JP2010189331A - 新規なアンモニウム塩 - Google Patents

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Abstract

【課題】 紫外線硬化型組成物の帯電防止付与性モノマーとしての利用が期待できる、新規な第四級アンモニウム塩を提供すること。
【解決手段】 式(1):
【化1】
Figure 2010189331

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは炭素数8〜12のアルキル基を示す。)で表される第四級アンモニウム塩。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なアンモニウム塩、詳しくは新規な第四級アンモニウム塩に関する。
従来、エチレン性二重結合を有する第四級アンモニウム塩としては、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシトリアルキルアンモニウム=クロリドが公知である(例えば、特許文献1参照)。この化合物はエチレン性二重結合を有するので、紫外線硬化型組成物の一成分である帯電防止付与性モノマーとしての利用について検討をした。しかし、有機溶媒とともに紫外線硬化性の多官能アクリレートモノマーに配合しても、均一な紫外線硬化型組成物を得ることができなかった(後述の応用比較例1参照)。この不均一な紫外線硬化型組成物をコート剤として紫外線硬化させても満足のできる均一な硬化被膜を得ることが難しい。このため公知化合物は帯電防止付与性モノマーとしての利用が困難であり、帯電防止付与性モノマーとして期待できる有用な化合物が求められている。
特開昭58−138736号公報
本発明は、紫外線硬化型組成物の帯電防止付与性モノマーとしての利用が期待できる、新規な第四級アンモニウム塩を提供することを課題とする。
本発明者が、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、驚くべきことに式(1)で表される分子内に重合性のアリル基を有する新規なアンモニウム塩(以下、アンモニウム塩(1)という。)が有機溶剤及び紫外線硬化性の多官能アクリレートモノマーへの溶解性が良好であるため、これらと混合すると均一な紫外線硬化型組成物を得ることができ、そしてこの組成物から得られる硬化被膜の表面抵抗がアンモニウム塩(1)によって低いものとなるので、アンモニウム塩(1)は帯電防止付与性モノマーとして利用が期待できるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、式(1):
Figure 2010189331
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは炭素数8〜12のアルキル基を示す。)で表される新規な第四級アンモニウム塩に関する。
本発明によれば、紫外線硬化型コート剤用の帯電防止付与性モノマーとしての利用が期待できる新規なアンモニウム塩(1)を提供できるので、本発明は工業的に有用なものである。
以下、本発明を具体的に説明する。
式(1)中、Rで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。Rで示される炭素数8〜12のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数8〜12のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えばオクチル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、2−メチルオクチル基、デシル基、2−メチルノニル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
本発明のアンモニウム塩(1)の具体的な例としては、例えば具体的化合物を記載してください。
ジアリルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−メチルヘプチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−エチルヘキシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルノニルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−メチルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルデシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−メチルノニルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルウンデシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルドデシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチル−2−メチルヘプチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチルノニルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチル−2−メチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチルデシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチル−2−メチルノニルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチルウンデシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルオクチルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−メチルヘプチルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−エチルヘキシルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルノニルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−メチルオクチルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルデシルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリル−2−メチルノニルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルウンデシルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルドデシルプロピルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチル−2−メチルヘプチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチル−2−エチルヘキシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチルノニルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルエチル−2−メチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチルデシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチル−2−メチルノニルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチルウンデシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート、ジアリルブチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート等が挙げられる。
本発明のアンモニウム塩(1)は、例えば式(2):
Figure 2010189331
(式中、R、Rは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。)で表される第四級アンモニウム=ハライド(以下、アンモニウム=ハライド(2)という。)をヘキサフルオロリン酸又はそのアルカリ金属塩(以下、ヘキサフルオロリン酸類という。)を用いて、アニオン交換することにより製造することができる。
アンモニウム=ハライド(2)は、市販品を用いても良いし、例えば、式(3):
Figure 2010189331
(式中、Rは前記に同じ。)で表される第三級アミン類(以下、アミン類(3)という。)を式(4):
−X (4)
(式中、R及びXは前記に同じ。)で表されるアルキルハライド類(以下、アルキルハライド類(4)という。)と反応させることで製造できる。
アミン類(3)としては、例えば、ジアリルメチルアミン、ジアリルエチルアミン、ジアリルプロピルアミン、ジアリルブチルアミン等が挙げられる。
アルキルハライド類(4)としては、例えば、オクチルクロリド、オクチルブロミド、オクチルヨージド、ノニルクロリド、ノニルブロミド、ノニルヨージド、デシルクロリド、デシルブロミド、デシルヨージド、ウンデシルクロリド、ウンデシルブロミド、ウンデシルヨージド、ドデシルクロリド、ドデシルブロミド、ドデシルヨージド等が挙げられる。
アルキルハライド類(4)の使用量は、アミン類(3)1モルに対して0.5モル〜5モル、好ましくは0.6モル〜3モルであり、より好ましくは0.8モル〜2モルである。
アミン類(3)とアルキルハライド類(4)との反応は、溶媒を使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等の二トリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に制限はないが、アミン類(3)1重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。
アミン類(3)とアルキルハライド類(4)との反応を溶媒中で実施するには、例えば、アミン類(3)、アルキルハライド類(4)及び溶媒の混合物を通常20℃以上、好ましくは60℃〜140℃で加熱攪拌するだけで良い。
上述操作によりアンモニウム=ハライド(2)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を本発明のアンモニウム塩(1)を製造するための反応にそのまま用いてもかまわない。また必要であれば、反応混合物をそのまま、又は抽出操作に付して反応混合物から未反応のアンモニウム=ハライド(2)を除去して得られる抽残液を濃縮してアンモニウム=ハライド(2)を主成分とする残渣を得、この残渣を本発明のアンモニウム塩(1)を製造するための反応にそのまま用いてもかまわない。
アニオン交換に使用されるヘキサフルオロリン酸類としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム等が挙げられ、好ましくはヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウムである。かかるヘキサフルオロリン酸類の使用量は、アンモニウム=ハライド(2)1モルに対し、通常0.5モル以上であり、好ましくは1〜2モルである。
アニオン交換反応は、通常水溶媒中で行われる。水の使用量は特に制限はないが、通常アンモニウム=ハライド(2)1重量部に対して通常20重量部以下、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。また、水に不溶で、且つアンモニウム塩(1)が可溶な有機溶媒(例えば、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン等)を共存させることも可能である。
アンモニウム=ハライド(2)、ヘキサフルオロリン酸類及び水の混合順序は特に限定されず、アンモニウム=ハライド(2)と水を混合した後にヘキサフルオロリン酸類を添加してもよいし、ヘキサフルオロリン酸類と水を混合した後に、活性炭等の脱色剤を用いて処理し、濾過して得られた濾液をアニオン交換反応に用いることもできる。
反応温度は、生成するアンモニウム塩(1)の融点より高い温度で反応させることが好ましく、通常0℃以上、好ましくは10〜80℃、特に好ましくは20〜60℃である。
反応終了後の反応液からアンモニウム塩(1)を取り出す方法としては、反応液が有機層と水層とに分液している場合には、有機層を分離し、所望により有機層を水洗した後、有機層を濃縮することによってアンモニウム塩(1)を得る方法、反応液が均一な場合には、上述した水に不溶で且つアンモニウム塩(1)が可溶な有機溶媒を添加し、アンモニウム塩(1)を有機溶媒に抽出、得られた抽出層を所望により水洗し、次いで有機溶媒を留去することによりアンモニウム塩(1)を得る方法等が挙げられる。
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例中、表面抵抗値は三菱化学株式会社製ヒレスタHT−210を用い、印加電圧500Vにて測定した。
実施例1
ジアリルメチルアミン16.7g(0.15モル)、オクチルブロミド34.8g(0.18モル)及びアセトニトリル51.5gを混合し、105℃で24時間反応させた。その後、反応液を20℃まで冷却し、ヘキサンを添加して未反応のオクチルブロミドをヘキサンに抽出除去し、次いで抽残液を減圧下で濃縮し、液状のジアリルオクチルメチルアンモニウム=ブロミドを42.2g(収率92.5%)得た。
得られたジアリルオクチルメチルアンモニウム=ブロミド32.9g(0.108モル)とイオン交換水59.8gを混合した後、ヘキサフルオロリン酸カリウム20.8g(0.113モル)を添加し、室温で4時間攪拌アニオン交換反応させた。反応終了後、有機層を分液操作により分離し、得られた有機層をイオン交換水61.1gで2回洗浄した。有機層を減圧下で脱水し、液状のジアリルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート33.6g(収率72.4%)を得た。
以下にジアリルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファートのNMRデータを示す。
H−NMR(CDCl3)δ:ppm5.95−5.88(m,2H)、5.74−5.70(m,4H)、3.85−3.83(d,4H)、3.16−3.11(m,2H)、2.95(s,3H)、1.73(m,2H)、1.32−1.26(m,10H)、0.88(t,3H)
実施例2
ジアリルメチルアミン16.7g(0.15モル)、ドデシルブロミド44.9g(0.18モル)及びアセトニトリル61.6gを混合し、105℃で24時間反応させた。その後20℃まで冷却し、ヘキサンを添加して未反応のオクチルブロミドを、ヘキサンに抽出除去し、次いで抽残液を減圧下で濃縮し、液状のジアリルドデシルメチルアンモニウム=ブロミドを53.5g(収率92.0%)得た。
得られたジアリルドデシルメチルアンモニウム=ブロミド37.6g(0.104モル)とイオン交換水59.8gを混合した後、ヘキサフルオロリン酸カリウム 19.7g(0.106モル)を添加し、室温で4時間攪拌アニオン交換させた。反応終了後、有機層を分液操作により分離し、得られた有機層をイオン交換水61.1gで2回洗浄した。有機層を減圧下で乾燥し、液状のジアリルドデシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート44.3g(収率92.0%)を得た。
以下にジアリルドデシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファートのNMRデータを示す。
H−NMR(CDCl)δ:ppm5.95−5.88(m,2H)、5.75−5.70(m,4H)、3.85−3.83(d,4H)、3.15−3.11(m,2H)、2.96(s,3H)、1.73(m,2H)、1.32−1.25(m,18H)、0.88(t,3H)
応用例1
多官能アクリレートモノマーとしてトリペタエリスリトールオクタアクリレート(T−PE−A)20g、帯電防止付与性モノマーとして実施例1で得られたジアリルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファート10g、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1g及び溶媒(イソプロパノール10gとトルエン10gの混合溶媒)を混合して、均一で透明な紫外線硬化型コート剤を調製した。このコート剤を用いて、ポリカーボネート上にバーコーダーを用いて乾燥厚み約5μmで被膜を作成した後、80℃で20分間乾燥させ、高圧水銀灯下120W/cmで1J/cm紫外線を照射し、硬化させて評価用サンプルを作製した。作製した評価用サンプルを23℃、50%RHの雰囲気中に24時間保持した後、23℃、50%RHで硬化被膜面の表面抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。
応用例2
ジアリルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファートに代えて、ジアリルドデシルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファートを使用した以外は、応用例1と同様にして均一で透明な紫外線硬化型コート剤を調製した。次いで応用例1と同様にして評価用サンプルを作製し、その表面抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。
参考例1
アンモニウム塩(1)を添加しない以外は、応用例1と同様にして評価用サンプルを作製し、その表面抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2010189331
比較応用例1
ジアリルオクチルメチルアンモニウム=ヘキサフルオロフォスファートに代えて、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム=クロリドを使用した以外は、応用例1と同様にして紫外線硬化型コート剤を調製したが、均一な紫外線硬化型コート剤を得ることができず、表面抵抗値を測定することができなかった。

Claims (1)

  1. 式(1):
    Figure 2010189331
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは炭素数8〜12のアルキル基を示す。)で表される第四級アンモニウム塩。
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