JP2010175567A - 流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ストレーナの目詰まりを低減した流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置を提供する。
【解決手段】流体吸込み配管7に複数段のフィルタ16、17を設けた流体吸込み装置において、上流側の1段目のフィルタ16は大きな異物を除去し、2段目以降の各フィルタ17は前段のフィルタよりも小さい異物を除去する。
【選択図】図2
【解決手段】流体吸込み配管7に複数段のフィルタ16、17を設けた流体吸込み装置において、上流側の1段目のフィルタ16は大きな異物を除去し、2段目以降の各フィルタ17は前段のフィルタよりも小さい異物を除去する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ストレーナを介して流体を吸込む流体吸込み装置および前記流体吸込み装置を原子炉格納容器のサプレッションプール水の吸込みに適用した非常用炉心冷却装置に関する。
沸騰水型原子炉の原子炉格納容器は、原子炉圧力容器を収容するドライウェルと、プール水を貯溜するドーナツ形のサプレッションチェンバとを備えている。ドライウェルとサプレッションチェンバはベント管で連通しており、ベント管の下端の吹出し部はプール水の水面下にある。原子炉圧力容器には各種の一次系配管が接続され、これらの配管は保温材に覆われている。また、原子炉圧力容器は内部に炉心を擁している。さらに、一次系配管がドライウェル内で破断する事象を想定して、その場合にプール水を炉心に供給するための非常用炉心冷却系を備えている。サプレッションチェンバのプール水中には、非常用炉心冷却系のポンプ吸込み部に異物が混入するのを避けるためにストレーナが設けられている。
このような原子力プラントにおいて一次系配管が破断した場合は、その保温材および保温材を保護している板金、配管内の錆などが破砕して、その破片がベント管を通ってサプレッションチェンバのプール水に入ることが考えられる。その場合、錆等の破片が非常用炉心冷却系のポンプ吸込みストレーナに吸い寄せられてストレーナの目詰まりを起こす可能性がある。従来の原子力プラントでは、ストレーナの目詰まりを防ぐために、ストレーナの表面積を大きくしたり(特許文献1)、金属反射型保温材のような破損しにくい保温材を採用することが考えられてきた(特許文献2)。しかしそのような対応は建設費の増大を招き、また、小口径配管には破損しにくい保温材の採用は困難である。
この発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ストレーナの目詰まりを低減した流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の流体吸込み装置は、流体吸込み配管に複数段のフィルタを設けた流体吸込み装置において、上流側の1段目のフィルタは大きな異物を除去し、2段目以降の各フィルタは前段のフィルタよりも小さい異物を除去することを特徴とする。
また本発明の非常用炉心冷却装置は、本発明の流体吸込み装置を、原子炉格納容器のサプレッションプール水を原子炉圧力容器内に供給する非常用炉心冷却系配管に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、フィルタからなるストレーナの目詰まりを低減した流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置を提供することができる。
以下、本発明の第1ないし第6の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置を備えた原子力プラントを示す図であり、図2はその要部を詳細に示す図である。すなわち、図1および図2(a)に示すように、サプレッションチェンバ1には流体であるサプレッションプール水2が満たされており、サプレッションチェンバ1の底部にはストレーナ3が設置されており、このストレーナ3は非常用炉心冷却系配管7で非常用炉心冷却水ポンプ6に接続されている。非常用炉心冷却水ポンプ6の吐出側は非常用炉心冷却系配管7により原子炉圧力容器52に接続されている。非常用炉心冷却系配管7には流量計8が設けられ、また目詰まり防止装置を構成するストレーナメンテナンス用配管4が分岐接続されており、ストレーナメンテナンス用配管4にはバルブ5が設けられている。ストレーナメンテナンス用配管4は、ストレーナ3の外表面まで延びている。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置を備えた原子力プラントを示す図であり、図2はその要部を詳細に示す図である。すなわち、図1および図2(a)に示すように、サプレッションチェンバ1には流体であるサプレッションプール水2が満たされており、サプレッションチェンバ1の底部にはストレーナ3が設置されており、このストレーナ3は非常用炉心冷却系配管7で非常用炉心冷却水ポンプ6に接続されている。非常用炉心冷却水ポンプ6の吐出側は非常用炉心冷却系配管7により原子炉圧力容器52に接続されている。非常用炉心冷却系配管7には流量計8が設けられ、また目詰まり防止装置を構成するストレーナメンテナンス用配管4が分岐接続されており、ストレーナメンテナンス用配管4にはバルブ5が設けられている。ストレーナメンテナンス用配管4は、ストレーナ3の外表面まで延びている。
図2(b)は、ストレーナ3部分の軸方向の断面図を示し、図2(c)は軸に直角な方向の断面図を示す。ストレーナ3の先端に設けられたストレーナメッシュ9の外表面と対向する位置のストレーナメンテナンス用配管4には、ストレーナメッシュ9の外表面に向けて複数個の開口部が設けられている。
非常用炉心冷却水ポンプ6を起動し、ストレーナメッシュ9を通してサプレッションプール水2をストレーナ3内部に吸引する。吸引された冷却水42は非常用炉心冷却水配管7に導かれる。このとき、ストレーナメッシュ9の外表面には、サプレッションプール水2内に浮遊していた異物11が時間と共に捕捉され目詰まりを起こし、非常用炉心冷却水ポンプ6の流量が低下する。流量が低下したことを流量計8によって検知し、バルブ5を開いてストレーナメンテナンス用配管4に洗浄水43を供給し、ストレーナメッシュ9の表面に付着した異物11をストレーナメンテナンス用配管4に開けられた開口部からの噴流10で除去する。この動作で、非常用炉心冷却水ポンプ6の流量が正常値に回復したらバルブ5を閉じる。
本実施の形態は、図3(a)に示すように、ストレーナメンテナンス用配管4を複数本配置した構成としてもよい。この構成によれば、ストレーナメンテナンス用配管4からの噴流10の面積が増大し、異物11の除去効果を高めることができる。
また本実施の形態は、図3(b)に示すように、ストレーナメンテナンス用配管4に接続されストレーナメッシュ9の周方向に延びる曲管12を設けた構成としてもよい。曲管12はストレーナメッシュ9の軸方向に複数個設ける。このような構成にすることにより、ストレーナメッシュ9の表面に多量の噴流10を吹き付けることができ、異物11の除去効果を高めることができる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。本実施の形態の流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置は、ストレーナメンテナンス用配管4に接続された内側洗浄管13をストレーナメッシュ9の内側に配置した構成である。内側洗浄管13には複数の開口がストレーナメッシュ9向かって設けられており、それらの開口から噴出する噴流10により、ストレーナメッシュ9の内面に付着した異物11を除去する。
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。本実施の形態の流体吸込み装置および非常用炉心冷却装置は、ストレーナメンテナンス用配管4に接続された内側洗浄管13をストレーナメッシュ9の内側に配置した構成である。内側洗浄管13には複数の開口がストレーナメッシュ9向かって設けられており、それらの開口から噴出する噴流10により、ストレーナメッシュ9の内面に付着した異物11を除去する。
図5(a)は、本実施の形態の他の実施例を示す図であり、内側洗浄管13を複数本配置した構成である。このような構成により、内側洗浄管13からの噴流10の面積が増大し、異物の除去を効率よく行うことができる。
図5(b)は、本実施の形態の更に他の実施例を示す図である。すなわち、内側洗浄管13に接続されストレーナメッシュ9の周方向に延びる曲管14を設けた構成である。曲管14は、ストレーナメッシュ9の軸方向に複数個設ける。このような構成にすることにより、ストレーナメッシュ9の表面に多量の噴流10を吹き付けることができ、異物の除去効果を高めることができる。
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態を示す図である。すなわち、非常用炉心冷却系配管7の先端のストレーナメッシュ9の外表面に、目詰まり防止装置を構成する突起物15を配置した構成である。サプレッションチェンバ1内に浮遊する異物には、大小異なる形状のものがある。従来技術では、大きな形状の異物が付着すると、ストレーナメッシュ9を直接塞ぐことになり、有効なメッシュ面積が少なくなる。本実施の形態のように突起物15を設けると、大きな異物は、突起物15の先端で捕捉され、直接ストレーナメッシュ9を塞ぐことがなくなるので、ストレーナメッシュ9を有効に機能させることができる。小さな異物は、大きな異物の隙間を流れストレーナメッシュ9に捕捉される。その結果、ストレーナメッシュ9の機能を長時間にわたって維持することができる。
図6は、本発明の第3の実施の形態を示す図である。すなわち、非常用炉心冷却系配管7の先端のストレーナメッシュ9の外表面に、目詰まり防止装置を構成する突起物15を配置した構成である。サプレッションチェンバ1内に浮遊する異物には、大小異なる形状のものがある。従来技術では、大きな形状の異物が付着すると、ストレーナメッシュ9を直接塞ぐことになり、有効なメッシュ面積が少なくなる。本実施の形態のように突起物15を設けると、大きな異物は、突起物15の先端で捕捉され、直接ストレーナメッシュ9を塞ぐことがなくなるので、ストレーナメッシュ9を有効に機能させることができる。小さな異物は、大きな異物の隙間を流れストレーナメッシュ9に捕捉される。その結果、ストレーナメッシュ9の機能を長時間にわたって維持することができる。
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態を示す図である。
前記のように、サプレッションチェンバ1と非常用炉心冷却水ポンプ6が非常用炉心冷却系配管7で連結されているが、通常、この非常用炉心冷却系配管7にはメッシュを設けたフィルタにより異物を除去している。ただし、サプレッションチェンバ1内の異物の大きさは大きなものも小さいものもある。メッシュは小さな異物を除去するには適しているが、大きな異物の場合、メッシュの表面を塞いでしまい、直ぐに所定の流量が得られなくなってしまう。
図7は、本発明の第4の実施の形態を示す図である。
前記のように、サプレッションチェンバ1と非常用炉心冷却水ポンプ6が非常用炉心冷却系配管7で連結されているが、通常、この非常用炉心冷却系配管7にはメッシュを設けたフィルタにより異物を除去している。ただし、サプレッションチェンバ1内の異物の大きさは大きなものも小さいものもある。メッシュは小さな異物を除去するには適しているが、大きな異物の場合、メッシュの表面を塞いでしまい、直ぐに所定の流量が得られなくなってしまう。
そこで、本実施の形態では、サイズの異なる異物を大きい方から段階的に除去する1段目フィルタ16および2段目フィルタ17を設けている。こうする事により、フィルタ16,17を洗浄する時間が短くてすむ利点を有している。
図8(a)は、大きな異物を除去する1段目フィルタ16の実施例を示す。すなわち、非常用炉心冷却系配管7に接続された入口配管19には、図示していないが、旋回流を起こす羽根が設置してあり、この羽根により生じた旋回流により発生した遠心力により質量の大きな異物18が外側に移動し出口配管20と入口配管19との間のギャプから捕捉ポケット21に捕捉される。一方、質量の小さな異物は、この1段目フィルタ16では除去できず、出口配管20から排出される。
質量の小さな異物を含んだ冷却水は、図8(b)に示す2段目フィルタ17に入る。このフィルタ17は、細かいメッシュなどで構成されたフィルタ素子22が設置されている。これにより、細かい異物が捕捉される。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態を図9を用いて説明する。本実施の形態の流体吸込み装置は、円筒形のストレーナ3と、目詰まり防止装置を構成するストレーナ上面洗浄部25とストレーナ側面洗浄部26とストレーナ洗浄部駆動用水車27を備え、非常用炉心冷却系配管7に接続されている。
本発明の第5の実施の形態を図9を用いて説明する。本実施の形態の流体吸込み装置は、円筒形のストレーナ3と、目詰まり防止装置を構成するストレーナ上面洗浄部25とストレーナ側面洗浄部26とストレーナ洗浄部駆動用水車27を備え、非常用炉心冷却系配管7に接続されている。
このように構成された本実施の形態において、ストレーナ3から非常用炉心冷却系配管7に流れる冷却水の流れ28によって、ストレーナ洗浄部駆動用水車27を駆動する。この駆動力29により、ストレーナ上面洗浄部25およびストレーナ側面洗浄部26を、ストレーナ3の表面に沿って回転させることにより、ストレーナ3の表面に付着した異物11を除去し、ストレーナ3の目詰まりを防止する。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態を図10を用いて説明する。本実施の形態の流体吸込み装置は、図10(a)に示すように、円筒形ストレーナ3と、非常用炉心冷却系配管7に接続された配水管32および逆洗給水管34と、配水管用水車33と、逆洗給水管用水車35と、駆動力伝達機構36と、配管切替板37とから構成される。配管切替板37には、図10(b)に示すように、配水管導水孔40と逆洗給水管導水孔41が設けられている。逆洗給水管34と配水管用水車33と逆洗給水管用水車35と駆動力伝達機構36と配管切替板37が目詰まり防止装置を構成している。
本発明の第6の実施の形態を図10を用いて説明する。本実施の形態の流体吸込み装置は、図10(a)に示すように、円筒形ストレーナ3と、非常用炉心冷却系配管7に接続された配水管32および逆洗給水管34と、配水管用水車33と、逆洗給水管用水車35と、駆動力伝達機構36と、配管切替板37とから構成される。配管切替板37には、図10(b)に示すように、配水管導水孔40と逆洗給水管導水孔41が設けられている。逆洗給水管34と配水管用水車33と逆洗給水管用水車35と駆動力伝達機構36と配管切替板37が目詰まり防止装置を構成している。
このように構成された本実施の形態の流体吸込み装置においては、通常運転時はストレーナ3から配水管32に流れる冷却水の流れ38によって、配水管用水車33を駆動する。この駆動力39により、配管切替板37を回転させる。通常時は配水管32の上には配管切替板37の配水管導水孔40が位置するとともに逆洗給水管34は配管切替板37によって塞がれている。配管切替板37が回転し、配管切替板37に設けられた逆洗給水管導水孔41が逆洗給水管34の上に位置すると、配水管32は配管切替板37によって塞がれ、逆洗給水管34から水が供給されることにより、ストレーナ3の逆洗が行われる。逆洗時においても逆洗給水管用水車35と駆動力伝達機構36によって、駆動力39は維持されるため、通常運転と逆洗を自動的かつ連続的に行うことができる。
以上、各実施の形態について、流体吸込み装置を原子炉格納容器のサプレッションプール水の吸込みのため非常用炉心冷却系に適用した場合について説明してきたが、本発明に係る流体吸込み装置はこうした用途に限定されず、広く流体を吸込み冷却用流体等として適用可能な装置、プラントに適用することができる。
1…サプレッションチェンバ、2…サプレッションプール水、3…ストレーナ、4…ストレーナメンテナンス用配管、5…バルブ、6…非常用炉心冷却水ポンプ、7…非常用炉心冷却系配管、8…流量計、9…ストレーナメッシュ、10…噴流、11…異物、12…曲管、13…内側洗浄管、14…曲管、15…突起物、16…1段目フィルタ、17…2段目フィルタ、18…質量の大きな異物、19…入口配管、20…出口配管、21…捕捉ポケット、22…フィルタ素子、25…ストレーナ上面洗浄部、26…ストレーナ側面洗浄部、27…ストレーナ洗浄部駆動用水車、28…冷却水の流れ、29…駆動力、32…配水管、33…配水管用水車、34…逆洗給水管、35…逆洗給水管用水車、36…駆動力伝達機構、37…配管切替板、38…冷却水の流れ、39…駆動力、40…配水管導水孔、41…逆洗給水管導水孔、42…冷却水の流れ、43…洗浄水の流れ、50…原子炉格納容器、51…ドライウェル、52…原子炉圧力容器、53…ベント管、54…熱交換器、55…格納容器冷却系配管。
Claims (5)
- 流体吸込み配管に複数段のフィルタを設けた流体吸込み装置において、上流側の1段目のフィルタは大きな異物を除去し、2段目以降の各フィルタは前段のフィルタよりも小さい異物を除去することを特徴とする流体吸込み装置。
- 前記1段目のフィルタは、内部に旋回流発生手段を有する入口配管と、前記入口配管から所定のギャップを介して設置された出口配管とを有することを特徴とする請求項1記載の流体吸込み装置。
- 前記旋回流発生手段は羽根であることを特徴とする請求項2記載の流体吸込み装置。
- 前記2段目以降のフィルタは、内部にメッシュからなるフィルタ素子を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の流体吸込み装置。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の流体吸込み装置を、原子炉格納容器のサプレッションプール水を原子炉圧力容器内に供給する非常用炉心冷却系配管に設けたことを特徴とする非常用炉心冷却装置。
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