JP2010180445A - アルカリ金属塩化物の電解方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】飽和ブライン調製工程、電解工程、塩素脱気工程、活性炭による塩素吸着除去工程または還元剤による塩素分解除去工程、イオン交換体を利用した脱芒工程を包含するアルカリ金属塩化物の電解方法において、脱芒工程のイオン交換体の劣化を十分に防止することが出来る様に改良されたアルカリ金属塩化物の電解方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属塩化物の電解方法における塩素吸着または塩素分解除去工程23と脱芒工程15との間に淡ブラインのキレート樹脂処理工程24を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】アルカリ金属塩化物の電解方法における塩素吸着または塩素分解除去工程23と脱芒工程15との間に淡ブラインのキレート樹脂処理工程24を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカリ金属塩化物の電解方法に関し、詳しくは、飽和ブライン調製工程、電解工程、塩素脱気工程、活性炭による塩素吸着除去工程または還元剤による塩素分解除去工程、イオン交換体を利用した脱芒工程を包含する電解方法の改良に関する。
従来より、飽和ブライン調製工程、電解工程、塩素脱気工程、活性炭による塩素吸着除去工程または還元剤による塩素分解除去工程、イオン交換体を利用した脱芒工程を包含するアルカリ金属塩化物の電解方法は公知である。
具体的には、不純物として硫酸塩が含まれたアルカリ金属塩化物を水に溶解する飽和ブライン調製工程、飽和ブラインを電解するイオン交換膜方式の電解工程、電解工程から抜き出され且つアルカリ金属塩化物の濃度が低下した淡ブラインから塩素を脱気する塩素脱気工程、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去工程または還元剤で分解除去するための塩素分解除去工程、イオン交換体が充填された硫酸塩分離塔に上記の淡ブラインと水とを交互に通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出液と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収すると共に、前者は上記の飽和ブライン調製工程へ循環し、後者は循環系外に除去する脱芒工程を包含するアルカリ金属塩化物の電解方法が知られている(特許文献1)。
上記の電解方法は、塩素脱気工程で除去されずに残存する淡ブライン中の塩素によって脱芒工程のイオン交換体が劣化するという問題を解決するために、塩素脱気工程と脱芒工程の間に塩素吸着除去工程または塩素分解除去工程を設けた改良方法である。
しかしながら、上記の方法に従って、淡ブライン中の塩素対策を十分に行っても脱芒工程のイオン交換体の劣化を十分に防止することは出来ない。その理由は次の通りである。すなわち、現在の電解プラントにおいては、高度に水の回収が進められており、更には、電解効率向上の施策の結果として、淡ブラインに微量のアルカリ土類金属や重金属が含有されることがあるが、本発明者の知見によれば、アルカリ土類金属は、両性イオン交換樹脂の交換基阻害を起こし、また、重金属類は、酸化触媒として、両性イオン交換樹脂の酸化劣化を促進する。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、飽和ブライン調製工程、電解工程、塩素脱気工程、活性炭による塩素吸着除去工程または還元剤による塩素分解除去工程、イオン交換体を利用した脱芒工程を包含するアルカリ金属塩化物の電解方法において、脱芒工程のイオン交換体の劣化を十分に防止することが出来る様に改良されたアルカリ金属塩化物の電解方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、不純物として硫酸塩が含まれたアルカリ金属塩化物を水に溶解する飽和ブライン調製工程、飽和ブラインを電解するイオン交換膜方式の電解工程、電解工程から抜き出され且つアルカリ金属塩化物の濃度が低下した淡ブラインから塩素を脱気する塩素脱気工程、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去工程または還元剤で分解除去するための塩素分解除去工程、イオン交換体が充填された硫酸塩分離塔に上記の淡ブラインと水とを交互に通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出液と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収すると共に、前者は上記の飽和ブライン調製工程へ循環し、後者は循環系外に除去する脱芒工程を包含するアルカリ金属塩化物の電解方法において、塩素吸着除去工程または塩素分解除去工程と脱芒工程との間に淡ブラインのキレート樹脂処理工程を設けたことを特徴とするアルカリ金属塩化物の電解方法に存する。
本発明によれば脱芒工程のイオン交換体の劣化を十分に防止することが出来る。
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の電解方法の一例を示す工程説明図である。図中、符号(1)は飽和ブライン調製工程の溶解槽、(6)は必要に応じて設けられる精製設備、(7)は電解工程の電解槽、(13)は塩素脱気工程の塩素脱気塔、(15)は脱芒工程の硫酸塩分離塔、(23)は塩素の吸着または分解除去工程の塩素吸着塔または塩素分解反応器、(24)はキレート樹脂処理工程のキレート樹脂塔を示す。
本発明の電解方法は、不純物として硫酸塩が含まれたアルカリ金属塩化物を水に溶解する飽和ブライン調製工程、飽和ブラインを電解するイオン交換膜方式の電解工程、電解工程から抜き出され且つアルカリ金属塩化物の濃度が低下した淡ブラインから塩素を脱気する塩素脱気工程、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去工程または還元剤で分解除去するための塩素分解除去工程、イオン交換体が充填された硫酸塩分離塔に上記の淡ブラインと水とを交互に通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出液と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収すると共に、前者は上記の飽和ブライン調製工程へ循環し、後者は循環系外に除去する脱芒工程を包含し、この点は、以下に説明する様に、例えば特開2001−181880号公報に記載の電解方法と基本的には同じである。
先ず、溶解槽(1)において送給路(2)から送られるアルカリ金属塩化物の原塩(不純物として硫酸塩を含有する)と、導管(3)の枝管(3a)からの溶解水、電解槽(7)から循環される淡ブライン及び硫酸塩が実質的に除去された分画液を使用して電解槽(7)に供給する高濃度塩水を調製する。上記の分画液とは、硫酸塩分離塔(15)によって硫酸塩が実質的に除去されたアルカリ金属塩化物含有分画液を指す。すなわち、アルカリ金属塩化物水溶液を電解槽(7)で電解処理した後、電解槽(7)から排出されるアルカリ金属塩化物の含有割合が低下しているアルカリ金属塩化物水溶液(淡ブライン)をクロマトグラフ手法に従って分画した硫酸塩を実質的に含まず、アルカリ金属塩化物を含有する様に処理した液であって、この分画液は導管(4)を経て溶解槽(1)に導出される。
塩水中のアルカリ金属塩化物濃度はできるだけ高濃度であることが好ましく、通常飽和濃度の塩水(飽和ブライン)が調製される。溶解槽(1)で調製された飽和ブラインは、導管(5)により精製設備(6)に送られ、原塩に由来する飽和ブライン中のカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩などの不純物が除去される。精製方法としては、例えば、炭酸ソーダ、苛性ソーダを順次添加して、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムとして沈澱させる。更に必要であれば、キレ−ト樹脂処理などの精製法を併用してもよい。次いで、飽和ブラインはイオン交換膜方式の電解槽(7)に送られ常法に従って電解が行われる。
電解槽(7)はイオン交換膜からなる隔膜(20)により陰極室と陽極室とに分けられ、陰極室で生成した苛性アルカリは導管(11)から、また、水素ガスは導管(9)から排出され、陽極室で生成した塩素ガスは導管(8)から排出され、夫々回収される。なお、符号(10)は、電解槽(7)から苛性アルカリを押し出すために供給される水の導管である。電解により飽和ブライン中のアルカリ金属塩化物の約50%及び水の約20%が消費され、残った塩水(淡ブライン)は導管(12)から抜き出され溶解槽(1)へ循環される。電解槽(7)からから抜き出される淡ブライン中には、通常、アルカリ金属塩化物が180〜200g/L、硫酸塩が6〜12g/L程度含まれている。また、そのpHは通常2〜4程度である。斯かる淡ブラインは、好適には例えば塩酸により1〜2にpH調節した後、塩素脱気塔(13)でのエアーレーションにより塩素が脱気される。そして、要すれば、図示されていない貯槽に貯えた後、バルブ(14a)の開により、少くともその一部を一定量づつ、塩素吸着塔または塩素分解反応器(23)へ送給した後、硫酸塩分離塔(15)へ送給する。この場合、特開2001−181877号公報に記載の電解方法と同様、前記の塩素脱気工程から導出される淡ブラインを2分割し、3〜50%は前記の塩素吸着除去工程に導入し、残余は直接に前記の飽和ブライン調製工程へ循環するのが好ましい。
符号(23)が塩素吸着塔の場合、当該吸着塔においては粒状活性炭が好適に使用され、その粒径は、通常0.5〜10mm、好ましくは1.0〜5.0mmである。活性炭は塩素吸着塔に槽高0.5〜4.0mの高さで充填される。そして、通液は通常ダウンフローで行われ、その速度は、線速度で通常5.0〜25m/h、通液温度は通常50〜90℃とされる。
符号(23)が塩素分解反応器の場合、当該反応器には還元剤として、例えば亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩の水溶液が好適に使用される。遊離塩素1.0当量当たり1.0〜5.0当量である。通常、淡ブラインと還元剤との反応は撹拌槽によって行われる。還元反応の際のpH値は、通常7〜12、好ましくは9〜11である。斯かるpH調節は、淡ブラインに例えば苛性ソーダ水溶液を添加することにより行われる。還元反応温度は通常50〜90℃、滞留時間は、通常1〜60分、好ましくは10〜30分とされる。なお、還元剤の撹拌は、淡ブラインの移送配管中に還元剤を添加するラインミキシング方式によって行なうことも出来る。
上記の様に、塩素脱気工程と脱芒工程の間に、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中の残存塩素の吸着または分解除去工程を設けたことにより、イオン交換体が充填された硫酸塩分離塔に淡ブラインと水とを交互に通液する脱芒工程の当該イオン交換体の劣化が防止される。
硫酸塩分離塔(15)には陰イオン交換基と陽イオン交換基とを有し、これら両イオンが内部塩を形成している両性イオン交換体が充填されている。内部塩を形成している両性イオン交換体としては、例えば一般にスネークケージ型と呼ばれている樹脂が挙げられる。スネークケージ型樹脂とは、スチレン又はアクリル系の強塩基性イオン交換体にアクリル酸を含浸、重合させた複合体であり、ダウケミカル社の「リタ−デイオン11A−8」、三菱化学社の「ダイヤイオンDSR−01」等の名称で市販されている。硫酸塩分離塔(15)に充填する両性イオン交換体の層高は、イオン交換体の種類や処理水の量(電解プラントの容量)によるが、通常1〜4m程度がよい。
硫酸塩分離塔(15)へ供給する淡ブラインの量は、原塩中の硫酸塩量や電解槽(7)に供給される飽和ブライン中に許容される硫酸塩濃度などを考慮して決められる。淡ブライン中の硫酸塩は完全に除去する必要は無く、電解の障害にならない濃度以下に維持すればよい。少なくとも、新たに添加される原塩に伴う硫酸塩量を除くことにより、飽和ブラインへの硫酸塩の更なる蓄積を阻止すればよい。そのためには電解槽(7)に循環されるブラインを硫酸塩分離塔(15)で処理すればよい。硫酸塩分離塔(15)に供給する1回の淡ブラインの量は充填イオン交換体容積の0.1〜0.5倍容量であり、通水流速は空間速度(SV)で1〜5/hがよい。通水温度は40〜80℃が好ましい。1回量の淡ブラインを通水した後バルブ(14a)を閉じ、バルブ(14b)を開いて導管(3b)から水を硫酸塩分離塔(15)へ通水してクロマトグラフ手法に従って、最初に硫酸塩を溶離、流出させ、次いで、アルカリ金属塩化物を溶離流出させる。この水としては、導管(3)からの溶解水を1ミクロン程度のフィルターで濾過したもの、または、それを軟化した軟水の使用が好ましい。1回の通水量は充填イオン交換体容積の0.2〜1.1倍で、通水流速はSVで通常1〜5/h、好ましくは上記淡ブラインの通水流速と同じにするのがよい。通水温度は40〜80℃であり、上記淡ブラインの通水温度と同じにするのがよい。
淡ブライン及び溶解水の通水方向は、充填イオン交換体が硫酸塩分離塔(15)内を完全に充満するように充填されている場合は上向流または下向流の何れでもよく、イオン交換体が空塔部分を残して充填されている場合は下向流とし、充填イオン交換体が流動しない様に通水する。硫酸塩分離塔(15)から流出してくる液中の成分濃度の変化は電導度計または屈折率計等からなる検出器で検出し、伝達路(21)及び(22)によってバルブ(18)及び(19)に伝達し、主として硫酸塩を含有する流出分画液を流出管(17)を経て系外に排出し、一方、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出分画液は導管(4)を経て溶解槽(1)へ循環する。再びバルブ(14a)を開けて淡ブラインの通水を供給し、次いで、溶解水を通水する操作が繰り返し行われる。溶解槽(1)では導管(12)から硫酸塩分離塔(15)を経由せずに直接循環される淡ブライン、硫酸塩分離塔(15)からのアルカリ金属含有流出分画液に、要すれば更に溶解水を加え、新たに原塩を追加し、飽和ブラインを調製する。両性イオン交換体に吸着された淡ブラインは水により容易に溶離され、酸やアルカリによる再生処理をすることなく再び淡ブラインの処理に使用できる。
淡ブラインの処理量が適性量であれば原料塩の添加による新たな硫酸塩の蓄積を防止することが出来、また、両性イオン交換体の溶離に使用する水は電解槽(7)で消費される水量の範囲内であるから、硫酸塩分離塔(15)から流出される主としてアルカリ金属塩化物からなる流出分画液を全量溶解槽(1)へ循環することが出来、電解に使用する水の量および系外に漏出するアルカリ金属塩化物の量を最小にすることが出来る。また、廃水の量も少なく経済的である。
上記に説明した例の場合は、アルカリ等の薬剤を使用しない脱芒工程、すなわち、イオン交換体が充填された硫酸塩分離塔に淡ブラインと水とを交互に通液する脱芒工程として特開平7−3485号公報に記載のクロマト分離的態様の脱芒工程を採用したが、本発明においては、吸脱着的態様の脱芒工程であってもよい。斯かる態様においては、水によって再生(樹脂に吸着された硫酸根または硫酸塩の脱着)可能な適宜のイオン交換樹脂が使用される。斯かるイオン交換樹脂の硫酸根または硫酸塩に対する吸着力は一般に弱いため、破過点に到達する前の再生、すなわち、淡ブラインと交互に通液する水のサイクルは、前記のクロマト分離的態様の場合と同様になることが多い。
本発明の特徴は、塩素吸着除去工程または塩素分解除去工程と脱芒工程との間に淡ブラインのキレート樹脂処理工程を設けた点にある。すなわち、本発明においては、塩素吸着塔または塩素分解反応器(23)と脱芒工程の硫酸塩分離塔(15)との間にキレート樹脂塔(24)を設ける。キレート樹脂としては、特に限定されず、公知のアミノリン酸やイミノジ酢酸などの官能基を有するキレート樹脂が使用できる。市販されているキレート樹脂としては、例えば、ダイヤイオンCR−10、CR−11、CRP−200(三菱化学株式会社製);エポラスMX−10、MX−2(ミヨシ油脂株式会社製);DowexA−1(Dow Chemical);アンバーライトIRC−718(ロームアンドハース社製)等が挙げられる。好適なキレート樹脂は、イミノジ酢酸型の均一粒径キレート樹脂(三菱化学製「ダイヤイオンUCR12」)である。
キレート樹脂塔(24)へ供給する淡ブラインの量は、塩素吸着塔または塩素分解反応器(23)から排出される淡ブラインの金属(アルカリ土類金属や重金属)の濃度などを考慮して決められる。キレート樹脂塔(24)から排出され、脱芒工程の硫酸塩分離塔(15)に供給される淡ブライン中の濃度は、可及的に低くするのが望ましく、通常、アルカリ土類金属は20ppb以下、重金属は1ppb以下とするのが好ましい。キレート樹脂塔(24)へ供給する1回の淡ブラインの量は、充填キレート樹脂容積の0.5〜3倍容量であり、通水流速は空間速度(SV)で通常5〜30/h、好ましくは15〜20/hである。通水温度は40〜80℃が好ましい。
アルカリ土類金属や重金属で飽和し、性能が下がったキレート樹脂は、塩酸および苛性ソーダで性能を回復することが出来る。例えば、「ダイヤイオンUCR12」の場合の再生条件の一例は次の通りである。すなわち、樹脂容積に対して、4%塩酸3.3倍量、純水3倍量、5%苛性ソーダ1.6倍量、純水4倍量を、順次に、各々SV4で通液する。この再生廃液は溶解槽(1)に回収することが出来る。従って、キレート樹脂塔(24)の増設によって排水量が増えることはない。なお、廃液に含まれるアルカリ土類金属と重金属は、精製設備(6)から、スラッジとして排出される。
本発明は、上記の様にして実施されるが、以下に本発明の特徴部分、すなわち、塩素吸着除去工程または塩素分解除去工程と脱芒工程との間に淡ブラインのキレート樹脂処理工程の実施例を当該工程に続く脱芒工程と共に示すが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
また、以下の諸例においては、キレート樹脂塔(24)として、キレート樹脂「ダイヤイオンUCR12」300Lを充填した内径600mm×長さ2000mmのカラムを使用し、硫酸塩分離塔(15)として、両性イオン交換樹脂「ダイヤイオンDSR01」(三菱化学株式会社製)2.2m3を充填した内径1200mm×長さ4000mmのカラムを使用した。
実施例1:
電解槽(7)から45m3/hで流出した淡ブラインを塩素脱気工程の塩素脱気塔(13)で処理し、その一部について、苛性ソーダを加えてpH10に調節した後、塩素分解反応器(23)で亜硫酸ソーダを添加して残留塩素を分解除去した。得られた淡ブラインに別工程の回収水を混入させた。その結果、淡ブライン中のカルシウム濃度は1ppm、ニッケル濃度は数ppbとなった。
電解槽(7)から45m3/hで流出した淡ブラインを塩素脱気工程の塩素脱気塔(13)で処理し、その一部について、苛性ソーダを加えてpH10に調節した後、塩素分解反応器(23)で亜硫酸ソーダを添加して残留塩素を分解除去した。得られた淡ブラインに別工程の回収水を混入させた。その結果、淡ブライン中のカルシウム濃度は1ppm、ニッケル濃度は数ppbとなった。
そして、(I)上記の淡ブラインをキレート樹脂塔(24)に5.5m3/hの流量で、1回当り0.66m3供給した。この淡ブライン供給量は、樹脂容量に対し、SV18.3で1回当り2.2倍量に相当する。そして、キレート樹脂塔(24)から排出される淡ブラインを直接に硫酸塩分離塔(15)に供給した。この淡ブライン供給量は、樹脂容量に対しSV2.5で1回当り0.3倍量に相当する。次いで、(II)純水1.1m3を5m3/hの流量(樹脂容量に対しSV2.5)で硫酸塩分離塔(15)に通液した。以降、上記(I)と(II)の操作を繰り返した。
キレート樹脂塔(24)に対して淡ブライン360m3(1200倍量)を通液すると、キレート樹脂が飽和し、10ppb以上のカルシウムが流出し始めたので再生を行った。再生は、キレート樹脂塔(24)に、4%塩酸360m3(樹脂容積に対して3.3倍量)、純水0.9m3(樹脂容積に対して3倍量)、5%苛性ソーダ0.48m3(樹脂容積に対して1.6倍量)、純水1.2m3(樹脂容積に対して4倍量)を、順次に、各々1.2m3/hの流量(SV4)で通液することによって行った。
硫酸塩分離塔(15)から流出する液の電気伝導率を測定し、電気伝導率5S/m未満の液は廃棄し、5S/m以上の液は回収して電解プラントに返送した。この操作により170kg/dの硫酸塩除去能力が得られ、電解プラント全体の硫酸塩濃度が管理できた。更に、試験的にSV4にて操作を行ったが、通液圧力は安定し、問題なく運転できた。
比較例1:
実施例1において、キレート樹脂塔(24)での処理を行わない以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、当初170kg/dの硫酸塩除去能力が得られたが、硫酸塩分離塔(15)での分離ピークが徐々に乱れ、3ヵ月後に硫酸塩除去能力が不足した。その後、SVを4に上げて性能不足を補った。この操作により、一旦は電解プラント全体の硫酸塩濃度が管理できるようになった。しかし、1年後、通液圧力が上昇し、通液の継続ができなくなった。樹脂を分析した結果、数百ppmのニッケル吸着と、樹脂の酸化劣化を確認した。
実施例1において、キレート樹脂塔(24)での処理を行わない以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、当初170kg/dの硫酸塩除去能力が得られたが、硫酸塩分離塔(15)での分離ピークが徐々に乱れ、3ヵ月後に硫酸塩除去能力が不足した。その後、SVを4に上げて性能不足を補った。この操作により、一旦は電解プラント全体の硫酸塩濃度が管理できるようになった。しかし、1年後、通液圧力が上昇し、通液の継続ができなくなった。樹脂を分析した結果、数百ppmのニッケル吸着と、樹脂の酸化劣化を確認した。
1:飽和ブライン調製工程の溶解槽
6:精製設備
7:電解工程の電解槽
13:塩素脱気工程の塩素脱気塔
15:脱芒工程の分離塔
23:塩素の吸着または分解除去工程の塩素吸着塔または塩素分解反応器
24:キレート樹脂処理工程のキレート樹脂塔
6:精製設備
7:電解工程の電解槽
13:塩素脱気工程の塩素脱気塔
15:脱芒工程の分離塔
23:塩素の吸着または分解除去工程の塩素吸着塔または塩素分解反応器
24:キレート樹脂処理工程のキレート樹脂塔
Claims (1)
- 不純物として硫酸塩が含まれたアルカリ金属塩化物を水に溶解する飽和ブライン調製工程、飽和ブラインを電解するイオン交換膜方式の電解工程、電解工程から抜き出され且つアルカリ金属塩化物の濃度が低下した淡ブラインから塩素を脱気する塩素脱気工程、塩素脱気工程から導出される淡ブライン中の残存塩素を活性炭で吸着除去するための塩素吸着除去工程または還元剤で分解除去するための塩素分解除去工程、イオン交換体が充填された硫酸塩分離塔に上記の淡ブラインと水とを交互に通液し、主としてアルカリ金属塩化物を含有する流出液と硫酸塩を含有する流出液とを分離して回収すると共に、前者は上記の飽和ブライン調製工程へ循環し、後者は循環系外に除去する脱芒工程を包含するアルカリ金属塩化物の電解方法において、塩素吸着除去工程または塩素分解除去工程と脱芒工程との間に淡ブラインのキレート樹脂処理工程を設けたことを特徴とするアルカリ金属塩化物の電解方法。
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