JP2010173926A - 溶融シリコン用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、溶融シリコンを凝固させる際の熱応力への耐性に優れ、繰り返しの利用が可能な溶融シリコン用容器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の溶融シリコン用容器は、耐熱性材料からなる内枠と内枠の外面を囲む耐熱性材料からなる外枠とを備え、内枠と外枠のうち少なくとも外枠は底面部を有し、内枠および外枠の上部が開口した構造を有する溶融シリコン用容器であって、内枠は少なくとも側面部を有し、その側面部は複数の耐熱性材料からなる側面板により構成され、この耐熱性材料からなる板材は、外枠の内壁に沿って移動可能であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融シリコン用容器に関し、該溶融シリコン用容器は溶融シリコンの流し込み、凝固に好適に用いることができる。
環境問題から石油などの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。その中で、シリコン半導体の光電変換原理を用いる太陽電池は、太陽エネルギーの電気への変換が容易に行なえる特徴を有する。しかし、太陽電池の普及拡大にはコスト低減、とりわけ、半導体シリコンのコストダウンが必要である。
半導体集積回路などに用いる高純度シリコンは、珪石を炭素還元して得られる純度98%以上の金属シリコンを原料とするものであって、化学的な方法でトリクロロシラン(SiHCl3)を合成し、これを蒸留法で純化した後、還元することにより、いわゆる11N(イレブン−ナイン)程度の高純度シリコンを得ている(シーメンス法)。しかし、この高純度シリコンは、複雑な製造プラントおよび還元に要するエネルギー使用量が多くなるため、必然的に高価な素材となる。
一方、太陽電池の製造に用いられるシリコンに要求される純度は約6N程度である。したがって、このような半導体集積回路用などの高純度シリコンの規格外品は、太陽電池用としては過剰な高品質となる。太陽電池の低コスト化のために、2N〜3N程度の純度である金属シリコンをガス化することなく直接精製する、いわゆる冶金精製法による精製が試みられている。
このような治金精製法の一工程として、従来、シリコン融液の凝固、特に一方向凝固を行なうことで偏析により金属シリコンを精製する方法が知られている。一方向凝固による精製は、多くの不純物元素(たとえば鉄、アルミニウムなど)を同時に低減できる点で優れている。
上記一方向凝固法をはじめ、冶金精製法によるシリコン精製工程には、シリコンを加熱により溶融して溶融シリコンとし、その後この溶融シリコンを凝固させる工程が含まれている。具体的には、たとえば坩堝に投入された原料シリコンを加熱により溶融して溶融シリコンとし、この溶融シリコンを坩堝とは別の容器に出湯し、その後凝固する工程であり、その耐熱性の容器内において溶融シリコンを一方向凝固をさせたり、冷却方向および冷却時間の制御を行なわずに、溶融シリコン全体を冷却したりする場合がある。
従来、溶融シリコンを凝固させるための耐熱性の鋳型としては、シリコンへのコンタミ(不純物混入)のおそれが少なく、かつシリコンの融点である1414℃以上(冶金精製法における溶融シリコン温度は一般に1450℃〜1500℃程度)においても形状安定性に優れている石英や溶融シリカ、あるいは黒鉛などを一体形成した鋳型が用いられてきた。しかし、これら一体形成型の鋳型に溶融シリコンを注湯すると、凝固したシリコン塊が鋳型に固着してしまうという問題があった。また、シリコン塊取出しのためには鋳型を破壊しなければならず、鋳型を繰り返し使用できないのでコスト的に不利であるという問題もあった。
上記問題を解決するものとして、繰り返し使用のために黒鉛板をボルト等で組み立て、さらに固着防止のため内壁に窒化珪素や二酸化珪素などの離型材層を形成したシリコン用鋳型が開示されている(特許文献1参照)。
特開平10−182285号公報
しかしながら、溶融シリコンは凝固時に膨張し、鋳型側面外向きに大きな圧力(熱応力)が加わる。よって、従来の特許文献1に開示されたような組み立て式によるシリコン用鋳型では、組み立て用のボルト等に大きな力がかかるために、ボルト周辺が破損するおそれがあった。この破損のおそれ、すなわち鋳型側面外向きの熱応力の増大は、一度に冷却する溶融シリコン量を増やす(たとえば100kg以上、あるいは250kg以上、さらには400kg以上500kg以下などが考えられる)ほど、その溶融シリコン自身の重量も加わるために、より顕著となると考えられる。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、溶融シリコンを凝固させる際の熱応力への耐性に優れ、繰り返しの利用が可能な溶融シリコン用容器を提供することにある。
すなわち、本発明の溶融シリコン用容器は、耐熱性材料からなる内枠と内枠の外面を囲む耐熱性を有する外枠とを備え、内枠と外枠のうち少なくとも外枠は底面部を有し、内枠および外枠の上部が開口した構造を有する溶融シリコン用容器であって、内枠は少なくとも側面部を有し、その側面部は複数の耐熱性材料からなる側面板により構成され、この耐熱性材料からなる板材は、外枠の内壁に沿って移動可能であることを特徴とする。
上記複数の側面板は、互いに接合されておらず、板材と外枠の側面部とは接合されていないことが好ましい。
上記内枠は底面部を有し、その底面部は耐熱性材料からなる底面板を用いることが好ましい。また、上記内枠における側面板または底面板はカーボンからなる板材を用いることが好ましい。
上記外枠の内壁の側断面は、上底が下底より長い台形形状であることが好ましい。
上記内枠における側面部の少なくとも一面を構成する側面板および上記内枠における底面板のうち少なくともいずれかは、2以上の板材からなるものとすることが好ましい。
上記2以上の板材は、上記内枠における側面部の一面または底面部の少なくともいずれか一の面を分割するように配置される態様とすることが好ましい。また、上記2以上の板材は、上記内枠の側面部の厚み方向に沿って積層される態様とすることも好ましい。
上記外枠の内壁面と内枠の側面部を構成する側面板との間に、耐熱性材料からなる板材が挟持されることが好ましい。
本発明の溶融シリコン用容器は、溶融したシリコンを流し込み、流し込んだ溶融シリコンを凝固するために用いることができる。
本発明によれば、溶融シリコン用容器の内枠を構成する板材が、外枠の内壁に沿って移動可能であるので、たとえば溶融シリコンを凝固する際にかかる熱応力を、外枠に対して
少なくとも内枠側面部の板材が移動することにより、効率よく散逸させることができ、溶融シリコン用容器の破損を防止することが可能となる。その結果、本発明の溶融シリコン用容器は、溶融シリコンの出湯工程において繰り返して用いることができ、多結晶シリコン基板の製造工程全体にかかるコストの低減が可能となる。
本発明の溶融シリコン用容器の典型的な構造を示す概略図である。 図1のII−IIにおける側断面の概略図である。 図3(a)は側面部が台形形状であって、4枚の板材により側面部の一面を構成する場合の一態様を示す概略図であり、図3(b)は側面部が長方形状であって、2枚の板材により側面部の一面を構成する場合の一態様を示す概略図である。 図4(a)は側面部が台形形状であって、2枚の板材により側面部の一面を構成する場合の他の態様を示す概略図であり、図4(b)は側面部が長方形状であって、3枚の板材により側面部の一面を構成する場合の一態様を示す概略図である。 図5(a)は3枚の板材により底面部を構成する場合の一態様を示す概略図であり、図5(b)は4枚の板材により底面部を構成する場合の一態様を示す概略図である。 図6(a)は図1における内枠Aと内枠Bを視点C方向から見た図であり、図6(b)は図6(a)において側面板2Pが外枠内壁に沿って移動することを示す模式図である。 図7(a)は、溶融シリコン用容器の外枠1の側面を断熱部材8で覆い、冷却機構を備えた台座9上に載置した状態を示す図であり、図7(b)は図7(a)において、加熱機構11によって溶融シリコン10上面を加熱し、溶融シリコン用容器の下部を冷却する状態を示す図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<溶融シリコン用容器>
本発明の溶融シリコン用容器は、溶融したシリコンを流し込み、凝固するために用いることができる耐熱性を有する容器である。この溶融シリコン用容器は、耐熱性材料からなる内枠と耐熱性材料からなる外枠とを含む二重構造を有する。
図1に、本発明の溶融シリコン用容器の典型的な構造の概略図を示す。図1に示すように、本発明の溶融シリコン用容器は、内枠2と外枠1とを備え、内枠2と外枠1とは上部が開口した構造を有する。図2は、図1中II−IIにおける断面図である。図2に示すように、外枠1にその外面を囲まれた内枠2は、少なくとも側面部を有し、この側面部は複数の耐熱性材料からなる板材(側面板2a)により構成されている。また、内枠2は、側面部および底面部を有する態様としてもよい。底面部を有する場合、この底面部は側面部と同様に耐熱性材料からなる板材(底面板2b)により構成される。
図1および図2において、内枠2と内枠2の外面を囲む外枠1とは接触しているが、これら内枠2の外面と外枠2の内壁とは、通常、接着剤等による接合点、釘やボルトなどの固定点をもたない。また、内枠2を構成する板材同士も接着剤やボルト、あるいは嵌合構造などによる接合点を持たない。すなわち、内枠2を構成する側面板2aと外枠1の内壁とは接合されておらず、複数の側面板2a同士は接合されていない。また、内枠2が底面部を有する場合、内枠2の側面板2aと底面板2bとは接合されない。このように内枠2を構成する各板材が接合されていないので、内枠2を構成する側面板2aは外枠1の内壁
に沿って移動可能となる。
本発明において、「耐熱性」とは、シリコンの融点である1414℃以上(冶金精製法における溶融シリコン温度は一般に1450℃〜1500℃程度)において破壊、変形することなく使用することができることをいい、このような耐熱性を有する材料としては、材料自体が耐熱性を有するもの、すなわち黒鉛、高融点金属や耐熱性セメントなどの材料からなるもの、または板材に空冷や水冷などの冷却機構を備えて耐熱性を付与した材料などを例示することができる。
上記溶融シリコン用容器は、上述のようにその上部が開口した構造を有する。開口した構造は、溶融したシリコンを注湯したり、注湯した溶融シリコンを凝固させて得られるシリコン塊を取り出すためのものである。上部は、通常その全部が開口した構造とするが、これに限定されず、一部が開口した構造としても、上記目的を達成できる構造であればよい。
本発明において、上記溶融シリコン用容器の側断面の形状は特に限定されないが、外枠1の内壁の上底(図2中、L1)が外枠1の内壁の下底(図2中、L2)より長い台形形状であることが好ましい。一般に、溶融シリコンを凝固させる際には、シリコンが膨張するために、上述のように熱応力がその内部に発生する。このような熱応力は、一方向凝固の凝固方向、すなわち、溶融シリコン用容器の底面から上部開口方向、または溶融シリコンの内部から、溶融シリコン用容器の側面方向への応力である。側面にかかる熱応力を考慮すると、一般に、側面の底面付近にかかる熱応力と、側面の上部付近にかかる熱応力とでは、側面の上部付近にかかる熱応力が大きくなる。したがって、上記のように外枠1の内壁の上底L1が下底L2より長い台形形状とする場合は、このような熱応力を効率よく緩和できるので好ましい。また、上記L1とL2とは、L1>L2の関係を満足すればよいものであるが、たとえば、これらの比L1/L2を1.2〜1.5とすることが好ましく、1.2〜1.3とすることがより好ましい。このような数値範囲を満たす場合は、熱応力の散逸性能がより向上したものとなる。
<内枠2>
本発明の溶融シリコン用容器において、上記内枠2は耐熱性材料からなり、少なくとも側面部を有し、この側面部は複数の耐熱性板材(側面板)により構成される。内枠2は底面部を有する態様とすることもできる。図2は内枠2が側面部および底面部を有する場合を示しており、それぞれ複数の側面板2aと底面板2bとから構成されている。内枠の形状は、その断面が図1または図2に示すような四角形状に限られず、たとえば円筒形状や三角形状、五角形以上の多角形状などであってもよい。
図1および図2に示す構成の溶融シリコン用容器の上部の開口から、溶融シリコンを流し込み(注湯し)、この注湯した溶融シリコンを冷却により凝固させると、シリコンの体積が増加するために内枠2に応力が作用する。その際に、内枠2の側面部を構成する側面板2aが外枠1の内壁に沿って移動可能であるので、応力を緩和することができる。特に一方向凝固のように、溶融シリコン用容器の底面から開口にむけて順に冷却により凝固させていく場合、その応力緩和の効果が著しいものとなる。
シリコンを凝固させる際に、溶融シリコン用容器の内枠の壁面と凝固するシリコンとが固着する場合がある。したがって、本発明において、内枠2の内壁(溶融シリコンと接触する面)に離型材層を設けてもよい。このような離型材層は、たとえば、窒化珪素や二酸化珪素により形成することができ、内枠2の側面部または底面部を構成する板材ごとに設けるものである。しかしながら、少なくとも溶融シリコンを無制御で冷却する場合(たとえば1450℃〜1500℃に加熱された溶融シリコン400kgを注湯し、室温にて放
置した場合)には、凝固したシリコン塊の溶融シリコン用容器からの剥離が極めて容易であり、離型材層は不要であることが確認された。この要因としては、溶融シリコン全体の冷却が一般の一方向凝固に比べて早いことに加えて、冷却時に内枠を構成する板材が上述のように外枠の内壁に沿って動くことによって、シリコンと内枠の固着が抑制されたためと考えられる。
内枠2を構成する側面板2aまたは底面板2bとしては、カーボン材を用いることができる。このようなカーボン材を構成するカーボンの純度は特に限定されないが、いわゆる高純度黒鉛を用いることが好ましい。
溶融させたシリコンの出湯、特に多結晶シリコン基板の材料である原料シリコンに含まれるリンを主として除去するための精錬工程における真空条件下での溶融させたシリコンの出湯においては、従来、溶融シリコン用鋳型を構成する材料によるコンタミを防止する目的で、二酸化珪素からなる溶融シリコン用鋳型を用いることが一般的であった。しかしながら、このような二酸化珪素からなる溶融シリコン用鋳型は、出湯ごとに破損してしまい、多結晶シリコン基板の製造工程全体に与える製造効率の低下が無視できるものではなかった。また、本発明においては、上記溶融シリコン用鋳型からのコンタミ等について検討したところ、上記のようにリンを主として除去するための精錬工程において、カーボン材を用いる場合は、その後の工程によりこのようなコンタミの影響は取り除くことが可能であることがわかった。
図1および図2に示した本発明の溶融シリコン用容器の典型的な構造において、内枠は、少なくとも側面部を構成する4つの側面板を含み、内枠が底面部を有する場合は、さらに底面部を構成する底面板をあわせた少なくとも5つの板材からなる。底面部または側面部を構成する板材は、図2および後述する図4、図5および図6に示すように、それぞれ一の面が2以上の板材から構成される態様とすることもできる。このように一の面がそれぞれ2以上の板材を用いて底面部または側面部の構成部材とする場合、これらのカーボン板材は、互いに接触するが独立した、すなわち上述のように接合されていない構造とすることが望ましい。
上記側面部の一の面内、または底面部の面内を、1枚の側面板または底面板により構成してもよいし、2以上の板材により構成してもよい。側面部または底面部を構成する側面材または底面材は、1〜5の板材により構成することが好ましい。2以上の板材により側面部または底面部を構成する場合は、それら板材を側面部または底面部の面内を分割するように配置することが好ましく、たとえば、側面部の場合は、1つの側辺に対して平行な直線、および/または、側面部における1つの底辺に対して垂直な直線によって側面部の一の面内を分割するように板材を配置が好ましい(図3参照)。また、側面部を2以上の板材から構成する場合、側面部における底辺に対して平行な直線によって側面部の一の面内を分割するように板材を配置する構造とすることも好ましい(図4参照)。一方、底面部を2以上の板材から構成する場合、底面部の1辺に対して平行な直線により底面部を分割するように板材を配置する構造とすることが好ましい(図5参照)。
上記のようにある一の面を2以上の板材により構成する場合の例について、以下に図3〜図5を参照して説明する。
図3(a)は側面部が台形形状であって、4枚の板材により側面部の一面を構成する場合の一態様を示す概略図であり、4枚の側面板2aは、1本の側面部の底辺に対して垂直な直線3と、2本の側辺に平行な直線4とにより1の面を4分割するように配置されている。図3(b)は側面部が長方形状であって、2枚の板材により側面部の一面を構成する場合の一態様を示す概略図であり、2枚の側面板2aは、1本の側面部の底辺に対して垂
直な直線3により1の面を2分割するように配置されている。
図4(a)は側面部が台形形状であって、2枚の板材により側面部の一面を構成する場合の他の態様を示す概略図であり、2枚の側面板2aは、1本の側面部の底辺に対して平行な直線5により1の面を2分割するように配置されている。図4(b)は側面部が長方形状であって、3枚の板材により側面部の一面を構成する場合の一態様を示す概略図であり、3枚の側面板2aは、2本の側面部の底辺に対して平行な直線5により1の面を3分割するように配置されている。
内枠を構成する側面板が外枠に対して移動することによる応力緩和の原理について、図6(a)および図6(b)を用いて説明する。
図6(a)および図6(b)は図1における内枠Aと内枠Bを視点C方向から見た図であり、内枠Aは下部から上部に向けてZ方向(紙面手前から奥に向かう方向)に傾いていることになる。
内枠Aを構成する側面板の分割は「1つの側辺に対して平行な直線、および/または、側面部における1つの底辺に対して垂直な直線によって」分割したもの(図3(a)参照)と「底辺に対して平行な直線によって」分割したもの(図4(a)参照)を組み合わせたものである。
ただし、図6(a)および図6(b)のような分割は後述するX,Y,Z方向全ての応力についての緩和を1枚の図面に示すための例示であり、このような分割が必須であることを意味するものではない。
側面板Aを構成する側面板の1枚(2P)にかかる応力を考えると、溶融シリコンは凝固時に膨張するので、側面板2Pにかかる応力は(1)X方向(図6(a)および図6(b)における矢印方向)、(2)Y方向(図6(a)および図6(b)における矢印方向)、(3)Z方向(図6(a)および図6(b)における紙面手前から奥に向かう方向)の3成分で表すことができる。
このとき、側面板2Pが図6(b)のように外枠内壁に沿って移動することにより、X方向の応力は移動距離xによって緩和され、Y方向の応力は移動距離yによって緩和され、Z方向の応力は2PがY方向に移動することに伴ってZ方向に進むことにより緩和される。なお、溶融シリコン用容器がテーパを持たず、側面板がZ方向に傾きを持たない場合であっても、Z方向の応力は内枠Bを構成する側面板の移動により緩和されるので、特に問題は無い。
図5(a)は3枚の板材により底面部を構成する場合の一態様を示す概略図であり、3枚の底面板2bは、2本の底面部の1辺に対して平行な直線6により底面部を3分割するように配置されている。図5(b)は4枚の板材により底面部を構成する場合の一態様を示す概略図であり、4枚の底面板2bは、底面部の一辺に対して平行な直線7であって、それぞれの底面の辺に平行な2本の直線により底面部を4分割するように配置されている。ここで、図5(a)および図5(b)において、底面部形状を正方形としているが、これに限定されるものではなく、三角形、また長方形や六角形などの多角形およびそれらの角部を曲線で構成した(いわゆる「面取り」を行なった)もの、あるいは正円、楕円等が考えられる。
上記2以上の板材を一の面内を分割するように配置する配置方法は、上記例示に限られるものではなく、それらの配置方法を組み合わせて適用できることは言うまでもない。
上記内枠は、さらに、2以上の板材を側面部または底面部の厚み方向に2以上積層させた構造とすることもできる。特に、内枠の側面部を、厚み方向に2以上のカーボン板材を積層させた構造とする場合は、該溶融シリコン用容器に出湯された溶融シリコンが凝固する際に発生する熱応力を良好に散逸することができるので好ましい。この熱応力の散逸は、積層された2以上の板材が、互いに独立しており、接合点を有しないことから、発生する熱応力に対して自由度が高いためであると考察される。このような2以上の板材を積層させた構造を有する内枠を用いて溶融シリコンの一方向凝固を行なった場合、側面部内側の板材が凝固方向にずれることが観測されていることからも説明される。なお、本発明において、積層とは、複数の板材が重ねられた構造を特定するものであり、各板材同士は、嵌合構造や接着剤などによる接合点を有しないものとする。
上記板材の厚さは特に限定されるものではなく、任意の厚さとすることができる。ただし、カーボン材からなる板材を用いる場合は、溶融シリコンの注湯を大気雰囲気中などの酸素含有雰囲気中で行なう場合、カーボンが酸化消失するので、カーボン板材の厚さは、使用ごとに小さくなる傾向がある。よって、繰り返し使用する回数を考慮してその厚さを決定することが好ましく、たとえば5cm程度とすればよい。また、耐熱性と機械的強度の点からは、各カーボン板材の厚さは、4cm以上としておくことが望ましい。
また、上記内枠の側面部を、厚み方向に2以上の板材を積層させた構造とする場合、これらの板材間に、潤滑機能を付与しておくことが熱応力の散逸性能の点からより好ましい。潤滑機能を付与する方法としては、板材間にロウ剤を塗布したり、板材間に1μm〜10μmの粒子径を有する粒状物を配置したり、板材の接触面の少なくとも一方(内枠外周方向または外枠内壁方向)に、面内においてランダムまたは周期的な位置に突起(たとえば、直径が1μm〜10μmであるような半球状の凸部)を形成することで板材同士の接触面積を減少する方法などを例示することができる。潤滑機能を付与する方法としては、これらの例示に限定されない。また、外枠の内壁と内枠を構成する板材との間に、上記のような潤滑機能を付与しても、熱応力の散逸効果を得ることができる。なお、上記粒子径としては、たとえばレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により得られた値を採用することができる。
<外枠1>
本発明の溶融シリコン用容器において、外枠1は、耐熱性板材からなる内枠2の構造を維持するために用いるものであり、内枠2の構造を維持でき、かつ耐熱性を有する材料からなる。
本発明における外枠1を構成する耐熱性材料として上述の耐熱性セメントを用いた場合は、上記内枠2を構成する板材をカーボン板材とするとき、この組み合わせにおいて良好な耐熱性を奏するものとなる。
また、本発明の溶融シリコン用容器には、上記外枠1の底面部外側に移動用のタイヤを取り付けたり、あるいはクレーン使用のためのフックを外枠の側面部外側に設けたり、フォークリフト使用のためのフォーク差込口を底面部外側に設ける、付加的な構造物が追加されていても構わない。
本発明において、上記外枠は底面部と側面部とが一体化されたものであることが好ましく、底面部と各側面部を構成する部材を嵌合構造などにより一体化してもよく、底面部と各側面部を同一の部材により形成することで一体化したものとすることができる。なかでも、内枠の構造を保持する点からは、外枠の底面部と側面部とは同一の部材により形成した一体化された状態であることが望ましい。
また、耐熱性および熱応力への耐性の観点からは、本発明においては上記外部鋳型は、内部鋳型の全側面および底面を包囲する形状とすることが望ましい。
<シリコンの保管方法および精製方法>
本発明の溶融シリコン用容器は、溶融シリコンを収納して輸送したり、溶融シリコンを凝固させた状態で保管するためにも用いることができ、また、溶融シリコン用容器から取り出したシリコン塊は後述の凝固工程以外の他の精製工程の原料シリコンや太陽電池用シリコン原料として用いることができる。さらに、シリコンの精製における一方向凝固を行なう工程に用いることができ、該溶融シリコン用容器を用いることによってシリコンの精製効率を結果として向上させることができる。シリコンの精製方法としては、従来公知の方法のいずれにおいても適用することができる。以下、本発明の溶融シリコン用容器を用いた溶融シリコンの保管方法(実施形態1)および一方向凝固(実施形態2)について一例を挙げて説明する。
<実施形態1>
各精製工程において溶融されたシリコンを一方向凝固するために、図2に示すように、L1=100cm、L2=80cmの厚さ5cmであって、耐熱性材料である耐熱性セメントからなる外枠1を用意し、その内側に、内枠2の底面部として2枚のカーボン板材を底面部に沿って平行に並べ、各側面部として2枚のカーボン板材を側面部に沿って平行に並べて溶融シリコン用容器を形成する。各カーボン部材の厚さは5cmとする。この溶融シリコン用容器に、1500℃で溶融したシリコンを30L/分の流速で、全体積が120Lとなるように出湯させる。この出湯は、大気雰囲気中で行なってもよく、真空中あるいは、たとえばアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下において行なってもよい。
<実施形態2>
次に、本発明の溶融シリコン用容器を用いた一方向凝固について述べる。一方向凝固の方法としては、従来公知の方法を用いることができるが、たとえば図7(a)および図7(b)に示すような方法が簡便に使用される。
図7(a)は上記実施形態1と同様の溶融シリコン用容器に対して、外枠1の少なくとも側面を黒鉛フェルトなどの断熱部材8で覆い、水冷ジャケットなどの冷却機構を備えた台座9上に載置した状態を示している。この状態において、上記実施形態1と同様に溶融シリコン10の注湯を行い、図7(b)に示すように、抵抗加熱ヒータなどの加熱機構11によって溶融シリコン上面を加熱しつつ、溶融シリコン用容器の下部を冷却する。
ここで、台座8の冷却性能(たとえば水冷ジャケットの冷却水量)および加熱機構11の加熱性能(たとえば抵抗加熱ヒータの電力量)を適宜制御することで、溶融シリコン10を下方から上方に向けて凝固することができ、シリコン精製(不純物金属の除去)を行なうことができる。
本実施形態2においては、得られたシリコン塊と内枠との剥離は実施形態1ほど良好ではなかったが、内枠2が分割された多数の板材から構成されているので、シリコン塊と固着した部分の板材だけを交換すればよく、大部分は連続使用が可能であることが分かった。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えら
れるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の溶融シリコン用容器は、溶融シリコンを凝固する際に用いる耐熱性容器として有用である。
1 外枠、2 内枠、2a 側面板、2b 底面板、3 側面部の底辺に対して垂直な直線、4 側辺に平行な直線、5 側面部の底辺に対して平行な直線、6 底面部の1辺に対して平行な直線、7 底面部の一辺に対して平行な直線。

Claims (10)

  1. 耐熱性材料からなる内枠と前記内枠の外面を囲む耐熱性を有する外枠とを備え、前記内枠と前記外枠のうち少なくとも前記外枠は底面部を有し、前記内枠および前記外枠の上部が開口した構造を有する溶融シリコン用容器であって、
    前記内枠は少なくとも側面部を有し、その側面部は複数の耐熱性材料からなる側面板により構成され、
    前記側面板は、前記外枠の内壁に沿って移動可能であることを特徴とする溶融シリコン用容器。
  2. 前記複数の側面板は、互いに接合されておらず、
    前記側面板と外枠の側面部とは接合されていない、請求項1に記載の溶融シリコン用容器。
  3. 前記内枠は底面部を有し、その底面部は耐熱性材料からなる底面板により構成されている、請求項1または2に記載の溶融シリコン用容器。
  4. 前記内枠における側面板または底面板はカーボン材からなる、請求項1から3のいずれかに記載の溶融シリコン用容器。
  5. 前記外枠の内壁の側断面は、上底が下底より長い台形形状である請求項1から4のいずれかに記載の溶融シリコン用容器。
  6. 前記内枠における側面部の少なくとも一面を構成する側面板および前記内枠における底面板のうち少なくともいずれかは、2以上の板材からなる請求項1から5のいずれかに記載の溶融シリコン用容器。
  7. 前記2以上の板材は、前記内枠における側面部の一面または底面部の少なくともいずれか一の面を分割するように配置される、請求項6に記載の溶融シリコン用容器。
  8. 前記2以上の板材は、前記内枠の側面部の厚み方向に沿って積層される、請求項6または7に記載の溶融シリコン用容器。
  9. 前記外枠の内壁面と前記内枠の側面板との間に、耐熱性材料からなる板材が挟持される、請求項1から8のいずれかに記載の溶融シリコン用容器。
  10. 溶融したシリコンを流し込み、凝固するために用いられる、請求項1から9のいずれかに記載の溶融シリコン用容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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