JP2010177408A - 電子回路及び電子回路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱的なばらつきの問題が少なく、その回路を構成するトランジスタのチャネル領域の実行性能をできるだけ高くすることが可能な電子回路を提供する。
【解決手段】電子回路は、絶縁層と、グラフェン層と、回路層とを具備している。グラフェン層は、絶縁層上に設けられている。回路層は、グラフェン層上に設けられ、複数の電極及び複数の配線を備えている。複数の電極が接続するグラフェン層における複数の接続部の一部は、グラフェン層の他の部分よりも大きいひずみみを有する。
【選択図】図1
【解決手段】電子回路は、絶縁層と、グラフェン層と、回路層とを具備している。グラフェン層は、絶縁層上に設けられている。回路層は、グラフェン層上に設けられ、複数の電極及び複数の配線を備えている。複数の電極が接続するグラフェン層における複数の接続部の一部は、グラフェン層の他の部分よりも大きいひずみみを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子回路及び電子回路の製造方法に関し、特にグラフェンを用いた書き換え可能な電子回路及び電子回路の製造方法に関する。
近年の技術の発展に伴い、書き換え可能な電子回路が実用化されている。例えば、非特許文献1には、固体電解質のスイッチング素子を用いて書き換え可能な電子回路を作る方法が開示されている。このスイッチング素子は、固体電解質中の金属イオンの拡散が引き起こすスイッチのオン/オフを利用している。そして、この書き換え可能な電子回路の作成方法を集積回路の製造技術として応用することが、特許文献1に開示されている。金属イオンの拡散を利用するスイッチング素子の特徴は、印加電界により狙った箇所だけの金属イオン拡散を促し、電気伝導をその箇所に実現するブリッジを作成することである。
一方、キャリア移動度の著しく高い材料であるグラフェンを用いたチャネルを利用することで、従来のSiベースのトランジスタを上回る性能のトランジスタを作ろうとする研究が行われている。グラファイトの場合、バンドギャップがほとんどゼロなので、そのままでチャネル層に使用すると電圧をかけない場合でも電流が流れてしまい、電力消費量が著しく上がってしまう。このようなことを避けるには、ノーマリーオフのトランジスタを作成することが有効である。そのために、非特許文献2のようにグラフェンシートを数ナノメートル幅の短冊状に切り刻み、量子効果によりバンドギャップを持たせたものをデバイスのチャネル層に用いる試みがなされている。
関連する技術として、特許文献2に、グラフェントランジスタ及びその製造方法が開示されている。このグラフェントランジスタは、カーボンナノチューブの成長過程においてその先端に形成されたグラフェンを接着作用を有する絶縁体によって基板に貼り付け、グラフェンをチャネルとしてその一方の端部にソース電極を形成し且つ他方の端部にドレイン電極を形成するとともに、ゲート電極を設けたことを特徴とする。
また、特許文献3に、グラフェン集積回路が開示されている。このグラフェン集積回路は、シリコンカーバイド基板のシリコン面に形成されたグラフェンを含む非線形素子、例えばトランジスタを有する。
また、特許文献4に、カーボンナノチューブトランジスタアレイ及びその製造方法が開示されている。このカーボンナノチューブトランジスタアレイは、共通の一本の長尺成長半導体的カーボンナノチューブを区分した複数のカーボンナノチューブ要素のそれぞれに三端子電極を設けたことを特徴とする。
また、特許文献5に、半導体装置が開示されている。この半導体装置は、チャネル領域がカーボンナノチューブで形成された電界効果トランジスタを有する。この半導体装置は、カーボンナノチューブのカイラリティ(n,m)がpを整数としてn−m=3p+1で表され、カーボンナノチューブの軸と平行方向に引張りひずみが加わっている。この発明では、カーボンナノチューブを覆うように引っ張り応力を有する上層膜を堆積することにより、カーボンナノチューブ全体に引っ張り応力を加えている。
また、特許文献6に、折り曲げ特性に優れたグラファイトフィルムが開示されている。このグラファイトフィルムは、MIT(R1mm)が100,000回以上、密度が1.2g/cm3以上、面方向の熱拡散率が8.5×10−4m2/s以上であることを特徴とする。
また、特許文献7に、調整可能なCVDダイアモンド構造体が開示されている。この合成単結晶ダイアモンドを形成する方法は、下記の工程を含む。工程(a)は、1以上の不純物および1以上の同位炭素を組み込んだ第1合成ダイアモンド層を化学蒸着法により基板上に形成する工程である。工程(b)は、対応レベルの格子ひずみみを有する所定の格子定数を有する第1合成ダイアモンド層を形成するために、第1合成ダイアモンド層の形成中に1以上の同位炭素および1以上の不純物の濃度を選択する工程である。
T.Sakamoto,et al.,"Nanometer−scale switches using copper sulfide",Appl.Phys.Letters,82,3032(2003).
X.Li,et al.,"Chemically Derived Ultrasmooth Graphene Nanoribbon Semiconductors",Science 319,1229(2008).
C.Berger et al.,"Ultrathin Epitaxial Graphite:2D Electron Gas Properties and a Route toward Graphene−based Nanoelectronics",J.Phys.Chem.B108,19912(2004).
しかしながら、この非特許文献1及び特許文献1に開示された書き換え可能な電子回路の作成方法には、作成された回路パターンのばらつきが大きい、という問題点がある。その原因は、金属イオンの拡散に頼った配線に起因する。すなわち、金属イオンの拡散を用いてスイッチのオン/オフを行うという拡散現象による構造生成は、熱統計揺らぎの影響を受けることが必須であり、統計的なばらつきが必ず発生するからである。
また、Siを超える移動度を持たせたグラフェントランジスタの開発にも問題がある。例えば、非特許文献2では、幅の小さなリボンを作成することで、グラフェンにバンドギャップを持たせている。しかし、この方法では、リボンの端の構造が完全に制御できず、原子一列分のぎざぎざが発生してしまう。ぎざぎざが発生すると、ぎざぎざの部分によって電子が散乱されて、キャリア移動度が下がってしまう。加えて、ぎざぎざの発生の仕方にばらつきが生じてしまうので、一本一本のリボンの特性が互いに異なり、回路構成を設計することは困難である。
本発明の目的は、熱的なばらつきの問題が少なく、その回路を構成するトランジスタのチャネル部分の実行性能をできるだけ高くすることが可能な電子回路及び電子回路の製造方法を提供することにある。
本発明の電子回路は、絶縁層と、グラフェン層と、回路層とを具備している。グラフェン層は、絶縁層上に設けられている。回路層は、グラフェン層上に設けられ、複数の電極及び複数の配線を備えている。複数の電極が接続するグラフェン層における複数の接続部の一部は、グラフェン層の他の部分よりも大きいひずみみを有する。
また、本発明の電子回路の製造方法は、グラフェン層を絶縁層上に載せる工程と、複数の電極及び複数の配線を備える回路層をグラフェン層上に設ける工程とを具備している。回路層をグラフェン層上に設ける工程は、複数の電極の一部を前記グラフェン層に圧着する工程を含む。
本発明により、熱的なばらつきの問題が少なく、その回路を構成するトランジスタのチャネル部分の実行性能をできるだけ高くすることが可能な電子回路及び電子回路の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の電子回路及び電子回路の製造方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子回路の構成の一例を模式的に示す斜視図である。電子回路10は、絶縁層2と、グラフェン層1と、回路層7とを具備している。ただし、この図の例では、電子回路10としてトランジスタを示しているが、それに限定されるものではなく、グラフェン層1をチャネルとして用いていれば、他の回路素子であってもよい。また、この図の例では、電子回路10であるトランジスタに対応して、回路層7として電極3(3a、3b、3c)を示している。
絶縁層2は、絶縁基板、又は、半導体基板(回路素子や配線を含んでいてもよい)上に設けられた絶縁層である。絶縁層2は、格子定数や対称性がグラフェン層1のグラフェンと一致がない結晶又はアモルファス材料であり、大きくずれていることが好まししい。ここでは、例えば、格子定数に関しては、±10%程度以上のずれであり、そのずれを有していない場合には対称性に関して、グラフェンに特徴的な3回対称性を有さない結晶方位を表面にもつことが条件である。絶縁層2は、(110)面を表面とする窒化ガリウムや、酸化ケイ素に例示される。
絶縁層2の材料を、グラフェンと格子定数や対称性が異なる(好ましく大きくずれる)材料とするのは、以下の理由による。もし、絶縁層2の材料の格子定数や対称性がグラフェンに近いならば、グラフェンの電気伝導を担う電子の軌道と絶縁層2中の電子の軌道が混成を起こす可能性がある。そうなると、グラフェン中の電子の移動速度が低下してしまい、グラフェンを用いたトランジスタの性能が劣化するおそれがある。従って、グラフェンに対する絶縁層2の影響を回避するため、グラフェンと格子定数や対称性が異なる(好ましく大きくずれる)材料としている。
グラフェン層1は、絶縁層2上に設けられ、例えば平方インチ程度の面積を有している(インチ角である)。グラフェン層1は、グラフェンで形成されている。グラフェンは、ベンゼン環を2次元平面に敷き詰めた6員環シートであり、単原子層であっても、10原子層程度の複数原子層であってもよい。グラフェン層1は、ひずみ部4a、4b、及びチャネル領域8を有する。
ひずみ部4a、4bは、それぞれソース電極3aやドレイン電極3b(後述)がグラフェン層1に押し付けられ、接続された接続部11a、11b及びその近傍である。ソース電極3aやドレイン電極3bの押し付けにより、ひずみ部4a、4bには、ひずみが発生している。チャネル領域8は、ひずみ部4aとひずみ部4bとの間の領域であり、トランジスタのチャネルとして機能する。チャネル領域8のようなひずみ部4a、4b以外の部分は、ひずみが無いか、ひずみが有ったとしても少なくともひずみ部4a、4bのひずみよりも小さい。
回路層7は、金属製の導体の電極3であるソース電極3a、ドレイン電極3b、及びゲート電極3cを備える。金属は、Pt、Au、Ag、Cu、Alのような配線に用いられる金属に例示される。ソース電極3aは、接続部11aの位置でグラフェン層1に押し付けられて接続している。トランジスタのソースとして機能する。ドレイン電極3bは、接続部11bの位置でグラフェン層1に押し付けられて接続している。トランジスタのドレインとして機能する。接続点11a(ソース電極3a)と接続点11b(ドレイン電極3b)との距離d1は、トランジスタに要求される諸特性に基づいて設定され、例えば1nm以上、10nm以下程度である。
ゲート電極3cは、ソース電極3aとドレイン電極3bとの間であって、チャネル領域8の直上の位置に、グラフェン層1から離れて設けられ設けられている。ゲート電極3cはチャネル領域8から所定の距離d2だけ離れて設けられているので、チャネル領域8にはひずみが生じていない。距離d2は、ゲート電極3cがチャネル領域8に所望の電界を生じさせ得る距離であり、例えば2nmより大きく、数10nm以下程度である。距離d2を2nm以下にするとトンネル電流がゲートを通して流れ(これをリーク電流と呼ぶ)、発熱などのエネルギーロスの原因となるので好ましくない。
この電子回路10では、グラフェン層1の上部から電極3(ソース電極3a、ドレイン電極3b)を圧着することにより、グラフェン層1に局所的なひずみ(ひずみ部4a、4b)を発生させている。このことにより、電極3(ソース電極3a、ドレイン電極3b)の直下の局所的な部分(ひずみ部4a、4b)においてのみ、ひずみの大きさに対応したグラフェン層1はバンドギャップを有することになる。そのバンドギャップにより、電圧をかけなければソース電極3aとドレイン電極3bとの間に電流が流れなくなり、ノーマリーオフの状態を実現することができる。
ここで、ひずみの大きさは、所望のバンドギャップの大きさに基づいて設定される。そのバンドギャップは、例えば、電子回路10の動作温度でノーマリーオフが実現可能な程度に広く、現実的なゲート電圧でオンオフ可能となるように狭いことが好ましい。例えば、動作温度が常温(約300K)の場合、バンドギャップは、0.5eV以上、2.0eV以下程度であり、対応するひずみの大きさは、3%以上、10%以下程度である。
ひずみ部4a、4bでの局所的なひずみの発生のせいで、グラフェン層1における電子の移動度は、例えば2000cm2/Vs程度のように理論値(約200,000cm2/Vs)より下がることが考えられる。しかし、この移動度の低下を補うために、ソース電極3aとドレイン電極3bとの間の距離d1を、例えば、10nm程度に設定すればよい。このように距離d1を10nm以下にすることで、動作周波数を高くすることが可能となる。例えば、距離d1を10nm以下とする設計では、動作周波数として100GHzをクリアすることができている。ただし、ひずみ部4a、4bにおける電子の移動度を、チャネル領域8に印加する電圧0.1V、チャネル長さ10nmで割って得た時間より推定したものであり、実際の値よりもマージンを取って一桁低めに設定された周波数である。
図2A及び図2Bは、本発明の実施の形態に係るグラフェン層の状態の一例を示す模式図である。ここではグラフェン層1における単原子層のグラフェンを示している。ただし、図2Aはひずみ部4a、4b以外のグラフェンを示し、図2Bはひずみ部4a、4bのグラフェンを示している。また、球は炭素原子Cを、棒は炭素原子同士の結合をそれぞれ示している。
図2Aに示されるように、グラフェンはベンゼン環を2次元平面に敷き詰めた6員環シートであり、通常は平坦な構造を有している。この場合、バンドギャップはゼロである。一方、図2Bに示されるように、グラフェンに電極3が圧着されると、グラフェンの原子位置が変化し、炭素原子同士の結合角が変化してしまっている。このとき、電子構造的では、炭素原子同士を結んでいる電子軌道がsp2混成型からsp3混成型に変化し、局所的にバンドギャップが発生する。図1に示す例では、ひずみ部4a、4bにおいて、図2Bに示すような変化が生じ、例えば約0.5eVのバンドギャップが生じる。圧着している電極3を遠ざけると、グラフェンはまたもとの平坦な構造(図2A)に戻ることができる。このように、可逆的にグラフェンの構造を変えることができるためには、圧着の力は一つの回路素子(例示:一つのトランジスタ)あたり2.5〜10nN(ナノニュートン)程度が好ましく、5nN(ナノニュートン)程度がより好ましい。
図3A及び図3Bは、本発明の実施の形態に係る電子回路の構成の一例を模式的に示す斜視図である。ただし、図3Aは回路層7に含まれる圧着素子5の構成を示し、図3Bは電子回路10を含む電子回路20を示している。図3Aに示すように、圧着素子5は、三つの電極3を底面に、複数の端子(図示されず)を底面とは異なる他の面にそれぞれ備えている。三つの電極3は、精密に位置が特定(固定)されたソース電極3a、ドレイン電極3b、及びゲート電極3cである。複数の端子は、各電極3を配線6に接続させる。配線6は、圧着素子5同士や、圧着同士5と他の回路素子(図示されず)とを接続する。配線6は、Pt、Au、Ag、Cu、Alのような金属に例示される。この図の例では、圧着素子5について主に一本の配線6が他の圧着素子5に接続されているが、これは配線のイメージを模式的に示すためである。通常では例えばソース電極3a用、ドレイン電極3b用、及びゲート電極3c用の配線6がそれぞれ一つの圧着素子5に接続され、それぞれ他の圧着素子5や他の回路素子に接続される。なお、グラフェン層1上に設けられ複数の電極3を含む複数の圧着素子5と、それら同士を接続する複数の配線6とは、回路層7に含まれている。
図3Bに示すように、圧着素子5がグラフェン層1(インチ角のグラフェンシート)上のあちこちに配置(作成)され、設計された電子回路を実現するようにそれら圧着素子5が配線6でつながれている。この図の例では、実際の厳密な設計に従った電子回路20を表しているのではなく、模式的に概念を示している。それらの圧着素子5のうちのいくつかに機械的な力を加えてグラフェン層1に圧着させることにより、圧着素子5の直下の部分グラフェン領域9と圧着素子5とが協働して、電子回路10をトランジスタとして動作させることができる。
次に、本発明の実施の形態に係る電子回路の動作について説明する。図3Bに示す電子回路20における一つの電子回路10(トランジスタ)に着目する。その電子回路10(トランジスタ)における圧着素子5のソース電極3a、ドレイン電極3b、及びゲート電極3cには、配線6から所定のソース電圧、ドレイン電圧、及びゲート電圧が印加される。ソース電極3aとドレイン電極3bとの間には、ソース電圧とドレイン電圧との電圧差に対応する電流(電子)が流れる。このとき、ゲート電極3cのゲート電圧によりチャネル領域6近傍に発生する電界が、チャネル領域6を流れる電子の動きを妨げるように働けば、電子(電流)は流れずトランジスタはオフになる。一方、ゲート電極3cのゲート電圧によりチャネル領域6近傍に発生する電界が電子の動きを妨げないように働けば、又は電界が発生しなければ、電子(電流)は流れてトランジスタはオンになる。
次に、本発明の実施の形態に係る電子回路の製造方法について図面を参照して説明する。図4A〜図4Cは、本発明の実施の形態に係る電子回路の製造方法の工程の一例を模式的に示す斜視図である。
まず、図4Aに示すように、グラフェン層1として用いるグラフェンシートを1インチ角の大きさで形成する(ステップS1)。次に、図4Bに示すように、そのグラフェンシートをグラフェン層1として絶縁層2に付着させる(ステップS2)。このとき用いるグラフェンシートの形成方法としては、例えば、特許文献6(特開2008−69061号公報)に開示された製造方法を用いることができる。すなわち、ポリイミドフィルムに例示される高分子フィルムを積層した原料フィルム積層体を調整し、その原料フィルムを熱処理してグラファイトフィルム積層体を調整し、その後にグラファイトフィルム積層体に面状加圧を施すことにより、所望のグラファイトフィルム(グラフェンシート)を製造する。
なお、図4A及び図4Bに示す工程(ステップS1、S2)において、絶縁層2上に微量の触媒金属粒子を散布した後、メタンガスやエタンガスによるCVD法を用いて絶縁層2上にグラフェンシートをエピタキシャル成長させてもよい。あるいは、炭化珪素基板を酸化することによるシリコン原子除去により、基板表面にグラフェン層を生成することも可能である。この方法に関しては、非特許文献3(C.Berger et al.,J.Phys.Chem.B108,19912(2004))の“2.Results and Discussion”に記載の方法を用いることができる。
図4Bにおいて、既述のように、絶縁層2とグラフェン層1とは、格子定数及び対称性には一致がないことが好ましく、大きくずれていることがより好ましい。もし、絶縁層2の格子定数や対称性がグラフェン層1に近いならば、グラフェン層1の電気伝導を担う電子の軌道と絶縁層2中の電子の軌道とが混成を起こす可能性があり、電子の移動速度が低下しトランジスタとしての性能劣化のおそれがあるからである。
次に、図4Cに示すように、ソース電極3a、ドレイン電極3b、及びゲート電極3cの三つの電極3を備える圧着素子5をグラフェン層1上に並べる。そして、図3Bに示すように、所望の回路構成(設計した回路図どおりの構成)を成すように複数の圧着素子5同士(他の回路素子を含んでもよい)を配線6で配線する。その後、圧着素子5や配線6を含む回路層7をグラフェン層1に圧着する(ステップS3)。圧着力は、既述のように、ソース電極3a、ドレイン電極3b、及びゲート電極3cのトランジスタ(回路素子)一個あたり5nN程度となるのが好ましい。
グラフェン層1の狙った位置に、圧着素子5(三端子を持った金属素子)を圧着とすることにより、所望のひずみを有するひずみ部4a、4bを形成することができる。それにより、それらの場所に局所的なバンドギャップを持たせることができる。このとき、他の部分(例示:ソース電極3aとドレイン電極3bとの間のチャネル領域8の)それらの場所を用いてトランジスタ動作をさせれば、バンドギャップの存在により、ノーマリーオフのモードを実現させることができる。
また、本実施の形態では常温下での、電極3の圧着という機械的な工程を採用しているので、熱揺らぎの影響からは自由である。従って、圧着具合のばらつき以外の、熱揺らぎによるばらつきなどの影響が少ないという利点が得られる。
グラフェンは材料として、圧着を開放すればもとの平坦な層に完全に戻れる性質を有している。そのため、この性質を利用して、一度圧着した電極3(圧着素子5)を取り外し、別の部位に電極3(圧着素子5)に圧着し直し、トランジスタ構造を作り直すことができる。このことを利用して、電子回路20の書き換えを行うことが可能である。それを示しているのが図5A及び図5Bである。
図5A及び図5Bは、本発明の実施の形態に係る電子回路の構成の一例を模式的に示す斜視図である。ただし、図5Aの電子回路20は、図3の電子回路20と同じである。
図5Aにおいて、回路層7(圧着素子5及び配線6)を取り除く(ステップS4)。それにより、グラフェン層1の圧着された部分の圧力が開放される。その結果、グラフェン層1において、圧着されてひずみを有していた部分を、ひずみを有さない元の平坦な部分に戻すことができる。これは、一度作成した電子回路パターンを消去し、新たに設計された電子回路パターンに書き直すために行う工程である。
その後、図5Bに示すように、新たに設計された電子回路パターンに基づいて、上記のステップS3を実行し、電子回路20aを新たに作成する(ステップS5)。
その後、図5Bに示すように、新たに設計された電子回路パターンに基づいて、上記のステップS3を実行し、電子回路20aを新たに作成する(ステップS5)。
上記のステップS4、S5に示す工程は、グラフェン層1に対しては圧着と開放を繰り返すだけなので、このような電子回路の再構成は何度でもやり直しが可能である。従って、電子回路における書き換え性能を格段に向上させることが可能となる。
上記実施の形態において、電子回路20、20aの構成要素であるトランジスタ(電子回路10)の集積度が高い場合、例えばゲート電極3cからの電界の漏れが発生する可能性が考えられる。それに対応するために、隣接するトランジスタの間を金属でシールドする方法が考えられる。図6は、本発明の実施の形態に係る電子回路の他の構成の一例を模式的に示す斜視図である。この電子回路20bは、電子回路10である隣接するトランジスタの間を、アース(図示されず)に接地されたシールド12で遮蔽している。その結果、トランジスタから隣接するトランジスタへの電界の染み出しを防止することができ、電子回路20bの集積度を高めることができる。
本発明は以下の効果を得ることができる。第1の効果は、構造復元性の高いグラフェンをチャネル領域に利用とすることで、書き換えを可能にした電子回路を提供することができる点である。第2の効果は、グラフェン本来のキャリア移動度よりは下がるものの、通常の半導体のチャネル領域よりは十分に高いキャリア移動度が得られるので、消費電力が少なく、動作周波数が高い電子回路を実現することができる点である。
本発明の活用例として、製鉄所や宇宙などの苛酷な環境で用いる電子機器に挙げられる。チャネル領域を融点の高いグラフェンにしていること、回路を再構成しやすいことから、この電子回路は高耐性、高修復性を有しているからである。
本発明により、熱的なばらつきの問題がなく、そのトランジスタのチャネル領域の実行性能をできるだけ高くすることが可能な電子回路及び電子回路の製造方法を提供することができる。ただし、実行性能が高いとは、移動度が下がってしまった場合であっても、チャネル長を短縮し、低い動作電圧で十分高い周波数動作を可能にする構造を実現することである。例えば、本発明では、動作電圧0.1V以下、動作周波数100GHzを容易に達成するトランジスタを作成することが可能となる。
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
1 グラフェン層
2 絶縁層
3 電極
3a ソース電極
3b ドレイン電極
3c ゲート電極
4、4a、4b ひずみ部
5 圧着素子
6 配線
7 回路層
8 チャネル領域
9 部分グラフェン領域
10、20、20a、20b 電子回路
11、11a、11b 接続部
12 シールド
2 絶縁層
3 電極
3a ソース電極
3b ドレイン電極
3c ゲート電極
4、4a、4b ひずみ部
5 圧着素子
6 配線
7 回路層
8 チャネル領域
9 部分グラフェン領域
10、20、20a、20b 電子回路
11、11a、11b 接続部
12 シールド
Claims (8)
- 絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられたグラフェン層と、
前記グラフェン層上に設けられ、複数の電極及び複数の配線を備える回路層と
を具備し、
前記複数の電極が接続する前記グラフェン層における複数の接続部の一部は、前記グラフェン層の他の部分よりも大きいひずみみを有する
電子回路。 - 請求項1に記載の電子回路において、
前記グラフェン層は、インチ角である
電子回路。 - 請求項1に記載の電子回路において、
前記複数の電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を含み、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極が接続する前記グラフェン層における接続部は、前記他の部分よりも大きいひずみみを有する
電子回路。 - 請求項3に記載の電子回路において、
前記ソース電極、前記ドレイン電極、及び前記ゲート電極は、前記複数の配線に含まれる配線により他の回路素子に接続されている
電子回路。 - 請求項3又は4に記載の電子回路において、
前記ゲート電極は、前記グラフェン層から離れて近傍に設けられている
電子回路。 - グラフェン層を絶縁層上に載せる工程と、
複数の電極及び複数の配線を備える回路層を前記グラフェン層上に設ける工程と
を具備し、
前記回路層を前記グラフェン層上に設ける工程は、
前記複数の電極の一部を前記グラフェン層に圧着する工程を含む
電子回路の製造方法。 - 請求項6に記載の電子回路の製造方法において、
前記圧着された前記回路層を前記グラフェン層より引き剥がす工程と、
前記数の電極及び前記複数の配線を異なる構成にした他の回路層を、再び、前記グラフェン層に圧着する工程と
を更に具備する
電子回路の製造方法。 - 請求項6に記載の電子回路の製造方法において、
前記複数の電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を含み、
前記複数の電極の一部を前記グラフェン層に圧着する工程は、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極が接続する前記グラフェン層における接続部が、前記他の部分よりも大きいひずみみを有するように、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を圧着する工程を含む
電子回路の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2009017742A Withdrawn JP2010177408A (ja) | 2009-01-29 | 2009-01-29 | 電子回路及び電子回路の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010177408A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8796741B2 (en) | 2011-10-04 | 2014-08-05 | Qualcomm Incorporated | Semiconductor device and methods of making semiconductor device using graphene |
-
2009
- 2009-01-29 JP JP2009017742A patent/JP2010177408A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8796741B2 (en) | 2011-10-04 | 2014-08-05 | Qualcomm Incorporated | Semiconductor device and methods of making semiconductor device using graphene |
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Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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