JP2010180317A - インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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悠平 清水
Masako Udagawa
正子 宇田川
Shuichi Okazaki
秀一 岡崎
Shinichi Hakamata
慎一 袴田
Hideyuki Takai
秀幸 高井
Koji Kakikawa
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Abstract

【課題】高いレベルで、インクの保存安定性が保たれ、光沢紙に形成した画像の光沢性にも優れ、かつ、赤色領域の色再現範囲を従来よりも広げることが可能となる優れたインクの提供、また、銀塩写真と同等の赤色領域の色再現性を有し、かつ、光沢性にも優れる画像を安定して提供しうるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】少なくとも、顔料を含有するインクであって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体であり、前記顔料の一次粒子径D(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たし、かつ、前記顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)と前記D50(nm)とが、1.5≦D90/D50≦2.1の関係を満たすことを特徴とするインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、キナクリドン顔料であるC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体を含有するインク、該インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
フルカラーの画像を形成するために、一般的に、イエロー、マゼンタ、及びシアンの基本3原色のインクと、ブラックインクとの4種のインクを組み合わせて使用することが行われている。また、インクジェット記録方法などにより得られる画像の堅牢性を向上するために、色材として顔料を含有するインク(顔料インク)が広く用いられている。
近年、インクジェット記録方法により得られる記録物の高画質化が進み、銀塩写真と同等レベルの優れた画質を有する記録物を出力することが要求されるようになっている。例えば、高い光沢性を有する記録媒体(以下、光沢紙と呼ぶ)に顔料インクで記録した画像では、光沢性の低下が生じ易いという傾向があり、この光沢性の低下を抑制しながら、より広い色再現範囲を達成することが強く要求されている。中でも、マゼンタインクにより形成される赤色領域の画像は人間の視覚に与える影響が非常に大きく、マゼンタインクにより形成される画像の彩度を高めることについての提案が数多くなされている。
インクジェット用のマゼンタインクに用いられる顔料としては、下記のような提案がされている(特許文献1〜3参照)。例えば、C.I.ピグメントレッド122に代表される単一の化学構造を有する顔料の集合体の他に、2種以上のキナクリドン顔料を併用すること、色相、耐候性、耐熱性などの物性がそれぞれ異なる複数のキナクリドン顔料の固溶体に関する提案がある。
また、マゼンタインクに限らず、形成した画像の発色性を向上させるために、顔料の粒子径や、一次粒子径及び二次粒子径の比を規定することに関する提案もある(特許文献4及び5参照)。
特開平10−219166号公報 特開平11−029728号公報 特開2001−002962号公報 特開2004−175880号公報 特開2006−002141号公報
しかし、従来のマゼンタインクでは、銀塩写真と同等の赤色領域の色再現範囲を有することと、インクの保存安定性とを、近年において求められる高いレベルで両立させることは、できていないのが現状である。
したがって、本発明の目的は、高いレベルで、インクの保存安定性が保たれ、光沢紙に形成した画像の光沢性にも優れ、かつ、赤色領域の色再現範囲を従来よりも広げることが可能となる優れたインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、銀塩写真と同等の赤色領域の色再現性を有し、かつ、光沢性にも優れる画像を安定して提供しうる、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクは、少なくとも、顔料を含有するインクであって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体であり、前記顔料の一次粒子径D(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たし、かつ、前記顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)と前記D50(nm)とが、1.5≦D90/D50≦2.1の関係を満たすことを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクが上記本発明のインクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが上記本発明のインクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、前記インクが上記本発明のインクであることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、前記インクが上記本発明のインクであることを特徴とする。
本発明によれば、高いレベルで、インクの保存安定性が保たれ、光沢紙に形成した画像の光沢性にも優れ、かつ、赤色領域の色再現範囲を従来よりも広げることが可能となるインクが提供される。また、本発明によれば、銀塩写真と同等の赤色領域の色再現性を有し、かつ、光沢性にも優れる画像を安定して提供しうる、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置が提供される。
記録ヘッドの縦断面図である。 記録ヘッドの縦横面図である。 図1に示した記録ヘッドをマルチ化した記録ヘッドの斜視図である。 インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。 インクカートリッジの縦断面図である。 記録ユニットの一例を示す斜視図である。 記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載において、複数の顔料の固溶体のことを単に「顔料」と呼ぶことがある。
本発明者らは、マゼンタインクにより形成した画像の彩度や光沢性を高めることを主たる目的として、インクジェット用のインクに使用する顔料として一般的なキナクリドン系の顔料や固溶体について、検討を行った。その結果、顔料としてC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との2種の顔料の固溶体を用いることで、優れた彩度や光沢性を有する画像を得ることが可能となるという知見を得た。しかし、一般的な顔料と比較して、固溶体はその分散状態を安定に保つことが難しい場合がある。
そこで、本発明者らは、前記顔料を含有するインクを長期間に渡って安定に保つ、つまり、インクの保存安定性を向上するために最適な分散条件についての検討を行った。その結果、インク中の顔料が、以下に挙げる2つの条件を満足した顔料構成となるようにすることで、インクの保存安定性が顕著に向上するだけでなく、記録画像の彩度や光沢性もが向上することを見出して、本発明に至った。
顔料としてC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体(以下、単に顔料と呼ぶことがある)を含有するインクの場合における上記効果を得るために必要となる1つ目の条件は、下記の通りである。すなわち、顔料がインク中で存在する形態(二次粒子)の平均粒子径を小さくし、かつ、顔料の一次粒子径をできるだけ壊さないようにすることが必要である。具体的には、顔料(固溶体)を含有するインクにおける、該顔料の一次粒子径D(nm)と、該顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たすことが必要である。
上記効果を得るために必要となる2つ目の条件としては、上記に加えて、顔料(固溶体)を含有するインクにおける、該顔料の粒子径分布をよりシャープな状態とすることである。具体的には、該顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)と、該顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、1.5≦D90/D50≦2.1の関係を満たすことが必要である。
本発明において、「平均粒子径」とはインク中で存在する形態(二次粒子)の顔料の粒子径を指し、本発明で規定する「一次粒子径」とは、二次粒子を形成する最小単位の顔料の粒子径のことを指すものとする。したがって、本発明で規定する「顔料の粒子径分布」とは、インク中に存在する形態の顔料としての粒子径分布を指すことなる。また、本発明においては、以下、顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)及び顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)をそれぞれD50及びD90と省略して呼ぶことがある。
本発明で規定する上記の2つの条件を満たすことで、インク中において顔料が安定に分散され、インクの保存安定性が向上し、さらには画像の彩度や光沢性もが向上する理由を、本発明者らは以下のように推測している。
先ず、顔料の平均粒子径と顔料の一次粒子径の関係が、顔料の保存安定性や形成した画像の彩度や光沢性に大きく関係する理由について説明する。一般に、顔料の平均粒子径を小さくすると、記録画像の彩度や光沢性は向上することが知られている。実際、本発明者らも、顔料の平均粒子径D50を小さくすることで、記録媒体に形成した画像の光散乱が減少し、画像の彩度や光沢性が向上することを確認した。
しかし、本発明者らの検討の結果、顔料の平均粒子径を小さくした場合、インクの保存安定性を十分満足できない場合があることがわかったため、この要因についての解析を行った。その結果、以下のことがわかった。すなわち、顔料を微細化するために衝撃力やせん断力を加えることは、顔料の結晶構造にひずみを与えることになる。そして、顔料の一次粒子径に比べて、顔料の平均粒子径が極端に小さくなることは、顔料に加えられた衝撃力やせん断力が大きいことになるため、上記のようにして生じた結晶構造のひずみは非常に大きくなる。その結果、顔料粒子は不安定な状態となって凝集を起こしやすくなり、この結果、長期間にわたってインクの保存安定性を満足することができなくなると考えられる。一方、顔料の一次粒子径に比べて、顔料の平均粒子径が極端に大きい場合には、記録画像において光散乱による影響が大きくなるため、彩度や光沢性が得られなくなる。
以上のことから、顔料としてC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体(顔料)を含有するインクの保存安定性を満足し、さらに、形成した画像の彩度や光沢性を向上させるためには、まず、下記のことが要求される。すなわち、前記顔料の一次粒子径D(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たすことが必要である。D50の値が125より大きいと、記録画像の彩度や光沢性が得られなくなり、D50の値がD×0.95の値より小さいと、インクの保存安定性が得られなくなる。
次に、顔料(C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体)の粒子径分布と、記録画像における彩度や光沢性との関係について説明する。本発明者らは、前記の検討結果から、前記顔料の一次粒子径D(nm)と、前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たすように顔料を分散することについての検討を進めた。その過程で、顔料の一次粒子径と該顔料のD50との関係が同じ値であるにも関わらず、形成した画像の彩度や光沢性が異なる場合があるという知見を得た。具体的には、顔料の一次粒子径と顔料のD50の関係が同じ値であっても、粒子径分布が狭い顔料の方が、形成した画像の彩度や光沢性が向上することがわかった。この要因についての解析を行った結果、以下のことがわかった。すなわち、形成した画像の彩度や光沢性は、記録媒体に形成される顔料層の表面状態に大きく左右される。具体的には、より高い彩度や光沢性を有する画像とするためには、顔料層を平滑にする必要がある。本発明者らの検討によると、粒子径分布が広い顔料よりも、粒子径分布の狭い顔料の方がより密に積層するため、上記の顔料層がより平滑となることがわかった。その結果、同じ平均粒子径を有する顔料であっても、その粒子径分布によって顔料層の平滑性に差が生じ、形成した画像の彩度や光沢性にも差が生じたものと考えている。
以上のことから、前記顔料を含有するインクの保存安定性を満足し、さらに、形成した画像の彩度や光沢性を向上させるためには、上記の要件に加えて、さらに下記のことが要求される。すなわち、前記顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、少なくとも、D90/D50≦2.1の関係を満たすことが必要である。なお、本発明者らの検討によると、D90/D50の値を小さくするほど、画像の彩度や光沢性を向上させることはできるが、D90/D50を1.5より小さくすることは、顔料分散体の製造上非常に困難である。一方、D90/D50の値が2.1より大きいと、画像の彩度や光沢性が得られない。したがって、これらを勘案すると、本発明のインクにおいては、1.5≦D90/D50≦2.1の関係を満たす必要がある。
以上をまとめると、インクの保存安定性が保たれ、光沢紙に形成した画像の光沢性にも優れ、かつ、赤色領域の色再現範囲を従来よりも広げることが可能となるインクとするためには、顔料に下記のことが要求される。すなわち、一次粒子径と分散粒子径が最適な関係性を有し、かつ、D90/D50で示される粒子径分布がシャープであることが必要となる。具体的には、まず、固溶体からなる前記顔料を含有するインクにおいて、該顔料の一次粒子径D(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たことが必要となる。さらに、該顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、1.5≦D90/D50≦2.1の関係を満たすことが必要である。
本発明において規定した顔料の一次粒子径D(nm)は、下記のようにして求めた値である。顔料分散体やインクを純水により適宜希釈した後、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて観察した顔料の二次粒子を形成する最小単位の粒子径について、必要に応じて画像処理を行い、100点以上を測定した一次粒子径の平均値である。より詳細には、ひとつの一次粒子について短軸径B(nm)及び長軸径L(nm)をそれぞれ測定し、(B+L)/2の値を該一次粒子の一次粒子径とし、このような方法によって求められた100点以上の平均値を一次粒子径とした。後述する実施例においては、走査型電子顕微鏡として、日立超高性能分析走査電子顕微鏡SU−70(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察を行い、一次粒子径Dの測定を行った。また、本発明における顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)及び顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)は、体積基準の粒子径の平均値、すなわち体積平均粒子径である。このようなD50及びD90は、例えば、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。勿論、本発明はこれに限られるものではない。後述する実施例においては、動的光散乱方式の粒度分布測定装置として、ナノトラックUPA150EX(日機装製)を用いてD50及びD90の測定を行った。
ここで、従来技術と、上記した構成を必須とする本発明との相違について説明する。従来技術の説明の際に挙げたように、本発明において使用するような複数の顔料の固溶体を色材とする顔料インクについての提案は数多くある(従来技術として挙げた特許文献1〜3参照)。しかし、過去に開示されているどの文献にも、本発明が規定しているような、顔料分散体の平均粒子径と顔料の一次粒子径との関係に注目することについての記載はない。さらに、顔料分散体の粒子径分布の90%累積値D90と50%累積値D50の関係についても記載されていない。
例えば、特許文献1には、オフセット印刷に用いるマゼンタ色或いは色材として染料を用いたインクジェットインキの色相を表現するため、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体を色材とする顔料インクが提案されている。しかし、オフセット印刷を意識している特許文献1では、普通紙発色を向上させることを目的としており、形成した画像の光学濃度(OD)を向上させるために、顔料の粒子径を本発明のインクに比べ、かなり大きい値としている。このことは、特許文献1の実施例のインク特性から明らかである。すなわち、特許文献1の実施例に記載されている顔料インク中のキナクリドン固溶体顔料の平均粒子径は、すべて150nm以上である。さらに、特許文献1の実施例には、顔料のD50及び一次粒子径の関係が、本発明で規定する要件を満たすものは1つも記載されていない。このため、本発明者らの検討によれば、本発明のインクにより形成した画像は、特許文献1に記載されているインクにより形成した画像よりも彩度や光沢性が優れたものになっていた。
また、特許文献2に記載されているインクも、特許文献1に記載のインクと同様にオフセット印刷を意識しているため、特許文献2に書かれている分散条件では、本発明で規定する顔料のD50及び一次粒子径の関係を満たさない。したがって、本発明者らの検討によれば、本発明のインクにより形成した画像は、特許文献2に記載されているインクによって形成した画像よりも、彩度や光沢性が優れたものになっていた。
特許文献1、2と同様に、特許文献3にも、平均粒子径が150nm以下であるC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体をサンドミルで分散した顔料分散体を色材としたマゼンタインクが提案されている。しかし、本発明者らの検討によると、上記分散条件で分散を行った場合、上記の分散工程では、顔料の粒子径を細かくすることが可能であっても、D90/D50を2.1以下とすることは不可能であった。このことは、特許文献3も、明らかに、本発明が規定する要件を満足したインクの構成を開示するものではないことを示している。さらに、特許文献3に記載されている固溶体顔料分散体を色材としたインクをコントロールコーターにより展色したものを測色すると、十分な彩度は得られなかった。これに対して、本発明のインクを同様に測色した場合、特許文献3よりも圧倒的に高い彩度を示し、特許文献3で記載されているいずれの実施例よりも優れていた。このことからも、特許文献3に記載のインクは、本件の条件である1.5≦D90/D50≦2.1を満たしていないものと推測される。
一方、先に挙げた特許文献4及び5に記載の通り、従来より、発色性のよいインクとするために、顔料の種類によらず、顔料の平均粒子径や粒子径分布、平均一次粒子径と平均二次粒子径の比など、顔料分散体の粒子径を制御することに関する検討は行われている。しかし、特許文献4では、所定の粒子径範囲内の割合を規定しているものの、各顔料のもつ一次粒子径と分散して得られた粒子径との関連性については記載されていない。ここで、一次粒子径とは、粉体を構成している粒子のうち、他と明確に分離できる最小単位の個体のことであり、分散時の粒子径がこの一次粒子径よりも小さくなった場合には、顔料そのものの結晶を破壊することとなる。そのため、この場合には、顔料分散体の分散安定性が得られなくなることが想像できる。したがって、分散安定性の観点から、その顔料がもつ一次粒子径から、最適な分散粒子径を求める必要があるといえる。
また、先に挙げた特許文献5には、平均一次粒子径と平均二次粒子径との比についての記載がされているが、本発明で規定する顔料を開示するものではない。二次粒子とは、顔料分散体中に存在している顔料の一次粒子が凝集した凝集物のことであり、一般に種々の測定機で得られる粒子径のことを示している。しかし、本発明者らの検討によれば、キナクリドン系の顔料やその固溶体において、特許文献5に記載されているように平均一次粒子径を50nm以下にした場合には、下記のことが生じるので好ましくない。すなわち、この場合は、一次粒子同士の相互作用が強くなるため、分散が難しくなり、顔料分散体の分散安定性が得られなくなる。
<インク>
以下、本発明のインクを構成する成分などについて詳細に説明する。
(顔料)
本発明のインクに使用する顔料は、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体である。本発明における「固溶体」とは、2種以上の顔料分子の混晶体(混合状態で結晶化した状態)として存在する顔料のことを指し、2種以上の顔料を単純に混合したものとは異なる。固溶体の製造方法は、例えば、特開昭60−35055号公報や特開平2−38463号公報に開示されている。
2種以上の顔料が固溶体を形成しているかの検証は、X線回折分析などによって容易に行うことができる。2種以上の顔料を単純に混合したものである場合、各顔料のX線回折パターンの重ね合わせに相当するパターンが得られ、そのピーク強度は各顔料の配合比率に比例する。一方、2種以上の顔料が固溶体を形成している場合、各顔料のX線回折パターンとは異なるX線回折パターンを示す。
本発明においては、インク中の顔料の一次粒子径D(nm)は、50nm以上120nm以下であることが好ましい。一次粒子径Dが50nm未満であると、顔料そのものの耐光性が低いため、画像の耐光性も十分に得られない場合や、分散安定性を保つために多くの樹脂が必要となる場合があるので好ましくない。このように樹脂を多く含有すると記録画像の平滑性が損なわれ、光沢性や彩度が十分に得られない場合がある。一方、一次粒子径Dが120nmよりも大きいと、顔料の平均粒子径が非常に大きくなり、形成した画像の彩度や光沢性を満足することができない場合があるので好ましくない。
また、本発明においては、インク中の顔料の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。顔料の含有量が上記の範囲内であると、記録画像の画像濃度と、インクジェット用のインクとしての吐出安定性と、を高いレベルで両立することができる。
(樹脂)
本発明のインクは、顔料に加えて樹脂を含有してなるものであることが好ましく、前記した特定の顔料と樹脂とを含有してなる顔料分散体を用いて調製することができる。本発明においては、その技術課題から、特に、光沢紙に形成した画像の耐擦過性などを考慮し、樹脂により顔料が良好な状態に分散されてなる顔料分散体であることが必要である。なお、本発明における「樹脂により分散された顔料」とは、顔料粒子の表面に樹脂が物理的に吸着してなる樹脂分散型顔料は勿論のこと、その他にも以下のようなものが挙げられる。具体的には、高分子の構造を少なくとも有する有機基(樹脂)が顔料粒子の表面に化学的に結合してなる樹脂結合型自己分散顔料や、有機高分子などで顔料を被覆してなるマイクロカプセル型顔料が挙げられる。本発明者らの検討の結果、樹脂分散型顔料以外のものの中で、本発明の目的を達成するのに特に適した顔料分散体は、樹脂結合型自己分散顔料であることがわかった。これは、樹脂が顔料粒子の表面に化学的に結合しているため、樹脂がより安定に分散されるためであると考えられる。
顔料を分散するための樹脂としては、以下に挙げるようなモノマーを含んだ材料で重合されたものを用いることが好ましい。スチレン、α−メチルスチレン、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどのカルボキシ基を有する疎水性のモノマー。アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸などのカルボキシ基を有する親水性のモノマー。スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー。メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有するモノマー。
本発明で用いる固溶体のように、2種以上の顔料の固溶体は、一般的な顔料と比較して、分散状態を安定に保つことが難しいと言える。本発明においては、このような固溶体を分散する樹脂として、耐加水分解性に優れ、分散安定性を向上することができるため、少なくともアクリル系モノマーを含んだ材料を重合した樹脂、すなわちアクリル系樹脂を用いることが好ましい。さらには、下記のような理由から、エチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基、又はこれらの混合物などのノニオン性基を含んだ材料を重合した樹脂、すなわち、その構造中にノニオン性ユニットを有する樹脂を使用することが特に好ましい。このような樹脂により分散された顔料分散体を含有するインクを用いて光沢紙に画像を形成する場合、ノニオン性ユニットを有さない樹脂と比較して、顔料の凝集をより効果的に抑制することが可能となり、画像の光沢性を顕著に向上させることができるためである。
また、本発明においては、形成した画像の光沢性をより向上させるために、酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下である樹脂を用いることが好ましい。酸価が上記範囲内であると、記録画像の表面がより平滑となり、より光沢性が向上する。樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、静電反発により顔料の分散安定性が低下する場合があるため、画像を記録する際にインクの粘度が上昇し、結果として記録画像の表面が荒れるようになり、光沢性や彩度が低下する場合がある。一方、樹脂の酸価が300mgKOH/gを超えると、顔料粒子の表面に対する樹脂の吸着能が低下し、脱離した樹脂が記録媒体に浸透するため、記録画像の表面に存在する樹脂が少なくなり、光沢性が十分に得られない場合がある。また、重量平均分子量が1,000以上30,000以下、さらには、3,000以上15,000以下である樹脂を用いることが好ましい。
インク中の顔料の含有量は、インク中における樹脂の含有量に対して、質量比率で、0.30倍以上10.0倍以下であること、すなわち、顔料の含有量/樹脂の含有量=0.30以上10.0以下であることが好ましい。なお、この場合の樹脂及び顔料の含有量の値は、インク全質量を基準とした場合における各成分の含有量のことである。前記質量比率が0.30倍以上10.0倍以下の範囲内であれば、顔料の分散状態を安定に保つことができる。前記質量比率が0.30倍未満であると、顔料の量に対する樹脂の量が不十分となるため、顔料分散体を製造する際に均一な分散体とならない場合や、顔料分散体の製造が困難となる場合がある。一方、インク中の樹脂を多くしすぎると、先にも述べた通り、吐出性が十分に得られない場合があるため、前記質量比率を10.0倍以下とすることが好ましい。本発明においては、形成した画像の光沢性を顕著に向上することができるため、前記質量比率が2.0倍以上であることが特に好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクは、顔料及び樹脂の他、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有してなるものであることが好ましい。水としては、イオン交換水などの脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、以下に挙げるようなものから選択される1種又は2種以上を用いることができる。ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどのグリコールエーテル類。メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルカノール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。アセトン。メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール類。平均分子量が200以上2,000以下、具体的には、平均分子量が200、400、600、1,000、及び2,000などのポリエチレングリコール類。アセチレングリコール誘導体など。グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。チオジグリコール、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物。
(その他の成分)
インクには、保湿性などの維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性を有する常温で固体の化合物を含有させてよい。インク中のこのような化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
また、インクには、上記した成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
<インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置>
本発明のインクは、インクジェット吐出方式の記録ヘッドとインク収容部とを備えた記録ユニットで用いられるインクとして有効に用いられる。また、本発明のインクの使用形態は、これに限定されず、これらのインクを収容したインクカートリッジとしても、又は、インクカートリッジなどへの充填用のインクとしても有効である。特に、本発明のインクは、インクジェット方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドやインクジェット記録装置において、優れた効果をもたらす。
インクジェット記録装置の一例について以下に説明する。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図1及び図2に示す。図1は、インク流路に沿った記録ヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。記録ヘッド13はインク流路(ノズル)14を有する部材と発熱素子基板15とで構成される。発熱素子基板15は、保護層16、電極17−1及び17−2、発熱抵抗体層18、蓄熱層19、基板20で構成される。
記録ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生する。そして、気泡の圧力でメニスカス23が突出し、インク21はインク滴24として、ノズル14の吐出口22から記録媒体25に向かって吐出される。
図3は、図1に示した記録ヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図である。マルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1と同様の記録ヘッド28で構成される。
図4は、記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。ブレード61はワイピング部材であり、その一端はブレード保持部材によって保持されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様に、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。吐出回復部64は、ブレード61、キャップ62、及びインク吸収体63で構成される。ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃などの除去が行われる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びそれに隣接した領域の移動が可能となる。
51は記録媒体を挿入する給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録の進行につれて排紙ローラー53を有する排紙部へ排紙される。記録ヘッド65による記録が終了して、記録ヘッドがホームポジションへ戻る際に、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。このようにして、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う際には、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する際には、キャップ62及びブレード61は、上記したワイピングの際と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間にも、所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴ってもワイピングが行われる。
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクを記録ヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すように、それらが一体になったものも好適に用いることができる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、インク吸収体中のインクが複数の吐出口を有する記録ヘッド部71からインク滴として吐出される。また、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネなどを仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置について説明する。複数のノズルを有するノズル形成基板、圧電材料と導電材料で構成される圧力発生素子、圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インク滴を吐出口から吐出する記録ヘッドを有することが特徴である。図7は記録ヘッドの構成の一例を示す模式図である。記録ヘッドは、インク室に連通するインク流路80、オリフィスプレート81、インクに圧力を作用させる振動板82、振動板82に接合されて電気信号により変位する圧電素子83、オリフィスプレート81や振動板82などを支持固定する基板84で構成される。圧電素子83にパルス状の電圧を与えることで発生した歪み応力は、圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを加圧することで、オリフィスプレート81の吐出口85からインク滴を吐出する。このような記録ヘッドは、図2と同様のインクジェット記録装置に組み込んで用いることができる。
<顔料分散体の製造方法>
以下、本発明のインクを調製する場合に用いることができる顔料分散体の製造方法について説明する。本発明においては、下記に述べるような顔料分散体の製造方法により得られた顔料分散体を使用してインクを調製することで、本発明で規定する粒子径の特性を有する特定の顔料を含有するインクを容易に得ることができる。
顔料分散体は、分散装置を用いて行われる分散方式や、分散時間、周速、必要に応じて使用するメディアの種類や粒径などの分散条件が適切に決定された製造方法により製造することができる。前記分散装置としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ペイントシェイカー、サンドミル、アジテーターミル、ナノマイザー(登録商標)、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルチマイザー、超音波分散機などが挙げられる。
本発明者らの検討の結果、顔料の粒子径をより均一な状態とする、すなわち、D90/D50の値を本発明で規定する範囲とするためには、顔料の予備分散体を得る工程において顔料分散体に十分なせん断力を与えることが効果的であるという知見を得た。具体的には、以下の第1工程〜第3工程を含む顔料分散体の製造方法とすることが好ましい。
(第1工程)
樹脂、中和剤、有機溶剤、及び水などを含有する乳化組成物と、顔料とを混合して、不揮発成分の含有量が30質量%以上50質量%以下で、粘度が50mPa・s以上1,000mPa・s以下である混合物を得る工程。
(第2工程)
前記第1工程で得られた混合物を用い、25℃における粘度が50mPa・s以上500mPa・s以下である予備分散体を得る工程。すなわち、第1工程で得られた混合物を、高圧ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて、混合物1kg当りに与えられる正味の積算動力が0.50kWh/kg以上10.00kWh/kg以下の範囲で処理を行って、上記予備分散体を得る。
(第3工程)
前記第2工程で得られた予備分散体を分散処理する工程。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
実施例などにおける粘度は、B型粘度計(東機産業製)を用いて25℃において測定した値である。また、実施例などにおける顔料の一次粒子径D(nm)は、下記の方法で測定した100点以上の一次粒子径の平均値である。すなわち、顔料分散体を純水により希釈した後、日立超高性能分析走査電子顕微鏡SU−70(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察した顔料の二次粒子を形成する最小単位の粒子径について画像処理を行い、100点以上測定した一次粒子径の平均値である。また、顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)及び顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)は、ナノトラックUPA150EX(日機装製)を用いて測定した値である。この際の測定条件は、溶媒名:水、溶媒屈折率:1.333、溶媒粘度:1.002(20℃)及び0.7971(30℃)、粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.51、粒子形状:非球形、とした。
<顔料分散体の製造>
(顔料分散体1)
顔料としては、下記のようにして得た顔料A(固溶体)を用いた。5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド202のプレスケーキと、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキとを加えて摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行い、得られた一次粒子径Dが75nmの固溶体を顔料Aとした。また、樹脂(分散剤)には、スチレン50部、n−ブチルアクリレート39部、及びメタクリル酸30部を原料として常法により合成して得られた下記の樹脂Aを用いた。該樹脂Aは、上記原料で得た、酸価195mgKOH/g、重量平均分子量9,000のランダムポリマーを、酸価と当量の水酸化カリウム水溶液で中和して得られたものである。上記の顔料Aと樹脂Aとを用い、下記の第1〜3工程によって顔料分散体1を得た。なお、後述する他の顔料分散体の製造における第1〜3工程は、顔料分散体1の製造における各工程と基本的には同様のものを意味する。また、各顔料分散体の製造条件と、得られた各顔料分散体における顔料の特性を、表1−1〜1−4にまとめて示した。
〔第1工程〕
顔料A:180部、樹脂A:90部、イオン交換水:330部を、ホモミクサー(プライミクス製)を用いて混合し、粘度が200mPa・sのスラリー(混合物)を得た。
〔第2工程〕
前記第1工程で得られたスラリーを、循環式ホモジナイザー(製品名:クレアミックス(表中、CLMと略す);エム・テクニック製)を用いて1時間撹拌し、予備分散体を得た。スラリーに与えられた正味の積算動力は0.75kWh/kg、得られた予備分散体の粘度は100mPa・sであった。
〔第3工程〕
前記第2工程で得られた予備分散体を、循環式のビーズミル(表中、BMと略す)を用いて、0.1mm径のジルコニアビーズの充填率を85%、周速8m/秒の条件で120分間分散して、顔料分散体1を得た。ビーズミルには、MiniCer(製品名;アシザワ・ファインテック製)を用いた。得られた顔料分散体1は、Dの値が75nm、D50の値が100nm、D90の値が183nm、D90/D50の値が1.8であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体2)
第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.2mm、分散時間を105分とする以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体2を得た。得られた顔料分散体2は、Dの値が75nm、D50の値が122nm、D90の値が183nm、D90/D50の値が1.5であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体3)
第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.05mm、分散時間を115分とする以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体3を得た。得られた顔料分散体3は、Dの値が75nm、D50の値が76nm、D90の値が160nm、D90/D50の値が2.1であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体4)
第2工程においてスラリーに与えられた正味の積算動力を1.50kWh/kgとし、第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.05mm、分散時間を135分とする以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体4を得た。得られた顔料分散体4は、Dの値が75nm、D50の値が72nm、D90の値が109nm、D90/D50の値が1.5であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体5)
第2工程においてスラリーに与えられた正味の積算動力を0.50kWh/kgとし、第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.2mm、ビーズミルの方式を多パス方式とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体5を得た。得られた顔料分散体5は、Dの値が75nm、D50の値が121nm、D90の値が253nm、D90/D50の値が2.1であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体6)
顔料分散体1の製造の際の第1工程において使用した顔料Aを、下記のようにして得た一次粒子径Dが30nmの顔料B(固溶体)に換えた。すなわち、該顔料Bは、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド202のプレスケーキと、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキとを加えて摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得た。さらに、顔料分散体1の製造の際の第3工程における分散時間を95分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体6を得た。得られた顔料分散体6は、Dの値が30nm、D50の値が110nm、D90の値が207nm、D90/D50の値が1.9であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体7)
顔料分散体1の製造の際の第1工程において使用した顔料Aを、下記のようにして得た一次粒子径Dが50nmの顔料C(固溶体)に換えた。すなわち、該顔料Cは、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド202のプレスケーキと、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキとを加えて摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得た。さらに、顔料分散体1の製造の際の第3工程における分散時間を115分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体7を得た。得られた顔料分散体7は、Dの値が50nm、D50の値が60nm、D90の値が102nm、D90/D50の値が1.7であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体8)
顔料分散体1の製造の際の第1工程において使用した顔料Aを、下記のようにして得た一次粒子径Dが120nmの顔料D(固溶体)に換えた。すなわち、該顔料Dは、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド202のプレスケーキと、5部(固形分)のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキとを加えて摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得た。さらに、顔料分散体1の製造の際の第3工程における分散時間を180分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体8を得た。得られた顔料分散体8は、Dの値が120nm、D50の値が117nm、D90の値が220nm、D90/D50の値が1.9であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体9)
第1工程において使用した樹脂Aを樹脂Bに換え、第3工程において分散時間を110分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体9を得た。該樹脂Bには、スチレン40部、n−ブチルアクリレート53.9部、及びメタクリル酸6.1部を原料として常法により合成し、中和して得られたものを用いた。具体的には、上記で合成した、酸価40mgKOH/g、重量平均分子量8,800のランダムポリマーを、酸価と当量の水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Bを用いた。得られた顔料分散体9は、Dの値が75nm、D50の値が75nm、D90の値が158nm、D90/D50の値が2.1であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体10)
第1工程において使用した樹脂Aを樹脂Cに換え、第3工程において分散時間を100分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体10を得た。該樹脂Cには、スチレン40部、n−ブチルアクリレート7部、及びメタクリル酸53部を原料として常法により合成し、中和して得られたものを用いた。具体的には、上記で合成した、酸価350mgKOH/g、重量平均分子量9,100のランダムポリマーを、酸価と当量の水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Cを用いた。得られた顔料分散体10は、Dの値が75nm、D50の値が90nm、D90の値が185nm、D90/D50の値が2.1であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体11)
第1工程において使用した樹脂Aを樹脂Dに換え、第3工程において分散時間を115分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体11を得た。該樹脂Dには、スチレン40部、n−ブチルアクリレート51部、及びメタクリル酸9部を原料として常法により合成し、中和して得られたものを用いた。具体的には、上記で合成した、酸価50mgKOH/g、重量平均分子量8,800のランダムポリマーを、酸価と当量の水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Dを用いた。得られた顔料分散体11は、Dの値が75nm、D50の値が76nm、D90の値が150nm、D90/D50の値が2.0であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体12)
第1工程において使用した樹脂Aを樹脂Eに換え、第3工程において分散時間を105分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体12を得た。該樹脂Eには、スチレン40部、n−ブチルアクリレート17部、及びメタクリル酸43部を原料として常法により合成し、中和して得られたものを用いた。具体的には、上記で合成した、酸価300mgKOH/g、重量平均分子量9,100のランダムポリマーを、酸価と当量の水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂Eを用いた。得られた顔料分散体12は、Dの値が75nm、D50の値が75nm、D90の値が160nm、D90/D50の値が2.1であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体13)
第1工程において使用した樹脂を樹脂Fとし、第3工程において分散時間を105分とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体13を得た。前記樹脂Fには、スチレン40部、n−ブチルアクリレート15部、メタクリル酸25部、及びポリエチレングリコールモノメタクリレート20部を原料として常法により合成し、中和して得られたものを用いた。具体的には、上記で合成した、酸価160mgKOH/g、重量平均分子量8,600のランダムポリマーを、酸価と当量の水酸化カリウム水溶液で中和して得られた樹脂を用いた。得られた顔料分散体13は、Dの値が75nm、D50の値が80nm、D90の値が155nm、D90/D50の値が1.9であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体14)
第1工程において使用した成分を、樹脂A310部、顔料A90部、及びイオン交換水195部として、粘度が250mPa・sのスラリーを得た。そして、このスラリーを用いて第2工程で粘度が150mPa・sの予備分散体を得たこと以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体14を得た。得られた顔料分散体14は、Dの値が75nm、D50の値が79nm、D90の値が151nm、D90/D50の値が1.9であり、顔料の含有量が15.0%、樹脂の含有量が51.7%であった。
(顔料分散体15)
第1工程において使用した成分を、樹脂A54部、顔料A180部、及びイオン交換水366部として、粘度が180mPa・sのスラリーを得たこと以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体15を得た。得られた顔料分散体15は、Dの値が75nm、D50の値が82nm、D90の値が160nm、D90/D50の値が2.0であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が10.0%であった。
(顔料分散体16)
第1工程において使用した成分を、樹脂A270部、顔料A90部、及びイオン交換水240部として、粘度が250mPa・sのスラリーを得た。そして、このスラリーを用いて第2工程で粘度が150mPa・sの予備分散体を得たこと以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体16を得た。得られた顔料分散体16は、Dの値が75nm、D50の値が75nm、D90の値が130nm、D90/D50の値が1.7であり、顔料の含有量が15.0%、樹脂の含有量が45.0%であった。
(顔料分散体17)
顔料に、下記の方法で表面に樹脂を連結した改質顔料を用いた。具体的には、常法により合成した、スチレン/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体からなる高分子鎖とが結合してなる末端にアミノフェニル基を有するポリマーを、予め4−アミノ安息香酸により改質した顔料Bにさらに連結して改質を行った。すなわち、まず、4−アミノ安息香酸で改質した顔料Bを200部と、上記で得た結合ポリマーの5%水溶液1,000部とを反応器に投入し、55℃に保温し、回転数300rpmで20分間撹拌した。この後、25%の亜硝酸ナトリウム30部を15分間滴下し、さらにイオン交換水100部を加えた。この後、60℃に保温しながら、2時間反応させた。そしてさらに撹拌しながら、1.0規定の水酸化カリウム水溶液を添加し、pHを10〜11に調整し、その後、脱塩、精製、さらに、粗大粒子を除去して、2種類の原子団が化学的に結合してなる改質顔料Bを得た。得られた改質顔料Bを用い、樹脂を使用せず、表1−3に示した条件としたこと以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体17を得た。なお、表1−3中の、顔料分散体17についての配合量は、顔料100部に対する、顔料に結合した樹脂の割合のことを示す。得られた顔料分散体17は、Dの値が75nm、D50の値が74nm、D90の値が132nm、D90/D50の値は1.8であり、顔料の含有量が10.0%であった。
(顔料分散体18)
顔料分散体1の製造の際の第1工程において使用した成分を、樹脂A30部、顔料A60部、及びイオン交換水510部として、粘度が20mPa・sのスラリーとし、第2工程においてスラリーに与えられた正味の積算動力を0.30kWh/kgとした。そして、粘度が10mPa・sの予備分散体とし、さらに第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.2mm、ビーズミルの方式を多パス方式とした以外は顔料分散体1と同様にして、顔料分散体18を得た。得られた顔料分散体18は、Dの値が75nm、D50の値が130nm、D90の値が223nm、D90/D50の値が1.7であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体19)
第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.1mmとする以外は顔料分散体18と同様にして、顔料分散体19を得た。得られた顔料分散体19は、Dの値が75nm、D50の値が83nm、D90の値が240nm、D90/D50の値が2.9であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
(顔料分散体20)
第3工程において使用したジルコニアビーズ径を0.05mmとする以外は顔料分散体18と同様にして、顔料分散体20を得た。得られた顔料分散体20は、Dの値が75nm、D50の値が65nm、D90の値が116nm、D90/D50の値が1.8であり、顔料の含有量が30.0%、樹脂の含有量が15.0%であった。
上記で得られた各顔料分散体やその製造方法における構成を下記表1にまとめて示した。なお、インクに使用する水溶性有機溶剤や添加剤の成分には、顔料の粒子径を変化させ得るものがあるが、その変化の程度は無視できる程度のものである。このため、顔料分散体におけるDや、D50及びD90の各値はインクとした場合のインク中の顔料についてのDや、D50及びD90の各値と同じであった。
Figure 2010180317
Figure 2010180317
Figure 2010180317
Figure 2010180317
<インクの調製>
上記で得られた各顔料分散体を用い、下記表2に示す各成分を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することにより、各インクを調製した。
Figure 2010180317
Figure 2010180317
Figure 2010180317
Figure 2010180317
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置BJ F900(キヤノン製)に前記インクカートリッジを搭載した。そして、前記インクジェット記録装置を用いて、光沢性を有する記録媒体(スーパーフォトペーパーSP−101:キヤノン製)に、記録デューティを10%刻みで10%から200%まで変化させたベタ部分を含む記録物を作製した。この際のプリンタドライバは、プロフォトペーパーモードを選択した。プロフォトペーパーモードの設定は以下の通りである。
・用紙の種類:プロフォトペーパー
・印刷品質:きれい
・色調整:自動
(保存安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれショット瓶に入れて密栓し、温度60℃のオーブンで2週間保存した。この保存前後のインクの粘度をそれぞれE型粘度計(RE80L;東洋精機製)を用いて測定し、保存前のインクの粘度と比較した粘度の変化率を求め、保存安定性の評価を行った。保存安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示す。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Aが優れているレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
A:粘度の変化率が15%未満であった。
B:粘度の変化率が15%以上30%未満であった。
C:粘度の変化率が30%以上であった。
(彩度)
記録物を作製した1日後に、マゼンタの画像における彩度を、Spectrolino(Gretag Macbeth製)を用いて測定し、彩度の評価を行った。なお、彩度はc*={(a*2+b*21/2の式により求めることができる。彩度の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Aが優れているレベル、AAが特に優れているレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
AA:c*が82以上であった。
A:c*が81以上82未満であった。
B:c*が80以上81未満であった。
C:c*が80未満であった。
(光沢性)
上記で得られた記録物について、microhazemater(BYK Gardner製)を用いてGLOSS値(20°光沢性)を測定し、光沢性の評価を行った。光沢性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Aが優れているレベル、AAが特に優れているレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
AA:GLOSS値(20°光沢性)が80以上であった。
A:GLOSS値(20°光沢性)が70以上80未満であった。
B:GLOSS値(20°光沢性)が60以上70未満であった。
C:GLOSS値(20°光沢性)が60未満であった。
Figure 2010180317

Claims (10)

  1. 少なくとも、顔料を含有するインクであって、
    前記顔料が、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントレッド122との固溶体であり、
    前記顔料の一次粒子径D(nm)と前記顔料の粒子径分布の50%累積値D50(nm)とが、D×0.95≦D50≦125の関係を満たし、かつ、前記顔料の粒子径分布の90%累積値D90(nm)と前記D50(nm)とが、1.5≦D90/D50≦2.1の関係を満たすことを特徴とするインク。
  2. 前記D(nm)が、50nm以上120nm以下である請求項1に記載のインク。
  3. 前記インクがさらに樹脂を含有し、前記樹脂の酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記樹脂が、ノニオン性ユニットを有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. 前記インク中における、インク全質量を基準とした前記顔料の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として樹脂の含有量(質量%)に対して、0.30倍以上10.0倍以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
  6. 前記顔料が、顔料粒子の表面に樹脂を結合してなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
  7. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とする記録ユニット。
  10. インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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