JP6331601B2 - 製鋼用転炉における吹錬制御方法 - Google Patents

製鋼用転炉における吹錬制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6331601B2
JP6331601B2 JP2014077270A JP2014077270A JP6331601B2 JP 6331601 B2 JP6331601 B2 JP 6331601B2 JP 2014077270 A JP2014077270 A JP 2014077270A JP 2014077270 A JP2014077270 A JP 2014077270A JP 6331601 B2 JP6331601 B2 JP 6331601B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
concentration
blowing
molten steel
oxygen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014077270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015196901A (ja
Inventor
哲平 鈴木
哲平 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2014077270A priority Critical patent/JP6331601B2/ja
Publication of JP2015196901A publication Critical patent/JP2015196901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6331601B2 publication Critical patent/JP6331601B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、製鋼用転炉における吹錬制御方法に関し、具体的には、転炉において酸素ガスを供給して吹錬を開始する前の諸々の関連データを用いて、吹錬末期の溶鋼中のC濃度を目標値に的中させるように、酸素供給量や冷却材使用量を調整して吹錬する、いわゆる静的吹錬制御方法における目標値への的中精度を向上する方法に関する。
転炉で溶銑を吹錬して溶鋼を製造する際、一般的に、静的吹錬制御(スタティックコントロール)と動的吹錬制御(ダイナミックコントロール)とを組み合わせて、吹錬終了時の溶鋼C濃度や溶鋼温度を目標値に合わせるようにしている。
静的吹錬制御は、吹錬を開始する前における当該吹錬に関連する諸データを用いて、主として脱炭量と溶鋼温度変化量とを統計的計算式により推定して、酸素の供給量やスクラップ等の冷却材の使用量を定める方法である。
一方、動的吹錬制御は、吹錬の末期にサブランスを用いて吹錬中の溶鋼C濃度と溶鋼温度とを測定し、その後の酸素供給必要量や冷却材添加量を計算して、吹錬終了時の溶鋼C濃度と溶鋼温度の目標値への的中精度を高める方法である。
この内、静的吹錬制御は、予定する吹錬に用いる諸データを収集して予め用意してある統計的に作成された計算式に入力し、吹錬末期のC濃度や溶鋼温度を計算して当該予定吹錬に用いる酸素使用量を決めたり、スクラップ配合率を調整したりするだけであるので、吹錬目標に的中させるためのランニングコストは低い。その一方で、吹錬開始前の諸データから吹錬終了時の結果を予測するため、諸々の誤差が相乗的に影響し合いつつ蓄積されるので、的中精度を高めることが難しい。
そこで、吹錬が末期に至ってから、吹錬開始前および吹錬経過中の諸要因の影響による吹錬予測計算からの実績値のズレを、サブランスで実測することにより補正し、吹錬終了時の溶鋼C濃度と溶鋼温度を目標値に的中させる精度を向上させることが、一般的に行われている。
ただし、このサブランスによる実測は、サブランスプローブの使用を必要とするために、ランニングコストがかかる。この他、サブランスによる測定タイミングが適切でないと、サブランスを用いた測定後の酸素供給量の調整が吹錬終了までに間に合わなかったり、逆に、酸素供給必要量が多過ぎてその後の吹錬終点目標値への的中精度を低下させてしまったりする問題を生じる。
サブランスによる測定タイミングは、静的吹錬制御による予測計算値に基づいて決定されているので、静的吹錬制御の精度は動的吹錬制御を組み合わせて吹錬を行う場合にも重要である。そこで、従来から静的吹錬制御の精度向上の取組が多数行われてきた。
静的吹錬制御では、少なくとも吹錬末期の溶鋼C濃度と溶鋼温度とを、当該吹錬に用いる溶銑やスクラップに含まれる諸成分の含有質量や供給する酸素必要量に基づいて計算し、当該吹錬での目標値に合うように酸素必要量とスクラップ等の冷却材使用量を調整する。
この溶銑に含まれる諸成分の含有質量は、高炉から溶銑が出銑された後や、溶銑を脱硫する予備処理の後等に溶銑サンプルを採取して分析し、別途計測した溶銑重量に乗算して求めることが普通である。溶銑を脱硫する予備処理では、脱硫反応が低酸素条件で有利に進行することから、酸化鉄や気体酸素等の酸素源を供給しない。
例えば、特許文献1,2に記載された発明でも、その静的吹錬制御に用いる溶鋼C濃度と溶鋼温度の計算式には溶銑中諸成分の濃度と溶銑重量とがインプットされ、酸素使用量との関係から最終的な溶鋼C濃度と溶鋼温度とが計算されている。
しかし、それらの計算式は直近の同種の吹錬のデータを集めて統計的に解析して作成されたものであって、その式を用いて行う吹錬において、溶銑C濃度は4質量%以上の高炭素濃度から0.1質量%以下等の低炭素濃度まで大きく変化するために、その濃度変化予定量に誤差があるとそれが吹錬終了時の溶鋼C濃度に及ぼす影響は大きいはずである。
ところが、溶銑C濃度の分析精度は、吹錬予定が定まった後から吹錬を開始するまでの、吹錬制御計算のために使うことができる時間の中では、後述するように、精度が低いのが実情である。
従来は、この分析精度の低さを承知していながら、静的吹錬制御のために用意した統計的計算式に溶銑サンプルの分析値を入力し、その分析誤差をこの吹錬に用いる他の諸データのバラツキの中に含めてしまって、その分析誤差の影響を吹錬末期に適用する動的吹錬制御での調整操作に任せて計算していた。
また、静的吹錬制御に用いる統計的な計算式を用意する際に、その分析誤差の影響を含んだまま統計的に解析処理して用意し、そのように用意した統計的な計算式を用いてその後の静的吹錬制御を行ってきた。
また、近年では転炉で溶銑を溶鋼に吹錬するに先立って、溶銑を脱珪する予備処理や溶銑を脱珪し脱燐する予備処理が行われるようになっている。これらの脱珪予備処理や脱燐予備処理は、いずれも酸化反応を利用するものであるので、酸化鉄や気体酸素等の酸素源の供給が必須である。そして、溶銑に酸素源を供給すれば溶銑中のSiやPが酸化されてそれらの濃度が減少するほか、付随的にCやFeも酸化されてしまうのが普通である。
しかし、これらの酸素源を供給して行う予備処理を施した溶銑に関しても、溶銑サンプルのC濃度分析精度が低いという実情は上述したのと同じである。したがって、それらの溶銑を転炉で溶鋼に吹錬する際にも、上記の酸素源を供給しない予備処理における場合と同じ問題があった。
特開昭54−155113号公報 特開昭62−158810号公報
本発明の目的は、製鋼用転炉における静的吹錬制御の制御精度の向上方法を提供すること、より具体的には、溶銑C濃度の分析精度が、吹錬予定が定まった後から吹錬を開始するまでの短時間のうちでは低いことに起因した吹錬制御精度への悪影響を解消し、もって、C濃度が0.50質量%以下の溶鋼になった後における溶鋼C濃度の予測精度を向上させる方法を提供することである。
本発明は、以下に列記の通りである。
(1)高炉から出銑された溶銑に対して、酸素源を供給して脱珪や脱燐を行う溶銑予備処理を施すことなく、該溶銑を転炉へ装入し、酸素ガスを供給して溶鋼を製造する製鋼用転炉における吹錬制御方法であって、
前記酸素ガスの供給を開始する前の該溶銑のC濃度として、該溶銑の温度と該溶銑に含まれている元素のうちSi、Mn、PおよびSの濃度分析値とに基づいて下記(1)式により計算されるC濃度(C1)を用いて、
前記酸素ガスの供給によって該溶銑のC濃度が0.50質量%以下の溶鋼になった後の該溶鋼中のC濃度が目標値に的中するよう、該酸素ガスの供給量を制御すること
を特徴とする製鋼用転炉における吹錬制御方法。
ただし、C1=(−0.31)・Si+0.003・Mn+(−0.33)・P+(−0.40)・S+0.00257・(前記溶銑の温度)+1.3 ・・・・・・・(1)
(1)式におけるSi,Mn,P,Sは、それぞれの元素の濃度分析値である。
(2)高炉から出銑された溶銑に対して、酸素源を供給して脱珪や脱燐を行う溶銑予備処理を施した後、該溶銑予備処理後の溶銑を転炉へ装入し、酸素ガスを供給して溶鋼を製造する製鋼用転炉における吹錬制御方法であって、
前記溶銑予備処理における溶銑C濃度の低下量(ΔC)を該溶銑予備処理条件に基づいて計算し、
前記酸素ガスの供給を開始する前の該溶銑のC濃度として、前記溶銑予備処理を施す前の該溶銑のC濃度としての、該溶銑の温度と該溶銑に含まれている元素のうちSi、Mn、PおよびSの濃度分析値とに基づいて下記(1)式により計算されるC濃度(C1)から、前記溶銑予備処理における溶銑中のC濃度低下量(ΔC)を減じたC濃度(C2)を用いて、
前記酸素ガスの供給によって該溶銑のC濃度が0.50質量%以下の溶鋼になった後の該溶鋼中のC濃度が目標値に的中するよう、該酸素ガスの供給量を制御すること
を特徴とする製鋼用転炉における吹錬制御方法。
ただし、C1=(−0.31)・Si+0.003・Mn+(−0.33)・P+(−0.40)・S+0.00257・(前記溶銑の温度)+1.3 ・・・・・・・(1)
(1)式におけるSi,Mn,P,Sは、それぞれの元素の濃度分析値である。
本発明に係る製鋼用転炉における吹錬制御方法により、脱炭吹錬計算に用いる溶銑C濃度を分析値から計算値に換えて精度を高め、もって、脱C吹錬を最適化することが可能となる。
図1は、精密分析による分析C濃度と(1)式による計算C濃度との対応を示すグラフである。 図2は、精密分析による分析C濃度と、従来のオンラインでの分析C濃度との対応を示すグラフである。 図3は、普通銑吹錬について(1)式の計算溶銑C濃度を用いた場合(実施例)と従来のオンライン分析を用いた場合(比較例)とに関し、サブランス投入時点での目標C濃度と実際にその時に測定した溶鋼C濃度との差(動浴狙いとの差)を対比して示すヒストグラムである。 図4は、脱燐銑について本発明を実施した場合(実施例)と従来の脱燐処理後の溶銑C濃度の分析値を用いた場合(比較例)とに関し、サブランス投入時点での目標C濃度と実際にその時に測定した溶鋼C濃度との差(動浴狙いとの差)を対比して示すヒストグラムである。
本発明を実施するための形態を説明する。以降の説明では、各元素の濃度または含有量に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.本発明を実施するために必要な設備
本発明は、スクラップ等とともに転炉に装入した溶銑中のCを除去して溶鋼を製造する際に、溶銑やスクラップ等に含有される成分や温度といった当該吹錬に関係する諸データを収集し、それらの諸データに基づいて、直近の同種の吹錬実績等を参照しつつ、当該吹錬によって製造する溶鋼の成分や温度の目標値に合わせるために必要なスクラップ配合率や副原料などの冷却材使用量と、酸素供給量とを予測して調整する、転炉の静的吹錬制御方法である。
したがって、溶銑量やスクラップ量並びに副原料等の秤量器、酸素流量計を有する酸素供給設備、吹錬関係諸データの収集設備、および直近の吹錬実績等を参考にして必要酸素供給量や冷却材投入量等を計算するために統計的に作成された計算式を有する演算装置といった、一般的な転炉の静的吹錬制御を行うために必要な諸設備を使用する。
他に、溶鋼C濃度が0.50%以下の吹錬末期に溶鋼C濃度と溶鋼温度とを測定するサブランスと、その測定値に基づいてその後の酸素供給必要量や冷却材投入量等を計算する一般的な動的吹錬制御関係の設備を有していることが望ましい。
2.本発明の実施方法
(1)初めに、従来の静的吹錬制御方法に関して説明する。
従来は、高炉から出銑された溶銑から、または溶銑脱硫を施した場合にはその脱硫処理後の溶銑から、サンプルを採取し、発光分光分析法や赤外線燃焼法等の短時間で含有濃度を求めることができる分析方法を用いて、C,Si,Mn,P,S,Ti等の濃度を知り、それらの濃度をそのまま上記した統計的な計算式に入力して、吹錬目標の溶鋼C濃度や溶鋼温度に合わせるように、酸素供給量等を調整していた。
しかし、C濃度が3.3%以上の溶銑領域では、上記分析方法によるC濃度の分析値はバラツキが大きく、同一のサンプルに対して複数回分析すると、最大値と最小値とで0.2%程度相違しており、サンプリングから吹錬開始までの15〜60分間程度の短時間という制約条件下では、上記分析方法の分析精度を高めることが困難であった。
(2)そこで、本発明者らは、溶銑の飽和C濃度がSi,Mn,P,S等の濃度と溶銑の温度とから計算されることを参考にして、脱硫処理を施した後の溶銑からサンプルを採取して従来と同様に発光分光分析法や赤外線燃焼法による分析を行い、得られたSi,Mn,P,Sの質量濃度と、そのサンプリング時の温度とから溶銑C濃度を推測することを着想した。
脱硫処理後の溶銑に、C以外の成分と温度とから規定される飽和C濃度が含有されているかどうかは定かではないが、高炉からの出銑時には1500℃程度あった溶銑が脱硫処理後には1400℃以下まで低下していて、そこまでに酸素源は供給されていないので、飽和C濃度に近い濃度のCが含有されている可能性がある。
そこで、飽和C濃度を以下の式(1)の通り算出して、精密分析結果と対比した。
(鉄鋼便覧第2版31頁より引用)
飽和C濃度
=(-0.31)・Si+0.003・Mn+(-0.33)・P+(-0.40)・S+0.00257・温度+1.3 ・・・・・・・(1)
この調査において、溶銑サンプルの精密分析値は、C:4.1〜4.7%,Si:0.20〜0.80%,Mn:0.13〜0.23%,P:0.120〜0.140%,S:0.020〜0.040%,溶銑温度は1230〜1360℃であった。
図1には、精密分析によるC濃度と上記(1)式による計算値との対応をグラフで示す。
図1のグラフに示すように、上記(1)式による計算C濃度は、精密分析C濃度に対して、±0.07%の範囲にあることが分かる。
一方、図2には、図1に示したものと同じサンプルについて、従来のオンラインでの赤外線燃焼法での分析の結果をグラフで示す。
図2のグラフに示すように、従来のオンラインでの分析C濃度は、精密分析C濃度に対して、−0.3%程度低く計測されており、誤差が大きいことが確認された。
この(1)式は、特定の高炉から出銑した溶銑の温度が100℃以上低下した条件で適用したもので、条件が異なっても同じ式を適用することが適当であるかどうかは不明である。しかし、高炉からの出銑以降で酸素源を供給していない場合は、上記した(1)式と同様な考え方で溶銑C濃度の計算式を、溶銑温度と少なくともSi,Mn,P,Sの分析値とに基づいて、以下の(2)式のように作成することができると考えられる。
計算溶銑C濃度=A+B×T+Σ(α×Qi ) ・・・・・・・(2)
(2)式におけるA,Bは定数であり、Tは溶銑温度(℃)であり、Qiは溶銑成分の濃度(質量%)であり、αはQiの係数である。
上記(1)式による溶銑C濃度の計算値である計算溶銑C濃度を転炉の静的吹錬制御の統計的な計算式に入力して、従来の溶銑サンプルの分析C濃度をそのまま入力した場合との、転炉の静的吹錬制御の精度向上効果を調査した。
この調査では、計算溶銑C濃度を用いることによる吹錬末期での溶鋼C濃度の目標値への的中精度を従来法と比較することにより、転炉の静的吹錬制御の精度向上効果を検討した。転炉の静的吹錬制御による吹錬末期での溶鋼C濃度の予測は、吹錬開始前に行うので、この吹錬末期での溶鋼C濃度の予測精度はそのまま静的吹錬制御の的中精度に置き換えられる。
具体的には、静的制御に用いる溶銑C濃度を分析C濃度または計算C濃度として、脱C吹錬を行った。その脱C吹錬中には、動的制御を行うためにサブランスを用いて測定した時の溶鋼C濃度の目標値を予め定めているため、その目標値と実際にそのサブランスを用いて測定した溶鋼C濃度とを比較することで、本発明の実施効果を調査することができる。
高炉から出銑した溶銑250〜275トンを溶銑脱硫処理したのみで溶銑脱珪や溶銑脱燐処理を行わずにスクラップ0〜50トンとともに250トン転炉へ装入した。溶銑の成分のオンライン分析値は、C:4.4〜4.7%,Si:0.40〜0.70%,Mn:0.30〜0.45%,P:0.110〜0.140%,S:0.020〜0.030%,溶銑温度:1250〜1340℃であった。一方、前記した(1)式による計算溶銑C濃度は、4.4〜4.8%であった。
静的制御には、本発明の実施例も従来例も、酸素原単位計算、熱量計算および副原料使用量の計算を行い、動的制御のためにサブランスを用いて測定する際の溶鋼温度と溶鋼C濃度とが目標値に合うように、冷却材や副原料を転炉上に設置したバンカーから炉内へ適宜投入した。
上吹き酸素は、(1)式の計算溶銑C濃度を用いた場合も従来のオンライン分析を用いた場合も、ともに、装入溶銑トンあたり3.5〜4.0Nm/minとし、その酸素供給時間は10〜12分間であった。底吹きガスにはNまたはCOを使用し、装入溶銑トンあたり0.04〜0.20Nm/minとした。
なお、この種の吹錬において重要な管理目標である吹錬終点の溶鋼中[P]は、いずれの条件においても、0.010〜0.016%程度であり、(1)式の計算溶銑C濃度を用いた場合も従来のオンライン分析を用いた場合もともに同程度に目標を達成できていた。
図3には、(1)式の計算溶銑C濃度を用いた場合(実施例)と従来のオンライン分析を用いた場合(比較例)とを上記した条件で実施した場合の、サブランス投入時点での目標C濃度と実際にその時に測定した溶鋼C濃度との差を、ヒストグラムで対比して示す。目標としたサブランス投入時のC濃度は、0.2〜0.5%の範囲内にある0.35%等の特定C濃度である。
図3にヒストグラムで示すように、比較例では動浴C濃度の誤差は最大で±0.20%程度あるのに対し、(1)式の計算溶銑C濃度を用いた実施例では±0.11%まで減少していた。
この結果から、溶銑の分析誤差の影響は、ほぼそのまま吹錬末期のサブランス測定時の溶鋼C濃度の誤差となって残っており、酸素供給による脱C反応の酸素反応効率が安定している条件においては当然であるが、溶銑分析値の精度の影響により注意を払うべきであったことが確認された。
一方、溶銑に酸素源を供給して脱珪、脱燐を行った場合には、その予備処理時に供給した酸素とC,Si,Mn,Tiのほか、Feと反応した比率を考慮しなければならない。したがって、上記した(1)式の考え方をそのまま適用することができない。しかし、予備処理時に供給酸素が種々の元素と反応した量を、多重回帰により解析して溶銑中のC濃度低下量(ΔC)を推定する(3)式を作成し、(1)式の値(C)から(3)式の値(ΔC)を差し引くことにより、溶銑C濃度(C)を計算することができると考えられる。
溶銑中のC濃度低下量(ΔC)=Σ(βi・Ri)+δ・温度・・・・・(3)
(3)式におけるRiは溶銑予備処理における操業パラメータであり、βiはRiに乗ずる係数であり、δは温度に乗ずる係数である。
今回の調査で考慮した、脱燐処理時の脱C量計算のための諸パラメータを、表1にまとめて示す。装入C:3.7〜4.7%,装入Si:0.30〜0.7%,装入Ti:0.08〜0.40%,溶銑温度:1250〜1340℃である。
Figure 0006331601
上記(3)式に関し、表1に記載した諸要件に関して多重回帰による解析を行って実験式を作成し、脱P銑を用いた脱C吹錬をする際に、その静的制御における溶銑C濃度の値に前記した(1)式による計算溶銑C濃度(C)から(3)式による溶銑中のC濃度低下量(ΔC)を減じた溶銑C濃度(C)を用いた場合と、その溶銑C濃度の値に溶銑脱P処理後にサンプルを採取して従来の燃焼法により分析した値を用いた場合とについて、前記した脱硫予備処理のみ行った場合の調査と同様に比較調査を行った。その具体的な方法とその実施結果を比較しつつ説明する。
脱燐予備処理では、高炉から出銑した溶銑250〜275トンを溶銑脱硫処理した後、スクラップ0〜50トンとともに転炉へ装入した。その溶銑の成分のオンライン分析値は、先に溶銑脱珪や溶銑脱燐処理を行わない場合について記載したものと同じである。
上吹き酸素は装入溶銑トンあたり、1.0〜1.5Nm/minとし、その酸素供給時間は6〜14minであった。底吹きガスにはNを使用し、流量は装入溶銑トンあたり0.25Nm/minとした。上底吹きガスを吹込み、生石灰および冷却材を投入して行う溶銑脱燐処理を経た脱燐銑を、スクラップ0〜50トンとともに転炉へ装入した。溶銑脱燐処理後の溶銑成分のオンライン分析値は、[C]:3.3〜3.8%,[Si]:≦0.01%,[Mn]:0.11〜0.30%,[P]:0.018〜0.055%であった。
前述のように脱燐銑については(1)式のままでは適用できないため、(1)式と(3)式とを組み合わせて用いる。本発明では、直近900チャージの溶銑脱燐処理時のデータについて、表1に示すパラメータを用いてC濃度低下量(ΔC)に関する多重線型回帰による解析を行った。得られた係数を用いて、この吹錬時の脱燐処理時C濃度低下量(ΔC)を一次線型結合の形で数式化して求めた。回帰に使用したC濃度低下量は、直近データそれぞれについて、サブランス測定時の目標C濃度とその際の溶鋼C濃度の実績との差が0となるように脱燐処理後C濃度を求め、この値と計算溶銑C濃度(C)との差から求めた。
なお、脱燐処理時脱炭量の推定方法については、表1のパラメータを用いた多重線型回帰に限るわけではない。排ガス情報等のパラメータを追加したり、理論的な脱炭量の式を構築しフィッティングを行ったりしてもよい。これにより得られた計算脱燐銑C濃度(C)は、3.3〜3.8%であった。
上吹き酸素は、静的吹錬制御に供する酸素供給開始前の溶銑中C濃度に、計算脱燐銑C濃度(C)を用いた場合も従来の脱燐銑のオンライン分析値を用いた場合も、ともに、装入溶銑トンあたり3.5〜4.0Nm/minとし、その酸素供給時間は10〜12分間であった。底吹きガスにはNまたはCOを使用し、装入溶銑トンあたり0.04〜0.20Nm/minとした。
なお、この種の吹錬において重要な管理目標である吹錬終点の溶鋼中[P]は、いずれの条件においても0.006〜0.016%程度であり、(1)式の計算溶銑C濃度を用いた場合も従来のオンライン分析を用いた場合も、ともに、同程度に目標を達成できていた。
図4には、上記した条件で本発明を実施した場合(実施例)と従来の脱燐処理後の溶銑C濃度の分析値を用いた場合(比較例)とに関し、サブランス投入時点での目標C濃度と実際にその時に測定した溶鋼C濃度との差を、ヒストグラムで対比して示す。目標としたサブランス投入時のC濃度は、普通銑吹錬時と同様に0.2〜0.5%の範囲内にある0.35%等の特定C濃度である。
図4にヒストグラムで示すように、比較例では動浴C濃度の誤差は最大で±0.18%程度あったのに対し、実施例では±0.12%まで減少していた。
以上より、普通銑吹錬および脱燐銑を用いた脱炭吹錬において、脱炭吹錬計算に計算C濃度を使用することにより、動浴C濃度の狙い精度が向上することが確認された。
上記の検討では、表1に示すパラメータを用いて多重線型回帰による解析を行い、脱燐処理時のC濃度低下量(ΔC)を一次線型結合の形で数式化して求めた。ただし、吹錬の実情に即して、C濃度低下量(ΔC)の計算値に大きな影響がある項目として脱C酸素効率等を含めて多重回帰などにより関係式を作成しておけば、上記の検討と同様に本発明を実施することが可能である。
(実施例1)
高炉から出銑した溶銑250〜275トンを溶銑脱硫処理したのみで溶銑脱珪や溶銑脱燐処理を行わずに、スクラップ0〜50トンとともに250トン転炉へ装入した。溶銑の成分のオンライン分析値は、C:4.4〜4.7%,Si:0.40〜0.70%,Mn:0.30〜0.45%,P:0.110〜0.140%,S:0.020〜0.030%,溶銑温度:1250〜1340℃であった。前記した(1)式による計算溶銑C濃度(C)は、4.4〜4.8%であった。
静的制御における酸素ガス供給開始前の溶銑C濃度の値には上記の計算溶銑C濃度(C)を用い、吹錬終了時の目標である溶鋼中C濃度:0.06%に的中させるための酸素ガス供給量を算出した。
上吹き酸素供給速度は、装入溶銑トンあたり3.5〜4.0Nm/minとし、その酸素供給時間は10〜15分間であった。底吹きガスにはNまたはCOを使用し、装入溶銑トンあたり0.04〜0.20Nm/minとした。
吹錬の途中で、静的制御計算によって溶鋼中C濃度が0.35%と推定した時点でサブランスを用いて転炉内溶鋼の温度とC濃度を測定し、その後、動的吹錬制御式を用いて酸素供給量や冷却材投入量を調整して、吹錬を終了した。
これらの吹錬でのサブランスによる溶鋼中C%の測定値は0.35±0.11%に収まっていて良好であり、その結果、吹錬終了時の溶鋼中C%は目標値である0.06%に対して、±0.01%の範囲内に100%的中していた。
(実施例2)
上記の実施例1で用いた溶銑の温度および成分範囲と同じ温度および成分範囲を有する溶銑250〜275トンを溶銑脱硫処理した後、スクラップ0〜50トンとともに250トン転炉へ装入し、溶銑脱燐処理を行った。
その上吹き酸素流量は装入溶銑トンあたり1.0〜1.5Nm/minとし、その酸素供給時間は6〜14分間であった。底吹きガスにはNを使用し、流量は装入溶銑トンあたり0.25Nm/minとした。溶銑脱燐処理後の溶銑成分のオンライン分析値は、[C]:3.3〜3.8%,[Si]:≦0.01%,[Mn]:0.11〜0.30%,[P]:0.018〜0.055%であり、前記した(1)式の値(C)から(3)式の値(ΔC)を差し引いた溶銑C濃度の計算値(C)は、3.3〜3.8%であった。
静的制御における酸素ガス供給開始前の溶銑C濃度の値には、上記の計算溶銑C濃度(C)を用い、吹錬終了時の目標である溶鋼中C濃度:0.06%に的中させるための酸素ガス供給量を算出した。
上吹き酸素供給速度は、装入溶銑トンあたり3.5〜4.0Nm/minとし、その酸素供給時間は10〜12分間であった。底吹きガスにはNまたはCOを使用し、装入溶銑トンあたり0.04〜0.20Nm/minとした。
吹錬の途中で、静的制御計算によって溶鋼中C濃度が0.35%と推定した時点でサブランスを用いて転炉内溶鋼の温度とC濃度を測定し、その後、動的吹錬制御式を用いて酸素供給量や冷却材投入量を調整して、吹錬を終了した。
これらの吹錬でのサブランスによる溶鋼中C%の測定値は0.35±0.12%に収まっていて良好であり、その結果、吹錬終了時の溶鋼中C%は目標値である0.06%に対して、±0.01%の範囲内に100%的中していた。

Claims (2)

  1. 高炉から出銑された溶銑に対して、酸素源を供給して脱珪や脱燐を行う溶銑予備処理を施すことなく、該溶銑を転炉へ装入し、酸素ガスを供給して溶鋼を製造する製鋼用転炉における吹錬制御方法であって、
    前記酸素ガスの供給を開始する前の該溶銑のC濃度として、該溶銑の温度と該溶銑に含まれている元素のうちSi、Mn、PおよびSの濃度分析値とに基づいて下記(1)式により計算されるC濃度(C1)を用いて、
    前記酸素ガスの供給によって該溶銑のC濃度が0.50質量%以下の溶鋼になった後の該溶鋼中のC濃度が目標値に的中するように、該酸素ガスの供給量を制御すること
    を特徴とする製鋼用転炉における吹錬制御方法。
    ただし、C1=(−0.31)・Si+0.003・Mn+(−0.33)・P+(−0.40)・S+0.00257・(前記溶銑の温度)+1.3 ・・・・・・・(1)
    (1)式におけるSi,Mn,P,Sは、それぞれの元素の濃度分析値である。
  2. 高炉から出銑された溶銑に対して、酸素源を供給して脱珪や脱燐を行う溶銑予備処理を施した後、該溶銑予備処理後の溶銑を転炉へ装入し、酸素ガスを供給して溶鋼を製造する製鋼用転炉における吹錬制御方法であって、
    前記溶銑予備処理における溶銑C濃度の低下量(ΔC)を該溶銑予備処理条件に基づいて計算し、
    前記酸素ガスの供給を開始する前の該溶銑のC濃度として、前記溶銑予備処理を施す前の該溶銑のC濃度としての、該溶銑の温度と該溶銑に含まれている元素のうちSi、Mn、PおよびSの濃度分析値とに基づいて下記(1)式により計算されるC濃度(C1)から、前記溶銑予備処理における溶銑中のC濃度低下量(ΔC)を減じたC濃度(C2)を用いて、
    前記酸素ガスの供給によって該溶銑のC濃度が0.50質量%以下の溶鋼になった後の該溶鋼中のC濃度が目標値に的中するように、該酸素ガスの供給量を制御すること
    を特徴とする製鋼用転炉における吹錬制御方法。
    ただし、C1=(−0.31)・Si+0.003・Mn+(−0.33)・P+(−0.40)・S+0.00257・(前記溶銑の温度)+1.3 ・・・・・・・(1)
    (1)式におけるSi,Mn,P,Sは、それぞれの元素の濃度分析値である。
JP2014077270A 2014-04-03 2014-04-03 製鋼用転炉における吹錬制御方法 Active JP6331601B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014077270A JP6331601B2 (ja) 2014-04-03 2014-04-03 製鋼用転炉における吹錬制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014077270A JP6331601B2 (ja) 2014-04-03 2014-04-03 製鋼用転炉における吹錬制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015196901A JP2015196901A (ja) 2015-11-09
JP6331601B2 true JP6331601B2 (ja) 2018-05-30

Family

ID=54546779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014077270A Active JP6331601B2 (ja) 2014-04-03 2014-04-03 製鋼用転炉における吹錬制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6331601B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105506213A (zh) * 2016-01-19 2016-04-20 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 降低半钢冶炼终点钢水氧活度的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT346877B (de) * 1976-08-04 1978-11-27 Voest Ag Verfahren zur steuerung eines stahlfrischpro- zesses fuer staehle mit einem c-gehalt im bereich von 0,1 bis 0,8 gew.-%
JPS54155113A (en) * 1978-05-27 1979-12-06 Nippon Kokan Kk <Nkk> Blowing control hethod in pure oxygen top blowing converter
JPS6318013A (ja) * 1986-07-09 1988-01-25 Nippon Kokan Kk <Nkk> 転炉終点制御方法
JP4807895B2 (ja) * 1999-11-19 2011-11-02 株式会社神戸製鋼所 転炉の主原料配合方法
JP5527180B2 (ja) * 2010-11-29 2014-06-18 新日鐵住金株式会社 転炉吹錬方法及び転炉吹錬システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015196901A (ja) 2015-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102348892B1 (ko) 용탕 성분 추정 장치, 용탕 성분 추정 방법, 및 용탕의 제조 방법
JP5582105B2 (ja) 転炉吹錬制御方法
JP5527180B2 (ja) 転炉吹錬方法及び転炉吹錬システム
JP2017025379A (ja) 溶銑予備処理方法及び溶銑予備処理制御装置
JP6579136B2 (ja) 精錬プロセス状態推定装置、精錬プロセス状態推定方法、及び溶湯の製造方法
JP2017008349A (ja) 溶湯状況推定装置および溶湯状況推定方法
CN104419799A (zh) 一种转炉冶炼在线预测高碳钢碳含量方法
JP6687080B2 (ja) 溶湯温度補正装置、溶湯温度補正方法、及び溶湯の製造方法
JP6331601B2 (ja) 製鋼用転炉における吹錬制御方法
KR102437794B1 (ko) 용탕 성분 추정 장치, 용탕 성분 추정 방법 및 용탕의 제조 방법
TWI665307B (zh) 熔鋼中磷濃度推定方法、轉爐吹煉控制裝置、程式及記錄媒體
JP2017115216A (ja) 溶湯成分推定装置及び溶湯成分推定方法
JP7043949B2 (ja) T.Fe推定方法、T.Fe制御方法、転炉吹錬制御装置、およびプログラム
CN111479935B (zh) 铁水的精炼方法
JP6658804B2 (ja) 初期成分濃度補正装置、初期成分濃度補正方法、精錬プロセス状態推定方法、及び、転炉の操業方法
KR101400052B1 (ko) 전로 정련 방법
TW201734214A (zh) 熔融生鐵預備處理方法及熔融生鐵預備處理控制裝置
EP3943618A1 (en) Blowing control method of converter-type dephosphorization refining furnace and blowing control device
JP2016188404A (ja) スラグ成分推定方法、媒溶剤の計算方法および溶銑予備処理方法
JP2013249523A (ja) 転炉操業方法
Chichkarev Improving steel deoxidation technology with the use of data on the activity of dissolved oxygen
JPS5877515A (ja) 酸素上吹転炉における吹止鋼浴温度の制御法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20151016

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171114

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180416

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6331601

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350