JP2010186306A - Ｒｆｉｄタグ - Google Patents

Abstract

【課題】アンテナの形状が情報を表しているＲＦＩＤタグを提供する。
【解決手段】開放型のアンテナを備えるＲＦＩＤタグにおいて、アンテナ２１、２２のパターンが企業名や商品名を意匠化したロゴを表すように構成する。ＲＦＩＤタグにおいてアンテナの占める表面積は大きいため、アンテナパターンにより大きな文字や数字を表すことができ、アンテナパターンによる視覚化された情報は、使用者に効果的に伝わり、使用者の興味を惹くことができる。また、使用者は、アンテナパターンで表されたロゴを見ることで、ＲＦＩＤタグが付された製品の出所などを確認し、安心・安全を担保することができる。
【選択図】図１

Description

本発明は、ＩＣタグとも呼ばれるＲＦＩＤ（Radio Frequency Identification）タグに関し、タグアンテナの形状に特徴を持つものである。

ＲＦＩＤタグは、例えば、工業製品の物流や在庫の管理に使用され、また、図書館での書籍の保管、放牧牛や羊の頭数計測、病院での患者や新生児の識別などにも、広く使われている。
ＲＦＩＤは、ＪＩＳ規格によると、「誘導電磁界又は電波によって、非接触で半導体メモリのデータを読み出し、書込みのために近距離通信を行うものの総称」と定義されている。
ＲＦＩＤタグは、データの読出し・書込みのためにリーダ／ライタ（Ｒ／Ｗ）との間で近距離通信を行うが、その近距離通信に使用される周波数は、大別して、１３５ｋＨｚ帯、１３．５６ＭＨｚ帯、９５０ＭＨｚのＵＨＦ帯及び２．４５ＧＨｚのマイクロ波帯に分けられる。通信距離は、出力が同一であれば、周波数が高い程、長くなる。

また、ＲＦＩＤタグには、電源や発振回路を内蔵したアクティブ型と、電源を内蔵せずにＲ／Ｗからの電磁波を駆動電源とするパッシブ型とが存在する。
１３５ｋＨｚ帯及び１３．５６ＭＨｚ帯のパッシブ型ＲＦＩＤタグは、Ｒ／Ｗと誘導電磁界で結合して電力供給を受けるものが主流であり、そのため、これらのタグには、コイルやスパイラルアンテナ等のループアンテナが設けられている。
一方、ＵＨＦ帯及びマイクロ波帯で用いるパッシブ型ＲＦＩＤタグは、電波によってＲ／Ｗから電力供給を受けるものが主流である。そのため、これらのタグは、ダイポールアンテナやパッチアンテナ等の開放型アンテナを有している。

ダイポールアンテナは、給電点に２本の直線状の素子を左右対称に付けた線状アンテナであり、線の長さは、周波数の１／２波長に設定されている。ＵＨＦ帯で使用するＲＦＩＤタグのダイポールアンテナの長さは約１６ｃｍ、マイクロ波帯では約６ｃｍである。そのため、マイクロ波帯で用いるものは兎も角として、ＵＨＦ帯で使用するタグでは、例えば、図６に示すように、タグアンテナを折り曲げることで全体形状を小さく抑えている（下記特許文献１）。

特開２００８−３１０５３９号公報

しかし、従来のＲＦＩＤタグは、アンテナの形状が、アンテナの性能にだけ着目して設計されており、アンテナ自身のパターンにより情報やメッセージを伝えようとする発想は、これまで皆無であった。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、アンテナの形状が情報を表しているＲＦＩＤタグを提供することを目的としている。

本発明は、開放型のアンテナを備えるＲＦＩＤタグであって、前記アンテナのパターンが文字または数字による情報を表していることを特徴とする。
このＲＦＩＤタグは、アンテナパターンによる視覚化された情報を使用者に伝えることができる。

また、本発明のＲＦＩＤタグは、前記アンテナのパターンが、企業名または商品名を意匠化したロゴや、メッセージを表している。
ＲＦＩＤタグのアンテナパターンを、デザイン化したロゴや、メッセージを表す文字の形状に設計することができる。

また、本発明のＲＦＩＤタグは、前記アンテナのパターンが表す文字または数字の識別力を高めるために、前記アンテナのパターンの一部を隠す模様が付された表面保護シートを備えるようにしても良い。
例えば、一筆書きで連結した複数の文字をアンテナパターンで表し、その連結部分を表面保護シートの模様で隠すようにすれば、一字一字の文字が隔離されて、各文字の識別力が向上する。

また、本発明のＲＦＩＤタグは、前記アンテナのパターンが表す文字または数字の識別力を高めるために、前記アンテナのパターンに追加する模様が付された表面保護シートを備えるようにしても良い。
例えば、一筆書きで連結できない文字の部分を表面保護シートに画くようにすれば、この表面保護シートでアンテナを被ったときに、表面保護シートの模様とアンテナパターンとで文字が完成する。

また、本発明のＲＦＩＤタグは、前記アンテナを、ダイポールアンテナで構成することが望ましい。
ダイポールアンテナのパターンにより、一筆書きで連結した複数の文字や数字を表現することができる。

本発明のＲＦＩＤタグは、視覚化された情報をアンテナパターンにより伝えることができる。
ＲＦＩＤタグの表面積の大部分を占めるアンテナで文字や数字を表示しているため、表示される文字や数字の形が大きく、情報内容を使用者に効果的に伝えることができる。
また、アンテナパターンのユニークなデザインは、使用者の興味を惹き、アンテナパターンが表す情報を使用者に強く印象付けることができる。

本発明の実施形態に係るＲＦＩＤタグのインレットを示す図 図１のアンテナパターンを示す図 図１のインレットのリターンロス特性（ａ）及び放射パターン（ｂ）を示す図 本発明の実施形態に係るＲＦＩＤタグの製造手順を示す図 他のアンテナパターン及び他の半導体チップ位置を示す図 表面保護シートの色や模様でアンテナパターンの一部を隠したＲＦＩＤタグを示す図 表面保護シートの色や模様をアンテナパターンに追加して文字を表示したＲＦＩＤタグを示す図 従来のアンテナパターンを示す図

図１は、本発明の実施形態に係るＲＦＩＤタグのインレット（半導体チップにアンテナを取付けたもの）を示している。このインレットは、ＵＨＦ帯で使用するものであり、半導体チップ１０と、半導体チップ１０に直結したダイポールアンテナ２１、２２とを備えている。
アンテナ２１は、「Ｔ」「Ｌ」「Ｓ」の文字を繋げて表示している。また、アンテナ２２のパターンは、アンテナ２１と対称関係にある。

これらのアンテナ２１、２２のパターンは、次のような手順で設定している。
まず、表示しようとする文字を一筆書きで表した連続文字パターンを決定する。
次に、連続文字パターンの長さが通信に使用する周波数の略半波長×１／２となるように各文字の位置を大まかに設定する。
次に、電磁界シミュレータにアンテナパターンを入力してアンテナ特性（リターンロス特性及び放射パターン）を解析する。
得られたアンテナ特性が所要の特性に達していない場合は、アンテナパターンを構成する線路の太さ、線路の直線部分の長さ、線路の曲線部分の半径等を少しずつ変形し、その度にアンテナ特性を電磁界シミュレータで確認する。
こうした作業を繰り返して、所要の特性が得られるアンテナパターンを決定する。

図２は、こうして設定したアンテナパターンの素子寸法を示している。長さはｍｍを単位としている。Ｒを頭にした数値は半径（ｍｍ）を示している。
また、図３（ａ）は、このアンテナパターンのリターンロス特性を示し、図３（ｂ）は放射パターンを示している。リターンロス特性から、９５３ＭＨｚ及びその周辺の周波数領域で−２０ｄＢに達する感度を示すことが分かり、また、放射パターンから、半波長ダイポールアンテナの特性を示していることが分かる。

このインレットの実際の特性を次のような方法で測定した。
撥水加工を施した紙に図２のアンテナパターンを導電性インキ（東洋インキ製造株式会社 導電性インキＲＦＺ−６２０）でシルク印刷し、十分に乾燥させた後、ＩＣチップ（Ｉｍｐｉｎｊ社製 Ｍｏｎｚａ２）を導電性接着剤でボンディングしてインレットを製作した。
このインレットの複数を床面に設置し、一方、１Ｗの高出力Ｒ／Ｗ（ＣＬＳ社製 ＣＳ４６１）の円偏波アンテナ（ＣＬＳ社製 ＣＳ−７７３−１）を床面から種々の高さに設定して、周波数９５２〜９５４ＭＨｚ、出力１Ｗでの通信距離を測定した。
測定結果によると、総てのサンプルに関して、２．２ｍの通信距離まで読取りが可能であり、また、１．９ｍの距離まで書込みが可能であった。
これらのことから、アンテナパターンに「Ｔ」「Ｌ」「Ｓ」の文字を入れ込んでも、十分に実用的なＲＦＩＤタグが得られることが明らかである。

次に、ＲＦＩＤタグの製造手順について具体的に説明する。
図４（ａ）に示すように、二本の点線により略３等分される基材３０の中間の領域にインレットを形成する。基材３０には、透明または半透明なプラスチックフィルムや加工紙を使用し、アンテナパターンは、エッチング、印刷、転写などの方法で形成する。さらに、二つのアンテナパターンに跨るようにＩＣチップをボンディングする。
次に、図４（ｂ）に示すように、基材３０の１／３の領域を点線から折り返して、インレットを被い、折り返した片を接着剤で接着する。さらに、図４（ｃ）に示すように、基材３０の残りの１／３の領域を点線から折り返してその上から被せ、被せた片を接着剤で接着する。
図４（ｄ）は、出来上がったＲＦＩＤタグを示している。アンテナパターンが表している文字は、透明または半透明な基材３０で被われた状態でも、外から見ることが可能である。アンテナは、ＲＦＩＤタグの表面積の大部分を占めるため、アンテナパターンで表された文字は、字形が大きく、分かり易い。

このＲＦＩＤタグは、保存あるいは履歴管理が必要な書類や、物流・保管用の紙カートン、段ボール、紙袋等に、粘着剤による接着やホットメルト等の方法で取付けられる。
使用者は、このＲＦＩＤタグのアンテナパターンから視覚化された情報を得ることができる。アンテナパターンによる文字は、ユニークなデザインであるため、使用者の興味を惹き、その文字で表された情報を使用者に強く印象付けることができる。
そのため、ＲＦＩＤタグのアンテナパターンで、企業名や商品名を意匠化したロゴを表示すれば、企業名や商品名を使用者に記憶させることができる。また、使用者は、アンテナパターンで表されたロゴにより、タグが付された商品の安全や安心を担保することができる。
また、ＲＦＩＤタグのアンテナパターンにより、商品をアピールするメッセージや、取扱い方法の注意を促すメッセージなどを表示するようにしても良い。

なお、ここでは、左右が対称なアンテナパターンを示したが、図５（ａ）のように、右と左が異なるパターンでも良い。
また、半導体チップ１０のボンディング位置は、二つのアンテナに跨る位置であればどこでも良く、例えば、図５（ｂ）、図５（ｃ）に示すような位置でも良い。
また、図６に示すように、インレット２０を被う透明な表面保護シート３１に、アンテナパターンの一部を隠す色や模様３２を形成し、この表面保護シート３１をインレット２０に重ねたときに、図６（ｃ）に示すように、一筆書きで連結した複数の文字の連結部分が表面保護シート３１の色や模様３２で隠されて、文字の一字一字が分かれて見えるようにすることもできる。こうすることで文字が識別し易くなる。

また、「Ａ」や「Ｄ」のように、ループ部分を有する文字は、ループの一部を切断して前後の文字と連結するようにしても良いし、あるいは、図７に示す方法を用いて表しても良い。
即ち、アンテナパターンでは、図７（ｂ）に示すように、一筆書きで書ける部分だけを表し、一筆書きで書けない部分は、図７（ａ）に示すように、表面保護シート３１の模様３３として画く。この表面保護シート３１をインレット２０に重ねたときに、図７（ｃ）に示すように、文字として識別できる表示が現れる。
このように、表面保護シートに画く模様とアンテナパターンとを組合せることで、種々の文字を表示したり、識別し易い文字を表示したりすることが可能である。

また、アンテナパターンで表す文字は、英語以外の文字でも勿論構わない。また、数字でも良い。
また、ここでは、ダイポールアンテナを例に説明したが、本発明は、パッチアンテナのような開放型アンテナにも適用できる。ただ、ダイポールアンテナの方が、文字や数字を表すのに都合が良い。
また、ここでは、ＵＨＦ帯で使用するＲＦＩＤタグを例に説明したが、本発明は、マイクロ波帯で使用するＲＦＩＤタグにも適用可能である。
また、本発明は、パッシブ型だけでなく、アクティブ型のＲＦＩＤタグにも使用可能である。

本発明は、ＲＦＩＤタグに視覚化された情報を持たせることで、ＲＦＩＤタグの機能の飛躍的向上を可能にする。このＲＦＩＤタグは、工業製品の物流や在庫の管理、図書館での書籍の保管、放牧牛や羊の頭数計測、病院での患者や新生児の識別など、広い分野で利用することができる。

１０ 半導体チップ
２０ インレット
２１ ダイポールアンテナ
２２ ダイポールアンテナ
３０ 基材
３１ 表面保護シート
３２ 模様
３３ 模様

Claims (6)

1. 開放型のアンテナを備えるＲＦＩＤタグであって、
   前記アンテナのパターンが文字または数字による情報を表していることを特徴とするＲＦＩＤタグ。
2. 請求項１に記載のＲＦＩＤタグであって、前記アンテナのパターンにより、企業名または商品名を意匠化したロゴが表されていることを特徴とするＲＦＩＤタグ。
3. 請求項１に記載のＲＦＩＤタグであって、前記アンテナのパターンにより、メッセージが表されていることを特徴とするＲＦＩＤタグ。
4. 請求項１から３に記載のＲＦＩＤタグであって、前記アンテナのパターンが表す文字または数字の識別力を高めるために、前記アンテナのパターンの一部を隠す模様が付された表面保護シートを備えることを特徴とするＲＦＩＤタグ。
5. 請求項１から３に記載のＲＦＩＤタグであって、前記アンテナのパターンが表す文字または数字の識別力を高めるために、前記アンテナのパターンに追加する模様が付された表面保護シートを備えることを特徴とするＲＦＩＤタグ。
6. 請求項１から５に記載のＲＦＩＤタグであって、前記アンテナが、ダイポールアンテナであることを特徴とするＲＦＩＤタグ。