JP2010177904A - 高周波増幅器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高周波増幅器を、分配回路12と、複数のトランジスタ15と、合成回路16と、分配回路12に接続され、各トランジスタ15に入力される信号を同相にする入力側位相調整線路6と、合成回路12に接続され、ループ回路に生じた不平衡モードを平衡モードにする出力側位相調整線路7とを備えるものとする。
【選択図】図1
Description
このため、複数のトランジスタを並列に接続して高出力化を実現した高周波増幅器がある。
このような高周波増幅器では、入力ポートから入力された信号を分配回路によって複数のトランジスタに分配し、複数のトランジスタのそれぞれによって増幅された信号を合成回路によって合成して出力ポートから出力するようになっている。
また、各トランジスタの特性(特に位相特性)や伝送線路(整合回路)の特性にはばらつきがある。
このため、複数のトランジスタを介して分配回路と合成回路とを接続することによって形成されるループ回路に不平衡モード(奇モード)が生じ、ループ回路における発振条件によってループ発振が生じてしまう。なお、ループ発振は、奇モード発振(ループ上のトランジスタ同士が逆相で動作している発振)ともいう。
また、ループ内に並列に抵抗を設け、ループ発振電力が抵抗で吸収されるようにして、ループ発振を抑え、増幅器の動作の安定化を図るようにしたものもある。
そこで、サイズが大きくならないようにしながら、確実にループ発振を抑制することができるようにしたい。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかる高周波増幅器について、図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる高周波増幅器は、複数のトランジスタ(増幅器)を並列に設け、これらのトランジスタからの出力を合成することによって高出力化を実現する高出力増幅器である。
本実施形態では、トランジスタ15は、4つのFET(セル)を備えるFETチップ(4セル合成チップ)である。
そして、各FETチップ15は、分配回路12に接続された入力側の導体パッド18、及び、合成回路16に接続された出力側の導体パッド19にワイヤボンディングされている。つまり、各FETチップ15は、入力側の導体パッド18を介して分配回路12に接続されており、出力側の導体パッド19を介して合成回路16に接続されている。
また、分配回路12及び合成回路16の回路パターン、及び、入力側及び出力側導体パッド18、19は、例えばアルミナなどの低損失の誘電体基板10上に、Au,Ag,Cuなどの良導体によって形成されている。
このような高周波増幅器では、入力側の端子(入力ポート;Port1)11から信号が入力され、分配回路12によって2つのFETチップ15に分配され、2つのFETチップ15のそれぞれに入力される。そして、2つのFETチップ15のそれぞれによって増幅され、それぞれのFETチップ15から出力される信号を合成回路16によって合成し、出力側の端子(出力ポート;Port2)17から出力するようになっている。
このため、FETチップ15の入出力インピーダンスに整合するように、入力側の導体パッド18、出力側の導体パッド19、分配回路12、合成回路16を用いてインピーダンス変換が行なわれるようにしている。
ここで、入力側位相調整線路6は、2つのトランジスタ15のそれぞれに入力される信号が同相になるように位相を調整するものである。つまり、入力側位相調整線路6は、各トランジスタ15に入力される信号の位相ズレが0になるように位相を調整するものである。
このような入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7を設けることによって、ループ発振を抑えることができ、過剰増幅を防止することができる。また、増幅したい周波数f0において、トランジスタ15の特性(特に位相特性)のバラツキなどを調整することができ、分配・合成損失を減らすことができる。
ここでは、入力ポート(Port1)及び出力ポート(Port2)に接続される入出力回路の特性インピーダンス(50Ω)に整合する50Ωの特性インピーダンスを持ち、10GHzで入力信号の位相に対して出力信号の位相が−90度ずれる伝送線路を形成する場合を例に挙げて説明する。
ここで、図3(B)中、実線Aは、周波数を100.0MHzから20.00GHzまで変化させた場合の入力ポート(Port1)と出力ポート(Port2)との間の伝送特性を示すSパラメータ[S(2,1)=通過特性の振幅/位相特性]を示している。そして、周波数が10GHzの場合のSパラメータは、図3(B)中、m7の地点であり、S(2,1)=1.000/−80.000である。これは、10GHzでロスはないが、位相が−80度ずれていることを示している。
これにより、10GHzで入力信号の位相に対して出力信号の位相が−90度ずれるようにすることができる。
ここで、図4(B)中、実線Aは、周波数を100.0MHzから20.00GHzまで変化させた場合の入力ポート(Port1)と出力ポート(Port2)との間の伝送特性を示すSパラメータ[S(2,1)=通過特性の振幅/位相特性]を示している。そして、周波数が10GHzの場合のSパラメータは、図4(B)中、m7の地点であり、S(2,1)=0.984/−90.314である。つまり、10GHzでわずかにロスがあるものの、位相が−90度ずれていることを示している。
また、本実施形態では、図1、図2に示すように、入力側位相調整線路6と出力側位相調整線路7とは、ループ回路の一の対角線上に位置するように設けられている。つまり、入力側位相調整線路6と出力側位相調整線路7とは、入力端子(Port1)11と出力端子(Port2)17とを結ぶ線に対して非対称な位置に設けられており、入出力側から見て非対称構造になっている。このため、基板の向きを考慮しなくて良くなるため、実装が容易になる。
具体的には、各トランジスタ15の入力側に、分配回路12との接続点(図2中、A点、C点)がショートになるように伝送線路5Aを介して入力側抵抗4Aを接続する。また、複数のトランジスタ15の出力側に、合成回路16との接続点(図2中、B点、D点)がショートになるように伝送線路5Bを介して出力側抵抗4Bを接続する。これにより、ループ回路に生じた不平衡モードを抵抗4A,4Bによって吸収することができ、ループ発振を抑制することができる。
しかしながら、抵抗4A,4Bを接続するための伝送線路5A,5Bが設計通りにならない場合、A−C間やB−D間の距離が大きい場合など、A点、B点、C点、D点がショート点にならない場合がある。この場合、ループ発振を抑制することができない。
なお、本実施形態では、分配回路12及び合成回路16のそれぞれに伝送線路5A,5Bを介して抵抗4A,4Bを接続するようにしているが、これに限られるものではなく、抵抗4A,4Bは接続しなくても良い。この場合も、各トランジスタ15の特性や伝送線路1,2の特性のばらつきによって生じるループ発振を抑制することができる。
また、3つの導体パッド20の一部(ここでは分配回路12から遠い側の2つ)の導体パッド20の相互間を、導体ペースト22(例えばAgなどの導電ペースト;電気良導体ペースト)によって接続している。
なお、ここでは、3つの導体パッド20の一部の導体パッド20の相互間を導体21によって接続することによって、出力側位相調整線路7を形成しているが、これに限られるものではない。どの導体パッド20までを合成回路16に接続するかによって出力側位相調整線路7の長さを任意に設定することができ、この長さを調整することで、複数(ここでは2つ)のトランジスタ15を介して分配回路12と合成回路16とを接続することによって形成されるループ回路に生じた不平衡モードが平衡モードになるように位相を調整することができる。このため、位相調整を行ないやすい。なお、合成回路16に接続されている導体パッド20が出力側位相調整線路(スタブ)7として機能し、接続されていない導体パッド20は出力側位相調整線路7としては機能しない。
また、例えばアイソレータを用いないで、分配回路12や合成回路16が形成されている基板10と同一の基板上に入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7を形成すれば良いため、低コスト化、小型化を図りながら、高出力増幅器を実現することができる。
例えば図6に示すように、ループ回路の両対角線上に導体パッド20を設けておき、いずれか一方の対角線上の導体パッド20のみを導体21,22によって接続することで、入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7を構成するようにしても良い。この場合、導体パッド20は、入力端子11と出力端子17とを結ぶ線に対して対称な位置に設けられており、対称構造になっている。これに対し、導体パッド20を導体21,22によって接続することによって形成された入力側位相調整線路6と出力側位相調整線路7とは、入力端子11と出力端子17とを結ぶ線に対して非対称な位置に設けられており、非対称構造になる。なお、この場合、導体21,22によって接続されない導体パッド20は、伝送線路(スタブ)としては機能しない。また、図6では、上述の実施形態(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。さらに、図6では、伝送線路5A,5B及び抵抗4A,4Bを含む抵抗回路3A,3Bを設けない場合の構成例を示している。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる高周波増幅器について、図7を参照しながら説明する。
つまり、本高周波増幅器では、図7に示すように、入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7は、ループ回路の共振波長λの1/4の長さLを有するオープンスタブ(λ/4オープンスタブ)23である。なお、図7では、上述の第1実施形態[図1参照]と同一のものには同一の符号を付している。
したがって、本実施形態にかかる高周波増幅器によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、サイズが大きくならないようにしながら、確実にループ発振を抑制することができるという利点がある。
また、上述の実施形態では、入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7をλ/4オープンスタブ23としているが、これに限られるものではない。
この場合、上述の実施形態の場合と同様に、ループ回路の共振波長λを予め求めておく必要がある。そして、入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7を、ループ回路の共振波長λの1/2の長さL1を有し、先端がグランドに接続された先端短絡の伝送線路(スタブ)とする。これにより、ループ発振をより抑えることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかる高周波増幅器について、図9を参照しながら説明する。
このため、本高周波増幅器では、上述の第1実施形態の高周波増幅器を構成する分配回路12の入力端子11に他の分配回路26(入力端子28を含む)が接続されている。また、上述の第1実施形態の高周波増幅器を構成する合成回路16の出力端子17に他の合成回路27(出力端子29を含む)が接続されている。つまり、本高周波増幅器は、分配回路として複数の分配回路12,26を備え、合成回路として複数の合成回路16,27を備える。
この場合、複数(ここでは4つ)のトランジスタ15を介して分配回路12,26と合成回路16,27とを接続することによって形成されるループ回路として、3つのループ回路が形成されることになる。このため、各ループ回路の対角線上に位置するように、それぞれのループ回路に入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7が設けられることになる。これにより、各ループ回路におけるループ発振を抑制することができる。
このため、先に、外側の大きいループ回路でループ発振が起こらないように、他の分配回路26及び他の合成回路27に設けられる入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7の長さの調整を行なうことになる。その後、内側の小さいループ回路の分配回路12及び合成回路16に設けられる入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7の長さの調整を行なうことになる。このような調整段階において、どのループ回路においてループ発振が起こっているかを特定することができる。これにより、例えばトランジスタの特性にばらつきがあることがわかり、トランジスタを取り替える等の対応をとることが可能となる。
したがって、本実施形態にかかる高周波増幅器によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、サイズが大きくならないようにしながら、確実にループ発振を抑制することができるという利点がある。
[その他]
なお、上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態では、それぞれ独立に説明しているが、これらの実施形態の構成を任意に組み合わせても良い。つまり、例えば、上述の第1実施形態の構成において、入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7のいずれか一方の構成を、上述の第2実施形態の構成又は上述の第3実施形態の構成に代えても良い。また、例えば、上述の第2実施形態の構成において、入力側位相調整線路6及び出力側位相調整線路7のいずれか一方の構成を、上述の第3実施形態の構成に代えても良い。
3A,3B 抵抗回路
4A,4B 抵抗
5A,5B 伝送線路
6 入力側位相調整線路
7 出力側位相調整線路
8 抵抗体
10 誘電体基板
11 入力端子(入力ポート)
12 分配回路
13A,13B,13C ワイヤ
14 グランド端子
15 トランジスタ
16 合成回路
17 出力端子(出力ポート)
18 入力側の導体パッド
19 出力側の導体パッド
20 導体パッド
21 ワイヤ(導体)
22 導体ペースト(導体)
23 オープンスタブ(λ/4オープンスタブ)
24 ショートスタブ(λ/2ショートスタブ)
25 キャパシタ(チップコンデンサ)
26 他の分配回路
27 他の合成回路
28 入力端子
29 出力端子
Claims (5)
- 入力信号を分配する分配回路と、
前記分配回路によって分配された信号を増幅する複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタによって増幅された信号を合成する合成回路と、
前記分配回路に接続され、前記複数のトランジスタのそれぞれに入力される信号が同相になるように位相を調整する入力側位相調整線路と、
前記合成回路に接続され、前記複数のトランジスタを介して前記分配回路と前記合成回路とを接続することによって形成されるループ回路に生じた不平衡モードが平衡モードになるように位相を調整する出力側位相調整線路とを備えることを特徴とする高周波増幅器。 - 前記入力側位相調整線路又は前記出力側位相調整線路は、複数の導体パッドと、前記分配回路又は前記合成回路との間及び前記複数の導体パッドの全部又は一部の導体パッドの相互間を接続する導体とによって構成されることを特徴とする、請求項1記載の高周波増幅器。
- 前記入力側位相調整線路又は前記出力側位相調整線路は、前記ループ回路の共振波長の1/4の長さを有するオープンスタブ、又は、前記ループ回路の共振波長の1/2の長さを有するショートスタブであることを特徴とする、請求項1記載の高周波増幅器。
- 前記複数のトランジスタの入力側に、前記分配回路との接続点がショートになるように伝送線路を介して接続された入力側抵抗と、
前記複数のトランジスタの出力側に、前記合成回路との接続点がショートになるように伝送線路を介して接続された出力側抵抗とを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波増幅器。 - 前記分配回路が、複数の分配回路であり、
前記合成回路が、複数の合成回路であり、
前記入力側位相調整線路は、前記複数の分配回路のそれぞれに設けられ、
前記出力側位相調整線路は、前記複数の合成回路のそれぞれに設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波増幅器。
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