JP5018791B2 - 気体搬送装置および冷却装置取り付け構造 - Google Patents
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Description
この電界カーテンは、図1に示すように、誘電体層10に近接して複数個の電極12,13,14,12′,13′,14′・・・を設け、該電極にトランス21,22,23を介して交番電圧を印加して電極間に電気力線18を発生させるとともに不平等交番電界20を形成するものである。誘電体層10に接触する粉体11が帯電すると、粉体11が不平等交番電界により一方向に駆動される。この方法により、純電気力学的方法で粉体等を誘電体層から剥離・浮上させてはらい落としたり、輸送したりする。
図2はその斜視図、図3は側面図である。図2・図3に示すように、絶縁体2中に複数本の線状電極3を平行に配置して平板状固定子1を構成し、電源9により線状電極3に交番電圧を印加することにより、線状電極3の近傍にクーロン力を発生させ、平板状固定子1上の粉体29を平板状固定子1表面に吸引し、搬送するものである。
(a)空気をイオン化するための電極と、気体を搬送するための電極が別々に必要となり、装置が大型化する。
(1)互いに平行または略平行に配列され、その並び順に一定相数nを周期として、当該周期毎に並列接続された複数の線状電極と、時間経過にともない、互いに一定の位相差で且つ同一パターンで電圧が周期的に変化するn相の駆動電圧を前記線状電極に印加する電源と、を備え、
前記線状電極に駆動電圧を印加することにより前記線状電極の近傍に不平等電界を生じさせ、かつ、前記線状電極に印加する駆動電圧を十分に小さい時間で切り換えることにより前記線状電極の並び方向に前記気体を搬送するように構成する。
前記線状電極に駆動電圧を印加することにより前記線状電極の近傍に不平等電界を生じさせるとともに気体の密度変化を起こさせ、かつ、前記線状電極に印加する駆動電圧を十分に小さい時間で切り換えることにより前記線状電極の並び方向に前記気体を搬送するように構成する。
(1)線状電極の近傍に生じる不平等電界が周囲の気体に及ぼす静電勾配力により気体の拡散が十分に小さい周期で、電極近傍の気体に電界が印加されるので、気体が線状電極の並び方向に移動することになり、気体搬送が可能となる。また、可動部がないために、静粛であり、信頼性が高く、安全性が高い。
第1の実施形態に係る気体搬送装置について図4〜図7を参照して説明する。
図4は複数の線状電極とそれらに対して電圧を印加する電源の構成を示す図であり、図4(A)は線状電極を形成した誘電体基板の平面図、図4(B)はその側面図である。
+V { (T/8)×(i−1)<t<(T/8)×i }
−V { (T/8)×(i+3)<t<(T/8)×(i+4) }
0 { それら以外のtのとき }
のそれぞれの値をとる。但し、Vは正の電圧である。このような電圧を出力することによって、図5に示した電圧波形を繰り返し出力する。
まず、時刻t=0における空気の密度分布について説明する。時刻t=0においては、図5より、V1=+V、V2=V3=V4=0である。図7は、このとき誘電体基板31を側面から見たときの電気力線EFLを示している。このように、電気力線EFLは線状電極E1 ( j )、E2 ( j )、およびE4 ( j )の周囲において密に集中していて、これらと比較して、線状電極E3 ( j )の周囲における電気力線EFLは疎である。ここで( j )は4相の繰り返し周期の周期番号である。
例えば次の文献
J.A. Stratton, Electromagnetic Theory(McGraw-Hill, New York, 1941), pp.137〜153
中の式(12)に記述されているように、流体の誘電体に作用する静電界による単位体積あたりの静電勾配力ベクトルfeは次の式で表される。
ここでは、気体として、気圧が1atm付近である空気を扱うものとする。このとき、誘電率εは次式で表される。
図8(A)は第2の実施形態に係る気体搬送装置の構成を示す断面図、図8(B)は駆動電圧波形および圧力分布を示す図である。
図9は第3の実施形態に係る気体搬送装置の構成を示す図であり、図9(A)は平面図、図9(B)はその側面図である。図4に示した装置と異なるのは、誘電体基板51に形成した線状電極52と周期パルス電源との接続構造である。この第3の実施形態でも第1の実施形態の場合と同様に、線状電極を4本ごとに並列接続するとともに4相の駆動電圧を印加するが、奇数本目と偶数本目とで線状電極52への接続方向(接続端)を交互に切り替えている。
第4の実施形態に係る冷却装置取り付け構造を、図10を参照して説明する。
図10(A)はこの発明の気体搬送装置の構造を備える冷却装置の正面図、図10(B)はその側面図である。さらに図10(C)は、この冷却装置を発熱体に取り付けた冷却装置取り付け構造を示す側面図である。
図11は第5の実施形態に係る気体搬送装置の主要部の断面図である。
図11において、符号70は絶縁性で角筒状のフードであり、このフード70の対向する平行な2面の間に複数の線状電極71を配列している。これらの複数の線状電極71は図11におけるz方向に延び、互いに平行であり、x方向およびy方向にそれぞれ等間隔に配列している。また、これらの複数の線状電極71のy方向に配置した線状電極同士(図中Gで示す組)で同一の駆動電圧を印加する。そして、x方向には図4(A)に示したものと同様に一定数nを周期として同相の電圧を印加する。これはちょうど図4に示した線状電極を備える基板を複数層設けたものに等しい。したがって角筒状のフード70の一方の開口面から他方の開口面にかけて空気等の気体が通り抜けることになる。
図12は第6の実施形態に係る気体搬送装置の構成を示す図である。
第1〜第3の実施形態では単一の基板の一方の面に線状電極を配置したが、この第6の実施形態では、そのような線状電極を形成した基板を2枚用いて、それらの線状電極同士が対向するように配置したものである。図12において誘電体基板81には線状電極91を、誘電体基板82には線状電極92を、それぞれ形成していて、線状電極91,92同士一定間隙を隔てて対向するように、誘電体基板81,82を配置している。そして、対向する電極には同じ(同相の)駆動電圧が印加されるように第1〜第3の実施形態の場合と同様に駆動電圧を印加する。これにより、誘電体基板81と82とで挟まれる空間に気体が流れることになる。
第7の実施形態に係る2つの冷却装置取り付け構造の例を、図13を参照して説明する。
図13(A)は、この発明の気体搬送装置の構造を備える冷却装置の側面図である。配列電極基板部30は、既に各実施形態で示した構成からなり、その誘電体基板の上面(線状電極を形成した面)にアルミニウム・銅等の金属製のフード60を取り付けている。このフード60と配列電極基板部30とで、空気が流通する空間を構成している。フード60の両端は開口していて、一方の開口面から他方の開口面にかけて気流AFが生じる。この配列電極基板部30とフード60とによって冷却装置201を構成している。この冷却装置201を発熱体61の近傍に配置し、上記気流AFによって放熱・冷却する。
図14は複数の線状電極の構成を示す平面図である。このように、誘電体基板101に形成する複数の線状電極102は、それら全てが平行に配列されているものに限らず、少なくとも隣接する線状電極同士が略平行であればよい。すなわち、静電勾配力の作用により線状電極の近傍において空気の密度が高くなるのに寄与する範囲について、線状電極が互いに略平行であるという関係を満たしていればよい。そのため、この図14に示したように、線状電極の各電極を端から順に見ていったとき、向きが緩やかに次第に変化していてもよい。
また、各実施形態では周期パルス電源が発生する駆動電圧波形は図15に示すように正弦波またはそれに近似する波形であってもよい。このことにより電源回路を安価に構成することができる。また、気体の駆動力の変化が緩やかであるため、気体が流れる際の乱流の成分が抑えられ、流量を大きく確保できる。
図16は気体搬送装置の断面図であり、基本的な構造は図9に示したものと同様である。また、図17は図16に示した線状電極E1 ( 1 )〜E4 ( 4 )に電圧を印加したときの、絶縁体膜54から50μmだけ離れた位置での電界の二乗の分布を表す図である。各部の寸法は図16に示すとおりである。
31,51−誘電体基板
32,52−線状電極
33,53−引き出し電極
40−周期パルス電源
54−絶縁体膜
60−フード
61−発熱体
62−回路基板
70−フード
71−線状電極
81,82−誘電体基板
91,92−線状電極
101−誘電体基板
102−線状電極
200−筐体
201−冷却装置
Claims (12)
- 互いに平行または略平行に配列され、その並び順に一定相数nを周期として、当該周期毎に並列接続された複数の線状電極と、時間経過にともない、互いに一定の位相差で且つ同一パターンで電圧が周期的に変化するn相の駆動電圧を前記線状電極に印加する電源と、を備え、
前記線状電極に駆動電圧を印加することにより前記線状電極の近傍に不平等電界を生じさせ、かつ、前記線状電極に印加する駆動電圧を十分に小さい時間で切り換えることにより前記線状電極の並び方向に前記気体を搬送するようにした気体搬送装置。 - 互いに平行または略平行に配列され、その並び順に一定相数nを周期として、当該周期毎に並列接続された複数の線状電極と、時間経過にともない、互いに一定の位相差で且つ同一パターンで電圧が周期的に変化するn相の駆動電圧を前記線状電極に印加する電源と、を備え、
前記線状電極に駆動電圧を印加することにより前記線状電極の近傍に不平等電界を生じさせるとともに気体の密度変化を起こさせ、かつ、前記線状電極に印加する駆動電圧を十分に小さい時間で切り換えることにより前記線状電極の並び方向に前記気体を搬送するようにした気体搬送装置。 - 前記線状電極に対して駆動電圧を印加したときの線状電極近傍の気体の密度分布の形成の時定数は、前記駆動電圧変化の周期を前記相数nで除した時間よりも小さいか同程度であり、且つ、前記駆動電圧変化のパターンが変化したときの前記密度分布の自然拡散の時定数は、前記駆動電圧変化の周期を前記相数nで除した時間よりも大きいか同程度である請求項1または2に記載の気体搬送装置。
- 前記n相の駆動電圧の時間波形は、各々が一定時間持続するステップパルスであり、順次循環的に出力されるものである請求項1、2または3に記載の気体搬送装置。
- 前記n相の駆動電圧の時間波形は、各々が正弦波であり、順次循環的に出力されるものである請求項1、2または3に記載の気体搬送装置。
- 前記複数の線状電極を誘電体または絶縁体の基板上に配置した請求項1〜5のいずれかに記載の気体搬送装置。
- 前記線状電極上に絶縁体膜を形成した請求項6に記載の気体搬送装置。
- 前記複数の線状電極が成す面を複数面備えた請求項1〜7のいずれかに記載の気体搬送装置。
- 前記複数の線状電極が成す2つの面同士が所定の間隙を介して対面配置した請求項8に記載の気体搬送装置。
- 前記複数の線状電極が形成された前記基板の表面に対向して前記気体が移動する空間を構成するフードを備えた請求項6〜9のいずれかに記載の気体搬送装置。
- 請求項6〜10のいずれかに記載の気体搬送装置の前記基板を発熱体に当接または近接させたことを特徴とする冷却装置取り付け構造。
- 請求項10に記載の気体搬送装置のフードを発熱体に当接させたことを特徴とする冷却装置取り付け構造。
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