,7-エポキシヘプチルメタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル酸;メタクリル酸-β-メチルグリシジル、メタクリル酸-3,4-エポキシブチル、メタクリル酸-6,7-エポキシヘプチル等のエポキシ基含有メタクリル酸;o-ビニルベンジルグリシジルエ-テル、m-ビニルベンジルグリシジルエ-テル、p-ビニルベンジルグリシジルエ-テル等のエポキシ基含有ビニルベンジル化合物等が挙げられる。
本発明で使用する化合物Bは、これらの中でもエポキシ基含有メタクリル酸等が好ましく、メタクリル酸グリシジル等が特に好ましい。
化合物Bは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
化合物Bの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常0〜50重量%程度、好ましくは0〜40重量%程度、より好ましくは0〜30重量%程度である。
化合物C
本発明で使用する化合物Cは、下記一般式(1)
Figure 2010189748
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数1〜4のN,N-ジアルキルアミノ基、アジド基又はニトロ基である]
で示される化合物である。
一般式(1)で表される化合物において、Rは、メチル基であることが好ましい。また、Rは、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
化合物Cの好ましい具体的な化合物としては、例えば、4'-アクリロキシカルコン、4'-メタクリロキシカルコン、4'-(α-エチル)-アクリロキシカルコン、4'-(α-プロピル)-アクリロキシカルコン、4'-(α-ブチル)-アクリロキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-エトキシカルコン、4'-メタクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-メタクリロキシ-4-エトキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-ブトキシカルコン、4'-メタクリロキシ-4-ブトキシカルコン、4'-(α-エチル)アクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-(α-ブチル)アクリロキシ-4-メトキシカルコン、4'-(α-ブチル)アクリロキシ-4-エトキシカルコン、4'-アクリロキシ-4-メチルカルコン、4'-アクリロキシ-4-エチルカルコン、4'-アクリロキシ-4-ブチルカルコン、4'-アクリロキシ-4-アミノカルコン、4'-アクリロキシ-4-(N,N-ジメチル)アミノカルコン、4'-アクリロキシ-4-(N,N-ジエチル)アミノカルコン、4'-メタクリロキシ-4-アミノカルコン、4'-メタクリロキシ-4-(N,N-ジメチル)アミノカルコン、4'-メタクリロキシ-4-(N,N-ジエチル)アミノカルコン、4'-アクリロキシ-4-ニトロカルコン、4'-メタクリロキシ-4-ニトロカルコン、4'-アクリロキシ-4-クロロカルコン、4'-メタクリロキシ-4-クロロカルコン、4'-メタクリロキシ-4-アジドカルコン等が挙げられる。
本発明で使用する化合物Cは、これらの中でも4'-メタクリロキシカルコン等が特に好ましい。化合物Cは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
化合物Cの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常15〜100重量%程度、好ましくは25〜60重量%程度、より好ましくは30〜50重量%程度である。本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーは、モノマーとして化合物Cを必須成分として重合して得られるものである。
他の重合性モノマー
本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーは、前記化合物A、化合物B及び化合物Cの他に、さらにこれらの化合物と共重合可能な他の重合性モノマーを重合して得られるものであってもよい。
このような他の重合性モノマーとしては、例えば、メタクリル酸等のラジカル重合性不飽和化合物が挙げられる。
他の重合性モノマーは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
他の重合性モノマーの使用量は、モノマー成分の合計量中、通常0〜50重量%程度、好ましくは0〜10重量%程度、より好ましくは0〜5重量%程度である。
ポリマーの製造方法
前記化合物A、化合物B、化合物C及び必要に応じて他の重合性モノマーを重合してなるポリマーを製造する方法は、従来公知の方法を採用すればよく、特に限定されないが、例えば、溶液重合法等が挙げられる。
溶液重合法によってポリマーを製造する場合、溶液重合法で一般的に行われる慣用の操作方法等を用いることができ、前記の割合からなるモノマー成分を溶媒と混合して重合させればよい。
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートプロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸ブチル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸ブチル、2-ブトキシプロピオン酸メチル、2-ブトキシプロピオン酸エチル、2-ブトキシプロピオン酸プロピル、2-ブトキシプロピオン酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸プロピル、3-エトキシプロピオン酸ブチル、3-プロポキシプロピオン酸メチル、3-プロポキシプロピオン酸エチル、3-プロポキシプロピオン酸プロピル、3-プロポキシプロピオン酸ブチル、3-ブトキシプロピオン酸メチル、3-ブトキシプロピオン酸エチル、3-ブトキシプロピオン酸プロピル、3-ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中でも、1,4-ジオキサンが好ましい。溶液重合法に用いられる溶媒は、モノマーの種類、混合割合に応じて、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
溶液重合法によりポリマーを製造する場合、該溶媒の使用量は、モノマー成分の合計100重量部に対して、通常0〜50000重量部程度、好ましくは1000〜10000重量部程度である。
溶液重合法によりポリマーを製造する場合、重合開始剤を使用してもよい。本発明において、重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用できる。例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1’-ビス-(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;及び過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
重合開始剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度である。
溶液重合法において、各成分の混合順序は特に限定されないが、重合開始剤を使用する場合は、モノマー成分と溶媒との混合液に、重合開始剤を徐々に滴下することが好ましい(いわゆる滴下重合法)。
溶液重合法においては、重合温度は、通常20〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度、重合時間は、通常2〜24時間程度、好ましくは8〜12時間程度である。
溶液重合法によりポリマーを製造した場合、ポリマーは、上記溶媒を減圧等により除去して得られる。減圧等により得られたポリマー残渣をそのままフォトレジスト組成物の調製に用いてもよく、ポリマー残渣を沈殿、再沈殿等の方法により精製後、十分に乾燥させて得られたポリマーをフォトレジスト用の調製に供してもよい。
本発明のフォトレジスト組成物に含まれるポリマーは、金属触媒を用いなくても製造することができるので、有害な金属を全く含まない樹脂組成物(レジスト皮膜)を得ることができる。
本発明のフォトレジスト組成物中に含まれるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常1×10〜4×10程度、好ましくは1×10〜1×10程度である。また、該ポリマーの分散度(Mw/Mn)は、通常1.00〜3.00程度、好ましくは1.10〜1.50程度である。本発明におけるポリマーの重量平均分子量及び分散度の測定方法は、実施例に記載の方法により測定した値である。
フォトレジスト組成物用溶媒
本発明の前記フォトレジスト組成物は、前記のようにして得られたポリマーとフォトレジスト組成物用溶媒(以下、「レジスト用溶媒」ということがある)とを混合することにより得られる。
レジスト用溶媒としては、前記ポリマーを均一に溶解し、ポリマー、基板等の各成分と反応しないものが用いられる。
レジスト用溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロチル、3-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸ブチル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸ブチル、2-ブトキシプロピオン酸メチル、2-ブトキシプロピオン酸エチル、2-ブトキシプロピオン酸プロピル、2-ブトキシプロピオン酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸プロピル、3-エトキシプロピオン酸ブチル、3-プロポキシプロピオン酸メチル、3-プロポキシプロピオン酸エチル、3-プロポキシプロピオン酸プロピル、3-プロポキシプロピオン酸ブチル、3-ブトキシプロピオン酸メチル、3-ブトキシプロピオン酸エチル、3-ブトキシプロピオン酸プロピル、3-ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類が挙げられる。これらの中でも、溶解性、塗膜の形成のしやすさから、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類及びジエチレングリコール類が好ましく用いられる。レジスト用溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
さらに、レジスト用溶媒は、前記溶媒とともに高沸点溶媒を併用してもよい。併用できる高沸点溶媒としては、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート等が挙げられる。これら高沸点溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
レジスト用溶媒の使用量は、ポリマー100重量部に対して、通常5〜9900重量部程度、好ましくは5〜900重量部程度、より好ましくは11〜566重量部程度である。
レジスト用溶媒の正確な使用量は、所望の膜厚によって決まる。より少ない量の溶媒を含有する組成物はより高い固形分濃度をもたらし、厚膜を調製するのに有用である。一方、より多量の溶媒を含有する組成物は固形分含量を減少させ、このような組成物は薄膜を調製するのに有用である。
フォトレジスト組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法等の各種公知の方法を採用することができる。
フォトレジスト組成物の塗布量は、フォトレジスト組成物中の各成分の種類、配合割合、目的とするレジスト相の厚み等によっても異なるが、通常0.1〜10ml程度、好ましくは2〜5ml程度である。
基板としては、ポリカーボネート、ポリエステル等の有機フィルム(プラスチック)、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、ガラス-セラミックス、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鋼、銅-シリコン合金、インジウム-スズ酸化物被覆ガラス、金属、半導体、及び絶縁材料のパターニング領域を含有する任意の基板等が含まれるが、それらに限定されない。必要に応じて、フォトレジスト組成物を塗布する前に、基板に吸収された湿分を除去するために基板上でベークステップを実施してもよい。
次に、フォトレジスト組成物で被覆した基板を加熱することにより前記レジスト用溶媒の大部分を蒸発させて、基板上にポリマーの膜を形成する。溶媒は、プリベーグ等により除去することができる。プリベーグの条件は、フォトレジスト組成物中の各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常90〜150℃で1〜180分間程度である。
レジスト皮膜(ポリマー)の厚みは、目的とする金属凸部の高さに合わせて適宜選択すればよく、通常0.05〜500μm程度、好ましくは10〜500μm程度、より好ましくは100〜500μm程度である。
次に、ポリマーの膜を形成した基板に所定パターンマスクを通して活性線を照射する。活性線は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等が包含され、これらの中でも紫外線が好ましい。
例えば、紫外線(高圧水銀灯、光強度30mW/cm2)を使用する場合は、通常10分間以上、好ましくは30〜60分間程度照射すればよい。
さらに、現像液により画像を現像して、基板上にマスクのレリーフ画像を形成する。前記の活性線の照射により、ポリマーの膜が硬化し、樹脂組成物(レジスト皮膜)が得られる。硬化した以外の部分(マスクで覆われた不要な部分)は、現像液に溶解し、樹脂組成物のみが残り、マスクのレリーフ画像(所定パターン)が形成される。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は通常180〜600秒間程度である。
現像液としては、酸性水溶液を用いる。酸性水溶液の作製に用いる酸及び酸塩の種類は、特に制限は無く、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩のいずれも使用できる。
無機酸、無機酸塩としては、例えば、フッ酸、フッ酸塩、塩酸、塩酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、ヨウ化水素酸、ヨウ化水素酸塩、次亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、臭化水素酸、臭化水素酸塩、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、過硫酸、過硫酸塩、硝酸、硝酸塩、亜硝酸、亜硝酸塩、リン酸、リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜燐酸塩、炭酸、炭酸塩等が挙げられる。
また、有機酸、有機酸塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グルタミン酸等のポリカルボン酸、フェノール、サリチル酸等のフェノール類、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、これらの酸の塩が挙げられる。
これらの無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
現像液に使用される無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩の中でも、リン酸、酢酸が好ましく、リン酸が特に好ましい。
現像液(酸性水溶液)に含まれる水の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の70〜99体積%程度、好ましくは80〜99体積%程度、より好ましくは90〜99体積%程度である。現像液に含まれる酸及び/又は酸塩の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の1〜30体積%程度、好ましくは1〜20体積%程度、より好ましくは1〜10体積%程度である。
また、上記酸性水溶液にメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等の水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を適当量添加した酸性水溶液を現像液として使用することもできる。
水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を添加する場合、水の割合は、水、酸及び/又は酸塩並びに水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の合計体積の70〜99体積%程度、好ましくは80〜99体積%程度、より好ましくは90〜99体積%程度である。酸及び/又は酸塩の割合は、水、酸及び/又は酸塩並びに水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の合計体積の0.1〜15体積%程度、好ましくは0.5〜10体積%程度、より好ましくは0.9〜5体積%程度である。水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の割合は、水、酸及び/又は酸塩並びに水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤の合計体積の0.01〜10体積%程度、好ましくは0.05〜5体積%程度、より好ましくは0.1〜2体積%程度である。
現像液としては、水、リン酸及びテトラヒドロフランの混合溶媒が特に好ましい。該混合溶媒中の水の割合は、通常、水、リン酸及びテトラヒドロフランの合計体積の70〜99体積%程度、好ましくは80〜99体積%程度、より好ましくは90〜99体積%程度である。リン酸の割合は、水、リン酸及びテトラヒドロフランの合計体積の0.1〜15体積%程度、好ましくは0.5〜10体積%程度、より好ましくは0.9〜5体積%程度である。テトラヒドロフランの割合は、水、リン酸及びテトラヒドロフランの合計体積の0.01〜10体積%程度、好ましくは0.05〜5体積%程度、より好ましくは0.1〜2体積%程度である。
本発明のフォトレジスト組成物を重合・硬化して得られる樹脂組成物(レジスト皮膜)は、上記のような酸性水溶液で現像できるので、有機フィルム(プラスチック)等の有機溶媒に可溶性の基板にも適用することができる。
本現像工程によりフォトレジストパターンを形成した後、流水洗浄を30〜90秒間行い、さらに圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、剥離可能なパターン化樹脂組成物が形成される。
現像によって得られるパターン化樹脂組成物の画像アスペクト比(レジストパターンの高さ対横幅比)は、通常1〜100程度、好ましくは1〜5程度である。
パターン形成後、引き続く工程(4)及び(5)により、パターン化樹脂組成物で覆われていない部分(金属めっき皮膜)を電解めっき処理した後、基板上に残存する樹脂組成物のパターン(露光部分)を剥離して金属凸部を形成することができる。
基板上に残存する樹脂組成物のパターンを剥離する方法としては、基板を室温〜50℃にて攪拌中の剥離液に1〜120分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、酸性水溶液を用いるが、酸及び/又は酸塩に特に制限は無く、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩のいずれも使用できる。
無機酸、無機酸塩としては、例えば、フッ酸、フッ酸塩、塩酸、塩酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、ヨウ化水素酸、ヨウ化水素酸塩、次亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、臭化水素酸、臭化水素酸塩、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、硫酸、硫酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、過硫酸、過硫酸塩、硝酸、硝酸塩、亜硝酸、亜硝酸塩、リン酸、リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜燐酸塩、炭酸、炭酸塩等が挙げられる。
また有機酸、有機酸塩をとしては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グルタミン酸等のポリカルボン酸、フェノール、サリチル酸等のフェノール類、メタンスルホン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、これらの酸の塩が挙げられる。
剥離液に使用されるこれら無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩の中でも、酢酸、燐酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
剥離液(酸性水溶液)に含まれる水の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の1〜99体積%程度、好ましくは80〜95体積%程度、より好ましくは90〜95体積%程度である。剥離液に含まれる酸及び/又は酸塩の割合は、水、酸及び/又は酸塩の合計体積の1〜99体積%程度、好ましくは5〜20体積%程度、より好ましくは5〜10体積%程度である。
剥離液は、単独で使用しても良いし、2種類以上の混合物として使用しても良い。
本発明においては、現像液、剥離液共に、酸性水溶液を使用することができるので、有機フィルム(プラスチック)等の有機溶媒に可溶性の基板上にフォトレジストパターンを形成する際に好適である。また、酸性水溶液により現像及び剥離工程を行うことができるので、エステル系の透明樹脂表面が加水分解されることがなく、基板及び樹脂組成物(レジスト皮膜)共に濁りのない透明なフォトレジストパターン形成物を得ることができる。
必要に応じて、加熱することにより前記現像したレリーフ画像を架橋させる工程を含んでいてもよい。加熱することにより前記現像したレリーフ画像をさらに架橋させ、パターン化樹脂組成物をより完全に硬化させることができる場合がある。具体的には、レリーフ画像についてポストベークを実施して、より高い変換度まで架橋反応を進ませる。架橋反応は、例えば、ホットプレート、対流オーブン等の加熱設備を使用することにより容易に行うことができる。
以上の方法により、パターン化樹脂組成物(レジスト皮膜)が得られ、基板にフォトレジストパターンを形成することができる。
工程(4)
工程(4)は、前記(3)においてめっき用レジスト皮膜を形成した後、電解めっき処理により、レジスト皮膜の開口部の金属皮膜表面に金属を析出させる工程である。
電解めっき処理により金属皮膜表面に金属を析出させる方法は、従来公知の電解めっき方法を採用すればよい。すなわち、金属皮膜を陰極とし、金属めっき浴に金属皮膜を浸積して通電することにより、レジスト皮膜の開口部に露出した金属皮膜表面に金属が析出する。
電解めっき処理に用いる電解めっき液としては、従来公知の電解めっき液を使用すればよい。例えば、スルファミン酸ニッケルめっき液、硫酸ニッケルめっき液、硫酸コバルトめっき液、硫酸銅めっき液、硫酸亜鉛めっき液、硫酸スズめっき液等を用いることができる。電解めっき処理により、これらのめっき液に含まれる金属が金属表面に析出し、金属皮膜表面に金属凸部が形成される。
電解めっきによって析出させる金属は、例えば、銅、ニッケル、パラジウム、スズ、タングステン、コバルト、及びこれらの合金等が挙げられ、これらの中でも、ニッケルが好ましい。
電解めっき処理における金属めっき浴の温度、pH、電流密度等のめっき条件は、該浴に使用される金属めっき液の種類、目的とする金属凸部の大きさ等によって変化し、従来公知の方法に従って適宜条件を設定して電解めっき処理を施せばよい。
なお、電解めっき処理により、金属皮膜上に金属を析出させる際には、金属皮膜表面上にニッケル、銅等によるストライクめっきを施し、ポリマー表面上の金属表面を活性化させるのが一般的である。本発明においても、ストライクめっきにより金属皮膜表面を活性化させてから電解めっき処理を行ってもよい。
ストライクめっきによる活性化方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、塩化ニッケル、塩化銅によるめっき方法等が挙げられる。
ポリマー基板上のアクリル樹脂層表面からの金属凸部の高さは、通常0.05〜500μm程度、好ましくは10〜500μm程度、より好ましくは100〜500μm程度である。電解めっきにより得られる前記金属凸部は、導電体回路として使用する場合、導電体回路に求められる厚みにまでめっき層を成長させることが好ましい。
なお、工程(4)の電解めっき法により金属皮膜表面に金属凸部を形成した後、金属皮膜表面と金属凸部との間の密着性を向上させるため、金属皮膜が形成されたポリマー基材を、オーブン等を用いて50〜110℃程度、好ましくは80〜100℃程度で、0.1時間〜10時間程度、好ましくは0.1時間〜5時間程度、加熱処理することが好ましい。
加熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。さらに、必要に応じて、加熱処理時に、プレス板等で金属皮膜が形成されたポリマー基材を加圧してもよい。
工程(5)
工程(5)は、前記(4)においてめっき用レジスト皮膜の開口部に存在する金属皮膜上に金属を析出させた後、該めっき用レジスト皮膜を除去する工程である。
工程(5)においてめっき用レジスト膜を除去する方法は、前記工程(2−3)と同様の方法を採用すればよい。
以上の工程(1)〜(5)により、ポリマー基板上に金属凸部を有するポリマー材料を製造することができる。さらに、前記工程(2)及び(3)の間に、前記工程(2−1)〜(2−3)を加えて行うことにより、ポリマー基板上の金属皮膜を望みの形状に成形した後、該金属皮膜表面に金属凸部を形成させることができる。
金属凸部を有するポリマー材料
前記の通り、本発明において、紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層表面は、プラズマ処理を受けやすい反応点(官能基)が通常のアクリル樹脂に比べて多く存在する。従って、プラズマ処理をすれば、該アクリル樹脂表面のぬれ(親水)性が向上するとともに、めっき用金属が積層しやすくなるための活性点が増大する。本発明においては、プラズマ処理を施した該アクリル樹脂表面に金属皮膜を形成することにより、密着性のよい金属皮膜を有するポリマー基材を得ることができる。さらに、電解めっき処理を施すことにより、めっき用レジストの開口部を利用して金属皮膜表面に密着性よく開口部の形状に対応した金属凸部を形成することができる。
また、該ポリマー基板上の金属凸部の形状は、工程(3)で使用するレジストの開口部の形状に対応するので、該開口部の形状を所望の形状に設計することにより、所望の形状の金属凸部をポリマー基材表面に有するポリマー材料を得ることができる。
ポリマー基板上の前記アクリル樹脂層表面からの金属凸部の高さは、通常0.1〜600μm程度、好ましくは0.1〜300μm程度、より好ましくは0.1〜100μm程度とすることができる。
また、該金属凸部が円柱、角柱等の柱体である場合、その径の上限値に特に制限はなく、下限値は、5μm程度である。該径は、通常5〜2000μm程度、好ましくは50〜1000μm程度、より好ましくは100〜500μm程度とすることができる。
さらに、前記の通り、前記工程(2)及び(3)の間に、前記工程(2−1)〜(2−3)を加えて行うことにより、ポリマー基板上の金属皮膜を望みの形状に成形した後、該金属皮膜表面に所望の形状の金属凸部を形成させることができる。
また、ポリマー基板及び該基板上のアクリル樹脂層が共に透明である場合には、透明ポリマー基板上に金属皮膜及び金属凸部を有するポリマー材料を得ることができる。
本発明によれば、金属皮膜が密着性良く積層されたポリマー基材の金属皮膜表面に、密着性良く金属凸部を形成させることができる。この金属凸部を有するポリマー基材は、ポリマー基板の本来の物性を維持し、かつ、金属凸部のポリマー基材への密着性にも優れている。例えば、金属微細線上に金属凸部を有するポリマー材料は、該金属凸部を表面積の大きい電極として利用できるため、微生物等の分析に用いられるバイオチップ(泳動電極、流路)、半導体デバイス、半導体デバイス実装部品、透明性が求められる各種パネル表示部、ICカード、光デバイスに用いられるプリント配線基板等の多層回路基板等、表面にパターン状の金属凸部が形成された樹脂基材を有する樹脂部材等としても有効に利用できる。
工程(1)〜(5)の模式図 実施例7で得られたポリマー基材の顕微鏡写真
[実施例]
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明を一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(ニッケル膜の作製)
ウレタンアクリレート層(紫外線硬化型アクリル樹脂層)を有するポリカーボネート基板(筒中プラスチック工業(株)社製のECF100H1:ポリカーボネート基板のサイズは55mm×80mm×1mm(厚さ))を、超音波洗浄器(42KHz)を用いて、エタノール中及び純水中、それぞれ10分間洗浄を行なった。洗浄後、該ポリカーボネート基板を真空乾燥機により、圧力1×10Pa、90℃にて、48時間乾燥を行なった。
次に、酸素プラズマ装置(ヒラノ光音(株)社製(電源13.56MHz))を用い、圧力0.2Torr(26.66Pa)、出力500Wにて、10分間、紫外線硬化型樹脂表面のプラズマ処理を行なった。
次に、中性脱脂剤(奥野製薬工業(株)社製のOPCクリーン65水溶液(700ml/L))に35℃にて、5分間浸漬した。浸漬後、純水洗浄、硫酸水溶液(10%)に2分間浸漬し、さらに、純水を用いて、超音波洗浄器UT-305H(35KHz)にて2分間洗浄を行なった。
洗浄後、表面調整剤(奥野製薬工業(株)社製コンデライザーFR水溶液(50ml/L))に40℃にて、5分間浸漬し、純水にて洗浄を行った。さらに、プリディップ剤(奥野製薬工業(株)社製OPC-SAL水溶液(50g/L))に1分間浸漬し、触媒付与液((奥野製薬工業(株)社製のOPC-80キャタリストM(100ml/L))、非塩酸系添加剤(奥野製薬工業(株)社製のOPC-SAL(260g/L))及び35%塩酸を含む水溶液に35℃にて、6分間浸漬した。
浸漬後、触媒活性剤(奥野製薬工業(株)製ITOアクセレーター水溶液(200ml/L))に25℃にて5分間浸漬した。浸漬後、純水にて洗浄し、無電解ニッケルめっき溶液(奥野製薬工業(株)製無電解ニッケル溶液トップニコロンTOM-S200ml/Lの水溶液(200ml/L))に65℃にて15分間浸漬した。無電解ニッケルめっき後、純水にて洗浄し、90℃にて、60分間加熱乾燥したところ、厚さ0.2μmニッケル皮膜が形成された。
得られたニッケル皮膜は密着性がよく、JIS D0202-1988に準拠したテープ剥離試験によってもニッケル皮膜は全く剥がれなかった。
実施例2(ニッケル膜上でのエッチング用レジストパターンの形成)
実施例1でニッケル膜を形成した基板に、フォトレジスト用プライマー(東京応化工業(株)社製のフォトレジスト用プライマーmicroposit)をスピンコーター((有)共和理研製)にて塗布した(10秒間500rpm後、20秒間3000rpm)。次に、レジスト(東京応化工業(株)社製OFPR-800LB)をスピンコーターで塗布した(10秒間500rpm後、20秒間3000rpm)。塗布した基板を90℃にて、60分間加熱乾燥した。微細パターンが配置されたマスクをレジスト塗布面に静置し、(株)ユニオン光学製露光装置PER-800(光強度30mW/cm2)を用いて、20秒間露光を行った。露光後、現像液(東京応化工業(株)社製のNMD-3)に、室温にて1分間浸漬した。さらに、純水洗浄、窒素風乾後、90℃にて、40分間加熱乾燥した。
実施例3(ニッケル膜の湿式エッチング)
実施例2でレジストパターンを形成した基板を、硝酸15%塩化第二鉄5%の混合水溶液に60℃にて、1分間浸漬することにより、不必要なニッケル膜を溶解除去した。溶解除去後、純水洗浄、窒素風乾後、90℃にて、40分間加熱乾燥した。
実施例4(レジスト除去)
実施例3で不必要なニッケル膜を除去した基板を、水酸化ナトリウム5%水溶液に40℃にて1分間浸漬することにより、レジストを除去した。その後、純水洗浄、窒素風乾後、90℃にて、40分間加熱乾燥し、幅約500μmのパターン状金属微細線を有するポリマー基材を得た。
実施例5(パターン状金属微細線上でのめっき用レジストパターンの形成)
実施例4で得られたパターン状金属微細線を形成したポリマー基材に、フォトレジスト用プライマー(東京応化工業(株)社製フォトレジストプライマーmicroposit)をスピンコーター((有)共和理研製)にて塗布した(10秒間 300 rpm 後、20秒間 600 rpm)。次に、レジスト(JSR(株)社製THB-151N)をスピンコーターで塗布した(10秒間 300 rpm 後、50 秒間 600 rpm)。塗布した基板を110℃にて、20分間加熱乾燥した。円形パターンが配置されたマスクをレジスト塗布面に静置し、(株)ユニオン光学製露光装置PER-800(光強度 30 mW/cm2)を用いて、20秒間露光を行った。露光後、現像液(東京応化工業(株)社製のNMD-3)に室温にて7分間浸漬した後、純水洗浄を行った。
実施例6(電解めっきによるパターン状金属微細線上における円柱作製処理)
実施例5で得られたパターン状金属微細線を形成したポリマー基材をOPCクリーン65(奥野製薬製)700ml/Lの溶液にて、35℃×5分脱脂洗浄を行なった。水洗後、10%硫酸溶液に2分浸漬した。純水によるシャワー水洗を行い、ストライクニッケル(ウッド浴)[塩化ニッケル;250g/L、35%塩酸; 400ml/L]のめっき液に3〜5A(アンペア)/D(100cm )の電流値で25℃×30秒めっきを行なった。水洗後、スルファミン酸ニッケル浴[スルファミン酸ニッケル;400g/L、塩化ニッケル;5g/L、ホウ酸;30g/L、ピットレスS(日本化学産業(株));5ml/L、光沢剤NSF-E(日本化学産業(株));6.4ml/L、溶液の攪拌はエアーブロウを避け対流させた。その対流液はめっきを付ける品物に当てる様にした。対流の強さとして流量を10〜12L/minと設定した。]のめっき液にめっき治具に微振動(エアーツール;1kg/cm )を与えながら、2〜3A(アンペア)/D(100 cm)の電流値で50℃×60〜90分間電解めっきを行なった。上記の条件でレジストの円形開口部にめっき膜厚50〜60μmのめっきが形成された。
実施例7(レジスト除去)
実施例6で得られたポリマー基材を、フォトレジスト剥離液(JSR(株)社製THB-S2) 70体積パーセント水溶液中に50℃にて1時間静置した後、3時間攪拌することによりめっき用レジストを除去し、高さ50〜60μm、径450μmの円柱を有するポリマー基材を得た。得られた円柱を有するポリマー基材の顕微鏡写真を図2に示す。なお、円柱の上端面は平坦であった。

Claims (10)

  1. ポリマー基板上に1個又は2個以上の金属凸部を有するポリマー材料の製造方法であって、下記工程(1)〜(5):
    (1)ポリマー基板上の紫外線硬化型組成物により形成されたアクリル樹脂層表面をプラズマ処理する工程、
    (2)プラズマ処理を行った該アクリル樹脂層表面に、無電解めっき法により金属皮膜を形成する工程、
    (3)リソグラフィ処理により、1個又は2個以上の開口部を金属皮膜上に有するめっき用レジスト皮膜を形成する工程、
    (4)電解めっき処理により、めっき用レジスト皮膜の開口部の金属皮膜上に金属を析出させる工程、及び
    (5)めっき用レジスト皮膜を除去する工程
    を含むポリマー材料の製造方法。
  2. 前記工程(2)と工程(3)の間に、下記工程(2−1)〜(2−3):
    (2−1)リソグラフィ処理により、金属皮膜上に1個又は2個以上の開口部を有するエッチング用レジスト皮膜を形成する工程、
    (2−2)エッチング処理により金属皮膜のパターンを形成する工程、及び
    (2−3)工程(2−2)で形成されたエッチング用レジスト皮膜を除去する工程
    を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. ポリマー基板上の前記アクリル樹脂層表面からの金属凸部の高さが0.05〜500μmである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記めっき用レジスト皮膜の開口部の深さが0.1〜600μmである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記紫外線硬化型組成物が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、又はウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 金属皮膜が、銅皮膜、ニッケル皮膜、パラジウム皮膜、スズ皮膜、タングステン皮膜、コバルト皮膜又はこれらの合金皮膜である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 金属皮膜が金属微細線パターンである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 電解めっき処理により析出する金属が、銅、ニッケル、パラジウム、スズ、タングステン、コバルト又はこれらの合金である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. ポリマー基板が、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、又はセルロース樹脂からなる請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. リソグラフィ処理が、UV光又は電子線を用いる処理である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
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