JP2001502547A - 新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法 - Google Patents

新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法

Info

Publication number
JP2001502547A
JP2001502547A JP10519751A JP51975198A JP2001502547A JP 2001502547 A JP2001502547 A JP 2001502547A JP 10519751 A JP10519751 A JP 10519751A JP 51975198 A JP51975198 A JP 51975198A JP 2001502547 A JP2001502547 A JP 2001502547A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
library
dna
gene
expression
host
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP10519751A
Other languages
English (en)
Inventor
ピーターソン,トッド,シー.
フォスター,リンドン,エム.
ブライアン,ポール
Original Assignee
クロマクスオム コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by クロマクスオム コーポレーション filed Critical クロマクスオム コーポレーション
Publication of JP2001502547A publication Critical patent/JP2001502547A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6811Selection methods for production or design of target specific oligonucleotides or binding molecules
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/64General methods for preparing the vector, for introducing it into the cell or for selecting the vector-containing host
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/102Mutagenizing nucleic acids
    • C12N15/1027Mutagenizing nucleic acids by DNA shuffling, e.g. RSR, STEP, RPR
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/66General methods for inserting a gene into a vector to form a recombinant vector using cleavage and ligation; Use of non-functional linkers or adaptors, e.g. linkers containing the sequence for a restriction endonuclease
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/80Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for fungi
    • C12N15/81Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for fungi for yeasts

Abstract

(57)【要約】 本発明は、分子多様性(molecular diversity)を生成しかつスクリーニングするための新規な薬物探索システムに関する。このシステムは、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー中の複数の生物種由来の遺伝物質を混合しクローニングして、新規な代謝経路および新規なクラスの化合物を生成させるための方法を提供する。このシステムはまた、発現させるために宿主生物の1つの種から別の種へ導入することができる移動可能なコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを提供する。また、移動可能な遺伝子発現ライブラリーを作製するための特殊なクローニングベクターも提供する。このシステムはまた、このような新規な経路および化合物を生成することができるライブラリー含有宿主生物を前もってスクリーニングしまたは同定するための方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法 本出願は、1996年4月24日に提出された出願番号08/639,255の一部継続出願で あり、その全内容は引用により本明細書に含まれるものとする。 1.発明の分野 本発明は、薬物を探索するための新規アプローチに関する。より詳細には、本 発明は、良好または有望な薬物供給源である生物のゲノムを保存するためのシス テム、1以上の生物種からの遺伝物質をランダムに組み合わせて新規代謝経路を 生成するためのシステム、およびそのような遺伝的に操作された細胞を予備スク リーニングまたはスクリーニングして新規生化学的経路を生成させ新規化合物ク ラスを生成させるためのシステムに関する。そのような新規のまたは再構成され た代謝経路は、そのような化合物の商業的生産に有用でありうる。 2.発明の背景 2.1.薬物リードの供給源 薬物の探索における基本的な挑戦は、所望の活性を有するリード化合物を同定 し、薬物のさらなる開発を続行するのに要求される基準を満たすようそのリード 化合物を最適化することである。薬物の探索のための一般的な1つのアプローチ には、疾患を引き起こすのに関与している巨大分子(疾患標的)を、潜在的薬物 候補の治療活性を試験するバイオアッセイにおいて提示することが含まれる。そ のような分子としては、受容体、酵素または転写因子が考えられる。 もう1つのアプローチは、その疾患の原因因子を表す全細胞または生物を提示 することが含まれる。そのような因子としては、細菌、腫瘍細胞系が挙げられる 。 伝統的には、潜在的薬物候補には2つの供給源(集積されている天然産物およ び合成化学物質)がある。リード化合物の同定は、可能な限り広範な構造型を含 むそのような集積体のランダムスクリーニングにより達成されている。合成コン ビナトリアル化学ライブラリーが最近開発されたことにより、スクリーニングに 利用しうる化合物の数および多様性はさらに増加するであろう。しかしながら、 あらゆる合成化学ライブラリーの多様性は、人間の想像および合成技術に限定さ れる。 土壌細菌、真菌、無脊椎動物、植物などの供給源からの天然産物のランダムス クリーニングの結果、多数の重要な薬物が探索された(Francoら,1991,Critica l Rev Biotechnol 11:193-276;Goodfellowら,1989,“Microbial Products:New Approaches”,Cambridge University Press,pp.343-383;Berdy 1974,Adv A ppl Microbiol 18:309-406;Suffnessら,1988,Biomedical Importance of Mari ne Organisms,D.G.Fautin,California Academy of Sciences,151-157頁)。 これらの天然産物の10,000以上は生物学的に活性であり、これらの少なくとも10 0が、抗生物質、農薬および抗癌剤として現在使用されている。薬物を探索する ためのこのアプローチが成功するか否かは、スクリーニングプログラムに加える 化合物の数に大きく左右される。典型的には、製薬会社は、無数の天然および合 成化合物を含有する化合物集積体をスクリーニングしている。しかしながら、既 に探索されている化合物に対する新規化合物の比率は、時と共に減少している。 例えば、抗癌剤のスクリーニングでは、生物学的に活性な微生物種のほとんどが 、既に特徴づけされている化合物を与えることがある。これは1つには、新規天 然産物サンプルを一貫して適切に見い出し、再生産し、供給するのが難しいこと による。生物学的多様性はその根底にある分子多様性により大きく左右されるた め、ランダムスクリーニング用に現在選択されている生物の生物学的多様性が不 十分であれば、新規化合物が単離される可能性は減少してしまう。 新規の生物活性が種々の天然供給源から一貫して見出されている。例えば、Cr aggら,1994(“Enthnobotany and the search for new drugsi”,Wiley,Chich ester,p.178-196)を参照のこと。これらの供給源のうち、新規薬物リードが系 統的かつ徹底的に探索されているものは少ない。例えば、可能な医学用途につい て徹底的に研究されているのは、わずか5000種の植物しかないと推定されている 。これは、ほとんどが熱帯地方で成長する推定総数250,000〜3,000,000種 のほんの一部である(Abelson 1990,Science 247:513)。さらに、何百万種と推 定される海洋微生物のうち、特徴づけされているのば少数しかない。それどころ か、莫大な生物多様性が、リード化合物の供給源として依然利用されていないの である。 歴史的には、土壌微生物、真菌、無脊椎動物および植物が天然産物の供給源と して利用されてきた。しかしながら、薬物スクリーニングおよび商業的生産のた めに開発されている放線菌などのいくつかのよく研究されている生物群を除き、 再現性および生産上の問題が依然として存在している。例えば、抗腫瘍薬である タキソールは、成熟した北米原産イチイの樹皮の構成成分であり、その臨床薬と しての供給により地域生態系が損なわれるとの懸念が生じている。タキソールは 、11個のキラル中心を含有し、2048個のジアステレオマーが考えられるため、そ のde novo合成は商業的規模では実現しそうにない(Phillipson,1994,Trans Ro yal Soc Trop Med Hyg 88 Supp 1:17-19)。 海洋無脊椎動物は新規化合物の有望な供給源であるが、薬物スクリーニングお よび大規模再供給を行う技術に大きな欠点がある。例えば、海洋無脊椎動物は再 採集が難しく、天然産物含量が季節的に変動するものが多い。 海洋微生物は新規化合物の有望な供給源であるが、海洋微生物を用いて薬物ス クリーニングおよび産業的発酵を行う技術に大きな欠点がある。例えば、海洋微 生物は、採集、樹立、および培養中の維持が難しく、特定の栄養要件を有するも のが多い。一般には、信頼しうる未汚染海水源が発酵に必須である。海洋細菌種 の少なくとも99%は、実験用培地上では生存できない。さらに、入手可能な市販 の発酵装置は、食塩水条件中または高圧下での使用に最適とはいえない。 さらに、特定の微生物相互間でおよび環境と相互作用した場合にのみ天然に生 じる化合物もあるらしい。病原体は、植物遺伝子発現を改変し、植物が攻撃に抵 抗するのを可能にするフィトアレキシンなどの化合物の合成を誘発させうる。例 えば、野生タバコ植物であるニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestr is)は、マンダカ・セクスタ(Manduca sexta)の幼虫から攻撃されている際、 そのアルカロイド合成を増強する。同様に、真菌がフィトアレキシンに反応しう るが、これは、解毒したりその蓄積を防ぐことによるものである。真菌をその植 物宿主と共に評価しない伝統的な高処理量スクリーニングでは、そのような代謝 産物は見逃されるであろう。生物に対する自然環境の影響の劇的な例は、ヤドク ガエルで認められる。野外標本では、その腺背部を横切るように吹矢の先端をこ することにより、ナトリウムチャンネルアゴニストアルカロイドであるバトラコ トキシンの致死量が採集できるが、陸生動物飼育器で飼育された第2世代のカエ ルからはバトラコトキシンを検出することができなかった(Daly,1995,Proc.N atl.Acad.Sci.92:9-13)。もし伝統的な薬物スクリーニング技術のみを利用す るのであれば、これらの潜在的に貴重な分子は決して探索されないかもしれない 。 さらに、ランダムスクリーニングにより探索されたリード化合物の効力、選択 性、生物学的利用能または安定性が適当でないことがあるため、その化合物が薬 になることは稀である。リード化合物を構造的に修飾してその最初の活性を改良 するには、典型的には、一定量のリード化合物が必要となる。しかしながら、天 然供給源(特に、植物)からのリード化合物の合成および開発のための現在の方 法は、比較的非効率的である。薬物開発の種々の段階に伴う重大な障害があり、 例えば、再採集、薬物産生生物の成長、複製解除(dereplication)、株改良、培 地改良、大規模生産などである。これらの問題は、新規化合物の臨床試験を遅ら せ、薬物リードのこれらの新規供給源を用いる経済性に影響を与える。 現在、天然産物の前記の海洋、植物および動物供給源は、十分に利用されてい ない。リード化合物の生成・スクリーニングに現在利用しうる方法が、これらの 未探索供給源に有効に適用されることはありえない。いくつかの土壌細菌および 真菌と異なり、これらの薬物産生生物は、産業的発酵技術に容易になじまない。 同時に、薬物の新規供給源を見出さねばという重圧が、新たな高効率かつ高処理 量のスクリーニング技術により増大する。したがって、これらの未利用の化合物 供給源の遺伝資源および化学的多様性を利用する方法が、薬物探索のために一般 に必要とされている。 2.2.発現ライブラリー つい最近になって、薬物探索プログラムは、作用機序に基づく探索スクリーニ ングに移行した。分子標的が同定されたら(例えば、その疾忠の調節に関与する ホルモン受容体)、その標的と分子レベルで相互作用する治療薬を同定および/ または合成するためのアッセイを設計する。 その標的分子を同定し、研究し、生成させるためには、遺伝子発現ライブラリ ーを用いる。発現クローニングは、タンパク質の物理的特性を知ることなく、単 一のタンパク質をコードする標的遺伝子を得るための通常の方法となっている。 ヒトおよび哺乳動物の組織から作製された遺伝子発現ライブラリーをスクリー ニングして同定された多くのタンパク質は、潜在的な疾患標的、例えば受容体(S imonsenら,1994,Trends Pharmacol Sci 15:437-441;Nakayamaら,1992,Curr Opin Biotechnol 3:497-505;Aruffo,1991,Curr Opin Biotechnol,2:735-741) 、およびシグナル伝達タンパク質(Margoliaら,US5,434,064)である。哺乳動 物細胞中での機能的発現クローニングにより同定されたタンパク質の具体例に関 しては、Seedら,1987,Proc Natl Acad Sci 84:3365-3369;Yamasakiら,1988, Science 241:825-828;およびLinら,1992,Cell 68:775-785(III型TGF-β受容 体)を参照のこと。 疾患標的が同定されている場合は、そのタンパク質標的またはそのタンパク質 標的を発現するよう操作された宿主細胞が、リード化合物をスクリーニングする ための生物学的アッセイにおいて使用されている(Luytenら,1993,Trends Biot echnol 11:247-54)。したがって、薬物探索の計画においては、遺伝子発現ライ ブラリーの使用は、主として、潜在的なタンパク質疾患標的の同定および生成に 限定されている。その薬物がタンパク質または小さなペプチド(例えば、抗体) である場合に限り、所望の生物活性を有する分子を生成させスクリーニングする ために発現ライブラリーが作製されている(Huseら,1991,Ciba Foundation Sym p 159:91-102)。 しかしながら、薬物探索に関連した遺伝子発現ライブラリーには、他の用途も ある。医薬的に活性な代謝産物および特殊な化学物質を与える生合成経路に関与 する遺伝子を同定するために、微生物の遺伝子ライブラリーが作製されている。 これらの経路には、複数のタンパク質(特に、酵素)が必要であり、単一のタン パク質を薬物標的として用いる場合よりも大きな複雑さを伴う。例えば、細菌ポ リケチドシンターゼ(PKS)の経路をコードする遺伝子が、その生物の遺伝子ラ イブラリーをスクリーニングすることにより同定された(Malpartidaら,1984,N ature 309:462;Donadioら,1991,Science 252:675-679)。PKSは、重要な治療化 合物クラスであるポリケチドの生合成の複数工程を触媒し、生成したポリケチド の構造的多様性を制御する。クローン化PKS遺伝子の指令された突然変異および 発現を可能にするストレプトミセスにおける宿主−ベクター系が開発されている (McDanielら,1993,Science 262:1546-1550;Kaoら,1994,Science 265:509-51 2)。この特異的宿主−ベクター系は、より効率的なポリケチドの製造法を開発し 、新規ポリケチドを合理的に開発するのに使用されている(Khoslaら,WO95/0854 8)。 もう1つの例は、大腸菌宿主中での発酵による、繊維染料であるインジゴの製 造である。外来性大腸菌宿主によるインジゴの製造を改良するために、多酵素生 合成経路をコードする遺伝子を含有する2つのオペロンが遺伝的に操作されてい る(Ensleyら,1983,Science 222:167-169;Murdockら,1993,Bio/Technology 1 1:381-386)。全般的には、代謝経路をコードする遺伝子の異種発現の通常の研究 には、指令されたクローニング、配列分析、設計された突然変異、および既に特 徴づけされている代謝経路に関与していることが知られているタンパク質をコー ドする特定の遺伝子の再配列が含まれる。 疾患メカニズムの理解および薬物標的の同定における著しい進歩を考慮すると 、リード化合物を迅速に同定し、それを臨床試験につなぐための革新的な戦略お よび方法の必要性がますます増大している。 3.発明の概要 本発明は、薬物探索の目的で分子多様性を生成させてスクリーニングするため の薬物探索システムを提供する。本発明の方法は、薬物リード化合物の既知のま たは有望な供給源である生物の遺伝物質をコンビナトリアル遺伝子発現ライブラ リー中に捕捉し保存する。 一つの態様において、本発明は、微生物、植物、動物を含めたドナー生物(特 に、自然界で実質的な量を回収できないもの、または実験室で培養できないもの ) の1以上の種からのコンビナトリアル天然経路遺伝子発現ライブラリーの構築を 包含する。プール中のドナー生物は、それらの既知の生物学的性質に基づいて選 択することができ、また、それらは自然界から採集された既知のおよび/または 未確認の生物種の混合物であってもよい。ドナー生物のゲノムのランダム断片( そのうちの幾つかは生化学的経路の全体またはその一部を含む)がクローニング され、宿主生物において発現される。 本発明によると、クローニングされたDNAの遺伝子産物のサブセットは、宿 主生物内で機能する能力がある。かくして、ドナー生物の自然界に存在する経路 を宿主生物内で再構築することができる。あるいは、異種宿主の異なる生理学的 および調節的環境でのドナー遺伝子の発現は、隠れていた代謝経路を暴き出すこ とができる。また、ドナー生物の代謝経路が宿主生物に内在する代謝経路と相互 に作用して、新規な化合物または通常では宿主生物によって産生されない化合物 を生成させることもできる。 さらに、限定されたサブセットのドナー生物遺伝子のみが同時に発現されるの で、このシステムにより、すでに特性付けられた宿主生物の生化学的/細胞的バ ックグラウンドから代謝経路および化合物を比較的容易に検出することが可能で ある。本質的に、これらドナー生物の遺伝子供給源は、別の薬物探索計画におい て反復して繰り返し使用することのできる遺伝子発現ライブラリー中に捕捉され かつ保存される。 もう一つの態様において、本発明は、1以上のドナー生物種由来の遺伝物質が ランダムに組み合わされ、クローニングされ、宿主生物において発現されるコン ビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリーの構築を包含する。このようなライ ブラリーは複数の経路および生物からの遺伝子のランダムな組合せを生じさせ、 以前には自然界に存在しない代謝経路および離散遺伝子セットを生み出す。「離 散遺伝子セット」(discrete gene set)なる用語は、コンビナトリアル遺伝子発 現ライブラリー中の1以上の経路または生物に由来する遺伝子のコンカテマー形 成により得られる2以上の遺伝子の任意の集合を意味する。複数の遺伝子産物が 宿主生物内で機能することができ、そこで、それらは相互に作用し合って新規な クラスの化合物を産生する新規なキメラ代謝経路を形成する。こうして、薬物ス クリーニングに利用しうる分子構造の多様性は、コンビナトリアル・キメラ遺伝 子発現ライブラリー中の現存の経路および生物由来の遺伝物質を混合することに より増大される。 さらに別の態様において、本発明は、勾配をつけた(biased)コンビナトリアル 発現ライブラリーであって、該ライブラリー中のドナー遺伝物質が前もって選択 され、ドナー生物の全体のゲノムを含まなくてもよいものである。本発明はまた 、移動可能なコンビナトリアル発現ライブラリーを提供し、これはクローン化さ れたドナーの遺伝物質を、宿主生物の1以上の種から宿主生物の少なくとも1つ の他の種に送達することができる。 遺伝子発現ライブラリーをスクリーニングする標準的な方法を使用することが できるが、望ましい経路および代謝産物を発現しているクローンを同定するよう に適応させたリポーターレジメ(reporter regimen)を組み込むように、そのライ ブラリーをさらに修飾することができる。特定の実施態様では、宿主生物を遺伝 子工学的に操作して、発現ライブラリーにおいて検出される希望のクラスの代謝 産物に応答する化学応答性プロモーターと機能的に結合させたリポータータンパ ク質をコードする遺伝子を導入する。 別の実施態様では、探索される経路において産生された化合物によりリポータ ー分子に直接的または間接的に変換されるリポーター分子の前駆体である生理的 プローブに宿主生物をさらしてもよい。リポーター発現の活性化、つまりリポー ター前駆体の変換は、希望のクローンの同定および単離を可能にするシグナルを 発生させる。 本発明のさらに別の実施態様では、アッセイを含むかまたはそれ自体が希望の 化合物の標的となるリポーターレジメまたは別の指示細胞型(例えば、抗感染薬 に対する病原体または抗腫瘍薬に対する癌細胞)を含有する半固形マトリックス 中に、ライブラリーの宿主生物を埋め込むことができる。コンビナトリアル遺伝 子発現ライブラリー中の希望の生物を同定し単離するためには、高処理量のスク リーニング法、例えば、巨大液滴(macrodroplet)ソーティング、蛍光活性化セル ソーティングまたば磁気活性化セルソーティングを用いることができる。 陽性クローンはさらに、新規な化合物の産生に関して分析される。新規化合 物の産生へと至らしめる代謝経路の遺伝学および生化学は、単離したクローンに 導入された遺伝物質を特徴付けることにより概ね解明することができる。 本発明はまた、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを構築するのに有用 な組換えDNAベクター、特定のコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー、特 定の型のリポーターシステムを含有する宿主生物、別の状況下では毒性を示す化 合物の産生をうながすように改変された宿主生物、並びに宿主生物、指示細胞お よび/またはリポーターレジメを含有する組成物に関する。 3.1.定義 本発明において用いる以下の用語は、示されている意昧を有する。 「コンビナトリアル天然経路発現ライブラリー」は、ドナー生物の複数の種に由 来する遺伝物質から調製された発現構築物のライブラリーであり、該遺伝物質中 に存在する遺伝子は、適当な宿主生物中での該遺伝子の発現を駆動する調節領域 と機能的に結合している。このコンビナトリアル発現ライブラリーは、ドナー生 物の機能性遺伝子産物を産生しうる宿主生物を利用する。各宿主生物の遺伝物質 は、ドナー生物の1つからの、天然に存在する生化学的経路またはその一部をコ ードする。 「コンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリー」は、ドナー生物の1以上 の種に由来するランダムにコンカテマー形成した遺伝物質から作製された発現構 築物のライブラリーであり、該遺伝物質中に存在する遺伝子は、適当な宿主生物 中で該遺伝子の発現を駆動する調節領域に機能的に結合している。用いる宿主生 物は、ドナー生物の機能性遺伝子産物を産生しうる。 「勾配をつけた(biased)コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー」は、特定 の性質に関して前もって選択されているドナー生物の1以上の種に由来する遺伝 物質から作製された発現構築物のライブラリーである。その前選択されている遺 伝物質を用いて、コンビナトリアル天然経路またはキメラライブラリーを作製す ることができる。 「移動可能なコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー」は、ドナー生物の1 以上の種に由来する遺伝物質から調製され、かつ、ドナー生物の1以上の種又 は株から宿主生物の少なくとも1の他の種又は株に送達することを可能にするシ ャトルベクター中にクローン化された、発現構築物のライブラリーである。シャ トルベクターは、コンビナトリアル天然経路又はキメラライブラリーを調製する ために使用することができる。 本発明で用いる「ライブラリー」なる語は、発現構築物または該発現構築物を 含有する宿主生物を意味する。 「生化学的経路」、「天然経路」および「代謝経路」なる語は、生物が行うい ずれかの一連の関連した生化学的反応を包含する。そのような経路には、生合成 または生分解経路、またはエネルギー生成または変換経路が含まれるが、これら に限定されるものではない。 「化合物」は、生化学的経路の産物または副産物である任意の分子であり、通 常、複数の遺伝子産物の相互作用の産物である。 「活性」は、関心のある化合物の産生につながるある生化学的反応または一連 の生化学的反応を行う宿主生物の能力である。 本発明で用いる以下の略語の使用を以下に示す。eq(当量);M(モル濃度);m M(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);N(規定);mol(モル);mmol(ミリ モル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);kg(キログラム);gm(グラム );mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);L(リットル);m L(ミリリットル);μl(マイクロリットル);vol(容量);s(秒);および℃(摂氏 度)。 さらに、以下の略語を用いる。Cfu:コロニー形成単位;LB:ルリアブロス;d dH2O:二回蒸留逆浸透精製水;海H2O:濾過された太平洋の海水;SSW:合成海水 ;FACS:蛍光活性化セルソーティング;GFP:クラゲ(Aequorea victoria)緑色 蛍光タンパク質;kbp:キロ塩基対;g:重力;rpm:毎分回転数;CIAP:ウシ腸 アルカリホスファターゼ;EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸;TE:10mMトリス /1.5mM EDTA(pH7.4);PEG:ポリエチレングリコール;イー・コリ(E.coli.): (大腸菌(Escherichia coli));CHO:チャイニーズハムスター卵巣;エス・セレ ビシエ(S.cerevisiae):サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisi ae);エイ・ニデュランス(A.nidulans):アスペル ギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans);エス・ポンベ(S.pombe):シゾ サッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);エス・リビダンス(S.l ividans):ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans);エス・ア ウレウス(S.aureus):スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureu s);エス・ケリコロール(S.coelicolor):ストレプトミセス・ケリコロール(St reptomyces coelicolor);ビー・サブチリス(B.subtilis):枯草菌(Bacillus s ubtilis);BAC:細菌人工染色体;YAC:酵母人工染色体;PCR:ポリメラーゼ連 鎖反応;CaMV:カリフラワーモザイクウイルス;AcNPV:オートグラファ・カリ フオルニカ(autographa californica)核多角体病ウイルス;EBV:エプスタイ ン・バーウイルス;SDS:ドデシル硫酸ナトリウム;CsCl:塩化セシウム。 4.図面の説明 図1:コンビナトリアル天然経路発現ライブラリー用の発現構築物。この発現 構築物は、ベクターDNAと、代謝経路をコードする遺伝子および自然界で結合 している調節領域を含むドナーDNAとを含有する。 図2:コンビナトリアル・キメラ発現ライブラリー用の発現構築物。この発現 構築物は、ベクターDNAと、ドナーDNAおよび調節領域をそれぞれ含む5つ のコンカテマー形成した遺伝子カセットとを含有する。 図3:コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーのクローニング戦略。クロ ーニングしうるDNA(B)をドナー生物(A)から抽出し、制限酵素で部分消 化して、天然に存在する生化学的経路またはその一部をコードするゲノムDNA (C)の断片を得る。DNAベクター(D)を制限酵素で消化して、適合しうる 末端を有するベクター(E)を得、これをゲノムDNAの断片にライゲートして 発現構築物(F)を得る。 図4A〜4C:遺伝子カセットの組み立て。図4Aは、粘着BamHI部位と、SmaI部位 の一部に相当する平滑末端とを含有するアニーリングしたリン酸化lacプロモー ター断片を示す。図4Bは、各末端上でlacプロモーターと隣接したBamHI部位を含 有するプロモーター二量体を示す。図4Cは、コンカテマー形成 したプロモーター断片を示す。 図5A〜5F:コンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリーのクローニング戦 略。図5Aは、cDNAおよびゲノムDNA挿入断片の指向性クローニング(direc tional clonlng)のためのプロモーターおよびターミネーター断片を作製する工 程を示す。図5Bは、ゲノムDNA挿入断片に連結するためのプロモーターおよび ターミネーター断片を調製する工程を示す。図5Cは、指向性クローニングのため のcDNA挿入断片の作製、遺伝子カセットの組み立ておよび固相支持体への結 合の工程を示す。図5Dは、クローニングのためのゲノムDNA挿入断片の作製、 遺伝子カセットの組み立ておよび固相支持体への結合の工程を示す。図5Eおよび 5Fは、遺伝子カセットの連続的な連結および脱保護によるコンカテマー形成、S .pombe/大腸菌シャトルベクター(pDblet)への該コンカテマーの連結、固相 支持体からの該発現構築物の遊離、および該発現構築物の環化を示す。 図6A〜6B:コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製に有用なベクター 。図6Aは、ストレプトコス(Streptocos)の地図を示す。コスミドベクターである ストレプトコスは、複数クローニング部位中のT3およびT7プロモーターに隣接し たユニークBamHI部位、pIJ699からの複製起点およびチオストレプトン耐性遺伝 子、ColE1起点(ori)、アンピシリン遺伝子(Amp)および2つのcos部位を含有す る。図6Bは、修飾されたpDbletの地図を示す。プラスミドpDletは、複数クロー ニング部位(MCS)において修飾されており、ColE1複製起点、アンピシリン遺伝 子(ApR)、2コピーの自律複製配列(ARS)、ura4マーカーおよびβ−ガラクトシダ ーゼ遺伝子(LacZ)を含有する(A:AatII;B:BamHI;N:Ndel)。図6Cは、改変された BstXI配列およびNcoI部位を含有するオリゴマーを示す。これを、SacI/NotIで 切断したpDbletに過度に連結し、修飾pDbletを得た。 図7は、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするリポーター遺伝子、化学反 応性プロモーター(Pm)およびその関連調節遺伝子(Xyls)を含む化学反応性構 築物pERD-20-GFPを示す。 図8は、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーからのクローンが封入さ れている浸透性マトリックスと、リポーターレジメを含有する指示細胞とを含む 巨大液滴を示す。 図9Aおよび9Bは、海洋細菌遺伝子を含む発現構築物の存在下または不存在下で の大腸菌細胞のプールのFACSソーティングの一例を示す。化学応答性構築物pERD -20-GFPを含有する大腸菌XLI-MR株(XLI-GFPと称する)に、海洋細菌遺伝子のコ スミドライブラリーを感染させた。該海洋細菌遺伝子の存在下または不存在下で 、XLI-GFP細胞を30℃で12時間培養し、2サイクルのFACSソーティングに付した 。図9A:海洋細菌遺伝子の存在下でのXLI-GFP;図9B:対照XLI-GFP細胞。 図10は、ストレプトミセス・ケリコロールのアクチノロジンデヒドラーゼ(ac tinorhodin dehydrase)のアミノ酸配列と、CXC-AMN20に由来する推定上の部分 アミノ酸配列とのアライメントを示す。細線のボックスは配列同一性を示し、太 線のボックスは保存配列の相同性を示す。 図11:海洋細菌のゲノムDNAプール中のクローンCXC-AMN20配列のPCR検出。 この図は、海洋細菌ゲノムDNAに由来するPCRアンプリコンを含有する染色さ れたアガロースゲルを示す。M:分子量マーカー(サイズはbp単位)。−:陰性対 照。+:該アンプリコンおよびリボソームRNAに関する陽性対照。レーンは、 T:海洋細菌の全37種からのゲノムDNA;1、2、3、4:海洋細菌のゲノム DNAのプール、に由来するアンプリコンを含有する。 図12A〜C:海洋細菌種のゲノムDNA中のクローンCXC-AMN20配列のPCR検出 。この図は、海洋細菌の個々の種のゲノムDNAに由来するPCRアンプリコンを 含有する染色されたアガロースゲルを示す。M:分子量マーカー(サイズはbp単 位)。−:陰性対照。+:該アンプリコンおよびリボソームRNAに関する陽性 対照。レーンは、種番号1〜10、12〜20および21〜35(それぞれプール1、2お よび3)の海洋細菌のゲノムDNAに由来するアンプリコンを含有する。 図13:pPCos+ura.図は、9.6kbのS.pombe/大腸菌コスミドベクターpPCos+ura のキー要素を示す:マルチクローニング部位(MCS)、酵母選択マーカー(ura4)、 λファージ中にパッケージングするためのcos部位(cos)、SV40複 製起点(SV40 ori)、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)、ColE1複製起点(ColE1 ori) 、アンピシリン耐性遺伝子(AmpR)及びS.pombe自律複製配列(ARS)。 図14:pPCos1.図は、9.8kbのS.pombe/大腸菌コスミドベクターpPCos1のキー 要素を示す:マルチクローニング部位(MCS)、酵母選択マーカー(ura4)、λファ ージ中にパッケージングするためのcos部位(cos)、SV40複製起点(SV40 ori)、Co lE1複製起点(ColE1 ori)、アンピシリン耐性遺伝子(AmpR)及びS.pombe自律複製 配列(ARS)。 5.発明の詳細な説明 本発明は、天然の遺伝資源の多様性を捕捉し保存するため、および該捕捉遺伝 資源を化学構造の多様性に翻訳・拡張するための方法および組成物を提供する薬 物探索システムに関する。本発明はまた、所望の活性および化合物に関するスク リーニングを容易にする。 さらに詳細には、本発明は、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを構築 しスクリーニングするための方法を提供する。これらのライブラリーは、場合に よっては発現宿主中で互いに相互作用することを可能にし、場合によっては新規 生化学的経路の形成および/または新規化合物クラスの産生につながる複数の種 の遺伝子産物のランダムな組合せを含む。さらに、本発明のライブラリーによれ ば、これがなければ入手不可能な分子多様性の供給源を、有効に得ることができ る。本発明のいくつかのライブラリーは、宿主生物の1の種から宿主生物の別の 種又は株に送達することができる。 この新規生化学的経路は、物質の構造的修飾、この物質への化学基の付加、ま たはこの物質の分解など(これらに限定されるものではない)の過程を行いうる 。 この新規化合物クラスとしてば、代謝産物、二次代謝産物、酵素、生物の構造 成分などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。関心のある化合物 は、抗生物、抗ウイルス、抗腫瘍、薬理学的または免疫調節特性などの1以上の 潜在的な治療特性を有するものであり、染料などの他の商業的に価値のある化学 物質であることもある。化合物は、受容体のクラスまたは特定の受容体に対す るアゴニストまたはアンタゴニストとして作用しうる。 本発明で用いる「コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー」なる語は、コン ビナトリアル天然経路発現ライブラリー、コンビナトリアル・キメラ経路発現ラ イブラリー、および発現構築物のライブラリーを含有する宿主生物を包含する。 「コンビナトリアル天然経路発現ライブラリー」は、ドナー生物の1以上の種 に由来する遺伝物質から作製された発現構築物のライブラリーであり、その遺伝 物質中に存在する遺伝子は、適当な宿主生物中での該遺伝子の発現を駆動する調 節領域と機能的に結合している。該コンビナトリアル発現ライブラリーは、ドナ ー生物の機能性遺伝子産物を産生しうる宿主生物を利用する。各宿主生物の遺伝 物質は、ドナー生物の1つからの、天然に存在する生化学的経路またはその一部 をコードする。 「コンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリー」は、ドナー生物の複数の 種に由来するランダムにコンカテマー形成した遺伝物質から作製された発現構築 物のライブラリーであり、該遺伝物質中に存在する遺伝子は、適当な宿主生物中 での該遺伝子の発現を駆動する調節領域に機能的に結合している。用いる宿主生 物は、ドナー生物の機能性遺伝子産物を産生しうる。宿主生物中での発現に際し て、ドナー生物の遺伝子産物(単数または複数)が相互作用して新規キメラ生化 学的経路を形成することもある。 一般には、本発明の方法は、1以上のドナー生物に由来する遺伝物質を準備し 、該遺伝物質を操作し、そしてクローニングまたは発現ベクターにより該遺伝物 質を宿主生物中に導入して、該ドナー生物の1以上の遺伝子を該宿主生物中でク ローニング及び発現させることを含む。ライブラリーを形成するために、ドナー 遺伝物質を含有するそのような宿主生物をプールする。いくつかのライブラリー について、遺伝物質を宿主生物の1の種から宿主生物の別の種又は株に輸送する ことができ、ここで遺伝物質は安定に維持され、かつ発現することができる。開 始物質、宿主生物及びベクターの選択に応じて、当該分野で知られている任意の 組換えDNA技術を、第5.3節、5.4節、5.5節に記載の技術及びプロトコール、 並びに実施例6及び7において使用された技術及びプロトコールを組み合わせて 、そして任意の順序で使用することができる。 クローニングされた遺伝物質は、典型的には、発現が1以上の機能的調節領域 により駆動され制御される遺伝子のランダムな組合せを含む。その発現構築物ま たはベクターが、これらの調節領域のいくつかを与えることもある。ドナー生物 の遺伝子が宿主生物中で、転写、翻訳およびプロセシングされて、機能性タンパ ク質が産生され、今度はこれが、関心のある代謝産物を産生する。 本発明によれば、天然に存在する完全な生化学的経路またはその実質的な部分 を含む遺伝子発現ライブラリーが、関心のある化合物または活性を与えるドナー 多酵素系の探索を著しく促進しうる。特定の生化学的経路に関与する遺伝子は、 簡単に単離でき、単一の発現構築物またはクローン中で特徴づけすることができ る。そのような発現構築物の典型的な配置を図1に示す。 所望の活性または化合物が同定されたら、この簡便な特性のおかげで、株改良 、プロセス開発などの、後続の薬物開発の作業が著しく容易になりうる。陽性ク ローンを標準的な条件下で培養して、さらなる研究または用途のための十分な量 の所望の化合物を得ることができる。生化学的経路の遺伝子は、配列決定、突然 変異、発現、およびスクリーニングのさらなるラウンドのために、即座に入手で きる。このクローニングされた生化学的経路は、所望の化合物の過剰生産のため の伝統的な操作および/または遺伝子操作に容易になじむ。 さらに、本発明を用いなければ不活性であるかまたは検出できないドナー生物 中の生化学的経路を、宿主生物中での機能的再構築により、より容易に見い出し うる。宿主生物の生化学的特徴はよく知られているため、ドナー遺伝物質の発現 から生じる多くの差異を容易に認めることができる。ドナー遺伝物質を含有する 宿主生物の抽出物を、一定の環境条件下で、対照宿主生物により産生されること が知られている化合物のプロフィールと比較することにより、新規化合物を検出 してもよい。宿主の生化学的な細胞バックグラウンドが十分に特徴づけされてい る場合には、非常に低レベルの所望の活性または化合物でさえも検出しうる。後 の節で説明するとおり、本発明は、所望の活性または化合物クラスを与えるクロ ーンを検出し単離するための方法を提供する。 好ましい態様においては、該方法は、天然で十分な量を回収できず実験室で培 養もできないドナー生物に適用できる。そのような生物からの遺伝物質を宿主 生物中にクローニングすることにより、その生物の代謝経路を再現でき、その産 物のいずれかの所望の特性を効率的に試験することができる。このようにして、 これらの生物の遺伝的多様性が、捕捉され保存される。 本発明のもう1つの実施態様では、1つまたは複数のドナー生物からの遺伝物 質を、宿主生物中に導入する前に、ランダムにコンカテマー形成させるコンビナ トリアル・キメラ経路遺伝子発現ライブラリーを構築することができる。したが って、該ライブラリー中の各宿主生物が個々に、種々のドナー経路または生物に 由来する遺伝子の独特でランダムな組合せを含有する。図2は、コンビナトリア ル・キメラ経路遺伝子発現ライブラリーの発現構築物における、遺伝子および調 節領域の整列を示す。ほとんどの場合、該ライブラリー中の遺伝子のそのような 組合せは、天然では生じない。発現に際して、種々のドナー経路または生物の機 能性遺伝子産物が個々の宿主生物中で互いに相互作用して、生化学的反応の組み 合わせが生じ、これは、新規キメラ代謝経路および/または新規化合物の産生に つながる。一言で言うと、該ライブラリー中のドナー生物の遺伝資源は、個々の ドナー生物中では見い出されない多様な化学物質に翻訳されるのである。 本発明のもう1つの態様では、ドナー生物種は、その生化学的特徴、または宿 主生物を補足する望ましいが特徴づけされていない生化学的反応を行う能力に基 づいて、選択してもよい。そのような望ましい特徴としては、ある栄養素を利用 する能力、極端な条件下で生存する能力、化学構造を誘導する能力、ある型の化 学結合を分解する能力またはその形成を触媒する能力などが挙げられるが、これ らに限定されるものではない。宿主生物の遺伝子を該宿主生物中で発現させる場 合、ドナー遺伝子産物が、宿主代謝経路を構成する宿主遺伝子産物の機能を修飾 および/または置換することがあり、それにより、新規のハイブリッド経路を得 ることができる。新規の活性および/または化合物は、ドナーおよび宿主に由来 する成分を含むハイブリッド経路により得てもよい。ドナー遺伝子産物により修 飾された標的代謝経路は、宿主生物に固有のものであってもよい。あるいは、内 因性であるか、または該遺伝子発現ライブラリーの構築の前またはそれと同時に 各宿主生物中へ遺伝的に操作された異種遺伝子の産物により、標的代謝経路を得 てもよい。したがって、本発明はまた、ドナー生物の代謝経路をコードするD NA断片をクローニングし、そして標的代謝経路を含有する宿主生物中で同時発 現させる、遺伝子発現ライブラリーの構築およびスクリーニングを包含する。 本発明のもう1つの実施態様では、、関心のある化合物を培地中に分泌する活 性薬物エフラックス系の補足体(complement)が宿主生物において増強されてお り、それにより該宿主生物に対する該化合物の毒性が減少していてもよい。宿主 生物の培養中に中性樹脂などの吸収性物質を使用することにより、該宿主生物に より産生および分泌された代謝産物を隔離して、該代謝産物の回収を容易にして もよい。 コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーのスクリーニング方法をより効率的 にするために、本発明はさらに、関心のある活性または化合物を有する該ライブ ラリー中の宿主生物を検出する方法を提供する。本発明の1つの実施態様では、 宿主生物は、リポーター分子のde novo合成を活性化することにより、所望の化 合物または活性の存在などの導入変化の存在に反応するリポーター系を含有する 。もう1つの実施態様では、宿主生物は、所望の化合物または活性の存在により リポーターに変換されるリポーター分子前駆体または生理学的プローブを含有す る。陽性クローン中のリポーター分子は、発現ライブラリー中の陽性クローンを 検出し、それを残りの非生産的クローンから単離するのを可能にするシグナルを 発生する。 多くの点で、この薬物探索システムは、臨床試験に至る薬物開発の種々の段階 に、有意な簡便さおよび時間的利点を与える。本発明のライブラリーは、高処理 量スクリーニングのための、確立されているマルチウェルフットプリントフォー マットおよびロボティックス(robotics)に適合しうる。本発明の宿主生物は、遺 伝子操作および/またはプロセスの開発に一般に用いられる生物である。本発明 は、宿主生物または生産宿主が、それらの生物的特性および維持要件の点でよく 特徴づけされているという事実を利用している。ドナー生物からの遺伝物質を他 のより一般的な発現系にクローニングすることにより、該ドナー生物の困難な培 養条件に対する要件が緩和される。したがって、本発明の系で探索されたいずれ かのリード化合物の生物活性、薬物動態学的特性および毒性特性をより効率的に 研究し、最適化しうる。 陽性クローンにおいて生じた新規代謝経路は、分子生物学の標準的な技術によ り説明することができる。標準的または経験的に決定される培養条件下で薬物産 生宿主生物のクローンを培養することにより、リード化合物を合成して、さらに 分析し開発するために十分な量のリード化合物を単離してもよい。これらの標準 的な産業用宿主生物のいくつかについて制定されている「医薬品の製造管理およ び品質に関する基準」(GMP)などの高純度の製造プロトコールが既に存在する。 天然産物源をスクリーニングする通常の方法と異なり、スクリーニングおよび生 産技術を各潜在的薬物産生生物の特定の要件に適応させるのに、それほどの労力 は要求されない。 さらに、スクリーニングアッセイにおいて一旦陽性クローンが同定されると、 代謝経路をコードするクローン中の配列又はそれらの部分を単離することができ 、ハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。同じドナー生 物の他の遺伝子ライブラリー若しくはコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー 、又は関連する生物をそのようなプローブでスクリーニングして、天然経路中の 関連遺伝子、又は同一のオペロン若しくはコンビナトリアル遺伝子発現構築物中 の他の遺伝子を単離することができる。そのような配列はまた、遺伝子発現ライ ブラリーを作るために、宿主生物中に再度導入し、共発現することができる。ス クリーニング及び発現のプロセスを繰り返して、コンビナトリアル遺伝子発現ラ イブラリーにおける遺伝的及び化学的多様性をさらに増加することができる。 本発明はまた、特定の組のドナー生物および/または細胞型の遺伝物質から本 発明の方法により作製された特異的コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを 提供する。該コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの製造が可能となるため には、ある組(特に混合サンプル)のすべての生物または細胞型が、個々に同定 または特徴づけされている必要はない。 本発明はさらに、アーキバル(archival)又は移動可能なコンビナトリアル遺伝 子発現ライブラリーを提供する。ここで、ドナー生物の遺伝物質は、宿主生物の 1の種から宿主生物の別の種又は株に送達することができる。これらのライブラ リーは、ドナー生物の遺伝物質が特有であり、まれであり、若しくは調製するこ とが困難であるときに、又は宿主生物の多くの異なる種又は株においてドナーの 遺伝物質の発現を得ることが望まれているときに、特に有用である。クローニン グベクターが適当な複製起点及び選択機構、及び/又は送達起点を含むところで は、ライブラリー中の遺伝物質を送達でき、そして宿主生物の他の種又は株にお いて安定に維持され発現することができる。送達は、例えば発現構築物の単離、 及びトランスフォーメーション、トランスフェクション、感染又はエレクトロポ レーションなどの任意の手段(これらに限定されるものではない)による該構築 物の別の宿主生物への導入により、果たすことができる。あるいは、送達は適当 な宿主生物間の細菌接合により果たすことができる。 本発明のコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーはいずれも、増幅し、複製 し、保存することができる。増幅は、ドナーDNAを含有する最初の宿主生物を 培養して、該宿主生物の複数のクローンを得ることを意味する。複製は、該ライ ブラリー中の個々のクローンを拾い、増殖させることを意味する。本発明のコン ビナトリアル遺伝子発現ライブラリーは、該宿主生物に適した当該分野で公知の いずれかの技術により、保存し、回収しうる。したがって、本発明のライブラリ ーは、薬物探索プログラムにおいて反復して入手しうるドナー生物の遺伝資源を 捕捉し、保存するための効果的な手段である。 5.1.コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製 5.1.1.ドナー生物 本発明のコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを作製するためには、どの ような生物がドナー生物であってもよい。ドナー生物は、私的または公的な実験 室培養、American Type Culture Collection、Mycological Instituteなどの培 養寄託機関から、あるいは培養可能または不可能な環境サンプルから入手しても よい。 ドナー生物は、土壌細菌、真菌、植物などの薬物リード化合物の伝統的な供給 源であってもよい。ドナー生物は、薬物の生成および/または産生に有用である トランスジェニックな、遺伝的に操作されたまたは遺伝的に選択された株であっ てもよい。 ドナー生物は、現在の最新の微生物学的技術により培養可能であってもよい し、そうでなくてもよい。例えば、該ライブラリーの作製に用いる遺伝物質は、 環境サンプルから直接入手することができる。天然で見い出される微生物のごく わずか(1%)しか実験室で培養できないため、本発明の大きな利点は、本発明 で用いるドナー生物が培養可能でなくてもよいことである(Torsvikら,1990,Ap pl Env Micro,56:782-787)。 本発明は、ドナーとしての微生物の用途に限定されない。植物は非常に広範な 化合物を産生し、そのいくつかは(例えばフィトアレキシン)、動物および微生物 の両方に対する劇的な活性を有する(Abelson 1990,Science 247:513)。これら の化合物のいくつかは、傷害により、あるいは植物病原体の細胞壁に由来する誘 導因子により誘導されうる(Cramerら,1985,EMBO J.4:285-289;Cramerら,198 5,Science 227:1240-1243;Dronら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:673 8-6742)。タキソール、カンプトテシンおよびアルテミシニンのような生物学的 に活性な化合物は、それぞれ抗腫瘍薬および抗マラリア薬として臨床開発中であ る植物由来天然産物の具体例である。どのような植物(特に、潜在的な医薬特性 を有する植物)も、望ましいドナー生物でありうる(Phillipson,1994,Trans R Soc Trop Med Hyg,88 Suppl 1:S17-9;Chadwickら編,1994,“Ethnobotany an d the search for new drugs”,Wiley,Chichester,Ciba Foundation Symp 18 5)。 潜在的に有用な抗微生物的または薬理学的特性を有する天然産物のもう1つの 供給源は、無脊椎動物および脊椎動物である。これらの化合物のいくつかは、競 争者、病原体および捕食者に対する化学防御剤として作用する。そのような化合 物は、被食者を殺すのに用いられることもあるし、あるいは、コミュニケーショ ンの一形態として用いられることもある(Caporale 1995,Proc Natl Acad Sci 9 2:75-82)。多くのクラスでは、共生しうる関連微生物により二次代謝産物が産生 されると考えられている(Faulknerら,1993,Gazzetta Chimica Italiana,123: 301-307;Bewleyら,1995,“An Overview of Symbiosis in Marine Natural Pro ducts Chemistry Symposium”(in hornr of Professor Antonio Gonzalez,La L aguna University,Canary Islands)1995年9月16日,p26(抄録))。 天然において他の生物の生化学的経路を操作することが知られている生物は、 特に関心のある供給源である。例えば、ソテツ(Cycas)などの植物は、ある昆 虫の成長を妨げるエクジソン擬似体を産生しうる。そのような生物は、それらが 競争者、共生生物、捕食者および被食者あるいは宿主および寄生体として存在す る同じ生態的地位で生存しうる。したがって、天然において他者と化学的に相互 作用する生物に由来する遺伝物質を使用するのが有利かもしれない。 天然産物のさらにもう1つの豊富な供給源は、海洋生物である。例えば、海洋 微生物は新規分子構造を提供し、そのうちの多くが生物学的に活性である。例え ば、これまで土壌細菌では見い出されていない分子構造を有する潜在的な抗癌剤 であるオクタラクチンA(Tapiolasら,1991,J Amer Chem Soc,113:4682-83)、 強力な抗炎症特性を有するサリナミド(Trischmanら,1994,J AmerChem Soc,1 16:757-758)が挙げられる。海洋微生物由来のある化合物は、海水からの臭素を 含有し、この導入ハロゲンの化学反応性のため、該化合物は該臭素により非常に 活性になる。例えば、グラム陽性細菌に対して選択的な抗生物質活性を有する混 合ポリケチドおよびメバロン酸生合成経路の産物であるマリノン(Pathiranaら ,1992,Tetrahedron Lett 33:7663-7666)が挙げられる。極地から熱帯地方ま での一定範囲の生息場所で、種々の塩分、温度および圧力により生存している海 洋種には、莫大な多様性がある。これらの生息場所の独特の性質は、これらの生 物の異なる遺伝的および生化学的特徴に反映されており、多数の有用な薬物リー ド化合物を与えうる。例えば、Fenicalら,1992,“Marine Microorganisms;a n ew biological resource”,Adv in Marine Biotechol,Vol.II,Plenum Pres s,New Yorkを参照されたし。 環境サンプルは、天然のまたは人工的な環境から入手してもよく、原核および 真核生物およびウイルスの混合物を含有していてもよく、これらのいくつかは未 同定であってもよい。サンプルは、ランダムに採集してもよいし、あるいは、生 態学的に重要視されている場所(例えば、産業廃液の近く)から採集してもよい 。ドナー生物の供給源として、土壌、淡水または海水濾液、温泉周辺の堆積物、 熱口、および海洋または河口沈殿物を用いてもよい。サンプルは、水底、遠洋お よび潮間海洋供給源から採集してもよい。サンプルは、熱帯、亜熱帯、温帯、そ の他の地域から採集してもよい。ドナー生物は、高温性、好塩性、好酸性、好圧 性またはメタン産生性であってもよい。 熱帯雨林に棲息する植物および微生物等の、絶滅の可能性に直面している生物 を用いることも好ましい。そのような生物が滅ぼされつつあるかぎり、有用な医 薬品を産生するかもしれない種が無くなっていくのである。 藻類、地衣類、真菌類、植物および動物を含めて、病気を直す特性を可能性と して有する生物を、伝統的な又は民族的な医療実践におけるそれら生物の使用に 基づいて集めることも可能である。 多くの側面において、伝統的な薬物発見または開発技術に一般的に受け入れら れないドナー生物由来の遺伝子物質を用いて、ライブラリーを構築することが望 ましい。このようなドナー生物は、下記の特徴を1つ以上有していてよい。すな わち、(i)実験室で増殖または培養することができない;(ii)さらなる実験に十分 な量を自然から回収することができない;および/または(iii)所望の化合物を産 生するために、未知の又は商業的に妥当でない特別な条件を必要とする、である 。最後の特徴は、不適切な培養条件のため従来のスクリーニング法では薬物の手 掛かり(drug lead)が全く検出されなかったような、現存の培養コレクション中 の生物をも指している。 発現ライブラリーの構築のためには、ドナー生物を分類学的に定義する必要も 、または生化学的に特徴づける必要もない。サンプルの複雑性および薬物発見プ ログラム上の必要(例えば、ドナー生物の脱複製(dereplication)の必要等)に 応じて、環境サンプル由来の培養可能な種または種の代表的なグループの同定ま たは遺伝子フットプリンティング(footprinting)を実施してもよい。 核酸の抽出に先立って、ドナー生物を実験室または現場(field)で濃縮または 培養することができる。cDNAを調製するためには、ドナー生物中の関心のあ る活性をコードする遺伝子産物の転写を誘導または増強するため、特定の増殖条 件または培養物中の特定の化学薬品の存在が必要とされる場合がある。ゲノムD NAのみが必要な場合は、ドナー生物を培養するのに標準的増殖条件を用いるこ とができる。 ある環境サンプル中の全ドナー生物が同じ速度で増殖することはありそうもな いことなので(実験室の条件下ではありうるとしても)、ドナー生物のいくつかは 過増殖し、ゆっくり増殖する生物の喪失または希釈をもたらしうる。したがって 、実験室で前もって培養することなく、環境サンプル中のドナー生物から直接核 酸を調製することが好ましいであろう。これは、海綿動物等の無脊椎動物の二次 代謝物の評価を試みる場合、特に有用である。この場合、その代謝物は関連する 共生性でかつ培養不可能な微生物によって産生されるとしばしば考えられている 。環境サンプル中のドナー生物から高品質の核酸を調製する方法を以下の第5.1. 2節に記述する。 本発明によって意図されるドナー生物としては、細菌、単細胞真核生物(酵母 、原生生物、等)、藻類、真菌、植物、尾索類、苔虫類、蠕形動物、棘皮動物、 昆虫、軟体動物、魚類、両性類、爬虫類、鳥類、および哺乳動物が挙げられるが 、これらだけに限定されない。ドナー生物の非限定的例を表IおよびIIに示す。 5.1.2. ドナー生物からの高品質の核酸の調製 核酸は、ドナー生物から、該ドナー生物の種類およびサンプルの供給源に応じ て種々の方法によって単離することができる。ドナー生物の遺伝子情報を完全に 表す遺伝子発現ライブラリーを構築するためには、ニック、一本鎖ギャップ、お よび部分変性のない、そして(特にゲノムDNAクローニングの場合は)高分子 量である、高品質の核酸を得ることが重要である。高品質の核酸を調製するため 、本発明の方法はサンプル中のドナー生物の穏やかな、迅速な、そして完全な溶 解、ならびに該生物由来のヌクレアーゼおよび他の分解性タンパク質の迅速かつ 完全な不活性化を提供する。最初の抽出を現場で実施して、さらなる単離工程を 実験室で行なえるようになるまで、サンプル中の核酸を安定化させることができ る。 いずれの核酸単離法もドナー生物の効率的破壊を必要とする。液体窒素中での 凍結、ガラスまたは他の破壊的作用物質の存在下での粉砕、および単純な機械的 剪断または酵素的消化等の多数の標準的技法が使用できる。 土壌等の混合物質、またはセルロースあるいはキチン等の堅い物質を多量に含 むサンプル(例えば糸状菌および植物)に対しては、サンプルを脆くして破壊さ れやすくするために凍結乾燥を採用することができる。このような凍結乾燥させ た物質は、酵素性物質および高分子量物質(核酸等)の両方を長期間保存する(G urney 1984,Methods in Molecular Biology,第2巻,p.35-42,John M.Walker 編)。液体窒素中でサンプルをフラッシュ凍結させることができる。土壌のよう にゆるい(loose)サンプルは、細かいゲージまたはナイロンメッシュを用いて凍 結させることができる。凍結乾燥は、凍結サンプルを用いて真空下で24〜72時間 にわたって行なうことができる。凍結乾燥したサンプルは、粉末状態で真空下で -70℃で保存することができる。環境サンプルの調製のため、微生物 集団の濃縮等の付加的工程が必要とされる場合がある(Jacobsonら,1982,Appl Env Microbiol,58:2458-2462;Zhouら,1996,Appl Env Microbiol,62:316-322 ;Somervilleら,1989,Appl Env Microbiol,55:548-554)。 本発明の1つの主要な方法は(使用される唯一の方法ではないが)、Chirgwinら (1979,Biochem 24:5294)、Sadlerら(1992,Curr Genet,21:409-416)およびFos ter(1991,博士論文,University of California,Santa Barbara)を改変したも のである。この方法は、強いカオトロピック(caotropic)作用物質であるグアニ ジニウムイソチオシアネートを2-メルカプトエタノールと共に使用してタンパク 質を変性し、ヌクレアーゼを不活性化し、次いで塩化セシウム勾配遠心により核 酸物質の精製を行なう。本明細書において提供する方法は、DNAおよびRNA の両方を抽出するという点でChirgwinの方法と異なっている。本発明の方法には 、高速遠心工程、および場合によりビスベンズイミド染料の添加もまた包含され る。用いるドナー生物に応じて、付加的工程は多糖類を選択的に除去するための ヘキサデシルピリジニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミ ド(CTAB)を用いた処理、フェノール性物質を除去するためのポリビニルピロリド ンを用いた処理、ならびにデンプンおよび他の炭水化物を除去するためのセルロ ースクロマトグラフィーを含みうるが、これらだけに限定されない(Murrayおよ びThompson,1980,Nuc Acid Res 8:4321-25)。 ドナー生物から単離したRNAを、逆転写酵素を用いて相補的DNA(cDN A)に変換することができる。 損傷した核酸はクローン化が困難で、ドナー生物DNAの損失をもたらし、ラ イブラリーにおけるクローンの数は少なくなる。これらの問題は、もし宿主生物 が組換えを許容し、かつ有効な内因性DNA修復機構を欠く場合には、さらに悪 化しうる。本発明は、相補的DNAの第2鎖合成の際に一般的に採用されている 酵素反応を用いて、損傷したDNAがクローン化に先立ってin vitroで修復され 得ることをも提供する(Sambrookら,1989,"Molecular Cloning"第2版,第8節 )。例えば、DNAギャップおよびニックは、DNAポリメラーゼのクレノウ断 片および大腸菌DNAリガーゼによって修復され得る。このような酵素反応は当 業者には周知である。 環境サンプルから抽出したDNAからコンビナトリアル発現ライブラリーを作 製する場合には、利用可能なDNAの量ばしばしば制限され、またライゲーショ ン戦略の選択において考慮すべき事柄である。抽出または濃縮後にDNAの量が 少ない(<100μg)場合は、第5.1.3節に記述するように、DNAを高効率クロー ニング系(例えば、SuperCos)にライゲートしてもよい。クローン中の挿入断片 を増幅し、制限酵素消化によってベクターから放出させる。原核および真核ドナ ー生物の両方を含みうる環境DNAサンプルの性質により、複数の宿主生物を使 用するのが望ましいかもしれない。もとの環境DNAサンプルが十分な量だけ入 手できない場合、またはDNAが増幅されている場合は、所望の一群の発現宿主 細胞にとって適切な一群のベクターのそれぞれとDNAとをライゲートすること ができる。好ましくは、ベクターは2個以上の発現宿主の間をシャトルする能力 を有する。 5.1.3.発現宿主およびベクター 本明細書に用いる「宿主生物」という用語は、細菌等の単細胞生物ならびに植 物および動物等の多細胞動物を広く包含する。in vitroで培養された、または遺 伝子工学的に作製された細胞を含むいずれの細胞型も使用できる。本発明におい ては当分野で公知のあらゆる宿主−ベクター系が使用できる。2個以上の宿主生 物中で複製され、維持されうるシャトルベクターの使用が有利である。 宿主生物または宿主細胞は、私的な実験室の寄託物、American Type Culture Collection等の公的な培養物コレクション、または商業的供給者から得ることが できる。そのような宿主生物または細胞を、特定の用途のために、当分野で公知 の技法によりさらに改変することができる。 本発明によれば、宿主生物または宿主細胞は、異種遺伝子の発現にすでに使用 されており、かつ生化学的、生理学的および/または遺伝子的にかなり十分に特 徴づけられていることが好ましい。そのような宿主生物は伝統的遺伝的な細胞株 の改善法、育種法、発酵法、および/または組換えDNA技法と共に使用されて きたかもしれない。大量産生法のために開発された宿主生物であって、増殖条件 および二次代謝物産生条件が分かっているものを使用することが望ましい。 宿主生物は、温度、インキュベーション時間、光学密度、および発現宿主の栄 養的および生理的要求に対応した培地組成の標準的条件下で培養することができ る。しかし、ライブラリーを維持および作製するための条件は、ライブラリーの 発現およびスクリーニングのための条件とは異なる場合がある。改変した培養条 件および培地を用いてドナー生物のいくつかの栄養的および生理的特徴をエミュ ートし、そして関心のある代謝物の産生を促進することが可能である。例えば、 関心のある化合物の化学的前駆体を栄養培地に付与して、これら前駆体の修飾を 促進することが可能である。当分野で公知の任意の技法を適用して最適条件を確 立することができる。 好ましくは、宿主生物は、相同組換えを受ける能力および外来DNAを切断す る能力を欠いているべきである。好ましくは、宿主生物はドナー生物のコドン使 用法と類似のコドン使用法を有しているべきである。真核ドナー生物を用いる場 合は、宿主生物はドナーのmRNAを適切にプロセシングする(例えばイントロ ンをスプライシングする)能力を有することが好ましい。 好ましい原核宿主生物としては、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillu s subtilis)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレ プトミセス・ケリコロール(Streptomyces coelicolor)、シュードモナス・アエ ルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcu s xanthus)が挙げられるが、これらだけに限定されない。サッカロミセス・セレ ビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)、シゾサッカロミセス・ポンベ(S chizosaccharomyces pombe)(分裂酵母)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris) 、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(メチロトローフ性酵母) 等の酵母種も使用できる。ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)およ びアスペルギルス・ニードランス(Aspergillus nidulans)等の糸状子嚢菌類もま た使用できる。タバコ(Nicotiana)およびシロイヌナズナ(Arabidopsis)由来の細 胞等の植物細胞が好ましい。好ましい哺乳動物宿主細胞としては、ヒト、サル、 および齧歯類由来の細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、 NIH/3T3、COS、293、VERO、等が挙げられるが、これらだけに 限定されない(Kriegler M.,"Gene Transfer and Expression:A Lab oratory Manual",New York,Freeman & Co.1990参照)。 発現された遺伝子産物を所望の特定の様式で修飾し、プロセシングする宿主生 物を選択することができる。タンパク質産物のこのような修飾(例えばグリコシ ル化)およびプロセシング(例えば開裂)は、生化学的経路におけるタンパク質 の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳後プロセ シングおよび修飾のための特徴的かつ特異的な作用機構を有する。適切な細胞系 または宿主系を選択して、発現された外来タンパク質の正しい修飾およびプロセ シングを確実にすることができる。この目的のため、もしドナー生物が真核生物 であるならば、一次転写物の適切で正確なプロセシング、伝子産物のグリコシル 化およびリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞が好ましい。 例えば、真核生物真菌類は同一のコア分子生物学の多くの部分を共有している こと、そして最も一般的な真菌種の多数の間では遺伝子交換が可能であることが 示されている(Gurrら,1987,Gene Structure in Eukaryotic Microbes,Kingho rn編、p.93;BennetおよびLasure,1992,Gene Manipulations in Fungi,Acade mic Press,NY)。真核宿主生物の好ましい例は、分裂酵母シゾサッカロミセス・ ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である。第1に、S.pombeの分子生物学は 高度に発達しており、そして多くの主要な培養および精製プロセスならびに操作 は決まりきった形で実施されている。第2に、S.pombeは単細胞性であり、した がって実験室の環境の中で容易に培養し、保存し、そして操作することができる 。第3に、そして混合された真核細胞DNAを発現するのに使用する場合に特に 重要なのだが、S.pombeは、真菌の他の種、植物、および哺乳動物の遺伝子を適 切にスプライシングし、発現することが可能である。異種核のRNA(イントロ ンを含むRNA)のスプライシングおよびプロセシングの研究は、スプライシン グに必要な小さい核RNA(snRNA)成分のパターンおよび構造において、 S.pombeが他の真菌およびより高等な後生動物と顕著な類似性を共有することを 示した。最後に、多くの非S.pombeプロモーターが、(それらのうちのいくつ かは哺乳動物および植物ウイルス由来であるが、)中等度から高レベルの遺伝子 発現を引き出すことができる(Forsburg,1993,Nuc Acids Res,21:2955)。この 特徴は、真菌DNA/cDNAライブラリーの、哺 乳動物細胞発現宿主[例えば、NIH3T3(繊維芽細胞)、GT1−7(ニュー ロン)または他の細胞型、等]へのシャトリング(shuttling)を可能とする。 発現のためにドナーDNAを宿主生物に導入するのにクローニングベクターま たは発現ベクターを用いることができる。発現構築物とは、1以上の調節領域に 機能しうる形で結合されているドナーDNAを含む発現ベクターである。調節領 域はドナーDNAまたはベクターによって提供されうる。以下の種々のベクター を用いることができるが、それらに限定されない。すなわち、プラスミド;コス ミド;ファージミド;酵母人工染色体(YACs)および細菌人工染色体(BA Cs,Shizuyaら,1992,Pro Natl Acad Sci 89:8794-8797)等の人工染色体、 または改変ウイルスである。ただし、上記ベクターは宿主生物と適合性でなけれ ばならない。有用なベクターの非限定的例は、λgt11、pWE15、SuperCosl(Strat agene)、pDblet(Brunら,1995,Gene,164:173-177)、pBluescript(Stratagene) 、CDM8、pJB8、pYAC3、pYAC4(Current Protocols in Molecular Biology,1988 ,Ausubelら,Greene Publish.Assoc.およびWiley InterscienceのAppendix 5 参照、引用することにより本明細書の一部を構成するものとする)。シゾサッカ ロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)におけるクローニング及び発現 のための適例のコスミドベクター、pPCos+uraは図13に示されており、1996年10 月24日に、アグリカルチュラル・リサーチ・サービス・カルチャー・コレクショ ン(Agricultural Research Service Culture Collection)(NRRL)(Agricultura l Research Center,U.S.Department of Agriculture,1815 North Univers ity Street,Peoria,Illinois 61604,米国)に寄託されており、受託番号はB-2 1637Nである。 宿主およびドナー生物の調節領域および転写因子が適合性である場合、ドナー の転写領域はRNAポリメラーゼ等の宿主の因子と結合し、宿主生物中で転写を 達成することができる。もしドナーおよび宿主生物が適合性でない場合は、導入 遺伝子の発現を確実にするため、宿主生物に適合性の調節領域をドナーDNA断 片に連結することができる。 それ自体の翻訳開始コドン、リボソーム結合領域、及び隣接配列を含むオペロ ン全体が適当なクローニングベクター又は発現ベクターに挿入される場合、追加 的な調節シグナルは必要とされ得ない。しかしながら、遺伝子のコーディング配 列の一部のみが挿人された場合、翻訳開始コドン(ATGである場合が多い)及び 隣接配列を含む外因性調節シグナルが提供される必要がある。これらの外因性調 節領域及び開始コドンは、種々の天然及び合成起源のものであり得る。ドナーD NAの発現には構成及び誘導調節領域の両方が使用され得る。発現ライブラリー の産物が毒性である場合、誘導プロモーターを使用するのが望ましい。発現の効 率は適当な転写エンハンサーエレメントの含有によって増強され得る(Bittnerら ,1987,Methods in Enzymol.153:516-544参照)。 「機能的に結合された(operably-associated)」とは、発現される調節領域及 びDNA配列が、転写及び最終的には翻訳を可能にするような様式で結合され、 配置される結合をいう。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は生物と生物 の間で変動する。一般的に、RNAポリメラーゼを結合し、機能的に結合された 核酸配列の転写を促進することが可能なプロモーターが必要とされる。そのよう な調節領域は、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列等の、転写及び翻訳 の開始と関係した5'-非コーディング配列を含み得る。また、コーディング配列 に結合した非コーディング領域3'にも、ターミネーター及びポリアデニル化部位 等の転写終結調節配列が保持又は複製され得る。核酸分子の2つの配列が、いず れかがその両方の配列が同一のRNA転写物上に転写されるのを可能にするか、 或いは一つの配列において生じたRNA転写物が第二の配列に伸びるのを可能に する様式において互いに結合している場合は、「機能的に結合された」と言う。 このようにして、ポリシストロン性転写物が産生され得る。プロモーター及び他 の任意の核酸配列等の2以上の配列は、プロモーターで開始されている転写が機 能的に結合された配列のRNA転写物を産生する場合、機能的に結合している。 「機能的に結合」させるために、2つの配列を互いにじかに隣接させる必要はな い。 さらに、発現ベクターは、ドナーDNAを含む宿主生物を最初に単離し、同定 し又は追跡するための選択可能な又はスクリーニング可能なマーカー遺伝子を含 み得る。任意の抗生物質耐性遺伝子、例えば、限定されるものではないがアンピ シリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、アプラマイシン又はゲンタマ イシン(Brauら、1984,Mol Gen Genet 193:179-187)及びハイグロマイシン(Hopw oodら、1985,Genetic Manipulation of Streptomyces,A Laboratory Manual, The John Innes Foundation,UK)を使用することができる。細菌宿主におけるプ ラスミド安定性に基づく普遍的前方選択、例えばparD/E系(Johnsonら、1996,J Bacteriol,178:1420-1429)もまた、抗生物質選択の不在下で使用することがで きる。 また、発現ベクターは発現構築物中でのDNA挿入断片の一部の切断及び/又 は再配列を可能にするための固有の又は都合よく配置された制限部位をも提供し 得る。 発現ベクターは1以上の宿主生物中のベクターの維持及び/又は複製、或いは 宿主染色体中へのそのベクターの組み込みを可能にする配列を含み得る。そのよ うな配列には、限定するものではないが、複製開始点、自己複製配列(ARS)、 セントロメアDNA、及びテロメアDNAが含まれ得る。発現ベクターに、宿主 生物配列又は相同配列、特に宿主において活発に転写される配列を含めることも また有利であり得る。特に、そのような配列がクローニングベクター内のクロー ニング部位に隣接する位置に見出される場合に、該配列は、発現構築物を宿主染 色体に組み込むことを可能とする。発現構築物は、宿主のゲノムに組み込まれて もよく、宿主生物内でエピソームのままでもよい。結果として、発現構築物の1 以上のコピーが産生され、宿主生物中に維持され得る。発現構築物は宿主ゲノム 中に組み込まれるか、又は宿主生物中にエピソームの状態でとどまる。 一般的に、例えば、細菌細胞と哺乳動物細胞、細菌と酵母、細菌細胞と植物細 胞、又はグラム陽性菌とグラム陰性菌などの少なくとも2つの宿主生物中で複製 され維持され得るシャトルベクターを用いるのが有利であり得る。本発明のシャ トルベクターは、宿主生物の異なる種又は株において複製することができ、そし て、宿主生物の範囲を決定する1又はそれ以上の複製起点を含み得る。そこでは 、ベクターがそれ自身安定に維持し、かつ細胞増殖と提携して複製を受ける。例 えば、原核生物において広い宿主の範囲のプラスミド複製起点が存在するならば 、シャトルベクターは非常に広い範囲の細菌内で安定に遺伝することができるで あろう。例えば、RK2複製起点(Pansegrauら、1994,J.Mol Biol 239:623 -663)又はpBBR(Kovachら、1994,BioTechniques 16:800-801)は、Pseudomonas、 Agrobacterium、Escherlchia及びRhizobiumなどの多くのグラム陰性細菌におい て機能的である。広い宿主の範囲の複製起点を含むDNAを保有する多くの細菌 は、興味の対象である代謝産物を生成することが知られている。比較的制限され た範囲の同類の宿主において機能的である複製起点、例えば、4つのアクチノミ セス属において機能するpAkijlの複製起点(J Gen Microbiol 131:2431-2441)も また使用することができる。あるいは、本発明のシャトルベクターは、ベクター を例えば大腸菌及びバチルスなどの各々の宿主において複製及び維持することを 可能にする、それぞれ狭く定義された範囲の2又はそれ以上の複製起点を含むこ とができる。IncP、IncQ又はIncWプラスミド由来の任意の複製起点は、本発明の ベクターにおいて使用することができる。バクテリオファージ複製起点、例えば M13ファージのf1起点もまたベクター中に存在することもできる。コリファージ 複製起点は、例えば限定されるものではないが形質転換、ハイブリダイゼーショ ンなどの種々の目的のために有用な発現構築物の単一の標準的形態の生成を容易 にすることができる。 本発明のシャトルベクターは、天然に生ずる自己伝達性プラスミド由来のシス -作用配列(それらは、プラスミドが、異種間の接合性プロセスによって細菌の 1つの種又は株から他のものに自身を伝達することを可能にする)を含むことも できる(Haymanら、1993,Plasmid 30:251-257)。伝達起点として知られるそのよ うな配列は比較的小さく(例えば200-800bp)、そして本発明のシャトルベクター に挿入して宿主生物の異なる種又は株間でのシャトルベクターの伝達を可能にす ることができる。接合は天然のプロセスであり、それにより、大プラスミドは、 明らかに高頻度で接合チューブを介して生物の異なる種又は株間に伝達される。 伝達起点を含有するシャトルベクターの動員は、伝達タンパク質の特別なセット (宿主染色体自体に、又はTraヘルパープラスミドによりトランスに組み込まれ た機能の発現によって提供され得る)によって媒介される(Dittaら、1980,Proc .Natl.Acad.Sci.77:7347-7351;Knaufら、1982,Plasmid 8:45-54)。組み込ま れたTra機能を保有する大腸菌株、例えばS17-1は、アメリカン・タイプ・カルチ ャー・コレクションから入手できる。 適当な複製起点、伝達起点及び選択機構を有するシャトルベクターを用いてラ イブラリーを構築することにより、ライブラリー内のドナー生物のDNA配列は 、宿主生物の1つの最初の種から宿主生物の種々の他の種にたやすく動員するこ とができ、そこでは、ドナーDNA配列は安定に維持され、複製され及び発現さ れる。こうして、シャトルベクターで構築された、及び接合により多宿主生物に 動員することができる移動可能な発現ライブラリーは、本発明の範囲に含まれる 。 例えば、好ましい典型的な発現ベクター−宿主生物の組み合わせは、コスミド SuperCos 1とEsherichia coli株XL1-Blue MR(いずれもStratagene(La Jolla、 CA)から市販されている。)である。このベクターは、BamHIクローニング部位 に30〜42kbpの範囲のサイズのDNA挿入断片を受け取り、ネオマイシン耐性マ ーカー(neoR)及び哺乳動物細胞中での発現に用いられるSV40プロモーターを有す る。また、このベクターは原核細胞における選択用のアンピシリン耐性遺伝子を も含む。E.coli宿主生物は、一定の制限系(hsdR、mcrA、mcrCB及びmrr)が欠損し ており、エンドヌクレアーゼ欠損(endA1)及び組換え欠損(recA)である。宿主生 物はシトシン及び/又はアデニンメチル化をもたらす挿入されたDNA(これは 、しばしば真核性DNA及びメチル-dNTP類似体を用いて合成されたcDNA中 に存在する。)を切断することができない。 この系の利点には、制限マイナス、recAマイナス、E.coli宿主におけるライブ ラリーを最初に作成するための高効率のラムダin vitroパッケージング系の利用 が含まれる。起源ゲノムDNAの質は裸のDNA形質転換に要求される質よりも 低くてもよいので、パッケージされたゲノムDNA挿入断片は分解に対して保護 され得る。いったんE.coli宿主細胞中に入ると、ダメージを受けた挿入断片は宿 主の細胞DNA修復メカニズムによって修復され得る。この系は、ほんのわずか の量の出発ゲノムDNA(5〜10μg)しか必要とせず、そしてそのパッケー ジング系が一定のサイズ範囲にある挿入断片のみを受け入れるのでサイズ選択は 要求され得ない。E.coliの最初のライブラリーは増幅されて他の発現宿主生物へ の導入のための高効率の形質転換方法で用いられ得るスーパーコイルコスミドD NAを産生し得る。 SuperCos 1ベクターは、複製のSV40開始点及び複製のストレプトミセス属開始 点を有するneoR遺伝子(例えば、プラスミドpIJ101又はpIJ922由来)、並びにチ オストレプトン耐性遺伝子を置換することによるストレプトミセス属宿主中での クローニングのためにさらに改変され得る。シャトルベクター(これはストレプ トコス(Streptcos)と称する。(図6A参照))は、pIJ101開始点並びにKpnI及びH indIIIでの消化によるチオストレプトン耐性遺伝子を含むpIJ699(Hopwoodら,19 85,ストレプトミセス属の遺伝的操作(Genetic Manipulation of Streptomyces) ,研究室マニュアル(A Laboratory Manual),The John Innes Foundation)由来 の4.0kbの断片の単離によって構築される。この断片はKpnI部位で平滑にされて( blunted)、SuperCosのSmaI-HindIII制限部位にクローニングされる(関連した例 としてBierman 1992、Denis 1992を参照)。さらに、接合性移入によってシャト ルコスミドベクター動態化のために配列エレメントが導入され得る(Biermanら ,1992,Gene 416:43-49)。ストレプトミセス属特異性プロモーターを含む種々 のストレプトコスバージョン(version)がBamHIクローニング部位に隣接するベク ターに導入され得る。PCRを用いることによって、SuperCos 1のNotI/EcoRI 部位に直接クローニングすることができるストレプトミセス属プロモーター断片 が産生され得る。ermE、Pptr(1995,Mol Microbiol,17:989)及びhrdB(Buttner ,M.J.1989,Mol Microbiol,3巻,pp.1653-1659)を含む種々の公知のストレ プトミセス属プロモーターが使用され得る。さらに、1又はそれ以上の複製起点 をストレプトコス(Streptocos)内に操作して種々のStreptomyces/Actinomycete 種の間でベクターの複製及び維持を容易にすることができる。例えば、ストレプ トミセス・ガナエンシス(Streptomyces ghanaensis)からのpSG5由来の複製起点 を使用することができ、pSG5を基本とするベクターは和合的であることが示され ており、従って、例えばSCP2*、SLP1.2、pIJ101及びpSVH1等の他のストレプトミ セスプラスミドからの複製起点と共存することができる(Muthら、1989,Mol Gen Genet 219:341-348)。このアプローチは一般的に広範な宿主−ベクター系に有 用であり得る。したがって、SuperCos 1は宿主複製開始点、選択可能なマーカ ー遺伝子、及び所望であれば相同プロモーターの導入によって改変され得る。 本発明のライブラリーを構築するのに使用し得る他の適例のベクターはpBeloB AC11であり、これはプラスミドF因子に基づく改変細菌人工染色体(BAC)であ る(Shizuyaら、1992,Proc Natl Acad Sci 89:8794-8797)。低コピー数のプラス ミドベクターは>300kbのドナーDNAを扱うことができ、大腸菌内において安定 に維持することができる。本発明に従って、プラスミドpBACは、広い宿主範囲の プラスミドRK2、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)(L ydiateら、1985,Gene 35:223-235)からの複製起点SCP2*、及びアプラマイシン 耐性遺伝子由来の送達起点の導入により改変することができる。 宿主として植物細胞を用いるコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーのため に、ドナーコーディング配列の発現は、多くの全てのプロモーターによって誘導 され得る。例えば、好ましい株は、遺伝子操作の原理(Principles of Gene Nani pulation)1985,R.W.OLD及びS.B.Primorose第3版,Black well Scientific Pub .;Vectors:分子クローニングベクター及びその使用の概論(Asurvey of molecula r cloning vectors and their uses)1988,R.L.Rodriquez,D.T.Denhardt,Butt erworths Pub.;分子クローニングへの実際的なガイド(A Practical guide to mo lecular Cloning)1988,B.Perbal,John Wiley及びSonsに記載されており、CaMV の35S RNA及び19S RNAプロモーター(Brissonら,1984,Nature 310:511 -514)等のウイルスプロモーター、又はTMVのコートタンパク質プロモーター(Tak amatsuら,1987,EMBO J.6:307-311)を使用することができ、また、RuBISCo(Co ruzziら,1984,EMBO J.3:1671-1680;Broglieら,1984,Science 224:838-843) の小サブユニット等の植物プロモーター;又は、例えば大豆hsp17.5-E又はhsp17 .3-B等の熱ショックプロモーター(Gurleyら,1986,Mol.Cell.Biol.6:559-56 5)が使用され得る。 植物細胞及び原形質体のいずれもが宿主細胞として使用され得る。植物宿主に は、限定するものではないが、トウモロコシ、小麦、米、大豆、トマト、タバコ 、ニンジン、落花生、ジャガイモ、テンサイ、ヒマワリ、ヤマノイモ、ナズナ( Arabidopsis)、ナタネ及びペチュニアのものが含まれ得る。細胞壁がなく、細 胞培養物として増殖し、そして植物中に再生するという能力を有するという理由 から、植物原形質体が好ましい。 さらに、組換え構築物は、限定するものではないが抗生物質抵抗性(例えば、 カナマイシン又はヒグロマイシン耐性)又は除草剤耐性(例えば、スルホニル尿 素、ホスフィノスリシン(phosphinothricin)、又はグリホセート(glyphosate)耐 性)を与える遺伝子を含む植物発現性の選択可能な又はスクリーニング可能なマ 一カ一遺伝子を含み得る。スクリーニング可能なマーカーにば、限定するもので はないが、β−グルクロニダーゼ(Jefferson,1987,Plant Molec Biol.Rep 5: 387-405)、ルシフェラーゼ(Owら,1986,Science 234:856-859)、及びアントシ アニン色素産生を調節するBタンパク質(Goffら,1990,EMBO J 9:2517-2522)を コードする遺伝子が含まれる。 ドナー生物DNAを植物細胞に導入するために、植物の形質転換用のアグロバ クテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)系が用いられ得る 。そのようなT−DNAを基本とした形質転換ベクターの適切な設計及び構築は 当業者にはよく知られている。かかる形質転換には、好ましくは、二元性(binar y)アグロバクテリウムT−DNAベクター(Bevan,1984,Nuc.Acid Res.12:871 1-8721)及び共同培養法(Horschら,1985,Science 227:1229-1231)を使用する。 一般的に、アグロバクテリウム形質転換系は双子葉植物の遺伝子操作に用いられ ている(Bevanら,1982,Ann.Rev.Genet 16:357-384;Rogersら,1986,Method s Enzymol.118:627-641)が、DNAを単子葉植物及び植物細胞に形質転換及び 移入するのにも用いられ得る(Hernalsteenら,1984,EMBO J 3:3039-3041;Hooyk ass Van Slogterenら,1984,Nature 311:763-764:Grimsleyら,1987,Nature 3 25:1677-1679;Boultonら,1989,Plant Mol.Biol.12:31-40;Gouldら,1991,P lant Physiol.95:426-434参照)。 他の態様においては、組換え核酸構築物を植物細胞に導入するための種々の代 替方法も利用し得る。これらの他の方法は、特に、ターゲットが単子葉植物細胞 である場合に有用である。代わりとなる遺伝子移入及び形質転換方法には、限定 するものではないが、裸DNAのカルシウム−、ポリエチレングリコール(PE G)−、又はエレクトロポレーション−仲介取り込みによる原形質体形質転換( Paszkowskiら,1984,EMBO J 3:2717-2722;Potrykusら,1985,Molec. Gen.Genet.199:169-177;Frommら,1985,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 82:5824 -5828;Shimamoto,1989,Nature 338:274-276参照)及び植物組織のエレクトロ ポレーション(D'Halluinら,1992,Plant Cell 4:1495-1505)が含まれる。さ らなる植物細胞形質転換方法には、微量注入法、炭化ケイ素仲介DNA取り込み (Kaepplerら,1990,Plant Cell Reporter 9:415-418)、及び微量噴射性衝撃法( microprojectile bombardment)(Kleinら,1988,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85: 4305-4309;Gordon-Kammら,1990,Plant Cell 2:603-618参照)が含まれる。 植物分子生物学的技術の総説については、例えば、Weissbach & Weissbach,19 88,植物分子生物学のための方法(Methods for Plant Molecular Biology),Acad emic Press,NY,VIII節,pp.421-463;及びGrlerson & Corey,1988,植物分子 生物学(Plant Molecular Biology),第2版,Blackie,London,7〜9章を参照。 昆虫系においては、オートグラファカリフォルニカ核多角体病ウイルス(Autog rapha californica nuclear polyhydrosis virus)(AcNPV)、バキュロウイルス(b aculovirus)が、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で ドナー遺伝子を発現させるためのベクターとして用いられる。そのドナーDNA 配列は、ウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)にクローニングさ れて、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下で配置 される。次いで、これらの組換えウイルスを用いて宿主細胞に感染させ、その挿 入遺伝子を発現させる(例えば、Smithら,1983,J Virol 46:584;Smith,米国特 許第4,215,051号参照)。 酵母においては、構成プロモーター又は誘導プロモーターを含む多くのベクタ ーが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)、シ ゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(分裂酵母)、ピチア・ パストリス(Pichia pastoris)、及びハンセニュラ・ポリモルファ(Hansenula po lymorpha)(メチロトロピック(methylotropic)酵母)とともに用いられ得る。再 考のために、分子生物学の最新のプロトコール(Current Protocols in Molecula r Biology),2巻,1988,編集Ausubelら,Greene Publish.Asso c.& Wiley Interscience,13章;Grantら,1987,酵母用発現及び分泌ベクター( Expression and Secretion Vectors for Yeast),in Methods in Enzymology, 編集Wu & Grossman,1987,Acad.Press,N.Y.,153巻,pp.516-544;Glover,198 6,DNAクローニング(DNA Cloning),II巻,IRL Press,Wash.,D.C.,3章; 及びBitter,1987,酵母における異種遺伝子発現(Heterologous Gene Expressio n in Yeast),Methods in Enzymology,編集Berger & Kimmel,Acad.Press,N. Y.,152巻,pp.673-684;及び酵母サッカロミセス属の分子生物学(The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces),1982,編集Strathernら,Cold Spring Harbor Press,I及びII巻を参照のこと。大腸菌とS.pombeとの間を往復するこ とができる適例のベクター、pDblet(Brunら、1995,Gene,164:173-177)、及び 該ベクターの改変は、第5.5.7.節に記載されている。 本発明はまた、一連のS.pombe/E.coliコスミドベクター、例えばpPCos+ura(図 13)、pPCos1(図14)を提供する。これらは、マルチクローニング部位、大腸菌内 における複製及び選択のためのそれぞれColE1起点及びアンピシリン耐性遺伝子 、S.pombeにおける維持及び選択のための自己複製配列(ARS)及びura4遺伝子、SV 40起点、並びにλファージにおけるin vitroパッケージングのための二つのcos 部位を含む。pPCos+ura及びpPCos1の構築は、第5.5.7.節に記載されている。 哺乳動物宿主細胞においては、種々の哺乳動物発現ベクターが市販されている 。さらに、多くのウイルスを基礎とした発現系を利用し得る。アデノウイルスを 発現ベクターとして用いる場合、ドナーDNA配列はアデノウイルス転写/翻訳 調節複合体、例えば後期プロモーター(late promoter)及び三部分リーダー配列 、に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、in vitro又はin vivo組換え によってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域( 例えば、領域El又はE3)中の挿入によって、感染宿主中で生育可能で異種の 産物を発現する能力のある組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk, 1984,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81:3655-3659参照)。トランス作用複製 因子としてエプスタイン−バーウイルス(EBV)開始点(OriP)及 びEBNA-1を用いて、シャトルエピソームクローニングベクター、例えばEBO-pCD が創出されている(Spickofskyら,1990,DNA Prot Eng Tech 2:14-18)。また、 レトロウイルスを基礎としたウイルスベクターも使用され得る(Morgensternら, 1989,Ann Rev Neurosci,12:47-65)。また、ワクシニア7.5Kプロモーターが使 用され得る(例えばMackttら,1982,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:7415-7 419;Mackettら,1984,J.Virol.49:857-864;Panicaliら,1982,Proc.Natl. Acad.Sci.79:4927-4931参照)。 限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler ら,1977,Cell 11:223)、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランス フェラーゼ(Szybalska & Szybalski,1962,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:20 26)、及びアデニンホスホリボシルトランスフエラーゼ(Lowyら,1980,Cell 22: 817)遺伝子が、それぞれtk-、hgprt-又はaprt-細胞中で用いられ得ることを含む 多くの選択系が哺乳動物細胞に使用され得る。また、抗代謝剤耐性は、ジヒドロ 葉酸レダクターゼ(dhfr)(これはメトトレキセートに対する耐性を与える(Wigle rら,1980,Natl.Acad.Sci.USA 77:3567;O'Hareら,1981,Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 78:1527));gpt(これはミコフェノール酸(mycophenolic acid) に対する耐性を与える(Mulligan & Berg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072));ネオマイシンホスホトランスフエラーゼ(neo)(これはアミノグリ コシドG−418に対する耐性を与える(Colberre-Garapinら,1981,J.Mol.Biol .150:1));及びヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hyg)(これはヒグ ロマイシンに対する耐性を与える(Santerreら,1984,Gene 30:147))の選択の 基礎として用いることができる。 また、本発明は、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの能力を改良する 宿主生物の特異的な改変を提供する。ライブラリーを第二の代謝産物を産生する 目的に用いる場合、その化合物の毒性はそのライブラリーにおけるこれらの増殖 性宿主生物の発現量の低下(underrepresentation)に導くことができる。本発明 の一つの態様においては、宿主生物は、その宿主生物の成長及び生存が目的とす る化合物の産生によってよりいっそう不利な影響を受けるように改変され得る。 耐性を増大させることによって、スクリーニング段階及び産生段階で強力な薬物 を産生している宿主生物の消失を低減することができる。 宿主生物の好ましい改変は、宿主生物における活性薬物エフラックス系への導 入及び/又は該エフラックス系の過剰産生である。エフラックスを引き起こした 膜結合エネルギーは、細菌、酵母及び哺乳動物細胞を含む大部分の生物における 薬物耐性において大きな役割を演じている(Nikaido 1994,Science 264:382-38 8;Balziら,1994,Biochim Biophys Acta 1187:152-162;Gottesmanら,1993,An n Rev Biochem 62:385)。増大したエフラックス系の相補体を有する改変された 宿主生物は、より広範な潜在的毒性化合物を活発に分泌することができ、したが って、宿主生物内部のそれらの蓄積を低減することができる。化合物を産生する 代謝経路の最終産物阻害などの負のフィードバックメカニズムが回避され得る。 さらに、目的とするその化合物は宿主生物内部に蓄積されないので、その化合物 の単離はより効率的に行われ得る。 細菌においては、広範な種類の構造的に無関係の分子、例えば、ポリケチド抗 生物質(E.coliのacrAE遺伝子,Maら,1993,J Bacteriol 175:6299-6313)、フル オロキノリン及び臭化エチジウム(枯草菌(Bacillus subtilis)のbmr及びスタフ ィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のnor A,Neyfakhら,1993 ,Antimicrob Agents Chemother 37:128-129)、ドキソルビシン(doxorubicin)( ストレプトミセス・ピューセテイウス(Streptmyces peucetius)のdrr)、及び第 4級アミン類(クレブシエラ・アエロゲネス(Klebsiella aerogenes)のqacE及び E.coliのmvrC)を送り出すことができる非常に多くのエフラックス系が研究され ている。エフラックス系の非限定的な例を一覧にした表IIIを参照のこと。その ような全てのエフラックス系が原核性宿主生物中で使用され得る。 酵母においては、多面発現性薬物耐性をもたらす多くの遺伝子がエフラックス 系をコードしており、本発明において有用であり得る。例えば、bfrl+遺伝子は 、シゾサッカロミセス・ポンベにブレフェルディン(brefeldin)A耐性を与え、 カンジダ・アルビカンス(Candidaalbicans)のCDR1遺伝子はシクロヘキサミド及 びクロラムフェニコールに対する耐性を与える(Prasadら,1995,Curr Genet 27 :320-329)。 哺乳動物細胞のために、ATP−結合性ポンプタンパク質のクラスに属する多 剤耐性タンパク質が使用され得る(Jurankaら,1989,FASEB J.3:2583-2592;Pau lusmaら,1996,Science 271:1126-1128;Zamanら,1994,Proc.Natl Acad Sci ,91:8822-8826;Breuningerら,1995,Cancer Res 55:5342-5347;Koepsell EP 0 699753)。ヒトmdrl多剤耐性遺伝子はサッカロミセス・セレビシエ中で機能的に 発現された(Kuchlerら,1992,Proc Natl Acad Sci 89:2302-2306)。また、他 の任意のエフラックス系は真核細胞にも使用され得る。 1以上のエフラックス系が宿主生物に導入され、誘導され又は過剰産生され得 る。エフラックス系の成分をコードする遺伝子を宿主生物に導入し、上記の発現 ベクター及び技術を用いて発現させ得る。いくつかの場合には、エフラックス系 遺伝子の発現に誘導プロモーターを用いるのが都合がよい。 5.1.4.コンビナトリアル天然経路発現ライブラリー 本発明は、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの構築及び使用に関する 。このライブラリーにおいて、宿主生物は、多数のドナー生物種から誘導され、 ドナー生物の機能的な遺伝子産物を産生する能力のある天然の生化学的経路又は その一部をコードする遺伝物質を含む。したがって、ドナー生物の生化学的経路 又はその一部は、ライブラリーの個々の宿主生物中で機能的に再構成される。そ のような生化学的経路の新規の活性及び化合物は、従来の薬物発見技術又は本明 細書で提供された方法によりスクリーニングしやすくなる。 DNA又はRNAのいずれかが、cDNAライブラリー、ゲノムDNAライブ ラリー及び混合cDNA/ゲノムDNAライブラリーを含み得るライブラリーを 作製する出発遺伝物質として用いられ得る。多数のドナー生物、例えば5.1.1. 節に記載した生物から誘導されたDNA断片を宿主生物のプールに導入してその プール内の各宿主生物がそのドナー生物の一つから誘導されたDNA断片を含む ようにする。 宿主生物及びドナー生物が、DNAの同様のGC含量及び共通のRNAスプラ イシングメカニズム等の一定の遺伝的特徴、又は最適増殖温度等の生理学的特徴 を共有する場合、都合がよい。したがって、ドナー生物に系統発生的に密接に関 連している宿主生物を用いるのが望ましい。例えば、原核性宿主生物が他の原核 細胞のオペロンのクローニング及び発現により望ましい。 従来の薬物発見又は薬物開発技術に従わないドナー生物が好ましい。例えば、 大部分の海洋細菌の特性付けは不十分であり、通常の陸生微生物学的プロトコー ルには従わない。本発明は、産生及び精製プロセスの開発を簡単にすることがで きる。 移入されたドナーDNAの断片は、完全な生化学的経路又はその一部の機能 タンパク質をコードするコーディング領域、並びにプロモーター及びターミネー ター等の固有的に結合した調節領域を含み得る。生化学的経路全体をコードする より高い確率を有する大きな原核性ゲノムDNA断片を用いることによって最適 の結果が得られ得る。移入されたDNA断片の固有の機能及び機構が宿主生物に 維持される場合、ドナー生物の遺伝子は協調的に発現され得る。また、宿主生物 中の移入遺伝子の転写を確実にするように、DNA断片に結合し得る外因性調節 領域も提供され、それによって固有のプロモーターから開始された転写を置換し 、又は補足する。 興味深いことに、海洋細菌から誘導された多くの遺伝子はE.coli中の機能タン パク質を発現するために固有のプロモーターを利用することが発見されている。 したがって、海洋微生物の遺伝子は外因性調節領域を用いる必要なく発現され得 る。E.coli中でその固有のプロモーターを使用する海洋細菌遺伝子の例の一覧を 表IVに示す。 好ましい実施態様において、本発明の方法は、原核動物、たとえば細菌の遺伝 子を、ゲノム中の、オペロンと称される離散した機能的関連性を有する遺伝子ク ラスターへと組織化する点で有利な利点を有する。こうしたクラスターでは、生 化学的経路の各種要素をコードする遺伝子が、共通の調節配列に結合されている 。糸状菌(放線菌類)の機能関連遺伝子も、クラスター状であることが知られて いる。多くの細菌、放線菌、及び少数の真核生物の菌類の生合成経路についての 遺伝子クラスターが単離され、性状決定されている。たとえば、エルウィニア・ ヘ ルビコーラ(Erwinia hervicola)でカロテノイドゼアキサンチンならびにβ− クリプトキサンチンをde novoに産生する際に使用される12のタンパク質は、 細菌である大腸菌中で活性化させ、同時に産生させることが可能である(Perryら ,1986,J.Bacteriol,168:607-612;Hundleら,1991,Photochem and Photobiol ,54:1:89-93)。原核生物のアミノ酸生合成経路、たとえばロイシン及びイソロ イシン生合成、ならびにグルコーストランスファー系も、離散クラスターに含ま れている。したがって、原核生物をドナー生物として使用する場合には、生合成 経路で機能的に関連している遺伝子は、1個のクローン中に単離される可能性が 高い。 比較的少数の非コード領域を含むコンパクトなゲノムを有するドナー生物が好 適である。多くの場面で、ドナー生物は、比較的小型のゲノム、たとえば、大腸 菌では長さが4400kbp、古細菌であれば2500−3500kbpのゲノムを有 する細菌である。ドナーゲノムの配列を全てを含んでいる確率を99%とするた めに、ライブラリー中に必要な独立クローンの数は、以下の式(Clarkeら、1976 ,Cell 9:91-99)によって計算される。 式中、Nは、ライブラリー中で必要とされる組換えクローンの数であり、 Pは、配列が表されている確率であり、 fは、単一の組換えクローン中でのゲノムの部分の割合である。 たとえば、大腸菌は、約4400kbpのDNAを有しており、コスミドベクタ ーは、約40kbpのDNAをパッケージすることができる。こうした計算からす ると、大腸菌のゲノム全体が、コスミドライブラリー中で504個という数少な いクローンで十分に表されうると考えられる。通常のDNAライブラリーは、5 00,000個の独立組換えクローンを含んでいることもあるので、こうしたラ イブラリーは、大腸菌に似たサイズのゲノムを有する1000種までの異なった 細菌の種を有効に表しうるということになる。したがって、1000種あるいは それ以上の種の細菌の多様な遺伝物質を含む遺伝子発現ライブラリーをスクリー ニングすることによって、相当の化学的多様性を創出し、検定することが可能で ある。 標準的参考論文、たとえば、Maniatisら、1989,Molecular Cloning,第2版 ,Cold Spring Harbor Press,New York;ならびにAusubelら,Current Protocol s in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and Wiley Interscie nce,New Yorkに記載された方法にしたがって、コンビナトリアル遺伝子発現ラ イブラリーを構築する際に使用される通常の分子生物学的反応を実施することが できる。 コンビナトリアル天然経路遺伝子発現ライブラリーのクローニング戦略を図3 に示す。ドナー生物由来のいかなる細胞も、遺伝子発現ライブラリーを構築する にあたっての核酸源となりうる可能性を有しており、染色体DNAならびに染色 体外遺伝因子、たとえば天然に生じているプラスミドを含むゲノムDNAを使用 することが可能である。また、ドナー生物のRNAも使用が可能である。当業界 で公知の任意の技術によって、RNA、好ましくはメッセンジャーRNA(mR NA)を抽出、精製し、相補DNA(cDNA)に変換することができる。cD NAの第1ストランドの合成のプライミングには、オリゴー(dT)プライマー あるいはランダム配列プライマーを使用することができる。DNA挿入断片は、 必要に応じて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅することができる 。 ゲノムDNAならびにRNAは、第5.1.2節に記載の方法、あるいは当業 界で公知の方法で、抽出、精製を行うことができる。糸状菌ならびに細菌につい ては、そうした方法は、a)液体培地中で生育させた若い菌糸体から調製した原 形質体を高速SDS/高塩溶解に供し、その直後に平衡化したフェノールで抽出 する方法、b)グアニジニウムイソチオシアネート中で原形質体を高速溶解して から、CsCl勾配中で超遠心する方法、あるいはc)アガロースプラグ中で調 製した原形質体由来の高分子量DNAを単離してから、パルスフィールド電気泳 動を行う方法をはじめとするいくつかの手法のいずれかとすることができる。細 菌については、リゾチーム/洗浄剤で溶菌し、非特異的プロテアーゼを加えてイ ンキュベーションを行ってから、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコ ールによる一連の抽出を行うというさらに別の方法も有用である。 最適の結果を得るうえでは、完全なオペロンあるいはその実質的な部分を含む 可能性が高い、大型でランダムな原核生物のゲノムDNA断片が好適である。ゲ ノムDNAは、各種の制限酵素を使用して、特定の部位で切断することができる 。ランダムで大型のDNA断片(20kbp以上)は、ゲノムDNAを、頻回切断( frequent-cutting)制限酵素で部分的に消化することによって生成することがで きる。ゲノムDNAの必要量は、使用するゲノムの複雑度に応じて変化する。細 孔の針を通過させたり、超音波処理を行うことによって、DNAを物理的に切断 することも可能である。 こうしたDNA挿入断片は、空の発現ベクターに挿入する前に、標準的な方法 、たとえばアガロースゲル電気泳動、動的密度勾配遠心、カラムクロマトグラフ ィーといった方法(但し、これらには限定されない)で、サイズによって分ける ことができる。線形の10−40%のしよ糖勾配が好ましい。挿入は、DNA断 片を、相補的付着末端を有する発現ベクターにライゲーションすることによって 行う。ライゲーション反応で使用するベクタ−DNAならびにDNA挿入断片の 量は、それらのDNAの相対的なサイズに応じて決まり、当業界で公知の方法に よって経験的に決定することが可能である。しかし、DNAの断片化に使用する 相補的制限部位が発現ベクター中に存在しない場合には、DNA分子の両端を酵 素で改変して、平滑末端を生成するなどの処理を行う。あるいは、所望される任 意の部位を、ヌクレオチド配列、すなわちリンカーあるいはアダプターをDNA 末端にライゲーションすることによって生成することもでき、この場合、こうし たライゲーションされるリンカーあるいはアダプターは、制限エンドヌクレアー ゼの認識配列をコードする特定の化学合成オリゴヌクレオチドとすることができ る。さらに別の方法では、切断した発現ベクターならびにDNA挿入断片を、ホ モポリマーを用いたテーリングで改変することもできる。 ベクターDNAをDNA挿入断片とライゲーションした後、発現用構築物を宿 主生物に導入する。その際には、形質転換、トランスフェクション、インフェク ション、接合、原形質体融合、リポソームを媒介とする導入、エレクトロポレー ション、マイクロインジェクション、ならびにマイクロ弾打ち込み(microprojec tile bombardment)をはじめとする各種の方法を用いることができるが、これ らに限定されるものではない。特定の実施態様では、バクテリオファージあるい はコスミドDNAの宿主大腸菌への導入を、バクテリオファージ粒子にDNAを in vitroでパッケージングし、大腸菌をこれらの粒子で感染させることによって 行う。天然状態で生じている他のDNA導入メカニズム、たとえば細菌の接合を 利用することも可能である。 発現用構築物を含む宿主細胞をプールしてライブラリーを形成した後、当業界 で公知の方法で、それらの細胞を増幅および/または複製することができる。増 幅を行うのは、多数回にわたって使用しうるライブラリーを得ることが目的であ る。増幅は、ライブラリーを培養し、細菌を生育させ、ファージまたは細菌を集 めて保存することによって行う。 ライブラリーは、また、順序よく配列させて保存することもできる。ライブラ リーを低密度で培養し、単一の離散したプラークあるいはコロニーを形成させ、 個々のプラークあるいはコロニーをコードされたマルチウェルプレートのウェル 、たとえば96ウェルプレートあるいは384ウェルプレートに移す。個々のク ローンを、ウェル中で、適当な条件下で生育させる。コードしたマスタープレー トは、1枚以上の作業プレートに各クローンを別々に複製させる際のアーカイブ 的(archival)ソースとして使用することができる。このように、ライブラリーの 各クローンは、個別に操作、検定することができる。コードされたアーカイブプ レートは、将来の使用に備えて、密封、保存することができる。クローンの複製 ならびに移動は、マルチピン複製装置、あるいは流体操作用マルチチャネル装置 を用いて行うことができる。移動ならびに操作は、すべて、あるいは大半を、実 験室ロボットによって行うのが好ましい(Bentleyら,1992,Genomics 12:534-541 )。 本発明のライブラリーは、凍結乾燥、あるいはフリーザーでの低温保存(−2 0℃から−100℃、あるいは液体窒素中(−176℃から−196℃)で保存 することができる。 ライブラリー中のドナーDNAを含む宿主細胞は、使用した宿主−ベクター系 に応じて、各種の方法によって識別、選択することができる。一つのアプローチ では、こうした宿主生物は、マーカー遺伝子の機能、たとえば、チミジンキナー ゼ活性、カナマイシン、アンピシリン、ブレオマイシンあるいはチオストレプト ンのような抗生物質への抵抗性、メラニンのような色素の生成、メトトレキセー トに対する抵抗性の存否で識別、選択することができる。あるいは、代謝試験、 組織培養でのフォーカス形成、又はバキュロウイルスでの封入体の形成によって 示唆されるような宿主細胞の表現型又は代謝の変化を使用することもできる。ド ナーDNAの存在について選択を行ったら、そのクローンについて一連の酵素検 定あるいは代謝試験を実施して、さらなる特性分析を実施してもよい。 ドナーDNAあるいはその一部を含むクローンのライブラリー中のドナーDN A挿入断片の特性を調べるためには、代表的な1組のクローンを用いて、DNA のミニ調製ならびに制限分析を行うことができる。結果からは、ドナーDNAの サイズ制限とパターンのフィンガープリントが得られ、これは、ライブラリーに ついて想定される挿入断片の範囲に匹敵する。 5.1.5.コンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリー 本発明はまた、コンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリーの構築および 使用に関し、ここで、宿主有機体が複数のドナー生物種に由来するランダムに鎖 状体を形成した遺伝物質を含有し、そしてドナー生物の機能性ある遺伝子産物を 生産しうるものである。ライブラリー中の宿主生物の相当数が1種またはそれ以 上の種のドナー生物に由来する遺伝子のランダムでユニークな組み合わせを含有 してもよい。クローン化された遺伝子の同時発現は、それらの各々の本来の調節 領域によって、または外因性として供給された調節領域によって行うことができ る。異なるドナー生物に由来する複数の遺伝子産物が宿主生物中で相互作用し、 新規なキメラ代謝経路および新規化合物を生成する。かかるキメラ経路の新規な 活性および化合物により、従来の薬物探索技術によっるスクリーニング、または 本明細書で提供される方法によるスクリーニングがより容易になるであろう。 コンビナトリアル・キメラ経路遺伝子発現ライブラリーにおいて、どのように 新規経路または化合物が生成されるかといういずれかの理論に限定されるもので はないが、複数種のドナー生物に由来する機能性を有する異種遺伝子の同時発現 により、複数の遺伝子産物がin vivoで相互作用することが可能となり、宿主 生物の要素との相互作用も可能となる。このような相互作用によって新たな生化 学的反応のセットが生じるであろうし、それらの幾つかは協同して作用してキメ ラの生化学的経路を形成しうる。異種遺伝子産物はそれらの各々のドナー生物中 には存在しない基質、コファクターおよびシグナル形成分子に遭遇する可能性が ある。このような基質、コファクターおよびシグナル形成分子は宿主生物、同じ 宿主生物中に同時発現する他の異種遺伝子産物、または培地から供給されうる。 さらに、異種遺伝子産物の幾つかは構造的に修飾することができ、宿主生物に おける生合成の間に、異なって画分化されるかまたは局在化されうる。異種遺伝 子産物の幾つかは、それら各々のドナーの宿主細胞環境とは異なる宿主細胞環境 に暴露されてもよい。 幾つかの異種遺伝子産物はまた宿主生物に対しても作用し、宿主細胞環境を変 化させうることが考えられる。異種遺伝子産物の機能に影響するかまたはそれに よって影響を受ける可能性のある宿主細胞環境の要素には、塩濃度、微量元素、 栄養素、酸素、代謝産物、エネルギー源、酸化還元状態、およびpHが包含される が、これらに限定されるものではない。異種遺伝子産物の幾つかはまた宿主遺伝 子産物とも相互作用して、宿主の代謝経路の修飾を生じさせる可能性がある。 異種遺伝子の組み合わせに依存して、新規なキメラ生化学的経路および天然に は存在しない新規なクラスの化合物がライブラリーの宿主生物中で形成されうる 。コンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリーにおいては、ドナー生物の遺 伝子供給源が増加され、拡張されて、個々の生物では見出されない可能性のある 科学的構造物の多様性を提供する。そのようにして作製したライブラリーは、本 発明によって提供される方法または従来の方法を用いてスクリーニングすること ができる。このようにして、新規経路および化合物を、一層薬物スクリーニング にかけやすいものとすることができる。 5.1.1.節に記載された任意のドナー生物をコンビナトリアル・キメラ経路発現 ライブラリーの作製に使用することができる。ドナー生物はそれらの公知の生物 学的性質に基づいて選択することができ、またはそれらは公知および/または未 同定の生物の混合物であってもよい。 本発明のコンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリーは5.1.3.節に記載さ れた原理に従って組み立てることができる。多数のドナー生物種からのDNA断 片のランダムなコンカテマー形成を可能とするためには、ライブラリーの組み立 てのための操作は以下の工程、すなわちより小さいゲノムDNA断片の生成、プ ロモーターおよびターミネーターなどの調節配列とのライゲートによる遺伝子カ セットの形成、および遺伝子カセットのコンカテマー形成、を包含させることに より修飾してもよい。 挿入DNAはmRNAに由来する相補的DNA(cDNA)、および/または ゲノムDNAの断片、またばアーキバルな若しくは移動性をもたせるコンビナト リアル発現ライブラリー由来のDNAであってもよい。異なる種のドナー生物の DNAまたはRNAは同時精製してもよく、または別々に単離し、次に特定の比 率で組み合わせてもよい。挿入DNAのランダムな混合はクローニングベクター または発現ベクター中への挿入の前に、任意の段階で行なうことができる。例え ば、アーキバルライブラリー由来のDNAの大型の断片を単離・消化して小型断 片とし、次いでこれらをランダムに再度ライゲートして、第2のコンビナトリア ル発現ライブラリーのための挿入DNAを形成させることができる。DNAのラ ンダムな断片の生成および混合のための他の方法も用いることができ、例えば、 DNA断片が幾らかの配列相同性を共有する場合には、in vitro組換え法を用い ることができる。 メチル化されたヌクレオチド、例えば、5−メチル−dCTP、をcDNA合 成において使用して酵素的開裂に対する保護を付与することができ、プロモータ ーおよびターミネーター断片に関してセンス方向にcDNA挿入物を方向を一定 にしたクローニング(指向性クローニング、directional cloning)を可能にす る。 2〜7kbpの範囲のゲノムDNAのランダムな断片は、比較的高頻度の切断部 位を有する制限酵素、例えば、Sau3AIを用いる部分消化により生成させることが できる。部分消化はサンプルのアリコートをアガロースゲル電気泳動にかけるこ とによりモニターし、確認する。 構成プロモーターまたは誘導プロモーターおよびターミネーターなどの外因性 調節領域を、クローン化された遺伝子を発現させるために提供してもよい。宿主 およびドナー発現系が適合性でない場合には、かかる調節配列を提供することが 必須である。特別な発現宿主に特異的であり、それらの末端に定義された制限部 位を有する種々のプロモーター断片およびターミネーター断片を生成させるため にPCRを使用することができる。DNA挿入物に調節領域を付着させるために 、任意の方法を使用することができる。クレノウ断片および部分的ヌクレオチド セットでの処理、すなわち部分的フィルイン反応により、適合性の末端を有する プロモーター断片およびターミネーター断片にのみ特異的にライゲートするであ ろう挿入DNA断片を作ることができる。 本発明は、ユニークな制限部位のいずれか一方の側に逆に位置するプロモータ ーの2コピーを含有する遺伝子カセットの使用を包含する方法を提供する。この 制限部位に挿入された任意のDNAは、この2つのプロモーターの各々によって 、両側から両方の鎖上に転写されよう。 本発明はまた、DNA挿入物のいずれか一方の側に位置するプロモーターおよ びターミネーターを含有する遺伝子カセットの使用を包含する別の方法をも提供 する。もしcDNAの指向性クローニングのための操作をその後に行なう場合に は、cDNA挿入物の5'末端と3'末端とは、プロモーター断片の3'末端およびタ ーミネーター断片の5'末端それぞれと、ユニークにマッチする制限部位を有する はずである。 両末端に適合性の制限部位を有するゲノムDNA断片またはcDNAを、プロ モーターにライゲートし、ある場合にはターミネーター断片にライゲートして、 約1〜10kbpの平均サイズを有する遺伝子カセットを形成する。 多数の転写ユニットをからなるコンカテマーを、ペプチド合成で使用すると同 様の方法により組み立てる。遺伝子カセットのプールのサブセットを、一方の末 端で固相、例えば、磁気ビーズに結合させる。他の遊離末端は、「脱保護」およ び転写ユニットの残りのプールの連続ライゲーションという幾つかの逐次的サイ クルに供する。この固相により、各付加サイクル後に、ライゲーションしていな いDNA断片からのコンカテマーの分離が可能となる。コンカテマー形成が完了 すると、イントロンヌクレアーゼなどの制限酵素とともにインキュベートして、 コンカテマーを遊離させる。このヌクレアーゼは、固相に隣接したユニークで非 常に数の少ない部位を開裂させて、コンカテマーを形成したDNAの開裂の確率 を低下させる。次に、コンカテマー形成したDNAをクローニングベクターに挿 入して発現構築物を形成させ、これを適当な宿主生物中に導入する。あるいは、 この構築物を、宿主生物中へ導入する前に増幅させるために、E.coli recA-株 を形質転換してもよい。 プロモーター断片およびターミネーター断片の合成、遺伝子カセットの作製、 DNA挿入物の組み立て、および挿入物とベクターとのライゲーションの詳細は 5.4.節および5.5.節に示す。 ひとたびコンビナトリアル・キメラ経路発現ライブラリーを組み立てれば、5 .1.3.節に記載したと実質的に同じ方法で、保存し、増幅させ、複製させ、予備 スクリーニングおよびスクリーニングを行なうことができる。上記ベクターが、 適切な複製起点、適切な導入起点、および/または適切な選択機構を含有する場 合には、ライブラリー中の遺伝物質を、ある種の宿主生物から発現用の他の種ま たは株に移入することができる。 5.1.6.勾配をつけたコンビナトリアル発現ライブラリー 本発明の別の態様においては、勾配をつけたコンビナトリアル天然経路発現ラ イブラリーまたはキメラ経路発現ライブラリーを、1以上のドナー生物種から一 緒にプールし、予め選択したDNAの断片から作製することができる。ドナー生 物の全てのプールされたゲノムDNAまたはcDNAのみを用いる代わりに、こ の方法では、スクリーニングを必要とするクローン数を減少させ、目的の化合物 を生産するクローンのパーセンテージを増大させるであろう。予め選択されたD NA断片は、部分的または完全な生合成経路をコードする遺伝子を含み、目的の 化合物の産生に関連するか、またはそれに関与する公知の遺伝子から作製された 複数のプローブを当初のDNAライブラリーにハイブリダイズさせることにより 予備選択することができる。 好ましくはコスミドライブラリーまたは細菌人工染色体(BAC)ライブラリ ーであり、必ずしも発現DNAライブラリーではない当初のDNAライブラリー は、1以上のドナー生物種からのDNAを含有しうる。さらに予備スクリーニン グを行なうために、当初のライブラリーが発現ライブラリーである場合には、陽 性クローン中のDNAを産生のためにE.coliまたはStreptomyces lividansなど の宿主中に移し、その中で発現させることができる。1以上の当初ライブラリー は予備スクリーニングすることができ、すべての陽性クローンからのDNAをプ ールして勾配をつけたコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを作るために使 用することができる。 当初ライブラリーまたはアーキバルライブラリーを増幅させて、ドナー生物の DNAを種々の宿主生物中で予備スクリーニングするとができる。本発明の1つ の態様では、クローニングベクターまたは発現ベクターは、5.1.3節に記載の適 切な複製起点および/または適切な導入起点を含むことができ、これにより、当 初ライブラリーまたはアーキバルライブラリーの全体を様々な適合性宿主生物中 に、コンジュゲーションにより移入または移動させることができる。該移入はま た、ドナー遺伝物質をアーキバルライブラリーから単離し、該遺伝物質を他の生 物種または株中に何らかの方法、限定するわけではないが、形質転換、トランス フェクションおよびエレクトロポレーションなどの方法により導入することによ り行うことができる。例えば、ひとたびStreptomyces lividansで遺伝子発現ラ イブラリーを作製すると、オキシテトラサイクリンを生産するS.rimosisまたは アクチノマイシンDを生産するS.parlusなどの、発現とスクリーニングのため に限定された宿主生物中に導入することができる。他の例としては、アーキバル ライブラリーを大腸菌(E.coli)中に構築し、核酸プローブを用いるハイブリ ダイゼーションにより予備選択して目的の遺伝物質を同定することができる。予 備選択されたDNA断片をアーキバルライブラリーから単離し、次いでランダム に混合し、そして移動性をもたせる発現ベクター中にクローン化して勾配のつい たコンビナトリアル発現ライブラリーを形成することができる。このようなライ ブラリーは代謝経路の特定のクラスに富んでおり、異なる宿主生物中に移入して 、異なる生化学的および/または遺伝的環境下で発現させることができる。 予備スクリーニングのために使用したプローブは、ポリケチド(polyketide)生 合成遺伝子座などの任意のクローン化された生合成経路に由来するものであって もよい。なぜなら、そこには最もよく特徴付けされた生合成遺伝子座が存在し、 公知のクラスター間にはかなりの保存配列があるためである。例えば、actI(ア クチノロジン生合成−Malpartidaら、1987 Nature 325:818-820)、whiE(胞子 色素生合成−Blancoら、1993 Gene 130:107-16)およびeryA1(Donadioら、1991 Science 252,675-679)。同様の原理を、他の抗生物質生合成遺伝子座または二 次代謝産物生合成遺伝子座に適用することができる。例えば、Bacillus(Stache lhausら、1995 Science 269:69-72)などの低GCグラム陽性細菌および、チオス トレプトン、バージニアマイシン、バリノマイシンおよびアクチノマイシンを生 産するActinomycetes種などの高GCグラム陽性細菌においてクローン化されたペ プチドシンセターゼ遺伝子は、プローブとして使用するために充分な配列の相同 性を有し、両方の細菌群における新規な生合成遺伝子座を同定することができる 。ペプチドシンターゼおよびアミノグリコシドシンターゼなどの他のクローン化 された生合成経路もまた、当初のライブラリーを予備スクリーニングするための プローブを提供しうる。 あるいは、当初のDNAライブラリーは二次代謝に関与するタンパク質をコー ドするDNA由来のプローブによってスクリーニングすることもできる。このよ うなプローブは、総DNAから非コードDNAおよび一次代謝生合成経路に関連 するタンパク質をコードするDNAを差し引くことにより作製することができる 。このようにして、残りのDNAに、二次代謝に関与するタンパク質をコードす るコード領域に向けて勾配をかける。サブトラクション手順の詳細は5.3.5.節に 示す。 5.2.コンビナトリアル発現ライブラリーのスクリーニング 本発明の薬物探索システムは、さらに、コンビナトリアル発現ライブラリーの スクリーニングのための新規な方法をも包含する。抗体結合およびリガンド結合 などの発現ライブラリーをスクリーニングするための標準的な方法もまた本発明 の発現ライブラリーとともに使用できる一方、このライブラリーは所望の経路お よび代謝産物を発現している宿主生物を同定するように作ったリポーター様式(r eporter regimen)に適合させることもできる。 本明細書でクレームした方法により、最小の手間で多数のサンプルを管理し、 ライブラリー中の生産クローンの効率的かつ高処理量検出および単離を可能にす ることが可能となる。ライブラリーは、あるクラスの化合物の生産、または適切 なDNA配列の存在のための、広範囲の活性に関して予備スクリーニングするこ とができる。これらのライブラリーはまた、in vivoおよびin vitroアッセイの 両方において、直接、標的と共に使用することができる。同定または単離された 細胞集団は容易に培養でき、数を増やし、そして新規化合物の生産のためのさら なる分析にかけることができる。新規活性または化合物の生産を生じさせる代謝 経路をコードする遺伝子は、単離されたクローン中に導入された遺伝物質を特徴 付けることにより描写することができる。遺伝子および経路、そしてクローンに 関する情報は薬物の最適化および生産を大きく促進しよう。 ここに使用される、「ライブラリークローン」または「ライブラリー細胞」と いう用語は、ドナーの代謝経路またはその構成成分をコードしうるドナーDNA の少なくとも1つの断片を含有するコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー中 の宿主細胞または生物を指す。「陽性クローン」または「陽性細胞」という用語 は、リポーター様式によってシグナルを生産するライブラリークローンまたは細 胞を指す。「生産細胞」または「生産クローン」なる用語は、ライブラリー中の 残りの「非生産細胞」から区別して、目的の活性または化合物を生産するライブ ラリー中の宿主細胞または生物を指す。 「予備スクリーニング」なる用語は、目的の活性、化合物または遺伝子の存在 を指示する一般的な生物学的または生化学的アッセイを指す。「スクリーニング 」という用語は、特異的な疾患または臨床的状態に関し、そして標的を使用する 特異的な治療優先の生物学的または生化学的アッセイを指す。「標的」という用 語は、スクリーニングにおいて試験化合物が接触する細胞全体ならびに巨大分子 、例えば、酵素を一般的に指す。予備スクリーニングおよびスクリーニングの使 用は、一般的に発色性指示薬の目視による検出または自動化された画像分析、蛍 光活性化された細胞の選別(fluorescence-activated cells sorting,FACS)によ る蛍光選別またはリポーター様式の存在下におけるライブラリー細胞の集団に対 して行われる磁気細胞選別システム(magnetic cells sorting,MACS)の使用を 具体化するものである。 本発明の方法は、目的の生産細胞を検出および単離する目的のために、これら の細胞と関連する検出可能なシグナルを生成させるための代替的ではあるが、相 互に排他的ではない方法を提供する。リポーターは検出可能なシグナルの生成を 直接的または間接的に可能にする分子であってもよい。例えば、リポーターは発 光分子、またはこの様式の他の構成分によって特異的に認識されうる細胞表面分 子であってもよい。リポーター様式(reporter regimen)には、リポーターおよ びそのリポーターによるシグナル生成を可能にしかつ支持する組成物が包含され る。このリポーター様式には、生きている指示細胞またはその一部分が包含され うる。リポーター様式の構成成分は、ライブラリーの宿主生物中に取り込まれて もよく、または透過性の半固形媒体中で個々のライブラリー細胞とともに、また はプールされたこれらの細胞とともに、同時カプセル封入し、スクリーニングの ためのばらばらのユニットを形成させることもできる。 下記の文章で記載するように、目的の化合物の検出を容易にするために、中性 の樹脂、例えば、Diaion HP20またはAmberlite XAD-S樹脂などの吸収性物質をラ イブラリー細胞の培養物中に添加することができる(Lamら、1995,J.Industria l Microbiol 15:453-456)。多くの二次代謝産物は疎水性分子であるので、かか る代謝産物が放出または分泌されると細胞外で沈殿する可能性がある。培養物中 にかかる樹脂が含まれると、溶出およびスクリーニングのために培養物から取り 出されうる金属イオンの封鎖を樹脂上で引き起こすこととなる。 本発明の一態様においては、化学応答性構築物を含有するように宿主生物を遺 伝子操作する。この構築物は、発現ライブラリー中でスクリーニングされる所望 のクラスの化合物または代謝産物に応答する化学応答プロモーターと機能的に結 合したリポーター分子をコードする遺伝子を包含する。望ましい活性または化合 物の存在下に、陽性クローン中の化学応答性プロモーターを、機能的に結合した リポーター遺伝子の転写を開始させるように誘導する。陽性細胞はリポーター遺 伝子の発現によって生成される検出可能なシグナルによって同定される。 別の態様においては、望ましい活性または化合物が存在する結果として、個々 の細胞中における生理学的変化に応答してシグナルを生成する生理学的プローブ を使用することができる。このようなプローブは、探索された生化学的経路にお ける活性または化合物によって、直接的または間接的にリポーター分子に変換さ れるリポーター分子の前駆体であってもよい。生産細胞と接触すると、生理学的 プローブまたはリポーター前駆体が検出可能なシグナルを生成し、このシグナル により生産細胞の同定および/または単離が可能となる。ライブラリー細胞への プローブまたは前駆体の直接添加によって接触を行なってもよい。あるいはまた 、スクリーニング中のライブラリー細胞へのプローブまたは前駆体のカプセル封 入、および拡散によっても接触させることができる。 本発明のさらに別の態様においては、望ましい活性または化合物の生産をシグ ナルで示すために指示細胞を使用することができ、それによりライブラリーにお ける生産細胞の同定および/または単離が可能となる。生きている全細胞または 固定された指示細胞、またはその細胞画分は個々のライブラリー細胞またはプー ルされたこれらの細胞と混合または同時カプセル封入することができる。望まし い活性または化合物の存在に応答するそれらの生物学的特性について、指示細胞 を選択する。指示細胞は、望ましい化合物の標的細胞であってもよい。あるいは また、指示細胞はリポーターと一緒に使用して検出可能なシグナルを生成させる こともできる。 各ライブラリーのための予備スクリーニングおよびスクリーニングは、宿主生 物、そして可能な場合は、ドナー生物の包括的な特徴付けの後に選択する。宿主 生物が陽性であるアッセイは失格とし、一方ドナー生物が陽性であるアッセイを 受容できるライブラリー予備スクリーニングまたはスクリーニングとする。基質 は望ましい生合成能に適切な酵素の標的であるのが好ましく、または、特異的な クローンのDNAのための転写および翻訳活性の存在を示す不適切な標的(例え ばアミラーゼ、β−ガラクトシダーゼ)に使用していもよい。 本発明のさらに別の態様においては、目的の二次代謝産物の生産または潜在的 な生産のインジケーターとして抗生物質抵抗性を使用することができる。ライブ ラリークローンを一団の抗生物質と接触させた場合、抗生物質に対する耐性は、 自己中毒に対する防御としての二次代謝産物生合成経路に隣接してしばしば見出 されるエフラックスポンプなどの自己防御メカニズムの存在を示しうる。このよ うなクローンは検出の時点では二次代謝産物の生産を示さないかも知れないが、 所望に応じてさらに操作または試験することができる隣接生合成経路を有する蓋 然性が大きくなっている。 本発明はまた、ペトリ皿中における細菌の増殖の古典的な方法にとって代わる 、限定された空間における効率的な細胞増殖の高処理方法としてのカプセル封入 をも提供する。プレートフォーマット中での細胞増殖は労働および物質集約的で あり、一方カプセル封入された細胞は分裂中の細胞が一緒に保持されるという利 点を有しつつ液体培地中で容易に増殖でき、こうして目的の二次代謝産物の検出 を容易にする。カプセル封入のもう一つの利点は、リポーター様式の構成成分お よび/または他の指示細胞をライブラリー細胞と同時カプセル化でき、こうして 予備スクリーニングまたはスクリーニングを別個のユニットで実施できることに ある。細胞のカプセル封入は、アガロース、アルギン酸またはカラギーナンなど の物質を用いる熱によるゲル化またはイオンによるゲル化によって容易に実施で きる。 FACSは粒子の蛍光特性に基づく周知の粒子分離方法である(サイズ1-130μm )(Kamarch,1987,Methods Enzymol.,151:150-165)。FACSは、それぞれの粒子 の蛍光部分のレーザー励起に基づいて作動する。粒子に少量の電荷を加えると陽 性の蛍光が生ずる。この変化により、混合物からの陽性粒子および陰性粒子の電 磁気的分離を行うことができる。分離された粒子は、96ウエルまたは384ウエル プレートの個々のウエル中に直接沈着させることができる。 MACSは磁性のマイクロスフェア(直径0.5-100μm)に結合するそれらの能力 に基づく、周知の粒子分離方法である(Dynal,1995)。細胞表面抗原またはハプ テンを特異的に認識する抗体を共有結合するように添加することを含めて、種々 の有用な修飾を磁性マイクロスフェアに対して行うことができる。あるいはまた 、カプセル封入された細胞を磁化するには、リポーター様式をフェリチンのよう な磁性(magnetogenic)のリポータータンパク質を生成する宿主細胞中に取り込 むこともできる。この場合、陽性シグナルを生成するカプセル封入された細胞が 磁性マイクロスフェアとして作用する。選択されたマイクロスフェアを磁場と接 触させることにより、物理的に操作することができる。例えば、選択したマイク ロスフェアを、反応容器の外側に磁石を適用することにより封鎖すること ができる。 5.2.1 リポーター構築物 本発明にしたがって、ライブラリー中の宿主生物を遺伝子操作して、あるリポ ーター遺伝子と機能的に結合している化学応答性プロモーターを含有する化学応 答性リポーター構築物を含ませるようにすることもできる。この宿主生物および /または構築物は化学応答性プロモーターからの転写調節またはシグナルの生成 に関与する付属タンパク質をコードするその他の遺伝子を含んでいてもよい。 化学応答性プロモーターとは、ある一定の種類の活性または一定のクラスの化 合物の存在下においてのみ、RNAポリメラーゼと結合し、機能的に結合される リポーター遺伝子の転写を開始またはモジュレートすることが可能な、任意の二 重鎖DNA配列である。好ましくは、化学応答性プロモーターは、誘導活性また は化合物が存在しないときには、宿主生物中での構成的転写活性のバックグラウ ンドがないかまたは無視し得るほどの値である。ある活性または化合物の存在に 対して、転写活性を減少させるかまたは停止させることによって、負の応答をす る、化学応答性プロモーターもまた使用することができる。 本発明に有用なプロモーターとして、限定するわけではないが、熱ショックタ ンパク質などの、代謝経路、生物分解経路、シトクロムおよびストレス応答に関 するプロモーター(Orserら、1995,In vitro Toxicol 8:71-85)が含まれる。例 えば、Pseudomonas TOLプラスミドメタ開裂経路のPmプロモーターならびに一群 の安息香酸塩およびハロまたはアルキル芳香族化合物によって誘導およびモジュ レートされるその陽性調節XylSタンパク質が使用される(Ramosら、1988,FEBS Le tters 226:241-246;de Lorenzoら、1993,Gene 130:41-46;Ramosら、1986,Proc N atl Acad Sci 83:8467-8471;Mermodら、1986,J.Bacteriol 167:447-454)。その 他の限定するわけではない化学応答性プロモーターの例として以下のものがある ;ホスホン酸塩の利用に関するプロモーター(Metcalfら、1993,J.Bacteriol 17 5:3430-3442)、シス−シスムコン酸塩に感受性のプロモーター(Rothmel,1990); 抗生物質およびサリチル酸塩に感受性のプロモーター(Cohenら、1993,J.Bacteri ol,175:7856-7862;Cohenら、1993,J. Bacteriol,175:1484-1492)、Staphylococcus aureusからの砒素およびカドミウ ムオペロンからのプロモーター(Corbisierら、1993,FEMS Letters 110:231-238) ;sfiA(Quillardetら、1982,Proc Natl Acad Sci 79:5971-5975)、zwf(Orserら 、1995,上記)。 リポーター遺伝子は検出し得るシグナルを直接または間接的に産生することが できるリポーター分子をコードする。この中に、発色性または磁気性リポーター が含まれ、また生物発光性、化学発光性または蛍光タンパク質などの何らかの光 放出性リポーターを使用することができる。限定するわけではないが、この中に 、Victoria aequoriaの緑色蛍光タンパク質(GFP)(Chalfieら、1994,Science 2 63:802-805)、蛍光が強化された修飾GFP(Heimら、1995,Nature 373:663-4)、Vib rio harveyiのルシフェラーゼ(luxAB遺伝子産物)(Karp,1989,Biochim Biophys Acta 1007;84-90:Stewartら、1992,J Gen Microbiol,138:1289-1300)、および 蛍、Photinus pyralisからのルシフェラーゼ(De Wetら、1987,Mol Cell Biol 7 :725-737)が含まれる。任意の蛍光原性または発色性酵素を使用することもでき 、限定するわけではないが、ベータガラクトシダーゼ(LacZ,Nolanら、1988,Proc Natl Acad Sci USA85:2603-2607)、およびアルカリホスファターゼが含まれる 。任意の細胞表面抗原、例えばE.coliチオレドキシン−フラジエリン融合タンパ ク質、すなわち、E.coli flagellaeの表面においてフラジェリン(fliC遺伝子) との融合タンパク質として発現されるE.coliチオレドキシン(trxA遺伝子)(Lu ら、1995,Bio/Technology 13:366-372)を使用することもできる。 ここで提供する典型的な化学応答性リポーター構築物は、ある種のクラスの安 息香酸塩に応答してリポーター、GFPの転写および翻訳(発現)をする、Pseudom onasのPmプロモーターおよびXylS遺伝子を含む、pERD-20-GFPである(図6参照) 。 PCRによって異なるプロモーター配列が産生されてGFPまたはフラジェリン −チオレドキシンリポーターのコード領域に接着することもある。標準的なDN A精製方法を使用して、適切な種から、対象とするプロモーターを含有するゲノ ムおよびプラスミドDNAを精製して、TE中に再懸濁することができる。プ ロモーター領域の5'および3'境界に対応し、サブクローン化を可能にする制限部 位の配列をさらに含むプライマーを合成することができる。選択した鋳型および プライマーに適するように決定した条件下でサーモサイクラー中で増幅反応を行 なう。反応生成物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、TA Cloning Kit( Invitrogen,La Jolla)を使用してサブクローン化する。増幅したプロモーター 配列をGFPまたはフラジェリン−チオレドキシンcDNAの5'contextにおいて一 般目的用のクローン化ベクター中に再クローン化してもよい。 5.2.2.生理的プローブおよびリポーター前駆体 ここで使用する生理的プローブは、接触または侵入したとき、ライブラリー細 胞または指示性細胞の生理的および/または代謝的パラメーターの変化に応答し てシグナルを産生する、蛍光または発色剤である。 このプローブは、蛍光源剤に連結した酵素基質でもよい。例えば、蛍光源性ア ルキルエーテルを細胞とともにインキュベートすることができる。細胞が多芳香 環炭化水素を産生しているとき、この炭化水素がミクロソームデアルキラーゼを 誘導して、次に蛍光源性アルキルエーテルを切断して蛍光生成物を生成すること ができる。 蛍光プローブは、限定するわけではないが、Shechterら(1982,FEBS Letters 139:121-124)およびBronsteinら(Anal Biochem 219:169-81)に記載されてい るような、以下の生理的および代謝的パラメーターにおける変化を検出するよう に選択される。 原因 染色剤/基質 代謝活性 (特定の例) (化学物質の種類) 膜電位の減少 ストレス、損傷 BacLight染色剤 (イソプロパノール) 半透過性核酸染色剤) 細胞内pH 生理的変化 BCECF-AM(フェノール性 蛍光剤の親油性アセトキシ メチルエステル) シトクロム仲介 多芳香環炭化水素 7−エトキシ−ヘプタデシ 酸化の増加 (ナフタレン)による ル−クマリン(蛍光源性ア ミクロソームデアルキ ルキルエーテル) ラーゼの誘導 5.2.3.ライブラリーの予備スクリーニングおよびスクリーニング 本発明の組合せ遺伝子発現ライブラリーは各種の方法によって予備スクリーニ ングまたはスクリーニングすることができる。これには限定するわけではないが 、可視検査、自動画像分析、分子標識DNAプローブへのハイブリダイゼーショ ン(Tyagiら、1996,Nature Biotechnol,14:303-308)、蛍光活性化細胞選別(FACS )および磁性細胞選別(MACS)が含まれる。スクリーニングは非増幅または増幅 ライブラリーの大量培養物について実施することができる。 本発明の特定の態様において、予備スクリーニングまたはスクリーニング中に 、個々のまたは集積したライブラリー細胞を液滴形態の不活性で安定な多孔性の 半固体マトリックス中にカプセル化する。この半固体マトリックスは巨大分子と 同様に気体および液体を透過させ、カプセル内の細胞を成長および分割させる。 好適なマトリックスの例として限定するわけではないが、アガロース、アルギン 酸塩、およびカラギーナンが含まれる。カプセル化されたライブラリー細胞は液 滴中で培養および試験することができ、生存し続けるので、次の操作のために細 胞を液滴から回収することができる。場合によってはマトリックスを抗生物質な どの物質に暴露し、選別し得るマーカーを有するライブラリー細胞を選別するこ とができる。ライブラリー細胞の成長を維持するために、液滴を栄養素に暴露す ることもできる。以下の実施例は説明のために提供するものであって、いかなる 意昧でも本発明を限定するつもりはない。 カプセル化は、以後の予備スクリーニングまたはスクリーニング中に使用する 検出方法によって、巨大液滴(0.5−2.5mmの液滴)または微小液滴(10−25 0μmの液滴)のいずれかを産生する多くの方法の1つによって実施される。液 滴のサイズおよび組成は液滴の形成中に調節することができる。好ましくは、各 巨大液滴または微小液滴が1−5個のライブラリー細胞を含むようにする。 例えば、アルギン酸ナトリウムを使用して以下のようにして巨大液滴を調製す ることができる:オーバーヘッドミキサーを2000rpmで使用して、アルギン酸ナ トリウムを100ml無菌水に溶解して濃度1%とする。E.coliまたはSchizosaccharo myces pombeおよびSaccharomyces種などの酵母;またはStreptomyces種の胞子; Bacillus subtilis;ならびにAspergillusおよびNeurospora種などの糸状菌のラ イブラリー細胞の1容積を、液滴あたり1−5細胞がカプセル化されるように、こ のアルギン酸ナトリウム溶液に添加する。混合物を脱気するため少なくとも30分 静置し、分離した液滴を形成させる任意の器具によって押し出す。こうした器具 の1つは25ゲージの針を有する注射器である。緩やかに撹拌している135mMの塩 化カルシウム溶液のビーカーにこのアルギン酸ナトリウム溶液を一滴ずつ添加す ることによって、液滴が形成される。液滴を10分間固化させ、その後無菌フラス コに移し、塩化カルシウム溶液を除去し、好適な生育培地と置換する。カプセル 化されたライブラリー細胞は標準条件下で生育することができる。 微小液滴は限定するわけではないが、2液境界噴霧器、静電液滴生成器、振動 オリフィス系、および乳化などの、小さな液滴を製造する任意の方法または器具 によって製造することができる。半固体液滴を調製するためのその他の方法は当 業界で周知である。例えばWeaver,米国特許第4,399,219号を参照されたい。 以下の例は乳化手法を使用する微小液滴を製造するためのプロトコルである(M onshipouriら、1995,J.Microencapsulation,12:255-262)。オーバーヘッドミキ サーを2000rpmで使用して、0.6gポリリン酸ナトリウムおよび2%アルギン酸ナト リウムを100ml無菌水に溶解し、このアルギン酸塩溶液を60分脱気させる。キャ ノーラまたはオリーブ油などの油300mlおよび精製大豆レシチン1.0gを少なくと も30分混合することによって、油層を調製する。50%グリセロール10ml中に硫 酸カルシウム1.9gを含有するスラリーを少なくとも15分の音波処理によって調製 する。このスラリーおよび1液滴あたり1 −5細胞を含むような量のライブラリー細胞を油層に導入する直前にアルギン酸 溶液中に混合する。アルギン酸塩混合物をゆっくり油層中に移すことによって、 乳化過程を開始させ、580rpmで10分混合する。その後無菌水500mlを添加し、5 分間混合を続ける。その後、遠心分離によって油層から微小液滴を取り出すこと ができる。この微小液滴を洗浄し、必要ならば標準条件下で培養することができ るように、好適な生育培地中に再懸濁する。微小液滴のサイズを位相顕微鏡によ って調べる。FACSまたはMACSによる選別の目的において、液滴が選別に必要な範 囲の所望のサイズ外である場合には、必要なサイズ限界のフイルター膜を使用し て、液滴のサイズを選別することができる。 本発明にしたがって、リポーターレジメまたは薬剤スクリーンの標的もまた、 ライブラリー細胞(単数または複数)とともに液滴中にカプセル化することがで きる。前述のような巨大または微小液滴の形成の前に、媒体中に懸濁させたライ ブラリー細胞に全指示細胞またはバイオアッセイ、酵素、若しくはリポーター分 子を含む細胞画分を混合することができる。ライブラリー細胞によって産生され た対象化合物が液滴内に集積して拡散し、指示細胞またはリポーターが共カプセ ル化されてシグナルを産生する。この共カプセル化指示細胞は所望の化合物の生 体標的、例えば抗感染薬に対する病原体、または抗ガン剤に対する腫瘍細胞でも よい。指示細胞の死、または成長阻害などの代謝段階の何らかの変化があるシグ ナルを形成し、当業界で既知の各種の方法によって液滴内で検出することができ る。こうした方法として限定するわけではないが、生体染色剤などの生理的プロ ーブの使用、または液滴の光学的性質の測定が含まれる。 液滴がリポーターレジメにさらされたとき、カプセル化されたライブラリー細 胞およびリポーター成分によって生成される代謝物および化合物は、半固体の媒 体を介して拡散してシグナルを産生する。例えば、ある生理的プローブを液滴の バッチに添加し、その後これを適当な選別フォーマットにかける。ライブラリー 細胞(群)が液滴内で分割することができる場合は、当初の陽性細胞(群)の子 孫が微小コロニー内に共に存在することになり、これによってより強いシグナル が産生される。シグナルが有効に検出されるためには、半固体媒体が例えばある 範囲の波長の光を透過するなどの、リポーターによって産生されるシグナルに光 学的に適合するものが好ましい。 巨大液滴は発色性リポーターを使用して、肉眼で、または液滴をあるスクリー ニングポイントを通過させて陽性物を分離することができる器具を使用してスク リーニングすることによって、選別することができる。巨大液滴はFACSまたはMA CSのいずれかを使用して選別することができる。FACSサービスはいずれかの好適 な機械(例えばBecton-Dickinson FACStar Plus)上で適格なオペレーターによ って実施される。粒子の懸濁密度(細胞または液滴)を1×106粒子/mlに調整す る。すべての場合に、陽性物をマルチウェルプレート内に1ウェル当たり1クロ ーンずつ直接分別することができる。MACSはMPC-M磁性管台を使用して、製造会 社の指示にしたがって実施する(Dynal,5 Delaware Drive,Lake Success,New Yor k 11042)。 予備スクリーニングまたはスクリーニングにおいて陽性であることがわかった カプセル化細胞は好適な寒天または液体生育培地のいずれかに入れて培養するこ とによって、または液滴をクエン酸ナトリウム中に溶解することによって回収す ることができる。一定期間の培養後、陽性細胞が液滴の外まで成長することがあ る。液滴の操作および保存の便宜のためには、その後の培養をマルチウェルプレ ート中で実施するのがよい。 より小さな集団に減量した予備スクリーニング陽性物をその後グリセロールの 存在下で凍結して保存するか、またはマルチウェルプレート中で培養することが できる。マルチピンレプリケーターを使用して、クローン群を各種の型のアッセ イプレート(例えば、分別用媒体、選別用媒体、抗微生物または遺伝子操作アッ セイローン(lawn))に移すのに、これらを使用することができる。これらのマイ クロタイタープレート中で特定のアッセイを実施し、標準プレートリーダーまた は現在高度に利用されているスクリーニング技術に使用する任意のその他のフォ ーマットによって読み取ることもできる。 論点を明確にするために、以下の分節において、原核および真核のドナーおよ び宿主生物を含む、本発明の各種の態様をより詳細に記載する。以下の態様は好 例であって、限定するつもりのものではない。 5.3.ドナー生物からの高品質核酸の調製のためのプロトコル 出発物質として高品質のDNAまたはRNAの利用可能性は、ドナー生物の遺 伝情報の典型であるDNAライブラリーの構築において重要である。ドナー生物 の培養物または外界のサンプルから高品質の核酸を抽出、選別および調製する方 法をこの節において提供する。第2次代謝に関連するDNAを富化する目的でD NAライブラリーを予備スクリーニングするのに使用するサブトラクトされた(s ubtracted)DNAの調製方法もまた記載する。 5.3.1.イソチオシアン酸グアニジン核酸の単離 凍結乾燥または非凍結乾燥材料を機械的粉砕機を通過させることによって、あ るいはまた微細ガラスまたは軽石を存在させた乳鉢と乳棒で手動で粉砕すること ができる。粉砕直後に、粉砕した凍結乾燥材料を材料1−2g当たり10mlの溶解緩 衝液と混合する。溶解緩衝液は5Mイソチオシアン酸グアニジン、50mM Hepes p H7.6、10mM EDTA、および5%β−メルカプトエタノール(または250mM DTT)か らなっている。混合して50℃で5分間インキュベートした後、溶液に4%サルコシ ルとなるように混合し、50℃でさらに5分間インキュベートした後、8000gで遠心 分離する。上清が肉眼で濁っている場合は、不必要な炭水化物を沈降させるため に、27,000gで90分間の遠心分離ステップを使用してもよい。あるいは、不必要 な混濁物がある溶解液を清澄化するために、15,000回転を使用してもよい。遠心 分離後、上清を1.42M CsCl(0.15gCsCl/ml)とし、あらかじめ調製し ておいた超遠心管中の5.7MCsCl/TE(10mM Tris-HCl/1mM EDTA)溶液 上に層状に置く。超遠心分離を160,000g、20℃で18時間実施することができる 。超遠心分離後、1.42M/5.7M CsCl界面の透明なゼリー状の層がDNAで あり、一方全細胞RNAは管の底部に透明なペレットとして存在する。 超遠心分離ステップからのDNAをTE緩衝液に対して透析し、0.1M NaCl とし、2.5倍容積のエタノールで沈殿させ、乾燥し、そして適当な量のTEに再溶 解する。DNA層が白色の場合は、これを取り出して、CsCl/ビスベンジド イミド勾配中で8時間再遠心分離し、残存する炭水化物を除去する。染料 は85%イソプロパノールで2−5回の洗浄で除去することができ、DNAを上記の ように透析して処理する。 RNAは再懸濁用緩衝液(5Mイソチオシアン酸グアニジン、50mM Hepes pH 7.6、10mM EDTA)に再溶解し、50mM Hepes pH7.6、10mM EDTA溶液で1.33Mイ ソチオシアン酸グアニジンになるように希釈する。全RNAが必要な場合は、こ の希釈したRNAサンプルを2倍容積のエタノールまたは1倍容積のイソプロパ ノールを添加して沈殿させる。沈殿したRNAを70%エタノールで洗浄し、乾 燥し、水またはホルムアミド中に再懸濁させ、使用まで-70℃で保存する。 5.3.2.ポリ(A)−含有RNAの単離 真核mRNA分子の大多数が3'末端に長さ250塩基までのポリ(アデニル)酸 束を含有しているので、オリゴ−dTセルロースマトリックスを使用したアフィニ ティークロマトグラフィーによって、これを精製することができる。非常に多種 の市販のオリゴ−dTセルロースマトリックスを使用することができ、限定するわ けではないが、これには単純重力カラム、常磁性粒子、スピンおよびプッシュカ ラムが含まれる。単離したmRNAを水またはホルムアルデヒドに溶解するか、 あるいは-70℃で乾燥して保存する。 5.3.3.全RNAからの非リボソーム配列の富化 培養が困難なまたは培養できないドナー生物から有用なRNA集団を得る際に は、非リボソーム配列の富化が主要なステップとなる。中性ショ糖勾配上でのR NAの分画はその他のRNA種から主要なリボソームRNAを精製するのに有用 となり得る(R.McGookin 1984,In Methods in Molecular Biology Vol.2 Nucleic Acids.Humana Press,pp.109-112)。遠心分離の後、最も大量のリボソームRN Aを捨てて、残りの画分を透析して沈殿させる。 出発材料中の少量のRNAを増幅するため、ランダム尾部オリゴ−dTプライマ ーとともにまたはこれを含まないランダムプライマーを利用する他の方法および PCRを使用することもできる。 5.3.4.クレノウ断片を使用するフィルイン(fill-in)反応 5'付着末端にヌクレオシドを付け加えるためのE.coli DNAポリメラーゼの クレノウ断片または3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているその他のDN Aポリメラーゼの使用は、消化後にDNA分子に平滑末端を形成させるためによ く使用される、標準的な技術である。完全ヌクレオチドセットを用いないで使用 する場合は、こうした活性はそれ自体内では不適合であるが他のものとは適合す る連結末端の形成に利用することができる。 こうした技術は高力価の遺伝子ライブラリーおよび構築物を製造するのに使用 されてきた(Hungら、1984,Nuc Acids Res 12:1863-1874;Zaborovskyら、1986,G ene 42:119;Foster,1991,Ph.D.論文、University of Californla,Santa Barba ra;Loftusら、1992,Biotechniques 12:172-175.)。 フィルイン反応はクレノウ緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.5,10mMMgCl2 ,50mg/ml BSA,1mM dNTP)、酵素(10 U/50μl反応)とともに37℃で3−4時間 インキュベートして実施される。反応後、限定するわけではないが、アフィニテ ィークロマトグラフィー、エタノール沈殿およびスピンカラム遠心分離を含む各 種の方法によって、DNAを精製することができる。 5.3.5 予備スクリーニング用のサブトラクトされたDNAプローブの調製 プロトコール RNAを若い、対数増殖中期にある、まだ分化していない複雑な生活環にある 生物培養より単離してもよい。このRNAプールは未分化の成長及び一次代謝に 関与する遺伝子に対して相補的である。このRNAを試験管内でビオチン化し、 同族種あるいは極めて関連性のある異なる種から無作為に切断した遺伝子サイズ のゲノムDNAの断片と過剰にハイブリダイズする。この混合物をフェノール抽 出することで、界面における一次代謝RNAに相補的なゲノム配列が除去される 。この操作をもう一度繰り返してもよい。得られた1本鎖DNA断片は一次代謝 遺伝子の(+)鎖と、二次代謝関連遺伝子を含むその他の遺伝子の(+)および (−)鎖から構成される。このDNA混合物を変性し、関連する配列だけが再ハ イブイ リダイズし2本鎖のDNAを形成するような極めてストリンジェントな条件下で 5−10ハーフCotsで再びハイブリダイズする。残った1本鎖DNAは、ハイド ロキシアパタイトと結合させるか、ヤエナリヌクレアーゼで消化することによっ て取り除くことができる。それから、非一次代謝関連遺伝子に代表される単離2 本鎖DNAはランダムプライミングを利用して標識することができ、ライブラリ ーの予備スクリーニング用のプローブとして利用することができる。 5.3.6 土壌あるいはその他の混合した環境サンプルからの核酸の精製 土壌サンプルは液体窒素で瞬時に凍結し、処置するまで−70℃で保存する。 あるいは土壌サンプルは−20℃で凍結保存する。サンプルは使用直前に氷上で 融解するか、処置前に凍結乾燥する。 全核酸を材料の物理的状態および採取元に依存してマイナーな変更を加えた多 数の方法を用いて抽出する。乾燥から半乾燥状態のサンプルを凍結し、直接処置 する;非常に湿った状態のサンプルは瞬間凍結してから凍結乾燥する;油状のサ ンプルは処置前にリン酸バッファー生理食塩水で希釈する。以下の手順のいずれ かを利用してもよい。Ogramら,1987,J.Microbiol.Meth.7:57-66;Steffanら, 1988,Appl.Environ.Microbiology,54;137-161;Wernerら,1992,J.of Bact. 174(15):5072-5078;Zhouら,1996,Appl.Environmental Microbiol.62(2):316- 322. 簡単に説明すると、5gのサンプルを暖めたグアニジンイソチオシアネート酸 溶解緩衝液に滴下して直接溶解し(5.3.1節参照)、塩化セシウムで精製した 。あるいは、サンプルを50mlの遠心管の中に入った13.5mlのDNA抽 出バッファー(100mM Tris-HCIpH8.0、100mM EDTA、100mMリン酸カリウム、1.5mM NaCl、1%CTAB(ヘキサデシルメチルアンモニウムブロマイド)と100μlの 20mg/mlプレテイナーゼKと混合し、水平攪拌器で225rpmの速度で 30分間、37℃で振盪した。振盪後、20%のSDSを1.5ml加え、サン プルを15−20分間隔で回転させながら振盪して65℃で2時間インキュベー トした。6000×g、10分間、20℃の遠心分離により上清を集めた。ペレ ットを4.5mlの抽出緩衝液と0.5mlの20%SDSを加 えて1分間ボルテックスし、さらに10分間65℃でインキュベーションして再 度遠心分離する操作により3回再抽出した。上記3回の抽出で集めた上清を2回 、クロロフォルム−イソアミルアルコール(48:1)で抽出する。得られた核 酸を0.6容量のイソプロパノールを加え、1時間インキュベーションした後に 16,000×gで20分間室温で遠心分離することにより、沈殿させた。その 後、この粗核酸ペレットを10mMのTris-HCLpH8.0、2mM EDTAで再懸濁した。必 要に応じてこのDNAをDEAEクロマトグラフィーでさらに精製した。全RN Aを4Mの酢酸リチウムあるいは酸性フェノール抽出による選択的な沈殿により 粗ペレットから得た(Ausubelら,1990,Greene publishing Associates and Wil ey Interscience,New York;Hobenら,1988,Appl.,Environ,Microbiology,54 :703-71)。 5.3.7 DNAの修復 切れ目の入った、あるいは分解したDNAサンプルを、T4 DNAポリメラ ーゼ(New England Biolabs)を用いて断片化した末端を最初に平滑化して修復し た。このDNAを平滑化緩衝液(50mM Tris-HCl pH7.8、10mM MgCl2、40μM dNT Ps、5U/10μg T4 DNAポリメラーゼ)内で1−2時間、37℃で処置した。D NAに1/10容量の3M酢酸ナトリウムと2.5容量の100%エタノールを 加えてエタノール沈殿した。 遠心分離し水中に再懸濁した後に、DNAサンプルをE.coli DNAリ ガーゼ緩衝液中で(50mM Tris-HCl pH7.8、10mM MgCl2、10mM DTT、26μM NAD+ 、ならびに25μM BSA、10UのE.coli)E.coli DNAリガーゼで1−2時間、1 6℃で処理した。処理後、DNAサンプルを20mMのTris−HCl pH 8.0、0.3Mの酢酸ナトリウム液で5倍に希釈し、一度フェノールで抽出し 、さらに一度クロロフォルムで抽出した。水相に2.5容量のエタノールを加え 、DNAを沈殿させた。このサンプルを70%エタノールで2回すすぎ、滅菌水 あるいは10mM Tris-HCl pH8.0、1mM EDTAで再懸濁し、使用するまで−70℃で 凍結した。 5.4. 原核生物発現ライブラリー用プロトコール 本節では原核生物宿主とドナー生物を用いた自然経路発現ライブラリーならび にキメラ経路発現ライブラリーを調製する方法を示す。以下の手順では5.3. 1−5.3.4節に記載した技術により得られた精製高品質DNAを使用しても よい。 5.4.1. 細菌種、株、ならびに培養条件 特に発現が良好な宿主生物は、制限マイナス、エンドヌクレアーゼ欠損、組み 換え欠損のものである。例えば大腸菌では、好ましい株は、XL1-MR(遺伝子型:Mc rA-、McrCB-、McrF-、Mrr-、hsdr-、endal-、recA-)である。Streptomycesで好 適な株はS.livldans TK64である。Bacillus subtilisでは好適な株はB.subtilis PB168 trp C2:B.subtrisPB5002 sacA、degUhy;B.subtilis PB168delta trpC2,p ksdelta 75.8;B.subtilis ATCC 39320ならびに39374である。 ドナー生物は細菌種である。幾つかのものは、現行のアッセイにより検出可能 な特異的化合物を産生できるかどうかで選別する。その他は、潜在的な興昧深い 環境サンプル中に存在しているか否かで選別した。幾つかの例では、海洋細菌は Harbor Branch Oceanographic InstituteならびにScripps Institute of Oceano graphyから得た。これらは通常は海岸より200マイル以上はなれた公海より採 取した。代謝試験ならびにグラム試験、そしてコロニーの形態観察を、サンプル が分類学上、異なることが保証するのに必要な程度まで実施した。 ライブラリーストックを調製する場合には大腸菌は37℃で増殖させ、発現の ためには30℃で増殖させた。海洋性のActinomycesとStreptomyces種は30℃ だけで増殖させた。 5.4.2. ドナーのゲノムDNAの調製 各種の細菌種より10mLの培養物を増殖させた。細菌を遠心分離によりペレ ット化させてから、10mM Tris、5mM EDTA(TE)で再懸濁する。DNAは5.1. 2.節,記載の方法で精製するか、細菌のペレットをSDS/プロテイナーゼK で可溶化してから、フェノール:クロロフォルムで抽出し、イソプロパノー ルで沈殿させてもよい。得られた精製DNAをTE中で一晩再懸濁する。 各精製DNAの一部を取り、アガロースゲル電気泳動にかけて組み込みを確認 し、DNA濃度を求めた。 自然経路発現ライブラリー用のランダムな大DNA断片を調製するために、各 種について20μgのDNAを部分的にSau3Aの様な頻回切断酵素(frequen t-cutting enzyme)で、1×酵素緩衝液ならびにμgDNA当たり0.01−0 .5単位の酵素中で1時間、37℃でインキュベートすることで消化した。使用 する酵素の量を経験的に決定し、希望する大きさの範囲のものを得ることができ る。消化されたDNAを集め、フェノール:クロロフォルムで抽出し、エタノー ルで沈殿させる。ゲノムDNAの大きな未変性断片が必要な各ライブラリーにつ いてこの混合物100μgを用いる。この混合物は任意にショ糖勾配を利用して 分子量分画が可能である。キメラ経路発現ライブラリー用の小さなDNA断片も 同時に分子量分画法で選別することができる。 消化および分子量分画の成否についてはサンプルの一部をアガロースゲル電気 泳動にかけて確認する。 5.4.3. 原核生物プロモーター断片の生成 一つの実施例では、合成オリゴヌクレオチドを用いて、ベータガラクトシダー ゼプロモーター(lac)を2コピーを含有し、1つはユニークなBamH1サ イトのいずれかの端に位置し、これに挟まれて中央に位置するBamH1サイト に向かって転写方向があるように各lacのコピーが配置された断片を構築する (図4A)。合成オリゴヌクレオチドは合成機を用いてリン酸化される。各オリ ゴヌクレオチド400ngを5分間煮沸することによりアニールしてから、T4 DNAリガーゼを用いて室温で30分間ライゲートする前に30分以上かけて ゆっくりと25℃まで冷却する。ライゲーション混合物をアガロースゲル電気泳 動にかけて、それから2−7kbp断片を切り出しGene Cleanで精製する。連結 された対をなす適切に配向されたカセットを、T4DNAリガーゼを1×リガー ゼ/PEG緩衝液中で、15℃で16時間インキュベーションすることによりp BSKプラスミドベクターのSmalサイトに挿入する。ライゲーション混 合物をXL1−MR細胞中に導入する。個々のクローンを制限酵素分析により解 析し、任意に配列を決定し配向と正確性を確認してもよい。 pBSK-(lac/lac)nクローン(nは2から10の間の整数)を0.3リッター量 で培養し、プラスミド調製キット(Qiagen)を用いてプラスミドを精製する。選別 し、精製したpBSK-(lac-lac)n40μgを1×緩衝液中でSma1で完全に消化す る。消化したDNAはアガロースゲル電気泳動にかけてlac/lacプロモーターダ イマーを切り出し、Gene Cleanで精製し、それから1×緩衝液中でBamH1で完全 に消化する。図の4Bと4Cを参照のこと。消化されたプロモーターモノマーを フェノール:クロロフォルムで抽出し、エタノールで沈殿させ、さらに1×CI AP緩衝液中でCIAPで処置して脱リン酸化した。脱リン酸化され、消化され たプロモーターは前記同様に抽出し、沈殿して−20℃で保管するか、さらに使 用するまで20ng/μlの濃度でTE中に再懸濁する。 その他の実施例では、調製したプロモーター断片を同様に調製したリンカー( プロモーター配列を含まない)と混合してからドナーのゲノムDNAとのライゲ ーションに使用する。アンチセンスの転写を考えると、この処置によって1つの プロモータだけを有するカセットが生成する。 5.4.4. コンビナトリアルキメラ経路発現ライブラリー用遺伝子カセット の調製 1つの実施例では、ゲノムDNAのBamHI-BamHI断片(平均サイズ3.5kb p)を過剰量の脱リン酸化したプロモーター断片と混合し、連結する。ゲノムD NA断片に対するプロモーターのモル比は20:1である。得られた単位(la c/ゲノムDNA断片/lac)の平均サイズは約4kbpである。その他の使 用できる原核生物プロモーターとしては、他の大腸菌プロモーター(Harleyら.,1 987、Nuc Acid Res15:2343-2361)、ならびにStreptomyces種の発現宿主での使用 のためのStreptomycesプロモーター(Strohl 1992、Nuc Acid ResV20:961-974)が 挙げられる。組み換え能力が未定あるいは有意である宿主の場合、いくつかのカ セットを含むどのクローンもいくつかの異なるプロモーターを含む様に、一連の 異なるプロモーターを使用することが望ましい。 5.4.5. 固相支持体の調製 ウルトラリンク固相化ストレプトアビジンビーズがPierce(Cat.No.53113)より 市販されている。3M Emphaze Biosupport Medium AB1”ブランクビーズ”がPier ce(Cat.No.53112)より市販されている。他社からの同様の固相支持体は、いずれ も本手順に使用してもよい。 オリゴヌクレオチドはLife Technologies(Gibco-BRL)社より得た。オリゴヌク レオチド“ビーズ−リンク−5”は5’ビオチン-GCC GAC CAT TTA AAT CGG TTA AT 3'である。“ビーズ−リンク−3”は5’リン酸−TAA CCG ATT TAA ATG GT C GGC 3'である。アニールすると、これらオリゴヌクレオチドはSwaI制限エンド ヌクレアーゼサイトを含む(以下に下線で示す)。アニールしたビーズ−リンクオ リゴヌクレオチドはまた3’端のATの突き出し配列を残す。この突き出し配列 はオリゴヌクレオチドビーズ−リンク−5では太字で示される。 ビオチン−GCC GAC CAT TTA AAT CGG TTA AT CGG CTG GTA AAT TTA GCC AAT 各ビーズ−リンクオリゴヌクレオチドをエッペンドルフチューブ内で等モル量 づつ混合する。5M NaClをチューブに加え、最終濃度を300mMとする。60 ℃、1.5時間反応させた。アニーリングは非アニーリングオリゴヌクレオチド を対照として用いるアガロースゲル電気泳動にて確認した。 ブランクビーズを調製するために、100mgの乾燥ビーズをリン酸緩衝生理 食塩水(PBS)1ml内に再懸濁した。ウシの血清アルブミン(BSA)を最 終濃度が1mg/mlになる様に加えた。このビーズを室温で4時間旋回攪拌し た。ビーズを遠心分離でペレット化し、1M Tris-HCl pH8.0で室温で2時間洗浄 することを3回繰り返し、未反応のアザラクトンサイトをブロックした。ビーズ を短時間遠心分離してペレット化し、PBSで徹底的に洗浄した。ブランクビー ズは使用時までPBS中に4℃で保存した。 ビーズ−リンクオリゴヌクレオチドをストレプトアビジンビーズに結合させる ために、前もってアニールしたオリゴヌクレオチド10μgを1×結合緩衝液(P BS、500mM NaCl)中で20μlのUltralink固定化ストレプトアビジンビーズと混合 した。ビーズを室温で3時間転倒インキュベーションし常に懸濁する様にした。 ビーズをペレット化し、1mlの結合緩衝液で3回洗浄した。それからビーズを 洗浄し、1×ライゲーション緩衝液(50mM Tris-HCl pH7.8、10mM MgCl2、10mMジ チオスレイトール、1mM ATP、25μg/ml BSA)で平衡化した。 ビーズは使用時まで4℃に保管した。 5.4.6.コンビナトリアルキメラ経路発現ライブラリーの組立て マグネチックビーズへの遺伝子カセットの結合:遺伝子カセットはT4ポリヌ クレオチドキナーゼを用いて1×キナーゼ緩衝液中でリン酸化する。リン酸化し た断片をエタノールで沈殿させてからTE中に再懸濁する。この1/10を2種類の 短い非リン酸化合成リンカーの混合物に結合する。残りの9/10はその後の手順に 使用する。各リンカーは2種類の稀な切断酵素の1つ、Not1あるいはSrf1いずれ かを有する。さらに、Not1-含有リンカーはオリゴヌクレオチド合成時にビオチ ン化する。Not1およびSrf1リンカーをそれぞれ100:100:1の割合でリン酸化転写 単位と混合し、T4 DNAリガーゼを用いて1×リガーゼ/PEG緩衝液中で1 6時間、15℃でライゲートさせる。この混合液をアビジン結合MPG磁気ビー ズに結合させ、それからメーカーのプロトコールに従ってライゲーション混合物 からビーズ結合転写単位を除去する。 ライゲーションしたDNAの混合物のおよそ1/2は一端にビオンチン化したNot 1リンカーを、もう一端にはSrf1リンカーを有することになる。Not1端はアビジ ンービオチン結合でビーズに結合することになる。Not1リンカーを両端に有する 断片は次の付加ステップには関与しない。Srf1リンカーを両端に持つ断片は磁気 分離のステップでは保持されない。 ビーズ結合DNAへの付加用DNAのプールの調製:リン酸化した転写単位の 残りの9/10を上記の如く結合させたが、Srf1リンカーに対するものだけをSrf1 で完全に消化し、脱リン酸化し、精製後、エタノールで沈殿させる。 ビーズ結合DNAの脱保護:ビーズに結合した転写単位を1×のSrf1緩衝液内 でSrf1酵素で完全に消化する。反応は熱で不活性化し、ビーズは磁気分離で 除去する。 濃縮:それからビーズを1×ライゲーション緩衝液中の脱リン酸化したSrf1− Srf1消化転写単位を含むライゲーション混合物に加える。ライゲーションはT4 DNAリガーゼを添加して開始し、リガーゼを熱で不活性化させビーズを磁気分 離する前に60分間、25℃で進行させた。ライゲーションは主にリン酸化した ビーズに結合したDNAと非リン酸化転写単位の間で生じることになる。ビーズ 上の転写単位はT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化され、熱で不活性化さ れてから磁気で分離され、そしてさらにT4 DNAリガーゼが加えられたライゲ ーション混合物に戻される。 このサイクルをNot1による消化によりビーズからポリマーを切断する前に10 回繰り返す。切断されたDNAはエタノールで沈殿してから、TE中に再懸濁さ れ、発現宿主に合わせて使用する、SuperCoslやその他のベクターに挿入する前 に大きさの範囲と質をアガロースゲル上で調べる。このコンカテマーを用いて5 .4.5.節に記載の様にして適当な発現宿主において原核生物ライブラリーを 作成する。 5.4.7.コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーの組立て 大腸菌ライブラリーの発現ベクターは、望ましくは30〜42kbpの大きさの挿入 体を維持できるコスミドSuperCos1である。SuperCos1内へのDNA断片の挿入と Gigapack抽出物によるパッケージングをメーカーの指示に従い行う(Stratagene) 。 簡単に説明すると、XL1-MR宿主細胞をDNAライブラリーを含むSuperCos1フ ァージに感染させる。この作業は以下の様にして行う:XL1-MR細胞を一晩5mLの 1%のマルトースと10mm MgSO4を含むLB培地5mL中で、300rpm、37℃で増殖さ せる。一晩培養したものをl:10に希釈し、LB/10mM MgSO4内、300rpm、37℃で 3時間培養する。この培養液を800×gの遠心分離でペレット化してから5mLのL B内に再懸濁する。この懸濁液600μlをファージ粒子内にパッケージされたラ イブラリー500cfuと共に周囲温度で30分間インキュベートし、さらに300rpm、 37℃で8倍量のLBで60分間インキュベーシ ョンした。 発現ライブラリーを増幅するために、感染した宿主細胞を50μg/mLアンピシリ ン含有の50mL LBを有する150mmのペトリ皿上に広げる。このプレートは前もって 48時間周囲温度で乾燥させておく。細胞を広げた後に、プレートを37℃で一晩イ ンキュベートする。プレート面のコロニーをかき集め、プレート当たり3mLの15 %グリセロール、85%LBで再懸濁する。この細菌の懸濁液は使用するまで−70℃ で保存した。 個々のクローンをスクリーニングするためのライブラリーを調製するために、 感染した宿主細胞を50μg/mLアンピシリン含有の50mLのLBを有する150mmのペト リ皿上に広げる。このプレートは前もって48時間周囲温度で乾燥させておく。 細胞を広げた後に、プレートを37℃で一晩インキュベートする。 得られたコロニーを滅菌した爪楊枝で拾い上げ、マルチウエル型プレートに、ウ エル当たり一つの割合で移す。384ウエル型プレートの各ウエルには75/μlLB、 50μg/mLのアンピシリン、7%のグリセロールが含まれている。外側の列(合 計80ウエル)には接種しないが、同様に培地を加えその後のインキュベーショ ンと凍結の間の乾燥を防いだ。この接種したマスタープレートを振盪しないで3 7℃に16時間放置する。一晩おいたマスター384ウエル型プレートを元プレー トとして利用して1枚以上の384ウエル実験プレートあるいはオムニトレー(Omni -Trays)を複製する。マスターの384ウエル型プレートはそれから個別にシールし て−80℃で凍結する。複製は384ピンレプリケーターを利用して行う。各使用 の前後に384ピンレプリケーターを漂白剤に20秒間順次漬けて、さらに水に3 0秒漬け、それからエタノールに5秒漬けてからフレイミング(flaming)する。 ライブラリーの組み立て方法は選択したベクターと発現宿主によって異なる。 5.4.8.発現ライブラリーの予備スクリーニング 予備スクリーニングの方法には3つのカテゴリーがある:細胞内予備スクリー ニング、差別化(differential)予備スクリーニング、ならびに選択予備スクリー ニングである。 簡単に説明すると、最初のカテゴリーである細胞内予備スクリーニングはライ ブラリーを化学反応性レポーター構築物を含むよう設計された宿主内に導入する 方法である。レポーターはGFP(緑色蛍光タンパク質)あるいはβ−ガラクトシ ダーゼであり、選別は蛍光活性化セルソーティング(FACS)または巨大液滴選別で 行う。 第二のカテゴリーである、差別化予備スクリーニングは、宿主中のライブラリ ーを蛍光性あるいは発色性の生理学的トレーサーと一緒にインキュベーションし た後にFACSあるいは巨大液滴選別法で分ける方法である。 第三のカテゴリーである選別予備スクリーニングは、宿主中のライブラリーを 抗生物質の様な選択薬剤と一緒にインキュベーションし、それからFACSあるいは 巨大液滴選別法で生存あるいは増殖している細胞を同定する方法である。 いずれの方法でも、細胞の選別は個別の培養物を調べる前に増幅したライブラ リーのバルク培養物で行う。 ライブラリーはFACSあるいは巨大液滴選別法で予備スクリーニングされてもよ い。DNAライブラリーを含む宿主細胞のプールを高密度あるいは低密度の微小 環境のいずれかを促進する次の2種類の方法の一つで培養する。 最初の方法は、増幅ライブラリーの細胞を個別の細胞として試験する方法であ る。大腸菌のライブラリーの一部を4時間、30℃で20容量の培地中で300rpm の条件下で増殖してから、ペレット化し、さらに1容量の滅菌ddH2O内に再懸濁 してから、蛍光プローブと共にインキュベーションし(必要な場合)、それから氷 上に置いてFACS設備に運ぶ。 第二の方法では、FACSあるいは巨大液滴選別法の設備に運ぶ前に、増幅したラ イブラリーの一部をカプセル化して5.2.3節に記載のような基質あるいは選 別剤の存在下に培養する。 培養物を蛍光トレーサーあるいは基質を用いて試験する場合には、培養物をdd H2Oに再懸濁し、さらに製造元のプロトコールに従うFACSの前に以下の典型例の 様にして染色する:インキュベーションは暗所、室温で15分間行い、それから 1.5mLの微小遠心管内で5分間ペレット化してから1容量の冷ddH2Oに再懸濁する 。 選別後、発現ライブラリーより選別された1〜1000クローンあるいは巨大液滴 のプールを0.5Lの栄養培地内で培養する。培養菌と培地を0.5Lの酢酸エチルで抽 出して化学分析に廻した。ロータリーエバポレーションで、1リッターの培養液 当たり約20mgから1gの粗有機抽出物が得られる。同起源のクローン化DNAを 精製して、宿主細胞を再度形質転換して関連する配列がコスミドに局在化してい ることを確かめる。ライブラリークローンを発現させて得た化学サンプルを一連 のカラム(陽イオン性、陰イオン性、逆相)を用いたHPLCで試験し、次いで NMRを用いた定性的化学分析を行ってもよい。 5.4.9.プレート複製による海洋性グラム(−)菌/大腸菌(E.coli)ライ ブラリーの代謝試験 それぞれの野生型の海洋性種について、DNAライブラリーを作製する前に、 無駄を防ぎ、完全なライブラリーについてなすべき一連の代謝試験を決めるうえ で役立てるために試験を行った。 個々のクローンのスクリーニングのためのライブラリーを作製する目的で、大 腸菌(E.coli)XL1-MR株などの感染宿主細胞を、50mg/mlのアンピシリン濃度の50 ml LBの入った150mmペトリ皿上に広げた。このプレートは前もって48時間室温 で乾燥させておく。細胞を広げた後に、プレートを37℃で一晩インキュベート する。得られたコロニーを滅菌した爪楊枝で拾い上げ、384ウエルプレートに、 ウエル当たり一つの割合で移す。各ウエルには75/μl LB、50μg/mLのアン ピシリン、7%のグリセロールが含まれている。外側の列(合計80ウエル)に は接種しないが、同様の培地を加えてその後の培養時および凍結時の乾燥を防い だ。この接種したマスタープレートを振盪しない状態で37℃に16時間放置し た。一晩おいたマスター384ウエルプレートを起源プレートとして用いて、1枚 以上の実験用マルチプレート又はオムニトレー中に複製した。マスター384ウエ ルプレートはそれから個別に密封して−80℃で凍結した。複製は384ピンレプ リケーターを利用して行った。使用の前後に384ピンレプリケーターを漂白剤に 20秒間、水に30秒間、エタノールに5秒間順番に漬けてから燃やした。 実験用のマルチウエルプレートあるいはオムニトレイを起源プレートとして用 いてDNAライブラリーを一連の分化培地および/又は選択培地(例えば、シデ ロホア検出培地又は殺菌剤叢)上に複製する。得られるものを集めて、DNAラ イブラリーを構築するのに使用した野生型の海洋細菌のプロフィールと比較する 。 5.4.10.巨大液滴カプセル封入法(macrodroplet encapsulation)による海 洋性グラム(−)菌/大腸菌(E.coli)ライブラリーの代謝試験 クローンをアルギン酸ナトリウムを用い、100mLの滅菌水中に1%の濃度にな るようオーバーヘッドミキサーで2000rpmで溶解することにより、カプセル封入 する。ライブラリー懸濁液を1滴内に1〜5クローン入るように加えた。混合物 は脱気するために少なくとも30分放置した。それから混合物を個別の水滴にす る装置を用いて射出した。このような装置の例としては、25ゲージ針のついた 注射器がある。これらを、緩やかに攪拌している135mM塩化カルシウムの入った ビーカー内に滴下する。滴は10分間硬化させてから無菌フラスコに移し、塩化 カルシウムを除いてからLB/Amp培地及び基質(例えば、x−グルコシダミン)に 交換する。滴が入ったフラスコを30℃で一晩振とうしてから次の朝に青色コロ ニーの存在により示される陽性クローンを確認した。 滴を大きな透明のトレーの中に単層に配して肉眼で調べた。陽性コロニーを取 り出して、LB/Ampと50mMクエン酸ナトリウムpH7.4の入っている96ウエルのマ スタープレートに移して滴を溶解し、37℃で一晩増殖した。これらの一晩増殖 した96ウエルプレートを起源プレートとして用いて1枚以上の実験用のマルチ ウエルプレートあるいはオムニトレー中に複製を作製した。それからマスター9 6ウエルプレートを個々に密封して−80℃で冷凍した。陽性クローンについて 産物の特異的な試験を行うか、さらに予備スクリーニング又はスクリーニングを 行う。更なるスクリーニングはマルチピンレプリケーターを用いる複製により行 うことができる。使用前後にマルチピンレプリケーターを漂白剤に20秒間、さ らに水に30秒間、それからエタノールに5秒間順番に漬けてから燃やした。 5.4.11.巨大液滴カプセル封入法による海洋性グラム(−)/大腸菌(E.col i )ライブラリーの代謝試験 巨大液滴は次の方法で作製することが出来る。2000rpmでオーバヘッドミキサ ーを使用し、0.6gのポリリン酸ナトリウム及び2%のアルギン酸ナトリウムを10 0mlの滅菌水に溶かした。この混合液を60分間脱気した。それから1.9gの硫酸 カルシウムを10mlの50%グリセロール中で最低15分間超音波処理した。得られ たスラリーと1滴あたりの細胞数が1〜5となるライブラリー懸濁液を、1.0gの 精製したダイズレシチンを前もって30分以上前に混合しておいた油相(オリー ブオイル)に導入する直前にアルギン酸塩溶液に加え混合した。ゆっくりとこの アルギン酸塩混合液を油相に移し580rpmで10分間混合して乳化反応を開始した。 それから500mlの滅菌水を加え5分間混合し続けた。次いで巨大液滴を遠心分離 で油相から除き、洗浄してからLB/Amp中に再懸濁した。滴が選別に必要な希望の 大きさの範囲から外れた場合に、FACSを用いて選別するためには、求められる限 界の大きさを持つフィルターメンブレンを用いて滴をサイズ選別することができ る。その後にクローンを30℃で2時間、蛍光基質を含むLB/Amp培地内で振とう しながら増殖させることができる。 インキュベーションに続いて、遠心分離、洗浄、そして滅菌水中に1×106滴/ mlの密度で再懸濁することによりFACSによる選別用に試料を調製した。滴の大き さは位相差顕微鏡で調べることができる。FACS検査は熟練者によりBecton-Dicki nsonのFACStar Plusを用いて行い、陽性のものをLB/Ampを含むマルチウエルプレ ート中に直接ウエル当たり1クローンになるように単離して選別した。これらの プレートをコロニーがビーズの外にはみ出すまで(1〜2日)37℃で増殖させ た。これらの一晩おいたプレートを起源プレートとして用いて、1枚以上の実験 用のマルチウエルプレート又はオムニトレー中に複製を作成した。それからマス ターマルチウエルプレートを個々に密封して−80℃で冷凍した。陽性クローン について産物の特異的な試験を行うか、さらに予備スクリーニング又はスクリー ニングを行う。さらなるスクリーニングは96又は384ピンレプリケーターを用 いた複製により行うことができる。使用前後に マルチピンレプリケーターを漂白剤に20秒間、水に30秒間、エタノールに5 秒間順番に浸してから燃やした。 5.4.12.プレート複製法によるactinomycetes/Streptpmyces lividansラ イブラリーの代謝試験 培養可能な野生型のactinomyCete種それぞれについて、DNAライブラリーの 作製前に分類上の混乱を避けるために試験を行い、ライブラリーを完成させる上 で必要な代謝試験の種類を決める手助けとした。個々のクローンをスクリーニン グするためのライブラリーを作製するために、形質転換宿主細胞であるStreptom yces lividans TK66株を、F10Aを含む150mmペトリ皿上に広げた。このプレート は前もって48時間室温で乾燥させておく。細胞を広げた後に、プレートを30 ℃で一晩インキュベートした。選別はチオストレプトンを重層することにより開 始した。得られたコロニーを滅菌した爪楊枝で拾い上げ、96ウエルプレートに 、ウエル当たり1つの割合で移す。各々のウエルはF10A培地を含む。これらの接 種されたマスタープレートを1〜4日間30℃で放置いた。一晩おいたマスター 96ウエルプレートを起源プレートとして使用し、1以上のマルチウエルプレー トあるいはオムニトレー中に複製を作製した。マスター96ウエルプレートはそ れから個別に密封して−80℃で凍結した。複製はマルチピンレプリケーターを 用いて行った。使用前後にマルチピンレプリケーターを漂白剤に20秒間、水に 30秒間、エタノールに5秒間順番に漬けてから燃やした。 実験用のマルチウエルプレートあるいはオムニトレイを起源プレートとして使 用して、DNAライブラリーを一連の分化培地および/又は選択培地(例えば、 抗生物質プレート又は殺菌剤叢)上に複製する。得られたものを集めて、DNA ライブラリーを構築するのに使用した野生型の細菌のプロフィールと比較した。 5.4.13.巨大液滴カプセル封入法によるactinomycetes/Streptomyces livi dans ライブラリーの代謝試験 クローンを大腸菌(E.coli)ライブラリーについて記載した第5.4.10節に 記載の方法でカプセル封入した。滴は10分間硬化させてから滅菌フラスコに移 し、塩化カルシウムを除いてからF10A培地及び基質(例えば、x-gal)に交換す る。滴が入ったフラスコを30℃で1〜5日間振とうし、青色コロニーの存在で 示される陽性クローンについて調べた。 滴を大きな透明のトレーの中に単層に配して肉眼で調べた。陽性コロニーを取 り出して、F10A及び50mMクエン酸ナトリウムpH7.4の入っている96ウエルのマ スタープレートに移して滴を溶解し、30℃で2日間増殖させた。この一晩増殖 させたマスター96ウエルプレートを起源プレートとして用いて、1枚以上の実 験用のマルチウエルプレート又はオムニトレーに複製を作成した。それからマス ター96ウエルプレートを個々に密封して−80℃で冷凍した。陽性クローンに ついては産物の特異的な試験を行うか、さらに予備スクリーニング又はスクリー ニングを行った。更なるスクリーニングは第5.4.9節の記載と同様の複製に より実施した。 5.4.14.指示細胞と共に同時カプセル封入することによるクローンの予備 スクリーニング ライブラリークローンのプールは適当な希釈を加えた試料をプレーティングし コロニー数を計測することで力価測定した。適当なライブラリー細胞を1%のア ルギン酸塩と混合して1巨大液滴当たり約1細胞が入るようにした。更に、適当 な指示細胞を加え、滴当たりの標的細胞数を約50とした。巨大液滴は第5.4 .10節記載の方法で作製し、ライブラリーと指示細胞に合った条件下で培養した 。 一般的に、S.lividansライブラリーの巨大液滴はR5又はF10A中で、30℃で培 養し、大腸菌(E.coli)ライブラリーの巨大液滴はLB又はB3中で30〜37 ℃で培養する。培地と温度は指示細胞の生理的欲求に合わせて調製した。ライブ ラリー細胞の効果を視覚化するために、次の様なリポーターレジメを使用した: 細胞死の検出は、ニュートラルレッドあるいはコンゴレッドの取り込みで;生存 細胞の検出は指示細胞に関連した基質(例えば、E.faecalisの場合で はX−グルコピラノシド)の取り込みで;プロモーターの活性化に応答するβ− ガラクトシダーゼリポーター活性の検出には、培養培地中の80mg/mlのX-galの取 り込みで行った。第5.4.10記載の方法で陽性の巨大液滴を単離した後に、ラ イブラリー細胞は選別するが指示細胞は選別しない抗生物質を加えて指示細胞を 除去した。それからライブラリー細胞を保存しおよび/または必要に応じて別の 試験を行った。 5.5.真核生物発現ライブラリーについてのプロトコール 本節では真核ドナー生物のコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製に 通常応用できる手順を記す。真核生物におけるコンビナトリアルキメラ経路遺伝 子発現ライブラリーの作製方法に含まれる工程を図5A〜5Fに示した。 特に優れた発現用真核宿主生物は、安定で、非繊維性の、遺伝子発現を目的と した遺伝子操作が出来るように特性が十分に解明されているものである。酵母や 真菌類では、好ましい種は30℃で増殖するS.pombe(C.GuthrieとG.R.Funk、Gui de to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology、Vol.1 94,Academic Press)である。A.thalianaおよびN.tabacum細胞は宿主として好ま しい(C.P.Lichtenstein & J.Draper,Genetic Engineering of Plants,DNA Clon ing Vol.II、pp,67-119)。 5.5.1.密度勾配遠心法によるサテライトゲノムDNAの除去 真核生物ゲノムはしばしば、主にリボソームをコードしていた領域又は機能が 不明な配列からなる繰り返しDNAを大量に持っている。従って、真核生物のド ナー生物からゲノムDNAを調製する場合には、この様な非コードDNA配列を ライブラリーから除去することが望ましい。DNA結合性色素、ヘキスト33258( Cooney&Matthews、1984)の存在下で標準的なCsClゲノムDNA精製法を用いて 様々なクラスのゲノムDNAをクローニング前に分離することができる。 5.5.2.真核生物プロモーターおよびターミネーター断片の作製 プロモーターおよびターミネーター遺伝子断片は共に、既知のプロモーターと ターミネーターの配列に合わせて作製した配列特異的プライマーを用いたPCR で作製することができる。プロモーターおよびターミネーターの配列の選択は使 用する宿主生物によって決める。例えば、S.pombeを発現宿主として使用する場 合には、nmt1又はura4などの未変性プロモーター、並びにCMV、SV40(Fors burg,1993 Nuc Acid Res、8:4321-4325)などのウイルス由来、又はヒト由来の例 えば柔毛膜性生殖線刺激ホルモン若しくはソマトスタチン(R.Toyama、H.Koyama 1990、FEBS Letters 268(1)pp.217-221)由来の非未変性プロモーターの両方が使 用できる。誘導可能なテトラサイクリン系に見られるような遺伝子操作によりつ くられたプロモーター(Faryarら1992、Curr Genet21;345-349)もまた使用できる 。 PCR反応も標準的なPCR反応条件と、限定するわけではないが、Pfuポリ メラーゼ(Stratagene)又はVentポリメラーゼ(New England Biolabs)のような高 適合性および高処理量のDNAポリメラーゼを使用し、市販のPCR装置によっ て実施できる。全てのプライマーセットが同一条件で使用できる訳ではないが、 正確な条件は当業者により実験的に決定することができる。PCRオリゴヌクレ オチドプライマーはおそらく市販のものを入手可能であるか、または当分野で公 知の方法により合成することができる。 PCRにより生成したプロモーターおよびターミネーター断片には5’端に制 限酵素部位が含まれていてもよい。ここではBglII、XhoIおよびBamHIを用いて 、本発明の原理を説明している。制限酵素部位がプロモーターあるいはターミネ ーター遺伝子配列内に存在しないものであればいずれのものでもかまわない。 cDNAあるいはゲノムDNA挿入断片に適合するクローニング部位の作製す るためには、プロモーター遺伝子断片をBglIIとXhoIで切断して、5’端にBglII 部位を、3’端にXhoI部位を有するプロモーター遺伝子断片を得る。ターミネー ターはXhoIだけで切断し、その結果5’端だけにXhoI部位を有することになる 。5’および3’の配向はプロモーターあるいはターミネーター遺伝子断片の予 測される転写方向に基づく。図5B参照。 大脂菌(E.coli)DNAポリメラーゼIの大型サブユニット(クレノウ断片) とデオキシヌクレオチドのサブセット(この場合にはdCTPとdTTP)を用いた、部 分的フィルイン反応によって、XhoI端による自己ライゲーションができないプロ モーターならびにターミネーター断片を作製することができる。プロモーター断 片のBglII端は塩基相補性を欠いていることにより影響されず、ターミネータ ー断片のBamHI端にはクレノウ断片により利用される露出された5’端が無い。 仔ウシ腸アルカリホスファターゼなどのホスファターゼで処理すると、BglII の自己ライゲーションを防ぐことができ、プロモーターとターミネーター断片の 両方のライゲーションに利用できる似たような末端を提供することができる。c DNA断片は、最初の鎖合成の間に5’メチルdCTPの取り込みがおこることによ り、NotIによる消化を受けない(Short,J.M.1988、Nuc Aclds Res 16:7583-7600 )。 本発明の他の実施態様では、DNA挿入断片がmRNAに由来する場合、クロ ーニング効率を上げるために指向性クローニングが使用される。cDNA挿入断 片を、プロモーターおよびターミネーター断片に関してセンス方向になるように 一方向にライゲーションした。この操作は異なる、非ライゲーション型端をプロ モーターとターミネーター断片の両方に作製することにより達成される。BglI 、XhoI、XmaI、ならびにBamHIを使用して本発明を記載する。適合する端を作り だし、メチル化により保護することができるものであればいずれの酵素の組み合 わせでも使用することが出来る。 ターミネーター断片の5’端においてXmaI部位とXhoI部位を置換するが、プ ロモーター断片の調製は変わらない。XmaIがクレノウ断片とdCTPでフィル インすることによりNotIと適合することから、これを使用した。本結果は2塩 基のdCTP-dCTP5’の突出部を有するターミネーター断片でのもので、好適に調製 されたNotI消化cDNA遺伝子断片にも当てはめることができるものである。 図5Aを参照のこと。 5.5.3.DNA挿入断片の調製 真核生物ライブラリー用のコーディング遺伝子断片は2種類の基本的なDNA 材料、即ちゲノムDNA(gDNA)あるいはメッセンジャーRNAより酵素的 に得た相補的DNA(cDNA)から得た。gDNAあるいはcDNAの調製の 基本方針は極めて類似しているが、同一ではない。 相補的DNAはメッセンジャーRNAおよび/又は全RNAより、文献などに 紹介されている標準的なプロトコール、又は特にメーカーの操作説明書に従って 作製した。全RNAの単離は第5.3.1節に記載したグアニジン−イソチオシ アンネート法によりゲノムDNAと同時に単離することができ、mRNAは引き 続いてオリゴ−dTセルロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーで単 離することができる。 第一鎖cDNA合成はクローニング部位、例えばNotI部位を5’端に含むオ リゴ−dT DNAプライマーを利用して行うことができる。内部にNotI部位を 5’端付近にもつランダム配列のオリゴヌクレオチドも、ランダムにプライムす る第一鎖合成に利用することができる。この代替のプライマーを利用することで 大型mRNAについて3’バイアスを避けることができる。5−メチル−dCTPな どのメチル化デオキシヌクレオチドをPfuなどのポリメラーゼと一緒に用いるこ とにより制限酵素の消化から防御される(Shortら.,前出;G.L.Costa、1994,Str ategies 7:8)。最初のプライマー内だけにメチル化されていない部位があって、 これだけが制限酵素によって切断されるので、cDNAの3’端を決定すること が可能になる。メチル化されたcDNAはまたメチレーション処理することでも 得られるが、全ての修飾可能部位がメチル化されてしまい、その結果酵素切断に 対して抵抗性となってしまうので、クローニングの指向性は無くなる。 5’端にリン酸を持つ改良BamHIアダプターなどの配列特異的アダプターをラ イゲーションすることで、特定5’端をもつcDNAを調製することができる。 その相手となるオリゴヌクレオチドにアニールすると、アダプターには5’側に 2塩基のdGTP-dATPの突出部および平滑な5’リン酸端のみを有するようになる 。この改良したアダプターは、通常の方法に従ってPfuあるいはT4DNAポリメ ラーゼで処理したcDNAにライゲーションすることができる。 改良型BamHIアダプターのライゲーションおよびcDNAのNotIによる消化の後 で、アダプターの付いたcDNAをクレノウ断片およびdGTPで処理することで、 適切に調製されたプロモーターならびにターミネーター断片にライゲーションで きる特定された、方向性を持ったcDNA遺伝子挿入断片を作製することができ る。断片の方向性はcDNAの5’端がプロモーターの3’端に向かって位置し 、cDNAの3’端がターミネーター断片の5’端に向かって配置されるように なる。図5Cを参照されたい。 ゲノムDNA断片は全ゲノムDNAをSau3AIなどの切断頻度の高い制限酵素に よる部分消化により得る。この酵素はこの目的に広く使用されており、部分消化 の後にスクロース密度勾配により大きさによって分画する方法はごく標準的な技 術である。最初の酵素の濃度が異なる3種類の消化により得た断片のプールを使 用して、該ゲノム内の酵素に対する感受性に違いを持たせることができる。 大きさによる分画と精製に続き、断片をBamHIメチラーゼで処理して内部のBam HI部位を保護し、続いてクレノウ断片およびdATPとdGTPにより処理する。その結 果、内部のBamHI部位がメチル化されてdATP-dGTP突出部だけを有する遺伝子断片 が得られる。図5Dを参照されたい。これらの断片は自己ライゲーションできず 、好適に調製されたプロモーターとターミネーター遺伝子断片だけにライゲーシ ョンすることができるものである。 5.5.4.挿入DNAのプロモーターとターミネーターへのライゲーション 好適に調製したcDNA、プロモーター、およびターミネーター断片を16℃で 一晩反応させてライゲートさせた。ライゲーション反応においては、プロモータ ー(P):cDNA:ターミネーター(T)を10:1:10で行った。至適の比は当業者 に公知の技術を用いて実験的に決めることができる。指向性クローニング法によ り、ただ1つのライゲーション産物、即ち、正確に方向付けがされたプロモータ ー−センス挿入物−ターミネーター遺伝子カセットが得られた。 調製されたゲノムDNA、プロモーター、およびターミネーター遺伝子断片の ライゲーションは、16℃にて様々な比率で行なうことができる。ライゲーシ ョン化合物はいずれも自己ライゲーションしないので、至適の比率を実験的に決 定することができる。形成されたライゲーション産物の半分は直接的に利用可能 であり、1/4はライゲーション反応に与っておらず、残りの1/4は鎖が成長する前 に一度だけライゲーションされたものと概算することができる。 次の組み合わせ(P=プロモーター、frag=5'→3'ゲノムDNA断片、T=タ ーミネーター garf=3'→5'ゲノムDNA断片): 1.P−frag−T 5.P−graf−T 2.T−frag−P 6.T−graf−P 3.P−frag−P 7.P−graf−P 4.T−frag−T 8.T−graf−T 1、6ならびに2、5の組み合わせが所望の構築物を表すが、挿入物の方向性 はランダムであるため、これらの構築物の50%が与えられた遺伝子にとって正確 な方向性を有するものと推測される(1および6)。 ターミネーター/ターミネーター遺伝子カセットを形成することはできるが、 それらの3'末端は、末端切断型の切断されていないBamHI端であるために突出し た5'端を持たないことから、以後のクローニングの工程に関わることができなく なる。 プロモーター/プロモーター構造物は、BglII端には5'リン酸がないため(最初 の反応)、もう一方の突き出したBamHI端だけへの連続するライゲーションにおい てクローニングするだろう。次に、突き出したBglII端に加えられた遺伝子カセ ットがライゲーションすることも、5'リン酸がないために稀である。突き出した BamHI端は内在する鎖の形成には関与できるが、加えられた新しい遺伝子カセッ トの形成には関与できない。したがって、このようなプロモーター/プロモータ ー遺伝子カセットは、近傍の別の鎖のBamHI部位と環を形成し、そしてこのよう な環形成は回復できないために鎖を終止させてしまうだろう。この様なプロモー ター/プロモーター断片がライゲーション効率にとっての重大な問題となる場合 には、新しい遺伝子カセットを加える前に固定してしまった成長鎖に中間のキナ ーゼ処理を行い、BglII/BglIIライゲーション産物を形成させることによって、 プロモーター/プロモーター断片を成長鎖にすべき である。このキナーゼ処理により、固相へのBglII/BglIIおよびBglII/BamHIの結 合を促進し、包含される成長鎖を環化させるだろう。 5.5.5.遺伝子カセットの連続ライゲーションによるコンカテマーの形成 プロモーター/ターミネーターの組み合わせがフランキングするゲノムDNA あるいはcDNA挿入体のいずれかからなる各遺伝子カセットのライゲーション は、先に原核生物のDNAについて概略を説明した方法と同様にして行なうこと ができる。ここにおける主要な相違は、この戦略では次のクローニングのために エンドヌクレアーゼBamHIを用いて突き出した3'制限酵素部位を作製したことに ある。BamHIメチラーゼあるいは5−メチル−dCTPのいずれかを用いることは、 挿入するDNA内にあるBamHI部位の保護を保証する。図5Eを参照のこと。 鎖のライゲーションを5〜10回繰り返した後に、成長しているコンカテマー鎖 をBamHIを用いて脱保護し、クレノウ断片とdATPおよびdGTPで処理して発現ベク ターに結合できるよう準備する。これによって、成長鎖の全ての端末が相互にラ イゲーションすることを不可能にし、こうしてコンカテマー鎖の環化および損失 とを排除することを不可能にする。 ベクターDNAは5:1のモル比でコンカテマー鎖にライゲーションさせるこ とができる。その他の比もまた使用することもできる。この反応は、16℃、8〜1 6時間あるいは22℃、4時間で行なうことができる。ライゲーションの後には、 ビーズを洗浄することができ、イントロンヌクレアーゼ制限緩衝液中に再度懸濁 する。消化は製造元の使用説明書に従って行なった。いかなるイントロンヌクレ アーゼを使用してもよい。酵素Ceulは、非パリンドローム型の3'の突き出し部を 生じさせるために、自己ライゲーションしないので好ましい。図5Fを参照のこ と。 5.5.6.コンカテマー構築物を含有するヘクターの環化および形質転換 固相から放出されたコカカテマー/ベクター分子は、CeuI消化ミックスを1 ×リガーゼ緩衝液で100倍に希釈することにより、分子内ライゲーションを受 けることが促進される。T4リガーゼを加え、22℃で4〜6時間、あるいは1 6℃で一晩反応させる。図5Fを参照。得られた構築物を微量濾過または凍結乾 燥により濃縮し、S.ポンベ株または大腸菌もしくはS.リビダンス株に標準方 法で導入する。エレクトロポレーションあるいは改良型のリン酸カルシウム形質 転換法を含むがこれらに限らないどのような方法も利用できる。 5.5.7.酵母発現用ベクターの作製とライゲーション 本節では酵母を宿主生物として用いるコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリ ーの作製に一般的に適用しうる手順について記載する。 S.ポンベでのライブラリーの作製に利用できるベクターの一つは、言うまで もなくこれに限定されるものではないが、大腸菌/S.ポンベシャトルベクター pDblet(Brunら.1995、Gene、164:173-177)である。このベクターは複数のクロ ーニング部位およびf1ファージ起点を有し、比較的高いコピー数で発現され、大 腸菌内でもS.ポンベ内でも非常に安定しているという利点がある。 本発明では、既知配列のBstXI部位を収容するようにpDbletの複数のクローニ ング部位(MCS)を修飾しうる。図6Bを参照。これは固相からのコンカテマ ー鎖の放出に用いられるイントロンヌクレアーゼ酵素が規定配列の3’ヌクレオ チド突出部(3’GATT...)を生成するためである。CCACCTAACTGG配列を有する遺 伝子操作されたBstXI部位は、開裂後に適当なCTAA-3’突出部を生成する。 pDbletを修飾するために、まずSacIとNotIで切断して正確な配列をもたない 既存のBstXI部位を除去することができる。pDbletプラスミドは、スピンクロマ トグラフィーまたは他の手段で精製した後、BstXI部位の正確な配列に加えて新 たにNcoI配列およびSacI-およびNotI-適合性突出部を含む予め合成されたオ リゴヌクレオチドと混合することができる。図6Cを参照。ライゲーションおよ び形質転換の後、クローンのミニプレップをNcoIでの消化により正確さについ て調べた。正しいクローンはBstXI部位とNcoI部位の両方の存在により同定され る。この修飾pDbletをBstXIで処理し、さらにXhoI部位で処理すると、5’XhoI 部位と3’CTAA BstXI突出部を含むベクターが生成 される。図5Eを参照。この開裂したベクターをクレノウ断片およびdCTPとdTTP で処理して、それ自体へのライゲーションを不可能にする。このようなベクター はコンカテマー鎖を受け入れるために使用することができる。 一態様形態では、本発明は、S.ポンベの自律複製配列を含むコスミドベクタ ーを包含し、S.ポンベのコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製に使 用することができる。ドナーDNAを挿入するための少なくとも1つのクローニ ング部位、λファージのin vitroパッケージングのためのcos部位、大腸菌でク ローニングを行うための複製起点と選択マーカー、S.ポンベの自律複製配列(A RS)、および1種以上の異なる酵母選択マーカー(例えば、ピューロマイシン、u ra4、ハイグロマイシンまたはゼオシン(zeocin)が挙げられるが、これらに限定 されない)を含む一連のコスミドベクターを構築することができる。 コスミドベクターSuperCosl(Stratagene)を制限エンドヌクレアーゼBg/IIで直 鎖状にした。ジーンクリーン(geneclean)法(Bio101)で精製したプラスミドをT4 DNAポリメラーゼで処理してDNA末端を「フィルイン(fill-in)」した。 DNAを再びジーンクリーン法で精製した。DNAをT4 DNAリガーゼで処理 し、大腸菌株DH5αへ形質転換した。制限酵素Bg/IIで切断される能力についてク ローンを試験した。さらに研究を行うためにBglIIに耐性の1つのクローンを単 離し、SCos-BglIIと命名した。 SCos-BglIIを制限エンドヌクレアーゼBamHIで消化/直鎖状化した。直鎖状に したベクターを仔ウシ腸アルカリホスファターゼで処理して自己ライゲーション を防止し、DNAをジーンクリーン法で精製した。2つのDraI、1つのXhoIおよ び1つのBg/II制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する人工DNAリンカーをT4 DNAリガーゼでBamHI部位へライゲートさせた。ライゲートさせたものを大 腸菌株DH5αへ形質転換した。得られたプラスミド(pSuperCosB)は、もはやBamHI 制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含まない。 pSuperCosBを制限エンドヌクレアーゼAatIIで直鎖状にした。直鎖状にしたベ クターを仔ウシ腸アルカリホスファターゼで処理して自己ライゲーションを防止 し、ジーンクリーン法で精製した。同時に、プラスミドpDbletを制限エンドヌク レアーゼAatIIで切断した。消化したpDbletプラスミドをアガロース ゲル電気泳動で分離した。酵母の自律複製配列(ARS)を含有する1198bpの断片を ゲルから切り出し、ジーンクリーン法で精製した。次いで、ARS-含有DNA断片 を直鎖状にしたSuperCoslベクターヘライゲートさせた。ライゲートさせたもの を大腸菌株SC110へ形質転換した。得られたクローンをpPCosと命名した。 pPCosを制限エンドヌクレアーゼBg/IIとXhoIで消化した。pDbletを制限エンド ヌクレアーゼBamHIとXhoIで消化した。両方の消化物をアガロースゲル電気泳動 で分離した。ura4遺伝子を含有するBamHI/XhoI断片とpPCosベクター断片をゲル から切り出し、ジーンクリーン法で精製した。2つのDNA断片をT4 DNAリ ガーゼを用いて互いにライゲートさせた。次いでライゲーション反応を大腸菌株 DH5αへ形質転換した。得られたプラスミドクローンをpPCos+uraと命名した。 ベクターpPCos+uraをAgricultural Research Service Culture Collection(NR RL)、Agricultural Resaerch Service,U.S.Department of Agriculture,1815 North University Street,Peoria,Illinois 61604,U.S.A.へ1996年10月24日 に寄託し、受託番号B-21637Nを得た。 あるいは、pPCosは制限エンドヌクレアーゼSmaIおよびBclIIで消化することも できる。これにより、末端切断されたネオマイシン耐性遺伝子を含有するDNA 断片が遊離する。ベクターは、アガロースゲル電気泳動とジーンクリーン法によ ってこの断片から精製する。SpeI、KpnIおよびNdeI制限エンドヌクレアーゼ部位 を含有する人工DNAリンカーをT4 DNAリガーゼを用いてベクターへライゲ ートさせる。ライゲートさせたものを大腸菌株DH5αへ形質転換する。得られた ベクターをpPCos-Neoと命名する。 さらに、制限エンドヌクレアーゼNdeIでpPCos-Neoを直鎖状にすることもでき る。直鎖状にしたベクターを仔ウシ腸アルカリホスファターゼで処理して自己ラ イゲーションを防止し、DNAをジーンクリーン法で精製した。同時に、プラス ミドpDbletを制限エンドヌクレアーゼNdeIで消化し、ura4遺伝子を含有する約18 00bp断片を遊離させる。この断片は、ベクターの残部からアガロースゲル電気泳 動によって分離し、ジーンクリーン法で精製する。このura4遺伝 子断片を、T4 DNAリガーゼを用いてpPCos-Neoベクターのバックボーンへラ イゲートさせる。ライゲートさせたものを大腸菌株DH5αへ形質転換する。得ら れるプラスミドはpPCoslである(図14参照)。 5.5.8.植物発現ライブラリー この節では植物細胞をドナーおよび/または宿主生物として用いるコンビナト リアル遺伝子発現ライブラリーの作製に一般的に適用される手順について記載す る。 植物からのドナーDNAの調製には以下の一般的な手順を用いる。すなわち、 (1)植物組織を冷エーテルで前処理して細胞破壊を促進する;(2)組織を砂 やガラスビーズまたは酸化アルミニウムと擦り合わせて機械的にホモジナイズす る;(3)メッシュを通して濾過し細胞破片を取り除く;(4)第5.1.2節 の手順によりDNAを抽出する。得られた精製DNAを第5.5.3節に記載し たように修飾する。CaMV35Sまたはノパリン合成酵素プロモーター、ならびにノ パリン合成酵素ターミネーター断片を第5.5.3節に記載したようにPCRで 調製する。プロモーターならびにターミネーター断片をDNA断片に結合し、第 5.5.5節と第5.5.6節に記載したように植物DNAベクターにライゲー トする。 好ましい植物DNAベクターはBin19またはその改変体で、これはT-DNAボーダ ーとAgrobacterium tumefaciensの共存するTiプラスミドのvir領域のトラ ンス作用性機能を使用して、植物宿主細胞の核内ゲノムにドナー遺伝物質を移入 する(Bevan 1984、前出)。複数のクローニング部位を含有する改良型Bin19ベク ターであるpBI121またはpBI221が市販されており(Clontech,Palo Alto)、これを 使用することができる。カナマイシン耐性および/またはβ−グルクロニダーゼ 活性は形質転換をモニターするための、および予備スクリーニングのためのマー カーとして使用される。 植物プロトプラストをPotrykusらが1988年に”Methods for Plant Molecular Biology”Weissbach and Weissbach編、Academic Press、376-378頁に記載して いる方法で、Nicotlana tabacum植物体の葉から調製した。発現構築 物は、P owerらが1988年に”Methods for Plant Molecular Biology”Weissbac h and Weissbach編、Academic Press、388-391頁に記載している方法により、ポ リエチレングリコールを用いて形質転換してプロトプラスト細胞内に導入する。 形質転換したプロトプラストをカナマイシン耐性などの抗生物質耐性により選別 し、第5.4.10節に記載されるように予備スクリーニングのためにカプセル化 する。 6.実施例:コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの構築およびスクリーニ ング 以下の節では、陸生微生物または海洋微生物の混合物をドナー生物として使用 するコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製および予備スクリーニング について記載する。このライブラリーでは宿主生物としてストレプトミセス・リ ビダンス、大腸菌およびS.ポンベを使用する。結果はライブラリー細胞の幾つ かがドナー生物の代謝活性を示し、従って潜在的に関心のあるドナー代謝経路が 宿主生物内でも機能していることを示す。更に、一つのライブラリークローンは 、代謝経路内の既知酵素と配列相同性を共有する海洋細菌タンパク質をコードし ているDNAを含むことが示される。 6.1.材料および方法 本方法に有用な試薬は通常は市販されているものである。例えば以下がある: Gene Clean,Genomeキット(Biol01、Vista、CA);制限酵素、PCR試薬およ び緩衝液(Promega、Madison,WI;New England Biolabs;Stratagene、La Jolla,CA );TAクローニングキット(Invitrogen、LaJolla、CA);細菌用培地(Difco、In c.);Mira Tip(Hawaiian Marine Imports,Inc.);pBSKプラスミド、XL1-MR細胞、S uperCoslコスミド、Gigapackパッケージング抽出物(Stratagene,La Jolla,CA);Q iagen QIAprepプラスミド精製キット(Qiagen,Inc.,Chatworth,CA);アビジン結 合磁気多孔性ガラス(MPG)ビーズ(CPG,Inc.,New Jersey);ペトリ皿、96 −および384ウエルプレート、Omni-Trays(Nunc)、96−および384ピンレプリケ ーターおよびフォーム(V&PScientific、San Diego,CA) ;アンピシリン(IBI、Inc.,CA);緑色蛍光タンパク質およびGFP cDNA(Clontech 、Inc.);オリゴヌクレオチド(Genset,La Jolla,CA);特記しない細菌種とDN A配列(American Type Cult ure Collection,Rockville,MD);7−エトキシ−ヘ プタデシルクマリン、BCECF-AM(Molecular Probes,Oregon);3−メチルベンゾ エート、3−クロロトルエン、m−トルエート、テトラサイクリン、クロラムフ ェニコール、アセタミノフェン、砒素、アンチモン、シス−シス−ムコネート、 およびその他の(特記してない)化学薬品(Sigma);およびDynabeads、MPC-M(Dy nal,Inc.,Lake Success,NY)。 6.1.1.培地の調製 培地および溶液に汎用の精製水(ddH2O)を、軟化、逆浸透および脱イオン化により 精製した。海洋水(海水H2O)は、Scripps Institute of Oceanography(La Jolla ,Ca)より得て、使用前に濾過した。合成海水(SSW)は、ddH2Oから、塩類(45.2mm のNaF、48.8mmのSrCl2、0.324mMのH3BO3、0.563mMのKBr、6.25mMのKCl、4.99mM のCaCl2、0.7mMのNa2SO4、16.4mMのMgCl2、268mMのNaCl、45.8mMのNa2SiO3、1.1 0mMのEDTA、1.58mMのNaHCO3)および海洋微量元素(0.01%のMira Tip)を添加する ことにより調製した。 LB培地は、1%のトリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaClを有するddH2Oか ら調製した。W2-B1は、0.25%のペプトン、0.15%の酵母エキス、0.6%(容積/ 容積)のグリセロールを有する75%海水H2OあるいはSSWから調製した。 F10Aは、2.5%の可溶性ポテトデンプン、0.2%グルコース、0.5%酵母エキス 、0.5%ペプトン、0.5%Distillerの可溶化物(Nutrition Products Co.,Louisv ille,KY)、0.3%炭酸カルシウムを含むddH2O(pHを7.0にした)より調製した。 6.2.プレート複製および巨大液滴カプセル化によるActinomvcetes/Streptom vces lividans コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーの予備スク リーニング 種番号501〜534で同定される34種類のactionmycetes種をドナー生物として使 用した。この生物は、個別にF10A培地で培養し、ゲノムDNAを第5. 3.1節に記載されているようにして抽出、精製した。 各種当り約100μgのゲノムDNAを得て、第5.4.2節に記載したように してSau3Aで部分的に制限酵素消化するために混合した。ゲノムDNAの断片を 、ショ糖密度勾配遠心分離によりサイズ分画し、20〜40kbの断片を含む分画をプ ールして、Klenow断片で部分的にフルインして、以下において同様に調製したベ クターと適合するようにした(Korch 1987,Nuc Acids Res 15;3199-322O;Loftus ら.1992 Biotehnlques 12:172-175)。0.5〜3.0μgのプールした断片を、複数の バッチ内で、BamHIあるいはXhoIで調製したpIJ922およびpIJ903(Hopwood 1985, 前出)ベクターの0.5〜3.0μgにライゲートした。ライゲートした発現構築物を 、宿主生物であるStreptomyces lividans細胞株64(すでに細胞壁をリゾソームで 除去してコンピテントな状態にしてある)(Hopwood 1985,前出)に形質転換した 。約11,000の特徴的なクローンが得られ、増幅して、菌糸として(20%のグリセ ロール中)、あるいは胞子として(50%のグリセロール中)−70℃で保存した。 個々のクローンをスクリーニングするためのライブラリーを調製するために、 形質転換したTK64宿主細胞を、F10A寒天で満たした150mmシャーレに広げた。細 胞を広げた後に、シャーレを30℃で21時間インキュベートした。選別は、チオス レプトン5μg/mlを1ml/シャーレの割合で上層することにより行った。48〜72 時間後に、コロニーを滅菌した爪楊枝で拾い上げ、96ウエルのプレートに、1 ウエル当たり1個の割合で移した。各ウエルにはF10A培地が入っている。これら の接種したマスタープレートを1〜4日間にわたって30℃で置いた。一晩おい たマスターの96ウエルプレートは起源プレート(sourceplate)として使用して 、1枚以上の実験用96ウエルプレートあるいはオムニートレー(Omini-Trays) に複製した。マスターの96ウエルプレートは、次に、個別に密封して−80℃ で凍結した。複製は、各使用前に火炎吹き付けにより滅菌した96ピンレプリケ ーターを用いて行った。 実験用の96ウエルプレートを起源プレートとして用いて、ライブラリーを一 連の確認および/または選択培地および指示プレートに複製した。選別用抗生物 質としては、エリスロマイシン、ノボビオシンおよびネオマイシンが挙げ られる。確認培地としては、X−グルコピラノシドおよびX−グルコン酸を含む F10AおよびR5培地を用いられる。指示プレートは、F10A上で増殖したライブラリ ークローンを含み、次にEnterococus faecalis(E.faecalis)、Bacillussubtilis (B.subitilis)あるいはSOSクロモテスト(Chromotest)(X-galを有する)の指示菌 叢を上層した。得られたものを集めてStreptomyces宿主TK64株のプロファイルと 比較した。 ライブラリーのクローンについても巨大液滴カプセル化によって予備スクリー ニングした。予備スクリーニングの各々において、ライブラリーの50,000の増幅 クローンを第5.4.13節に記載したようなにしてカプセル化した。 6.3.巨大液滴カプセル化によるActinomvcetes/大腸菌コンビナトリアル・ キメラ経路発現ライブラリーの予備スクリーニング 第6.2節に記載したような34種類のactionmycetes種(種番号501〜534と して同定)から得たゲノムDNAを、S.lividans宿主内のコンビナトリアル・キ メラ経路遺伝子発現ライブラリーの作製に使用した。2〜7kbのSau3A消化ゲノム DNAの断片を含む分画をプールした。 ゲノムDNA断片のアリコートを、別のプロモーターに別々にライゲートして 第5.5.3節に記載したような遺伝子カセットを作製した。コンカテマーは、 各サイクルについて異なるプールの遺伝子を用いてライゲーションおよび脱保護 を8回繰り返して作製して、得られたコンカテマーが各々、ゲノムDNAの断片 に結合した8種類の異なるプロモーターを含有する8種類の遺伝子カセットを有 するようにした。 10μlのコンカテマーを環化して、0.5μgのSuperCoslベクターとBamHI部位 でライゲートして発現構築物を形成した。製造業者の指示(ストレタジー)に従 って、大腸菌宿主細胞XL1-MRの感染のためにインビトロでパッケージングした。 およそ1,000,000の特有のクローンを得、増幅し、プールして増幅ライブラリー を作製した。このライブラリーを−70℃で保存した。増幅細胞は第5.4.10 節のようにしてカプセル化し、第5.4.14節のようにして予備スクリーニング した。 6.4.巨大液滴カプセル化法による真菌/シゾサッカロミセス・ポンベコンビ ナトリアルキメラ経路発現ライブラリーの予備スクリーニング 以下の真菌ドナー生物をATCCより得て用い、2種類のコンビナトリアルキメラ 経路発現ライブラリーを調製した:トリコデルマ・レエセイ(Trichodermareesei ),フザリウム・オキシスポラム(Fusarlumoxysporum),ペニシリウム・ロッケフ ォルティ(Penicillium roquefortii),リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oli gosporus),ノイロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa),フイコミセス・ブラ ンケスレアヌス(Phycomyces blankesleeanus),アスペルギルス・フミガーツス( Aspergillus fumi gatus),アスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus) 、エメリセラ・ヘテロタリカ(Emerlcella heterothallica),ケトミウム・グラ シレ(Chaetonium gracile),ペニシリウム・ノタルーム(Penicillium notatum) ,ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)。 各々の種を別々にポテトデキストロース寒天(PDA;Difco)あるいは麦芽抽出寒 天(MEA;Difco)中で中程度のrpmで48〜72時間培養した。胞子の接種は1×104〜1 ×106胞子/mlを、1リッターの培養フラスコに入った500mlのポテト抽出物ある いは麦芽抽出ブロスに加えて、22℃で、225rpm、48〜72時間培養して行った。 培養物をMiracloth(Calbiochem)に真空下で濾過して集めた。集めた菌糸塊を 2リッターのddH2Oで洗浄し、10分間風乾して凍結乾燥した。真菌のゲノムDN AとmRNAを5.3.1節および5.3.2.節に記載された方法で菌糸から 抽出し精製した。集めた菌糸の一部を凍結乾燥し−70℃で保存した。 真菌のゲノムDNAの断片を5.4.2節に記載された方法で調製した。真 菌のmRNAは通常の方法でcDNAに変換した。(Sambrookら。1989、Watson CJ&Jackson JF(1985)DNA cloning:A practical approach 79-88,IRL Press)。 各々の種から得たDNA断片のうち同重量のものを集めてゲノムDNAプールな らびにcDNAプールとした。 これらのプールにはDNAがおよそ5〜10μg含まれていて、独立にコンビナ トリアルキメラ経路発現ライブラリーの組立に利用した。以下のシゾサッカロ ミセス・ポンベ(S.pombe)−適合プロモーターとターミネーターを5.5.2節 に記載された方法で作製した。即ち、CMV早期/初期、SV40初期、RSV、HSVチ ミジンキナーゼ、CaMV、nmtI、adh1、およびuva4プロモーターである。これら のプロモーターとターミネーターの断片をcDNAとゲノムDNAプールに5. 5.4節に記載された方法で結合した。各遺伝子カセットは平均で5kbの長さ であり、5.5.5節に記載された方法で濃縮した。8つの遺伝子カセットを含 む最終の結合体を環状化して、5.5.7節に記載された方法でpDbletを改変し たベクター(Burnら、1995、Gene、Vol.164 pp.173-177)に挿入した。発現構築物 をS.pombeにGietzとWoody(FD Gietz & RA Woody、Molecular genetics of yeas t:A practical approach,chapter8、pp121-134)の酢酸リチウム法で導入して形 質転換した。ura4マーカーの存在について選別して、110,000のS.ポンベクロ ーンを得て、増幅させた。このクローンをプールして予備スクリーニング用の増 幅ライブラリーを作った。以下の様な予備スクリーニングを行った。即ち、酵素 基質試験、抗生物質活性、抗生物質耐性である。 6.5.プレート複製による海洋グラム(−)菌/大腸菌ライブラリーの予備ス クリーニング バハマ諸島近海の海水より採取された海洋細菌がHarbor Branch Oceanographi c Instituteより提供された。各野生型のグラム陰性着色海洋細菌種はDNAラ イブラリーを調製する前に、余分な部分を決定するとともに、完全なライブラリ ーになされるべき一連の予備スクリーニングのアレイを決めるうえで役立てるた めの試験を行った。 次のようなアッセイを海洋グラム陰性/大腸菌ライブラリーの親種について行 った。その結果は以下のとおりである: これらのアッセイにおいて、以下のものを選んで大腸菌のコンビナトリアル遺 伝子発現ライブラリーの細胞に実施した:CAS;S.aureus;S.aurantiaca;デンプ ン消化。 簡単に説明すると、40の親種を各々、B3培地5mlに接種して一晩30℃で、300 rpmでFalcon2059チューブを用いて培養した。一晩培養したものを沈殿させてか ら全ゲノムDNAを通常の方法で抽出した。ゲノムDNAはアガロースゲル上で 可視化して定量し、40種の各々から5μgのDNAを集めて合計200μgとした 。コンビナトリアル自然経路発現ライブラリーを大腸菌を利用して5.1.4節 に記載された方法で作った。このDNAを部分的に消化して、SuperCoslにライ ゲートして、SuperCoslの製造業者の説明書に従いλファージにパッケージして 大腸菌に導人できるようにした(Stratagene)。こうして5×106の特徴的なクロ ーンが得られ、これを通常の方法で7×108/ml cfuに増幅した。増幅したストッ クを使用するまで15%のグリセロール中に−70℃で保管した。 個々のクローンをスクリーニングする為のライブラリーを調製するために、増 幅したライブラリー細胞を、50mlのLB、100mg/mlのアンピシリン及び50mg/mlの カナマシンで150mmペトリ皿上に広げた。このプレートは前もって24時間室温 で暗所下で乾燥させておく。7×108/mlcfuのストックをLBで希釈して500cfu/ mlにした。1mlを各150mmのプレートに広げた。広げた後に、プレートを37℃で 一晩インキュベートする。得られたコロニーを滅菌した爪楊枝で拾い上げ、384 ウエル型プレートに、ウエル当たり一つの割合で移す。合計6400のクローンを拾 い上げ記録した。各ウエルには75/μlLB、50μg/mLのアンピシリン、7%のグ リセロールが含まれている。外側の列(合計80ウエル)には接種しないが、同 様に培地を加えその後のインキユベーションと凍結の間の乾燥を防いだ。この接 種したマスタープレートを振盪しない状態で37℃で16時間放置した。一晩お いたマスター384ウエルプレートを起源プ レートとして利用して1枚以上の実験用マルチプレートあるいはオムニトレーを 複製した。マスターの384ウエルプレートはそれから個別にシールして−80℃ で凍結した。複製は複数のピンを持つレプリケーターを利用して行った。使用前 後に384ピンレプリケーターを漂白剤に20秒間浸して、さらに水に30秒浸し 、それからエタノールに5秒浸してから燃やした。 実験用のマルチウエルプレートあるいはオムニトレイを起源プレートとして利 用して、DNAライブラリーを一連の識別および/あるいは選択培地(例えば、 シデロフォア検出培地(CAS)あるいは抗菌叢)上に複製する。生育したものを集 めて、DNAライブラリーを構築するのに使用した野生型の海洋細菌のプロファ イルと比較した。 デンプン消化能力が陽性のクローンが6つ単離された。これらのクローンにつ いてS.aureusあるいはS.aurantiacaの成長阻害能力について調べたところ、1種 のクローンがS.aurantiacaの成長を阻害することが判明した。このクローンにつ いて更に解析を進め、DNA配列を解析した結果、ポリケチド合成経路に相同な タンパク質をコードするDNA配列が含まれるていることが判明した。図10に はStreptomycesc oelicolorのアクチノロジンデヒドラーゼ遺伝子とクローンCXC -AMN20から得られたDNA配列から予想されるアミノ酸配列とのアライメントを 示している。 このクローンの活性部分を有機溶媒を用いて抽出することによりさらに解析し 、抗菌試験による精製を行った。 このクローンに含まれるDNA配列を多重PCRを用いて更に解析し、同起源 の親種を決定した。PCRプライマーを選択し、クローンの配列を基に合成した 。極めて保存性の高いリボソーマルRNAプライマー配列を陽性コントロールと してPCRに利用した。陽性コントロールより、およそ2kbの断片が得られた。 クローンあるいはその同起源の親種から得られた増幅産物は600bp未満であった 。まず、多重PCR反応を4種類の親種由来のゲノムDNAプールを用いて通常 の方法に従い実施した。プール1−3のゲノムDNAからは増幅により増幅産物 が得られた(図11参照)。多重PCR反応を個々の親種のゲノムDNAを用い て繰り返した。図12より、プール1の種#6から得たゲノム DNA、プール2の種#18から得たゲノムDNA、プール3の種#31から得 たゲノムDNAがPCR反応で陽性であることが判明した。このことより、同定 したDNA配列がこれら3種の海洋性細菌のいずれかに由来しているらしいこと が示唆された。 従って、この結果より、コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーには目的と する代謝経路をコードする海洋性細菌由来の遺伝物質を含むクローンが含まれて いることが判る。更に、この様なライブラリー中のクローンを同定することが可 能であり、予備スクリーニングにより単離できることが示された。 6.6.巨大液滴カプセル化法による海洋性グラム(−)菌/大腸菌ライブラリ ーの予備スクリーニング 30,000クローンをアルギン酸ナトリウム(Protanol LF 20/60,Pronova Biopol ymer,Drammer,Norway)を用いてカプセル化し、100mLの滅菌水中に1%の濃度 になるようオーバーヘッドミキサーで2000rpmで溶解した。30,000細胞を含むラ イブラリー懸濁液1mlを滴内に1〜5クローン入るように添加した。混合物を脱 気のため30分放置した。次いで混合物を25ゲージ針より押し出した。135mM 塩化カルシウムの入った0.5Lのビーカーをゆっくりと攪拌し、そこへ混合物を滴 下した。滴を10分間硬化させてから無菌フラスコに移し、塩化カルシウムを除 いてからLB/Amp培地と基質であるX−グルコサミニドと80μ/mlで交換した。そ の他の基質としてはX−酢酸塩、X−グルコピラノシド、X-galやポリケチド経 路に関係する特定の基質がある。滴の入ったフラスコを30℃で一晩振とうし、 青色となることで特定される陽性クローンを翌朝確認した。クローンは5.4. 14に記載するとおり、S.アウレウス(aureus),S.アウランティカ(aurantiac a)を含む指示細胞と一緒にカプセル化することもできる。 滴は大きな透明のトレーの中に単層に配し、目視で観察した。X−グルコサミ ニド陽性のものは取り出して15%のグリセロールに再懸濁し、−70℃で保存 した。その他の陽性コロニーは取り出してLB/Ampと50mMのクエン酸ナトリウムpH 7.4が入った96ウエルのマスタープレートに移し、溶解させ、3 7℃で一晩増殖させた。この一晩増殖させた96ウエルマスタープレートを起源 プレートとし、1枚以上の実験用のマルチウエルプレートあるいはオムニトレー に複製する。次いで96ウエルマスタープレートを個々にシールして−80℃で 冷凍した。陽性クローンに対しては、産物の特異試験を行うか、別の予備スクリ ーニングあるいはスクリーニングを行う。更なるスクリーニングはマルチピンレ プリケーターを用いて複製することにより行うことができる。 7.実施例:Actinomvcetes /Streptomvces lividansコンビナトリアル遺伝子発 現ライブラリーの構築およびスクリーニング 以下の小節には、コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーと、陸生微生物 の混合物をドナー生物として用いる勾配をつけたコンビナトリアル遺伝子発現ラ イブラリーの作製を記載する。両方のライブラリーとも、大腸菌をアーキバル( archival)宿主とし、Streptomyces lividansを発現宿主として使用した。 簡単に説明すると、コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーを作製するの に、ドナー生物のDNAを用いてアーキバル・コスミドライブラリーを作製した 。次いでライブラリーの挿入断片を単離し、宿主であるStreptomyces lividans へ導入するためにStreptomycesベクターへ再度クローニングした。勾配をつけた コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを作製するには、II型ポリケチド生合 成経路をコードする遺伝子とのハイブリダイゼーションによってアーキバル・ラ イブラリーを予め選択した。actinomyceteドナー生物由来のII型ポリケチド経路 をコードする可能性のある遺伝物質を単離し、ランダムに混合し、S.lividans へ再度クローニングしてコンビナトリアル発現ライブラリーを形成した。 宿主生物内で機能し得る、新規な代謝経路またはハイブリッド代謝経路の産物 である可能性のある両ライブラリー由来のクローンを、抗菌活性について分析し た。 7.1.材料および方法 本発明従って、34種のドナーactinomycete株より単離した染色体DNAを 用いてコスミドpWE15および大腸菌でアーキバル・ライブラリーを構築した。 コンビナトリアル天然経路遺伝子発現ライブラリーを作製するため、コスミド DNAをアーキバル・コスミドライブラリーのクローンより作製し、プールした 。actinomyceteドナーDNAのGC含量が高いため、酵素Dral(その認識部位にG またはCを含まない)を使用してactinomyceteドナーDNAを、プールしたコス ミドDNAから単離した。サイズが25kbよりも大きいDNA断片をスクロース勾 配遠心分離によって濃縮し、発現ベクターのクローニング部位と適合するリンカ ーへライゲートさせた。以下のStreptomycete発現ベクターを使用してライブラ リーを作製した:pIJ941、pIJ702、pIJ699、pIJ922およびpIJ903(Hopwoodら、19 85 Genetic Manipulation of Streptomyces,ALaboratory Manual,The John Inn es Foundation)。次いでコンビナトリアル天然経路発現ライブラリーを発現宿主 であるS.lividans TK64へ導入した。8,200個のクローンを拾って別々に培養し 、Micrococcus lutens、Staphylococcus aureus、Bacillus subtilis、大腸菌、 Saccharomyces cerevisiae、Candidaalbicans、およびPenicillium chrysogenum の増殖を抑制する能力について分析した。クローンはSOS試験によってDNA反 応性についても試験した。 勾配をつけたコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーを作製するため、アー キバル・コスミドライブラリーを150mmペトリ皿の上にプレート当たり約2,000コ ロニーの密度となるように広げた。全部で60,000コロニーをスクリーニングした 。直径約0.5mmのコロニーを産生させるためにプレートを18時間30℃でインキュ ベートした。次いでこれらのコロニーを137mm、0.45μmのNytranディスクに写 し取った。次いでディスクを、コロニーが付着した面を上にして、10%SDSに予 め浸漬しておいた3MM紙のシートの上に置き、3分間浸漬した。これらのディス クを、0.5M NaOH、1M NaClに5分間浸漬しておいた3MM紙のシートへ移し、次い で0.5M Tris-HCl、1.5M NaClにさらに5分間浸漬しておいた3MM紙へ移し、最終 的に2×SSCに5分間浸漬しておいた3MM紙へ移した。次いでディスクを空気中で 少なくとも6時間乾燥させた。次いでDNAをUV架橋剤でフィルターへ固定し た。actIポリケチド経路(Malpartidaら,1984,Nature 309:462-464)およびwhiE ポリケチド経路(Davisら,1989,Mo lecular Microbiology 4:1679-1691)に特異的なDNAプローブを、非放射性DIG 標識キットを用いて標識し、60℃にて5×SSC/0.1%SDS溶液中で一晩フィルタ ーディスクへハイブリダイズさせた。インキュベーションの後、ディスクを60℃ にて1×SSC/0.1%SDS中で1〜4回洗浄し、プローブとハイブリダイズしたコ ロニーを検出した。 約60〜70個の陽性クローンを元のプレートから単離し、プールした。コスミド DNAをプールしたクローンから単離し、DraIで消化してコスミドベクターDN AをactinomyceteDNAから分離した。代謝経路の遺伝子をランダムに混合する ために、actinomyceteDNAをSau3AIで部分的に消化して約4〜10kbの断片を生 成させ、断片をライゲートさせて50kbよりも大きなコンカテマーを形成した。ラ イゲートさせたDNAをSau3AIで部分的に再度消化し、おおよそのサイズが15〜 30kbの断片を生成させ、ベクターpIJ702(Hopwoodら,1985 Genetic Manipulatio n of Streptomyces,A laboratoy Manual,The John Innes Foundation)のBglII 部位へライゲートさせた。次いで勾配をつけたコンビナトリアル発現ライブラリ ーを発現宿主であるS.lividans TK64へ導入した。2,200個のクローンを拾って 別々に培養し、Micrococcus lutens(MLUT)、Staphylococcus aureus(SA1)、Baci llus subtilis(BS8)、大腸菌(E.coli)、Saccharomycescerevisiae(SC7)、Candid aalbicans(CA917)、およびPenlcillium chrysogenum(PC)の増殖を抑制する能力 について分析した。クローンはSOS試験によってDNA反応性についても試験し た(SOS)。 7.2.結果 コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーの場合、8,200個のクローンを抗 微生物活性についてスクリーニングし、205個の目的のクローン(2.5%)を同定し た。表VIに、コンビナトリアル天然経路発現ライブラリー由来の20個のクローン の抗微生物アッセイの結果を示す。 勾配をつけたコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの場合、2,200個のク ローンを抗微生物活性についてスクリーニングし、71個の目的のクローン(3.2% )を同定した。表VIIに、コンビナトリアル天然経路発現ライブラリー由来の9 個のクローンの抗微生物アッセイの結果を示す。これらは化学構造分析にかける 予定である。 データより、コンビナトリアル天然経路発現ライブラリーと勾配をつけたコン ビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの双方とも、代謝経路(おそらく、新規な ポリケチド経路またはハイブリッドポリケチド経路)をコードする遺伝物質を保 有するクローンを含有し、抗微生物活性を有する化合物を産生することは明らか である。 上記に開示した本発明の実施態様は代表例にすぎず、様々な変更、応用、なら びに改良が本発明の範囲内で行えることは当業者には自明のことである。従って 、本発明は本明細書に記述した特定の実施態様に限定されるものでなく、以下の 請求項にのみ限定されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN, CU,CZ,EE,GE,GH,HU,ID,IL,I S,JP,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LT,LV,MD,MG,MK,MN,MX,NO, NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK,SL,T J,TM,TR,TT,UA,UZ,VN,YU (72)発明者 ブライアン,ポール アメリカ合衆国 92103 カリフォルニア 州,サン ディエゴ,ナンバー 305 サ ード アベニュー 4179

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.発現構築物のプールを含んでなる移動可能なコンビナトリアル遺伝子発現 ライブラリーであって、各発現構築物が異なる宿主細胞種または株内で複 製する能力のあるシャトルベクターを含み、該シャトルベクターば複数の ドナー生物種に由来するcDNA断片またはゲノムDNA断片を含有し、 このcDNAまたはゲノムDNA断片が、適当な宿主生物内での該cDN AまたはゲノムDNA断片によりコードされる遺伝子の発現を駆動する1 以上の調節領域と機能的に結合されていることを特徴とする、前記移動可 能なコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリー。 2.発現構築物に含まれるcDNAまたはゲノムDNA断片がランダムに連結 されており(concatenated)、1種以上のドナー生物種に由来するものである 、請求項1に記載の遺伝子発現ライブラリー。 3.発現構築物に含まれるcDNAまたはゲノムDNA断片のいくつかは、特 定の性質について予め選択される、請求項1に記載の遺伝子発現ライブラ リー。 4.発現構築物がプラスミドベクター、ファージ、ウイルスベクター、コスミ ドベクターまたは人工染色体を含む、請求項1、2または3に記載の遺伝 子発現ライブラリー。 5.シャトルベクターが導入起点(origin of transfer)をさらに含む、請求項1 、2または3に記載の遺伝子発現ライブラリー。 6.ドナー生物が微生物の混合物を含む、請求項1、2または3に記載の遺伝 子発現ライブラリー。 7.各発現構築物が宿主細胞内に保持されている、請求項1、2または3に記 載の遺伝子発現ライブラリー。 8.宿主細胞が、関心のある既知の代謝経路またはその一部の導入、誘導また は過剰生産により改変されている、請求項7に記載の遺伝子発現ライブラ リー。 9.宿主細胞が、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ス ト レプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトミセス・ ケリコロール(Streptomyces coelicolor)、緑膿菌(Pseudomonas aerugino sa)、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)、サッカロミセス ・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ( Schizosaccharomyces pombe)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera f rugiperda)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、ア ラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)、ニコチアナ・タバクム(N icotiana tabacum)、COS細胞、293細胞、VERO細胞、NIH/3T3細胞、 またはCHO細胞である、請求項7に記載の遺伝子発現ライブラリー。 10.宿主細胞が、望ましい代謝経路または化合物を発現している前記ライブラ リー中のクローンを同定するように適応されたリポーターレジメ(reporter regimen)をさらに含む、請求項7に記載の遺伝子発現ライブラリー。 11.リポーターレジメが、宿主細胞により発現された望ましい代謝経路または 化合物により誘導可能であるかまたはモジュレートされる調節領域と機能 的に結合されたリポーター遺伝子をコードするDNAを含む、請求項7に 記載の遺伝子発現ライブラリー。 12.宿主細胞が、望ましい代謝経路または化合物を発現している前記ライブラ リー中のクローンを同定するように適応されたリポーターレジメを含有す るマトリックス中に存在する、請求項7に記載の遺伝子発現ライブラリー。 13.移動可能なコンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製方法であっ て、異なる宿主細胞種または株内で複製する能力のあるシャトルベクター をcDNA断片またはゲノムDNA断片にライゲートして発現構築物を作 製することを含んでなり、該cDNAまたはゲノムDNA断片は複数のド ナー生物種から得られたものであり、該cDNAまたはゲノムDNA断片 中に含まれる遺伝子が、適当な宿主細胞において該遺伝子の発現を駆動す るその固有の調節領域または外因性の調節領域と機能的に結合されている ことを特徴とする前記方法。 14.発現構築物に含まれるcDNAまたはゲノム断片がランダムに連結されて おり、1種以上のドナー生物種に由来するものである、請求項13に記載の 方法。 15.発現構築物に含まれるcDNAまたはゲノムDNA断片のいくつかは、特 定の性質について予め選択される、請求項13に記載の方法。 16.DNAベクターがプラスミドベクター、ファージ、ウイルスベクター、コ スミドベクターまたは人工染色体である、請求項13、14または15に記載 の方法。 17.シャトルベクターが導入起点をさらに含む、請求項13、14または15に記 載の方法。 18.コンビナトリアル遺伝子発現ライブラリーの作製方法であって、宿主生物 種の発現構築物のプールを別の宿主生物種または株へ導入することを含ん でなり、該発現構築物は異なる宿主細胞種または株内で複製する能力のあ るシャトルベクターを含み、該シャトルベクターは複数のドナー生物種か ら得られたcDNA断片またはゲノムDNA断片を含有し、該cDNAま たはゲノムDNA断片中に含まれる遺伝子が、適当な宿主細胞において該 遺伝子の発現を駆動するその固有の調節領域または外因性の調節領域と機 能的に結合されていることを特徴とする前記方法。 19.発現構築物のプールを接合によって導入する、請求項18に記載の方法。 20.発現構築物のプールを、該発現構築物を第1の宿主生物種から単離し、該 発現構築物を第2の宿主生物種または株へ導入することによって導入する、 請求項18に記載の方法。 21.発現構築物を、形質転換、トランスフェクション、感染またはエレクトロ ポレーションによって第2の生物種または株へ導入する、請求項20に記載 の方法。 22.シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)の自律複製配 列を含んでなるコスミドベクター。 23.pPCos+uraである、請求項22に記載のコスミドベクター。 24.pPCos1である、請求項22に記載のコスミドベクター。 25.cDNAまたはゲノムDNA断片が、代謝経路のタンパク質をコードする 核酸配列に対する相同性について予め選択される、請求項3に記載の遺伝 子発現ライブラリー。 26.cDNAよたはゲノムDNA断片が、代謝経路のタンパク質をコードする 核酸配列に対する相同性について予め選択される、請求項15に記載の方法。
JP10519751A 1996-10-24 1997-10-24 新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法 Ceased JP2001502547A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/738,944 1996-10-24
US08/738,944 US5783431A (en) 1996-04-24 1996-10-24 Methods for generating and screening novel metabolic pathways
PCT/US1997/019958 WO1998017811A1 (en) 1996-10-24 1997-10-24 Methods for generating and screening novel metabolic pathways

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001502547A true JP2001502547A (ja) 2001-02-27

Family

ID=24970154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10519751A Ceased JP2001502547A (ja) 1996-10-24 1997-10-24 新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US5783431A (ja)
EP (1) EP0951557A4 (ja)
JP (1) JP2001502547A (ja)
KR (1) KR20000052795A (ja)
AU (1) AU744960B2 (ja)
CA (1) CA2269123A1 (ja)
IL (1) IL129577A0 (ja)
WO (1) WO1998017811A1 (ja)
ZA (1) ZA979557B (ja)

Families Citing this family (151)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060257890A1 (en) 1996-05-20 2006-11-16 Maxygen, Inc. Methods and compositions for cellular and metabolic engineering
US6335160B1 (en) * 1995-02-17 2002-01-01 Maxygen, Inc. Methods and compositions for polypeptide engineering
US5837458A (en) 1994-02-17 1998-11-17 Maxygen, Inc. Methods and compositions for cellular and metabolic engineering
US5605793A (en) 1994-02-17 1997-02-25 Affymax Technologies N.V. Methods for in vitro recombination
US6395547B1 (en) 1994-02-17 2002-05-28 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US6995017B1 (en) 1994-02-17 2006-02-07 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US6406855B1 (en) 1994-02-17 2002-06-18 Maxygen, Inc. Methods and compositions for polypeptide engineering
US6309883B1 (en) * 1994-02-17 2001-10-30 Maxygen, Inc. Methods and compositions for cellular and metabolic engineering
US6117679A (en) 1994-02-17 2000-09-12 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US6165793A (en) * 1996-03-25 2000-12-26 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US6057103A (en) * 1995-07-18 2000-05-02 Diversa Corporation Screening for novel bioactivities
US5958672A (en) * 1995-07-18 1999-09-28 Diversa Corporation Protein activity screening of clones having DNA from uncultivated microorganisms
US6455254B1 (en) * 1995-07-18 2002-09-24 Diversa Corporation Sequence based screening
US6030779A (en) * 1995-07-18 2000-02-29 Diversa Corporation Screening for novel bioactivities
US20020031771A1 (en) * 1995-12-07 2002-03-14 Short Jay M. Sequence based screening
US20030215798A1 (en) * 1997-06-16 2003-11-20 Diversa Corporation High throughput fluorescence-based screening for novel enzymes
US6344328B1 (en) 1995-12-07 2002-02-05 Diversa Corporation Method for screening for enzyme activity
US6368798B1 (en) * 1995-12-07 2002-04-09 Diversa Corporation Screening for novel bioactivities
US5939250A (en) * 1995-12-07 1999-08-17 Diversa Corporation Production of enzymes having desired activities by mutagenesis
US6506602B1 (en) 1996-03-25 2003-01-14 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US6242211B1 (en) * 1996-04-24 2001-06-05 Terragen Discovery, Inc. Methods for generating and screening novel metabolic pathways
US5763234A (en) * 1996-07-25 1998-06-09 Florida Atlantic University Secosteroids, and method for producing same
US5955275A (en) * 1997-02-14 1999-09-21 Arcaris, Inc. Methods for identifying nucleic acid sequences encoding agents that affect cellular phenotypes
US5811381A (en) * 1996-10-10 1998-09-22 Mark A. Emalfarb Cellulase compositions and methods of use
US7883872B2 (en) * 1996-10-10 2011-02-08 Dyadic International (Usa), Inc. Construction of highly efficient cellulase compositions for enzymatic hydrolysis of cellulose
US20070009930A1 (en) * 1996-12-18 2007-01-11 Maxygen, Inc. Methods and compositions for polypeptide engineering
EP1717322B1 (en) 1997-01-17 2012-07-18 Codexis Mayflower Holdings, LLC Evolution of whole cells and organisms by recursive sequence recombination
US6326204B1 (en) 1997-01-17 2001-12-04 Maxygen, Inc. Evolution of whole cells and organisms by recursive sequence recombination
US7148054B2 (en) 1997-01-17 2006-12-12 Maxygen, Inc. Evolution of whole cells and organisms by recursive sequence recombination
US6153410A (en) * 1997-03-25 2000-11-28 California Institute Of Technology Recombination of polynucleotide sequences using random or defined primers
US20050070005A1 (en) * 1997-06-16 2005-03-31 Martin Keller High throughput or capillary-based screening for a bioactivity or biomolecule
US20040241759A1 (en) * 1997-06-16 2004-12-02 Eileen Tozer High throughput screening of libraries
US6261842B1 (en) * 1997-10-23 2001-07-17 Wisconsin Alumni Research Foundation Microorganism genomics, compositions and methods related thereto
US6197502B1 (en) * 1997-11-17 2001-03-06 Cytos Biotechnology Ag Expression cloning processes for the discovery characterization, and isolation of genes encoding polypeptides with a predetermined property
US6190903B1 (en) 1997-11-26 2001-02-20 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Bacteria having ATCC No. 55926 or ATCC No. 202050 capable of biodegradation of wastes
US6537746B2 (en) 1997-12-08 2003-03-25 Maxygen, Inc. Method for creating polynucleotide and polypeptide sequences
US20030077619A1 (en) * 1998-01-16 2003-04-24 Kumagai Monto H. Method of isolating human cDNAs by transfecting a nucleic acid sequence of a non-plant donor into a host plant in an anti-sense orientation
US20030027173A1 (en) * 1998-01-16 2003-02-06 Della-Cioppa Guy Method of determining the function of nucleotide sequences and the proteins they encode by transfecting the same into a host
US7321828B2 (en) * 1998-04-13 2008-01-22 Isis Pharmaceuticals, Inc. System of components for preparing oligonucleotides
US20040186071A1 (en) 1998-04-13 2004-09-23 Bennett C. Frank Antisense modulation of CD40 expression
US6410041B1 (en) 1998-04-28 2002-06-25 Trustees Of Tufts College Culturing cells in presence of amphipathic weak bases and/or cations and multiple drug resistance inhibitor containing reserpine
US6365408B1 (en) 1998-06-19 2002-04-02 Maxygen, Inc. Methods of evolving a polynucleotides by mutagenesis and recombination
CA2345356C (en) * 1998-10-06 2012-10-02 Mark Aaron Emalfarb Transformation system in the field of filamentous fungal hosts
US6368793B1 (en) 1998-10-14 2002-04-09 Microgenomics, Inc. Metabolic selection methods
WO2000023579A1 (en) * 1998-10-22 2000-04-27 The Regents Of The University Of California Functionally assembled antigen-specific intact recombinant antibody and a method for production thereof
US6410301B1 (en) * 1998-11-20 2002-06-25 Kosan Biosciences, Inc. Myxococcus host cells for the production of epothilones
KR100851418B1 (ko) 1998-11-20 2008-08-08 코산 바이오사이언시즈, 인코포레이티드 에포틸론 및 에포틸론 유도체의 생산을 위한 재조합 방법 및 물질
ATE465459T1 (de) 1999-01-19 2010-05-15 Maxygen Inc Durch oligonukleotide-vermittelte nukleinsäuren- rekombination
CA2361384A1 (en) 1999-02-11 2000-08-17 Sun Ai Raillard High throughput mass spectrometry
JP3399518B2 (ja) * 1999-03-03 2003-04-21 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション 半導体構造およびその製造方法
US6703240B1 (en) 1999-04-13 2004-03-09 Maxygar, Inc. Modified starch metabolism enzymes and encoding genes for improvement and optimization of plant phenotypes
GB9908814D0 (en) * 1999-04-16 1999-06-09 Celltech Therapeutics Ltd Process
US7270969B2 (en) * 1999-05-05 2007-09-18 Phylogica Limited Methods of constructing and screening diverse expression libraries
US7803765B2 (en) * 1999-05-05 2010-09-28 Phylogica Limited Methods of constructing biodiverse gene fragment libraries and biological modulators isolated therefrom
DE60044514D1 (de) * 1999-05-05 2010-07-15 Phylogica Ltd Isolierung von biologischen Modulatoren aus Bibliotheken mit biologisch vielvältigen Genfragmenten
US7163679B1 (en) * 1999-05-06 2007-01-16 The General Hospital Corporation Versican and epithelial-mesenchymal interaction
AU5165900A (en) * 1999-05-28 2000-12-18 Board Of Regents, The University Of Texas System Plasmodium sp. chitinase
US6815183B1 (en) 1999-05-28 2004-11-09 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Plasmodium sp. chitinase
GB9913694D0 (en) * 1999-06-11 1999-08-11 Simper Adrian M DNA manipulation methods and applications for synthetic enzymes
WO2001012861A1 (en) * 1999-08-19 2001-02-22 Omniscience Pharmaceuticals Gene cloning
WO2001025468A1 (en) * 1999-10-06 2001-04-12 Mark Aaron Emalfarb High-throughput screening of expressed dna libraries in filamentous fungi
FR2799472B1 (fr) * 1999-10-07 2004-07-16 Aventis Pharma Sa Preparation d'adenovirus recombinants et de banques adenovirales
EP1230269A2 (en) * 1999-11-03 2002-08-14 Maxygen, Inc. Antibody diversity generation
WO2001038509A1 (de) * 1999-11-26 2001-05-31 Basf Plant Science Gmbh Verfahren zur mutagenese von nukleotidsequenzen aus pelanzen, algen oder pilzen
US6316194B1 (en) * 1999-12-16 2001-11-13 Ribotargets Methods and kits for discovery of RNA-binding antimicrobials
WO2001064864A2 (en) * 2000-02-28 2001-09-07 Maxygen, Inc. Single-stranded nucleic acid template-mediated recombination and nucleic acid fragment isolation
AU2001243670A1 (en) * 2000-03-20 2001-10-03 Maxygen, Inc. Method for generating recombinant dna molecules in complex mixtures
WO2001073000A2 (en) * 2000-03-24 2001-10-04 Maxygen, Inc. Methods for modulating cellular and organismal phenotypes
US7122330B2 (en) * 2000-04-13 2006-10-17 Mark Aaron Emalfarb High-throughput screening of expressed DNA libraries in filamentous fungi
WO2001081568A1 (en) * 2000-04-21 2001-11-01 Genencor International, Inc. Non-pcr based recombination of nucleic acids
DE10021267A1 (de) * 2000-04-26 2002-01-24 Actinodrug Pharmaceuticals Gmb Verfahren zur Herstellung modularer Enzymsysteme durch Synthese ihrer Gene in zyklisch wiederholbaren Syntheseschritten
US6998256B2 (en) * 2000-04-28 2006-02-14 Kosan Biosciences, Inc. Methods of obtaining epothilone D using crystallization and /or by the culture of cells in the presence of methyl oleate
US6586207B2 (en) * 2000-05-26 2003-07-01 California Institute Of Technology Overexpression of aminoacyl-tRNA synthetases for efficient production of engineered proteins containing amino acid analogues
WO2002012481A2 (en) * 2000-08-04 2002-02-14 Genencor International, Inc. Enhancement of industrial production by increasing substrate transport
US6720168B2 (en) 2000-08-04 2004-04-13 Genencor International, Inc. 2,5-DKG permeases
US20020132308A1 (en) * 2000-08-24 2002-09-19 Mpep @ Page 300-M Novel constructs and their use in metabolic pathway engineering
WO2002059297A2 (en) * 2001-01-25 2002-08-01 Evolva Biotech A/S A library of a collection of cells
US8008459B2 (en) * 2001-01-25 2011-08-30 Evolva Sa Concatemers of differentially expressed multiple genes
EP2796546B1 (en) 2001-04-19 2017-08-09 The Scripps Research Institute Incorporation of unnatural amino acids
EP2420824B1 (en) 2001-06-29 2018-11-28 Meso Scale Technologies LLC Multi-well plate having an array of wells and kit for use in the conduct of an ECL assay
EP2135943A1 (en) 2001-07-30 2009-12-23 Meso Scale Technologies, LLC. Assay electrode having immobilized lipid/protein layers, methods of making the same and methods of using the same for luminescence test measurements
US7229811B2 (en) * 2001-08-03 2007-06-12 Genencor International, Inc. 2,5-diketo-D-gluconic acid (2,5-DKG) permeases
US6843962B2 (en) * 2001-09-06 2005-01-18 Genetix Limited Apparatus for and methods of handling biological sample containers
US6998094B2 (en) * 2001-09-06 2006-02-14 Genetix Limited Apparatus for and methods of handling biological sample containers
GB0125043D0 (en) * 2001-10-17 2001-12-12 Biotica Tech Ltd Production, detection and use of transformant cells
EP1451357A4 (en) * 2001-11-01 2005-10-26 Univ California ORDERED GAMES OF BIOCATALYTIC SOLGEL MICROECHANTILLES
WO2003062419A1 (en) * 2002-01-25 2003-07-31 Evolva Ltd Methods for multiple parameter screening and evolution of cells to produce small molecules with multiple functionalities
US6989131B2 (en) * 2002-03-12 2006-01-24 Uop Llc Catalytic reactor with integral evaporator
EP1386966A1 (en) * 2002-07-24 2004-02-04 Libragen Method for the expression of unknown environmental DNA into adapted host cells
DK1529110T3 (da) 2002-08-01 2012-01-30 Evolva Ltd Fremgangsmåde til blanding af store antal af heterologe gener
CA2494798A1 (en) 2002-08-06 2005-01-13 Verdia, Inc. Ap1 amine oxidase variants
IL151660A0 (en) * 2002-09-09 2003-04-10 Univ Ben Gurion Method for isolating and culturing unculturable microorganisms
PT1578949E (pt) 2002-10-16 2009-07-14 Scripps Research Inst Incorporação específica do local de cetoaminoácidos em proteínas
CA2506894A1 (en) * 2002-11-21 2004-06-03 Genomidea Inc. Method of isolating nucleic acid having desired functional property and kit therefor
US20060078893A1 (en) 2004-10-12 2006-04-13 Medical Research Council Compartmentalised combinatorial chemistry by microfluidic control
GB0307428D0 (en) * 2003-03-31 2003-05-07 Medical Res Council Compartmentalised combinatorial chemistry
GB0307403D0 (en) 2003-03-31 2003-05-07 Medical Res Council Selection by compartmentalised screening
EP2535414B1 (en) 2003-04-29 2017-12-13 Pioneer Hi-Bred International Inc. Novel glyphosate-n-acetyltransferase (gat) genes
WO2005012550A2 (en) * 2003-07-31 2005-02-10 Diversa Corporation Screening methods and libraries of trace amounts of dna from uncultivated microorganisms
FR2868081A1 (fr) 2004-03-23 2005-09-30 Libragen Sa Methode d'identification de famille de voie metabolique par selection positive
US20050221339A1 (en) 2004-03-31 2005-10-06 Medical Research Council Harvard University Compartmentalised screening by microfluidic control
AU2005250511B2 (en) * 2004-06-03 2012-01-19 Phylogica Limited Peptide modulators of cellular phenotype and bi-nucleic acid fragment library
WO2006046132A2 (en) * 2004-09-17 2006-05-04 Institut Pasteur Method for modulating the evolution of a polypeptide encoded by a nucleic acid sequence
US7968287B2 (en) 2004-10-08 2011-06-28 Medical Research Council Harvard University In vitro evolution in microfluidic systems
CA2583735A1 (en) 2004-10-27 2006-10-19 The Scripps Research Institute Orthogonal translation components for the in vivo incorporation of unnatural amino acids
JP2009536313A (ja) 2006-01-11 2009-10-08 レインダンス テクノロジーズ, インコーポレイテッド ナノリアクターの形成および制御において使用するマイクロ流体デバイスおよび方法
US7776535B2 (en) * 2006-02-06 2010-08-17 Franklin And Marshall College Site-specific incorporation of fluorinated amino acids into proteins
DK1987178T3 (en) * 2006-02-20 2015-04-20 Phylogica Ltd Process for the construction and screening of peptide structure libraries
EP2018437A2 (en) 2006-05-02 2009-01-28 Allozyne, Inc. Non-natural amino acid substituted polypeptides
EP2530168B1 (en) * 2006-05-11 2015-09-16 Raindance Technologies, Inc. Microfluidic Devices
US9562837B2 (en) 2006-05-11 2017-02-07 Raindance Technologies, Inc. Systems for handling microfludic droplets
WO2008021123A1 (en) 2006-08-07 2008-02-21 President And Fellows Of Harvard College Fluorocarbon emulsion stabilizing surfactants
WO2008034161A1 (en) * 2006-09-19 2008-03-27 Phylogica Limited Neuroprotective peptide inhibitors of ap-1 signaling and uses therefor
US9862956B2 (en) 2006-12-10 2018-01-09 Danisco Us Inc. Expression and high-throughput screening of complex expressed DNA libraries in filamentous fungi
EP2505651A3 (en) 2006-12-10 2013-01-09 Dyadic International, Inc. Isolated fungus with reduced protease activity
US8772046B2 (en) 2007-02-06 2014-07-08 Brandeis University Manipulation of fluids and reactions in microfluidic systems
WO2008130623A1 (en) 2007-04-19 2008-10-30 Brandeis University Manipulation of fluids, fluid components and reactions in microfluidic systems
US8822409B2 (en) * 2007-06-20 2014-09-02 Phylogica Limited Compositions and uses thereof for the treatment of acute respiratory distress syndrome (ARDS) and clinical disorders associated with therewith
US8551751B2 (en) * 2007-09-07 2013-10-08 Dyadic International, Inc. BX11 enzymes having xylosidase activity
ES2641290T3 (es) 2007-11-20 2017-11-08 Ionis Pharmaceuticals, Inc Modulación de la expresión de CD40
WO2010009365A1 (en) 2008-07-18 2010-01-21 Raindance Technologies, Inc. Droplet libraries
US8647642B2 (en) 2008-09-18 2014-02-11 Aviex Technologies, Llc Live bacterial vaccines resistant to carbon dioxide (CO2), acidic PH and/or osmolarity for viral infection prophylaxis or treatment
AU2009296267B2 (en) 2008-09-26 2013-10-31 Ambrx, Inc. Non-natural amino acid replication-dependent microorganisms and vaccines
EP3415235A1 (en) 2009-03-23 2018-12-19 Raindance Technologies Inc. Manipulation of microfluidic droplets
WO2011042564A1 (en) 2009-10-09 2011-04-14 Universite De Strasbourg Labelled silica-based nanomaterial with enhanced properties and uses thereof
US10837883B2 (en) 2009-12-23 2020-11-17 Bio-Rad Laboratories, Inc. Microfluidic systems and methods for reducing the exchange of molecules between droplets
US10351905B2 (en) 2010-02-12 2019-07-16 Bio-Rad Laboratories, Inc. Digital analyte analysis
US9366632B2 (en) 2010-02-12 2016-06-14 Raindance Technologies, Inc. Digital analyte analysis
US9399797B2 (en) 2010-02-12 2016-07-26 Raindance Technologies, Inc. Digital analyte analysis
JP5934657B2 (ja) 2010-02-12 2016-06-15 レインダンス テクノロジーズ, インコーポレイテッド デジタル検体分析
US9187762B2 (en) 2010-08-13 2015-11-17 Pioneer Hi-Bred International, Inc. Compositions and methods comprising sequences having hydroxyphenylpyruvate dioxygenase (HPPD) activity
US11022573B2 (en) * 2010-08-31 2021-06-01 Canon U.S.A., Inc. Positive controls
EP3447155A1 (en) 2010-09-30 2019-02-27 Raindance Technologies, Inc. Sandwich assays in droplets
WO2012109600A2 (en) 2011-02-11 2012-08-16 Raindance Technologies, Inc. Methods for forming mixed droplets
EP2675819B1 (en) 2011-02-18 2020-04-08 Bio-Rad Laboratories, Inc. Compositions and methods for molecular labeling
US8841071B2 (en) 2011-06-02 2014-09-23 Raindance Technologies, Inc. Sample multiplexing
EP2714970B1 (en) 2011-06-02 2017-04-19 Raindance Technologies, Inc. Enzyme quantification
US8658430B2 (en) 2011-07-20 2014-02-25 Raindance Technologies, Inc. Manipulating droplet size
WO2013166113A1 (en) 2012-05-04 2013-11-07 E. I. Du Pont De Nemours And Company Compositions and methods comprising sequences having meganuclease activity
TWI670004B (zh) * 2012-09-07 2019-09-01 美商陶氏農業科學公司 用來產生植物之螢光激活細胞分選富增技術
BR112015023272A2 (pt) 2013-03-14 2017-07-18 Pioneer Hi Bred Int célula vegetal, planta, explante vegetal, semente transgênica, método para produzir uma célula vegetal tendo um polinucleotídeo heterólogo que codifica um polipeptídeo tendo atividade de dicamba descarboxilase, método para controlar plantas daninhas em um campo contendo uma cultura e método para controlar plantas daninhas em um campo contendo uma cultura
BR112015023286A2 (pt) 2013-03-14 2018-03-06 Arzeda Corp polipeptídeo recombinante com atividade da dicamba descarboxilase, construto de polinucleotídeo, célula, método de produção de uma célula hospedeira compreendendo um polinucleotídeo heterólogo que codifica um polipeptídeo tendo atividade da dicamba descarboxilase, método para descarboxilar dicamba, um derivado de dicamba ou um metabolito de dicamba, método para a detecção de um polipeptideo e método para a detecção da presença de um polinucleotideo que codifica um polipeptideo tendo atividade da dicamba descarboxilase
US11901041B2 (en) 2013-10-04 2024-02-13 Bio-Rad Laboratories, Inc. Digital analysis of nucleic acid modification
US9944977B2 (en) 2013-12-12 2018-04-17 Raindance Technologies, Inc. Distinguishing rare variations in a nucleic acid sequence from a sample
WO2015103367A1 (en) 2013-12-31 2015-07-09 Raindance Technologies, Inc. System and method for detection of rna species
WO2015173652A1 (en) * 2014-05-14 2015-11-19 Mark Davies Method for testing compounds on living cells
US10865434B2 (en) * 2015-04-21 2020-12-15 General Automation Lab Technologies Inc. High resolution systems, kits, apparatus, and methods for screening microorganisms and other high throughput microbiology applications
US10647981B1 (en) 2015-09-08 2020-05-12 Bio-Rad Laboratories, Inc. Nucleic acid library generation methods and compositions
US11129906B1 (en) 2016-12-07 2021-09-28 David Gordon Bermudes Chimeric protein toxins for expression by therapeutic bacteria
US11180535B1 (en) 2016-12-07 2021-11-23 David Gordon Bermudes Saccharide binding, tumor penetration, and cytotoxic antitumor chimeric peptides from therapeutic bacteria
EP3826678A4 (en) * 2018-07-25 2022-06-15 Northeastern University SELECTIVE SCREENING OF ANTIMICROBIAL COMPOUNDS

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4399219A (en) * 1981-01-29 1983-08-16 Massachusetts Institute Of Technology Process for isolating microbiologically active material
US5506126A (en) * 1988-02-25 1996-04-09 The General Hospital Corporation Rapid immunoselection cloning method
US6080540A (en) * 1990-04-20 2000-06-27 Cold Spring Harbor Laboratory Cloning of mammalian genes in microbial organisms and methods for pharmacological screening
CA2075259A1 (en) * 1991-08-26 1993-02-27 Junsheng Sang Expression cloning method
DK0605522T3 (da) * 1991-09-23 2000-01-17 Medical Res Council Fremgangsmåde til fremstilling af humaniserede antistoffer
US5326691A (en) * 1991-11-21 1994-07-05 John Hozier Micro-libraries and methods of making and manipulating them methods for generating and analyzing micro-libraries
EP0915154A1 (en) * 1993-03-31 1999-05-12 Cadus Pharmaceuticals, Inc. Yeast cells engineered to produce pheromone system protein surrogates, and uses therefor
US5441885A (en) * 1993-04-13 1995-08-15 Alliedsignal Inc. Bacterial strains for bioremediation
US5434065A (en) * 1993-05-06 1995-07-18 President And Fellows Of Harvard College In vivo selection of microbial virulence genes
DE69434447T2 (de) * 1993-06-07 2006-05-18 Vical, Inc., San Diego Für die gentherapie verwendbare plasmide
DE4319708A1 (de) * 1993-06-10 1994-12-15 Beiersdorf Ag Multicistronische Expression rekombinanter Gene in Bakterienzellen
DK0725778T3 (da) * 1993-09-20 2001-12-17 Univ Leland Stanford Junior Rekombinant produktion af hidtil ukendte polyketider
WO1995030012A1 (en) * 1994-04-26 1995-11-09 Cadus Pharmaceutical Corporation Functional expression of mammalian adenylyl cyclase in yeast
US5824485A (en) * 1995-04-24 1998-10-20 Chromaxome Corporation Methods for generating and screening novel metabolic pathways

Also Published As

Publication number Publication date
ZA979557B (en) 1998-05-12
KR20000052795A (ko) 2000-08-25
AU5163298A (en) 1998-05-15
WO1998017811A1 (en) 1998-04-30
US5783431A (en) 1998-07-21
EP0951557A1 (en) 1999-10-27
EP0951557A4 (en) 2005-02-09
AU744960B2 (en) 2002-03-07
IL129577A0 (en) 2000-02-29
CA2269123A1 (en) 1998-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001502547A (ja) 新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法
JPH11504218A (ja) 新規代謝経路の生成およびスクリーニングのための方法
AU762810B2 (en) Methods for generating and screening novel metabolic pathways
AU741139B2 (en) Screening for novel bioactivities
JP2001508662A (ja) 再帰的配列組換えによる全細胞および生物の進化
JP2000507444A (ja) 細胞工学および代謝工学のための方法および組成物
JP2002520071A (ja) 繰返し配列組換えによる細胞全体および生物の進化
JP2001078786A (ja) 酵素活性をスクリーニングする方法
US20010041333A1 (en) High throughput screening for a bioactivity or biomolecule
EP1529110B1 (en) Methods of mixing large numbers of heterologous genes
US20050064498A1 (en) High throughput screening for sequences of interest
CN1189191A (zh) 产生和筛选新代谢途径的方法
AU1540702A (en) Screening for novel bioactivities

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051004

A313 Final decision of rejection without a dissenting response from the applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A313

Effective date: 20060220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060328