JP2010187692A - 所望の表現型を有する細胞に進化させる方法及び進化した細胞 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の特性又は機能性を有する細胞又は細胞の組成物の提供。
【解決手段】所望の機能性を有する細胞に進化させる方法であって、a)特定の組成物につき、該組成物を含む細胞に、該組成物生成に関連する発現可能なヌクレオチド配列が組み込まれている、b)少なくとも1つのスクリーニングの機能性を決定する、c)決定したスクリーニングの機能性に関連した1つのスクリーニング基準に関して細胞の当該組成物をスクリーニングする、d)決定したスクリーニングの機能性に関連したスクリーニング基準に合致する細胞を選択し、e)選択した細胞の発現カセットの発現可能な配列と、別の細胞の組成物に由来する発現可能な配列とを組み合わせ、細胞が、完全長の遺伝子を含んで成るヌクレオチド配列の変化となる、f)少なくとも1つの細胞が所望の機能性を獲得するまで、必要に応じて段階b)〜e)を任意に繰り返す、段階を含んで成る、方法。
【選択図】図1

Description

本出願は、2001年6月26日に出願された米国仮特許出願番号第60/300,438号の非仮出願であり、これは引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。これは、本出願は、2001年1月25日に出願されたデンマーク特許出願番号PA 2001 00129の優先権を主張するものであり、これは、引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。当該出願、又は本出願で引用している全ての特許及び非特許文献も、引用によってそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
本発明は、新規代謝物及び/又は新規経路を産生する細胞を獲得するために、細胞内で新規ゲノムを進化させる分野に関する。
異種タンパク質を最適化又は産生するための細胞の組換えは、分子生物学において十分に確立された手法である。
人工的な分子の進化に対する伝統的なアプローチは、特定の表現型を有する個々の遺伝子の最適化に関する。このストラテジーは、遺伝子をクローニングし、当該遺伝子の機能を同定し、当該遺伝子を選択するためにアッセイし、当該遺伝子の選択した位置を突然変異させ、そして当該遺伝子の既知の機能における向上について当該遺伝子の変異体を選択すること、である。所望の機能を有する変異体は、続いて適当な宿主細胞内で発現されうる。
しかしながら、この伝統的なアプローチは、当該アプローチが別々の遺伝子のみに関連しているため、新規特性を有する細胞の進化に至る場合に複数の欠点を有している。単一の表現型を共同的に付与する同義遺伝子は、この方法では最適化されえない。更に、当該伝統的アプローチは、細胞内で、又はたとえ単一遺伝子であっても、非常に限定された数の組み合わせ又は順列しかもたらさない。
新規特性を有する細胞の進化は、例えばWO 98/31837に記載されており、この中で、進化のための組換え及び選択/スクリーニングの反復サイクルを提供する、新規特性の獲得のために細胞を進化させる方法が考察されている。
WO 97/35966において、新規代謝経路を進化させるための繰り返し配列の組換え方法が考察されており、そしてWO 00/04190においては、所望の特性を有する全ての細胞及び生物を進化させるための繰り返し配列の組換え方法が考察されている。
個々の遺伝子を最適化する伝統的アプローチを用いようと、組換えの反復サイクルを実施しようと、問題の細胞の個々の遺伝子が組換えられ、すなわち新規遺伝子に進化する外来の遺伝物質と交換される。
この方法で新規遺伝子に進化させる場合の主な欠点は、組換えの各サイクルが、更に、最適化された遺伝子へと導く成功の結果、ナンセンス遺伝子へと導く失敗をもたらすことがあるということである。
本発明による目的は、所望の特性又は機能性を有する細胞又は細胞の混合物に進化させることである。本発明に従う細胞の進化の背景にある原理は、進化にかけられる各細胞の大きな多様性及び本発明に従う組成物の細胞間の遺伝子の大きな多様性を生み出し、そして時折細胞間の遺伝子を交換することである。
従って、本発明は、所望の機能性を有する細胞に進化させる方法であって、進化されるべき少なくともいくつかの細胞が人工染色体を含んで成り、
a)細胞の組成物を入手し、ここで、前記組成物の少なくとも1つの細胞が少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列の少なくともが細胞内の人工染色体内に組み込まれている、
b)少なくとも1つのスクリーニングの機能性を決定し、
c)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に関して当該組成物の細胞をスクリーニングし、
d)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に合致する細胞を選択し、
e)選択した細胞の発現カセットの発現可能な配列と、別の細胞の組成物に由来する発現可能な配列とを組み合わせ、そして
f)少なくとも1つの細胞が所望の機能性を獲得するまで、必要に応じて段階b)〜e)を任意に繰り返す、
段階を含んで成る、方法に関する。
本発明の別の観点において、細胞は、所望の機能性を有する細胞に進化させる方法であって、
a)細胞の組成物を入手し、ここで、前記組成物の各細胞が、以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表す)
の少なくとも2つの発現カセットを含んで成る、そして
b)少なくとも1つのスクリーニングの機能性を決定し、
c)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に関して細胞の当該組成物をスクリーニングし、
d)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に合致する細胞を選択し、
e)選択した細胞の発現カセットの発現可能な配列と、別の細胞の組成物に由来する発現可能な配列とを組み合わせ、そして
f)少なくとも1つの細胞が所望の機能性を獲得するまで、必要に応じて段階b)〜e)を任意に繰り返す、
段階を含んで成る、方法、に関する。
更なる観点において、本発明は、
a)細胞の組成物を入手し、ここで、前記組成物の各細胞が少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列を含んで成り、前記配列が当該細胞にとって異種である、
b)少なくとも1つのスクリーニングの機能性を決定し、
c)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に関して細胞の当該組成物をスクリーニングし、
d)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に合致する細胞を選択し、
e)選択した細胞の発現カセットの発現可能な配列の少なくとも1つと、別の細胞の組成物に由来する少なくとも1つの発現可能な配列とを組み合わせ、発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせが、完全長の遺伝子の変化及び/又は発現カセットの変化及び/又は染色体の変化であり、更に修飾された組成物が得られ、そして
f)少なくとも1つの細胞が所望の機能性を獲得するまで、必要に応じて段階b)〜e)を任意に繰り返す、
段階を含んで成る、方法、に関する。
言い換えると、本発明は、所望の機能性を有する細胞に進化させる方法であって、
a)細胞の組成物を入手し、ここで、前記組成物の少なくとも1つの細胞が
a1)少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列、ここで、前記配列の少なくとも1つが細胞内の人工染色体に組み込まれている、及び/又は
a2)以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表す)
の少なくとも2つの発現カセット、及び/又は
a3)少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列、ここで、前記配列は当該細胞にとって異種である、
を含んで成る、
b)少なくとも1つのスクリーニングの機能性を決定し、
c)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に関して細胞の当該組成物をスクリーニングし、
d)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に合致する細胞を選択し、
e)選択した細胞の発現カセットの発現可能な配列と、別の細胞の組成物に由来する発現可能な配列とを組み合わせ、但し、発現可能な配列の組み合わせは、細胞がa3)だけに記載のようなものである場合、完全長の遺伝子の変化、及び/又は発現カセットの変化、及び/又は染色体の変化となる、
f)少なくとも1つの細胞が所望の機能性を獲得するまで、必要に応じて段階b)〜e)を任意に繰り返す、
段階を含んで成る、方法に関する。
用語「発現可能なヌクレオチド配列」は、その通常の意味で使用され、すなわち、問題の宿主細胞において発現することができる配列、である。
段階c)において、細胞は、決定した機能性に関連した、1以上のスクリーニングの基準についてスクリーニングされることがあり、例えば、細胞は、決定したスクリーニングの機能性を有する細胞が選択される前に、最初のスクリーニング基準について、そしてそれに続いて別のスクリーニング基準について、連続的にスクリーニングされうる。別の態様において、2又はそれ以上のスクリーニング基準が当該細胞に同時に適用される。
また、段階d)において、発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせは、一段階の工程で、又は発現可能なヌクレオチド配列を混合し、若しくは組み合わせる複数の段階の工程によって、当該組み合わせが発現可能なヌクレオチド自体の組み合わせ又は発現カセットの組み合わせ又は染色体の組み合わせに関連しているか否かとは無関係に組み合わされることがある。
段階f)は、所望の機能性を有する細胞が得られるまで、繰り返されることがある。その結果、段階f)は、0〜少なくとも200回、好ましくは0〜150回、例えば0〜100回、例えば0〜80回、例えば0〜60回、例えば0〜20回繰り返されることがある。
本文における所望な機能性は、例えば所望の化合物を産生するために進化させられている場合の細胞の機能性のことであり、ここで、前記化合物は、既知であるがこれまで当該細胞によって産生できないものであるか、あるいは当該化合物は新規のものであってもよい。更に、所望の機能性は、一連の化合物、例えば相乗作用を有する化合物、例えばある経路における中間体及び代謝物の産物であることがある。スクリーニングの機能性は、スクリーニングの段階の間の機能性である。スクリーニングの機能性は、所望の機能性と通常異なるが、いくつかの態様において、スクリーニングの機能性は、所望の機能性と同一である。スクリーニングの機能性はまた、本文における既定の機能性としても言及される。
更に、本発明の別の観点は、本発明に従う方法によって進化した細胞に関する。従って、本発明はまた、個々のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成る細胞であって、各コンカテマーが個々に、5’→3’方向に、以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、そして
n≧2であり、そして
少なくとも2つのカセットのrs1-rs2は同一の制限酵素によって認識される)のオリゴヌクレオチド配列を含んで成り、
当該細胞にとって異種の少なくとも1つの物質を産生することができる細胞、に関する。
別の観点において、本発明は、制御可能なプロモーターの支配化にある少なくとも第一及び第二の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成る少なくとも1つの人工染色体を含んで成る進化した細胞であって、第一の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターが他の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターから独立して制御可能であり、当該細胞にとって異種の少なくとも1つの物質を産生することができる細胞、に関する。
物質の用語は、細胞によって産生される任意の物質、細胞内及び細胞外に存在する物質、例えば一次及び二次代謝物、タンパク質、ポリペプチド、酵素、炭水化物、脂質、プロテオグリカン、多糖及びオリゴ糖及びリボ核酸、を意味する。
更に、本発明に従い進化した細胞はまた、当該細胞の機能性に関連して定義されることもあり、例えば、個々のオリゴヌクレオチドの少なくとも1個のコンカテマーを含んで成る細胞であって、各コンカテマーが個々に、5’→3’方向に、以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、そして
n≧2であり、そして
少なくとも2つのカセットのrs1-rs2は同一の制限酵素によって認識される)のオリゴヌクレオチド配列を含んで成り、
天然細胞によって代謝されえない、少なくとも1つの化合物を代謝することができる細胞、である。
別の観点において、細胞は、制御可能なプロモーターの支配化にある少なくとも第一及び第二の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成る少なくとも1つの人工染色体を含んで成る細胞であって、第一の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターが他の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターから独立して制御可能であり、天然細胞によって代謝されえない、少なくとも1つの化合物を代謝することができる細胞、として定義されることもある。
スクリーニングの機能性のために漸進的に選択する一連の選択段階又は周期に細胞をかけることによって細胞に与えられた進化圧に起因して、所望の特性又は機能性を有する細胞に進化させることができる。
図1は、発現状態から、エントリーベクター(本発明に従うヌクレオチドライブラリー)内の発現可能なヌクレオチド配列の組込みへと導く段階のフローチャートを示す。 図2は、発現可能なヌクレオチド配列を含んで成るエントリーライブラリーから、適切な宿主細胞に形質転換させる進化可能な人工染色体(EVAC)へと導く段階のフローチャートを示す。図2aは、コンカテマー化、サイズ選択及び人工染色体ベクターへの挿入を含む、EVACを産生するための1つの経路を示す。 図2bは、EVACを得るための、コンカテマー化及びベクターのライゲーションのための一段階の手順を示す。 図3は、モデルエントリーベクターを示す。MCSは、発現可能なヌクレオチド配列を挿入するためのマルチクローニング部位である。Amp Rは、アンピシリン耐性遺伝子である。Col Eは、E.コリの複製起点である。R1及びR2は、制限酵素認識部位である。 図4は、本発明に従うエントリーベクターの例、EVE4を示す。MET25はプロモーターであり、ADH1はターミネーターであり、f1は糸状ファージ、例えばM13の複製起点である。スペーサー1及びスペーサー2は、マルチクローニング部位MCS由来のいくつかのヌクレオチドによって構成され、Scfl及びAsclは制限酵素認識部位である。他の略語については図3を参照のこと。当該ベクターの配列を配列番号1に記す。 図5は、本発明に従うエントリーベクターの例、EVE5を示す。CUP1はプロモーターであり、ADH1はターミネーターであり、f1は糸状ファージ、例えばM13の複製起点である。スペーサー1及びスペーサー2は、マルチクローニング部位MCS由来のいくつかのヌクレオチドによって構成され、Scfl及びAsclは制限酵素認識部位である。他の略語については図3を参照のこと。当該ベクターの配列を配列番号2に記す。 図6は、本発明に従うエントリーベクターの例、EVE8を示す。CUP1はプロモーターであり、ADH1はターミネーターであり、f1は糸状ファージ、例えばM13の複製起点である。スペーサー3は、ラムダファージのDNAフラグメントの550bpフラグメントである。スペーサー4は、酵母由来のARS1配列である。Scfl及びAsclは制限酵素認識部位である。他の略語については図3を参照のこと。当該ベクターの配列を配列番号3に記す。 図7は、本発明に従うエントリーベクター、EVE9の例を示す。Met25はプロモーターであり、ADH1はターミネーターである。スペーサー5及び6はラムダファージのDNAである。配列番号5. 本発明に従うコンカテマーがクローニングされ得る進化可能な人工染色体(EVAC)のためのアームを提供するためのベクター(pYAC4-Ascl)を示す。TRP1, URA3, 及びHIS3は酵母の独立栄養性マーカー遺伝子であり、そしてAmp RはE.コリの独立栄養性マーカー遺伝子である。CEN4はセントロメアであり、そしてTELはテロメアである。ARS1及びPMB1は、それぞれ酵母及びE.コリ内での複製を可能にさせる。BamH I及びAsc Iは制限酵素認識部位である。当該ベクターのヌクレオチド配列を配列番号4に記す。 図9は、一般的なコンカテマー化のストラテジーを示す。左側には、制限部位、スペーサー、プロモーター、発現可能なヌクレオチド配列及びターミネーターを有する環状エントリーベクターを示す。これらは切り出されてランダムにライゲーションされる。
Figure 2010187692
レジェンド:レーンM:分子量マーカー、Pst1で消化したλファージDNA。レーン1〜9、コンカテマー化反応液。フラグメントとyac-アームの比率(F/Y)は表の通りである。
図10aは、コンカテマー化と進化可能な人工染色体の合成の統合、及びコンカテマーのサイズが、実施例7に記載のようにベクターアームと発現カセットの比率を調整することによってどのように調整されうるかを例示する。 図10bは、コンカテマー化と進化可能な人工染色体の合成の統合、及びコンカテマーのサイズが、実施例7に記載のようにベクターアームと発現カセットの比率を調整することによってどのように調整されうるかを例示する。 EVACゲルレジェンド:EVAC含有クローンのPFGE:レーン、a:酵母DNAのPFGEマーカー(菌株YNN295)、b:ラムダラダー、c:非形質転換宿主酵母、1〜9:EVAC含有クローン。EVACのサイズは1400〜1600kbに及ぶ。レーン2は、それぞれ1500kb未満及び550kb未満のサイズの2つのEVACを含むクローンを示す。550kbのEVACは、564kbの酵母染色体と一緒に移動し、そしてレーン中のほかのバンドと比較して、564kbのバンドの強度の増大をもたらす。矢印はEVACのバンドを示す。 図12は、EVACを含む細胞群の産生の例を示す。EVAC(進化可能な人工染色体)は、異種DNAを含む発現カセットのコンカテマーから構成される人工染色体であって、各遺伝子が外部から制御可能なプロモーターの支配下にあるような人工染色体である。 図13は、増幅されたEVACを含む細胞群をスクリーニングするための一般的な原理を示す。当該細胞群は、増幅され、そして所望の機能性に関連するスクリーニングパネルにかけられる。ポジティブな亜群が選択される。 図14は、最適な機能性/特性に進化するまで、常に最良の細胞群をそれ以降の過程に持ち込んで、細胞群が階段状の選択条件を介してどのように進化するかを示している。 図15は、一般的なスクリーニングストラテジーを示す。独立した群が同一のスクリーニングセットにかけられ、そして異なる選択された亜群由来の遺伝物質が、選択段階間で誘導された新規の遺伝学的多様性と一緒に組み合わされる。 図16は、EVACの物理的再混合を示す。EVACは、各宿主細胞内でEVACの新規組み合わせを得るために、宿主から単離され、そして空の宿主細胞の形質転換又は既にEVACを含む宿主細胞の形質転換に使用される。 図17は、進化の一例を示す。毒に耐性がある細胞が液体培地中で選択されうる。生存している細胞は、毒がその標的と相互作用するのを防ぐ化合物の産生をもたらすEVACを含む細胞である。 図18は、レポーター系の活性を活性化する(又は防ぐ)化合物のスクリーニングに基づく進化プログラムが、どのように設計されうるかを示す。適当なマーカー(例えば、GFP)を用いて、ポジティブなクローンが、例えばフローサイトメトリーを用いて選択されうる。 図19は、カロテノイド合成酵素をコードする遺伝子がエンリッチメントされているEVACを含む細胞群における制御可能な遺伝子発現の例を示す。発現カセットはMet25又はCUP Iプロモーターのいずれかを含む。オレンジと赤のコロニーが、プロモーター活性化の機能として得られる。色の強度及び直食されたコロニーの数が、次の順序で増大する:CUP+Met>CUP>Met。未誘導のコロニーは白色である。
本発明は、新規物質及び/又は代謝経路を産生する細胞に進化させる方法に関する。進化は、さまざまな機能的特徴を有する新規分子及び/又は最適化された分子の産生並びに商業的な価値のある化合物、例えば医薬、化粧品、香料、他の食品及び動物の飼料成分、農薬、着色剤、診断用マーカー、工業用化学物質及び工業用中間体、のさまざまな規模での産生、へと導くことがある。
従って、「細胞の進化」とは、遺伝子の新規な組み合わせの発現に起因する、新規な表現型への細胞の表現型の変化を意味する。「組成物の進化」とは、遺伝子の新規な組み合わせを発現する細胞の新規な組み合わせに起因する、組成物の特性の変化を意味する。
進化及び適応度(fitness)
進化は、最も一般的には、一連の複製と変化のパターンが、ある変形パターンを好む選択的過程にかけられることによる過程のことである。当該選択的工程は、当該パターンによってコードされ、そして当該パターンにおいて変化を受ける結果として変化する、緊急の特性(表現型)に作用する。一連の複製イベントの間に、複製が最も好まれるパターンが、個体群を支配するようになる。
当該パターンの変動は、個々のパターンの変化の結果として、又は個々のパターンの混合の結果として生じる。パターンが個体群を支配するようになることは、部分的には使用した選択基準の結果であり、そして部分的には出発時の個体群の機能である。
生きている生物及び細胞において、優性な複製パターンは、ヌクレオチド配列(DNA又はいくつかのウイルスにおいてはRNA)から構成され、そして選択が働く基準は典型的に、他の分子、例えば(限定しないが)当該ヌクレオチド配列によって直接又は間接的にコードされるタンパク質、代謝物、及び構造的高分子を介して媒介される。
遺伝的なアルゴリズムにおいて、複製パターンは、ソフトウェアが定義する磁性状態から構成され、そして、選択が働く変動は典型的に、(限定しないが)当該磁性状態によって直接又は間接的にコードされる数学的なアルゴリズムの解決、である。
所定のひとまとまりの環境的パラメーターで複製するパターンの能力は、しばしばパターンの「適応度」と言及される。適応度は、複製パターンが最適化するのを「試みる」数学的なパラメーターとしてみなされることがある。任意な所定のパターンの適応度が高ければ高いほど、機会がより大きければ大きいほど、それは1又は複数のそれ自身のコピーを生成し、コピー数がより大きければ大きいほど、それは平均的に生成し、そして機会が少なければ少ないほど、それは複製する前に破壊される。任意な数学関数のように、最適化される特性は、他の点では独立した特性の複合関数であることがある。このように、進化は1つ以上の基準を超えて最適化しうる。例えば、多くの雄性の昆虫の交尾期の鳴き声は、同種の雌性を誘引し、一方で捕食動物を誘引しないように最適化される。クジラ(whale)の血液中の酸素結合タンパク質は、ある諸条件下で酸素に結合し、そして別の諸条件下ではそれを放出するように最適化される。
遺伝物質を含む細胞は、このように基本的に、各細胞内で発生する遺伝子配列内の変動及び所定のひとまとまりの環境的パラメーターにおける当該細胞の適応度によるこの変動結果及びこれらの遺伝子配列を子孫細胞にわたす当該細胞の能力、によって進化することができる。
本発明の目的のために、用語「適応度関数」は、スコアを計算する数学又は代数方程式を意味すると解されるべきであり、ここで、当該方程式の変動因子は、細胞群内の異なる細胞間で変化するアウトプットの変数である。
本発明の目的のために、用語「適応度スコア」とは、適応度関数の方程式によって生まれるスコアであるとする。
従って、細胞上で実施される任意の選択過程は、以下の一般的手順に従い実施されうると理解されよう:
・適応度関数(F')が、それが細胞の所望の表現型をカプセル化し、そして数学的にこれを測定可能なパラメーターと関連させるように定義される。
・各細胞又は細胞群が1又は複数のパラメーターについて測定される。
・細胞のF'が測定されたパラメーターに従い計算される。
・最高のF'スコアを有する細胞が、スクリーニングの局所性(locality)から除かれ、そして増殖させられる。より低いF'スコアを有する細胞は廃棄される。最高のF'スコアは、最高のスコアを有する既定のパーセンテージを意味し、例えば最良1%、5%、10%又は50%、あるいは非常に高い選択圧の場合、最良1‰、最良0.1‰、最良0.01‰、最良0.001‰、又最良0.0001‰である。
あるパターンが他のパターンを超えて選択される基準が本質的に任意であること、原則として、任意な基準が使用されうること、が重要な進化の教示である。その任意なヒトに課される基準は、全生物のおける進化の過程、例えば、工業化の結果としてのガの暗化、種々の特性を有する血統書つきのイヌの進化及び、例えば商業的に価値のある油の増大したレベル又はより均一な結実期間又はより魅力的な香り及び色、を有する植物の進化、を生むために使用することができる。用語「育種」は、ヒトに課される進化を説明するためにしばしば使用される。そのような生物は、所定のひとまとまりのヒトに課される基準に従い、自身の適応度を増大させている。これらの例から、適応度関数の方程式にとって、生じる進化について明白に説明することが必要でないことが明らかであろう。
適応度関数及びその結果として生じた選択圧が、生物に高コストを課す(そして更に場合によっては殺す)表現型を発現する生物へと誘導することができることも更に教示される。この場合に必要とされることは、それらが、伝播の表現型を生む、根底に存在するパターンを可能にする対抗の利益を付与することだけである。一例としては、競合者及び捕食動物にとって高度に見えやすく、且つ攻撃を受けやすくしている一方で、パートナーを誘引し、そしてその結果複製する能力を向上させている、クジャクの尾の進化がある。二倍体又はより高い倍数性及び有性生殖を有する生物において、それは、合理的なレベルで個体群において維持される正味のコストを有するパターンについても可能性がある。この一例としては、西アフリカ人の個体群における鎌状赤血球貧血の変異の維持がある。当該変異のヘテロ接合体型は、(キャリアをマラリアに対して耐性にすることによる)利益を与えるが、ホモ接合体はコストが高い(深刻な貧血を招く)。ヘテロ接合体の利益は、比較的高い頻度で個体群に維持されている内在パターンをもたらす。
異なる位置及び時間で個体群に作用する多数の選択圧が、個体群における複製パターンの変動性を発展させ、そして維持するのを助けることも更に教示される。
2つの同一の選択圧が、2つの独立しているが見かけ上同一の個体群に適用される場合、そのような個体群はそれぞれ類似の表現型に進化するが、当該個体群を支配するようになる(そして進化した表現型を付与する)遺伝子パターンは、当該個体群間で異なることがある。同一の表現型を付与する異なる遺伝子パターンの例としては、細菌におけるストレプトマイシン耐性がある。
上述のことから、生物が、さまざまな環境圧に対して、複雑な進化的応答をすることができることは明白である。
本発明に従う進化は、図13に示す通り、既定の機能性を示す細胞のスクリーニング及び選択に細胞の組成物をかける一連の段階又はその段階のサイクルに基づいている。当該サイクルは、所望の機能性、例えば標的の特異性及び活性が得られるまで繰り返される。
言い換えると、本発明の従う進化の方法は、
1.多様な遺伝子パターンの適当な組み合わせ及び
2.この組み合わせの中での、特性と一致した表現型をコードする遺伝子パターンの選択方法及び
3.段階2で選択されたパターンからの新規な遺伝子パターンの生成方法、
の条件に基づいている。
続いて、これらの段階は、順次又は並行して又は何か他の本質的に反復の原則で、組み合わされることがある。本発明は、これらの要求をどのように達成するかを目的とする。
本発明の別の観点において、当該方法は、宿主細胞の多数の天然の界、属又は目に由来する資源から導びかれる経路の産生に適用されることがある。この例としては、カロテノイド経路由来の遺伝子(真菌、藻類及び/又は植物から得られる)並びにビタミンAの合成に由来する遺伝子(動物から得られる)又は視覚色素の産生をコードする遺伝子(昆虫から得られる)の導入がある。生化学的経路の因子の、界を超えてのそのような標的とした選択及び組み合わせによって、新規代謝物を得る可能性が更に増大することがある。
構造的又は機能的有用性を有する化合物を産生することが知られている種の群及び個々の種の例は、限定しないが、
細菌:ストレプトマイセス、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、ノルカディア(Norcadia,)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、キタサトスポリアム(Kitasatosporiam)、アゾバクテリウム(Azobacterium)、リゾビウム(Rhizobium)、アクロモバクテリウム(Achromobacterium)、エンテロバクテリウム(Enterobacterium)、ブルセラ(Brucella)、ミクロコッカス(Micrococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、バチルス(Bacillus)(B. t.毒素)、クロストリジウム(Clostridium)(毒素)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)、アエロバクター(Aerobacter)、ビブリオ(Vibrio)、ハロバクテリウム(Halobacterium)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、サイトファーガ(Cytophaga)、ミクソコッカス(Myxococcus)
真菌:アマニタ・ムスカリア(Amanita muscaria)(ベニテングダケ(fly agaric)、イボテン酸、ムシモール(muscimol))、シロシベ(Psilocybe)(シロシビン(psilocybin))、フィサリウム(Physarium)、フリゴ(Fuligo)、ムコール(Mucor)、フィトフトラ(Phytophtora)、リゾプス(Rhizopus)、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)(ペニシリン)、コプリヌス(Coprinus)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、アクレモニウム(Acremonium)(セファロスポリン)、トロコデルマ(Trochoderma)、ヘルミンソスポリウム(Helminthosporium)、フサリウム(Fusarium)、アルテルナリア(Alternaria)、ミロセシウム(Myrothecium)、サッカロマイセス(Saccharomyces)
藻類:マクリ(Digenea simplex)(カイニン酸(kainic acid)、駆虫薬)、ミツイシコンブ(Laminaria anqustata)(ラミニン、降圧剤)
地衣類:ウスネア・ファスシアタ(Usnea fasciata)(バルピン酸(vulpinicacid)、抗菌剤、ウスニン酸、抗ガン剤)
高等植物:ヨモギ(Artemisia)(アルテミニシン(artemisinin))、コリウス(Coleus)(フォルスコリン),、ハギ(Desmodium)(カリウムチャネルアゴニスト)、カタランサス(Catharanthus)(ビンカアルカロイド)、ジギタリス(Digitalis)(強心配糖体)、ポドフィルム(Podophyllum)(ポドフィロトキシン(podophyllotoxin))、イチイ(Taxus)(タキソール)、イヌガヤ(Cephalotaxus)(ホモハリントニン(homoharringtonine))、カンプトテカ(Camptotheca)(カンプトテシン(Camptothecin))、チャ(Camellia sinensis)(ティー(tea))、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・サチバ(Cannabis sativa)(大麻)、コカノキ(Erythroxylum coca)(コカ)、烏羽玉(Lophophora williamsii )(ペヨーテ(Peyote))、ニクズク(Myristica fragrans)(ナツメグ)、ニコチアナ(Nicotiana)、ケシ(Papaver somniferum)(オピウム・ポピー(Opium Poppy))、クサヨシ(Phalaris arundinacea)(リードカナリーグラス(Reed canary grass))
原虫:タイコジスカス・ブレビス(Ptychodiscus brevis); 渦鞭毛藻(Dinoflagellates)(ブレビトキシン、心血管性)
海綿動物:ミクロシオニア・プロライフェラ(Microciona prolifera)(エクチオニン(ectyonin)、抗菌剤) クリプトテチラ・クリタ(Cryptotethya cryta)(D-アラビノフラノシド)
腔腸動物:カツオノエボシ並びに他のクラゲ及びメデュソイド毒(medusoid toxin)
サンゴ:シュードテルゴニア種(Pseudoterogonia specie)(シュードテラシン(Pseudoteracin)、抗炎症剤)、 エリスロポディウム(Erythropodium)(エリスロリド(erythrolide)、抗炎症剤)
袋形動物:線虫分泌化合物(Nematode secretory compound)
軟体動物:イモガイ毒、ウミウシ毒、頭足類神経伝達物質(cephalapod neurotransmitter)、イカスミ(squid ink)
環形動物:ランブリコネレシス・ヘテロパ(Lumbriconereis heteropa)(ネライストキシン(nereistoxin、殺虫剤)
クモ形類:ハシリグモ属(「フィッシング・スパイダー」毒)
甲殻類:キセノバラヌス(Xenobalanus) (皮膚用接着剤)
昆虫:エピラチュナ(Epilachna)(メキシカンビーンビートル(mexican bean beetle)のアルカロイド)
Spinunculida:ボネリア・ビリジス(Bonellia viridis)(ボネリン(bonellin)、神経刺激性)
苔虫類:フサコケムシ(Bugula neritina)(ブリオスタチン、抗ガン剤)
棘皮動物:ウミユリ化学(Crinoid chemistry)
被嚢類:トリジデナム・ソリダム(Trididemnum solidum)(ジデニン(didemnin) 、抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤; エクテイナシジア(Ecteinascidia turbinata) エクテイナシジン(ecteinascidins)、抗腫瘍剤)
脊椎動物:メクラウナギ(Eptatretus stoutii)(エプタトレチン(eptatretin)、心作用性)、トゲミシマ(Trachinus draco)(タンパク性毒素、血圧降下、呼吸及び心拍数低下). ヤドクガエル(Dendrobatid frog) (バトラコトキシン、プミリオトキシン(pumiliotoxin)、ヒストリオニコトキシン(histrionicotoxin)及び他のポリアミン)、ヘビ毒;カモノハシ(Orinthorhynohus anatinus)(カモノハシ毒), 修飾型カロテノイド;レチノイド及びステロイド;鳥類:ヒストリオニコトキシン(histrionicotoxin)、修飾型カロテノイド;レチノイド及びステロイド、
を含む。
多様な遺伝子パターン
進化が統計的な過程であるならば、選択過程が作用しうる、十分な遺伝学的変動を提供することが必要である。本発明においては、これは、
・十分に大きく且つ多様な個体群の提供
・多様性の遺伝学的な根拠及びそれをどのように表すかの調整
という2つの因子を含んで成る。
選択は、機能する遺伝学的多様性を必要とする。このように、本発明の最初の要求は、遺伝学的多様性を具体化する細胞群を提供することである。用語「遺伝学的多様性」とは、実質的に全ての細胞が、それらが異なる遺伝子を、そして/あるいは異なる制御系、例えば異なるプロモーターの支配下にある同一の遺伝子含んで成る点で異なっており、その結果、各細胞がほとんど、他の細胞のいずれにおいても表されていない遺伝子型を最初に表すということを意味する。当然のことながら、細胞分裂により、わずかな細胞が実質的に同一であることもある。
用語「細胞群」とは、少なくとも104個の細胞、例えば少なくとも105個の細胞、例えば少なくとも106個の細胞、例えば少なくとも107個の細胞、例えば少なくとも108個の細胞、例えば少なくとも109個の細胞、例えば少なくとも1010個の細胞、例えば少なくとも1011個の細胞、例えば少なくとも1012個の細胞が、当該群において、他の細胞のいずれにおいても表されていない遺伝子型を表している細胞群を意味すると解される。
このように、本発明に従う進化方法の原理は、非常に高い遺伝学的多様性を有する細胞群を得ることにある。
この原理の1つの特定の態様は、任意の数の関連していない又は遠縁又は近縁の種、あるいは異なる界又は属由来の種に由来することがある、多数の異なる発現状態由来の発現可能なヌクレオチド配列を有するカセットを含んで成るコンカテマーの組み合わせを有する細胞を産生することであり、新規で且つランダムな遺伝子産物の組み合わせが1つの単一細胞内で産生される。
宿主細胞内に新規遺伝子を挿入することによって、そして特に異なる遺伝子状態、例えば幅広い種、に由来する多数の新規遺伝子を宿主細胞内に挿入することによって、新規遺伝子のこのアレイに由来する遺伝子産物は、宿主細胞の代謝物のプールと相互作用し、そして互いに相互作用し、そして既知の代謝物及び/又は新規化合物を創り出すための新規経路における中間体を修飾する。本発明に従う方法を用いて産生しうる、多数の実質的に異なる細胞、例えば少なくとも104個の細胞、例えば少なくとも105個の細胞、例えば少なくとも106個の細胞、例えば少なくとも107個の細胞、例えば少なくとも108個の細胞、例えば少なくとも109個の細胞、例えば少なくとも1010個の細胞、例えば少なくとも1011個の細胞、例えば少なくとも1012個の細胞に起因して、そのような巨大な群が、前記の相互作用を有する亜群に至ることは、多かれ少なかれ避けられないことであり、あるいは少なくとも起こりうる。前記相互作用を有する亜群は、最大1010個の細胞、例えば最大109個の細胞、例えば最大108個の細胞、例えば最大107個の細胞、例えば最大106個の細胞、例えば最大105個の細胞、例えば最大104個の細胞、例えば最大103個の細胞、例えば最大102個の細胞又はちょうど10個の細胞、を含んで成ることがある。
この目的で選択された宿主細胞は、好ましくは、標準的な研究室の条件下で、標準的な培養条件、例えば標準的な培地及びプロトコールを用いて培養可能である。好ましくは、宿主細胞は、コンカテマーを細胞分裂の世代の間維持することができる、実質的に安定な細胞系を含んで成る。宿主細胞の形質転換のための標準的な技術及び、特に宿主細胞内への人工染色体の挿入方法は知られている。
これはまた、宿主細胞が、有性組換え(sexual recombination)を実施するために有糸分裂を受けることができる場合にも有利である。また、有糸分裂が細胞培養の外部からの操作を介して制御可能であることも有利である。1つの特に有利な宿主細胞の型は、細胞が、異なる接合型へと外部からの操作を介して操作されうるものである。
宿主生物は、好ましくは、条件付で相同組換えを受ける能力の欠損があるべきである。宿主生物は、好ましくは、ドナー生物のものと類似のコドン使用頻度を有するべきである。更に、ゲノムDNAの場合、真核生物のドナー生物が使用される場合、宿主生物は、ドナーのメッセンジャーRNAを適切に処理する、例えばイントロンをスプライシングする能力を有する。
細胞は、細菌、古細菌、又は原核生物であってもよく、そして同種の細胞系又は混合培養を構成することがある。適当な細胞には、遺伝子操作及びタンパク質発現に一般的に使用される細菌及び真核生物の細胞系が含まれる。
好ましい原核生物の宿主生物には、限定しないが、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)、ロドコッカス属(Rhodococcus), ストレプトマイセス属(Streptomycetes), アクチノマイセス属(Actinomycetes), コリネバクテリア属(Corynebacteria), バチルス(Bacillus),シュードモナス属(Pseudomonas), サルモネラ(Salmonella), 及びエルウィニア(Erwinia)が含まれる。E.コリ(E. coli)及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)の完全な遺伝子配列は、Blattner et al., Science 277,1454-1462 (1997); Kunst et al., Nature 390,249-256 (1997)に記載されている。
好ましい真核生物の宿主生物は、哺乳類、魚類、昆虫、植物、藻類及び真菌である。
哺乳類細胞の例は、例えば、サル、マウス、ラット、ハムスター、霊長類、及びヒト由来のものであって、細胞系及び初代培養のものを含む。好ましい哺乳類の宿主細胞には、限定しないが、ヒト、サル及びげっ歯類、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa 等(Kriegler M. in"Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual", New York, Freeman & Co. 1990を参照のこと)、及び幹細胞、例えば胚性幹細胞及び造血性幹細胞、接合体、線維芽細胞、リンパ球、腎臓、肝臓、筋肉、及び皮膚細胞由来のものが含まれる。
昆虫細胞の例には、バキュロ・レピドプテラ(baculo lepidoptera)が含まれる。
植物細胞の例には、トウモロコシ、コメ、コムギ、コットン、ダイズ、及びサトウキビが含まれる。植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のものが好ましい。
真菌の例には、ペニシリウム属(penicillium), アスペルギルス属(aspergillus)、例えばアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、ポドスポラ属(podospora)、ニューロスポラ属(neurospora)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、サッカロマイセス属(saccharomyces)、例えばサッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)(出芽酵母)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(分裂酵母)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(メタノール資化性酵母)が含まれる。
宿主の選択は、操作される宿主の使用目的に依存する多数の因子、例えば病原性、基質の範囲、環境的な耐久性、重要な中間物質の存在、遺伝子操作のしやすさ、及び他の生物に対する遺伝子情報の無秩序な伝達の可能性、に依存する。特に有利な宿主は、E.コリ、ラクトバシル(lactobacilli),ストレプトマイセス属(Streptomycetes), アクチノマイセス属(Actinomycetes)及び糸状菌である。
好ましい宿主細胞は、以下の特徴に起因して、酵母細胞である:素早く増殖する、真核生物である、拡張可能な培養能を許容している、遺伝学的なツールが利用できる、代謝的に自由である、比較的透過性のある細胞膜/壁を有することがある(薬物様分子の多く(70%超)を透過することができる酵母の菌株が存在する)、原核生物よりも正確に、より異種の真核生物のタンパク質を折りたたむ。
次のように、適当な酵母宿主細胞の例示的であって限定的でないリストには、パン酵母, クルイベロマイセス・マリキシャヌス(Kluyveromyces marxianus), K.ラクチス(K. lactis), , カンジダ・ウチリス(Candida utilis), ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma), サッカロマイセス・ボウラジイ(Saccharomyces boulardii), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・パラフィニカ(Candida paraffinica), シュワニオマイセス・カステリイ(Schwanniomyces castellii), ピキア・スチピチス(Pichia stipitis), カンジダ・シェハタエ(Candida shehatae), ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis), リポマイセス・リポフェル(Lipomyces lipofer), クリプトコッカス・クルバツス(Cryptococcos curvatus), カンジダ種(Candida spp)(例えば、C.パルミオレオフィリア(C. palmioleophila)), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii), カンジダ属(Candida), ロドトルラ種(Rhodotorula spp), サッカロマイセス種(Saccharomycopsis spp)., アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans), カンジダ・ブルンプチイ(Candida brumptii), カンジダ・ハイドロカーボフマリカ(Candida hydrocarbofumarica), トルロプシス属(Torulopsis), カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis), サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra), カンジダ・フラベリ(Candida flaveri), エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyii), ピキア種(Pichia spp.), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), クルイベロマイセス属(Kluyveromyces), ハンセヌラ属(Hansenula), クロエケラ属(Kloeckera), ピキア属(Pichia), パチソレン種(Pachysolen spp.), 又はトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)が含まれる。
いずれの宿主細胞においても、全ての可能性がある種に由来する発現可能なヌクレオチド配列の種々の組み合わせを作り出すことが可能である。更に、まったく同一の発現可能なヌクレオチド配列と組み合わせたプロモーター及び/又はスペーサー及び/又はイントロン及び/又はターミネーターの組み合わせを作り出すことも可能である。
好ましい態様において、進化させられる細胞は、多数のカセットを含んで成るコンカテマーを、コンカテマーを維持することができ、そして発現可能なヌクレオチド配列を協調して発現することができる宿主細胞内に挿入することによって産生される。コンカテマーに含まれるカセットは、好ましくは当該カセット間にコンパチブルな制限部位を有するそれらの均一な構造に起因して、宿主細胞から切り出され、そして再構築されることがある。
本発明において定義される細胞は、好ましくは本発明のおける使用のための群の中に集められる。続いて、進化にかけられる細胞の組成物が、群又は複数の亜群から細胞を選択することによって生成する。個々の細胞の群は、多数のドナー生物種に由来する、ランダムに構築され、あるいは更にコンカテマー化した発現可能なヌクレオチド配列から調製された発現コンストラクトを含んで成るライブラリーであり、ここで、発現可能なヌクレオチド配列は、適切な宿主生物内で発現可能なヌクレオチド配列の発現を進める制御領域と、作用可能に関連している。使用する宿主生物は、ドナー生物の機能的な遺伝子産物を産生することができる。宿主生物内での発現時に、ドナー生物の遺伝子産物は、新規な生化学的経路を形成するために相互作用することがある。
本発明のこの態様に従う群は、任意な1つの細胞において、宿主細胞にとって異種な、高コピー数の発現カセットの独特で且つ、好ましくはランダムな組み合わせを含んで成ることもある。このランダムな発現カセットの組み合わせを介して、新規で且つ独特な遺伝子産物の組み合わせが各細胞において得られる。そのような群は、非天然の遺伝子産物の組み合わせを介して創り出される新規な代謝経路の発見に特に適している。
好ましい態様において、当該群は、個々の細胞のコレクションを含んで成る群であって、当該細胞が
細胞1、細胞2・・・・、細胞i(ここで、i≧2である)で表され、
各細胞が個々のオリゴヌクレオチドカセットのうちの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成り、
各コンカテマーが以下の式:
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
PRは、細胞内でXの発現を制御することができるプロモーターを表し、
TRはターミネーターを表し、そして
n≧2であり、そして
細胞1の少なくとも1つのコンカテマーが細胞2のコンカテマーと異なる)
のヌクレオチド配列を含んで成る、群として定義されることもある。
本文における、式[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]nのヌクレオチド配列はまた、式[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]nの発現カセットとしても言及される。
亜群は、群に関して上文で定義したような細胞を含んで成ることもあるが、亜群の細胞はほとんど、少なくとも1つの共通の形質、例えば共通のプロモーターの組み合わせ、共通の種に由来する遺伝物質、共通の表現型等を有する。
群及び亜群の機能は、進化させられる細胞の組成物を得る場合に、多様性の供給源として働くことである。次のように、1つの態様において、当該組成物は、サブ組成物(subcomposition)のコレクションであり、ここで、サブ組成物は、少なくとも1つの共通の表現型を有する個々の細胞のコレクションである。好ましい態様において、当該組成物は、少なくとも2個の個々のサブ組成物、少なくとも2個の個々のサブ組成物であって異なるサブ組成物、例えば少なくとも5個の個々のサブ組成物、例えば少なくとも10個の個々のサブ組成物、を含んで成り、ここで、各サブ組成物は、少なくとも50個の個々の細胞、例えば少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも103個の個々の細胞、例えば少なくとも104個の個々の細胞、例えば少なくとも105個の個々の細胞、例えば少なくとも106個の個々の細胞、例えば少なくとも107個の個々の細胞、例えば少なくとも108個の個々の細胞、例えば少なくとも109個の個々の細胞、を含んで成る。
細胞の組成物は、好ましくは、少なくとも20個の個々の細胞、例えば少なくとも50個の個々の細胞、例えば少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも150個の個々の細胞、例えば少なくとも200個の個々の細胞、例えば少なくとも250個の個々の細胞、例えば少なくとも500個の個々の細胞、例えば少なくとも750個の個々の細胞、例えば少なくとも1000個の個々の細胞、例えば少なくとも103個の個々の細胞、例えば少なくとも104個の個々の細胞、例えば少なくとも105個の個々の細胞、例えば少なくとも106個の個々の細胞、例えば少なくとも107個の個々の細胞、例えば少なくとも108個の個々の細胞、例えば少なくとも109個の個々の細胞、を含んで成る。
好ましい態様において、少なくとも多数の個々の細胞が遺伝子パターン又は遺伝子型を有し、それによって大きな多様性を表している。
用語「創始群(founding population又はfounder population)」は、それ自身選択段階にかけられていない細胞群を意味し、本文においては細胞の組成物としても言及される。任意に、当該細胞群内の発現コンストラクトは、所望の構造的なクラスの化合物、又は所望の機能的効果を有し、若しくは当該化合物の知識とは無関係に所望の機能効果と関連している化合物を産生する従来技術で知られている種の遺伝物質が優性となるように、構築される。
用語「娘(daughter)細胞群」は、少なくとも1つの選択段階にかけられている細胞群である。本文における娘細胞群はまた、更に修飾された組成物としても言及される。
多様性の遺伝学的根拠の調整
遺伝子の供給源
自然界は、十分な量の遺伝学的多様性を含む。さまざまな権威が、少なくとも107の異なる種が存在しており、これらの種のそれぞれが、平均して少なくとも104の遺伝子を含むと推定している。これらの遺伝子の多くが種間で比較的保存されているという事実を考慮しても、このことは高レベルの遺伝学的多様性を表す。
本発明の目的のために予見されうる1つのアプローチは、得られた遺伝子の分類学的な多様性を最大化するように、遺伝物質を調達することである。
2つ目は、所望の構造的クラスの又は機能的効果を有する分子を産生することが知られ、又は考えられている生物、あるいは任意のそのような生物に分類学的に関連している生物から優先的に遺伝物質を調達することである。
3つ目のアプローチは、特に注目の遺伝子の選択である。
4つ目のアプローチは、一般的に宿主の代謝経路に及んでいる遺伝子を選択することである。
任意に、これらのアプローチは、任意の適当な方法で組み合わされることがある。
遺伝子は、種々の形態の遺伝物質の回収及び処理を介して調達されうる。
本発明に従う、ベクター、コンカテマー、及び細胞に挿入されうる発現可能なヌクレオチド配列は、任意な型のヌクレオチド、例えばRNA、DNAを包含する。そのようなヌクレオチド配列は、例えば、天然で発現可能なcDNAから得ることもできる。しかし、特定の遺伝子をコードするゲノムDNAの配列を使用することもできる。好ましくは、発現可能なヌクレオチド配列は、完全長の遺伝子、例えば実質的に完全長のcDNAと対応しているが、もとの完全長のクローンよりも短いペプチドをコードするヌクレオチド配列も使用されうる。より短いペプチドは、天然タンパク質の触媒活性をなおも保持することがある。このように、本発明の好ましい態様は、cDNAを得るためにメッセンジャー転写物(mRNA)を調達し、そして回収することである。
発現可能なヌクレオチド配列を得るための別の方法は、既知のペプチド又はタンパク質配列をコードするヌクレオチド配列の化学合成を介するものである。このように、発現可能なDNA配列は、天然の配列である必要はないが、実際的には、天然のヌクレオチド配列を主に使用することが好ましいことがある。DNAが一本鎖であるか二本鎖であるかは、使用するベクター系に依存する。
用語「発現状態」とは、任意のある時点で採集されるような、特定の細胞、組織、組織の組み合わせ又は所定の種の1若しくは複数の生物における遺伝子発現の状態(すなわちmRNA転写物群)を意味する。異なる発現状態は、異なる個体、又は時期が異なる同一の個体、又はその生活環が異なる同一の個体、又は異なる外部的条件下にある同一の個体、において見られる。所定の細胞又は所定の個体の組織の発現状態はまた、他の細胞又は同一の個体の組織に関して変化する。異なる発現状態はまた、任意のある種の同一の器官又は組織において、当該組織又は器官を、異なる環境的条件であって、限定しないが、発育段階の変化の、年齢の変化、疾患、感染、乾燥、湿気、塩分、生体異物に対する曝露、生理学的エフェクター、温度、気圧、pH、光、気体の環境、化学物質、例えば毒素を含んで成るものに曝露することによって得ることもできる。
下文において、本発明は、進化可能な人工染色体を含む形質転換した宿主細胞を得る段階が、エントリーベクターから出発して実施されうる順序で説明される。
多くの場合、発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターに関する配向は、コード鎖が適切なmRNAに転写されるような配向である。しかしながら、特定の遺伝子の発現を阻止するために、配列が逆転してアンチセンスの転写物を生成することも考えられる。
細胞群の各細胞は、少なくとも1つの発現状態から選択された遺伝子を組み合わせることによって最初に産生される。当然のことながら、最初から1つの宿主細胞内で2、3、4又はそれ以上の発現状態から遺伝子を組み合わせ、又は1つの細胞内で異なる生物由来の遺伝子を組み合わせることも可能である。本発明のいくつかの態様において、各細胞が、少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列であって、当該細胞にとって異種の配列、すなわち天然の細胞型で見られない配列を含んで成るように、多種の生物に由来する遺伝子を単一の宿主内で組み合わせることも好ましい。
全ての可能性がある供給源に由来する発現可能なヌクレオチド配列の広範な組み合わせが当該細胞で発生しうる。まったく同一の発現可能なヌクレオチド配列と組み合わせたプロモーター及び/又はスペーサー及び/又はイントロン及び/又はターミネーターの組み合わせを作り出すことも可能である。
このように、いずれの細胞においても、2つの異なる発現状態に由来する発現可能なヌクレオチド配列が存在することもある。更に、これらの2つの異なる発現状態は、1つの種、又は有利には2つの異なる種に由来していてもよい。いずれの宿主細胞も、少なくとも3個の種、例えば少なくとも4、5、6、7、8、9又は10個の種、又は15個以上の種、例えば20個以上の種、例えば30、40又は50個以上の種、例えば100個の異なる種、例えば300個以上の異なる種、例えば500個以上の異なる種、例えば1000個以上の異なる種、に由来する発現可能なヌクレオチド配列を含んで成ることがあり、それによって多数の種から多数の発現可能なヌクレオチド配列が得られる。この方法においては、潜在的に限定しない数の発現可能なヌクレオチドの組み合わせが、異なる発現状態を超えて組み合わされうる。これらの異なる発現状態は、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表すことがある。異なる種は、少なくとも2つの異なる門、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来することがある。従って、発現可能なヌクレオチド配列は、真核生物と原核生物から全く同一の細胞に統合されることもある。
本発明の別の態様に従い、発現可能なヌクレオチド配列は全く同一の発現状態に由来することもある。これらの配列の産物は、宿主細胞の遺伝子産物と相互作用することがあり、そして新規な生化学的経路へと導く新規な酵素の組み合わせを形成することがある。
遺伝子発現の制御−発現カセット
遺伝子は主に、RNAへの遺伝子の転写及びタンパク質への当該RNAの翻訳を介して選択可能な表現型に至る。更に、表現型はしばしば同義遺伝子とそれらの遺伝子産物の相互作用の結果である。
このように、異種遺伝子が、それらの個々の且つ組成物的な発現(RNAへの転写)が制御されうる形式で提供されることは本発明の要素である。
宿主細胞内での多数の非天然遺伝子の組み合わせを介して、宿主細胞にとって致死性又は亜致死性の、複数の遺伝子又は単一の遺伝子の組み合わせが挿入されるようである。宿主細胞内での当該遺伝子の協調した発現を介して、遺伝子の任意なサブセットの発現を誘導するだけでなく、例えば、致死性又は亜致死性遺伝子のそのような発現を抑制することもできる。
発現可能なヌクレオチド配列を制御するプロモーターの外部からの制御を介して、発現した遺伝子の新規で且つ非天然の組み合わせが得られることがある。これらの新規で且つ非天然の遺伝子産物の組み合わせが全く同一の細胞で見られるので、異種遺伝子産物が、宿主細胞の代謝に新規経路で影響を及ぼすことがあり、その結果、新規でそして/あるいは天然でない一次又は二次代謝物及び/又は新規な量の既知の代謝物を、そして/あるいは細胞の新規な区画に又は細胞の外側に既知の代謝物を産生させる。新規な代謝経路及び/又は新規な又は修飾された代謝物は、導入遺伝子を宿主ゲノムの任意なセグメントと、又は宿主細胞の任意なエピソームと実質的に組換えることなしに得ることができる。
多数の独立して誘導可能又は抑制可能なプロモーターの支配下で発現可能なヌクレオチド配列を有することによって、多数の異なる発現状態が、挿入された発現可能なヌクレオチド配列の群を選択的に切り換えることによって1つの細胞内で作り出される。1つの細胞内で独立して誘導可能及び/又は抑制可能なプロモーターの数は、1〜10、例えば2、3、4、5、6、7、8、又は9、あるいは例えば最大15、20、25又は50個以上のプロモーターに変化することがある。
進化の段階において、細胞の制御可能なプロモーターの機能性が使用されるのは、制御可能なプロモーターに起因して、スクリーニング及び選択段階の間にプロモーターをオンオフに切り換えることができるためであり、その結果より大きな多様性の発現遺伝子が創り出される。
用語「プロモーター」は、その通常の意味で、すなわちRNAポリメラーゼが結合し、そして転写を開始するDNA配列として、使用される。プロモーターは、鎖が転写されるのを指示することによって転写物の方向性を決定する。
・細菌のプロモーターは通常、特定のシグマ因子及びRNAポリメラーゼが結合する、−35〜−10(転写開始部位に対して相対的なもの)の共通配列から成る。
・真核生物のプロモーターはそれ以上に複雑である。発現ベクターで利用される多くのプロモーターは、RNAポリメラーゼIIによって転写される。基本転写因子(GTF)が最初に添加開始部位付近の特定の配列に結合し、そして次にRNAポリメラーゼの結合を漸加する。これらの最低限のプロモーター因子に加えて、小さな配列因子が、所定のプロモーターの活性を制御するモジュラーDNA結合/トランス活性化タンパク質(例えば、AP-1, SP-1)によって具体的に認識される。
・ウイルスのプロモーターは、細菌及び真核生物と同じ機能を果たしうる。それらの宿主のウイルス感染時に、ウイルスのプロモーターは、宿主の転写機構を用いて、又は宿主の機構の一部を置き換えるためにウイルス性にコードされた酵素を供給することによって、転写を方向付ける。
プロモーターは更に、プロモーターと一緒に働き、そしてリプレッサー(例えば、E. コリのlacO/LAC lqリプレッサー系)又はインデューサー(例えば、酵母のgal1/GAL4インデューサー系)のいずれかに結合するDNA配列因子である制御因子を含んで成ることもある。いずれの場合においても、プロモーターが抑制解除又は誘導され、転写が「開始される(turned on)」まで、転写は実質的に「止められる(shut off)」。カセットのプロモーターの選択は、カセットが挿入されるのが意図される宿主生物に主に依存する。この目的にとって重要な必要条件は、プロモーターが、好ましくは、発現可能なヌクレオチド配列が発現すべき宿主細胞において機能することができるべきであることである。
好ましくは、プロモーターは、外部から制御可能なプロモーター、例えば誘導可能なプロモーター及び/又は抑制可能なプロモーターである。プロモーターは、化学物質、例えば化学的誘導因子、例えば代謝物、基質、金属、ホルモン、糖の不在/存在によって制御可能(抑制可能/誘導可能)でありうる。プロモーターは、ある生理学的パラメーター、例えば温度、pH、酸化還元状態、増殖段階、発育段階、によっても同様に制御可能である場合があり、あるいは、プロモーターは、合成のインデューサー/リプレッサー、例えばgalインデューサーによって誘導可能/抑制可能である場合がある。
宿主細胞の遺伝子制御系による意図していない干渉を回避するために、且つ協調的な遺伝子発現の制御可能性を向上させるために、プロモーターは好ましくは合成プロモーターである。適当なプロモーターは、US 5,798,227, US 5,667,986に記載されている。適当な合成の真核生物プロモーターを設計するための原理は、US 5,559,027, US 5,877,018又はUS 6,072,050に開示されている。
遺伝子の転写の制御のための、合成の誘導可能な真核生物のプロモーターは、タンパク質の発現レベルの向上及びより低い基底レベルの遺伝子発現を達成しうる。そのようなプロモーターは、好ましくは、一般的に他の誘導因子の挿入による誘導因子を1つ含む天然のプロモーターの修飾によって、制御因子の少なくとも2つのクラスを含む。例えば、追加の金属応答因子(IR:Es)及び/又は糖質コルチコイド応答因子(GRE)が、天然のプロモーターに提供されうる。更に、1又は複数の構成因子が、より低い基底レベルの遺伝子発現を提供するために、機能的に無能化されることがある。
プロモーターの好ましい例は、限定しないが、炭水化物、例えばガラクトース;より低い無機性ホスファーゼレベル;温度、例えば低温又は高温シフト;金属又は金属イオン、例えば銅イオン;ホルモン、例えば、ジヒドロテストロン;デオキシコルチコステロン;熱ショック(例えば39℃);メタノール;酸化還元状態;増殖段階、例えば発育段階;合成のインデューサー、例えばgalインデューサーを含んで成る群から選択される任意の因子によって誘導され、そして/あるいは抑制されるプロモーターを含む。そのようなプロモーターの例として、ADH 1, PGK 1, GAP 491, TPI, PYK, ENO, PMA 1, PH05, GAL 1, GAL 2, GAL 10, MET25, ADH2, MEL 1, CUP 1, HSE, AOX, MOX, SV40, CaMV, Opaque-2, GRE, ARE, PGK/AREハイブリッド, CYC/GREハイブリッド,TPI/a2オペレーター, AOX 1, MOX A.がある。
しかしながら、更に好ましくは、プロモーターは、ハイブリッドプロモーター、例えばPGK/AREハイブリッド、CYC/GREハイブリッドから、又は合成プロモーターから選択される。そのようなプロモーターは、発現宿主の天然遺伝子の制御に干渉しすぎることなしに制御されうる。
続いて、本発明で一緒に使用されうる既知の酵母プロモーターの例を示す。当該例は限定するものではなく、そして、本発明に従い有用なプロモーターをどのように選択し又は設計するかを当業者に示す役割を果たすためのものである。
酵母で機能的な多くの転写プロモーターが文献に記載されているが、それらのうちのわずかにいくつかが、組み換え手段によるポリペプチドの産生にとって有効であることが証明されている。特に、強力な構成的プロモーターと考えられている、PGK遺伝子(3−ホスホグリセリン酸キナーゼ)、GAPDH(グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ)をコードするTDH遺伝子、TEF1遺伝子(伸長因子1)、MFα1(α性フェロモン前駆体)のプロモーター、あるいはチアミンによって制御されうる、グルコース又はPHO5の存在下で抑制される制御可能なプロモーターCYClを挙げることができる。しかしながら、しばしば説明できない理由により、それらは、自身が制御する遺伝子の有効な発現を常には可能にしない。本文においては、新規の有効な宿主/ベクター系を産生するために、新規のプロモーターを有することが可能であることが常に有利である。更に、所定の細胞において有効なプロモーターの選択が、同種の配列間の組み換えの問題を回避しつつ、この同一の細胞における多数のタンパク質(例えば、同一の代謝系の複数の酵素)の産生を予見させる。
通常、プロモーター領域は、遺伝子の5’領域に配置され、そしてそれらの制御下にあるDNAフラグメントの転写を可能にする全ての因子、特に
(1)転写の開始部位の位置及び基底レベルを決定する、TATAボックス及び転写開始部位を含んで成る、いわゆる最小プロモーター領域。サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)においては、最小プロモーター領域の長さは比較的変化可能なものである。事実、TATAボックスの正確な配置は、開始部位の−40〜−120ヌクレオチド上流にあってもよい(Chen and Struhl, 1985, EMBO J., 4,3273-3280)。
(2)構成的に(培養条件に関係なく、細胞周期に沿った比較的一定の転写レベル)又は制御可能に(アクチベーターの存在下での転写及び/又はリプレッサーの存在下での抑制の活性化)有効な転写レベルを保証するのを可能にする、TATAボックスの上流(最大数百ヌクレオチドすぐ上流)の配列。これらの配列は、アクチベーター、インヒビター、エンハンサー、インデューサー、リプレッサーなどの複数の型のものでもよく、そして細胞性の因子又は培養条件の変化に応答することがある。
そのようなプロモーターの例には、US 5,641,661に開示されているZZA1及びZZA2プロモーター、WO 97/44470に開示されているEF1-αタンパク質プロモーター及びリボソームタンパク質のS7遺伝子プロモーター、US 5,952,195に開示されているCOX 4プロモーター及び2つの未知のプロモーター(本明細書の配列番号1及び2)がある。他の有用なプロモーターには、WO 98/54339に開示されているHSP 150プロモーター並びにUS 4,870,013に開示されているSV 40及びRSVプロモーター、並びにEP 0 329 203 A1に開示されているPyk及びGAPDHプロモーターが含まれる。
更に好ましくは、本発明は、合成プロモーターの使用を採用する。合成プロモーターは、ある遺伝子の最小プロモーター領域と別の遺伝子の上流制御配列とを組み合わせることによって構築される。プロモーターの制御の増大は、上流制御配列の特定配列を修飾することによって、例えば、置換又は欠失を介して、あるいは特定の制御配列の多数のコピーの挿入を介して得ることができる。合成プロモーターを用いる1つの利点は、それらが、宿主細胞の天然のプロモーターに干渉しすぎることなく制御されうることである。
そのような合成の酵母プロモーターは、2つの異なる酵母由来遺伝子、酵母のキラー毒素リーダーペプチド、及びIL-1βのプロモーター又はプロモーター因子を含んで成る(WO 98/54339)。
酵母の合成プロモーターの別の例は、酵母のPHO5遺伝子の上流活性化部位を含んで成る5’側の上流プロモーター因子及び、GAP遺伝子のヌクレオチド−300〜−180から開始してヌクレオチド−1で終わる、酵母GAPDH遺伝子の3’側の下流プロモーター因子、を含む酵母のハイブリッドプロモーターに関する、US 5,436,136 (Hinnen et al)に開示されている。
酵母の合成プロモーターの別の例は、US 5,089,398 (Rosenberg et al)に開示されている。この開示には、一般式
(P. R. (2)-P. R. (1))-
(P. R. (1)は、コード配列に隣接し、且つ転写開始部位、RNAポリメラーゼ結合部位を有し、且つTATAボックス、CAAT配列、及び転写制御シグナル、例えばキャッピング配列を必要に応じて含む、プロモーター領域であり;
P. R. (2)は、RNAポリメラーゼ結合領域の転写の有効性の増強と関連した、P. R. (1)の5’末端に連結したプロモーター領域である)を有するプロモーターを記載している。
US 4,945,046 (Horii et al)においては、合成の酵母プロモーターをどのように設計するかについての更なる例が開示されている。この特定のプロモーターは、酵母及び哺乳類の両方に由来するプロモーター因子を含んで成る。当該ハイブリッドプロモーターは本質的に、上流活性化部位(UAS)が欠失され、そしてSV40ウイルス由来の初期エンハンサー領域によって置換されている、サッカロマイセス・セレビシアエのPHO5又はGAP-DHプロモーターから成る。
遺伝子のサブセットの協調した発現はまた、どの異種遺伝子が所定の表現型の生成に必要であるかを同定するためにも利用されうる。
mRNAの単離から開始して、エントリーベクター内に挿入するまでに、されるべき段階の完全な順序は、以下の
i)発現状態からmRNAを単離し、
ii)当該mRNA配列に相当する実質的に完全長のcDNAを獲得し、
iii)一次ベクター内の、5’→3’方向の一般式[RS1-RS2-SP-PR-CS-TR-SP-RS2'-RS1'](ここで、CSはクローニング部位を表す)のカセットのクローニング部位内に実質的に完全長のcDNAを挿入する段階、
を含んでもよい。
発現カセット
本発明に従う発現カセットは、好ましくは、高度に順序づけられた配列のヌクレオチドのカセットであって、5’→3’方向に、一般式
[RS1-RS2-SP-PR-CS-TR-SP-RS2'-RS1']
(ここで、RS1及びRS1'は制限部位を表し、RS2及びRS2'はRS1及びRS1'と異なる制限部位を表し、SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、CSはクローニング部位を表し、そしてTRはターミネーターを表し、これら全てが本明細書のどこかで論じられている)を有するカセットとして準備される。
発現コンストラクトの両側に隣接する2つの異なる制限部位を有することは有利である。
両方の制限部位を開裂する制限酵素で一次ベクターを処理することによって、当該発現コンストラクト及び当該一次ベクターは、2つのコンパチブルでない末端を有するものとなる。これは、空のベクターが発現コンストラクトのコンカテマー化に関与しないので、コンカテマー化を容易にする。
基本的に、制限酵素が知られている任意の制限部位が使用されうる。これらは、分子生物学の分野で一般的に知られ、そして使用される制限酵素、例えばSambrook, Fritsch, Maniatis,"A laboratory Manual", 2nd edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989.に記載されているものを含む。
制限部位認識配列は、好ましくは、クローニングされたオリゴヌクレオチド内の同一の制限部位の発生の可能性が最小化されるような十分な長さのものである。このように、第一の制限酵素は、少なくとも1つの6個の塩基を含んで成ることもあるが、更に好ましくは、当該認識配列は、少なくとも7個又は8個の塩基を含んで成る。当該認識配列中に7個又はそれ以上のN以外の塩基を有する制限部位は、一般的に「レア(rare)制限部位」として知られている(実施例6を参照のこと)。しかしながら、当該認識配列はまた、少なくとも10個の塩基、例えば少なくとも15個の塩基、例えば、少なくとも16個の塩基、例えば少なくとも17個の塩基、例えば少なくとも18個の塩基、例えば少なくとも18個の塩基、例えば少なくとも19個の塩基、例えば少なくとも20個の塩基、例えば少なくとも21個の塩基、例えば少なくとも22個の塩基、例えば少なくとも23個の塩基、例えば少なくとも25個の塩基、例えば少なくとも1つの30個の塩基、例えば少なくとも1つの35個の塩基、例えば少なくとも40個の塩基、例えば少なくとも1つの45個の塩基、例えば少なくとも50個の塩基であってもよい。
好ましくは、第一制限部位RS1及びRS1'は、二本鎖のヌクレオチド配列の平滑末端を生成する制限酵素によって認識される。この部位に平滑末端が生成することによって、ベクターがその後のコンカテマー化に関与する危険性が大きく低下する。第一制限部位はまた、粘着末端を生じさせることもあるが、これらは、好ましくは第二制限部位RS2及びRS2'から生じる粘着末端及びAC中の粘着末端とコンパチブルではない。
本発明の好ましい態様に従い、第二制限部位RS2及びRS2'は、レア制限部位を含んで成る。このように、レア制限部位の認識配列が長いほど、それを認識する制限酵素が他の−不所望な−位置でヌクレオチド配列を開裂することが更に少なくなり、そしてその可能性が低下する。
レア制限部位は更に、PCRプライマー部位(PCR priming site)としての役割を果たすことがある。それによって、PCR技術を介して当該カセットをコピーし、それにより間接的にベクターから当該カセットを「切り出す」ことが可能となる。
一本鎖のコンパチブルな末端は、制限酵素による消化によって作られることがある。コンカテマー化の場合、カセットの切り出しにとって好ましい酵素は、レアカッター、すなわち、7個又はそれ以上ヌクレオチドの配列を認識する酵素であろう。まれに切断する酵素の例はメガヌクレアーゼであり、この多くがイントロンをコードするものであり、例えばI-Ceu 1, I-Sce 1, I-Ppo I, and PI-Psp Iである(これ以上については実施例6dを参照のこと)。他の好ましい酵素は、8個のヌクレオチド配列を認識し、例えばAsc I, AsiS I, CciN I, CspB I, Fse I, MchA I, Not 1, Pac I, Sbf I, Sda I, Sgf I, SgrA I, Sse232 I, 及びSse8387 Iであり、これらは全て、一本鎖でパリンドロームのコンパチブルな末端を作り出す。
コンカテマー内の個々のカセットの配向を制御するために使用されることもある、他の好ましいレアカッターは、非パリンドローム配列を認識する酵素、例えばAar I, Sap I, Sfi 1, Sdi I, 及びVpaである(これ以上については実施例6cを参照のこと)。
あるいは、カセットは、末端に対する制限部位の追加、例えばPCR又はリンカー(短い合成dsDNA分子)に対するライゲーションによって調製されることもある。制限酵素は継続して単離され、そして特徴付けられており、そしてそのような新規酵素の多くが、本発明に従う一本鎖のコンパチブルな末端を生成するために使用されうることが予想される。
一本鎖のコンパチブルな末端が、合成のカッターによりベクターを開裂することによって作られうることも予想される。従って、通常DNAを非特異的に開裂することができる反応性化学基は、特定の配列を認識してそれに結合する別の分子に結合する場合、特定の位置で切断することができる。特定のdsDNA配列を認識する分子の例はDNA, PNA, LNA, ホスホチオエート, ペプチド, 及びアミドである。例えば、Armitage, B. (1998) Chem. Rev. 98: 1171-1200(例えば、アントラキノン及びUV光を用いる光開裂を記載している); Dervan P. B. & Burli R. W. (1999) Curr. Opin. Chem. Biol. 3: 688-93 (DNAに対するポリアミドの特異的な結合を記載している)Nielsen, P. E. (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12: 16-20 (DNAに対するPNAの特異的な結合を記載している), 及び Chemical Reviews special thematic issue : RNA/DNA Cleavage (1998) vol. 98 (3) Bashkin J. K. (ed.) ACS publications(複数の化学的なDNA開裂物質の例を記載している)を参照のこと。
一本鎖のコンパチブルな末端はまた、例えばdUTPを含むPCRプライマーを用いて、そして次に、当該プライマーの一部を分解するために、PCR産物をウラシル-DNAグリコシラーゼで処理することによって(US 5,035,996を参照のこと)作られることもある。あるいは、コンパチブルな末端は、ターミナルトランスフェラーゼを用いて、ベクター及びインサートの両方に尾部を設けることによって、作られることもある(Chang, LMS, Boll, um TJ (1971) J Biol Chem 246: 909)。
RS2配列とPR配列との間に位置するスペーサー配列は、好ましくは、転写されないスペーサー配列である。スペーサー配列の目的は、同一細胞内に存在する、異なるコンカテマー間の、又は同一のコンカテマー内に存在するカセット間の組み換えを最小限にすることであるが、それはまた、当該カセット内のヌクレオチド配列を更に「宿主」様にするための役割を果たすこともある。スペーサー配列の更なる目的は、カセットが頭と頭、又は尾と尾で会合する場合に起こりうる、隣接するパリンドローム配列間でのヘアピン形成の発生を低下させることである。スペーサー配列は、例えばPCRプライマー部位としての、又は、カセットのアフィニティー精製を可能にする核酸若しくはPNA若しくはLNAプローブに対するハイブリダイゼーションのための標的としての役割を果たしうる、短い保存ヌクレオチド配列を導入するために便利なこともある。
当該カセットはまた、TRとRS2との間に少なくとも2つのヌクレオチドの別のスペーサー配列を任意に含んで成ることもある。カセットがベクターから切り出され、そしてカセットのコンカテマーへとコンカテマー化される場合、当該スペーサー配列はまた、2つの連続的な同一のプロモーター間及び/又はターミネーター配列間に一定の距離があることも保証する。この距離は、少なくとも50塩基、例えば少なくとも60塩基、例えば少なくとも75塩基、例えば少なくとも100塩基、例えば少なくとも150塩基、例えば少なくとも200塩基、例えば少なくとも250塩基、例えば少なくとも300塩基、例えば少なくとも400塩基、例えば少なくとも500塩基、例えば少なくとも750塩基、例えば少なくとも1000塩基、例えば少なくとも1100塩基、例えば少なくとも1200塩基、例えば少なくとも1300塩基、例えば少なくとも1400塩基、例えば少なくとも1500塩基、例えば少なくとも1600塩基、例えば少なくとも1700塩基、例えば少なくとも1800塩基、例えば少なくとも1900塩基、例えば少なくとも2000塩基、例えば少なくとも2100塩基、例えば少なくとも2200塩基、例えば少なくとも2300塩基、例えば少なくとも2400塩基、例えば少なくとも2500塩基、例えば少なくとも2600塩基、例えば少なくとも2700塩基、例えば少なくとも2800塩基、例えば少なくとも2900塩基、例えば少なくとも3000塩基、例えば少なくとも3200塩基、例えば少なくとも3500塩基、例えば少なくとも3800塩基、例えば少なくとも4000塩基、例えば少なくとも4500塩基、例えば少なくとも5000塩基、例えば少なくとも6000塩基、を含んで成ることもある。
PR配列の5’側に位置するスペーサーとTR配列の3'側に位置するものとの間のヌクレオチドの数はいずれのものでもよい。しかしながら、スペーサー配列のうちの少なくとも1つが、100〜2500塩基、好ましくは200〜2300塩基、更に好ましくは300〜2100塩基、例えば400〜1900塩基、更に好ましくは500〜1700塩基、例えば600〜1500塩基、更に好ましくは700〜1400塩基を含んで成ることを保証するのは有利なことがある。
対象の宿主細胞が酵母である場合、コンカテマー内に存在するスペーサーは、好ましくは幾つかのARSと様々なラムダファージDNAフラグメントとの組み合わせを含んで成るべきである。
好ましいスペーサー配列の例は、限定しないが、ラムダファージDNA、原核生物のゲノムDNA、例えばE. コリのゲノムDNA, ARSを含む。
一次ベクターのカセット内のクローニング部位は、任意のヌクレオチド配列がその中にクローニングされうるように設計されるべきである。
カセットのクローニング部位は、好ましくは、ディレクショナルクローニング(directional cloning)を可能にする。これにより、宿主における転写が意図する方向のコード鎖から実施され、且つ翻訳されたペプチドが、もとのヌクレオチド配列がコードするペプチドと同一であることが保証される。
しかしながら、いくつかの態様によると、反対方向の配列を挿入することが有利なこともある。これらの態様によると、特定の経路に関与する特定の遺伝子の機能的発現を防ぐ、いわゆるアンチセンスのコンストラクトも挿入されうる。それにより、一般的な経路から、別のあまり有力でない経路へと代謝中間生成物を方向転換させることも可能となる。
カセット内のクローニング部位は、一般的にMCS又はポリリンカー部位として知られる多数のクローニング部位を含んで成ることがあり、これらは制限エンドヌクレアーゼ認識部位をコードする合成DNA配列である。これらの部位は、特定の位置でのベクター内へのDNAの簡便なクローニングのために、且つインサートのディレクショナルクローニングのために操作される。
cDNAのクローニングは、制限酵素の使用を伴う必要はない。他の代わりとなる系には、限定しないが、
−組み換え及びloxP部位を使用する、Clontech社のCreator(商標)Cre-loxP系
−ラムダ付着部位(att-λ)、例えばLife Technologies社のGateway(商標)系の使用、
が含まれる。これらの系はともにディレクショナルである。
ターミネーター配列の役割は、コード配列の長さに転写を制限することである。最適なターミネーター配列は、それ故に、宿主細胞でこの作用を実施することができるものである。
原核生物において、転写のターミネーターとして知られる配列は、DNAの鋳型を放出させ、そして新生RNAの転写を停止させるようにシグナルをRNAポリメラーゼに送る。
真核生物において、RNA分子は、成熟mRNA分子の末端をはるかに超えて転写される。新規転写物は酵素によって開裂され、そしてポリA尾部として知られるアデニル酸残基の長い配列によって修飾される。ポリアデニル化共通配列は、実際の開裂部位から約10〜30塩基上流に位置する。
酵母由来のターミネーター配列の好ましい例は、限定しないが、ADN1, CYC1, GPD, ADH1アルコールデヒドロゲナーゼを含む。
宿主細胞の性質に依存して、少なくともカセットが、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロンを含んで成ることが好ましいことがあり、実質的に全てのカセットが、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロンを含んで成ることがより好ましい。イントロン配列の選択は、宿主細胞の要求に依存する。
このように、任意に、ベクター内のカセットは、発現可能なヌクレオチド配列に対して5’又は3’側に位置することがある、イントロンを含んで成ることがある。イントロンのデザイン及びレイアウト当業界で周知である。イントロンのデザインの選択は、発現可能なヌクレオチド配列が最終的に発現するべく対象の宿主細胞に大きく依存する。発現カセット内にイントロンを持つ効果は、イントロン配列と一般的に関連しているものである。
酵母のイントロンの例は、文献及び特定のデータベース、例えば2000年4月15日に更新されたAres Lab酵母イントロンデータベース(バージョン2.1)において見られる。当該データベースの初期のバージョン及び当該データベースの抽出物は、Spingola M, Grate L, Haussier D, Ares M Jr.による「Genome-wide bioinformatic and molecular analysis of introns in Saccharomyces cerevisiae」(RNA 1999 Feb; 5 (2): 221-34) 及びDavis CA, Grate L, Spingola M, Ares M Jr.による「Test of intron predictions reveals novel splice sites, alternatively spliced mRNAs and new introns in meiotically regulated genes of yeast.」(Nucleic Acids Res 2000 Apr 15; 28 (8): 1700-6)において公開されている。
一次ベクター(エントリーベクター)
用語「エントリーベクター」とは、本発明に従うカセットを用いて、cDNA又は他の発現可能なヌクレオチド配列を貯蔵し、又は増幅するためのベクターを意味する。エントリーベクター又は一次ベクターは、好ましくは、E.コリ又は任意な他の適当な標準的宿主において増殖することができる。それは、好ましくは増幅可能で且つ、標準的な均一化手順及びエンリッチメント(enrichment)手順に適合可能であるべきである。
エントリーベクターは、a)少なくとも1つの適当な宿主生物において自身を複製させることができ、そしてb)その後当該ベクターと一緒に複製される外来DNAの挿入を可能にし、そしてc)好ましくは前記外来DNAの挿入を含むベクター分子の選択を可能にするという、基本的な要求を持つDNAの任意な型のものであってもよい。好ましい態様において、当該ベクターは、酵母、細菌のように標準的な宿主で複製可能であり、そして、好ましくは宿主細胞あたり高コピー数を有するべきである。当該ベクターが、宿主特異的な複製起点に加えて、単一の標準的ウイルスのための複製起点、例えば繊維状ファージのためのf1起点を含む。このことは、クローン化された配列の均一化及びエンリッチメント手順にとって有用なことがある単一の標準的核酸の産生を可能にする。一般的に使用される多数のクローニングベクターが説明されており、そしてSambrook, J; Fritsch, E. F; 及びManiatis T. (1989) Molecular Cloning : A laboratory manual. Cold Spring Harbour Laboratory Press, USA, Netherlands Culture Collection of Bacteria (www. cbs. knaw. nl/NCCB/collection. htm) 又はDepartment of Microbial Genetics, National Institute of Genetics, Yata 1111 Mishima Shizuoka 411-8540, Japan (www. shigen. nia. ac. ip/cvector/cvector. html)ににも言及することがある。多くの一般的な誘導体の親である幾つかの型の例は、M13mp10, pUC18, λgt 10, 及びpYAC4である。一次ベクターの例には、限定しないが、M13K07, pBR322, pUC18, pUC19, pUC118, pUC119, pSP64, pSP65, pGEM-3, pGEM-3Z, pGEM-3Zf (-), pGEM-4, pGEM-4Z, 7cAN13, pBluescript 11, CHARON 4A, B+, CHARON 21A, CHARON 32, CHARON 33, CHARON 34, CHARON 35, CHARON 40, EMBL3A, λ2001, λDASH, λFIX, λgt10, λgt11, λgt18, λgt20, λgt22, λORF8, XZAP/R, pJB8, c2RB, pcoslEMBLが含まれる。
ベクター内へのcDNA又はゲノムDNAのクローニング方法は当業界で周知である。J. Sambrook, E. F. Fritsch, T. Maniatis: Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989).にも言及がされることがある。
環状モデルのエントリーベクターの一例を図3に記載する。ベクターEVEは、発現カセット、R1-R2-スペーサー-プロモーター-マルチクローニング部位-ターミネーター-スペーサー-R2-R1を含む。当該ベクターは更に、アンピシリン耐性遺伝子AmpR、及びE.コリの複製起点ColE1を含む。
エントリーベクターEVE4, EVE5, 及びEVE8を図3に示す。これらは全て、R1としてSrtlを、そしてR2としてAsclを含む。これらの部位はともにパリンドロームであり、且つ認識配列中に8塩基を有するレア制限部位とみなされる。当該ベクターは更に、AmpRアンピシリン耐性遺伝子、及びE.コリのColE1複製起点並びに繊維状ファージ、例えばM13の複製起点であるf1、を含む。EVE4(図4)は、MET25プロモーター及びADH1ターミネーターを含む。スペーサー1及びスペーサー2は、マルチクローニング部位MCS由来の短い配列である。EVE5(図5)は、CUP1プロモーター及びADH1ターミネーターを含む。EVE8(図6)は、CUP1プロモーター及びADH1ターミネーターを含む。EVE8のスペーサーは、550bpのλファージDNA(スペーサー3)及び酵母由来のARS配列である(スペーサー4)。
ヌクレオチドライブラリー(エントリーライブラリー)
細胞においてヌクレオチド配列のライブラリーを構築し、そして維持するための方法並びにそれに適したベクター及び宿主細胞は当業界で周知である。当該ライブラリーに主に必要なことは、その中で本発明に従う多数の一次ベクター(コンストラクト)を保存し、そして増幅することが可能であるべきということであり、当該ベクター(コンストラクト)は、少なくとも1つの発現状態に由来する発現可能なヌクレオチド配列を含んで成り、そして少なくとも2つのベクター(コンストラクト)が異なる。
そのようなライブラリーの1つの具体例は、周知で且つ広く適用されるcDNAライブラリーである。cDNAライブラリーの利点は、主に、それが転写されたメッセンジャーRNAに相当するDNA配列のみを細胞内に含むことである。実質的に完全長のcDNAのみが当該ライブラリー内にクローニングされるように、単離されたmRNA又は合成されたcDNAを精製するのに適した方法も存在する。
実質的に完全長のcDNAを生成する過程の最適化のための方法は、サイズの選択、例えば電気泳動、クロマトグラフィー、沈澱を含んで成ることもあり、あるいは、完全長のcDNAを得る可能性を増大させる方法、例えばSMART(商標)法(Clontech)又はCapTrap(商標)法(Stratagene)を含んで成ることもある。
好ましくは、当該ヌクレオチドライブラリーを生成するための方法は、cDNA種の均一化された提示(representation)を含んで成る、実質的に完全長のcDNA群を得ることを含んで成る。更に好ましくは、実質的に完全長のcDNA群は、所定の発現状態に特有のcDNA種の均一化された提示を含んで成る。
均一化は、豊富なmRNA種を表現するクローンの重複性を低下させ、そして低頻度のmRNA種由来のクローンの相対的な表現を増大させる。
cDNAライブラリーの均一化のための方法は当業界で周知である。均一化に適したプロトコール、例えばUS 5,763,239 (DIVERSA)及びWO 95/08647及びWO 95/11986.及びBonaldo, Lennon, Soares, Genome Research 1996,6: 791-806; Ali, Holloway, Taylor, Plant Mol Biol Reporter, 2000,18: 123-132に開示されているようなものを参照のこと。
エンリッチメント(enrichment)法が、特定の発現状態に特有なmRNAを表現するクローンを単離するために使用される。サブトラクトハイブリダイゼーションと広く称される方法の多くの変法は当業界で周知である。Sive, John, Nucleic Acid Res, 1988,16: 10937; Diatchenko, Lau, Campbell et al, PNAS, 1996,93: 6025-6030; Carninci, Shibata, Hayatsu, Genome Res, 2000, 10: 1617-30, Bonaldo, Lennon, Soares, Genome Research 1996,6: 791-806; Ali, Holloway, Taylor, Plant Mol Biol Reporter, 2000,18: 123-132を参照のこと。例えば、エンリッチメントは、豊富なクローンのライブラリー由来のcDNAを用いて、又は単純に、誘導状態由来のテスターライブラリーに対するドライバーとして未誘導状態を表現するライブラリー由来のcDNAを用いて、均一化の手順に類似のハイブリダイゼーションを繰り返すことによって達成されうる。あるいは、選択した発現状態に由来する、mRNA又はPCR増幅されたcDNAが、テスターライブラリーから共通配列をサブトラクトするために使用されうる。ドライバー及びテスター群の選択は、それぞれの特定実験における標的の発現可能なヌクレオチド配列の性質に依存する。
最後に、エンリッチメントは、サブトラクティブハイブリダイゼーション、それに続くコロニーピッキングによって達成されうる。
当該ライブラリーにおいて、あるペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列は、好ましくは、異なるプロモーターの支配下にある、異なるが類似のベクター内で見られる。好ましくは、当該ライブラリーは、3個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも3個の一次ベクターを含んで成る。更に好ましくは、当該ライブラリーは、5個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも5個の一次ベクターを含んで成り、例えば、6個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも6個の一次ベクターを含んで成り、例えば、7個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも7個の一次ベクターを含んで成り、例えば、8個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも8個の一次ベクターを含んで成り、例えば、9個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも9個の一次ベクターを含んで成り、例えば、10個の異なるプロモーターの支配下にある、同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列を有する少なくとも10個の一次ベクターを含んで成る。
同一のペプチドをコードする発現可能なヌクレオチド配列は、好ましくは、本質的に同一のヌクレオチド配列、更に好ましくは同一のヌクレオチド配列を含んで成る。
異なるベクター内に、多数のプロモーターの支配下にある、とある1つの遺伝子を有するライブラリーを有することによって、ヌクレオチドライブラリーから、遺伝子とプロモーターの組み合わせのアレイを構築することが可能となる。好ましくは、あるライブラリーは、完全な又は実質的に完全な組み合わせ、例えば遺伝子とプロモーターの2次元アレイを構築することが可能となり、ここで、実質的に全ての遺伝子が、選択した数のうち実質的に全てのプロモーターの支配下に見られる。
本発明の別の態様に従い、ヌクレオチドライブラリーは、異なるベクター内で異なるスペーサー配列及び/又は異なるイントロン配列と組み合わされた発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせを含んで成る。従って、任意なある発現可能なヌクレオチド配列は、2,3,4又は5次元アレイでで異なるプロモーター及び/又は異なるスペーサー及び/又は異なるイントロン及び/又は異なるターミネーターと組み合わされることがある。2,3,4又は5次元アレイは、全ての組み合わせが存在しなければならないわけではないので、完全でも不完全でもよい。
当該ライブラリーは、原核細胞又は真核細胞を含んで成る宿主細胞において適当に維持されうる。好ましい原核生物の宿主生物は、限定しないが、エスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)を含みうる。
酵母種、例えばサッカロマイセス・セレビシアエ(出芽酵母)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(分裂酵母)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(メタノール資化性酵母)も使用されうる。フィラメンタス・アスコマイセテス(Filamentous ascomycetes)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)及びアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)も使用されうる。植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のものが好ましい。好ましい哺乳類宿主細胞は、限定しないが、ヒト、サル及び齧歯類、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa 等を含む。(Kriegler M. in"Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual", New York, Freeman & Co. 1990を参照のこと)。
コンカテマー
多数の発現カセット(「複数のカセット(casettes)」を単一の宿主細胞内で構築し、そしてそれらの細胞間での容易な再混合を可能にする方法を提供する目的で、発現カセットがコンカテマーに構築される。
コンカテマーは、一連の連結した単位である。本発明に従うコンカテマーは、一つの発現状態にのみ由来する発現可能なヌクレオチド配列の選択を含んで成ることもあり、そして、この発現状態を表す1つのライブラリーから構築されてもよく、あるいは、それは任意の適当な比率で混合された、多数の異なる発現状態由来のカセットを含んで成ることもある。本発明に従うコンカテマーは、協調した発現のために宿主細胞内に挿入されうる人工染色体内にライゲーションするのに特に適している。このために、複数のカセット間又はカセットとカセットの間のばらつきが、例えば、宿主細胞が細胞分裂を受ける際に、例えばいずれか1つのコンカテマーにおいて生じる反復配列のレベルを最小化することにより、乗換えの機会を最小化するために存在していてもよいのは、コンカテマーと宿主ゲノム内のセグメント又は宿主細胞のエピトープとの組換え又は任意なコンカテマー内の組換えを得ることが本発明のこの態様の目的ではないからである。
本発明の好ましい態様に従うコンカテマーは、少なくとも第一カセット及び第二カセットを含んで成り、前記第一カセットは前記第二カセットと異なる。更に好ましくは、コンカテマーは、実質的に全てのカセットが異なっているカセットを含んで成る。カセット間の差異は、プロモーター間、及び/又は発現可能なヌクレオチド配列間、及び/又はスペーサー間、及び/又はターミネーター間、及び/又はイントロン間の差異に起因してもよい。
単一のコンカテマー内のカセットの数は、コンカテマーが最終的に挿入されるべき宿主種及び当該挿入の実施に介されるベクターによって主として決定される。従って、コンカテマーは、少なくとも10個のカセット、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも20個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも30個、例えば少なくとも30〜60個又は60個以上、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個、例えば少なくとも200個、例えば少なくとも500個、例えば少なくとも750個、例えば少なくとも1000個、例えば少なくとも1500個、例えば少なくとも2000個のカセットを含んで成ることもある。
各カセットは、上述のようにレイアウトされ得る。
このように、好ましい態様において、コンカテマーは、多数の直列に連結したヌクレオチドカセットを表すために使用され、ここでは、少なくとも2つの直列に連結したヌクレオチド単位が、基本構造
[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]
(ここで、
rs1とrs2は共に制限部位を表し、
SPは少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
TRはターミネーターを表し、
SPは少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表す)
を有するカセットを含んで成り、ここで、当該カセットの変化は、本明細書のいずれかの場所で定義した通りの意味を有する。任意に、当該カセットは、上述の通り、プロモーターと発現可能なヌクレオチド配列との間、及び/又はターミネーターと発現可能なヌクレオチド配列との間にイントロン配列を含んで成る。
本発明の1つの観点に従い、コンカテマーは、発現可能なヌクレオチド配列の自然発生的でない組み合わせ又は非天然の組み合わせが得られるように、異なる発現状態由来の発現可能なヌクレオチドを有するカセットを含んで成る。
本発明の好ましい態様に従うコンカテマーは、少なくとも第一カセット及び第二カセットを含んで成り、前記第一カセットは前記第二カセットと異なる。更に好ましくは、コンカテマーは、実質的に全てのカセットが異なっているカセットを含んで成る。カセット間の差異は、プロモーター間、及び/又は発現可能なヌクレオチド配列間、及び/又はスペーサー間、及び/又はターミネーター間、及び/又はイントロン間の差異に起因してもよい。
コンカテマー化(concatenation)は異なる方法で実施されうる。
コンカテマー化されるカセットは通常ベクターから切り出され、あるいは、それらはPCRを介して合成される。切り出しの後、カセットは、サイズ分画、例えばゲルろ過を介して、又はカセット内の既知の配列のタギングを介して分離されうる。単離されたカセットは、続いて、粘着末端間の相互作用を介して、又は平滑末端のライゲーションを介して一緒にライゲーションされうる。
更に好ましくは、カセットは、一方がカセット上に粘着末端を残し、そして他方のものがベクター内に平滑末端を残す、2つの制限酵素によるベクターからの切り出しを介して、精製段階を介することなくコンカテマー化されうる。
ベクター配列を含まないコンカテマーを生成する別の方法は、一本鎖の一次ベクター由来のカセットをPCR増幅することである。当該PCR産物は、制限部位RS2及びRS2'を含まなければならず、これは後でその同属酵素によって開裂される。続いて、コンカテマー化は、消化されたPCR産物を用いて、本質的に、末端切り出された一本鎖の一次ベクターの鋳型又は小さい二本鎖フラグメントの干渉無しに、実施されうる。
ベクターを含んで成るカセットが一本鎖である場合、当該カセットは切り出されることもあり、そしてカセット配列のみに作用し、そしてベクター配列には作用しないPCR技術を介して二本鎖にされうる。粘着末端は、粘着末端を残す制限酵素を用いる開裂によって作ることができ、そして当該カセットは、一本鎖のベクターフラグメントからの相互作用無しに構築されうる。
コンカテマーは、各カセットが第一の粘着末端、スペーサー配列、プロモーター、発現可能なヌクレオチド配列、ターミネーター、及び第二の粘着末端を含んで成る、ヌクレオチド配列の少なくとも2つのカセットのコンカテマー化によって構築され、又はコンカテマー化されうる。
コンカテマー化が完了した後、所望のサイズのコンカテマーが、サイズ選択、例えば、少なくとも10個のカセット、例えば少なくとも15個、例えば少なくとも20個、例えば少なくとも25個、例えば少なくとも30個、例えば少なくとも30〜60個又は60個以上、例えば少なくとも75個、例えば少なくとも100個、例えば少なくとも200個、例えば少なくとも500個、例えば少なくとも750個、例えば少なくとも1000個、例えば少なくとも1500個、例えば少なくとも2000個のカセットを有するコンカテマーの選択を介して選択されうる。各コンカテマー内のカセットの数は、コンカテマーのサイズがカセットの数に大体比例するので、コンカテマー化の後、サイズ分画によって調整されうる。
好ましくは、少なくとも1つ挿入されたコンカテマーが、更に選択マーカーを含んで成る。当該マーカーは、都合よくは、コンカテマー自身には含まれず、むしろコンカテマーが挿入される人工染色体ベクターに含まれる。選択マーカーは通常、増殖のために、ベクターを含む細胞のみを選択する手段を提供する。そのようなマーカーは、薬物耐性及び栄養要求性の2つの型のものがある。薬物耐性マーカーは、他の毒性化合物の存在下で細胞が増殖するのを可能にする。栄養要求性マーカーは、必須成分(通常アミノ酸)を細胞に合成させることによって、必須成分を各培地中での細胞の増殖を可能にする。
選択マーカーがそれらの作用形態の簡単な説明により利用可能である、一般的な化合物の例示的且つ非限定的な例は以下のとおりである。
原核生物
・アンピシリン:細菌の細胞壁合成の末端反応を阻害する。耐性遺伝子(bla)は、当該抗生物質のベータラクタム環を開裂してそれを解毒するベータラクタマーゼをコードする。
・テトラサイクリン:30Sのリボソームサブユニットに結合することによって細菌のタンパク質合成を防ぐ。耐性遺伝子(tet)は、細菌の膜を修飾し、そして細胞内での抗生物質の蓄積を防ぐタンパク質をコードする。
・カナマイシン:70Sリボソームに結合し、そしてメッセンジャーRNAの誤読をもたらす。耐性遺伝子(npth)は、当該抗生物質を修飾し、そしてリボソームとの相互作用を防ぐ。
・ストレプトマイシン:30Sのリボソームサブユニットに結合し、メッセンジャーRNAの誤読をもたらす。耐性遺伝子(Sm)は、当該抗生物質を修飾し、そしてリボソームとの相互作用を防ぐ。
・ゼオシン:この新規ブレオマイシンファミリーの抗生物質は、DNA内に介入し、そしてそれを開裂する。ゼオシン耐性遺伝子は、13,655ダルトンのタンパク質をコードする。このタンパク質は、当該抗生物質に結合し、そしてそれをDNAの結合から防ぐことによってゼオシンに対する耐性を付与する。ゼオシンは、多くの好気性細胞に対して有効であり、そして哺乳類の細胞系、酵母及び細菌における選択に使用されうる。
真核生物
・ヒグロマイシン:リボソームの転移を混乱させ、そして翻訳ミスを促進することによってタンパク質合成を阻害するアミノサイクリトール。耐性遺伝子(hph)はヒグロマイシンBのリン酸化を解毒する。
・ヒスチジノール:ヒスチジンを含まない培地中でのヒスチジルtRNA合成を阻害することによって哺乳類細胞に対して細胞障害性がある。耐性遺伝子(hisD)産物は、ヒスチジノールを必須アミノ酸であるヒスチジンに変換することによってヒスチジノールの毒性を阻害する。
・ネオマイシン(G418):リボソーム機能を妨害することによってタンパク質合成を防ぐ。耐性遺伝子ADHはG418を解毒するアミノグリコシドホストトランスフェラーゼをコードする。
・ウラシル:ウラシルの生合成に必須の酵素であるオロチジン-5'-リン酸デカルボキシラーゼをコードする変異遺伝子を有する研究室の酵母菌株は、外因性のウラシル無しに増殖することができない。ベクター上に担持されている野生型遺伝子(ura+, S.ポンベ又はURA3 S.セレビシアエ)は、形質転換した細胞において、この欠陥を補完する。
・アデノシン:アデノシン合成の欠陥を有する研究室菌株は、野生型遺伝子ADE2を有するベクターによって補完されうる。
・アミノ酸:LEU2, TRP1, HIS3又はLYS2の野生型遺伝子を有するベクターは、これらの遺伝子を欠損している酵母菌株を補完するために使用されうる。
・ゼオシン:この新規ブレオマイシンファミリーの抗生物質は、DNA内に介入し、そしてそれを開裂する。ゼオシン耐性遺伝子は、13,655ダルトンのタンパク質をコードする。このタンパク質は、当該抗生物質に結合し、そしてそれをDNAの結合から防ぐことによってゼオシンに対する耐性を付与する。ゼオシンは、多くの好気性細胞に対して有効であり、そして哺乳類の細胞系、酵母及び細菌における選択に使用されうる。
1つの細胞におけるコンカテマーの数は、細胞あたり少なくとも1個のコンカテマー、好ましくは細胞あたり少なくとも2個のコンカテマー、更に好ましくは細胞あたり少なくとも3個のコンカテマー、例えば細胞あたり4個、更に好ましくは細胞あたり少なくとも5個、例えば細胞あたり少なくとも5個、例えば細胞あたり少なくとも6個、例えば細胞あたり7個、8個、9個又は10個、例えば細胞あたり10個以上であってもよい。上述のように、各コンカテマーは、好ましくは最大1000個のカセットを含んで成ることもあり、そして1つのコンカテマーが最大2000個のカセットを含んで成ることも予見される。1つの細胞内に最大10個のコンカテマーを挿入することによって、この細胞は、適当な条件のもと制御可能なプロモーターの制御によって切り換えられうる最大20,000個の異種の発現可能な遺伝子にエンリッチメントされることもある。しかしながら、10〜1000個の新規遺伝子、例えば20〜900個の新規遺伝子、例えば30〜800個の新規遺伝子、例えば40〜700個の新規遺伝子、例えば50〜600個の新規遺伝子、例えば60〜300個の新規遺伝子をどこかに有する細胞を提供することもより好ましいことがある。当該遺伝子は、有利には、細胞内の1〜10個、例えば2〜5個の異なるコンカテマー上に位置していることがある。各コンカテマーは、有利には、10〜1000個の遺伝子、例えば10〜750個の遺伝子、例えば10〜500個の遺伝子、例えば10〜200個の遺伝子、例えば20〜100個の遺伝子、例えば30〜60個の遺伝子を含んで成ることもある。
コンカテマーは、任意な既知の形質転換技術に従い、好ましくは安定的で且つ一過性でない宿主細胞の形質転換を保証するような形質転換技術に従い、宿主細胞内に挿入されうる。従って、コンカテマーは人工染色体として挿入されることがあり、これらは、それらが分裂し、又は宿主細胞の染色体内に挿入されうる際に、当該細胞によって複製される。コンカテマーはまた、プラスミド、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、コスミドベクターの形態で挿入されることがあり、これらは、それらが分裂する際に当該細胞によって複製される。3つの挿入法の任意な組み合わせも可能である。1又は複数のコンカテマーが、プラスミド又は人工染色体として挿入されることがある。1又は複数のコンカテマーが人工染色体として挿入されることがあり、そして1又は複数のものがプラスミドを介して同一細胞内に挿入されることがある。
機能的な人工染色体にとって基本的に必要なものは、US 4,464,472に記載されており、この内容は引用によって本明細書に組み入れられる。人工染色体又は、場合により機能的ミニ染色体とも称されるものは、宿主の有糸分裂の間のセントロメア様活性をコードするDNAセグメントを含んで成る宿主細胞内での複製及び安定な有糸分裂の維持が可能なDNA配列及び前記宿主によって認識される複製部位をコードするDNA配列を含んで成る必要がある。
適当な人工染色体には、酵母人工染色体(YAC) (例えばMurray et al, Nature 305: 189-193; 又はUS 4,464,472を参照のこと), メガ酵母染色体(mega YAC), 細菌人工染色体(BAC), マウス人工染色体, 哺乳類人工染色体 (MAC) (例えばUS 6,133,503又はUS 6,077,697を参照のこと), 昆虫人工染色体(BUGAC), 鳥類人工染色体(AVAC), バクテリオファージ人工染色体, バキュロウイルス人工染色体, 植物人工染色体 (US 5,270,201), BIBACベクター(US 5,977,439)又はヒト人工染色体(HAC)が含まれる。
人工染色体は、好ましくは、宿主細胞がそれを「真の」染色体と知覚し、そしてそれを維持し、そしてそれを染色体として伝達するほど大きなものである。酵母及び他の適当な宿主種の場合、これはしばしば、その種における最小の天然染色体のサイズにおおよそ相当する。サッカロマイセスの場合、最小の染色体は225kbのサイズを有する。
MACは、他の種、例えば昆虫及び魚の種由来の人工染色体を構築するために使用されうる。人工染色体は、好ましくは、完全に機能的で案的な染色体である。2つの型の人工染色体が使用されうる。一方の型は、SATAC[サテライト人工染色体]と称される、安定な異種染色質染色体であり、そして他方の型は、真性染色質の増幅を基にしたミニ染色体である。
哺乳類人工染色体は、注目のタンパク質をコードする遺伝子の導入のための、余分なゲノム特異的な組込み部位を提供し、そしてメガ塩基サイズのDNAの組込み、例えば本発明に従うコンカテマーの組込みを可能にする。
本発明の別の態様に従い、コンカテマーは、宿主染色体内に組み込まれるか、他の型のベクター、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター又はコスミドベクター内に組み込まれうる。
好ましい人工染色体ベクターは、宿主細胞内、例えば酵母内で条件付きで増幅されることができるものである。増幅は、好ましくは、少なくとも10倍の増幅である。更に、人工染色体ベクターのクローニング部位は、上述のカセットに隣接しているものと同一の制限部位、すなわちRS2及び/又はRS2'を含んで成るように修飾されうる。
また、例えば、組換えにより直接的にDNAを連結するためのCre-loxP機構(Sauer B 1993 Methods Enzymol 225:890-900)を用いるCreator系(Clontech)のような、又はディレクショナルな組換え(Landy A 1989, Ann Rev Biochem 58: 913)のためのラムダatt付着部位を用いるGateway(商標)系(Life Technologies, US 5,888,732)のような技術の改良したものを介して、コンカテマーを作り出すために、組換えが使用されうることも予想される。また、ラムダcos部位依存系が、コンカテマー化を可能にするべく発展されうることも予見される。
コンカテマーは、それぞれのカセットが一次粘着末端、スペーサー配列、プロモーター、発現可能なヌクレオチド配列、ターミネーター、スペーサー配列、及び二次粘着末端を含んで成る、少なくともヌクレオチド配列のカセットのコンカテマー化によって構築され、又はコンカテマー化されうる。当該手順のフローチャートを図2aに示す。
好ましくは、コンカテマー化は更に、一次ベクター[RS1-RS2-SP-PR-X-TR-SP-RS2'-RS1']
(ここで、Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
RS1及びRS1'は制限部位を表し、
RS2及びRS2'はRS1及びRS1'と異なる制限部位を表し、
SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
PRはプロモーターを表し、
TRはターミネーターを表す)から出発して、
i) RS2及びRS2'に特異的な少なくとも1つの制限酵素の力を借りて一次ベクターを切断し、一般式[rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1](ここで、rs1及びrs2はともに機能的制限部位RS2又はRS2'を表す)を有するカセットを獲得し、
ii) rs1とrs2との間の相互作用を介して切り出されたカセットを構築すること、
を含んで成る。
特に好ましい態様によると、それぞれ、一方の末端にRS2又はRS2'を、そして他方の末端に非相補的なオーバーハング又は平滑末端を有するベクターアームは、更に当該手順を単純化するために、上述のカセットと一緒にコンカテマー化混合物に加えられる(図2bを参照のこと)。ベクターアームを提供するのに適したベクターの一例を図7に開示する。TRP1, URA3, 及びHIS3は栄養要求性のマーカー遺伝子であり、そしてAmpRはE.コリの抗生物質マーカー遺伝子である。CEN4はセントロメアであり、そしてTELはテロメアである。ARS1及びPMB1は、それぞれ酵母及びE.コリにおける複製を可能にする。BamH I及びAsc Iは制限酵素認識部位である。当該ベクターのヌクレオチド配列を配列番号4に記載する。当該ベクターは、コンカテマーに対するライゲーションに使用されるベクターアームを遊離させるために、BamHI及びAscIで消化される。
ベクターアームとカセットの比率は、図9に例示するようなコンカテマー内のカセットの最大数を決定する。ベクターアームは、好ましくは、人工染色体ベクターアーム、例えば図8に記載のものである。
当然ながら、コンカテマー化溶液に対しストッパーフラグメントを添加することも可能であり、当該ストッパーフラグメントは、それぞれ、一方の末端にRS2又はRS2'を、そして他方の末端に非相補的なオーバーハング又は平滑末端を有する。ストッパーフラグメントとカセットの比率は、同様にコンカテマーの最大サイズを制御することができる。
コンカテマー化の手順のためにベクターアームを提供する代わりに、酵母人工染色体、メガ酵母染色体、細菌人工染色体、マウス人工染色体、ヒト人工染色体から成る群から選択される人工染色体内にコンカテマーをライゲーションさせることが可能である。
用いてこれを行うことによって、新規な遺伝子の組み合わせも発現する。
1つの単一細胞におけるコンカテマーの数は、細胞あたり少なくとも1個のコンカテマー、好ましくは細胞あたり少なくとも2個のコンカテマー、更に好ましくは細胞あたり少なくとも3個のコンカテマー、例えば細胞あたり4個、更に好ましくは細胞あたり少なくとも5個、例えば細胞あたり少なくとも5個、例えば細胞あたり少なくとも6個、例えば細胞あたり7個、8個、9個又は10個、例えば細胞あたり10個以上であってもよい。上述のように、各コンカテマーは、好ましくは最大1000個のカセットを含んで成ることもあり、そして1つのコンカテマーが最大2000個のカセットを含んで成ることも予見される。1つの細胞内に最大10個のコンカテマーを挿入することによって、この細胞は、適当な条件のもと制御可能なプロモーターの制御によって切り換えられうる最大20,000個の異種の発現可能な遺伝子にエンリッチメントされることもある。
しばしば、2〜4個の人工染色体がそれぞれ、遺伝子の1つのコンカテマーを含むように挿入される、10〜1000個の異種遺伝子、例えば20〜900個の異種遺伝子、例えば30〜800個の異種遺伝子、例えば40〜700個の異種遺伝子、例えば50〜600個の異種遺伝子、例えば60〜300個の異種遺伝子又は100〜400個の異種遺伝子、を随所に有する細胞を提供することがより好ましい。当該遺伝子は、有利には、細胞内の1〜10個、例えば2〜5個の異なるコンカテマー上に位置していることがある。各コンカテマーは、有利には、10〜1000個の遺伝子、例えば10〜750個の遺伝子、例えば10〜500個の遺伝子、例えば10〜200個の遺伝子、例えば20〜100個の遺伝子、例えば30〜60個の遺伝子、又は50〜100個の遺伝子を含んで成ることもある。
スクリーニング、選別及び選択
確定済みの医薬、工業、栄養学的な特性を有する分子に進化させることの探求においては、特性と一貫した表現型をコードする遺伝子パターンを選択する方法がなければならない。
細胞群の各細胞は、それが遺伝的に他の細胞と異なるとする場合、1又は複数の経路でそれ自身を潜在的に発現しうる固有の変化性を有する。本発明の目的のために、用語「アウトプット」は、1又は複数の発現カセットの発現を引き起こす細胞の特性を意味すると解される。任意に、当該特性は、1又は複数の発現カセットの発現及びある一式の宿主遺伝子の発現の両方を引き起こすことがある。
アウトプットは、種々の異なる基準に従い測定されうる。これらの基準は、最適化される機能的又は構造的特性に直接又は間接的に関連することがある。あるいは、それらは反対に、所望でない機能的又は構造的特性に関連することもある。
アウトプットは、直接的に、又はレポーターコンストラクトによって、そのいずれかで測定されうる。本文の目的のために、用語「レポーターコンストラクト」は、細胞群の所定の細胞又は細胞のサブセットが当該細胞群の他の細胞又は細胞のサブセットに由来する所定のアウトプットに関して変化するか否かを測定する遺伝学的又は分子学的装置を意味すると解される。レポーターコンストラクトの例には、アウトプットによる転写因子の活性化に応じて蛍光タンパク質を産生する遺伝学的コンストラクトが含まれる。レポーターコンストラクトの別の例は、着色した酵素基質であり、これに対し、異なる色を有する別の分子に当該基質を変換する酵素が添加される。万が一細胞が当該酵素を阻害するアウトプットを生成する場合、色の変化は起こらない。
レポーターコンストラクト無しで測定されうるアウトプットは、限定しないが、スクリーニング基準にかけられる細胞、既定の物質を代謝することができる細胞、1又は複数の周波数の電磁放射線を優先的に吸収する物質を生成することができる細胞、培地中で酵素的な効力を有する細胞等、の生存である。
レポーターコンストラクトは、発現コンストラクトが細胞内で操作される前又はその後に、近位(proximal)に据えられることもある。レポーターコンストラクトを近位に組み込む方法は、限定しないが、標準的な形質転換技術、2つの酵母の接合型の接合、又は細胞とレポーターコンストラクトの間に物理的近位を提供する系、例えば細胞とレポーターコンストラクトのゲル微小滴同時封入、を含む。
用語「近位」とは、発現コンストラクトと同じ細胞内にある位置、あるいは前記細胞に十分に近い位置であって、その結果、無傷の若しくは溶解した細胞から拡散し、又は当該細胞から能動的にくみ出されている1又は複数の分子の濃度が、当該位置の近傍で少なくとも1ピコモルとなるような位置を意味すると解される。
近位のレポーターコンストラクト又は他の手段によって測定されうる細胞のアウトプットは、限定しないが、
・新規なスペクトル特性
・誘導されたチトクロームオキシダーゼ活性
・変化したサイズ、形態、粘性又は接着性の特性、あるいはそれらの欠損、
・それらが通常増殖し得ない基質上での増殖能
・亜致死性基質上での増殖能
・正常な必須要求性無しでの増殖能
・1又は複数の阻害剤を含んで成る培地上での増殖能
・変化した生理学的条件、例えば温度、湿度、浸透圧、ある波長の光を含む電磁放射線、のもとでの増殖能
・ある力の磁場のもとでの増殖能
・細胞からの分泌又はその欠損
・酵素の阻害又はその阻害の妨害
・受容体の活性
・受容体に対する活性分子の結合の妨害
・核酸又はペプチド配列に対する小分子又はタンパク質の結合の阻害又は促進
・転写又は翻訳又は翻訳後プロセシングの阻害又は促進
・細胞又は細胞小器官内での分子の輸送又は局在の変化
・DNA含量又は細胞の形態の変化
・選択的な単離(例えば、当業者にとって利用可能な全てのクロマトグラフィーの原理)を可能にする、ある特性を有する小分子の産生
・ある分光学的特性(可視光、マイクロ波、IR, UV, X線、等を含むことが広く定義される)を有する小分子の産生
・細胞の形態の変化、例えば細胞分化の妨害又は促進
・アポトーシス経路の誘導、
を含む。
エンドポイントが生存であるアッセイを除いて、所望のアウトプットを有する細胞を、有さない細胞から選別する必要がある。
蛍光励起セルソーター(FACS)の使用は、それが粒子又は細胞に対する非常に迅速な測定を可能にする技術であるため、細胞を選別する好ましい方法の1つである。
蛍光サイトメトリーの最も重要な特徴は、それが単一細胞又はカプセルのレベルで測定を可能にし、そしてその結果、それが異なる表現型を有する細胞又はカプセルを同定することができる、ということである。
FACSの他の重要な特徴は、細胞又はカプセルの複数の異なる特性を同時に測定する能力及び1秒あたり最大100000個の細胞を選別する能力にある。それによって、本発明に従い細胞を進化させるために必要な多数の細胞群のスクリーニングが実現可能となり、そして現実のものとなる。
フローサイトメトリー及びFACSの使用は、標準的な技術である。一般的なフローサイトメトリー法は、例えば、"Flow cytometry, A practical approach", 3rd edition, Oxford University, Press, 2000, 及び"Flow cytometry Applications in cell culture", 1996, Marcel Dekker, Inc.に記載されている。
細胞を選別するほかの方法は、例えば手作業による、又はオートメーションの使用によるコロニーピッキングである。
既に記載した通り、適応度関数(F')は、細胞の所望の表現型をカプセル化し、そして数学的にこれを1又は複数の測定されたアウトプットと関連付けるものと定義されうる。例えば、適応度関数は、異なる波長での多数の細胞の吸収として定義されることがあり、あるいはそれはある酵素の阻害を、別の酵素の阻害によって割ったレベルとして定義されることもあり、あるいはそれは細胞が生存しうる細胞障害性の毒を、当該細胞障害性の毒の不在下での細胞の複製速度を掛けたレベルとして定義されることもあり、あるいはそれは多数のほかの方法で定義されることもある。
各スクリーニングの段階において、適応度関数の1又は複数の因子に相当するアウトプットを有する細胞が選択される。好ましい態様において、初期のスクリーニング段階は、1つのアウトプットのみを測定するが、後期のスクリーニング段階は、多数のアウトプットを測定する。
細胞群において最高の適応度スコアを有する細胞は、その後の使用及び/又は解析のためにスクリーニング環境から除かれる。より低いF'スコアを有する細胞は廃棄される。最高のF'スコアとは、最高のスコアを有する既定のパーセンテージを意味し、例えば最良1%、5%、10%又は50%、あるいは非常に強い選択又は非常に大きな細胞群の場合、最良1‰、最良0.1‰、最良0.01‰、最良0.001‰、又最良0.0001‰である。あるいは、絶対的な適応度のスコアが定義されることもあり、そしてこのスコアを超える細胞のみが選択される。このアプローチによって、選択されるパーセンテージは変化しうる。
本発明の好ましい態様におけるスクリーニング及び選択方法は、繰り返し又は反復の原則で実施されるべきであるが、但し、各反復は娘細胞群に実施される。
スクリーニング段階の各反復につき、細胞が分類される適応度関数が定義され、そして細胞群がスクリーニングにかけられる。一連の反復を通じて、適応度のスコアは、それが、所望とされる標的の値に漸進的に近づくように精密化される。当該適応度スコアは、増大されることによって、又は追加の因子を、当該適応度スコアを導く方程式内に加えることによって精密化されうる。
スクリーニング基準は、それ故に、スクリーニング及び選択の必要な段階又はそのサイクルを介して所望の機能性へと最適化される。当該段階は、所望の機能性を有する少なくとも1つの細胞に進化しているまで繰り返され、例えば少なくとも2回、例えば少なくとも3回、例えば少なくとも4回、例えば少なくとも5回、例えば少なくとも6回、例えば少なくとも7回、例えば少なくとも8回、例えば少なくとも9回、例えば少なくとも10回、例えば少なくとも20回、例えば少なくとも50回、例えば少なくとも100回、例えば少なくとも200回繰り返される。
別の態様において、当該段階は、所望の機能性を有する少なくとも2個の細胞系、又は少なくとも5個の細胞系、又は少なくとも10個の細胞系に進化しているまで繰り返される。好ましい態様において、進化した少なくとも一部の細胞系が、異なる遺伝子型のパターンを有する。用語「細胞系」とは、決定されたスクリーニングの機能性に関連したスクリーニング基準に合致している細胞から派生する細胞を意味する。
1又は複数のアウトプットについてのスクリーニング基準(又は閾値)は、各繰り返しごとに増大されうる。基準の増大は、例えば、各繰り返しの培養液中の化学物質、例えば毒素の濃度の増大、あるいは培養液中の1又は複数の栄養成分の濃度の減少、あるいはレポーターコンストラクトの感度又は近位の低下であってもよい。基準の増大のほかの例は、温度の繰り返される変化であることもあり、これは選択した細胞型に依存して増大し又は低下する。
スクリーニング基準はまた、繰り返しごとに特徴を変化させることもあり、例えば培養液中での化学物質の濃度から出発し、そして物理的パラメーター、例えば光を次の繰り返しで追加し、あるいはある酵素に対する活性の測定から出発し、そして別の酵素に対する活性を次の繰り返しで追加する。
更に、スクリーニング基準が、上述の基準の混合、すなわち、化学物質の濃度の増大と物理的パラメーターの変化の組み合わせ、及び/又はある化学物質の濃度の増大と別のものの濃度変化との組み合わせ、であってもよいことも本発明の範囲内である。
このアプローチを通じて、且つ進化の一般的な原則に従い、一連のスクリーニング及び選択のサイクルを通じ、要求される特徴を最も提示する細胞系が選択され、そして細胞群を支配するようになる。一連のスクリーニングを通じて、要求される適応度スコアが高められ又は精密化され、所望の特徴の発現の向上へと導いた組み合わせを肯定する。
1つの態様において、所定の標的について興味深いと先験的に考えられている宿主細胞系が選択され、そして選択された細胞系が、図14に記載のような一連のスクリーニングを介して進化する。
別の態様において、当該アプローチは、各段階間の新規な遺伝学的パターンの生成により通常の/低い活性から特定の/高い活性へと移行する、スクリーニングを用いる選択圧を増大させるものの1つである。
別の態様において、適応度スコアは、選択サイクルの間にごくわずかに、例えばわずかに50%又はわずかに25%又はわずかに10%又はわずかに5%又はわずかに1%、ゆっくりと増大する。そのような漸進主義的選択圧は、一連の選択サイクルを通じて、低レベルの応答が築かれることを可能にする。適応度スコアのおけるわずかな向上を選択することによって、前記アプローチは、選択過程の各段階で遺伝学的多様性を最大化する。
別の態様において、当該アプローチは、スロットマシンで遊ぶのと同様に、特定の多段階の代謝経路を歩む。一旦当該経路の最初の段階が達成されると、その段階の遺伝物質は、その相対的な存在量の増大によって「停止(hold)」の状態に置かれ、その結果、細胞群の多くの細胞が前記遺伝物質を含み、そして他の遺伝物質がその結果、第二段階が達成されるまで変化し(回転(spun)又はパーマ状(permed)にされる)、これらもまた「停止」の状態に置かれる。この過程は、全経路が達成されるまで繰り返される。
別の態様において、当該アプローチは、特定の多段階代謝経路を反転する。一旦当該経路の最終段階が達成されると、その段階の遺伝物質は、その相対的な存在量を増大することによって「停止」の状態に置かれ、その結果、細胞群の多くの細胞が前記遺伝物質を含み、そして他の遺伝物質がその結果、次の、しかし最終の段階が達成されるまで変化し(回転(spun)又はパーマ状(permed)にされる)、これらもまた「停止」の状態に置かれる。この過程は、全経路が達成されるまで繰り返される。
また、両態様の組み合わせが実施されることもあり、その結果当該経路が「両末端」から構築される。
更に別の態様は、分子が多数の基準で一斉に最適化されるように、(特異性、AMDE、毒性得等についての)多数のスクリーニングデータ(screening readout)を取り込むことである。
として定義されることもある。
本発明の1つの態様において、細胞は、当該細胞にとって異種の遺伝子を含む、当該細胞によって発現される遺伝子の数を最大化する条件下で選択基準にかけられる。あるいは、当該細胞は、あるパーセンテージ又はひとまとまりの、当該細胞にとって異種の遺伝子が発現することを保証する条件下で選択基準にかけられる。
上記アプローチは普通の概念であり、そして所望の目的に依存して、多くの変異体を構築させることを理解すべきである。
更に、細胞を基にした系を用いることによる利点は、化合物が適応度関数に含まれていないパラメーターでも選択されることがあり、この中で、当該系が、当該細胞にとって毒性でないような特性を示す化合物、及び当該細胞内で迅速に拡散する化合物の進化を本質的に促進することを理解すべきである。
既知の又は構造的なクラスに焦点を絞った経路を構築するアプローチの例は以下の通りである:
小規模から中規模の経路、すなわち、宿主細胞の代謝物から最大6〜7段階の経路の場合、スクリーニングストラテジーは、関連遺伝子を有する創始群のエンリッチメント及び低レベルの所望の特性を生む一連の選択段階の経路を通じての構築の合理的に高い可能性に依拠する。
大規模な経路(すなわち、6〜7段階以上)の場合、スクリーニングストラテジーは主に、当該経路をサブセットにわけ、そしてa)当該経路の前部を構築するために各サブセットにつきスクリーニングパラメーターを定義し、又はb)当該経路の後部を構築するために細胞群に与える中間代謝物を同定すること、を包含する。
例えば、レチノイド様の化合物の場合、カロテノイドが、特定のクラスの生物の特定の組織によって代謝されてレチノイドを産生することは周知である。従って、カロテノイドを産生する細胞群を最初に進化させ、そしてその後、この群の遺伝子とレチノイド遺伝子がエンリッチメントされた群のものとを混合し、そしてこの方法でレチノイド様化合物を産生する群を進化させることが可能である。
別の例としては、タキソール様化合物の場合があり、これについては、正確な生合成経路は知られていないが、酵母代謝物から12〜20の酵素的段階のどこかにあると予想されており、そして複数の中間化合物が単離されている。このように、この前駆体からタキソール様化合物を産生することができる細胞群を同定するために、タキソールから数段階の中間体を与えることによっても開始することができる。一旦これが達成されると、その小さな経路に重要な遺伝子は、統計的に多くの細胞で起こり、そして第二の進化の過程が開始するような高レベルでロックされ、例えば宿主のゲノム内に組み込まれ又は人工染色体内に取り込まれる。今度細胞群に与えられる前駆体は、タキソールの生合成に由来するより初期の代謝物である。この部分的な進化を多数回繰り返すことによって、宿主代謝物から出発してタキソール様化合物を産生する細胞群を進化させることができる。
最後に言っておくべきことは、記載した両アプローチの組み合わせを用いて、すなわち、経路の後部及び前部を網羅する同時の進化過程を出発することによって、あるクラスの化合物を産生することが可能なことである。
本発明にとって興味深い薬物標的は、例えば以下のものである:
3p ヒドロキシステロイド デヒドロゲナー
3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A
5-アデノシルホモシステインハイドロラーゼ
5-HT3 受容体
5-HT4 受容体
50S リボソームユニットの23S rRNA
50S リボソームユニット由来の30S rRNA
50S リボソームユニット 結合部位
α2抗プラスミン
α-アドレナリン作動性受容体
Na+/K+ATP分解酵素のα-サブユニット(3つのイソ型)
α-アミラーゼ
α-グルコシダーゼ
ACTH 受容体
アデノシン デアミナーゼ
副腎皮質ステロイド 合成
副腎皮質ステロイド 受容体
アドレナリン受容体 β1, β2
副腎皮質刺激ホルモン
アンドロゲン受容体
アンギオテンシン変換酵素 (ACE)
アンギオテンシン II 形成
アンギオテンシン II 受容体
抗血小板/抗血栓剤
アルギニン バソプレッシン受容体
アンギオテンシン受容体, AT1, AT2
ATP-感受性 K+ チャネル
抗凝血性タンパク質 C
抗凝血性タンパク質 S
アンドロゲン受容体
30S リボソームユニット上のアポトーシスアミノアシルtRNA 部位(テトラライクリン)
アセチルコリンエステラーゼ
アドレナリン受容体 α1, α2, β1, β2, β3
アロマターゼ
ATP感受性K+ チャネル
アスコルビン酸
β-アミロイド
β-アドレナリン受容体
β-ラクタマーゼ
DNA-依存RNA ポリメラーゼのβ-サブユニット
β-アドレナリン作動性受容体, b1
微小管のβ-チューブリン サブユニット
ベンゾジアゼピン受容体
ブチルコリンエステラーゼ
ブラジキニン受容体, B1, 及び B2
炭酸脱水酵素, IV型, II型
Ca2+ チャネル
Ca2+ チャネル, 電位活性型T-型
カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ
カルシトニン
膵臓のβ細胞上のスルホニルウレアの細胞表面受容体
膵臓のβ細胞上のグリチニド(glitinide)の細胞表面受容体
コレシストキニン(CCKA, CCKB)
コリンアセチルトランスフェラーゼ
コリンエステラーゼ
カルニチン
カルシニュリン
副腎皮質ステロイド 核 受容体
サイクロ(登録商標)フォリン,シクロスポリン結合 タンパク質
T リンパ球上のCD3 糖タンパク質
CD33受容体
CD20受容体
CGに富むDNA (アクチノマイシン)
凝固因子11, Vll, IX, X
副腎皮質ステロイド 副腎皮質刺激受容体
シクロオキシゲナーゼ1, 2 (COX-1, COX-2)
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ
シクロオキシゲナーゼ
チトクローム P450 レダクターゼ
チトクローム P450 11β (11β ヒドロキシラーゼ)
チトクローム P450 17α C17-20 リアーゼ
チトクローム P450 アルド(aldo), アルドステロン合成酵素
チトクローム P450 側鎖開裂酵素(scc) 酵素
チトクローム P450-依存ステロール14 α-デメチラーゼ
D-アラニルD-アラニン合成酵素
ジハイドロプテロート(Dihydropteroate)合成酵素
デオキシシチジンキナーゼ
ジヒドトオロチン酸デヒドロゲナーゼ
ジヒドロ葉酸還元酵素
ドーパミンD1-D5 受容体
DNA鎖伸長因子
DNA の架橋
DNA-依存 RNA ポリメラーゼ
DNA ジャイレース, aサブユニット
DNAのメチル化
DNA ポリメラーゼI+III
DNA プライマーゼ
DNA トポイソメラーゼ
DNAのアルキル化
DNA トポイソメラーゼ IV
DNA のアルキル化(oxamniquine)
エリスロポエチン
エンド-β-d-グルクロニダーゼ
エストロゲン受容体
第VII因子 ;第VIII因子
融合タンパク質 (呼吸器合包体 ウイルス)
FKBP, タクロリムス結合タンパク質, FK506 結合 タンパク質
葉酸
卵胞刺激ホルモン(FSH)
FSH 受容体
グリセロールリン酸オキシダーゼ
GABAA 受容体 (6α変異体, 3β, 2δ, 3γ 変異体
GABAトランスアミナーゼ
GABAA-関連イオンチャネル
グルタミン酸デカルボキシラーゼ
グルタミン酸/アスパラギン酸受容体, AMPA, GLU 1-4, KA, GLU 5-7, NMDA 1,2A D,
mGLU 1-7
グリシンアミドヌクレオチドトランスホルミラーゼ
顆粒球 コロニー刺激因子 受容体
GHRH 受容体
グルカゴン受容体
グルコアミラーゼ
糖質コルチコイド受容体(GR)
GnRH 受容体
性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnHR)
グアニリルキナーゼ
G-タンパク質共役アデノシン 受容体
神経節アドレナリン作動性受容体/ノルエピネフリン輸送体
グアニル酸シクラーゼ(ニトロプルシド)
グアニリルシクラーゼ(NO)
顆粒球コロニー刺激因子
顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子
成長ホルモン受容体
成長ホルモン放出ホルモン (GHRH)
グリシン受容体 α, β
H+, K+ ATP分解酵素, プロトンポンプ
H1, ヒスタミン受容体
H2 ヒスタミン受容体
胃細胞によるHCIの分泌
ヘリカーゼ
HIVプロテアーゼ
HSVチミジンキナーゼ
ヘモグロビンプロテアーゼ
ヘパリンアンタゴニスト
ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ
Her-2受容体
ヒスタミン受容体H1, H2, H3
触媒としての肝臓のスルホトランスフェラーゼ
細胞間接着分子1
インターロイキン1受容体
インターロイキン (IL-1,-2,-3,-4,-5,-6,-7,-8,-9,-10,-11,-12
インターロイキン-2受容体
IGF-1 受容体, IGF-2 受容体
ヨードチリニン(lodothyrinine)-59-脱ヨード酵素, 1型, 2型
インフルエンザ A ウイルス M2 タンパク質
イノシン 5'リン酸デヒドロゲナーゼ
インスリン様成長因子 1
インターロイキン-2 受容体
イノシン酸デヒドロゲナーゼ
インターフェロンα
インターフェロンα受容体
イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ
インテグラーゼ
インターフェロンα
インターフェロンα受容体
インターフェロンγ
インスリン
インスリン様成長因子 (IGF-1, IGF-2)
インスリン受容体, α及びβサブユニット
インスリン輸送体
カリクレイン, アプロチニン, C-エステラーゼ, α2マクログロブリン
キニン
L-アラニルラセマーゼ
L-芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ
L-型電位-感受性 Ca2+ チャネル
白血球インテグリン
ロイコトリエン A ハイドロラーゼ
ロイコトリエンB4 受容体
ロイコトリエンC4 受容体
ロイコトリエンC合成酵素
ロイコトリエン D4/E4 受容体
リポコルチン(タンパク質),ホスホリパーゼA2を阻害
リポキシゲナーゼ (12-リポキシゲナーゼ (血小板), 5-リポキシゲナーゼ (白血球s)
LH/絨毛性ゴナドトロピン(CG)受容体
黄体形成ホルモン(LH)
ラクタマーゼ
リポタンパク質リパーゼ
M1受容体, ムスカリン性 コリン作動性
胃腸管のμ及びδ受容体
マクロファージコロニー刺激因子
微生物のジヒドロ葉酸還元酵素
微小管タンパク質
鉱質コルチコイド受容体
鉱質コルチコイド受容体(MR)
モノアミンオキシダーゼ(MAO)-A
モノアミンオキシダーゼ (MAO)-B
ムスカリン受容体, M1, 3 サブユニット
ムスカリン受容体, M2, 3 サブユニット
ムスカリン受容体, M3, 3 サブユニット
ムスカリン受容体, M4,3 サブユニット
放線菌RNAポリメラーゼ
N-アシルヒドロラーゼ
Na+ チャネル, α1, β1, β3
Na+チャネル α, β, γ
Na+/CI-共輸送体
Na+/K+/2CI-共輸送体
ナイアシン受容体
ニコチン酸
ニコチン性受容体
ニコチン性コリン作動性受容体, 筋肉 NM α, β, δ, γ, ε
ニコチン性コリン作動性受容体, 神経, NN α2, α3, α4, α5, α6, α7, α8, α9, P2, β3, β4
ノイラミダーゼ
ニューロペプチド Y, Y1, Y2 受容体
ノルアドレナリン輸送体
オピオイド受容体 . μ1-2, δ1-2, κ1-3
オキシトシンと受容体
血小板由来成長因子
副甲状腺ホルモン(PTH)
ペルオキシダーゼ
プロゲステロン受容体
プロラクチン
プロラクチン受容体.
寄生虫 β-チューブリン
寄生虫ジヒドロ葉酸還元酵素
寄生虫 グルタミン酸作動性Cl-チャネル
ペニシリン結合タンパク質 1a(PBP 1a, 1b), トランスペプチダーゼ
PBP 2a, 2b
PBP 3,4,5,6,7
血小板 糖タンパク質 llb/Illa (フィブリノーゲン受容体)
血漿タンパク質 トランスフェリン(β1 糖タンパク質)
ピリドキシン受容体
ペニシロイル酵素
50S リボソームユニットのペプチジル部位
プライマーゼ
ホスホジエステラーゼ (IV型, 環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ)
ホスホリパーゼ A2, C
血小板活性化因子
プロスタサイクリン合成酵素
マラリア原虫のヘムポリメラーゼ
プロゲステロン受容体
ピリドキシン
ホスホリパーゼ Cβ
プリン受容体, P1 (A1, 2α,2β, 3), P2X, P2Y
ペルオキシソーム増殖活性化受容体
膵リパーゼ
カリウムチャネル
プロスタグランジン 15-OH デヒドロゲナーゼ
プロスタグランジン D-DP 受容体
プロスタグランジン E1, E2, E3-EP 受容体
プロスタグランジン F-FP 受容体
プロスタグランジン l2-IP 受容体
プロスタグランジン l2 (PGI2) 受容体
プロスタグランジン F2 受容体
プロスタグランジン合成酵素
プロスタグランジン l2受容体
逆転写酵素
50S リボソームユニット由来のリボソームタンパク質(ストレプトマイシン)
Rh 0
リボフラビン受容体
レチノイン酸 α, X 受容体
リボヌクレオシド二リン酸還元酵素
リボヌクレオチド還元酵素
ソマトスタチン
ソマトスタチン受容体, 複数
ステロイド 5 α 還元酵素1,2
スクラーゼ
スクアレンエポキシダーゼ
幹細胞因子, c-kit リガンド
セロトニン受容体(5-HT) 5-HT1A -F, 5-HT2A-C, 5-HT3, 5-HT4-7
コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ
紡錘形成
DNAの切断
バソプレッシン K 受容体の分泌
トポイソメラーゼ I, II, III, IV
チューブリン
トロンボエチン
トロンビン
組織プラスミノーゲン活性化因子
チミジル酸合成酵素
タキキニン, NK1, NK2, NK3
トリプタミン作動性受容体
トロンボキサンA2 TP 受容体, 血小板及び非血小板
トロンボキサン合成酵素
甲状腺刺激ホルモン (TSH) 受容体, TRα 1,2, TU (3 1,2
腫瘍壊死因子受容体
トリパノチオン還元酵素
I型環状 ヌクレオチドホスホジエステラーゼ
III型環状 AMPホスホジエステラーゼ
V型環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ
トランスペプチダーゼ
胸腺リンパ球抗体
腫瘍壊死因子 アルファ
チアミン
ウリジン一リン酸ピロホスホリラーゼ
血管細胞接着分子1受容体
バソプレッシン受容体V1a, V1b, V2,
ウイルスDNAポリメラーゼ
ビタミンA 核受容体
ビタミンE
ビタミンKと受容体
ビタミン B12 受容体,
ビタミンD核受容体
電位活性化Ca2+ チャネル, L-型
新規遺伝学的組成物の生成
新規パターンが、選択段階と並行的に又はそれに続いて生成することが、進化的過程に必要である。当該パターンが遺伝学的な因子に基づいている系において、これは、新規な遺伝学的因子が誘導され、又は既存の遺伝学的因子の新規組み合わせが創り出されるか、あるいはその両方であることを必要とする。
本発明において、新規パターンは、1又は複数の以下の過程を介して達成されうる。用語「組み合わせ(combining)」又は「再混合(remixing)」とは、1又は複数のこれらのパターンを用いて、発現コンストラクトの新規組み合わせを生成する過程を意味すると解されるべきである。組み合わせ又は再混合は、選択過程の任意の段階で実施されてもよく、そして好ましいタイミングは、既定の機能性の因子を有する細胞が組成物の少なくとも1つに見出される場合であり。そして少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は少なくとも50%の組成物である。用語「娘細胞群」とは、ある閾値以上の適応度スコアを有し、そして再混合段階を介して生成した娘細胞群における多くの細胞によって更に特徴付けられる1又は複数の細胞群の細胞から優位に遺伝的に派生する細胞群を意味すると解される。
基本的に、組み合わせ又は再混合は、少なくとも以下のアプローチ:発現カセットの物理的単離及び再混合、発現カセットを含む人工染色体の物理的単離及び再混合、有性交配、細胞又はプロトプラストの融合(vide Hugerat Y, Spencer F, Zenwirth D, Simchen G (1994). Genomics 22 (1), p. 108-117), 及びYACダクション(duction)(vide Curran BP, Bugeja VC (1996), Methods Mol. Biol. 53, p 45-49.)によって実施されうる。
発現カセットの物理的単離及びその後のカセットの混合が好ましい。このアプローチの1つの利点は、任意の蓄積している宿主の突然変異が新規宿主系内での遺伝子の再混合によって除去されるということである。レポーター遺伝子はまたこの過程の一部として導入されることがあり、細胞間レポーターアッセイの導入を可能にする。再混合は、好ましくは少なくとも2つの異なる細胞から発現可能なヌクレオチド配列を除去し、個々の発現可能なヌクレオチド配列を組み合わせ、そして少なくとも2つの組み合わされた発現可能なヌクレオチド配列を少なくとも2つの細胞内に導入することによってin vitroで実施される。
本発明の好ましい態様に従う発現カセットの共通構造に起因して、これらは、rs1-rs2制限部位に特異的な制限酵素を用いて再び宿主細胞から容易に切り出すことができる。本発明に従う、rs1-rs2制限部位に特異的な酵素は、好ましくはレアカッターであり、それ故に、発現カセットのサイズに類似のサイズを有する宿主ゲノムDNAを切断する可能性は非常に限定される。切り出しの後、発現カセットは、類似構造のほかの発現カセットと混合されることがあり、そして進化の段階の間により大きな多様性を生み出す別の組み合わせで別の宿主細胞内に再挿入されうる。
発現可能な配列の組み合わせは、当然のことながら、細胞内の完全長の染色体の組み合わせであってもよく、例えば人工染色体の組み合わせである。人工染色体の組み合わせは、宿主細胞に依存して少なくとも4つの方法で達成されうる。これらは、本明細書に記載のように、物理的単離、交配、プロトプラスト融合及びYAC-ダクションである。
発現カセットを物理的に再混合する別の方法は、1又は複数の細胞群から人工染色体を単離し、そして新規宿主細胞を再形質転換することである。当該宿主細胞は、発現カセットを含む人工染色体を既に含んでも含まなくてもよい。
このように、新規組成物は、2つの(又はそれ以上の)群内への異なる接合型の導入、その後の染色体の正常な補完のために二倍体であり、そして交配において両パートナーの人工染色体を含む細胞を産生する有性交配によって達成されうる。その後の有糸分裂(単相化(haploidisation)するか否かは関係ない)は、続いて、新規な人工染色体を含む新規な栄養細胞をもたらす。
新規遺伝物質の追加
再混合は、好ましくは、別の細胞組成物由来の新規遺伝物質の追加によって実施される。他の組成物は、少なくとも1つの既定の表現型、例えばタンパク質又は代謝物を発現することができる組成物から選択されることがあり、あるいはそれはランダムに選択されることがある。
1つの態様において、後で一まとめにされる単離された一連の群における選別を、一旦それらが独立して進化した有用な形質を持った後に実施することが望ましい。この方法では、同一の表現型についての独立した選択の使用が、後で理想的には互いに相乗的に作用しうる異なる遺伝学的背景(並行的な進化の形態)を提供する。
別の態様において、2又はそれ以上の組成物に対する選択結果は、少なくとも1つの細胞が所望の機能性を有することを目的にする場合には、更に修飾された組成物を創り出すために、進化のある段階で混合される。
発現可能なヌクレオチド配列の組換え、すなわち、例えば交叉による遺伝物質の変化は、遺伝学的インサート、特にスペーサー配列の構築により、同様に細胞内での組換えを抑制する一般的な試みにより、任意に回避されうる。その結果、組換えに起因して遺伝物質の機能を破壊する危険性無しに、未処理の遺伝子又はcDNA材料の組み合わせをもたらす遺伝物質の組み合わせが好ましい。
所望の機能性を示す娘細胞群を得た後、娘細胞群は、細胞を最適化するために、スクリーニングと選択の更なる段階にかけられることがある。
進化した細胞
別の観点において、本発明は、所望の機能性を有する進化した細胞に関する。好ましい態様にいて、進化した細胞は、出発材料に関連して、上述のような遺伝学的構築を有するが、しばしば出発材料よりも異種の遺伝物質の別の組み合わせを有する。
進化した細胞は、所望の表現型へと導く遺伝子をできる限り最適化するために、所望の機能性にとって重要な遺伝子に関する解析にかけられることがある。
しかしながら、当該細胞はまた、例えば、新規代謝物又は新規経路を産生することができる賛成細胞として使用されることがある。この観点において、進化した細胞は、例えば、発酵タンク内での産生に適した細胞であることが好ましい。
新規分子及び経路
本発明に従う進化方法の目的は、新規物質、例えば新規代謝物、新規タンパク質、及び/又は新規経路を産生することができる細胞に進化させることである。
このように、更なる観点において、本発明は、本発明に従い進化した細胞によって産生される物質であって、代謝物、タンパク質、炭水化物、多糖及びオリゴ糖である物質に関する。新規表現型を生む相互作用のいくつかが酵素によって代謝されるので、当該結果は、化学合成を介して産生するのが特に困難な、キラル中心を有する新規化合物を含むであろうと思われる。
新規経路の創作は、天然の、進化していない細胞によって代謝することができない化合物を代謝し、すなわち変換することができる細胞を創り出す能力をもたらすことがある。
アプローチの実施例
本発明が潜在的な医薬、工業、農業、又は栄養的な有用性を有する細胞に進化させるためにどのように使用されるかがここで示される。
小規模から中規模の経路を介する特定の構造的クラスの進化
実施例1:カロテノイド様化合物の進化
有用性
カロテノイド類は、黄色、オレンジ、ピンク、赤及び青色を示す天然の色素である。主要な役割は酸化的損傷に対する保護である。カロテノイド類は、医薬として関連し(気管支喘息を処置するために使用され、そしてガンの予防に関与する)、そして商業的価値のあるものである。
スクリーニングと選択のストラテジー
・宿主細胞による異なる色の産生。スクリーニングは、蛍光励起セルソーター(FACS)を用いて実施される。
・抗酸化的保護。スクリーニングは、一重項酸素種の生産者としてメチレンブルーを用いて実施される。
手順
段階1
本質的に完全長のcDNAライブラリーがこの実施例に列記したリスト内の種から作られる。
段階2
cDNAライブラリーが、4つのエントリーベクター:pEVE4, pEVE5, pEVE8,及びpEVE9の、30:30:1:30の比率のプールを用いて作られる。図4,5,6及び7を参照のこと。
段階3
各cDNAライブラリーが、Bonaldo, MF et-al. (1996) Genome Res. 6: 791-806に記載の方法4のように本質的に均一化される。
段階4
均一化されていない酵母(サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae))のcDNAライブラリー由来のコード配列が、ハウスホールド遺伝子を除くために、PCRによって増幅され、そして、均一化されたライブラリー(Bonaldo, MF et al. (1996) Genome Res. 6: 791-806),から調製された一本鎖の環状DNAに対するサブトラクティブハイブリダイゼーションのためのドライバーとして使用される。残りの一本鎖の環は、精製され、二本鎖DNAに変換され、そしてE.コリDHαを形質転換するために使用される。
段階5
EVAC(進化可能な人工染色体(Evolvable Artificial Chromosome))を含む細胞群が、10個の異なる均一化され、そしてエンリッチメントされたcDNAライブラリーを用いてそれぞれ形成される。
発現カセットの調製
1. 5 mlのLB-培地(Sigma) に10倍表示のライブラリーに相当するライブラリーの播種材料を播種する。一晩増殖させる。
2. 1.5mlの培養液からプラスミドをミニプレップする(例えばQiaprep スピンミニプレップキット)。
3. Srf 1でプラスミドを消化する。
4. フラグメントを脱リン酸化し、そしてホスファターゼを熱不活性化する(20分、80℃)。
5. Asc1で消化する。
6. フラグメントの量を推定するために、1%アガロース中に1/10の反応液を流す。
pYAC4-Ascアームの調製
1.150 mlのLB (sigma)にpYAC4-Ascを含むE. コリ DH5aαの単一コロニーを播種する。
2. OD600〜1まで増殖させ、細胞を採集し、そしてプラスミドを調製する。
3. 100μgのpYAC4-AscをBamH1及びAsc1で消化する。
4. フラグメントを脱リン酸化し、そしてホスファターゼを熱不活性化する(20分、80℃)。
5. フラグメントを精製する(例えばQiaquick Gel Extractionキット)。
6. フラグメントの量を推定するために1%アガロースゲルに流す。
EVACの調製
1. カセット/アーム比が1000/1未満となるように、発現カセットフラグメントをYAC-アームと混合する。
2. 必要に応じて、フラグメント濃度が75 ng/μL反応液となるように、混合物を濃縮する(例えば、Microcon YM30を用いる)。
3. 1ユニットのT4 DNA-リガーゼを添加し、16℃で1〜3時間ライゲーションする。1μLの500 mM EDTAを添加することによって反応を停止させる。
4.パルスフィールドゲルに流す(CHEF III, 1 % LMPアガロース, 1/2xTBE, 角度 120度, 温度12℃, 電圧5.6V/cm, 5〜25秒に及ぶスイッチタイム, ランタイム30時間)。2個のレーンに試料を添加する。
5. 分子量マーカーを含むゲルの一部を染色する。
6. 分子量100〜200kbに相当するサンプルレーンをゲルから切り出す。
7. 高濃度のNaClアガラーゼ緩衝液(1 u のアガラーゼ/100mgゲル)中でゲルをアガラーゼ処理する。
8. 20μL未満に濃縮する。
9. エレクトロポレーションを用いて、調製物により適当な酵母菌株を形質転換する:
100 mlのYPDに1つの酵母のコロニーを接種し、そしてOD600 = 1.3〜1.5にまで増殖させる。培養物を4000 x g 、4℃で遠心することによって採集する。細胞を16mlの滅菌水中で再懸濁する。2 mlの10 x TE 緩衝液(pH 7.5)を添加し、そして回転させて混合する。30℃で45分穏やかに振とうする。回転させながら1.0 mlの0.5 M DTEを添加する。30℃で穏やかに15分間振とうする。酵母の懸濁液を滅菌水で100mlに希釈する。細胞を洗浄し、そして4000 x gで遠心し、50mlの氷冷した滅菌水中で再懸濁し、4000 x gで遠心し、5mlの氷冷した滅菌水中で再懸濁し、4000 x gで遠心し、そしてペレットを0.1mlの氷冷した滅菌1Mソルビトール中で再懸濁することによって濃縮する。エレクトロポレーションは、Bio-Rad Gene Pulserを用いて行った。滅菌した1.5mlの微量遠心管中で、40μlの濃縮された酵母細胞を5μlの1:10に希釈したEVAC調製物と混合した。酵母ーDNA混合物を氷冷した0.2-cm-ギャップの使い捨てのエレクトロポレーションキュベットに移し、そして1.5 kV, 25 F, 200Ωでパルスにかけた。1mlの氷冷した1Mソルビトールをキュベットに添加し、そして酵母を回収する。アリコートを1Mソルビトールを含む選択的プレート上に広げる。コロニーが出現するまで30℃でインキュベートする。
段階6
段階5)で生成したEVACを含む細胞ライブラリーは、1つのスクリーニング群にまとめられる。
段階7
当該スクリーニング群を二等分する。当該部分のうちの一方は抗酸化特性についてスクリーニングされ(段階8)、そして他方は、差次的な色の産生についてされる(段階9)。
段階8 抗酸化剤スクリーニング
a.当該スクリーニング群は10回増幅され、そして10個の部分に分けられる。
b.亜群は、液体培養中、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
c.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞は、スクリーニングの前に、誘導条件下で24時間増殖される。
d,各亜群は、10種類の濃度のメチレンブルーのうちの1つに曝露される。メチレンブルーに対する曝露の直後に、当該細胞は200Wのハロゲンランプで15分間照射される。
e.生存率は2時間後に決定される。10%のもとの細胞系を統計的に表している細胞が生存している、生存細胞群が選択される。
段階9 差次的な色の産生のスクリーニング
a.当該スクリーニング群は、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
b.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除される。
c.当該細胞は、スクリーニングの前に、誘導条件下で24時間増殖される。
d.フローサイトメトリーは、本質的にAn, G. H et al, 1991, Bio/Technology 9: 70-73に記載されているように、最高の発現レベルの異なる色を有する細胞を単離するために使用される。
e.最も強い色を発現している10%の細胞系を表す(統計学による)細胞が選択される。
段階8及び9で選択される遺伝学的多様性の再混合は、発現カセットを切り出し、それらを混合し、そして新規EVACに再ライゲーションすることによって実施される。この過程は、段階10〜13に記載される。
段階10
段階8及び9で選択される各群が増幅され、そして等量のぞれぞれ増幅された群が集められる。
段階11
全DNAが標準的な手順に従い単離される。
段階12
全DNAがAsclで消化され、そして適当なサイズ(2-10kb)のDNAフラグメントが単離される。
段階13
精製したDNAフラグメント及び任意のこれまでの合成においてEVACを構築するために使用されてなかった10%のカセット(w/w)が、本質的に段階5に記載のように合成される。
段階14
段階7〜13が、各スクリーニングから常に最良の10%の細胞系を進めて5回繰り返される。
段階15
5回目のサイクルの完了から生じた新規細胞群は分割されずに、液体培養中、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。異種遺伝子は、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除される。
段階16
組み合わされた群は、今回色についてスクリーニングされる。着色した細胞は、抗酸化活性についてスクリーニングされる。使用されるメチレンブルーの濃度は、メチレンブルーに対する2時間の曝露の後、生存している着色した細胞の数がもとの細胞系の5%の細胞系を表してい最高の濃度である。
段階17
選択した群は増幅され、そして新規EVACが段階11〜13に記載のように産生される。
段階18
段階15〜17が、各スクリーニングから常に最良の10%の細胞系を進めて30回繰り返される。
段階19
もとの群よりも10倍高濃度のメチレンブルーで生存することができ、そしてはっきりと視認できる明るい黄色〜赤色を有する細胞が、当該進化過程の中から取り出される。これらの活性に重要な遺伝子がサブクローニングされ、そしてDNA配列決定によって特徴付けられる。
段階20
段階19に記載された特徴を有し、そして有意に異なる遺伝子型を有する細胞が、当該表現型に重要な化合物を同定するために、標準的な天然産物化学を用いて解析される。
優先される種及び分類群
調達される種は、
・カロテノイド類を産生する種:植物、藻類、いくつかの真菌及び光合成細菌
・他のカロテノイド類を産生するためにカロテノイド類を修飾する種:いくつかの動物
・特定の遺伝子
に分けられる。
カロテノイド類を産生する種:
植物:キウイ(Actinidia deliciosa); シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana); ハクサイ(Brassica rapa), マリーゴールド(Tagetes erecta), オリーブ(Olea europaea ), ローメインレタス(Lactuca sativa var. romaine), オーク(Quercus robur), カイガンショウ(Pinus pinaster), トウガラシ(Capsicum annuum), ベニノキ(Bixa orellana), サルチナ・ルテア(Sarcina lutea), 三色スミレ(Viola tricolor), スイカズラ(Lonicera japonica), ホウオウボク(Delonix regia), トウモロコシ(Zea mays), ハナビシソウ(Eschscholzia californica), パパイヤ(Carica papaya), ニンジン(Daucus carota), トマト(Lycopersicon esculentum), サフラン(Crocus sativus), フロモイデス(Verbascum phlomoides), ヨウラクホオズキ(Physalis alkekengi), リンドウ種(Gentiana spp.), タバコ(Nicotiana tabacum),
トベラ(Pittosporum tobira)
藻類:
レッドマングローブ(Rhizophora mangle), 緑藻(Haematococcus pluvialis),ウスバアオノリ(Enteromorpha linza), アオサ(Ulva lactuca), カウレルパ・メキシカン(Caulerpa mexican), スギノリ種(Gigartina sp), イトグサ種(Polysiphonia sp), アマノリ種(Porphyra sp), ジャイアントケルプ(Macrocystis pyrifera), サルガッサン種(Sargassun sp.), ナノクロラム・(Nanochlorum eucaryotum), デュナリエラ・バラダウィル(Dunaliella bardawil),セネデスムス・オブリキュース(Scenedesmus obliquus), オシラトリア・ルベセンス(Oscillatoria rubescens), ホルミジウム・ルリダム(Phormidium luridum), アルソスピラ種(Arthrospira spp.), アスタシア・オセラタ(Astasia ocellata), ヒバマタ(Fucus vesiculosus), バスィコッカス・プラシノス(Bathycoccus prasinos), ミクロモナス・プシラ(Micromonas pusilla), ボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)
真菌:ザントフィロマイセス・デンドロロウス(Xanthophyllomyces dendrorhous), ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa), カンサレラス・シバリウス(Cantharellus cibarius), フィコマイセス・ブラケスレエアヌス(Phycomyces blakesleeanus), プシニア・グラミニス(Puccinia graminis), エピコッカム種(Epicoccum spp.), ライコゴラ・エピデンドロン(Lycogola epidendron)
細菌:ロセイフレキサス・カステンホルジイ(Roseiflexus castenholzii), ストレプトコッカス・ファエシウム(Streptococcus faecium), ロドシュードモナス・アシドフィラ(Rhodopseudomonas acidophila), エルウィニア・ヘルビコラ(Erwinia herbicola), アグロバクテリウム・アウランチアカム(Agrobacterium aurantiacum), ハロロードスピラ・アブデルマレキイ(Halorhodospira abdelmalekii), ハロロードスピラ・ハロクロリス(Halorhodospira halochloris), アナバエナ(Anabaena) PCC 7120, クロロビウム・テピダム(Chlorobium tepidum), クロロフレキサス・アウランチアカス(Cholroflexus aurantiacus), サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus), フレキシバクター種(flexibacter spp.), ロドバクター・カプスレイタス(Rhodobacter capsulatus), スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus), デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans), メイオサーマス・ラバー(Meiothermus ruber), クロロフレキサス・アウランチアカス(Chloroflexus aurantiacus)
カロテノイド類を修飾する種
鳥類:
オウゴンヒワ(Carduelis tristis), ショウジョウコウカンチョウ(Cardinalis cardinalis), フラミンゴ(flamingo)
魚類:キンギョ(Carassius auratus), ブラックバス(Micropterus salmoides), カーディナルテトラ(Paracheirodon axelrodi), カクレクマノミ(Amphiprion ocellaris), キイロハギ(Zebrasoma flavescens), マンダリンフィッシュ(Synchiropus splendidus), コンゴウフグ(Lactoria cornuta)
無脊椎動物:
Invertebrates : キンコ(Cucumaria japonica)(ナマコ), ランセラ・バスタ(lanthella basta) (海綿動物), セグロサンゴヤドカリ(Clibanarius erythropus)(hermit crab), オオミジンコ(Daphnia magna), ロブスター(Homarus americanus), ハナサキガニ(Paralithodes brevipes)(King Crab), ナガニシ(Fusinus perplexus)(seashell),
クロイソカイメン(Halichondria okadai)(海綿動物), スベリテス・マッサ(Suberites massa) (海綿動物), ペンタクタ・オーストラリス(Pentacta australis)(ナマコ), アカウニ(Pseudocentrotus depressus)(ウニ), オフィウロイッダ種(phiuroidda spp.)(クモヒトデ), アゲハチョウ(Papilio xuthus)(チョウ), イガイ(Mytilus coruscus), マガキ(Crassostrea gigas)(カキ), ウミウシ種(Glossodoris spp.), フロミア・エレガンス(Fromia elegans)(スターフィッシュ), ウメボシイソギンチャク(Actinia equina)(strawberry beadlet anemone), アネモニア・ヴィリディス(Anemonia viridis)(イソギンチャク), ヒッポリスマタ・グラグハミ(Hippolysmata graghami), (エビ), シロボシアカモエビ(Lysmata debelius)(エビ), ハロシンシア・パピロサ(Halocynthia papillosa)(マボヤ), フサトゲニチリンヒトデ(Crossaster papposus)(スターフィッシュ)
特定のカロテノイド遺伝子:
ggps, psy, pds, zds, Icy-b, Icy-e, bhy, zep (リンドウ種.), idi, crtC, crtF (ロドバクター・カプスラツス(Rhodobacter capsulatus),), crtE, crtB, crtl, crtY, crtZ (エルウィニア・ウレドボラ(Erwinia uredovora)), zds (ノストク・アナバエアナ(Nostoc anabaena)), pds (シネコッカス(Synechococcus)PCC7942), crtE, crtB, crtl, crtY, crtZ (エルウィニア・ヘルビコラ(Erwinia herbicola)), crtM, crtN (スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)), crtl, crtYb (ザントフィロマイセス・デンドロロウス(Xanthophyllomyces dendrorhous)), ccs, crtL (カプシカム・アンヌウム(Capsicum annuum)), crtL, bchy (ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)), Icy-b, Icy-e (プロクロコッカス種(Prochlorococcus sp.)), idi (サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)), crtl, crtYe, crtYf, crtEb (コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)), psy-1 (リコペリシコン・エスキュレンタム(Lycopersicon esculentum)), al1 (ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa))
実施例2:オメガ脂肪酸様化合物の進化
有用性
不飽和脂肪酸は、正常な細胞機能にとって重要な成分であり、細胞膜の流動性に関与しており、そしてプロスタグランジン及びロイコトリエンを含むエイコサノイドに対する前駆体としての役割を果たす。哺乳類においては、これらのエイコサノイドは炎症応答、血圧の制御、及び生殖機能に関与している。
スクリーニングと選択のストラテジー
・細胞膜の流動性(フローサイトメトリースクリーニング)
・エタノールに対する耐性(生存アッセイ)
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
当該スクリーニング群を二等分する。当該部分の一方をエタノールに対する耐性についてスクリーニングし(段階8)、そして、他方のものを細胞膜の流動性についてスクリーニングする(段階9)。
段階8 エタノールに対する耐性:
a.当該スクリーニング群は10回増幅され、そして10個の部分に分けられる。
b.亜群は、液体培養中、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
c.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞は、スクリーニングの前に、誘導条件下で36時間増殖される。
d,各亜群は、10種類の濃度のエタノールのうちの1つに曝露される。生存率は一晩の培養後に決定される。10%のもとの細胞系を統計的に表している細胞が生存している、最高濃度のエタノール由来の細胞群が選択される。
段階9 細胞膜の流動性スクリーニング
a.当該スクリーニング群は、液体培養中、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
b.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除される。当該細胞は、それぞれ2時間おきにフローサイトメトリーによって解析されるライブラリーの1/10を用いて、誘導条件下で20時間増殖される。
c.当該亜群のそれぞれが、最も流動性のある細胞膜を有するが、なおも正常に増殖する細胞系の10%を単離するために使用される。これは、本質的には、Benderitter M. et al, Cytometry, 2000,39 (2), 151-7に記載の通りに行われる。
段階10
段階8)及び9)で選択した各群を増幅する。選択した各群につき、段階11〜13が別々に繰り返される。
段階16
組み合わされた群は、今回エタノール耐性についてスクリーニングされる。生存細胞は、巻く流動性の増大についてスクリーニングされる。使用されるエタノールの濃度は、エタノールに対する一晩の曝露の後、30℃での膜の流動性が平均的な流動性を2倍超の標準偏差上回っている生存細胞の数が、もとの細胞系の5%の細胞系を表してい最高の濃度である。
段階19
もとの群よりも10倍高濃度のメタノールで生存することができ、そして5倍超の標準偏差によって、30℃でのもとの群の平均流動性を上回っている細胞膜の流動性を有する細胞が、当該進化過程の中から取り出される。これらの活性に重要な遺伝子がサブクローニングされ、そしてDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・植物(特に種子)
・動物(特に脂肪組織)
・魚類
・分類学的に多様な真核生物種のランダムな群
より長い経路を介する特定の構造的クラスの進化
実施例3:レチノイド様化合物の進化
有用性
レチノイド類はビタミンA誘導体であり、細胞増殖のモジュレーター及び形態形成の変化のエフェクターである。抗悪性腫瘍薬としてのレチノイド類の活性は、複数のin vivoの実験的な発ガンモデル(主に皮膚、気道、膀胱、肺、消化管についてのもの)において証明されている。レチノイド類に対する細胞の応答は、ステロイド甲状腺ホルモン(又は核)受容体スーパーファミリーに属し、そして二量体として標的遺伝子のシス作動性応答因子に対して結合するリガンド活性化転写因子としてふるまう核受容体の2つのファミリー(RAR及びRXR)によって通常媒介される。
異なるレチノイン酸受容体のアイソタイプは、組織分布の特徴的なパターンを示しており、RARαは最も偏在的に分布している。RARβは、肺の発生において重要な役割を果たしており、そして肺における腫瘍の抑制機能を有することが提示されている。
スクリーニングと選択のストラテジー
・カロテノイド様化合物を得るために、色の産生及び抗酸化的保護についてのスクリーニングが使用される(実施例1を参照のこと)。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階5
EVACを含む細胞群が、10個の異なる均一化され、そしてエンリッチメントされたcDNAライブラリーを用いてそれぞれ形成される。EVACは、実施例1で進化した細胞群を形質転換させる。
1. カロテノイドを産生する細胞群を、液体培地中で、30℃で且つ通気させて、EVACについて選択的な条件下で、2 x 106〜2 x 107個の細胞/mlに増殖させる。
2. 細胞をペレットにするために、400 x gで5分間遠心し;上清を捨てる。
3. 合計9 ml TE(pH 7.5)中で再懸濁する。細胞をペレットにするために遠心し、そして上清を捨てる。
4. 5 mlの0.1 M 酢酸リチウム/セシウム溶液(pH 7.5)中で穏やかに細胞を再懸濁する。
5. 穏やかに振とうしながら30℃で1時間インキュベートする。
6. 細胞をペレットにするために、400 x gで5分間遠心し、そして上清を捨てる。
7. 1mlのTE(pH 7.5)中で穏やかに再懸濁する。.細胞はこれで形質転換の準備完了である。
8. 1.5 mlのチューブにおいて
・100μlの酵母細胞
・5μlのキャリアーDNA (10 mg/ml)
・5μlのヒスタミン溶液
・10μlの体積(最大)中1/5 量のEVAC調製物(1つのEVAC調製物は、100μgのコンカテマー化反応混合物から作られる)
9.穏やかに混合し、そして室温で30分間インキュベートする。
10.別々のチューブ内で、各形質転換反応液につき、0.8 ml 50% (w/v) PEG 4000及び0.1 mlのTE 及び0.1 mlの1 M LiAcを一緒にする。1 mlのこのPEG/TE/LiAc混合物を各形質転換反応液に添加する。穏やかにピペッティングしながら細胞を溶液中に混合させる。
11. 1時間30℃でインキュベートする。
12. 42℃で15分間熱ショックを与え;30℃に冷却する。
13. 微量遠心機内で、高速で5秒間細胞をペレットにし、そして上清を除去する。
14. 200μlの高濃度の培養液を再懸濁し、そして適当な選択的培地中にプレーティングする。
15. 形質転換コロニーが出現するまで、30℃で48〜72時間インキュベートする。
段階7
スクリーニング群は分割しない。
段階8 レチノイン酸受容体の活性化
a.スクリーニング群を10回増幅させる。
b.EVACを含む細胞群は、酵母ベクター及びヒトレチノイン酸受容体(RARβ)のcDNAを含む酵母の発現プラスミド内にレポーターコンストラクトを含むレポーター菌株と接合され、そして一倍体細胞、当該レポーター系及びEVACについての選択条件下で培養される。使用したレポーター遺伝子はβ-ガラクトシダーゼである。当該レポーター菌株は、本質的にSalerno et al. 1996, Nucleic Acids Res. 24 (4), 566-72に記載の通りに構築される。
c. 異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除される。当該細胞は、誘導条件下で18時間増殖される。増殖及びβ-ガラクトシダーゼ活性は、96穴マイクロタイタープレートにおいて、本質的にColdham et al., 1997, Environ. Health Perspect., 105 (7), 734-42に記載の通りにアッセイされる。
d.10%の最高のβ-ガラクトシダーゼ活性を有する細胞が選択される。
段階9
段階9はない。
段階8及び9で選択した遺伝学的多様性の再混合が、EVACの物理的単離と再形質転換によって行われる。
段階10
段階8で選択した群は、5mlのYPD中でOD600>1.0に増殖される。
段階11
全DNAの2つの100μlのプラグが、BioRadの"CHEF genomic DNA plug kits"manual, Procure n. 2に記載の通りに産生される。
段階12
EVACを精製し、そして単離する:
a.プラグを切断し、そしてパルスフィールドゲルの3つのスロット内に添加する。
b.PFGEを行う。
i.EVACが1000kb未満の場合:Chef III, 1%アガロース, 1/2xTBE, 6V/cm, 14℃, 120度, 50〜90秒. スィッチタイム, 22時間のランタイム
ii. EVACが1000 kb超の場合:Chef lll, 1%アガロース, 1/2xTBE, 6V/cm, 14℃, 120度, 60〜120秒. スィッチタイム, 24時間のランタイム
c. EVACの位置を同定するために1つのレーンを染色する。
d. 2つの染色されないレーンの相当部分を切断し、そして、標準的な手順、例えばPulsed Field Gel Electrophoresis. A practical approach. (Ed. A. P. Monaco) Oxford University Press 1995.に従い、アガラーゼ処理によってアガロースを消化する。
e.アガラーゼ処理した調製物を限外ろ過(例えばMicrocon YM-30, Millipore)によって100μにまで濃縮する。
f.濃縮段階を保持し、そして繰り返すために400のTEを添加する。
段階13
EVACで酵母を前述のように形質転換する。
段階16
段階8を本質的に繰り返すが、細胞群は、レポーター菌株と一緒に、両菌株についての選択条件のもとで同時培養される。次のように、RARβを活性化する化合物は、細胞膜を横断するためには、合理的には親水性である必要がある。
段階19
段階16の10回目のサイクルから、0.1μMのレチノイン酸と類似の活性を類似の環境のもとで示す細胞が、進化の過程から抜き取られる。これらの活性に重要な遺伝子は、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・カロテノイド類をレチノイド類に代謝する種:哺乳類(特に肝臓及び網膜組織)、魚類(肝臓)、昆虫及び他の動物。
実施例4:タキソール様化合物の進化
有用性
タキソールは、種々の悪性腫瘍、黒色腫及び肉腫の処置において広範に使用されている、高度に有効な抗ガン薬である。この薬剤の独特な作用形態、及びその突出した潜在能は、タキソールを現在使用されている最も有効な抗ガン剤にしている。タキソールは微小管の集合を促進し、そして脱重合を阻止する。これにより、安定な微小管の束が誘導され、そして細胞周期の有糸分裂が阻止される。
スクリーニングと選択のストラテジー
・微小管集合の安定化。微小管集合アッセイは、マイクロタイタープレートを用い、そして吸光度を測定して行われる。
手順
タキソールの生合成経路は、ゲラニルゲラニル二リン酸から開始して、12〜20の酵素的段階を包含すると考えられている。タキソールの形成における最初の拘束された段階は、ゲラニルゲラニル二リン酸の環化を包含する。あと2、3の酵素段階の後、バッカチンIIIと称される中間体が合成される。この中間体は、再生可能な天然資源から入手可能であり、そしてタキソール様化合物を産生することができる細胞群へと進化させるために、細胞群に与えるための前駆体として使用されうる。一旦これが達成されると、当該過程において同定される遺伝子は、ロックされるべきである。酵母の代謝物からバッカチンIIIへの段階の数は、タキソール産生群の中に、当該経路の最初の遺伝子であって、酵母代謝物IPPを修飾してゲラニルゲラニル二リン酸、タキサジエン合成酵素及びタキサジエン5α-ヒドロキシラーゼを産生しうるcrtE(フィトエン合成酵素)を組み込むことによって減少されうる。前駆体が与えられない進化の第二モジュールが使用された後、タキソール様化合物を産生することができる細胞群が確立される。
各モジュールの進化につき、実施例3に記載の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
当該スクリーニング群を二等分する。当該部分のうちの一方は微小管の集合の安定化についてスクリーニングされ(段階8)、そして他方は、マウス線維芽細胞の増殖の阻害についてされる(段階9)。
段階8
微小管の集合の安定化:
a. 異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞は、スクリーニングの前に、誘導条件下で24時間増殖される。
b. EVACを含む細胞が、5mgのチューブリン/mlで一緒にカプセル内に包まれる。
c. マイクロカプセルを重合化緩衝液中で懸濁し、そして37℃で1時間インキュベートする。当該群の画分は、平均の光散乱を決定するために、フローサイトメトリーを通過させられる。
d. 同時に、マイクロカプセルのコントロール群が、GTPを欠く同一の緩衝液中でインキュベートされる。当該群は、脱重合化したチューブリンを含むマイクロカプセルの光散乱を確立するために、フローサイトメトリーを通過させられる。
e. 懸濁液を5℃で30分間冷却し、そして重合化したチューブリンを含むカプセルに光散乱が最も近づいた光散乱を維持するマイクロカプセルが回収され、そして段階10の処理にかけられる。
f. 最高の光散乱を有する細胞群の10%が選択される。
段階9 マウス線維芽細胞の増殖阻害
a.当該スクリーニング群は、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
b.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除される。EVACを含む細胞群が、誘導条件下で増殖される。
c.マウス線維芽細胞は、線維芽細胞の増殖培地中のゲルの微小液滴内に、EVACを含む細胞と一緒に包まれる。
d. インキュベーションを24時間実施し、この後、当該微小液滴をフローサイトメトリーによってスクリーニングし、そして各液滴中の細菌による細胞増殖のレベルが測定される。
e. 当該スクリーニングに進む宿主細胞系の10%が選択されるように、最も低い細胞増殖を有する液滴が選択される。
段階10
段階8)及び9)で選択した各群を増幅する。選択した各群につき、段階11〜13が別々に繰り返される。
段階16
全ての群が、今回微小管の集合の安定性についてスクリーニングされる。選択された細胞は、続いて、マウス線維芽細胞の増殖阻害についてスクリーニングされる。
段階19
10nMの濃度のタキソールによって産生されたものと類似の活性を有する細胞が、当該進化過程の中から取り出される。これらの活性に重要な遺伝子は、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
調達される種は:
・タキソール及び他のタキソール様化合物を産生する種、
・タキソールを産生するものと系統発生的に関連している生物
・関連の薬理学的活性、すなわち抗ガン性を有することが知られている生物
・タキソールの生合成に関与していることが知られている酵素をコードする特定の遺伝子、
に分けられる。
タキソールを産生する種:
植物:セイヨウイチイ(Taxus brevifolia), イチイ(Taxus cuspidata), タクスス・ユンナネンシス(Taxus yunnanensis), タクスス・カナデンシス(Taxus canadensis), セイヨウイチイ(Taxus baccata), ヒマラヤイチイ(Taxus wallichiana), タクスス・マイレイ(Taxus mairei), タクスス・チネンシス(Taxus chinensis), タクスス・メディア(Taxus media);
真菌:タクソマイセス・アンドレアナエ(Taxomyces andreanae), タクソマイセス・ワリチアナ(Taxomyces wallichiana), タクソマイセス・バッカタ(Taxomyces baccata), タクソマイセス・カナデンシス(Taxomyces canadensis)
タキソールを産生するものと系統発生的に関連している生物:
同一の科:タクスス・グロボサ(Taxus globosa), タクスス・ビテルナタ(Taxus biternata), タクスス・カエスピトサ(Taxus caespitosa), タクスス・レカルバタ(Taxus recurvata), タクスス・ウンブラクリフェラ(Taxus umbraculifera), タクスス・コンコルタ(Taxus concorta), タクスス・スマトラナ(Taxus sumatrana), トレヤ・グランディス(Torreya grandis), トレヤ・ニュシフェラ(Torreya nucifera); ヒノキ科: カリトリス・アルボレア(Callitris arborea), ローソンヒノキ(Chamaecyparis lawsoniana), アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica), ビャクシン(Junipers chinensis), ジュニパース・レカーバス(Junipers recurvus), テトラクリニス・アルティクラータ(Tetraclinis articulata), ニオイヒバ(Thuja occidentalis), ビドリングトニア・クプレソイデス(Widdringtonia cupressoides) ; マキ科:ポドカルパス・フェルギネウス(Podocarpus ferrugineus); ナンヨウスギ科:アガチス・アルバ(Agathis alba), アラウカリア・インブリカタ(Araucaria imbricata), カウリマツ(Agathis australis), マツ科:カナダバルサム(Abies balsamea), アビエス・ウェビアナ(Abies webbiana), ヒマラヤスギ(Cedrus deodora), ラリックス・ユーロパエア(Larix europaea), ピセア・ルベンス(Picea rubens), ダイオウマツ(Pinus australis), カイガンショウ(Pinus pinaster), ヒマラヤゴヨウ(Pinus wallichiana), オレゴンパイン(Pseudotsuga taxifolia), カナダスガ(Tsuga canadensis), イヌガヤ科 : セファロタクスス・フォルチュネイ(C. fortunei), セファロタクスス・ハウリングトニック(C. Hauringtonic), コウヤマキ科:コウヤマキ(Sciadopitys verticillata)
抗悪性腫瘍活性を有することが報告されている生物:
植物:クサノオウ(Chelidonium majus), ダイオウ(Rheum officinale)(チャイニーズルバーブ、根), ショクヨウダイオウ(Rheum rhabarbarum)(ルバーブ、根), タマネギ(Allium cepa)(オニオン、球根), アロエベラ(Aloe vera)(アロエ、植物), ラッカセイ(Arachis hypogaea)(落花生, 種子), キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)(キャベツ、葉), エビスグサ(Cassia tora)(鎌状(Sickle)の センナ, 種子), コプティス・キネンシスCoptis chinensis (中国のオウレン, 地下茎), コプティス・ジャポニカ(Coptis japonica)(Huang-Lia, 地下茎), コプティス種(Coptis spp)(一般的なオウレン、地下茎), コリアダリス種(Corydalis spp)(植物), ハナビシソウ(Eschscholzia califomica)(カリフォルニアポピー, 芽), ツノゲシ(Glaucium flavum)(根), ケシ(Papaver somniferum)(植物), ツルドクダミ(Polygonum multiflorum)(根), ダイオウ(Rheum palmatum)( チャイニーズルバーブ、根), ルメックス・ヒメノセパルス(Rumex hymenosepalus)(Canaigre, 根), アカネグサ(Sanguinaria canadensis)(Bloodroot, 根), センナ・アラタ(Senna alata)(Ringworm Bush, 植物), アキザキフクジュソウ(Adonis vernalis)(Spring Adonis, 植物),
動物、海綿動物:コルチウム種(Corticium sp), ジジヤ cf. フリギノサ(Zyzzya cf. fuliginosa), コンドロプシス種(Chondropsis sp), ジアカーヌス・エリスラエヌス(Diacarnus erythraenus); ゼリーフィッシュ:アンドンクラゲ(Carybdea rastonii), クリサオラ・キンクエシルハ(Chrysaora quinquecirrha); イソギンチャク:ウメボシイソギンチャク(Actinia equina), アネモニア・ヴィリディス(Anemonia viridis), 昆虫:クロキアゲハ(Papilio polyxenes), キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster), オオサシガメ(Rhodnius prolixus), セイヨウミツバチ(Apis mellifera), シロスジヨトウ(Lacanobia- oleracea); クモ類:タランチュラ・ケラトウベイチス(Tarantula keratouveitis), サバクイトグモ(Loxosceles desert), カッショクイトグモ(Loxosceles reclusa); カニ類:ツメナガヨコバサミ(Clibanarius longitarsus), カブトガニ(Tachypleus tridentatus), ウカ・プギラト(Uca pugilat), 虫類:マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni); カタツムリ類:リッピア・シドイデス(Lippia sidoides), ライムナエア・スタグナイス(Lymnaea stagnais), ヒメミドリアメフラシ(Stylocheilus longicauda), ビオムフラリア・グラブラタ(Biomphalaria glabrata); ヘビ類:ジャララカ(Bothrops jararaca), クロタラス・ジュリサス(Crotalus durissus), アスブクサリヘビ(Vipera aspis), シストララス・マラリウス・バラボウリ(Sistrurus Malarius Barbouri); ウニ:ラッパウニ(Toxopneustes pileolus); ヒトデ:トゲナシヤギ(Acalycigorgia inermis), イトマキヒトデ(Asterina pectinifera), ジュズベリヒトデ(Fromia monilis)
特定の薬物標的への細胞の進化
実施例5:HIVプロテアーゼ阻害剤の進化
有用性
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、HIVウイルスによって引き起こされる致死的な病原性の疾患である。AIDSは、地球上のほぼ全ての国において蔓延しており、そして世界中の3600万の人々が感染していると推定される。HIVプロテアーゼを阻害する分子は、HIV感染の処置に有用性がある。そのような分子の所望な特性は、HIVに対する活性、HIVプロテアーゼへの特異性、ウイルス等に到達するために細胞膜を通過する能力、を含む。
スクリーニングと選択のストラテジー
HIVプロテアーゼの活性を測定するアッセイは、未消化の基質において蛍光が消光するが、酵素的に消化された基質においては蛍光が消光しないように、当該プロテアーゼのタンパク質基質を蛍光色素で標識することによって構築されうる。そのようなスクリーニングを構築するための手順は、"Activity and dimerization of human immunodeficiency virus protease as a function of solvent composition and enzyme concentration."Jordan SP, Zugay J, Darke PL, Kuo LC. J Biol Chem 267, 20028-20032 (1992)に示されている。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
スクリーニング群は分けられない。
段階8
EVACを含む細胞群が、発現を誘導する条件下で12時間増殖される。上述のように構築されたレポーターアッセイが、微小液滴内の宿主細胞内のすぐ近くで組み込まれる。当該微小液滴は、スクリーニング培地中でインキュベートされる。2時間おきに、10%の微小液滴がフローサイトメトリーに流され、そして蛍光レベルについてスクリーニングされる。各2時間のバッチにおいて、最低の蛍光を有する微小液滴が、統計学的に10%の宿主細胞系が選択された細胞内で提示されるように選択される。選択された細胞は、異種遺伝子の誘導を停止する培地内に直ちに据えられる。各バッチから選択された細胞がプールされる。
段階9
段階9はない。
段階10
段階8で選択された群を増幅させる。
段階16
段階16は、段階8のように構築される。スクリーニング基準は、当該スクリーニングに進む細胞系の5%が選択されるように設定される。
段階19
25nMの濃度のインジナビル量と同程度にまでHIVプロテアーゼを阻害する細胞が当該進化過程から抜き取られる。これらの活性に重要な遺伝子は、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・分類学的に多様な真核生物種のランダムな群
実施例6:DNAトポイソメラーゼII毒の進化
有用性
トポイソメラーゼIIは、細胞分裂における必須酵素であり、DNAの形態を制御し、そして特に開いた二本鎖DNAを切断し、別の鎖をその切れ目に通し、そしてその切れ目を再び塞ぐ過程を実施する。トポイソメラーゼII酵素に、これらのDNA二本鎖の切れ目を作らせるが、それらを塞がせない化合物(例えば、ドキソルビシン及びエトポシド)は、抗がん剤として改良された有用性を有する。そのような活性を有するが異なる薬理学的特性を有する新規化合物は、ガン、及びまったく別の増殖性疾患の処置のための化合物としての有用性を有する。
スクリーニングと選択のストラテジー
トポイソメラーゼII毒(例えば、ドキソルビシン及びエトポシド)は、高レベルのトポイソメラーゼIIを有する細胞に対して優先的に毒性があり、それらの毒の作用は、トポイソメラーゼ酵素に、DNA内に二本鎖の切れ目を作らせることによって達成される。
それらの作用は、二本鎖の切れ目を生じさせることなく酵素に働く化合物(例えばクロロキノン及びデクスラゾキサン(dexrazoxane))によって拮抗される。これらの特性は、トポイソメラーゼ毒として働く化合物を産生する細胞を選択し、そしてそれらに進化させる方法を構築するために使用されうる。
機能的なヒトトポイソメラーゼII酵素を発現し、そして温度に依存して野生型の酵母トポイソメラーゼII酵素を発現しない酵母の宿主細胞は、科学文献、Wasserman R. et al, Cancer Research, 1993,53, 3591に記載されている。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階5
EVACを含む細胞群が、10個の異なる均一化され、そしてエンリッチメントされたcDNAライブラリーを用いて、上述の変異体菌株の1つのそれぞれにおいて形成される。
段階7
スクリーニング群は分けられない。
段階8 トポイソメラーゼ毒活性:
a.当該スクリーニング群は、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
b.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含み、且つ35℃の培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除される。当該細胞は、誘導条件下で12時間増殖される。3時間ごとに、25%の細胞群が、フローサイトメトリーによってDNA損傷についてスクリーニングされる。少なくともDNAの損傷を示す各力価の25%の細胞が廃棄され、そして残りが直ちに、100μMの濃度のデクスラゾキサンを含む非誘導培地中に据えられる。
c. 生存し、且つ段階8bから選択される細胞が再懸濁され、そして誘導条件下で更に12時間増殖されるが、今回は12時間の間中デクスラゾキサンは100μMの濃度である。当該期間の終わりに、細胞は、フローサイトメトリーによってDNAの損傷についてスクリーニングされ、そして少なくともDNAの損傷を示す細胞系の25%を表す細胞が選択される。
段階9
段階9はない。
段階10
段階8で選択された群を増幅させる。
段階16
段階8のように構築する。
段階19
10回目のサイクルから開始して、段階8bにおいて、5μMのエトポシドの添加によって生じるものに等しいレベルのDNA損傷を示す細胞が、当該進化の過程から抜き取られる。これらの活性に重要な遺伝子は、サブクローニングDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・ポドフィロトキシンを産生する植物
・抗ガン活性を有することが一般的に知られている種
実施例7:p53活性因子の進化
有用性
p53は、他の発ガン性の細胞においてアポトーシスを誘導する周知の腫瘍抑制遺伝子である。機能障害性のp53は、アポトーシスが起こらず、そして発ガン性の細胞が増殖することを意味しうる。腫瘍の大部分が機能障害性のp53タンパク質を有している。
p53タンパク質は、転写因子として働く。機能障害性p53の多くの形態が、転写因子として働く能力を失っている。そのような機能障害性の形態を有する腫瘍細胞はp53タンパク質を蓄積させるが、転写及びその結果としてのアポトーシスが起こらない。そのような腫瘍細胞において、そのような機能障害性p53の、転写を開始させ、その結果アポトーシスを開始する能力を修復する化合物は、抗ガン剤としての能力を有する。Rastinejad F., Science, 1999,286,2507-2510.
スクリーニングと選択のストラテジー
p53は転写因子である。p53にとって標準的な細胞内レポーター系は、a)GFP又は類似のレポータータンパク質をコードする遺伝子が異種のp53を誘導可能なプロモーターの支配化に置かれている遺伝子コンストラクトと、b)機能障害性p533をコードする誘導可能な遺伝子コンストラクトを一緒に含んで成る。そのようなコンストラクトは、GFPの転写を活性化する化合物をスクリーニングするために使用されうる。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階5
EVACを含む細胞群が、10個の異なる均一化され、そしてエンリッチメントされたcDNAライブラリーを用いてそれぞれ形成される。当該群は続いて、標準的なプロトコールに従い、上述のp53レポーター系によって形質転換される。
段階7
スクリーニング群は分けられない。
段階8 p53活性化スクリーニング
a.当該スクリーニング群は、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
b.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞は、誘導条件下で36時間増殖される。GFPを産生するあらゆる細胞が廃棄される。
c. 機能障害性のp53が誘導され、そして誘導は、EVAC遺伝子の誘導/抑制解除と平行して5日間維持される。細胞は、1時間後に、そして5日間の間12時間間隔で、GFPの産生について観察される。GFPを産生する細胞が選択される。
段階9
段階9はない。
段階10
段階8)で選択した群を増幅させる。
段階16
全ての群を段階8)のようにスクリーニングする。当該スクリーニング基準は、当該スクリーニングに進む細胞系の5%が選択されるように設定される。
段階19
誘導から1時間以内にGFPを産生する細胞が、当該進化の過程から抜き取られる。これらの活性に重要な遺伝子が、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・抗ガン特性を有することが報告されている生物(実施例4を参照のこと)
・分類学的に多様な真核生物種のランダムな群
実施例8:フマル酸還元酵素阻害剤の進化
有用性
フマル酸還元酵素は、フマル酸をコハク酸に還元し、そしてリーシュマニア(Leishmania), ヘリコバクター(Helicobacter), スタフィロコッカス(Staphylococcus)及びストレプトコッカス(Streptococcus)のような属に由来する病原を含む多くの生物のための嫌気的代謝における必須段階である。
フマル酸還元酵素の活性を阻害する化合物は、そのような寄生虫又は病原がそれらの生活環を完了することから防ぐことができ、そしてそのような疾患を制御するのに有用なものである。フマル酸還元酵素がヒトにおいて発生しないので、そのような化合物はヒトに対して有意な毒性を持つべきでない。
スクリーニングと選択のストラテジー
フマル酸還元酵素活性は、それがフマル酸の添加時にNADHを酸化する速度によって測定される。酵素反応の進行は、340nmで分光光学的に測定される。詳細なプロトコールについては、Chen et al., Antimicrob. Agents Chemother., 2002,2023-2029を参照のこと。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
スクリーニング群は分けられない。
段階8 フマル酸還元酵素のスクリーニング
a. スクリーニング群を10回増幅させる。
b. 異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞が、スクリーニング前に誘導条件下で24時間増殖される。
c.フマル酸還元酵素は、ゲル微小液滴内に、EVACを含む細胞と一緒に包まれる。
d. フマル酸還元酵素を含むが、EVAC含有細胞を含まない微小液滴が、100μMのNADH及び1mMのフマル酸を含む液体培地中でインキュベートされ、そして30℃でインキュベートされた。アリコートは、最適なインキュベーション時間を決定するためにフローサイトメトリーによって解析された。
e. 当該微小液滴は、100μMのNADH及び1mMのフマル酸を含む液体培地中に据えられ、そして最適な期間インキュベートされる。
f. ゲル微小液滴は、フローサイトメトリーを通過させられ、そして340nmの吸光度で測定される。酵素活性は、340nmの吸光度レベルから計算される。最低の酵素活性を有する細胞は、最高のフマル酸還元酵素の阻害を有する、当該スクリーニングに進む細胞系の10%を表す細胞が選択されるように選択される。
段階9
段階9はない。
段階10
段階8で選択された群を増幅させる。
段階16
これは段階8のように実施する。当該スクリーニング基準は、当該スクリーニングに進む細胞系の5%が選択されるように設定される。
段階19
リコシャルコン(licochalcone)を液滴に1μMの濃度で添加することによって達成されるものと同一又はそれ以上のフマル酸還元酵素の阻害を示す細胞が、当該進化の過程から抜き取られる。これらの活性に重要な遺伝子が、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・植物の根
・分類学的に多様な真核生物種のランダムな群
特定の標的の機能に依存しない進化
実施例9:細胞保護剤の進化
有用性
ガンの化学療法の中心的な問題の1つに、使用する抗がん剤が、ガン細胞と同様に正常な細胞を殺すことである。正常な細胞を殺す副作用は、命に関わるほど深刻なことがあり、そしてこれは、しばしば、ガンの処置を放棄せねばならないことを意味する。従って、そのような抗ガン剤に対して細胞を保護する化合物は、ガンの化学療法の副作用を軽減する有用性を持っており、それ故に、治療的な結果と患者の生命の質を向上させる。そのような化合物の既存の例には、デクスラゾキサンとクロロキンが含まれ、これらは共に、エトポシドのような抗ガン剤の細胞障害性作用から細胞を保護する。
スクリーニングと選択のストラテジー
宿主細胞は、細胞障害性の抗ガン剤、例えばドキソルビシン、タキソール、ビンクリスチン及びシスプラチンの存在下での生存についてスクリーニング及び選択が誘導されうる。一連の選択段階を通じて、細胞が選択されるために生存しなければならない、細胞障害性物質の濃度が増大されうる。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
当該スクリーニング群を二等分する。当該部分の一方はエトポシドに対してスクリーニングし(段階8)、そして、他方のものはビンクリスチンに対してスクリーニングされる(段階9)。
段階8 エトポシドスクリーニング:
a.当該スクリーニング群は10回増幅され、そして10個の部分に分けられる。
b.亜群は、液体培養中、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
c.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞は、スクリーニングの前に、誘導条件下で36時間増殖される。
d, 各亜群は、平均して各細胞群が現れるように3倍に希釈される。
e, 各亜群は、10種類の濃度のエトポシドのうちの1つに曝露される。生存率は2時間後に決定される。細胞系の10%を統計的に表している細胞が生存していた、最高濃度のエトポシド由来の生存している細胞群が選択される。
段階9 ビンクリスチンスクリーニング:
a.当該スクリーニング群は10回増幅され、そして10個の部分に分けられる。
b.亜群は、液体培養中、人工染色体にとって選択的な条件下で、OD600=0.6-1.0まで増殖される。
c.異種遺伝子が、メチオニンを欠き、そして200μMのCu2SO4を含む培地中で細胞を再懸濁することによって誘導/抑制解除され、そして当該細胞は、スクリーニングの前に、誘導条件下で36時間増殖される。
d, 各亜群は、10種類の濃度のビンクリスチンのうちの1つに曝露される。生存率は2時間後に決定される。細胞系の10%を統計的に表している細胞が生存していた、最高濃度のビンクリスチン由来の生存している細胞群が選択される。
段階10
段階8)及び9)で選択した各群を増幅し、そして等量の各増幅群をプールする。
段階16
全ての群が、エトポシド及びビンクリスチンの両方について今回スクリーニングされる。当該スクリーニング基準は、当該スクリーニングに進む細胞系の5%が選択されるように設定される。
段階19
もとの細胞群と比較して、10倍高濃度のエトポシド、又は10倍高濃度のビンクリスチン、あるいは5倍高濃度の量の両者をいっしょにしたものに対して耐性の能力を示す細胞が、当該進化過程の中から取り出される。これらの活性に重要な遺伝子が、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・ツルニチニチソウ属の植物種
・タキソールを産生することが知られている生物(実施例4を参照のこと)
実施例10:抗菌剤の進化
有用性
広範囲に及ぶ耐性の発生は、細菌性の疾患についての古典的な抗生物質療法の効果を大きく制限していた。過剰で且つしばしば不必要な、ヒト及び動物における抗生物質の使用によって大きく増強された抗生物質耐性は、患者の疾病率、死亡率、そして最終的には医療費が増大する結果をもたらした。
新興の抗生物質耐性感染症を処置する新規治療薬についての強い医療上の必要性が存在している。現在の細菌の耐性機構を回避することが予想されるような、新規の又は少なくとも現在承認されている抗生物質とは異なる機構によって機能する阻害剤が奨励されている。
スクリーニングと選択のストラテジー
スクリーニングは、ゲル微小液滴及びフローサイトメトリー又はオーバーレイシステムを用いて行われうる。一次スクリーニングにおける多剤耐性菌株の使用は、多剤耐性菌株に対して活性を有する当たりを先験的に選択する。
この実施例に記載のアプローチは、本明細書に記載のもの以外の広範な微生物に適用することができる。哺乳類細胞は、1又は複数の選択段階で使用されることがあり、そして哺乳類細胞に毒性のある化合物を産生しない宿主細胞を選択するために使用されうる。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
スクリーニング群は分けられない。
段階8 抗菌剤のスクリーニング:
a. EVACを含む群が誘導条件下で増殖される。
b. スタフィロコッカス・アウレウスが、ゲルの微小液滴内に、EVACを含む細胞と一緒に包まれる。
c. インキュベーションを24時間実施し、この後、当該微小液滴をフローサイトメトリーによってスクリーニングし、そして各液滴中の細菌による細胞増殖のレベルが測定される。
d. 当該スクリーニングに進む宿主細胞系の10%が選択されるように、最も低い細胞増殖を有する液滴が選択される。
段階9
段階9はない。
段階10
段階8で選択した群を増幅させる。
段階16
当該群を、蛍光生死マーカー(fluorescent live/dead marker)(フルオレセインジアセテート)の使用によって、単純な増殖の休止よりもむしろ細菌細胞の死について今回直接的にスクリーニングされる。当該スクリーニング基準は、当該スクリーニングに進む細胞系の5%が選択されるように設定される。
段階19
1μg/mlの濃度のバンコマイシンによって達成されるものに等しい抗菌活性を示した細胞が、当該進化の過程から抜き取られる。これらの活性にとって重要な遺伝子は、サブクローニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・真菌
・分類学的に多様な真核生物種のランダムな群
実施例11:血管形成阻害剤の進化
有用性
血管形成は、多くの腫瘍の増殖にとって適当な血液の供給を提供するために必要な過程である。それはまた、疾患、例えば糖尿病の重大な合併症でもあり、この場合、眼の中での血管形成は、視覚障害の原因となることがある。
スクリーニングと選択のストラテジー
血管形成の阻害in vitroでのスクリーニングは、増殖因子の存在下での内皮細胞の増殖を測定することに基づいて存在している。(一般的な毒性に起因する作用に対する)血管形成の阻害についての所定の化合物の特異性は、増殖因子の添加無しでの、非内皮細胞の増殖に対するその様な化合物の効果を研究することによって評価されうる。
手順
実施例1に記載のものと同一の手順が実施され、但し、以下の番号の段階は変更される。
段階7
スクリーニング群は分けない。
段階8 ウシ毛細血管の内皮細胞のスクリーニング
a. BCEを、宿主細胞と一緒に、宿主細胞の増殖を制限するが、内皮細胞のものはしない条件下で標準的なゼラチン質の増殖培地内に一緒にカプセル化する。宿主細胞内の異種遺伝子の転写を誘導する因子が当該培地に添加される。
b. BCEを、1ng/mlの線維芽細胞増殖因子の添加によって増殖するよう刺激する。72時間のインキュベーション期間の後、各カプセル中の内皮細胞の数がフローサイトメトリーによって数えられる。
c. BCEの最低レベルの増殖が起こったカプセルが選択される。選択したカプセルの数は、当該スクリーニングに取り込まれた細胞系の統計学的に10%が選択されるように設定される。
段階9
段階9はない。
段階10
段階8)で選択した群を増幅させる。
段階16
全ての群が、段階8)と同一の方法で今回スクリーニングされる。しかしながら、あらゆる別のスクリーニング段階において、宿主細胞系が、内皮細胞以外のウシの細胞系と一緒に、ウシ線維芽細胞増殖因子の添加無しにカプセル内に包含され、そして最大の細胞増殖が起こったカプセルが選択される。これらの別の段階で選択されたカプセルの数は、当該スクリーニングに取り込まれた細胞系の統計学的に20%が選択されるように設定される。
段階19
10回目の段階から開始して、10個以上の因子によって内皮細胞の増殖を阻害する宿主細胞が、当該進化の過程から抜き取られる。これらの活性に重要な遺伝子は、サブスクリーニング及びDNA配列決定によって特徴付けられる。
優先される種及び分類群
・ツツジ目、特にカメリア属の植物種(チャ、アッサムチャ(Camellia sinensis)は、血管新生阻害剤であるエピガロカテキン-3-ガレート(epigallocatechin-3-gallate (EGCG))を産生することが知られている)
他の実施例:
実施例12:認識配列及び開裂点を有するレア制限酵素
この実施例において、レア制限酵素は、それらの認識配列及び開裂点と一緒に列記されている。
12a) 独特なパリンドロームのオーバーハング
Figure 2010187692
12b) オーバーハング無し
Figure 2010187692
12c) パリンドローム無し及び/又は変化する可能性があるオーバーハング
Figure 2010187692
12d) メガヌクレアーゼ
Figure 2010187692
他のメガヌクレアーゼも同定されているが、それらの正確な認識配列は決定されていない。www.meganuclease.comを参照のこと。
実施例13:コンカテマーのサイズ限定実験(ストッパーの使用)
使用した材料:
pYAC4 (Sigma. Burke et al. 1987, science, vol 236, p 806) をEcoR1及びBamH1で消化し、そして脱リン酸化したpSE420 (invitrogen)を、EcoR1を用いて直鎖化し、そしてコンカテマー化のためのモデルフラグメントとして使用した。
T4 DNA リガーゼ(Amersham-pharmacia biotech)を、取扱説明書に従い、ライゲーションに使用した。
方法:フラグメントとアームを図9a及び9bに示した比率(濃度は任意の単位である)で混合した。ライゲーションを16℃で1時間進行させた。反応を1μLの500 mM EDTAの添加によって停止させた。生成物を標準的なアガロースGE(1 % アガロース, 1/2 x TBE)によって、又は PFGE(CHEF iii, 1% LMP アガロース, 1/2 xTBE, 角度 120度, 温度12℃, 電圧5.6V/cm, 5〜25秒に及ぶスイッチタイム, ランタイム30時間)によって解析した。
結果を図10a及び10bに示す。
実施例14:異なる発現条件下で同一の酵母クローンを用いて得られる異なるパターンの「表現型」の発現
クローンを滅菌した楊枝でピッキングし、そして4つの抑制され、そして/あるいは誘導された条件(-Ura/-Trp,-Ura/Trp/-Met,-Ura/-Trp/+200μM Cu2SO4,-Ura/-Trp/-MeV+200μM Cu2S04)に相当するプレート上に逐次ストリーキングした。

Claims (56)

  1. 所望の機能性を有する細胞に進化させる方法であって、
    a)細胞の組成物を入手し、ここで、前記組成物の少なくとも1つの各細胞が
    a1)少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列、ここで、前記配列の少なくとも1つが細胞内の人工染色体に組み込まれている、及び/又は
    a2)以下の式:
    [rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]
    (ここで、
    rs1とrs2は共に制限部位を表し、
    SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
    PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
    Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
    TRはターミネーターを表す)
    の少なくとも2つの発現カセット、及び/又は
    a3)少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列、ここで、前記配列は当該細胞にとって異種である、
    を含んで成る、
    b)少なくとも1つのスクリーニングの機能性を決定し、
    c)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に関して細胞の当該組成物をスクリーニングし、
    d)決定したスクリーニングの機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に合致する細胞を選択し、
    e)選択した細胞の発現カセットの発現可能な配列と、別の細胞の組成物に由来する発現可能な配列とを組み合わせ、但し、発現可能な配列の組み合わせは、細胞がa3)だけに記載のようなものである場合、完全長の遺伝子を含んで成るヌクレオチド配列の変化となる、
    f)少なくとも1つの細胞が所望の機能性を獲得するまで、必要に応じて段階b)〜e)を任意に繰り返す、
    段階を含んで成る、方法。
  2. 段階c)が、既定のスクリーニング機能性に関連した少なくとも1つのスクリーニング基準に合致する細胞を選択する前に、少なくとも2つの異なるスクリーニング基準に関してスクリーニングすること、を含んで成る、請求項1に記載の方法。
  3. 段階a)が、更に修飾された組成物を入手する前に、一段階の組み合わせを含んで成る、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 段階a)が、更に修飾された組成物を入手する前に、少なくとも二段階の組み合わせを含んで成る、請求項1又は2に記載の方法。
  5. スクリーニング基準が、培地を基にした基準、例えば異常な培地の基質の使用、毒素を含んで成る培地上での細胞の増殖、阻害剤を含んで成る培地上での細胞の増殖、生存の基準で選択される細胞への到達、より優れた増殖、形態の逸脱、粘着性、スペクトル特性、酵素活性(の調節)、である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. スクリーニング基準が、少なくとも1つの物理的基準、例えば温度、モル浸透圧濃度、光、及び電気、生存の基準で選択される細胞への到達、より優れた増殖、形態の逸脱、粘着性、スペクトル特性、酵素活性(の調節)、である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列が、少なくとも2つの異なる種から派生する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列が、遺伝子又は完全長のcDNAから個々に選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. スクリーニング基準の強度が各繰り返しにつき増大する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. スクリーニング基準の型が各繰り返しにつき変化する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 1又は複数のスクリーニング基準の強度が各繰り返しにつき増大し、そして/あるいは、1又は複数のスクリーニング基準の型が各繰り返しにつき変化する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 1又は複数のスクリーニング基準が、基質の濃度が増大した培地中で増殖した場合の細胞の生存能力である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 1又は複数のスクリーニング基準が、前記組成物内の細胞の酵素作用又は前記組成物内のそれらの滲出物のスクリーニングである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせが、細胞内の染色体の組み合わせである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 発現可能なヌクレオチド配列内の組み合わせが、発現可能なヌクレオチド配列の組み合わせの間に実質的に起こらない、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 発現可能なヌクレオチド配列が、少なくとも2つの異なる細胞から発現可能なヌクレオチド配列を除去し、個々の発現可能なヌクレオチド配列をin vitroで組み合わせ、そして少なくとも2つの組み合わされた発現可能なヌクレオチド配列を少なくとも2つの細胞内に導入すること、によって実施される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 所望の機能性が、非天然の二次代謝物を産生する細胞の能力である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 二次代謝物が新規である、請求項17に記載の方法。
  19. 段階c)〜e)が少なくとも2回、例えば少なくとも3回、例えば少なくとも4回、例えば少なくとも5回、例えば少なくとも10回繰り返される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記別の細胞の組成物が、少なくとも既定のタンパク質又は基質を発現することができる細胞を含んで成る、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記別の細胞の組成物がランダムに選択される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記組成物がサブ組成物のコレクションである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. サブ組成物が、共通の少なくとも1つの表現型を有する個々の細胞のコレクションである、請求項22に記載の方法。
  24. サブ組成物が個々の細胞のコレクションであり、前記細胞が、同一の発現可能なヌクレオチド配列のために、同一のプロモーターを有する、請求項22に記載の方法。
  25. サブ組成物が個々の細胞のコレクションであり、各細胞が、コンカテマーの少なくとも1つのカセット内に、同一の発現可能なヌクレオチド配列を有する、請求項22に記載の方法。
  26. 組成物が少なくとも20個の個々の細胞を含んで成る、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 組成物が、少なくとも50個の個々の細胞を含んで成る、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 組成物が、少なくとも100個の個々の細胞を含んで成る、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 段階d)の選択が、蛍光励起セルソーターによって実施される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 段階d)の選択が、フローサイトメトリーによって実施される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 少なくとも1000個の細胞が、セルソーターによって1秒で選別される、請求項29又は30に記載の方法。
  32. 各サブ組成物が少なくとも10個の個々の細胞を含んで成る、請求項22に記載の方法。
  33. 各サブ組成物が少なくとも50個の個々の細胞を含んで成る、請求項22に記載の方法。
  34. 各サブ組成物が少なくとも100個の個々の細胞、例えば少なくとも1000個の個々の細胞、例えば少なくとも10,000個の個々の細胞、を含んで成る、請求項22に記載の方法。
  35. 組成物が1つの種由来の細胞のコレクションを含んで成る、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 組成物の少なくとも1つの細胞が、個々のオリゴヌクレオチドカセットの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成り、各コンカテマーが5’→3’方向に以下の式:
    [rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
    (ここで、rs1とrs2は共に機能的制限部位を表し、
    SPは個々に少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
    PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
    Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
    TRはターミネーターを表し、そして
    n≧2であり、そして
    少なくとも2つの発現可能なヌクレオチド配列が異なる発現状態に由来する)のオリゴヌクレオチドを含んで成る、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 少なくとも2つの異なる発現状態が、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属、を表す、請求項36に記載の方法。
  38. 2つの異なる種が、少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来する、請求項37に記載の方法。
  39. 1つの種が真核生物であり、そして別の種が原核生物である、請求項37に記載の方法。
  40. 実質的に全てのrs1-rs2配列が同一の制限酵素によって認識され、更に好ましくは実質的に全てのrs1-rs2配列が実質的に同一である、請求項36に記載の方法。
  41. nが少なくとも10、例えば少なくとも15、例えば少なくとも20、例えば少なくとも25、例えば少なくとも30、例えば少なくとも30〜60又は60以上、例えば少なくとも75、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも500、例えば少なくとも750、例えば少なくとも1000、例えば少なくとも1500、例えば少なくとも2000である、請求項36に記載の方法。
  42. 異なる発現可能なヌクレオチド配列が同一の、又は異なる発現状態に由来する、請求項36に記載の方法。
  43. 異なる発現状態が、少なくとも2つの異なる組織、例えば少なくとも2つの器官、例えば少なくとも2つの種、例えば少なくとも2つの属を表す、請求項42に記載の方法。
  44. 異なる種が、少なくとも2つの門(phylum)、例えば少なくとも2つの異なる綱、例えば少なくとも2つの異なる門(division)、更に好ましくは少なくとも2つの異なる亜界、例えば少なくとも2つの異なる界に由来する、請求項43に記載の方法。
  45. 細菌、例えばエスケリッチャ・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリコロー(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコックス・キサンサス(Myxococcus xanthus)を含んで成る群から選択される原核細胞を含んで成る、請求項1〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 酵母;フィラメンタス・アスコマイセテス(Filamentous ascomycetes)、例えばニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)及びアスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans);植物細胞、例えばタバコ及びシロイヌナズナ由来のもの;哺乳類宿主細胞;ヒト、サル及び齧歯類由来のもの、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NIH/3T3, COS, 293, VERO, HeLa、を含んで成る群から選択される真核細胞を含んで成る、請求項1〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. パン酵母, クルイベロマイセス・マリキシャヌス(Kluyveromyces marxianus), K.ラクチス(K. lactis), カンジダ・ウチリス(Candida utilis), ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma), サッカロマイセス・ボウラジイ(Saccharomyces boulardii), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・パラフィニカ(Candida paraffinica), シュワニオマイセス・カステリイ(Schwanniomyces castellii), ピキア・スチピチス(Pichia stipitis), カンジダ・シェハタエ(Candida shehatae), ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis), リポマイセス・リポフェル(Lipomyces lipofer), クリプトコッカス・クルバツス(Cryptococcos curvatus), カンジダ種(Candida spp)(例えば、C.パルミオレオフィリア(C. palmioleophila)), ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica), カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii), カンジダ属(Candida), ロドトルラ種(Rhodotorula spp), サッカロマイセス種(Saccharomycopsis spp)., アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans), カンジダ・ブルンプチイ(Candida brumptii), カンジダ・ハイドロカーボフマリカ(Candida hydrocarbofumarica), トルロプシス属(Torulopsis), カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis), サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra), カンジダ・フラベリ(Candida flaveri), エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyii), ピキア種(Pichia spp.), ピキア・パストリス(Pichia pastoris), クルイベロマイセス属(Kluyveromyces), ハンセヌラ属(Hansenula), クロエケラ属(Kloeckera), ピキア属(Pichia), パチソレン種(Pachysolen spp.), 又はトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)を含んで成る群から選択される酵母細胞である、請求項46に記載の方法。
  48. 細胞が、突然変異を補完する、挿入された選択的遺伝子マーカーを含んで成る、請求項1〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 少なくとも1つのコンカテマーのヌクレオチド配列、好ましくは、実質的に全てのコンカテマー由来のヌクレオチド配列が、任意な1つのコンカテマーの反復配列のレベルを最小化するために設計されている、請求項36に記載の方法。
  50. 発現可能なヌクレオチド配列が最小化されている、請求項1〜49のいずれか1項に記載の細胞。
  51. 各コンカテマーが5’→3’方向に以下の式:
    [rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
    (ここで、rs1とrs2は共に機能的制限部位を表し、
    SPは少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
    PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
    Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
    TRはターミネーターを表し、そして
    n≧2であり、そして
    少なくとも2つのカセットのrs1-rs2が同一の制限酵素によって認識される)のオリゴヌクレオチドを含んで成る、個々のオリゴヌクレオチドカセットの少なくとも1つのコンカテマーを含んで成る細胞であって、当該細胞にとって異種の少なくとも1つの代謝物を産生することができる細胞。
  52. 制御可能なプロモーターの支配化にある少なくとも第一及び第二の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成る少なくとも1つの人工染色体を含んで成る進化した細胞であって、第一の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターが他の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターから独立して制御可能であり、当該細胞にとって異種の少なくとも1つの物質を産生することができる細胞。
  53. 個々のオリゴヌクレオチドの少なくとも1個のコンカテマーを含んで成る細胞であって、各コンカテマーが個々に、5’→3’方向に、以下の式:
    [rs2-SP-PR-X-TR-SP-rs1]n
    (ここで、
    rs1とrs2は共に制限部位を表し、
    SPは少なくとも2つのヌクレオチド塩基のスペーサーを表し、
    PRは、細胞内で機能しうるプロモーターを表し、
    Xは発現可能なヌクレオチド配列を表し、
    TRはターミネーターを表し、そして
    n≧2であり、そして
    少なくとも2つのカセットのrs1-rs2は同一の制限酵素によって認識される)のオリゴヌクレオチド配列を含んで成り、
    天然細胞によって代謝されえない、少なくとも1つの化合物を代謝することができる細胞。
  54. 制御可能なプロモーターの支配化にある少なくとも第一及び第二の発現可能なヌクレオチド配列を含んで成る少なくとも1つの人工染色体を含んで成る細胞であって、第一の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターが他の発現可能なヌクレオチド配列のプロモーターから独立して制御可能であり、天然細胞によって代謝されえない、少なくとも1つの化合物を代謝することができる細胞。
  55. 請求項3〜50のいずれか1項に記載の特徴のいずれかを含んで成る、請求項51、52、53、又は54のいずれか1項に記載の細胞。
  56. 請求項51又は52に記載の細胞によって産生される代謝物。
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