JP2010181753A - トナーの製造方法およびトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温定着可能であって、粒度分布幅が狭く高精細および高解像度の高品位画像を形成可能なトナーを、生産効率が低下するのが防止された状態で製造することができるトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】 トナーの製造方法は、トナー分散液調製工程と、乾燥工程とを含む。トナー分散液調製工程では、ガラス転移温度が60℃以下の結着樹脂を含むトナー母粒子が水性媒体中に10〜40重量%の含有率で分散されるトナー分散液を調製する。そして、乾燥工程では、トナー分散液調製工程で得られるトナー分散液を、結着樹脂のガラス転移温度以上、(結着樹脂のガラス転移温度+10)℃以下の温度条件下であり、パルス衝撃波が照射される乾燥室内に噴霧して、乾燥されたトナー母粒子を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置において静電潜像を現像する現像剤として用いられるトナーおよびその製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、感光体と、感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある感光体表面に信号光を照射して画像情報に対応した静電潜像を形成する露光手段と、感光体表面の静電潜像に現像剤を供給して顕像化する現像手段と、感光体表面のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、トナー像転写後の感光体表面を清浄化するクリーニング手段とを含んで構成される。このような画像形成装置を用いて記録媒体上に画像を形成するとき、現像手段は、トナーを含む1成分現像剤またはトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を現像剤として用いて、感光体表面の静電潜像を現像する。
電子写真方式の画像形成装置は、画質品位の良好な画像を高速でかつ安価に形成できるので、複写機、プリンタ、ファクシミリなどに利用されているが、画像形成装置によって形成される画像の高精細化、高解像化、画像品位の安定化、画像形成速度の高速化などが要求されるようになってきている。これらの要求を達成するために、現像剤に含まれるトナーとしては、感光体表面の静電潜像を忠実に再現することが重要との観点から、小粒径化されたトナーが採用されるようになってきている。また、画像形成装置として省エネルギー化を達成するために、定着温度の低温化が要求されるようになってきており、そのため、現像剤に含まれるトナーとしては、低いガラス転移温度を有する結着樹脂を含有するトナーが採用されるようになってきている。
このような小粒径かつ低温定着可能なトナーを得る方法として、湿式法によるトナーの製造方法が提案されている。湿式法によるトナーの製造方法によれば、結着樹脂を含むトナー母粒子が、有機溶剤、水または有機溶剤と水との混合溶剤中に分散されたトナー分散液を得て、該トナー分散液を加熱して乾燥されたトナー母粒子を得る。
特許文献1には、液状原料中に分散された原料粒子を、スプレードライヤー方式で加熱して乾燥させる乾燥方法が開示されている。特許文献1に開示されるスプレードライヤー方式の乾燥方法を、トナー分散液を加熱して乾燥させる方法として適用した場合、加熱雰囲気下の乾燥室内にトナー分散液を噴霧することによって、乾燥されたトナー母粒子を得ることができる。このような特許文献1に開示されるスプレードライヤー方式の乾燥方法は、乾燥室内にトナー分散液を連続的に噴霧することができ、量産化に対応可能な乾燥方法であるが、トナー母粒子の構成成分である結着樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、トナー母粒子同士が熱融着して粗大粒子となってしまい、粒度分布幅の狭いトナーを得ることが困難である。
このような問題点を解決するために、特許文献2には、液状原料中に分散された原料粒子を、パルス乾燥方式で乾燥させる乾燥方法が開示されている。特許文献2に開示されるパルス乾燥方式の乾燥方法を、トナー分散液を加熱して乾燥させる方法として適用した場合、燃焼ガスが爆発を繰り返すパルス燃焼により発生するパルス衝撃波が照射される乾燥室内にトナー分散液を噴霧することによって、乾燥されたトナー母粒子を得ることができる。このような特許文献2に開示されるパルス乾燥方式の乾燥方法は、パルス衝撃波の作用によって、トナー母粒子同士が熱融着して粗大粒子となるのを抑制することができる。
特開昭61−246578号公報 特開2006−90571号公報
しかしながら、低温定着可能なトナーを得るために、特許文献2に開示されるパルス乾燥方式の乾燥方法によって、低いガラス転移温度の結着樹脂を含むトナー母粒子が分散されるトナー分散液を乾燥させるとき、トナー分散液の粘度が高くなりすぎて、パルス衝撃波の作用によってトナー母粒子同士が熱融着して粗大粒子となるのを充分に抑制することができない場合があり、粒度分布幅の狭いトナーを得ることができない。そのため、得られるトナーは、感光体表面の静電潜像を忠実に再現することができず、高精細および高解像度の高品位画像を形成可能なトナーとはならない。また、トナー分散液の粘度が高くなりすぎた場合には、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室内に噴霧することができなくなり、トナーの生産効率が低下することになる。
したがって本発明の目的は、低温定着可能なトナーであって、粒度分布幅が狭く高精細および高解像度の高品位画像を形成可能なトナーを、生産効率が低下するのが防止された状態で製造することができるトナーの製造方法を提供することである。また本発明の目的は、前記トナーの製造方法によって製造されるトナーを提供することである。
本発明は、ガラス転移温度が60℃以下の結着樹脂を含むトナー母粒子が水性媒体中に10〜40重量%の含有率で分散されるトナー分散液を調製するトナー分散液調製工程と、
下記式(1)を満たす温度T(℃)の条件下で、パルス衝撃波を照射しながらトナー分散液調製工程で得られるトナー分散液を噴霧して、乾燥されたトナー母粒子を得る乾燥工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
Tg≦T≦Tg+10 …(1)
[式中、Tgは結着樹脂のガラス転移温度を示す。]
また本発明は、前記乾燥工程では、前記トナー分散液を加圧しながら噴霧することを特徴とする。
また本発明は、前記トナー分散液調製工程において用いられる前記水性媒体が、結着樹脂に対して非相溶である揮発性溶剤を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記揮発性溶剤が、エタノールであることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーの製造方法により製造されることを特徴とするトナーである。
本発明によれば、トナーの製造方法は、トナー分散液調製工程と、乾燥工程とを含む。トナー分散液調製工程では、ガラス転移温度が60℃以下の結着樹脂を含むトナー母粒子が水性媒体中に10〜40重量%の含有率で分散されるトナー分散液を調製する。そして、乾燥工程では、トナー分散液調製工程で得られるトナー分散液を、上記式(1)を満たす温度T(℃)の条件下であり、パルス衝撃波が照射される乾燥室内に噴霧して、乾燥されたトナー母粒子を得る。
乾燥工程においてトナー分散液を乾燥させるとき、トナー母粒子の含有率が10〜40重量%に調製されたトナー分散液を、所定の温度条件下でパルス衝撃波が照射される乾燥室内に噴霧するので、トナー分散液の粘度上昇を抑制して安定的にトナー分散液を噴霧することができ、乾燥速度を高い状態で維持しつつ、パルス衝撃波の作用によってトナー母粒子同士が熱融着して粗大粒子となるのを充分に抑制することができる。そのため、粒度分布幅の狭いトナーを得ることができる。このようにして得られた粒度分布幅の狭いトナーは、感光体表面の静電潜像を忠実に再現することができ、高精細および高解像度の高品位画像を形成可能なトナーとなる。
また、本発明のトナーの製造方法では、トナー分散液中のトナー母粒子の含有率が10〜40重量%に調製されて、トナー分散液の粘度が高くなりすぎるのが防止されているので、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室内に噴霧することができ、トナーの生産効率が低下するのを防止することができる。
また本発明によれば、乾燥工程では、トナー分散液を加圧しながら噴霧する。このようにトナー分散液を加圧しながら噴霧することによって、トナー分散液の粘度が高い場合であっても、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室内に噴霧することができ、トナーの生産効率が低下するのをさらに防止した状態で、粒度分布幅の狭いトナーを得ることができる。
また本発明によれば、トナー分散液調製工程において用いられる水性媒体が、結着樹脂に対して非相溶である揮発性溶剤を含む。トナー母粒子に対する分散媒体である水性媒体が揮発性溶剤を含むので、トナー分散液の粘度を低下させることができ、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室内に噴霧することができる。また、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤が、結着樹脂に対して非相溶であるので、乾燥後のトナー母粒子同士が融着しやすくなるのを防止することができる。また、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤は沸点の低い溶剤であるので、トナー母粒子の乾燥性を低下させることがなく、トナーの生産効率が低下するのを防止することができる。
また本発明によれば、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤がエタノールである。エタノールは、結着樹脂に対して非相溶であり、かつ沸点の低い溶剤である。さらにエタノールは、系外に放出されても比較的毒性の低い溶剤であるので、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤として好適に用いることができる。
また本発明によれば、トナーは、前記製造方法により製造されることで実現される。前記製造方法により製造されるトナーは、低温定着可能で粒度分布幅の狭いトナーであるので、感光体表面の静電潜像を忠実に再現することができ、高精細および高解像度の高品位画像を形成可能なトナーとなる。
本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法における手順を示すフローチャートである。 高圧ホモジナイザ1の構成を模式的に示す図である。 耐圧ノズル7の構成を模式的に示す断面図である。 パルス燃焼乾燥装置30の構成を模式的に示す図である。
本発明におけるトナーの製造方法は、トナー分散液調製工程と、乾燥工程とを含む。図1は、本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法における手順を示すフローチャートである。
[トナー分散液調製工程]
ステップs1のトナー分散液調製工程は、ステップs1−(a)の樹脂粒子分散工程と、ステップs1−(b)の凝集工程と、ステップs1−(c)のトナー母粒子形成工程と、ステップs1−(d)の洗浄工程とを含み、トナー母粒子が水性媒体中に分散されてなるトナー分散液を調製する工程である。
(樹脂粒子分散工程)
ステップs1−(a)の樹脂粒子分散工程は、少なくとも結着樹脂を含む樹脂粒子を水性媒体中に分散させて樹脂粒子のスラリーを調製する工程であり、ステップs1(a)−1の溶融混練工程と、ステップs1−(a)−2の粗粉砕工程と、ステップs1−(a)−3の粉砕工程と、ステップs1−(a)−4の冷却工程と、ステップs1−(a)−5の減圧工程とを含む。
<溶融混練工程>
ステップs1−(a)−1の溶融混練工程は、結着樹脂とそれ以外のトナー原料とを溶融混練して、少なくとも結着樹脂を含む溶融混練物を作製する工程である。ここで、結着樹脂以外のトナー原料とは、着色剤、離型剤、帯電制御剤などである。
結着樹脂としては、この分野で常用され、溶融状態で造粒可能なものを使用できる。その具体例としては、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしてもポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調製でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。
アクリル樹脂としては特に制限されないけれども、酸性基含有アクリル樹脂を好ましく使用できる。酸性基含有アクリル樹脂は、たとえば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル樹脂モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有することのあるアクリル酸、置換基を有することのあるメタアクリル酸、置換基を有することのあるアクリル酸エステルおよび置換基を有することのあるメタアクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などにより行われる。
ポリウレタンとしては特に制限されないけれども、たとえば、酸性基または塩基性基含有ポリウレタンを好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有ポリウレタンは、公知の方法に従って製造できる。たとえば、酸性基または塩基性基含有ジオール、ポリオールおよびポリイソシアネートを付加重合させればよい。酸性基または塩基性基含有ジオールとしては、たとえば、ジメチロールプロピオン酸およびN−メチルジエタノールアミンなどが挙げられる。ポリオールとしては、たとえば、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよびポリブタジエンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。これら各成分はそれぞれ1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
エポキシ樹脂としては特に制限されないけれども、酸性基または塩基性基含有エポキシ系樹脂を好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有エポキシ樹脂は、たとえば、ベースになるエポキシ樹脂にアジピン酸および無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
これらの結着樹脂の中でも、ポリエステルが好ましい。ポリエステルは透明性に優れ、得られるトナーに良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与することができるので、カラートナーの結着樹脂に好適である。また、ポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
また、本実施の形態で用いる結着樹脂は、低温定着性と保存安定性とのバランスを考慮して、ガラス転移温度が60℃以下の樹脂であるが、ガラス転移温度が50〜60℃の樹脂であることが好ましく、ガラス転移温度が55〜58℃の樹脂であることが特に好ましい。結着樹脂は、1種を単独で使用でき、または異なる2種以上を併用できる。さらに、同じ樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれかが、または全部が異なるものを複数種用いることができる。
前記結着樹脂を含有したトナー分散液を作製する方法としては、特に限定はないが、懸濁重合法や乳化凝集法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、溶融乳化法は溶剤を用いることなくトナーを作製でき、また、低温定着性に有利なポリエステル樹脂を使用できるため特に望ましい。
本実施の形態で用いられる着色剤としては、染料および顔料が挙げられるが、その中でも顔料を用いることが好ましい。顔料は、染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、顔料を用いることによって耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。着色剤としては、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などの有機系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、およびC.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
着色剤としては、上記以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。これらの着色剤は、1種を単独で使用してもよく、また色の異なる2種以上を併用して使用してもよい。また同色系の複数の着色剤を併用することもできる。着色剤は、マスターバッチとして使用されることが好ましい。着色剤のマスターバッチは、たとえば、樹脂の溶融物と着色剤とを混練することによって製造することができる。樹脂としては、トナーの結着樹脂と同種の樹脂またはトナーの結着樹脂に対して良好な相溶性を有する樹脂が使用される。マスターバッチにおける樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないけれども、好ましくは合成樹脂100重量部に対して30〜100重量部である。マスターバッチは、たとえば粒径2〜3mm程度に造粒されて用いられる。
また、着色剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して4〜20重量部である。これにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、かつ、高着色力を有するトナーを得ることができる。着色剤の配合量が20重量部を超えると、着色剤のフィラー効果によって、トナーの定着性が低下するおそれがある。
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させるときにトナーに離型性を付与するために添加される。したがって、離型剤を使用しない場合と比較して高温オフセット開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。また、トナーを定着させるときの加熱によって離型剤を溶融させ、定着開始温度を低下させ、耐ホットオフセット性を向上させることができる。本実施の形態で用いられる離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。離型剤としては、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、ならびにマイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子ポリプロピレンワックスおよびその誘導体、ならびにポリオレフィン系重合体ワックスおよびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、エステル系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の使用量は特に限定されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。離型剤が20重量部よりも多く含まれると、静電潜像が形成される感光体上へのフィルミング、キャリアへのスペントが起こりやすくなるおそれがあり、0.2重量部未満であると、離型剤の機能を充分発揮できないおそれがある。離型剤の融点は特に制限されないけれども、融点が高すぎると定着性(離型性)改良に効果がなく、低すぎると保存性などを悪化させてしまうため、30〜120℃が好ましい。
帯電制御剤は、トナーに好ましい帯電性を付与するために添加される。本実施の形態で用いられる帯電制御剤としては、特に限定されるものではなく、公知の正電荷制御用または負電荷制御用の帯電制御剤を使用することができる。たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、およびアミジン塩などの正電荷制御用の帯電制御剤と、たとえば、オイルブラックおよびスピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸などの負電荷制御用の帯電制御剤が挙げられる。
帯電制御剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。相溶性の帯電制御剤の使用量は、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部であり、より好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。帯電制御剤が5重量部よりも多く含まれると、キャリアが汚染されてしまい、トナー飛散が発生し、非相溶性の帯電制御剤の含有量が0.5重量部未満であると、トナーに充分な帯電特性を付与することができない。
溶融混練物は、たとえば、結着樹脂および着色剤と、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などを混合機で乾式混合し、得られる粉体混合物を混練機で混練することによって製造できる。混練温度は、結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)である。
溶融混練には、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、混練機としては、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーディックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。溶融混練物は冷却されて固化物となる。
<粗粉砕工程>
ステップs1−(a)−2の粗粉砕工程は、溶融混練物を粗粉砕して水性媒体中に分散させ、樹脂粒子の粗粉末を含むスラリーを得る工程である。溶融混練物の冷却固化物は、カッターミル、フェザーミル、ジェットミルなどの粉体粉砕機によって粗粉砕され、樹脂粒子の粗粉末(以下、「樹脂粒子粗粉」という)が得られる。樹脂粒子粗粉の粒子径は特に制限されないけれども、好ましくは450〜1000μm、さらに好ましくは500〜800μm程度である。
樹脂粒子粗粉と混合する水性媒体としては、樹脂粒子粗粉を溶解せずかつ均一に分散させ得る液状媒体であれば特に制限されないけれども、工程管理の容易さ、全工程後の廃液処理、取扱い易さなどを考慮すると水が好ましく、分散安定剤を含む水がさらに好ましい。分散安定剤は、樹脂粒子粗粉を水性媒体に添加する前に、水性媒体中に添加しておくのが好ましい。分散安定剤の添加量は特に制限されないが、好ましくは水性媒体と分散安定剤との合計量の0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
分散安定剤としては、特に制限されず、この分野で常用されるものを使用できるが、その中でも高分子分散剤を使用することが好ましく、他の分散安定剤と併用しても構わない。
高分子分散剤としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのアクリル系単量体、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有アクリル系単量体、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステルなどのエステル系単量体、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのビニルアルコール系単量体、ビニルアルコールとのエーテル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなどのビニルアルキルエーテル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルアルキルエステル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、これらのメチロール化合物などのアミド系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド系単量体、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどのビニル窒素含有複素環系単量体、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼンなどの架橋性単量体などから選ばれる1種または2種の親水性単量体を含む(メタ)アクリル系ポリマー、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
高分子分散剤と併用できる分散安定剤としては、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル硫酸アンモニウムなどのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウムなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩などが挙げられるがこれに限定されるものではない。
樹脂粒子粗粉と水性媒体との混合は、一般的な混合機を用いて行われ、それによって樹脂粒子粗粉を含むスラリーが得られる。ここで、水性媒体に対する樹脂粒子粗粉の添加量は特に制限はないけれども、好ましくは樹脂粒子粗粉と水性媒体との合計量の3〜45重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。また、樹脂粒子粗粉と水性媒体との混合は、加熱下または冷却下に実施してもよいけれども、通常は室温下に行われる。混合機としては、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
こうして得られる樹脂粒子粗粉を含むスラリーは、そのまま粉砕工程に供してもよいけれども、粗粉砕工程においては、樹脂粒子粗粉の粒子径を好ましくは100μm前後、さらに好ましくは100μm以下に粗粉砕する。このような処理は、たとえば、樹脂粒子粗粉を含むスラリーを、高圧下にてノズルに通過させることによって行うことができる。
次に、樹脂粒子粗粉を含むスラリー中の樹脂粒子粗粉を粉砕する。この樹脂粒子粗粉の粉砕は、高圧ホモジナイザ法によって行う。本実施の形態では、高圧ホモジナイザ法による樹脂粒子粗粉の粉砕は、ステップs1−(a)−3の粉砕工程と、ステップs1−(a)−4の冷却工程と、ステップs1−(a)−5の減圧工程とを含む。高圧ホモジナイザとしては、市販品、特許文献に記載のものなどを使用できる。高圧ホモジナイザの市販品としては、たとえば、マイクロフルイダイザー(商品名、マイクロフルディクス(Microfluidics)社製)、ナノマイザー(商品名、ナノマイザー社製)、アルティマイザー(商品名、株式会社スギノマシン製)などのチャンバ式高圧ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ(商品名、ラニー(Rannie)社製)、高圧ホモジナイザ(商品名、三丸機械工業株式会社製)、高圧ホモゲナイザ(商品名、株式会社イズミフードマシナリ製)などが挙げられる。また、特許文献に記載の高圧ホモジナイザとしては、たとえば、国際公開第03/059497号パンフレットに記載のものが挙げられる。これらの中でも、国際公開第03/059497号パンフレットに記載の高圧ホモジナイザが好ましい。
図2は、高圧ホモジナイザ1の構成を模式的に示す図である。本実施の形態では、ステップs1−(a)−3の粉砕工程と、ステップs1−(a)−4の冷却工程と、ステップs1−(a)−5の減圧工程とを、高圧ホモジナイザ1によって行う。高圧ホモジナイザ1は、タンク2と、送りポンプ3と、加圧ユニット4と、加熱ユニット5と、耐圧性容器6と、第1〜第3の耐圧ノズル7a,7b,7cと、冷却モジュール8と、減圧モジュール9と、配管10とを含む。配管10に付される矢符の向きは、スラリーの流過方向を示す。
高圧ホモジナイザ1は、スラリーの流過する順番に、タンク2、送りポンプ3、加圧ユニット4、加熱ユニット5、耐圧性容器6、第1の耐圧ノズル7a、第2の耐圧ノズル7b、第3の耐圧ノズル7c、冷却モジュール8、および減圧モジュール9が順に配置されて構成される。
タンク2には、樹脂粒子粗粉を含むスラリーが収容される。タンク2内には、スラリーを撹拌する撹拌手段が備えられることが好ましい。タンク2に収容される樹脂粒子粗粉を含むスラリーは、送りポンプ3によって配管10内に送出される。送出されたスラリーは、加圧ユニット4で加圧され、加熱ユニット5で加熱される。
加圧ユニット4は、たとえば、プランジャーと、プランジャーによって吸入吐出駆動されるポンプ部とを備えるプランジャーポンプによって構成される。加熱ユニット5は、たとえば、スラリーが流過する配管10を加熱するコイルなどの加熱手段を備える加熱炉によって構成される。加圧ユニット4および加熱ユニット5によって加熱加圧されたスラリーは、耐圧性容器6に送給される。
耐圧性容器6は、耐圧性を有する密閉容器である。耐圧性容器6は、内部に収容されるスラリーを撹拌する撹拌手段を備えることが好ましい。粉砕工程において、耐圧性容器6に送給されたスラリーは、配管10を介して第1〜第3の耐圧ノズル7a,7b,7c(以下特定の耐圧ノズルを示す場合を除いて、単に「耐圧ノズル7」という)を通過し、粉砕される。
また冷却モジュール8は、後述する冷却工程を実現するためのものであり、減圧モジュール9は、後述する減圧工程を実現するためのものである。
<粉砕工程>
ステップs1−(a)−3の粉砕工程は、樹脂粒子粗粉を含むスラリーを、加熱加圧下で耐圧ノズル7に通過させることによって、樹脂粒子粗粉を粉砕して微粒子化して樹脂粒子とし、樹脂粒子のスラリーを得る工程である。
耐圧ノズル7としては、液体流過が可能な一般的な耐圧ノズルを使用できるけれども、たとえば、液体流過路を複数有する多重ノズルを好ましく使用できる。多重ノズルの液体流過路は、多重ノズルの軸心を中心とする同心円状に形成してもよく、または複数の液体流過路が多重ノズルの長手方向にほぼ平行に形成されたものでもよい。高圧ホモジナイザ1に備えられる耐圧ノズル7の一例としては、入口径および出口径が0.05〜0.35mm程度であり、長さ0.5〜5cmの液体流過路が1または複数、好ましくは1〜2程度形成されたものが挙げられる。
図3は、耐圧ノズル7の構成を模式的に示す断面図である。耐圧ノズル7は1つ設けてもよく、または複数設けてもよい。耐圧ノズル7は、その内部に液体流過路21を有し、液体流過路21は鉤状に屈曲し、矢符22の方向から液体流過路21内に進入する樹脂粒子粗粉を含むスラリーが衝突する衝突壁23を少なくとも1つ有する。耐圧ノズル7の液体流過路21内に進入してきた樹脂粒子粗粉を含むスラリーは、衝突壁23に対してほぼ直角に衝突し、これによって樹脂粒子粗粉が粉砕され、より小径化された樹脂粒子となって耐圧ノズル7から排出される。この耐圧ノズル7においては、入口径と出口径とが同寸法に形成されるけれども、それに限定されず、出口径を入口径よりも小さく形成してもよい。
樹脂粒子粗粉を含むスラリーを、耐圧ノズル7の液体流過路21に通過させるときの加圧ユニット4および加熱ユニット5による加熱加圧条件は特に制限されないけれども、50〜250MPaで加圧し、かつ50℃以上に加熱するのが好ましく、50〜250MPaに加圧し、かつ90℃以上に加熱するのがさらに好ましく、50〜250MPaに加圧し、かつ90〜(結着樹脂の軟化温度+25)℃に加熱することが特に好ましい。圧力が50MPa未満では、せん断エネルギーが小さくなり、小粒子径化された樹脂粒子を得ることができないおそれがある。また、圧力が250MPaを超えると、実際の生産ラインにおいて危険性が大きくなり過ぎ、現実的ではない。
樹脂粒子粗粉を含むスラリーは、前記範囲に制御された圧力および温度下で、耐圧ノズル7の入口から液体流過路21に導入される。そして、所定の加熱加圧条件下で耐圧ノズル7の液体流過路21を通過して耐圧ノズル7の出口から排出されてなる樹脂粒子のスラリーは、耐圧ノズル7の出口では、10〜50MPa程度に加圧され、かつ60〜(結着樹脂の軟化温度+60)℃程度に加熱されている。そして、樹脂粒子のスラリー中に含まれる樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.03〜1μm(30〜1000nm)程度である。
<冷却工程>
ステップs1−(a)−4の冷却工程は、液温60〜(結着樹脂の軟化温度+60)℃程度の樹脂粒子のスラリーを冷却する工程であり、高圧ホモジナイザ1の冷却モジュール8によって行われる。冷却工程では、樹脂粒子のスラリーの温度を、30℃以下まで冷却する。樹脂粒子のスラリーの温度が30℃程度まで冷却されると、スラリーに付加される圧力は、5〜20MPa程度に減圧される。
冷却モジュール8としては、耐圧構造を有する一般的な液体冷却機を使用でき、その中でも蛇管式冷却機のように冷却面積の大きい冷却機が好ましい。また、冷却機は、冷却機入口から冷却機出口に向けて、冷却勾配が小さくなるように(または冷却能力が低くなるように)構成するのが好ましい。これによって、樹脂粒子の微粒子化が一層効率的に達成され、樹脂粒子同士の再付着による粗大化を防止し、体積平均粒子径が0.03〜1μmまで微粒子化された樹脂粒子の収率を向上させることができる。
樹脂粒子のスラリーは、冷却機入口から冷却機内部に導入され、冷却勾配を有する冷却機内部で冷却され、冷却機出口から排出される。冷却機は1つ設けてもよく、または複数設けてもよい。
<減圧工程>
ステップs1−(a)−5の減圧工程は、冷却工程において冷却され、加圧状態にある樹脂粒子のスラリーを減圧する工程であり、高圧ホモジナイザ1の減圧モジュール9によって行われる。
加圧状態にある樹脂粒子のスラリーは、バブリング(泡の発生)が起こらない程度の圧力まで減圧される。このように、本実施の形態では、樹脂粒子のスラリーを、バブリングが発生しない圧力まで減圧するので、泡が核となって樹脂粒子同士が付着して粗大化してしまうのを抑制することができる。
冷却工程において冷却された樹脂粒子のスラリーは、5〜20MPa程度に加圧された状態であるが、減圧工程では、減圧を段階的に徐々に行うようにするのが好ましい。このような、段階的に減圧を行う減圧モジュール9としては、国際公開第03/059497号パンフレットに記載の多段減圧装置を用いるのが好ましい。多段減圧装置は、加圧状態にある樹脂粒子のスラリーを多段減圧装置内に導入する入口通路と、入口通路に連通するように形成されて、減圧された樹脂粒子のスラリーを多段減圧装置外に排出する出口通路と、入口通路と出口通路との間に設けられて、連結部材を介して2以上の減圧部材が連結されてなる多段減圧手段とを含んで構成される。
冷却工程において冷却機出口から排出されたスラリーは、冷却機出口と多段減圧装置の入口通路とを連結する耐圧性配管を通過して、多段減圧装置の入口通路に導入される。このとき、耐圧性配管には供給ポンプおよび供給バルブが配設されており、冷却機出口から排出されたスラリーは、この供給ポンプによって耐圧性配管に供給される。
多段減圧装置において、多段減圧手段に用いられる減圧部材としては、たとえば、パイプ状部材が挙げられる。連結部材としては、たとえば、リング状シールが挙げられる。内径の異なる複数のパイプ状部材をリング状シールにて連結することによって多段減圧手段が構成される。たとえば、多段減圧手段は、入口通路から出口通路に向けて、同じ内径を有するパイプ状部材が2〜4個連結され、次にこれらよりも2倍程度内径の大きなパイプ状部材が1個連結され、さらに、2倍程度内径の大きなパイプ状部材よりも5〜20%程度の内径を有する小さなパイプ状部材が1〜3個程度連結されて構成されている。
加圧状態にある樹脂粒子のスラリーは、上記のように構成された複数のパイプ状部材内を流過することによって、徐々に減圧され、最終的にはバブリングが起こらない程度の圧力、好ましくは大気圧まで減圧される。
また、多段減圧装置は、多段減圧手段の周囲に冷媒または熱媒を用いる熱交換手段が設けられ、樹脂粒子のスラリーに付加されている圧力値に応じて、冷却または加熱が行われるように構成されていてもよい。また、多段減圧装置は1つ設けてもよくまたは複数設けてもよい。
多段減圧装置内で減圧された樹脂粒子のスラリーは、出口通路から該多段減圧装置の外部に排出される。
以上のような、溶融混練工程、粗粉砕工程、粉砕工程、冷却工程および減圧工程からなる樹脂粒子分散工程において作製された樹脂粒子のスラリーは、体積平均粒子径が0.03〜1μm(30〜1000nm)、好ましくは0.03〜0.2μm(30〜200nm)まで微粒子化された樹脂粒子を含む分散液となる。
なお、ステップs1−(a)−1〜ステップs1−(a)−5までの工程は、1度だけ実施してもよく、複数回繰り返して実施してもよい。また、ステップs1−(a)−1〜ステップs1−(a)−5までの工程を1度実施した後、ステップs1−(a)−3〜ステップs1−(a)−5を繰り返して実施してもよい。
なお、本実施の形態では、結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を溶融混練して得られた溶融混練物を用いて樹脂粒子のスラリーを調製したが、これに限定されるものではない。たとえば、結着樹脂のみからなる結着樹脂粒子のスラリーと、その他のトナー原料からなるトナー原料粒子のスラリーとを混合して、樹脂粒子のスラリーを調製するようにしてもよい。
結着樹脂のみからなる結着樹脂粒子のスラリーと、その他のトナー原料からなるトナー原料粒子のスラリーとの混合は、バッチ式または連続式の乳化機、分散機などの一般的な混合装置を用いて行われる。乳化機および分散機には、結着樹脂粒子のスラリーとトナー原料粒子のスラリーとの混合スラリーを加熱する加熱手段、混合スラリーにせん断力を付与できる撹拌手段および/または回転手段、保温手段を有する混合槽などが備えられていてもよい。乳化機および分散機の具体例としては、たとえば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン株式会社製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(商品名、特殊機化工業株式会社製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、株式会社荏原製作所製)、TKパイプラインホモミクサー(商品名、特殊機化工業株式会社製)、TKホモミックラインフロー(商品名、特殊機化工業株式会社製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー(商品名、三井三池化工機株式会社製)、トリゴナル湿式微粉砕機(商品名、三井三池化工機株式会社製)、キャビトロン(商品名、株式会社ユーロテック製)、ファインフローミル(商品名、太平洋機工株式会社製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック株式会社製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業株式会社製)が挙げられる。
結着樹脂のみからなる結着樹脂粒子のスラリーと、その他のトナー原料からなるトナー原料粒子のスラリーとの混合は、好ましくは、上記のような乳化機、分散機または混合機によって室温下にて1〜5時間行われる。
(凝集工程)
ステップs1−(b)の凝集工程は、樹脂粒子のスラリーに凝集剤を添加して樹脂粒子を凝集させ、凝集粒子のスラリーを調製する工程である。凝集剤の添加は無撹拌下で行ってもよいけれども、撹拌下で行うのが好ましい。撹拌下で凝集剤の添加を行う場合には、たとえば、撹拌手段を備える造粒装置を用いることができる。また、樹脂粒子のスラリーと凝集剤との混合において、撹拌手段による撹拌速度、撹拌時の到達温度、昇温速度および凝集剤の添加量を適宜選択することによって、所望の体積平均粒子径、粒度分布および形状を有する凝集粒子を得ることができる。また、撹拌手段による撹拌時間については、結着樹脂、その他のトナー原料、凝集剤および分散安定剤の種類、ならびに濃度などの各種条件に応じて、適宜選択することができる。
凝集工程において用いられる凝集剤としては公知のものを使用できるが、その中でも、水溶性多価金属化合物が好ましい。水溶性多価金属化合物としては、たとえば、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの多価金属ハロゲン化物、硝酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウムなどの多価金属塩、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシムウムなどの無機金属塩重合体などが挙げられる。これらの中でも多価金属塩が好ましく、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの2または3価金属硫酸塩がさらに好ましい。水溶性多価金属化合物の使用量は特に制限されず、最終的に得ようとするトナーの体積平均粒子径などに応じて、結着樹脂およびその他のトナー原料の種類、樹脂粒子の体積平均粒子径などを考慮しながら、広い範囲から適宜選択すればよいけれども、好ましくは、樹脂粒子の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部程度とすればよい。
(トナー母粒子形成工程)
ステップs1−(c)のトナー母粒子形成工程は、凝集工程で得られた凝集粒子のスラリーを加熱して凝集粒子を合一化し、トナー母粒子のスラリーを得る工程である。凝集粒子のスラリーに対する加熱温度は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂のガラス転移温度付近の温度である。加熱温度および加熱時間を適宜制御することによって、得られるトナー母粒子の粒子形状および体積平均粒子径を制御できる。本実施の形態では、スラリー中に含まれるトナー母粒子は、体積平均粒子径が3〜10μm、好ましくは5〜7μmの範囲に制御される。
(洗浄工程)
ステップs1−(d)の洗浄工程は、トナー母粒子のスラリーを冷却した後に、スラリー中に含まれるトナー母粒子を洗浄する工程である。トナー母粒子の洗浄は、分散安定剤およびこれらに由来する不純物などを除去するために実施される。分散安定剤および前記不純物がトナー母粒子に残留すると、トナー母粒子で構成されるトナーの帯電性能が不安定になるおそれがある。また、空気中の水分の影響によって帯電量が低下するおそれがある。
トナー母粒子の洗浄は、たとえば、トナー母粒子のスラリーに水を加えて撹拌し、遠心分離などによって分離される上澄み液を除去することによって行うことができる。トナー母粒子の洗浄は、導電率計などを用いて測定した上澄み液の導電率が50μS/cm以下になるまで繰返し行うことが好ましい。これにより、分散安定剤およびこれらに由来する不純物類の残留を一層確実に防ぎ、トナー母粒子で構成されるトナーの帯電性能をさらに均一に安定化することができる。
洗浄に用いる水は、導電率が20μS/cm以下の純水であることが好ましい。このような純水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製することができる。またこれらの方法のうち、2種以上を組合せて水を調製してもよい。トナー母粒子の洗浄は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。また洗浄に用いる純水の温度は特に制限されるものではないが、10〜80℃程度であることが好ましい。
以上のような、樹脂粒子分散工程、凝集工程、トナー母粒子形成工程および洗浄工程からなるトナー分散液調製工程を経て、トナー母粒子が水性媒体である純水に分散されてなるトナー分散液が調製される。トナー分散液中のトナー母粒子は、ガラス転移温度が60℃以下の結着樹脂を含み、体積平均粒子径が3〜10μm、好ましくは5〜7μmの粒子である。また、本実施の形態では、トナー分散液におけるトナー母粒子の含有率は、10〜40重量%に制御される。
また、洗浄工程においてトナー母粒子を洗浄して得られたトナー分散液に、結着樹脂に対して非相溶である揮発性溶剤を添加することが好ましい。これによって、トナー分散液の粘度を低下させることができ、後述する乾燥工程においてトナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室内に噴霧することができる。また、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤が結着樹脂に対して非相溶であるので、乾燥後のトナー母粒子同士が融着しやすくなるのを防止することができる。そして、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤は沸点の低い溶剤であるので、トナー母粒子の乾燥性を低下させることがなく、トナーの生産効率が低下するのを防止することができる。
揮発性溶剤としては、結着樹脂に対して非相溶でありかつ沸点の低い溶剤であれば特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコールなどのアルコール類を挙げることができる。その中でも、エタノールが特に好ましい。エタノールは、結着樹脂に対して非相溶でありかつ沸点の低い溶剤である。さらにエタノールは、系外に放出されても比較的毒性の低い溶剤であるので、トナー分散液中に添加する揮発性溶剤として好適に用いることができる。
トナー分散液に対する揮発性溶剤の添加量は、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%である。揮発性溶剤の添加量が5重量%未満では、トナー分散液の粘度を低下させる効果が充分ではなく、30重量%を超えると、乾燥後のトナー母粒子中に揮発性溶剤が残存する可能性があり、トナー母粒子同士が融着して粗大化しやすくなる。
なお、トナー分散液の粘度を低下させるだけであれば、トナー分散液中に湿潤剤を添加する方法もあるが、該湿潤剤は揮発性が低く、乾燥後のトナー母粒子中に残存するおそれがある。このようにトナー母粒子中に湿潤剤が残存すると、環境安定性が低いトナー母粒子となってしまう。
[乾燥工程]
ステップs2の乾燥工程は、パルス衝撃波を照射しながら所定の温度条件下でトナー分散液を噴霧することによって、乾燥されたトナー母粒子を得る工程である。本実施の形態における乾燥工程では、公知のパルス燃焼乾燥装置(たとえば、特開2004−231760号公報に記載のパルス燃焼乾燥装置)を用いてトナー分散液を乾燥する。
図4は、パルス燃焼乾燥装置30の構成を模式的に示す図である。パルス燃焼乾燥装置30は、燃焼室31と、乾燥室32と、パルスエンジン33と、トナー分散液供給管34と、燃料供給管35と、燃焼空気供給管36と、二次空気供給管37と、サイクロン38と、バグフィルタ39と、トナー回収ボックス40と、トナー分散液貯留タンク41と、定量ポンプ42と、加圧ポンプ43と、温度センサ44と、スプレーノズル45とを含んで構成される。
トナー分散液調製工程において得られたトナー分散液であり、トナー母粒子の含有率が10〜40重量%に制御されたトナー分散液は、トナー分散液貯留タンク41に貯留される。このとき、トナー分散液貯留タンク41内のトナー分散液は、粘度が高くなりすぎることがなく安定した噴霧が可能となるように、20℃以上、好ましくは30℃以上に加温されている。ただし、トナー分散液が結着樹脂のガラス転移温度以上に加温されると、トナー母粒子同士が熱融着して粗大化するので、トナー分散液貯留タンク41内のトナー分散液は結着樹脂のガラス転移温度以下の温度範囲内で加温される。
トナー分散液貯留タンク41内に貯留されたトナー分散液は、定量ポンプ42によって所定の供給流量でトナー分散液供給管34に送給されてスプレーノズル45に到達する。定量ポンプ42によるトナー分散液の供給流量は、乾燥室32内におけるトナー分散液の乾燥効率を考慮して、乾燥室32内の設定温度条件に応じて制御すればよく、たとえば、0.5〜5.0L/hの範囲内で制御される。また、トナー分散液の供給流量を前記範囲内に制御することによって、乾燥室32内の温度を一定に保持することができる。また、トナー分散液供給管34は、トナー分散液の粘度上昇が発生しないように、結着樹脂のガラス転移温度以下の温度範囲内で20℃以上、好ましくは30℃以上に加温されている。
また、トナー分散液を定量ポンプ42によってスプレーノズル45に向けて送給するとき、トナー分散液を加圧ポンプ43によって0.1〜1.0MPa、より好ましくは0.2〜0.5MPaで加圧することが好ましい。このように、加圧しながらスプレーノズル45から乾燥室32内にトナー分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の含有率によって規定されるトナー分散液の粘度が高い場合であっても、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室32内に噴霧することができ、トナーの生産効率が低下するのを防止した状態で、粒度分布幅の狭いトナー母粒子を得ることができる。トナー分散液に対する加圧力が0.1MPa未満では加圧による効果が充分ではなく、1.0MPaを超えて加圧しようとすると、装置および配管が大掛かりになり、コスト的に不利になってしまう。
また、トナー分散液の加圧ポンプ43による加圧は、トナー母粒子の含有率によって規定されるトナー分散液の粘度が高い場合により顕著な効果を発揮するが、トナー母粒子の含有率が10〜40重量%の範囲内において30重量%以上に設定された場合には、トナー分散液を0.2MPa以上に加圧するのが好ましい。
必要に応じて加圧ポンプ43によって加圧されて、トナー分散液貯留タンク41内からトナー分散液供給管34に送給されるトナー分散液は、スプレーノズル45から、パルス衝撃波が照射される乾燥室32内に噴霧される。
本実施の形態では、乾燥室32内の温度が温度センサ44によって検出されて、その検出結果に基づいて乾燥室32内の温度T(℃)が、下記式(1)を満たす温度に制御されている。
Tg≦T≦Tg+10 …(1)
[式中、Tgは結着樹脂のガラス転移温度を示す。]
そして、パルス燃焼乾燥装置30において、パルス衝撃波は、燃焼室31内に配置されるパルスエンジン33から発生して、燃焼室31と連通する乾燥室32内に照射される。なお、パルス燃焼乾燥装置30においてトナー分散液を噴霧するスプレーノズル45は、パルスエンジン33から発生するパルス衝撃波の伝播方向下流側に配置されている。
パルスエンジン33は、燃料供給管35から燃料、燃焼空気供給管36から圧縮空気が供給されることによって、パルス衝撃波を発生する。ここで、パルス衝撃波とは、パルスエンジン33内で燃料を爆発させることによって発生する、毎秒数十回〜数千回のサイクルで脈動するパルス燃焼ガスである。脈動するパルス衝撃波が、スプレーノズル45から噴霧されるトナー分散液の周りの空気層に物理的衝撃を与えることにより、トナー分散液が瞬時に固液分離され、乾燥されたトナー母粒子を得ることができる。なお、燃料供給管35から供給される燃料としては、液化石油ガス(LPG)、都市ガス、プロパン、プロピレンなどの気体燃料、灯油、軽油、重油などの液体燃料を挙げることができる。
パルスエンジン33から発生するパルス衝撃波の周波数は、好ましくは50〜1000Hz、より好ましくは100〜900Hz、さらに好ましくは125〜550Hzとする。パルス衝撃波の周波数が50Hz未満であると、低周波数による振動障害を生じるおそれがある。また、周波数が1000Hzを超えると、充分な乾燥効果を得ることができない傾向がある。
また、パルス衝撃波の圧力振幅は、好ましくは±0.2kg/cm以上、より好ましくは±0.4kg/cm以上、さらに好ましくは±0.6kg/cm以上とする。パルス衝撃波の圧力振幅が±0.2kg/cm未満であると、乾燥室32内でトナー母粒子が充分に分散されない傾向がある。
また、パルス衝撃波の音圧は、好ましくは100〜200デシベル、より好ましくは120〜160デシベル、さらに好ましくは140〜150デシベルとする。パルス衝撃波の音圧が100デシベル未満であると、分散したトナー母粒子近傍での音波による繰り返し減圧作用による充分な撹拌作用や乾燥効果が得られない傾向がある。また、音圧が200デシベルを超えると、防音対策に多大のコストを要するようになる。
また、パルス燃焼ガスであるパルス衝撃波の、パルスエンジン33出口におけるガス温度は、好ましくは100〜1000℃、より好ましくは150〜700℃、さらに好ましくは150〜500℃とする。パルス衝撃波のガス温度が100℃未満であると、トナー母粒子が充分に乾燥されない傾向がある。また、ガス温度が1000℃を超えると、トナー母粒子が熱による変性を受け易い。なお、パルス衝撃波の温度は前述のように高温(100〜1000℃)であるが、スプレーノズル45から噴霧されるトナー分散液がパルス衝撃波と接触する時間は0.1〜1.0秒と瞬時であるので、噴霧されるトナー分散液中のトナー母粒子同士が熱融着して粗大化することはない。
また、パルス燃焼乾燥装置30は、乾燥室32内に二次空気を供給する二次空気供給管37を備えている。二次空気供給管37から乾燥室32内に供給される二次空気は、100〜1000℃のパルス衝撃波の影響で加熱される乾燥室32内の温度が、結着樹脂のガラス転移温度以上、(結着樹脂のガラス転移温度+10)℃以下の範囲となるように制御する役割を果たすとともに、乾燥によってトナー分散液から分離された水分を系外に放出する役割を果たす。
乾燥室32内で乾燥されてトナー分散液から分離されたトナー母粒子は、サイクロン38に送給されてバグフィルタ39を通過して、トナー回収ボックス40内に捕集される。このとき、サイクロン38において設定されるサイクロン差圧(ΔP)は、好ましくは10〜200mmHO、より好ましくは10〜150mmHOとする。サイクロン差圧が10mmHO未満では、二次空気供給管37からの二次空気の流入が少なすぎてトナー母粒子の捕集効率が悪くなり、200mmHOを超えると設備能力過剰となるだけである。
以上のように乾燥工程では、トナー母粒子の含有率が10〜40重量%に制御されたトナー分散液を、式(1)を満たす温度条件下でパルス衝撃波が照射される乾燥室32内に噴霧するので、トナー分散液の粘度上昇を抑制して安定的にトナー分散液を噴霧することができ、乾燥速度を高い状態で維持しつつ、パルス衝撃波の作用によってトナー母粒子同士が熱融着して粗大化するのを充分に抑制することができ、粒度分布幅の狭いトナー母粒子を得ることができる。また、トナー分散液中のトナー母粒子の含有率が10〜40重量%に制御されて、トナー分散液の粘度が高くなりすぎるのが防止されているので、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室32内に噴霧することができ、トナーの生産効率が低下するのを防止することができる。
乾燥室32内の温度が結着樹脂のガラス転移温度未満である場合、充分に乾燥されたトナー母粒子を得ることができず、トナー母粒子内に水分が残存して環境安定性の低いものとなる。そして、乾燥室32内の温度が結着樹脂のガラス転移温度未満である場合において、充分に乾燥されたトナー母粒子を得るためには、トナー分散液の供給流量を低下させる必要があり、トナーの生産効率が低下してしまう。また、トナー分散液中のトナー母粒子の含有率が10重量%未満ではトナーの生産効率が低く、40重量%を超える場合には、トナー分散液の粘度が高くなりすぎて、トナー分散液を連続的にかつ安定して乾燥室32内に噴霧することができない。
本発明のトナーは、前述のようにして乾燥されたトナー母粒子で構成されている。前述したようにトナー母粒子は、ガラス転移温度が60℃以下の結着樹脂を含み、体積平均粒子径が3〜10μm(好ましくは5〜7μm)であり、粒度分布幅が狭い粒子である。そのため、トナー母粒子で構成されてなるトナーは、低温定着可能で、小粒径かつ粒度分布幅の狭いものとなり、感光体表面の静電潜像を忠実に再現することができ、高精細および高解像度の高品位画像を形成可能なトナーとなる。
本発明のトナーは、トナー母粒子単独で構成されていてもよく、トナー母粒子に、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性、長期保存性改善、クリーニング特性改善および感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤を混合して、構成されていてもよい。外添剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などが挙げられる。これらの無機微粉末は、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー母粒子100重量部に対し1〜10重量部であることが好ましく、5重量部以下がより好適である。また、外添剤は、一次粒子の個数平均粒子径が10nm〜500nmであることが好ましい。このような粒径の外添剤を用いることによって、トナーの流動性向上効果が一層発揮され易くなる。
以上のようにして、必要に応じて外添剤が外添されるトナーは、そのまま1成分現像剤として使用することができ、またキャリアと混合して2成分現像剤として使用することができる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくトナーのみで使用する。また1成分現像剤として使用する場合、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることによってトナーを搬送し、画像形成を行う。
2成分現像剤として使用する場合、本発明のトナーをキャリアとともに用いる。キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアシド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないけれども、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。また、キャリアの粒径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。さらにキャリアの抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。磁化強さは現像ローラの磁束密度にもよるけれども、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)を例にとれば、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。また2成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。実施例および比較例における各物性値は、以下に示すようにして測定した。
<結着樹脂の分子量および分子量分布指数(Mw/Mn)>
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を試料溶液とし、試料溶液の注入量を200μLとして、分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線のピークの頂点の分子量をピークトップ分子量として求めた。また得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn)を求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
<結着樹脂のガラス転移温度(Tg)>
日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
<結着樹脂の軟化温度(Tm)>
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
<結着樹脂の酸価>
酸価は以下のようにして中和滴定法によって測定した。THF50mLに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
<樹脂粒子、トナー母粒子の体積平均粒子径>
コールターマルチサイザーIII(商品名、ベックマン・コールター株式会社製)において、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径および10μm以上の体積割合を求めた。
<トナー母粒子の乾燥度>
ミニジェットオーブンに約1gの乾燥後のトナー母粒子を投入し、105℃で3時間加熱処理した。そして、加熱処理前後の重量変化率を乾燥度とした。
[トナー分散液の調製]
<トナー分散液A>
ポリエステル(重量平均分子量:18000、Mw/Mn=25、ガラス転移温度:58℃、軟化温度:120℃、酸価:25KOHmg/g)からなる結着樹脂66重量部に、カーボンブラック顔料マスターバッチ30重量部(顔料濃度:10重量%)を予備混練分散させた混練物と、帯電制御剤(アルキルサリチル酸金属塩、BONTRON E−84、オリエント化学工業株式会社製)0.5重量部と、離型剤(ポリワックスTM−500、東洋ペトロライト株式会社製)3.5重量部とをヘンシェルミキサに投入し、10分間混合して原材料混合物を得た。
得られた原材料混合物を、三井鉱山株式会社製のニーディックスMOS140−800を用いて、設定温度120℃で溶融混練して溶融混練物を得た。次に、溶融混練物を室温まで冷却した後、カッターミル(VN−16、株式会社オリエント製)で粗粉砕し、樹脂粒子粗粉を得た。次に、樹脂粒子粗粉94重量部と、分散安定剤(ジョンクリル70、ジョンソンポリマー株式会社製)の30%水溶液20重量部と、水性媒体として水236重量部とを混合し、樹脂粒子粗粉を含むスラリーを調製した。このスラリーを、168MPaの圧力下で内径0.45mmのノズルに通過させて前処理を行い、スラリー中の樹脂粒子粗粉の粒子径を100μm以下に調製した。
次に、図2に示した高圧ホモジナイザ1を用いて、樹脂粒子粗粉を微粒子化して樹脂粒子のスラリーを調製した。具体的には、まず、樹脂粒子粗粉を含むスラリーを210MPaで110℃に加熱加圧し、配管を介して耐圧ノズルに供給した。耐圧ノズルは、孔径0.143mmの2本の液体流過孔が耐圧ノズルの長手方向においてほぼ平行になるように形成された、長さ0.5cmの耐圧性多重ノズルである。耐圧ノズル入口におけるスラリーの温度は110℃、スラリーに付加される圧力は210MPaであり、耐圧ノズル出口におけるスラリーの温度は120℃、スラリーに付加される圧力は42MPaであった。
次に、耐圧ノズルから排出されるスラリーを、耐圧ノズルの出口に接続される蛇管冷却機である冷却モジュールに導入し、冷却を行った。冷却モジュール出口でのスラリーの温度は30℃、スラリーに付加される圧力は35MPaであった。そして、冷却モジュール出口から排出されるスラリーを、多段減圧装置である減圧モジュールに導入し、減圧を行った。この減圧モジュールは、内径0.5〜1mmの5個のパイプ状部材を内径の小さいものから大きいものへ段階的にリング状シールで連結したものである。このようにして樹脂粒子粗粉を細粒化し、体積平均粒子径が0.5μmの樹脂粒子を含むスラリーを得た。
高圧ホモジナイザ1を用いて調製した樹脂粒子のスラリー500重量部(スラリー中に固形分である樹脂粒子が100重量部含まれる)に、回転速度2000rpmの撹拌下で、0.1%の硫酸マグネシウム水溶液を少量ずつ合計で5重量部滴下し、その後1時間撹拌して、凝集粒子のスラリーを得た。次に、凝集粒子のスラリーを75℃で2時間撹拌(回転速度:2000rpm)して凝集粒子を合一化し、トナー母粒子のスラリーを得た。
次に、トナー母粒子のスラリーから濾過によってトナー母粒子を単離し、純水で5回洗浄した後、純水を加えてトナー母粒子の含有率が15重量%のトナー分散液Aを得た。得られたトナー分散液A中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.3μmであり、10μm以上の体積割合が0.5%であった。
<トナー分散液B>
結着樹脂として、ポリエステル(重量平均分子量:17000、Mw/Mn=23、ガラス転移温度:55℃、軟化温度:118℃、酸価:26KOHmg/g)を用い、洗浄後のトナー母粒子に固形分濃度が35重量%となるように純水を加えたこと以外はトナー分散液Aと同様にして、トナー母粒子の含有率が35重量%のトナー分散液Bを調製した。得られたトナー分散液B中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであり、10μm以上の体積割合が0.4%であった。
<トナー分散液C>
洗浄後のトナー母粒子に固形分濃度が10重量%となるように純水を加えたこと以外はトナー分散液Aと同様にして、トナー母粒子の含有率が10重量%のトナー分散液Cを調製した。得られたトナー分散液C中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.3μmであり、10μm以上の体積割合が0.5%であった。
<トナー分散液D>
洗浄後のトナー母粒子に固形分濃度が40重量%となるように純水を加えたこと以外はトナー分散液Aと同様にして、トナー母粒子の含有率が40重量%のトナー分散液Dを調製した。得られたトナー分散液D中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.3μmであり、10μm以上の体積割合が0.5%であった。
<トナー分散液E>
前記トナー分散液Bに、含有率が10重量%となるように揮発性溶剤のエタノールを添加して、トナー分散液Eを調製した。得られたトナー分散液E中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであり、10μm以上の体積割合が0.4%であった。
<トナー分散液F>
前記トナー分散液Bに、含有率が20重量%となるように揮発性溶剤のエタノールを添加して、トナー分散液Fを調製した。得られたトナー分散液F中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであり、10μm以上の体積割合が0.4%であった。
<トナー分散液G>
前記トナー分散液Bに、含有率が35重量%となるように揮発性溶剤のエタノールを添加して、トナー分散液Gを調製した。得られたトナー分散液G中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであり、10μm以上の体積割合が0.4%であった。
<トナー分散液H>
前記トナー分散液Bに、含有率が10重量%となるように揮発性溶剤のメタノールを添加して、トナー分散液Hを調製した。得られたトナー分散液H中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであり、10μm以上の体積割合が0.4%であった。
<トナー分散液I>
洗浄後のトナー母粒子に固形分濃度が45重量%となるように純水を加えたこと以外はトナー分散液Bと同様にして、トナー母粒子の含有率が45重量%のトナー分散液Iを調製した。得られたトナー分散液I中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.2μmであり、10μm以上の体積割合が0.4%であった。
<トナー分散液J>
洗浄後のトナー母粒子に固形分濃度が5重量%となるように純水を加えたこと以外はトナー分散液Aと同様にして、トナー母粒子の含有率が5重量%のトナー分散液Jを調製した。得られたトナー分散液J中のトナー母粒子の体積平均粒子径は6.3μmであり、10μm以上の体積割合が0.5%であった。
[トナー分散液の乾燥]
(実施例1)
前述のようにして調製したトナー分散液Aを、図4に示したパルス燃焼乾燥装置30を用いて乾燥した。具体的には、温度が67℃((結着樹脂のガラス転移温度+9)℃)に制御されてパルス衝撃波が照射される乾燥室内に、トナー分散液Aをスプレーノズルから噴霧して、乾燥された実施例1のトナー母粒子を得た。なお、トナー分散液Aを乾燥させるときのパルス燃焼乾燥装置30における設定条件は、以下のようにした。
<パルス燃焼乾燥装置30の設定条件>
パルス衝撃波の周波数:700Hz
パルス衝撃波の圧力振幅:±0.2kg/cm
パルス衝撃波の音圧:140デシベル
サイクロン差圧:50mmH
燃料:液化石油ガス(LPG)
燃料供給流量:0.1Nm/h
トナー分散液を噴霧するときの噴霧圧力:0.4MPa
トナー分散液貯留タンクのタンク容量:2L
トナー分散液貯留タンク内におけるトナー分散液仕込み量:1.5L
(実施例2)
乾燥室内の温度を、59℃((結着樹脂のガラス転移温度+1)℃)に制御したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のトナー母粒子を得た。
(実施例3)
トナー分散液Bを、温度が60℃((結着樹脂のガラス転移温度+5)℃)に制御されてパルス衝撃波が照射される乾燥室内に噴霧したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のトナー母粒子を得た。
(実施例4)
トナー分散液貯留タンク内を0.25MPaに加圧し、スプレーノズルに向けてトナー分散液Bを加圧しながら送給したこと以外は実施例3と同様にして、実施例4のトナー母粒子を得た。
(実施例5)
トナー分散液Aに代えてトナー分散液Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5のトナー母粒子を得た。
(実施例6)
トナー分散液貯留タンク内を0.40MPaに加圧し、スプレーノズルに向けてトナー分散液Dを加圧しながら送給したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6のトナー母粒子を得た。
(実施例7)
乾燥室内の温度を58℃(結着樹脂のガラス転移温度に等しい温度)に制御したこと以外は実施例6と同様にして、実施例7のトナー母粒子を得た。
(実施例8)
乾燥室内の温度を58℃(結着樹脂のガラス転移温度に等しい温度)に制御したこと以外は実施例5と同様にして、実施例8のトナー母粒子を得た。
(実施例9)
トナー分散液貯留タンク内を0.50MPaに加圧し、スプレーノズルに向けてトナー分散液Bを加圧しながら送給したこと以外は実施例3と同様にして、実施例9のトナー母粒子を得た。
(実施例10)
トナー分散液Bに代えてトナー分散液Eを用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例10のトナー母粒子を得た。
(実施例11)
トナー分散液Bに代えてトナー分散液Fを用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例11のトナー母粒子を得た。
(実施例12)
トナー分散液Bに代えてトナー分散液Gを用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例12のトナー母粒子を得た。
(実施例13)
トナー分散液Bに代えてトナー分散液Hを用いたこと以外は実施例3と同様にして、実施例13のトナー母粒子を得た。
(比較例1)
乾燥室内の温度を70℃((結着樹脂のガラス転移温度+12)℃)に制御したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のトナー母粒子を得た。
(比較例2)
乾燥室内の温度を55℃((結着樹脂のガラス転移温度−3)℃)に制御したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のトナー母粒子を得た。
(比較例3)
トナー分散液Bに代えてトナー分散液Iを用いたこと以外は実施例4と同様にした。この場合、トナー分散液Iがスプレーノズル内で固着してしまったので、分散液の乾燥を途中で中断せざるを得なかった。
(比較例4)
トナー分散液Aに代えてトナー分散液Jを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のトナー母粒子を得た。
以上のようにして得られた実施例1〜13および比較例1〜4のトナー母粒子における、体積平均粒子径、乾燥度、収率の評価結果を表1に示す。
Figure 2010181753
表1から、実施例1〜13のトナー母粒子は、小粒径でかつ粒度分布幅の狭いものであり、乾燥後の加熱重量変化率が小さく効率的に乾燥されたトナー母粒子であることが明らかである。
[帯電安定性、ドット再現性の評価]
実施例1〜13および比較例1〜4のトナー母粒子を用いて、以下に示す帯電安定性およびドット再現性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
<帯電安定性の評価>
実施例1〜13および比較例1〜4のトナー母粒子100重量部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒子径20nmのシリカ粒子0.7重量部および酸化チタン粒子1重量部を混合し、実施例1〜13および比較例1〜4のトナー母粒子のそれぞれに対応する外添トナーを作製した。
次に、作製した各外添トナーと、シリコンコートされた平均粒子径50μmフェライトキャリアとを、トナー濃度が5重量%となるように、HH環境(気温30℃、湿度80%)およびLL環境(気温10℃、湿度20%)の環境下でボールミルにて30分間撹拌して、2成分現像剤を作製した。HH環境下およびLL環境下で得られた2成分現像剤の帯電量(Q)を測定し、帯電安定性の評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
○:Q(HH)/Q(NN)が0.75以上。
×:Q(HH)/Q(NN)が0.75未満。
<ドット再現性の評価>
実施例1〜13および比較例1〜4のそれぞれに対応する2成分現像剤を画像形成装置(ARC−150、シャープ株式会社製)の現像装置の現像槽にそれぞれ投入し、1オン1オフのプリントパターンからなる画像を記録紙(75g/m紙)に形成させて、ドット再現性の評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
○:1ドットのon/offが等間隔で再現できている。
△:1ドットの認識は可能であるが1ドットのon/offの間隔にばらつきがある。
×:ドット同士が密着してドットとしての再現性が悪い。
Figure 2010181753
表2から、実施例1〜13のトナー母粒子を含む2成分現像剤は、帯電安定性に優れており、ドット再現性が良好な高品位の画像を形成可能であることが明らかである。
1 高圧ホモジナイザ
7 耐圧ノズル
30 パルス燃焼乾燥装置
31 燃焼室
32 乾燥室
33 パルスエンジン
34 トナー分散液供給管
35 燃料供給管
36 燃焼空気供給管
37 二次空気供給管
38 サイクロン
39 バグフィルタ
40 トナー回収ボックス
41 トナー分散液貯留タンク
42 定量ポンプ
43 加圧ポンプ
44 温度センサ
45 スプレーノズル

Claims (5)

  1. ガラス転移温度が60℃以下の結着樹脂を含むトナー母粒子が水性媒体中に10〜40重量%の含有率で分散されるトナー分散液を調製するトナー分散液調製工程と、
    下記式(1)を満たす温度T(℃)の条件下で、パルス衝撃波を照射しながらトナー分散液調製工程で得られるトナー分散液を噴霧して、乾燥されたトナー母粒子を得る乾燥工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
    Tg≦T≦Tg+10 …(1)
    [式中、Tgは結着樹脂のガラス転移温度を示す。]
  2. 前記乾燥工程では、前記トナー分散液を加圧しながら噴霧することを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記トナー分散液調製工程において用いられる前記水性媒体が、結着樹脂に対して非相溶である揮発性溶剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記揮発性溶剤が、エタノールであることを特徴とする請求項3に記載のトナーの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法により製造されることを特徴とするトナー。
JP2009026778A 2009-02-06 2009-02-06 トナーの製造方法およびトナー Pending JP2010181753A (ja)

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