JP2010174335A - 焼結鉱の低温還元粉化評価方法 - Google Patents

焼結鉱の低温還元粉化評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の還元粉化量評価方法では困難であった焼結鉱銘柄の差による粉化率の差を検出可能とし、さらに、操業に応じた試験条件の変更を行う必要のない、高炉内における焼結鉱の還元粉化量評価方法を提供する。
【解決手段】鉱石系原料である焼結鉱の高炉内における低温還元粉化の評価方法において、還元試験時に、COの配合量を10〜80vol%とし、かつ還元試験時の温度変化に応じて、0.4≦CO/(CO+CO2)≦0.9を満たすCO、CO2およびN2の混合ガスのガス比CO/(CO+CO2)を変化させる。
【選択図】図12

Description

本発明は、鉱石系原料である焼結鉱の高炉内における低温還元粉化の評価方法に関するものである。
鉄鉱石から銑鉄を取り出すための炉である高炉の安定操業において、シャフト部の通気確保はたいへん重要である。しかし、シャフト上部において、焼結鉱が低温還元粉化した場合、発生した粉がシャフト上部の通気を阻害する。
また、低温還元粉化した粉が高炉上部から高炉内熱保存帯入り口にかけて蓄積すると、シャフト部全体の通気が悪化する。その結果、吹き抜けなどの大きなトラブルが発生したり、シャフト下部のガス流れが偏流化したりして、シャフト効率が低下する、といった弊害があった。そのため、従来より、焼結鉱の低温還元粉化を管理する指標として、JIS-RDI試験(JIS M 8720:2001年、以下年は省略する)が使用されている。
上述したJIS-RDI試験の還元条件は、焼結鉱粒径:16〜19mm、焼結鉱重量:500g、還元温度:550℃、還元時間:30分、還元ガス組成は、CO:CO2:N2=30:0:70であり、CO:CO2に注目すれば、100:0である。その後、ドラム試験と呼ばれる所定径の筒による回転粉化が行われ、ついで篩分を行い、2.8mm角の網を通過したもの(以下-2.8mmとする)の割合を測定し、その値がJIS-RDI値となる。
ここで、JIS-RDI試験条件と高炉内温度・ガス測定結果を図1に示す。図中、●印の位置がJIS-RDIの温度および雰囲気である。
一方、(1)BF(RAR:445)は、還元剤比445kg/t・時の高炉内ガス組成、(2)BF(RAR:452)は、還元剤比452kg/t・時の高炉内ガス組成、(3)BF(RAR:486)は、還元剤比486kg/t・時の高炉内ガス組成、を表していて、いずれも雰囲気中にCO2が含まれている。同図から明らかなように、JIS-RDI試験のガス組成は、550℃における高炉内ガス組成と大きく異なっている。そのため、このJIS-RDI値では、正確に高炉内、とりわけ、高炉内熱保存帯入り口における低温還元粉化の量を評価することは難しいと考えられる。
そこで、特許文献1および2には、高炉操業計画や原料鉄鉱石の性状の変動に対応し、各々の変動に応じたJIS-RDI上限管理値の決定方法が提案されている。同じく、特許文献3には、高炉内の所定位置における温度およびガス組成を測定し、この温度およびガス組成の測定結果に基づいて高炉中のヘマタイトの減少量を求め、高炉内における焼結鉱の還元粉化量を推定する方法が提案されている。さらに、特許文献4には、微粉炭吹込み高炉操業条件下における焼結鉱の還元粉化温度域での滞留時間および雰囲気ガスの還元ポテンシャルを正確に評価することで、まず、還元試験条件を設定し、その条件を用いて低SiO2焼結鉱の還元粉化性を評価するという方法が示されている。
しかし、特許文献1および2では、焼結鉱銘柄による還元粉化量の差を検出することが非常に煩雑でかつ困難という問題があった。
また、特許文献3の高炉内の所定位置の温度およびガス組成に基づいて、ヘマタイト減少量を求める方法については、ある焼結鉱種における、各位置の実際の還元粉化量の大小は検出できるが、別の焼結鉱種による還元粉化量の差は推定できないという問題があった。
さらに、特許文献4の微粉炭吹込み高炉操業条件下における焼結鉱の還元粉化温度域での滞留時間および雰囲気ガスの還元ポテンシャルを正確に評価して還元条件を設定する方法は、その対象が低SiO2含有焼結鉱であり、高炉の操業条件もパラメータとして影響するため、結果として操業条件ごとの試験が必要となるという問題があった。
つまり、特許文献3および4に示された発明においては、各々の還元試験条件を、個別に設定しなければならず、高炉による連続製造時等では、適切なタイミングで、評価結果を反映させることができないという問題があった。
特開昭61−119626号公報 特開昭60−131931号公報 特開平1−142035号公報 特開平11−61284号公報
本発明は、上述した現状に鑑み、従来のJIS評価方法では困難であった焼結鉱銘柄の違いによる粉化率の差を検出可能とし、さらに、操業に応じた試験条件の変更を行う必要のない統一還元試験条件を用いて、高炉内における焼結鉱の還元粉化量、特に、従来、精度良く評価することが難しいとされた熱保存帯入り口における焼結鉱の還元粉化量をも、正確に評価することができる焼結鉱の低温還元粉化評価方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の解明経緯について説明する。
発明者らは、まず、JIS-RDI試験における還元試験の雰囲気がCOガスのみの還元であることに注目(図1参照)し、高炉内における環境に沿ったCO2を混合させて還元試験を行い、還元ガスが低温還元粉化におよぼす影響をCOガスのみの場合と比較した。この際、JIS-RDI値の異なる3種類の焼結鉱を用い、還元率が低温還元粉化に及ぼす影響も同時に確認している。図2に、この調査に用いた還元装置を示す。図中、1ははかり(balance)、2はエアシリンダ(Air Cylinder)、3はロードセル(Load cell)、4は排気ガス分析(Exhaust gas analysis)、5は熱電対(Thermocouple)、6は試料(Sample)、7はアルミナボール(Alumina ball)、8は電気ヒータ(Electric heater)である。
図3の「experiment」の欄にJIS-RDI試験条件と比較した本試験条件を示す。同図に示したとおり、還元管の径(Reduction tube diameter)、試料サイズ(Sample size)、試料質量(Sample mass)および還元温度(Reduction temperature)は、JIS-RDI試験条件に準拠した。また、雰囲気(Reduction gas composition)は、vol%でCO/N2=30/70およびCO/CO2/N2=22.5/22.5/55とし、時間(Reduction time)を15,30,39,57および90分の5水準とした。さらに、図4に本試験に用いた原料(sample)の性状を示す。
ついで、JIS-RDI試験条件に準じて、ドラムテストおよび篩分テストを行った。上記のCO2混合条件で得られた-2.8mm分率をRDI´値とする。
図5に還元率とRDI値およびRDI´値との関係を示す。
同図に示したとおり、同じ還元率でもCO+CO2還元の方がCO還元よりも還元粉化が促進されることが分かった。
そこで、還元後の焼結鉱を断面観察し、還元ガスが還元挙動に及ぼす影響について調査を行った。ここで、上記にて実施した試験条件は、ヘマタイトがマグネタイトに還元される領域である。また、ヘマタイトは、焼結鉱の組織中に出現する鉱物のうちで最も明るいため、ヘマタイトのみを撮像できるという特性がある。これを利用して、画像処理を行い、ヘマタイト組織を鮮明化して、ヘマタイトの存在位置を特定し、還元挙動を観察した。図6にCO還元後(還元率5.0%)およびCO+CO2還元後(還元率2.0%)の焼結鉱の断面組織中ヘマタイトを鮮明化した写真を示す。CO還元後の断面組織中ヘマタイトは、中心部に存在している。このことから、この還元反応は、局所的にトポケミカルに進行したものと考えられる。一方、CO+CO2還元後の断面組織中ヘマタイトは、全体的に分散して存在している。このことから、この還元反応は、広域的に均一反応して進行したものと考えられる。
以上の観察結果より、焼結鉱は、還元された周辺部にクラックが発生して粉化現象が生じると考えると、CO還元の場合は、局所的な還元しかなされず、CO+CO2還元の場合は、広域的に還元反応が生じているために、CO還元に比べて粉化が促進されるものと考えられる。
この還元範囲の差は、CO還元とCO+CO2還元との還元反応の挙動が異なることを示唆しており、粉化の挙動が異なることにもつながっている。従って、高炉内の還元粉化を正しく評価するためには、高炉内条件に沿ったCO+CO2還元で行った方が有利であることが分かる。
次に、従来、とりわけ推定が難しいとされた高炉内熱保存帯入り口における焼結鉱の還元粉化挙動を調査するために、還元試験時のガス組成を、還元試験時の温度域ごとにガス組成を設定して行った。この設定は、高炉内の履歴を模擬するもので、図7に試験条件を示す。図8に実験試料の性状を示す。
到達還元温度は、JIS-RDI試験条件である550℃、一般的に還元粉化が終了すると考えられている700℃、および高炉の熱保存帯入口温度に相当する1000℃の3条件で行った。
ここで、低温還元粉化が起こる温度域の滞留時間が長くなるほど、低温還元粉化が促進されると言われており、本実験では、低温還元粉化が起こる温度域の500〜550℃の滞留時間を変更して、この滞留時間が還元粉化に及ぼす影響を調査した。図9に1000℃まで還元を行った場合の500〜550℃の滞留時間とRDI´の関係を示す。500〜550℃の滞留時間が10分までは滞留時間の増加とともに還元粉化が進行するが、滞留時間が10分以上になると還元粉化は一定となることが分かった。
上述した滞留時間と還元剤比(RAR)を考えると、500〜550℃の滞留時間10分は、RAR=465kg/tに相当する。従って、高炉の操業条件で、RAR>465kg/tの場合、RARは465kg/tまで低下すると共に還元粉化が促進されるが、RAR<465kg/tでは、RARの変化が生じないため、還元粉化量は一定になると推定される。
つまり、高炉内熱保存帯入り口において、低RARでの操業時の還元粉化量を正しく求めるためには、500〜550℃の滞留時間を10分程度とする必要があり、従って、全てのRARについて、その還元粉化量を、一律の条件で正しく求めるためには、500〜550℃の滞留時間を10分以上とすることが望ましいことが分かった。また、最終到達する還元粉化量を求めることで、焼結鉱銘柄の還元粉化量の大小も評価することができる。
次に、500〜550℃の滞留時間を10分に固定し、到達還元温度について調査した。図10に、到達還元温度とRDI´の関係を示す。還元温度が高くなると共に還元は進行する。一方、還元粉化は、700℃までは温度の上昇と共に還元粉化も進行するが、700℃を超えると還元粉化は飽和することが分かった。
この結果より、低温還元粉化評価では、還元温度の上昇と共にガス組成が変化し、500〜550℃の滞留時間を10分とする条件下で還元される場合、到達還元温度700℃で還元粉化が終了することが分かった。
また、図11に到達還元率とRDI´の関係を示す。到達還元率とRDI´も到達還元温度とRDI´の関係同様に、到達還元率6%のところで還元粉化の飽和現象が見られる。
従って、到達還元率を6%以上とすることで、高炉の熱保存帯入り口部における焼結鉱の還元粉化量を正しく判断できるものと考えられる。
以上のような知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、上記知見に基づく本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)鉱石系原料である焼結鉱の高炉内における低温還元粉化の評価方法において、該評価方法に用いる還元ガスとしてCO、CO2、およびN2からなる混合ガスを用い、上記COの配合量が10〜80vol%で、かつ上記COと上記CO2のガス比が0.4≦CO/(CO+CO2)≦0.9の範囲を満たしつつ、該評価方法における還元試験時の温度変化に応じて、上記のガス比を変化させることを特徴とする焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
(2)前記還元試験において、還元試験時の温度上昇に応じて、ガス比CO/(CO+CO2)を増大させることを特徴とする前記(1)に記載の焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
(3)前記高炉内における低温還元粉化の評価位置が、熱保存帯入り口であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の還元試験において、焼結鉱の到達還元温度を少なくとも700℃とし、かつ500〜550℃の範囲に10分以上保持することを特徴とする焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の還元試験において、焼結鉱の到達還元率を少なくとも6%とすることを特徴とする焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
本発明は、焼結鉱の低温還元粉化現象が終了するまで還元を行うため、実製造の高炉内の熱保存帯入口部における焼結鉱の低温還元粉化現象により生じる最終粉化量を、安定して、より正確に評価することができる。また、最終粉化量から焼結銘柄の品位差を検出することができる。さらに、焼結銘柄の如何にかかわらず共通の還元試験条件で済むので、評価作業の簡便化を図ることができる。
JIS-RDI試験条件と高炉内温度・ガス測定結果を、温度(Temperature)とCO/(CO+CO2)の関係で示した図である。 実験で使用した還元装置の模式図である。 実験{還元テスト(Reduction test)、ドラムテスト(Dram test)、篩テスト(screen test)} 条件を示した図である。 実験に使用した焼結鉱の性状を示した図である。 実験により得られた到達還元率(Reduction degree)と還元粉化量(RDI´)の関係を示した図である。 CO還元(Reduction )後およびCO+CO2還元(Reduction )後の焼結鉱断面組織中ヘマタイトを比較して示した図である。 熱保存帯入口部の還元粉化を評価する試験{還元テスト(Reduction test)、ドラムテスト(Dram test)、篩分テスト(screen test)}条件を示した図である。 熱保存帯入口部の還元粉化を評価する試験に使用した焼結鉱の性状を示した図である。 熱保存帯入口部の還元粉化を評価する試験で得られた1000℃まで還元を行った場合の500〜550℃滞留時間(holding time)と還元粉化量(RDI´)の関係を示した図である。 本発明による評価方法で得られた到達還元温度(Temperature)と還元粉化量(RDI´)の関係を示した図である。 本発明による評価方法で得られた到達還元率(Reduction degree)と還元粉化量(RDI´)の関係を示した図である。 JIS-RDI値および本発明により求めたRDI´値と、高炉内の各位置における圧損(TP)との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、JIS M 8720に示された低温還元粉化試験に準ずるものであるが、特に還元雰囲気を、COとN2からCO、CO2、およびN2の混合ガスに変更し、このガス比〔CO/(CO+CO2)〕を還元温度に応じて変化させることが本発明の最も重要なところである。
上記した混合ガス成分の内、基本成分であるCOの配合量は10〜80vol%とする。COが10vol%未満の場合は、混合ガスの還元力が小さく、試験時間が長時間となるからである。一方、80vol%を超えると、還元粉化の終了する還元率が高くなりすぎ、本発明の効果が薄れるからである。なお、COの範囲は好ましくは、20〜50vol%である。
次に、COとCO2について考える。COは、CO2と酸素を介して平衡状態を作る。従って、上記した3元系の混合ガス中の還元能力は、CO/(CO+CO2)に関係することが分かる。
そこで、本発明のCO/(CO+CO2)をパラメータとし、以下の試験条件で低温還元粉化試験を実施した。
本試験に用いる還元試験装置は、従来公知のJIS-RDI試験装置で良く、焼結鉱試料は、A:高RDI焼結鉱、B:中RDI焼結鉱、C:低 RDI焼結鉱、粒径:16〜20mm、重量:500g(=Winitial)の3種類を用いた。また、還元条件は、高炉の炉頂のガス組成を参考にN2:55vol%一定として、CO、CO2の値を種々に変化させ、また、還元温度は550℃、還元時間は30分とした。この時、CO/(CO+CO2)の値は、0.3〜1.0の範囲で0.1刻みで行った。ついでJIS M 8720に準拠した条件でドラムテストを行い、-2.8mmの粉率を求めた。試験結果を表1に示す。
同表に示した結果から、RDI値と実際の試料(RDI´)値とでは、値に差が有り、粉末の焼結鉱種の差による補正をしないと、実製造には使えないことが分かる。
さらに、CO/(CO+CO2)の値が0.4〜0.9の範囲であればRDI´値は、ガス組成によらず、ほぼ一定となっていることが分かる。また、CO/(CO+CO2)の値が0.5〜0.8の場合には、ばらつきがさらに小さいことが分かる。
以上の結果より、本発明のCO/(CO+CO2)の値は0.4〜0.9とした。より好ましい範囲は0.5〜0.8である。
本発明では、CO/(CO+CO2)の値を、還元温度の変化に応じて変化させている。その設定の基本は、高炉条件の模擬である。以下に具体的な温度変化手順を説明する。
本発明での温度の変化は、連続的でも段階的でもよいが、3〜5段階程度に上昇させることが、試験温度を安定化させる面から好適である。そこで、以下、3段階の温度領域に設定した場合について説明する。
最初の温度領域の開始温度は、200℃程度が好ましい、というのは、200℃未満は還元反応がほとんど起こらない領域だからである。ついで、最初の温度領域の終点は、550℃を超えた600〜800℃程度とするのがよい(これを第1ステップとする)。
次に、この終点を開始温度として、700〜900℃程度までを次領域とするのがよい(これを第2ステップとする)。最後の領域は、この終点を開始温度として最終到達温度までとするのがよい(これを第3ステップとする)。
このように、還元温度を段階的に変化させることにより、高炉の実操業に即したRDI´値を把握することができる。
なお、各々のCO/(CO+CO2)の値は、第1ステップが0.4〜0.6程度、第2ステップが0.6〜0.7程度、第3ステップが0.7〜0.9程度とするのが好適である。
本発明では、高炉内熱保存帯入り口の還元粉化量を求めるために、その還元粉化量を飽和させる必要があり、前述したとおり、この到達還元率は6%以上が望ましい。
到達還元率に到達する手段としては、焼結鋼中のT.FeとFeOの比が予め分かっているものはその値を使用すれば良く、分かっていない場合には、JIS M 8212「鉄鉱石−全鉄定量方法」:2005年、JIS M 8213「鉄鉱石−酸可溶性鉄 (II) 定量方法」:1995年等によって、焼結鋼中のT.FeとFeOの割合を測定し、還元率6%に到達する重量減少量(W6)を計算すれば良い。ついで、還元試験装置に、熱天秤等の試料重量測定器を設置する。還元試験中の焼結鉱重量がWinitial−W6となったところで、還元試験を終了すれば、安定して目標還元率6%を得ることができ、従来法で見られた還元不足による再試験を行う必要はなくなる。
本発明の還元温度の条件は、到達還元温度を少なくとも700℃、かつ500〜550℃の範囲を10分以上保持することが望ましい。前述したとおり、700℃に満たないと前記した還元粉化量に達しないおそれが出てくる。また、500〜550℃の範囲を10分以上保持しないと低RARでの操業時の還元粉化量が正しく評価できない。
また、還元時間については、特に制限はないが、上記の保持時間を含めて60分程度で十分である。
従来の評価指標であるJIS-RDI値および本発明により求めたRDI´値と、高炉内の各位置における圧損との関係を図12に示す。
図中(5)、(6)、(7)は、圧損を測定した位置であり、実際は、羽口からそれぞれ、17.68m、19.54m、21.08mの距離にある。また圧損は、高炉に標準設置されているシャフト圧力計を用いて測定を行った。
これらの試験に供した試料は、複数の実製造の焼結鉱を使用し、RDIは、JIS M 8720に従い、RDI´は、図7中の条件を使用し、特にCO/(CO+CO2)の値を、200〜800℃では0.5に、800〜900℃では0.6に、および900〜1000℃では0.72に変化させる条件で行った。また、高炉の主な操業条件は表2に示す。
図12に示したとおり、JIS-RDI試験で求めた還元粉化量と高炉内圧損の関係については、低JIS-RDI値側で還元粉化量と高炉内圧損の関係が一定となり、還元粉化量が高炉内通気性に及ぼす影響が明確に反映されていないことが分かる。
これに対し、本発明により得られたRDI´値は、高炉内のいずれの場所においても明確な相関が得られている。
また、還元粉化した焼結鉱粉がシャフト部の通気に及ぼす影響は下部ほど大きくなるため、シャフト下部における粉化量の推定はたいへん重要であるが、本発明により、シャフト下部、つまり高炉内熱保存帯入り口における還元粉化量を、高炉内環境を模擬し、正確に評価できることが可能となった。
本発明は、高炉内熱保存帯入り口における焼結鉱の還元粉化量についても、高炉内環境を模擬し、正確に評価できるため、本評価方法を高炉操業時の還元粉化量管理として適用することで、安定した高炉操業、ひいては、安定した焼結鉱の品質を確保することができる。
1 はかり
2 エアシリンダ
3 ロードセル
4 排気ガス分析
5 熱電対
6 試料
7 アルミナボール
8 電気ヒータ

Claims (5)

  1. 鉱石系原料である焼結鉱の高炉内における低温還元粉化の評価方法において、該評価方法に用いる還元ガスとしてCO、CO2、およびN2からなる混合ガスを用い、上記COの配合量が10〜80vol%で、かつ上記COと上記CO2のガス比が0.4≦CO/(CO+CO2)≦0.9の範囲を満たしつつ、該評価方法における還元試験時の温度変化に応じて、該ガス比を変化させることを特徴とする焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
  2. 前記還元試験において、還元試験時の温度上昇に応じて、ガス比CO/(CO+CO2)を増大させることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
  3. 前記高炉内における低温還元粉化の評価位置が、熱保存帯入り口であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の還元試験において、焼結鉱の到達還元温度を少なくとも700℃とし、かつ500〜550℃の範囲に10分以上保持することを特徴とする焼結鉱の低温還元粉化評価方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の還元試験において、焼結鉱の到達還元率を少なくとも6%とすることを特徴とする焼結鉱の低温還元粉化評価方法。

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