JP2010180050A - 粒子輸送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子を安定させて高効率のもとで輸送できるようにした粒子輸送装置を構成する。
【解決手段】1ビットカウンタ回路42は短周期の矩形波信号uを発生し、矩形波発生回路43は、25%デューティで90度ずつ位相がずれた基本周期の矩形波信号w1,w2,w3,w4を発生する。XOR演算器44は両者の排他的論理和g1,g2,g3,g4を求める。ゲートドライバ回路46はそれで直流電圧Vをスイッチングする。このようにして、i相の駆動電圧とi相に隣接するj相の駆動電圧との差の時間変化が、0をまたいで、相周期より短周期で変化する短周期関数と、相周期で変化する基本周期関数との積として表される電圧を、平行配列された線状電極に印加する。
【選択図】図4

Description

この発明は、粒子を電気的制御によって輸送する粒子輸送装置に関するものである。
電極部に多相電圧を印加することによりクーロン力を発生させて粒子を移動させる粒子輸送装置が特許文献1に示されている。
ここで特許文献1の粒子輸送装置の構成を、図1・図2を基に説明する。
図1は特許文献1に示されている粒子輸送装置の斜視図、図2はその側面図である。図1・図2に示すように、絶縁体2中に複数本の線状電極3を平行に配置して平板状固定子1を構成している。この線状電極3に、互いに等しい位相差を持つ一定周波数の正弦波交流電圧などの交番電圧を電源10で印加することにより、線状電極3の近傍にクーロン力を発生させ、平板状固定子1上の粒子19を平板状固定子1表面に吸引しつつ輸送する。
特許第3569544号公報
ところが、特許文献1に示されている粒子輸送装置においては、平板状固定子1上の一部の粒子が交番電圧の空間変位に一致せず、逆向きに動くものや、定位置に付着したまま動かない、という問題が生じ得ることを発明者等は実験的及び理論的に発見した。
平行配置された線状電極に対して複数相の交番電圧を印加することによって粒子が輸送されるのは、電界の勾配と粒子の分極との相互作用に基づく静電勾配力(静電グレーディエント力)の作用する領域が、各相の電圧変化に従って順次移動し、それに伴って粒子が移動するからである。
しかし、各粒子が各々異なる電荷量に帯電していたり、輸送中に帯電したりして、各粒子が電界によってクーロン力を受ける。クーロン力は帯電量に比例するが、各粒子の帯電量は一定でないため、粒子ごとに異なるクーロン力が作用する。そのため、粒子に作用する力が不揃いとなり、各粒子が安定して高効率に輸送されない。
このことは以降に示す本発明の実施形態で述べる従来技術との比較説明で一層明らかになる。
この発明の目的は、粒子を安定させて高効率のもとで輸送できるようにした粒子輸送装置を提供することにある。
この発明の粒子輸送装置は次のように構成する。
(1)互いに平行または略平行に配列された3本以上の線状電極と、
前記線状電極の配列順番号をk(kは0から始まる整数)、前記線状電極に印加される駆動電圧の相数をn(ただし、nは3以上の整数)としたとき、
i=Mod(k,n)+1 (Modは剰余関数)
で表される第i相の駆動電圧Vi(t)(tは時刻)を前記配列順番号kの線状電極に印加する電圧印加手段と、
を備えた粒子輸送装置であって、
前記電圧印加手段は、
前記第i相の駆動電圧と第j相(ただし、j≠i)の駆動電圧との差Vi(t)−Vj(t)の時刻tに対する変化は、基本周期関数wi,j(t)と、前記基本周期関数の周期よりも十分短い周期を持ち、かつ、1周期の平均値がゼロである短周期関数ui,j(t)との積として表せることを特徴とする。
電界中に置かれた粒子には、(a)真電荷の帯電に基づくクーロン力、(b)電界の勾配と粒子の分極との相互作用に基づく静電勾配力(静電グレーディエント力)の2つの力が作用しているが、前記の電圧印加によって電界の向きが高速に入れ替わり、uij(t)の一周期にわたる積分値は0になるため、クーロン力による力積は実質的にゼロとなる。例えば、短周期関数uij(t)をデューティ比50%の矩形波とすれば、uij(t)の一周期にわたる積分値は0になり、クーロン力が相殺されることになる。
一方、静電勾配力は電界の大きさの2乗に比例するため、前記電界の向きの高速反転によっては打ち消されない。
このため、前述の構成により、クーロン力による悪影響を受けず、各粒子には静電勾配力のみが作用する。そのため、近接する粒子間で、それらに作用する力の差が小さくなり、粒子が安定して輸送される。
(2)前記短周期関数ui,j(t)は、任意の{i,j}の組み合わせに対して、互いに一致するものとする。
(3)前記短周期関数ui,j(t)は、任意の{i,j}の組合せに対して、位相差を除いて互いに一致するものとする。
(4)前記基本周期関数wi,j(t)は、任意の{i,j}の組合せに対して互いに一致するものとする。
(5)前記短周期関数ui,j(t)の波形は、矩形波とする。
(6)前記短周期関数ui,j(t)の波形は、正弦波とする。
この発明によれば、クーロン力による悪影響を受けず、各粒子に静電勾配力のみが作用して、近接する粒子間で、それらに作用する力の差が小さくなり、粒子が安定して高効率で輸送される。
特許文献1に示されている粒子輸送装置の斜視図である。 特許文献1に示されている粒子輸送装置の側面図である。 図3(A)・図3(B)は複数の線状電極とそれらに対して電圧を印加する構成を示す図であり、図3(A)は線状電極を形成した誘電体基板の平面図、図3(B)はその側面図である。 図4(A)は粒子輸送装置全体のブロック図であり、図4(B)は電源部40の構成を示すブロック図である。 図5(A)は前記1ビットカウンタ回路42が出力するパルス信号u(t)の波形図である。図5(B)は、パルス信号w(i) (i = 1, 2, 3, 4)の波形図である。 ゲートドライバ回路46の出力Vi(t) (i= 1, 2, 3, 4)の波形図である。 図7(A)は図6中の時間領域R1の拡大図、図7(B)は図6中の時間領域R2の拡大図である。 従来技術による入力電圧Vi (t)(i= 1, 2, 3, 4)の波形図である。 図9(A)は第1の実施形態におけるu(t)の波形図である。図9(B)は第1の実施形態におけるwi(t)の波形図である。 配列電極基板部近傍に生じる電気力線を示す図である。 第2の実施形態に係る電源部の構成を示すブロック図である。 図12(A)は、図11中の発振回路47A〜47Dの出力電圧の波形図である。図12(B)は前記矩形波発生回路43が出力するパルス信号w(i) (i = 1, 2, 3, 4)の波形図である。 図11中の出力電圧Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)の波形図である。 第3の実施形態に係る粒子輸送装置の電源部の構成を示すブロック図である。 図15(A)は図14中の正弦波発生回路33の出力電圧の波形図である。図15(B)は、図14中の移相回路49の出力電圧波形図である。 図14中のドライバ回路31の出力電圧波形図である。 第4の実施形態に係る粒子輸送装置の電源部の構成を示すブロック図である。 図17中のドライバ回路31の出力電圧波形図である。
《第1の実施形態》
この発明の第1の実施形態に係る粒子輸送装置について図3〜図10を参照して説明する。
図3(A)・図3(B)は複数の線状電極とそれらに対して電圧を印加する構成を示す図であり、図3(A)は線状電極を形成した誘電体基板の平面図、図3(B)はその側面図である。
誘電体基板51の上面には複数の線状電極52を平行且つ一定間隔に配列形成し、さらに絶縁物のカバーコート54を被覆することによって配列電極基板部50を構成している。線状電極52は、その並び順に4本ごとに接続部53を並列接続するとともに、後に示す電源部の出力端子V1〜V4にそれぞれ接続している。
図3(B)において、線状電極52は、各線状電極E1(1),E2(1),E3(1),E4(1),E1(2),E2(2),E3(2),E4(2)・・・,E1(4),E2(4),E3(4),E4(4)で構成されている。
一般的に表すと、線状電極52の配列順番号をk、前記線状電極に印加すべき周期変化する駆動電圧の採り得る位相の数である相数をnとしたとき、
i=Mod(k,n)+1 (Modは剰余関数)
で表される第i相の駆動電圧Vi(t)(tは時刻)を配列順番号kの線状電極52に印加する。なお、線状電極52の配列順番号kは、k=0,1,2,3・・・というように0から始まる整数である。
図3(A)・図3(B)の例では、n=4であるので、E1 (1),E1 (2),E1 (3),E1 (4)にV1が、E2 (1),E2 (2),E2 (3),E2 (4)にV2が、E3 (1),E3 (2),E3 (3),E3 (4)にV3が、E4 (1),E4 (2),E4 (3),E4 (4)にV4がそれぞれ印加される。
なお、線状電極52をアクリル樹脂などの絶縁物のカバーコート54で被覆したことにより、線状電極52を腐食性ガスや酸素、水分などによる腐食や酸化から保護でき、また、火花放電を防止できる。また、粒子の帯電を防ぐことができ、安定に輸送することができる。また、電界が著しく大きい部位が露出しないため、粒子の破砕を防止できる。
図4(A)は粒子輸送装置全体のブロック図であり、図4(B)は電源部40の構成を示すブロック図である。また、図5〜図7は図4(B)中の各部の電圧波形図である。
図4(A)において、配列電極基板部50は図3に示した誘電体基板51、それに形成した線状電極52およびそれらを所定間隔で並列接続する接続部53とで構成されている。
図4(B)において、定電圧直流電源回路45は、0ボルト(GND)に対して+Vボルトを出力する。+Vボルトは、例えば+400ボルトである。クロック発生回路41は一定周期のクロックパルスを発生する。1ビットカウンタ回路42は、クロック発生回路41からCLK信号が入力されるごとに、出力のデジタル信号をL(ローレベル)→H(ハイレベル)→L→H→と交互に切り替える。従って、この1ビットカウンタ回路42は、デューティ比50%のパルス列のデジタル信号を出力する。ここで、1ビットカウンタ回路42が出力するパルスの周期をTHで表す。
図5(A)は前記1ビットカウンタ回路42が出力するパルス信号u(t)の波形図である。ここで、THは例えば0.1ミリ秒であり、パルス信号u(t)は周波数10kHzの矩形波である。
図4(B)の矩形波発生回路43は、クロック発生回路41から出力されるCLK信号を分周したうえで、図5(B)に示すように、デューティ比25%のパルス信号wi (i = 1, 2, 3, 4)を出力する。図5に示すとおり、wi (i = 1, 2, 3, 4)はiの順に1/4周期ずつ位相が遅れている。ここで、パルスの周期TLは例えば10ミリ秒である。
XOR演算器44は、二つの入力に対して排他的論理和を出力する。すなわち、各i (i = 1, 2, 3, 4)に対して、wiとuとの排他的論理和を出力し、ゲートドライバ回路46のgi (i = 1, 2, 3, 4)へ入力する。
ゲートドライバ回路46は、入力gi (i = 1,2, 3, 4)のそれぞれに対して、L入力のときはViへ0ボルトを出力し、H入力のときはViへ+Vボルトを出力する。ゲートドライバ回路46は、例えばパワーMOS−FETを用いたハーフ・ブリッジ回路で構成する。
図6は、ゲートドライバ回路46の出力Vi (i =1, 2, 3, 4)の波形図、図7(A)は図6中の時間領域R1の拡大図及び第1相と第2相の電圧波形の差(V2(t)−V1(t))の波形図である。また、図7(B)は図6中の時間領域R2の拡大図及び第1相と第2相の電圧波形の差(V2(t)−V1(t))の波形図である。但し、図6においては図示の便宜上、周期THが実際の周期よりも長く表されている。
図6中の時間領域R1は、0< t <(TL/4)を満たす適当な時間領域である。図7(A)から分かるように、0< t <(TL/4)においては、各Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)は周期THで交番する。また、Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)のうち、V1(t)だけが他と異なる電圧値を採る。
同様に、図6中の時間領域R2は、(TL/4)< t <(TL/2)を満たす適当な時間領域である。この時間領域R2の拡大図である図7(B)から分かるように、(TL/4)< t <(TL/2)においては、各Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)は周期THで交番する。また、Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)のうち、V2(t)だけが他と異なる電圧値を採る。
ここで、第i相の駆動電圧と第j相(ただし、j≠i)の駆動電圧との差Vi(t)−Vj(t)の時刻tに対する変化は、基本周期関数wi,j(t)と、前記基本周期関数の周期よりも十分短い周期を持ち、かつ、1周期の平均値がゼロである短周期関数ui,j(t)との積として表すことができる。この関係を満たせば、本発明は成り立つ。
次に、図6・図7に示した電圧が配列電極基板部50に印加されることによる作用について説明する。
まず、配列電極基板部50の電極近傍に生じる電界と、入力電圧V1 〜 Vnとの関係を考える。図4に示した例ではn= 4であるが、しばらくは、nは3以上の任意の整数であるとして説明する。
いま、
(V1, V2, ・・・, Vn) = (1V, 0V, ・・・, 0V) …(1)
のときの電界分布をE1(x)で表す。ここで、xは3次元の空間座標である。
同様に、
(V1, V2, V3, ・・・, Vn) = (0V, 1V, 0V, ・・・, 0V) …(2)
(V1, V2, V3, V4,・・・, Vn) = (0V, 0V, 1V, 0V, ・・・, 0V) …(3)



(V1, ・・・, Vn-1, Vn) = (0V, ・・・, 0V, 1V) …(4)
のときの電界分布をそれぞれE2(x),E3(x),・・・,En(t)とおく。このとき、任意のV1 〜 Vnの値に対する電界分布E(x)は、重ねの理より、
Figure 2010180050
と表すことができる。
ここで仮定として、配列電極基板部50の電極以外の部位に真電荷や残留分極がなく、かつ、周囲物が十分遠くまで存在しないとする。このとき、入力電圧が、
V1 = V2 = V3 =・・・= Vn …(6)
の関係を満たすとき、配列電極基板部近傍の任意の空間位置xにおいて、
E(x)=0 …(7)
である。(5)〜(7)式より、En(x)を消去すると、
Figure 2010180050
を得る。
ここで、入力電圧Vi(t)( i= 1, 2, ・・・, n)の時間変化を、2つの実数関数ui(t)およびwi(t)を用いて、
Vi(t)=ui(t)・wi(t)+Voffset …(9)
と表す。ここで、Voffsetは、各Vi(t)に共通のオフセット電圧であり、当然ながら形成されるE(x)に影響しない。
(9)式を(8)式に代入すると、
Figure 2010180050
を得る。
ここでさらにui(t)がiによらないものとし、
ui(t)=u(t) …(11)
と表すと、(10)式は、
Figure 2010180050
と表せる。
次に、誘電体粒子が電界から受ける力について考える。ここでは、粒子が電界から受ける力として、
(a)真電荷の帯電に基づくクーロン力、
(b)電界の勾配と粒子の分極との相互作用に基づく静電勾配力(静電グレーディエント力)
の二つを考える。このとき、粒子が電界から受ける力Fは、
F=Fc+Fg …(13)
と表せる。ここでFcおよびFgはそれぞれ上記(a)および(b)に対応する。
まず、(a)は、粒子が電荷q[C]を帯びているときに、電界E(x)から受けるクーロン力であるとすると、
Fc=qE(x) …(14)
である。ここで、xは粒子の空間座標である。また、E(x)としては、粒子が存在しないとしたときの値を用いるものとする。
当然ながら、Fcの大きさは、電界の大きさと電荷量に比例する。また、Fcの向きは、正の電気を帯びているときは電界の向きに一致し、負の電気を帯びているときは電界の向きとは逆向きとなる。
次に、(b)について説明する。粒子がゆるやかな勾配をもつ電界E(x)中に置かれた場合を考える。このとき、粒子中の分極Pは、
Figure 2010180050
で表されることが知られている。ここで、ε0は真空の誘電率、εrは粒子の誘電率である。また、E(x)としては、粒子が存在しないとしたときの値を用いるものとする。
この分極Pを持つ粒子がゆるやかな電界の勾配から受ける静電勾配力Fgは、
Figure 2010180050
である。ここで、記号∇は勾配(grad)を表し、また、積分は粒子の全体積に対して取るものとする。(16)式に(15)式を代入して整理すると、
Figure 2010180050
を得る。(17)式において[ ]内は各々の粒子について一定なので、定数Cとおくと、
Figure 2010180050
と表せる。(18)式より、静電勾配力は、電界の2乗が大きい方向へ向かい、大きさは電界の2乗の空間勾配に比例することが分かる。
次に、(12)式を(14)式と(18)式にそれぞれ代入すると、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
を得る。
ここで、粒子が受けるクーロン力および静電勾配力による力積に着目する。短い時間領域tからt+THにおいて、粒子が受けるクーロン力および静電勾配力による力積をそれぞれIcおよびIgとおくと、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
と表せる。(21)式および(22)式にそれぞれ(19)式および(20)式を適用することにより、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
を得る。
ここで、(23)式、(24)式それぞれの右辺の被積分関数において、u(t)以外の要素が短い時間領域tからt+THにおいてほとんど変化しないとすると、それぞれ、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
と表せる。
次に、第1の実施形態の粒子輸送装置の効果を従来例と比較しながら説明する。ここから、n = 4に限定する。
[従来例]
従来例として、図8のような入力電圧Vi (t)(i= 1, 2, 3, 4)を配列電極基板部へ入力した場合を考える。図8の入力電圧は、
ui(t)=u(t)≡1 …(27)
Figure 2010180050
とし、また、wi(t)は図9(B)で表したとおりとすることにより表せる。
(27)式を(25)式および(26)式に適用すると、それぞれ、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
となる。
[第1の実施形態の例]
次に、第1の実施形態では、入力電圧Vi (t)(i= 1, 2, 3, 4)の時間変化は既に図6・図7に示したとおりである。この入力電圧Vi (t)は、u(t)が図9(A)で表されるとし、また、wi(t)は図9(B)で表されるとし、また、
Figure 2010180050
の関係とすることに対応する。
図9(A)に示したu(t)の定義より、(25)式および(26)式は、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
となる。
(29)式と(32)式、(30)式と(33)式をそれぞれ比較すれば、第1の実施形態によれば、静電勾配力の大きさは従来例と変わらないままで、クーロン力による力積を実質的にゼロとすることができる。
ここで、各種パラメータについて従来例と第1の実施形態の例との比較を表1に表す。
Figure 2010180050
次に、静電勾配力によって粒子が輸送される現象について述べる。
図8中、例えば0< t <TL/4におけるように、
(V1, V2, V3, V4) = (+V, 0,0, 0) …(34)
の入力電圧を与えたときに配列電極基板部近傍に生じる電気力線を図10に示す。図10において、電気力線をEFLとして示した。図10より、殊に線状電極E1 (j)(j=1,2,3)の近傍に向かって電気力線が集中している、すなわち、線状電極E1 (j)へ向かって電界の大きさの勾配が正であることが分かる。したがって、(18)式より、線状電極E1 (j)の近傍に置かれた粒子には当該電極へ向かう静電勾配力が生じることが分かる。
同様に、例えばTL/4< t <TL/2におけるように、
(V1, V2, V3, V4) = (0, +V,0, 0) …(35)
の入力電圧が与えられたときには、線状電極E2 ( j) へ向かう静電勾配力が生じる。
以下同様に、図8のような入力電圧Vi (t)を配列電極基板部へ与えた場合、静電勾配力が支配的であるなら、適当なパラメータを選定することにより、粒子は静電勾配力によって、配列電極基板部の表面に接しながら図10の右方向へ輸送される。
しかし、もし粒子が真電荷を帯びていると、従来例においては(29)式で表されるクーロン力が働く。このクーロン力は、個々の粒子が帯びる電荷量に依存するが、電荷量は粒子ごとに異なるため、粒子ごとに働く力が異なる。また、クーロン力は配列電極基板部から離れる方向へ作用することがある。そのため、安定した搬送ができない。このような、粒子ごとに作用する力が異なる現象は実験的にも観測され、安定した輸送の妨げとなっていた。
本発明によれば、帯電量に依存するクーロン力を実質的に働かなくして輸送することができるので、安定した輸送が可能となる。
《第2の実施形態》
図11は第2の実施形態に係る電源部の構成を示すブロック図である。また、図12・図13は図11中の各部の電圧波形図である。
図11において、クロック発生回路41は一定周期のクロックパルスを発生する。矩形波発生回路43は、クロック発生回路41から出力されるCLK信号を分周したうえで、デューティ比25%のパルス信号wi (i = 1, 2, 3, 4)を出力する。図12(B)は前記矩形波発生回路43が出力するパルス信号wi (i= 1, 2, 3, 4)の波形図である。図12(B)に示すとおり、wi (i = 1, 2, 3, 4)はiの順に1/4周期ずつ位相が遅れている。ここで、パルスの周期TLは例えば10ミリ秒である。
発振回路47A〜47Dは、入力信号ENABLE がHレベルのときに、図12(A)に示す正弦波電圧を出力し、Lレベルのときはゼロボルトを出力する。ここで、正弦波電圧は例えば、周期TH=0.1ミリ秒、すなわち、周波数10kHzで、実効値は400Vである。なお、図12(A)においては図示の便宜上、周期Tは実際の周期よりも長く表されている。
第2の実施形態では、第1の実施形態で示した関数u(t)およびVoffsetをつぎのとおり変更する。
Figure 2010180050
Voffset≡0 …(37)
また、wi(t)を図12(B)のように変更する。図13は、このときのVi(t) (i = 1, 2, 3, 4)の波形図である。
第2の実施形態における各種パラメータの値を表2に示す。
Figure 2010180050
第2の実施形態によれば、表2にも示したように、第1の実施形態と同様に、静電勾配力の大きさは従来例と変わらないままで、クーロン力を実質的にゼロとすることができる。
《第3の実施形態》
図14は第3の実施形態に係る粒子輸送装置の電源部の構成を示すブロック図である。また、図15・図16は図14中の各部の電圧波形図である。
図14において、定電圧直流電源回路45は、0ボルト(GND)に対して+Vボルトを出力する。+Vボルトは、例えば+400Vである。正弦波発生回路33は、図15(A)に示すような、周期THの正弦波信号を発生する。分周回路48は、正弦波発生回路33が発生した信号を分周して、周期TLの正弦波信号を出力する。移相回路49は、分周回路48から出力される正弦波信号を、図15(B)に示すように、90度ずつ位相がずれた4相の正弦波信号を出力する。
乗算器30は、それぞれ2入力を乗算する。すなわち、各i(i = 1, 2, 3, 4)に対して、wiとuとを掛け合わせた結果を出力し、ドライバ回路31のg(i) (i = 1, 2, 3, 4) へ入力する。
ドライバ回路31は、入力gi (i = 1, 2,3, 4)のそれぞれを電圧増幅して、図16に示すような電圧Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)を出力する。
第3の実施形態では、第1の実施形態で示した関数u(t)、wi(t)及びVoffset
Figure 2010180050
Figure 2010180050
Voffset≡0 …(40)
のように変更したものである。
第3の実施形態に係る粒子輸送装置の各種パラメータの値を表3に示す。
Figure 2010180050
表3に示したように、第1の実施形態の場合と同様に、静電勾配力がゼロでない有限の大きさを持つ一方で、クーロン力を実質的にゼロとすることができる。
《第4の実施形態》
図17は、第4の実施形態に係る粒子輸送装置の電源部の構成を示すブロック図である。また、図18は図17中の各部の電圧波形図である。
図17において、定電圧直流電源回路45は、0ボルト(GND)に対して+Vボルトを出力する。+Vボルトは、例えば+400Vである。クロック発生回路41は一定周期のクロックパルスを発生する。正弦波発生回路32は、周期THの正弦波信号を発生する。ここで、正弦波の周期THは例えば0.1ミリ秒である。矩形波発生回路43は、クロック発生回路41から出力されるCLK信号を分周したうえで、デューティ比25%のパルス信号wi (i = 1, 2, 3, 4)を出力する。wi (i = 1, 2, 3, 4)はiの順に1/4周期ずつ位相が遅れている。ここで、パルスの周期TLは例えば10ミリ秒である。
乗算器30は、それぞれ2入力を乗算する。すなわち、各i(i = 1, 2, 3, 4)に対して、wiとuとを掛け合わせた結果を出力し、ドライバ回路31のgi (i = 1, 2, 3, 4)へ入力する。
ドライバ回路31は、入力gi (i = 1, 2,3, 4)のそれぞれを電圧増幅して、図18に示すような電圧Vi(t) (i = 1, 2, 3, 4)を出力する。
第4の実施形態では、第1の実施形態で示した関数u(t)、wi(t)及びVoffset
Figure 2010180050
wi(t)=V …(42)
Voffset≡0 …(43)
のように変更したものである。
このときのVi(t) (i =1, 2, 3, 4)は図18に示したとおり、正弦波が矩形波で位相変調された波形となる。
前記(42)式を(10)式に代入すると、
Figure 2010180050
を得る。
次に、(44)式を(14)式と(18)式にそれぞれ代入すると、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
を得る。
(21)式及び(22)式にそれぞれ(45)式及び(46)式を適用することにより、
Figure 2010180050
Figure 2010180050
を得る。
ここで、(47)式の右辺の積分は、(41)式の定義よりゼロとなるから、
Figure 2010180050
を得る。
他方、(48)式は一般にゼロでない有限値をとる。
第4の実施形態に係る粒子輸送装置の各種パラメータの値を表4に示す。
Figure 2010180050
表4に示したように、第1の実施形態の場合と同様に、静電勾配力がゼロでない有限の大きさを持つ一方で、クーロン力を実質的にゼロとすることができる。
1…平板状固定子
2…絶縁体
3…線状電極
10…電源
19…粒子
30…乗算器
31…ドライバ回路
32…正弦波発生回路
33…正弦波発生回路
40…電源部
41…クロック発生回路
42…1ビットカウンタ回路
43…矩形波発生回路
44…XOR演算器
45…定電圧直流電源回路
46…ゲートドライバ回路
47A〜47D…発振回路
48…分周回路
49…移相回路
50…配列電極基板部
51…誘電体基板
52…線状電極
53…接続部
54…カバーコート

Claims (6)

  1. 互いに平行または略平行に配列された3本以上の線状電極と、
    前記線状電極の配列順番号をk(kは0から始まる整数)、前記線状電極に印加される駆動電圧の相数をn(ただし、nは3以上の整数)としたとき、
    i=Mod(k,n)+1 (Modは剰余関数)
    で表される第i相の駆動電圧Vi(t)(tは時刻)を前記配列順番号kの線状電極に印加する電圧印加手段と、
    を備えた粒子輸送装置であって、
    前記電圧印加手段は、
    前記第i相の駆動電圧と第j相(ただし、j≠i)の駆動電圧との差Vi(t)−Vj(t)の時刻tに対する変化は、基本周期関数wi,j(t)と、前記基本周期関数の周期よりも十分短い周期を持ち、かつ、1周期の平均値がゼロである短周期関数ui,j(t)との積として表せることを特徴とする粒子輸送装置。
  2. 前記短周期関数ui,j(t)は、任意の{i,j}の組み合わせに対して、互いに一致する、請求項1に記載の粒子輸送装置。
  3. 前記短周期関数ui,j(t)は、任意の{i,j}の組合せに対して、位相差を除いて互いに一致する、請求項1に記載の粒子輸送装置。
  4. 前記基本周期関数wi,j(t)は、任意の{i,j}の組合せに対して互いに一致する、請求項3に記載の粒子輸送装置。
  5. 前記短周期関数ui,j(t)の波形は、矩形波である、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子輸送装置。
  6. 前記短周期関数ui,j(t)の波形は、正弦波である、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子輸送装置。
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