JP2010173304A - インクジェット記録装置及びその管理方法並びにその管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】処理液塗布の異常を精度よく検出できるインクジェット記録装置及びその管理方法並びに管理システムを提供する。
【解決手段】通常の画像の記録手順と同じ手順で記録媒体に所定の細線からなるテストパターンを記録する。そして、記録されたテストパターンの画像を読み取り、読み取ったテストパターンの画像から各細線の幅を求める。そして、求めた各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を求め、求めた変化量又は変化率に基づいて処理液の塗布異常の有無を判定する。
【選択図】図20
【解決手段】通常の画像の記録手順と同じ手順で記録媒体に所定の細線からなるテストパターンを記録する。そして、記録されたテストパターンの画像を読み取り、読み取ったテストパターンの画像から各細線の幅を求める。そして、求めた各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を求め、求めた変化量又は変化率に基づいて処理液の塗布異常の有無を判定する。
【選択図】図20
Description
本発明は、インクジェット記録装置及びその管理方法並びにその管理システムに係り、特にインクジェットヘッドからインク液滴を吐出させて記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置及びその管理方法並びにその管理システムに関する。
近年、印刷業界では小部数印刷の需要が高まりを見せている。旧来から用いられてきたオフセット印刷の方式では、版を作成する必要があり、小部数印刷を行う際には、時間及びコストの面で障害となっていた。一方、版を作成しないプリント・オン・デマンド方式の印刷方法としては、電子写真方式が挙げられる。しかしながら、この方式ではランニングコストが高い、生産性が低いという問題点が存在する。
上記問題点を解決できる方式として、インクジェットを用いた記録方式が挙げられる。インクジェット記録方式は、電子写真方式と比較すると安価であり、生産性も高い。インクジェット記録方式は、個人用途のホームプリンタをはじめ、業務用途のオフィスプリンタとしても広く使用されてきている。
しかしながら、印刷に使用する場合には、コート紙などの印刷用紙に対応できることが必須であるが、このような印刷用紙はインクの浸透が遅いため、インクジェット方式で記録した場合、連続してドットを隣接して重ねて打滴すると、記録媒体上のインク液滴同士が、その表面張力によって合一して、所望のドットが形成できなくなるブリード(着弾干渉)の問題が発生する。同一色のドット同士の場合は、ドット形状が崩れてしまい、異なる色のドット同士の場合は、さらに混色の問題も加えて発生する。
上記ブリードを抑えるために、これまで各種の方法が提案されている。
たとえば、特許文献1では、中間転写媒体上へインクとの反応で膨潤・増粘・剥離可能な粉末層(水溶性樹脂)を付与することで、浸透性記録媒体へ高速で滲みを防止することを可能としている。
しかし、この方法では、次のような問題がある。(1)インク中の色材を積極的に凝集させていないので、インク液滴を高速(10kHz以上)に打滴すると、膨潤・増粘が間に合わずに、上記の着弾干渉が発生する。(2)転写された画像形成層はインク溶媒を膨潤・吸収しているので画像部の厚さが厚くなる、いわゆる、パイルハイトの問題もある。画像厚みが厚くなると、印字部と非印字部の境界部の見え方が変わってしまうという画質的な問題だけでなく、その部分を触った際に段差を感じてしまうといった問題も発生する。(3)転写された画像形成層には、インク溶媒が吸収されているため、このインク溶媒が転写後、紙面にしみ出し、紙の変形(いわゆるコックリング)が発生する。(4)中間転写体を用いるので、システムが複雑となる。上記(2)、(3)は、いずれもインク溶媒を含有したまま、最終記録媒体(紙)に画像を形成したために発生する問題である。
また、特許文献2、3には凝集反応を用いてブリードを回避する方法が開示されている。そして、特許文献2には、反応液として多価金属を用いる技術が開示されており、特許文献3には、処理液とインクのうち、一方を酸性、他方をアルカリ性にして、紙面上における顔料凝集性を制御し、結果的に光学濃度・滲み・ブリード(色間滲み)・乾燥時間を改善するという技術が開示されている。これらの方法では、転写方式を使う必要がなく、簡便なシステムが構築可能である。
さらに、インクジェット方式で高生産性を付与するためには、シングルパス方式で画像形成することが必要である。シングルパス方式は、インクジェットヘッドと基材の相対位置関係を1方向のみに変化させる方式であり、民生機などで使用されているシャトルスキャン方式と比較して、高速印画が可能である。
しかしながら、シングルパス方式では、吐出しないノズルまたは吐出曲がりを起こしたノズルが存在すると、抜けた部分が非常に目立つという欠点を有している。
特開平11−188858号公報
特開2000-037942号公報
特開2004−10633号公報
特開平4−39041号公報
上記のように、インクジェット記録方式を印刷に適用する場合、凝集方式を用いて、シングルパスで描画することが好ましい態様である。
ただし、この方式の課題として、処理液の塗布をムラ無く均一に行うことが重要である。なぜなら、処理液塗布にムラが生じると、インクの打滴工程で、インク滴が着弾した際、処理液の濃度差により、インク凝縮の強さに差が生じ、画像濃度の差となって、ムラが生じるためである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、処理液塗布の異常を精度よく検出できるインクジェット記録装置及びその管理方法並びにその管理システムを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、所定の搬送経路を搬送される記録媒体に処理液塗布部で塗布ローラを当接させて、前記記録媒体に所定の処理液を塗布したのち、描画部でインクジェットヘッドからインク滴を吐出させて、前記記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置の管理方法において、前記処理液塗布部で前記記録媒体に前記処理液を塗布する工程と、前記記録媒体の搬送方向と平行な線分を前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成されたテストパターンの画像を前記描画部で前記記録媒体に形成する工程と、前記記録媒体に形成されたテストパターンの画像を読み取る工程と、読み取ったテストパターンの画像から各線分の幅を求める工程と、求めた各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を求める工程と、求めた各線分の変化量又は変化率に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する工程と、からなることを特徴とするインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明では、処理液塗布部で記録媒体に所定の処理液を塗布したのち、描画部で記録媒体に所定のテストパターンを形成する。このテストパターンは、記録媒体の搬送方向と平行な線分を記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成される。このテストパターンを記録媒体に形成後、形成されたテストパターンの画像を読み取り、読み取ったテストパターンの画像から各線分の幅を求める。そして、求めた各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を求め、求めた変化量又は変化率に基づいて処理液塗布部の異常の有無を判定する。すなわち、たとえば、求めた変化量が一定以上の場合に処理液塗布部に異常ありと判定する。あるいは、求めた変化率が一定の場合に処理液塗布部に異常ありと判定する。これにより、処理液塗布の異常を精度よく検出することができる。
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラの外周以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明によれば、テストパターンを構成する各線分の長さが、塗布ローラの外周以上に設定される。これにより、塗布ローラの一部に劣化等が生じている場合であっても、その劣化等に基づく、塗布の異常を精度よく検出することができる。
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、複数のローラを介して前記塗布ローラに処理液が供給される場合において、前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラを含めた前記複数のローラの中で最大径のローラの外周以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明によれば、複数のローラを介して塗布ローラに処理液が供給される場合において、テストパターンを構成する各線分の長さが、塗布ローラを含めた複数のローラの中で最大径のローラの外周以上に設定される。これにより、処理液の塗布に関わるローラの一部に劣化等が生じている場合であっても、その劣化等に基づく、塗布の異常を精度よく検出することができる。
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記テストパターンは、隣り合う線分が、前記記録媒体の搬送方向にずらされて、多段階で形成され、フルラインタイプのインクジェットヘッドの全ノズルを使用して前記記録媒体に形成されるように設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明によれば、テストパターンは、隣り合う線分が、記録媒体の搬送方向にずらされて、多段階で形成され、フルラインタイプのインクジェットヘッドの全ノズルを使用して記録媒体に形成されるように設定される。これにより、記録媒体の搬送方向と直交する方向の全域において処理液の塗布異常を精度よく検出することができる。
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、読み取ったテストパターンの画像から各線分の長さ方向の幅の変動を求める工程と、求めた各線分の長さ方向の幅の変動に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する工程と、を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明では、さらに、読み取ったテストパターンの画像から各線分の長さ方向の幅の変動を求め、求めた各線分の長さ方向の幅の変動に基づいて、処理液塗布部の異常の有無が判定される。これにより、塗布に関わるローラの周方向の異常を検出することができる。
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、隣接する所定本数分の線分の幅の変化量又は変化率が、すべて許容範囲を超える場合に前記処理液塗布部の異常と判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明によれば、隣接する所定本数分の線分の幅の変化量又は変化率が、すべて許容範囲を超える場合に処理液塗布部の異常と判定する。これにより、インクジェットヘッドの異常と区別でき、処理液塗布部の異常のみを精度よく検出することができる。
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、求めた各線分の変化量又は変化率が許容範囲を超えた場合に前記処理液塗布部の異常と判定する場合において、前記許容範囲を設定する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法を提供する。
本発明によれば、線分の変化量又は変化率が、許容範囲を超えた場合に処理液塗布部の異常と判定する場合に、その許容範囲をユーザが任意に設定することができる。
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、所定の搬送経路を搬送される記録媒体に処理液塗布部で塗布ローラを当接させて所定の処理液を塗布したのち、描画部でインクジェットヘッドからインク滴を吐出させて画像を形成するインクジェット記録装置において、前記記録媒体の搬送方向と平行な線分を前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成されたテストパターンのデータが格納されたテストパターンデータ格納手段と、前記インクジェットヘッドの駆動を制御して、前記記録媒体に前記テストパターンの画像を形成させる制御手段と、前記記録媒体に形成されたテストパターンの画像を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の幅を計測する線幅計測手段と、前記線幅計測手段で計測された各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された各線分の変化量又は変化率に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、処理液塗布部で所定の処理液が塗布されたのち、描画部で所定のテストパターンが記録媒体に形成される。このテストパターンは、記録媒体の搬送方向と平行な線分を記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成される。描画部で形成されたテストパターンの画像は読取手段で読み取られ、その読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の幅が線幅計測手段で計測される。そして、その線幅計測手段で計測された各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率が演算手段で算出され、算出された変化量又は変化率に基づいて、処理液塗布部の異常の有無が判定手段で判定される。これにより、処理液塗布の異常を精度よく検出することができる。
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラの外周以上であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、テストパターンを構成する各線分の長さが、塗布ローラの外周以上に設定される。これにより、塗布ローラの一部に劣化等が生じている場合であっても、その劣化等に基づく、塗布の異常を精度よく検出することができる。
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、複数のローラを介して前記塗布ローラに前記処理液が供給され、前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラを含めた前記複数のローラの中で最大径のローラの外周以上であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、複数のローラを介して塗布ローラに処理液が供給される場合において、テストパターンを構成する各線分の長さが、塗布ローラを含めた複数のローラの中で最大径のローラの外周以上に設定される。これにより、処理液の塗布に関わるローラの一部に劣化等が生じている場合であっても、その劣化等に基づく、塗布の異常を精度よく検出することができる。
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記テストパターンは、隣り合う線分が、前記記録媒体の搬送方向にずらされて、多段階で形成され、フルラインタイプのインクジェットヘッドの全ノズルを使用して前記記録媒体に形成されるように設定されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、テストパターンは、隣り合う線分が、記録媒体の搬送方向にずらされて、多段階で形成され、フルラインタイプのインクジェットヘッドの全ノズルを使用して記録媒体に形成されるように設定される。これにより、記録媒体の搬送方向と直交する方向の全域において処理液の塗布異常を精度よく検出することができる。
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、読み取ったテストパターンの画像から各線分の長さ方向の幅の変動を計測する幅変動計測手段と、前記幅変動計測手段で計測された各線分の長さ方向の幅の変動に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する第2の判定手段と、を備えたことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
本発明では、さらに、読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の長さ方向の幅の変動が幅変動計測手段で計測される。そして、計測された各線分の長さ方向の幅の変動に基づいて、処理液塗布部の異常の有無が第2の判定手段で判定される。これにより、塗布に関わるローラの周方向の異常を検出することができる。
請求項13に係る発明は、前記目的を達成するために、前記判定手段は、隣接する所定本数分の線分の幅の変化量又は変化率が、すべて許容範囲を超える場合に前記処理液塗布部の異常と判定することを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、隣接する所定本数分の線分の幅の変化量又は変化率が、すべて許容範囲を超える場合に処理液塗布部の異常と判定される。これにより、インクジェットヘッドの異常と区別でき、処理液塗布部の異常のみを精度よく検出することができる。
請求項14に係る発明は、前記目的を達成するために、前記判定手段は、前記演算手段で算出された各線分の変化量又は変化率が許容範囲を超えた場合に前記処理液塗布部の異常と判定し、前記許容範囲を設定する許容値設定手段を備えたことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、線分の変化量又は変化率が、許容範囲を超えた場合に処理液塗布部の異常と判定する場合に、その許容範囲をユーザが任意に設定することができる。
請求項15に係る発明は、前記目的を達成するために、所定の搬送経路を搬送される記録媒体に処理液塗布部で塗布ローラを当接させて所定の処理液を塗布したのち、描画部でインクジェットヘッドからインク滴を吐出させて画像を形成するインクジェット記録装置であって、前記記録媒体の搬送方向と平行な線分を前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成されたテストパターンのデータが格納されたテストパターンデータ格納手段と、前記インクジェットヘッドの駆動を制御して、前記記録媒体に前記テストパターンの画像を形成させる制御手段と、前記記録媒体に形成されたテストパターンの画像を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の幅を計測する線幅計測手段と、前記線幅計測手段で計測された各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された各線分の変化量又は変化率に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する判定手段と、前記読取手段で読み取られたテストパターンの画像データを送信する送信手段と、を備えたインクジェット記録装置と、前記送信手段から送信されたテストパターンの画像データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたテストパターンの画像データを格納する格納手段と、を備えた管理装置と、からなることを特徴とするインクジェット記録装置の管理システムを提供する。
本発明によれば、インクジェット記録装置では、処理液塗布部で所定の処理液が塗布されたのち、描画部で所定のテストパターンが記録媒体に形成される。このテストパターンは、記録媒体の搬送方向と平行な線分を記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成される。描画部で形成されたテストパターンの画像は読取手段で読み取られ、その読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の幅が線幅計測手段で計測される。そして、その線幅計測手段で計測された各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率が演算手段で算出され、算出された変化量又は変化率に基づいて、処理液塗布部の異常の有無が判定手段で判定される。一方、管理装置では、インクジェット記録装置の読取手段で読み取られたテストパターンの画像データを収集し、これを管理する。これにより、インクジェット記録装置で生じた処理液の塗布異常を遠隔管理することができる。
本発明によれば、処理液塗布精度を担うローラのコンディションを監視して、その交換時期を的確に検出することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係るインクジェット記録装置及びその管理方法並びにその管理システムの好ましい実施の形態について詳細に説明する。
≪インクジェット記録装置の構成≫
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す構成図である。
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す構成図である。
同図に示すインクジェット記録装置1は、あらかじめ所定サイズに裁断された記録媒体22の記録面にインク滴を打滴して画像を形成する装置であり、主として、記録媒体22を給紙する給紙部10と、給紙部10から給紙された記録媒体22の記録面に所定の処理液を塗布する処理液塗布部12と、処理液が塗布された記録媒体22の記録面にインク滴を打滴して画像を描画する描画部14と、画像が描画された記録媒体22の記録面を乾燥させる乾燥部16と、記録面に形成された画像を定着させる定着部18と、記録面に形成された画像を読み取る画像読取部19と、画像が記録された記録媒体22を回収する排紙部20とで構成されている。
記録媒体22は、給紙部10から給紙され、所定の搬送経路を通って処理液塗布部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、画像読取部19、排紙部20の各部に搬送される。
なお、各部の間には、中間搬送部24、26、28が設けられており、この中間搬送部24、26、28によって、各部の間で記録媒体22の受け渡しが行われる。具体的には、処理液塗布部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1中間搬送部24によって処理液塗布部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。また、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部16と定着部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3中間搬送部28によって乾燥部16から定着部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
以下、インクジェット記録装置1の各部(給紙部10、処理液塗布部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、排紙部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28)の構成について説明する。
<給紙部>
給紙部10は、処理液塗布部12に1枚ずつ記録媒体22を給紙する処理を行う。
給紙部10は、処理液塗布部12に1枚ずつ記録媒体22を給紙する処理を行う。
給紙部10は、図1に示すように、記録媒体22を格納するマガジン40と給紙トレイ50を備えて構成されている。
マガジン40は、記録媒体22を積層させた状態で格納する。このマガジン40には、図示しない給紙機構が備えられている。マガジン40に格納された記録媒体22は、この給紙機構によって上から順に1枚ずつ給紙トレイ50に給紙される。そして、給紙トレイ50から処理液塗付部12に給紙される。
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置1で使用する記録媒体の種類は、特に限定されないが、本例では、マットコート紙(たとえば、日本製紙株式会社製「ユーライト」)が使用されるものとする。
<処理液塗布部>
処理液塗布部12は、給紙部10から給紙された記録媒体22の記録面に処理液を塗布する処理を行う。
<処理液塗布部>
処理液塗布部12は、給紙部10から給紙された記録媒体22の記録面に処理液を塗布する処理を行う。
この処理液は、後段の描画部14で付与するインク中の色材(顔料)を凝集又は析出させる作用を有する色材凝集剤を含有している。インクは、この処理液と接触することにより、色材と溶媒との分離が促進される。
なお、処理液は、非カール性溶剤を添加することが好ましく、その非カール性溶剤の具体的な例としては、アルコール(たとえば、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(たとえば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(たとえば、ホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。
また、上記の有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらの有機溶剤は、処理液中に、1〜50質量%含有されることが好ましい。
図1に示すように、処理液塗布部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、温風噴出しノズル58及びIRヒータ60を備えて構成されている。
渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、給紙部10から給紙された記録媒体22を処理液ドラム54に受け渡す。この渡し胴52は、ドラム状に形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する。なお、渡し胴52の代わりに、後述する中間搬送部を設けてもよい。
処理液ドラム54は、渡し胴52から記録媒体22を受け取り、回転搬送して、第1の中間搬送部24の中間搬送体30に受け渡す。この処理液ドラム54は、図示しないモータに駆動されて回転し、そのモータの駆動は、図示しないモータドライバで制御される。
処理液ドラム54の周面には、グリッパが備えられており、記録媒体22は、このグリッパに先端部を把持されて、回転搬送される。この際、記録媒体22は、その記録面が外側に向けられて、回転搬送される。
なお、本例の処理液ドラム54には、周面の2カ所にグリッパが設けられており、2カ所で記録媒体22を保持できるように構成されている。グリッパの設置数は、これに限定されるものではなく、ドラムの外径等を考慮して設定される。
また、本例の処理液ドラム54は、その周面が平滑に形成されるが、周面に多数の吸引孔を設け、その吸引孔からエアを吸引することにより、記録媒体22を周面に吸着保持できる構成としてもよい。これにより、記録媒体22を処理液ドラム54の周面に密着させて搬送することができる。
処理液塗布装置56と、温風噴出しノズル58と、IRヒータ60は、この処理液ドラム54の周面に対向して設けられており、処理液ドラム54の回転方向に対して、上流側から処理液塗布装置56、温風噴出しノズル58、IRヒータ60の順で配設されている。
図2は、処理液塗布装置56の概略構成図である。図2に示すように、処理液塗布装置56は、主として、塗布ローラ62と、計量ローラ64と、ドクターブレード66と、処理液容器68とで構成される。
塗布ローラ62は、処理液ドラム54によって回転搬送される記録媒体22の記録面に押圧当接して、記録媒体22の記録面に処理液を塗布するローラである。この塗布ローラ62は、処理液ドラム54と平行に設けられており、その両端部を処理液塗布装置56の本体フレーム56Aに設けられた図示しない軸受に回転自在に支持されている。そして、図示しない塗布ローラ駆動モータに駆動されて、図中矢印方向(時計回り方向)に回転する。
なお、塗布ローラ62には、一般的な構成のものを用いることができ、たとえば、グラビアローラを用いることができる。
計量ローラ64は、塗布ローラ62に処理液を付与するローラであり、その周面に付与された処理液を塗布ローラ62の周面に転写させて供給する。この計量ローラ64は、塗布ローラ62と平行に設けられており、その両端部を処理液塗布装置56の本体フレーム56Aに設けられた図示しない軸受に回転自在に支持されている。そして、その周面が塗布ローラ62の周面に押圧当接されるとともに、一部が処理液容器68に貯留された処理液に浸漬されている。これにより、計量ローラ64は、塗布ローラ62が回転すると、塗布ローラ62と共に回転し、その周面に処理液が付与される。そして、その周面に付与された処理液が、塗布ローラ62との当接部で塗布ローラ62に転写され、塗布ローラ62の周面に処理液が付与される。
なお、計量ローラ64には、一般的な構成のものを用いることができ、たとえば、表面に微細な凹凸が形成されたアニロックスローラや、外周面に細いワイヤを螺旋状に巻回したワイヤローラ(スパイラルローラ)等を用いることができる。
ドクターブレード66は、計量ローラ64の周面に当接して設けられており、計量ローラ64の周面に付与された処理液を掻き取って、計量ローラ64に付与された処理液の厚さを所定厚さに揃える(すなわち、計量する)。このドクターブレード66は、計量ローラ64と平行に設けられており、その両端部を処理液塗布装置56の本体フレーム56Aに設けられた図示しないブラケットに固定されている。計量ローラ64の周面に付与された処理液は、このドクターブレード66で所定厚さに調整されたのち、塗布ローラ62に付与される。したがたって、ドクターブレード66は、計量ローラ64の回転方向に対して、処理液容器68の下流側かつ塗布ローラ62の上流側に取り付けられる。
処理液容器68は、計量ローラ64に付与するための処理液を貯留する容器であり、処理液塗布装置56の本体フレーム56Aに水平に取り付けられている。この処理液容器68には、図示しない循環供給配管を介して図示しない処理液供給タンクから処理液が循環供給され、常に一定量の処理液が貯留されるように構成されている。上記のように、計量ローラ64は、この処理液容器68に貯留された処理液に一部が浸漬するようにして設けられている。また、ドクターブレード66によって計量ローラ64の周面から掻き落とされた処理液は、この処理液容器68に回収される。
処理液塗布装置56の本体フレーム56Aは、処理液ドラム54に対して所定の移動ストロークで進退移動自在に設けられており、図示しないアクチュエータ(シリンダ等)に駆動されて、処理液ドラム54に対して進退移動する。塗布ローラ62は、この本体フレーム56Aが、処理液ドラム54に対して進退移動することにより、所定の塗布位置と退避位置との間を移動する。そして、塗布位置に移動することにより、処理液ドラム54の周面に押圧当接され、退避位置に移動することにより、処理液ドラム54から離間する。通常、塗布ローラ62は、退避位置で待機する。そして、記録媒体22の通過タイミングに合わせて塗布位置に移動し、記録媒体22の記録面に処理液を塗布する。
処理液塗布装置56は、以上のように構成される。この処理液塗布装置56の作用は次のとおりである。
塗布ローラ62を回転駆動すると、塗布ローラ62に押圧当接された計量ローラ64が回転する。計量ローラ64が回転すると、その周面が処理液容器68に貯留された処理液の中を通過し、計量ローラ64の周面に処理液が供給される。計量ローラ64の周面に供給された処理液は、ドクターブレード66で余剰分が掻き落とされ、所定厚さに調整(計量)される。そして、この所定厚さに計量された処理液が、塗布ローラ62との当接部で塗布ローラ62に転写され、塗布ローラ62の周面に所定の厚さで処理液が付与される。
このようにして塗布ローラ62の周面に所定の厚さで付与された処理液は、記録媒体22の通過に合わせて、塗布ローラ62を待機位置から塗布位置に移動させることにより、記録媒体22の記録面に塗布される。
なお、記録媒体22の記録面に塗布する処理液の膜厚は、後述する描画部14のインクジェットヘッド72C、72M、72Y、72K(図1参照)から打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。たとえば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インクの打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
また、処理液は、記録媒体22の記録面に一度で塗布することから、塗布ローラ62及び計量ローラ64の軸方向の長さは、記録面に塗布する処理液の塗布幅以上に形成される。
なお、上記の例では、1本の塗布ローラで記録媒体に処理液を塗布する構成としているが、複数本の塗布ローラを用いて記録媒体に処理液を塗布する構成としてもよい。
たとえば、2本の塗布ローラを用いて記録媒体に処理液を塗布する構成としてもよい。この場合、たとえば、図3に示すように、第1の塗布ローラ62Aの外周面に残った処理液を中間ローラ65を介して第2の塗布ローラ62Bに付与し、その第2の塗布ローラ62Bで記録媒体22の記録面に重ね塗りする構成とすることができる。なお、同図に示す例では、計量ローラ64から中間ローラ67を介して第1の塗布ローラ62Aに処理液を付与する構成としているが、計量ローラ64から第1の塗布ローラ62Aに直接付与する構成とすることもできる。
また、たとえば、図4に示すように、第1の塗布ローラ62Aと第2の塗布ローラ62Bとの間に中間ローラ69を配置し、その中間ローラ69に計量ローラ64から処理液を付与して、第1の塗布ローラ62Aと第2の塗布ローラ62に処理液を付与する構成とすることもできる。
このように、処理液を塗布ローラで塗布する構造は、特に限定されるものではなく、種々の構造を採用することができる。
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、図5に示すように、温風噴出しノズル58とIRヒータ60の下方を通過して搬送される。
温風噴出しノズル58は、処理液ドラム54によって回転搬送される記録媒体22に向けて、高温(たとえば70℃)の温風を一定の風量(たとえば9m3/分)で吹き付けるように構成される。
一方、IRヒータ60は、処理液ドラム54によって回転搬送される記録媒体22に向けて、高温(たとえば180℃)の熱を放射するように構成される。
この温風噴出しノズル58とIRヒータ60による加熱によって、記録媒体22の記録面に塗布された処理液の溶媒中の水分が蒸発され、記録媒体22の記録面に処理液の薄膜層が形成される。そして、このように処理液を薄層化することにより、描画部14で打滴するインクのドットが、記録媒体22の記録面と接触し、必要なドット径が得られるとともに、薄層化した処理液成分と反応して、色材凝集が起こり、記録媒体22の記録面に固定する作用が得られやすくなる。
なお、処理液ドラム54を所定の温度(たとえば50℃)に制御するようにしてもよい。
<中間搬送部>
次に、第1の中間搬送部24の構成について説明する。なお、第2の中間搬送部26と第3の中間搬送部28の構成は、第1の中間搬送部24の構成と同じなので、その説明は省略する。
次に、第1の中間搬送部24の構成について説明する。なお、第2の中間搬送部26と第3の中間搬送部28の構成は、第1の中間搬送部24の構成と同じなので、その説明は省略する。
図6に示すように、第1の中間搬送部24は、主として、中間搬送体30を備えて構成される。
中間搬送体30は、中空のドラム状に形成されており、前段のドラム(処理液ドラム54)から記録媒体22を受け取り、回転搬送させて、後段のドラム(描画ドラム70)に受け渡す。この中間搬送体30は、図示しないモータに駆動されて回転し、そのモータの駆動は、図示しないモータドライバで制御される。
中間搬送体30の周面には、グリッパ34が備えられており、記録媒体22は、このグリッパ34に先端部を把持されて、回転搬送される。この際、記録媒体22は、その記録面が内側に向けられて、回転搬送される。
なお、本例の処理液ドラム54には、周面の2カ所にグリッパが設けられており、2カ所で記録媒体22を保持できるように構成されている。グリッパの設置数は、これに限定されるものではなく、ドラムの外径等を考慮して設定される。
第1の中間搬送部24は、以上のように構成される。記録媒体22は、前段のドラム(処理液ドラム54)から中間搬送体30に受け渡され、中間搬送体30で回転搬送されて、後段のドラム(描画ドラム70)に受け渡される。この際、記録媒体22は、先端部をグリッパ34に把持されて、中間搬送体30に回転搬送される。
<描画部>
描画部14は、処理液が塗布された記録媒体22の記録面にインク滴を打滴して、画像を形成する処理を行う。
描画部14は、処理液が塗布された記録媒体22の記録面にインク滴を打滴して、画像を形成する処理を行う。
図6に示すように、描画部14は、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kとで構成される。
インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kは、それぞれシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロ(Y)、黒(K)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向(図6において反時計回り方向)に対して、上流側からシアン、マゼンダ、イエロ、黒の順で配置される。
描画ドラム70は、第1の中間搬送部24の中間搬送体30から記録媒体22を受け取り、回転搬送して、第2の中間搬送部26の中間搬送体30に受け渡す。この描画ドラム70は、図示しないモータに駆動されて回転し、そのモータの駆動は、図示しないモータドライバで制御される。
描画ドラム70の周面には、グリッパ73が備えられており、記録媒体22は、このグリッパ73に先端部を把持されて、回転搬送される。この際、記録媒体22は、その記録面が外側に向けられて、回転搬送される。
なお、本例の描画ドラム70には、周面の2カ所にグリッパが設けられており、2カ所で記録媒体22を保持できるように構成されている。グリッパの設置数は、これに限定されるものではなく、ドラムの外径等を考慮して設定される。
記録媒体22は、この描画ドラム70による搬送過程で記録面にインクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kからインクが付与されて、記録面に画像が形成される。
インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kはそれぞれ、記録媒体22における画像記録領域の最大幅に対応する長さを有するフルラインタイプのインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像記録領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
このように構成された各インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kから、対応する色インクの液滴が、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向けて吐出される。これにより、処理液塗布部12であらかじめ記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。また、これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液塗布部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
なお、インクと処理液の反応の一例として、処理液に酸を含有させPHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避することが考えられる。
記録媒体22の画像記録領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、描画ドラム70によって記録媒体22を一定の速度で搬送し、この搬送方向(副走査方向)について、記録媒体22と各インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録媒体22の画像記録領域に画像を記録することができる。かかるフルラインタイプのヘッドによるシングルパス方式の画像記録は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速描画が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
また、各インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダ(不図示)に同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、あらかじめ描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダで得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
さらに、各インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させて実施するとよい。
また、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては、本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。たとえば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
<インクジェットヘッドの構造>
次に、各インクジェットヘッドの構造について説明する。色別のインクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号500によってインクジェットヘッドを示すものとする。
次に、各インクジェットヘッドの構造について説明する。色別のインクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号500によってインクジェットヘッドを示すものとする。
図9(a)は、インクジェットヘッド500の構造例を示す平面透視図であり、図9(b) は、その一部の拡大図である。
記録媒体22上に描画されるドットピッチを高密度化するためには、インクジェットヘッド500におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクジェットヘッド500は、図9(a)、(b) に示したように、インク吐出口であるノズル502と、各ノズル502に対応する圧力室504等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)508を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体22の搬送方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体22の搬送方向(図9中矢印S)と略直交する方向(図9中矢印M)に記録媒体22の画像記録領域の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は図示の例に限定されない。たとえば、図9(a) の構成に代えて、図10に示すように、複数のノズル502が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール500’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体22の画像記録領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル502に対応して設けられている圧力室504は、その平面形状が概略正方形となっており(図9(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル502への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)506が設けられている。なお、圧力室504の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図11は、インクジェットヘッド500における記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル502に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図9(a) 中の11−11線に沿う断面図)である。
図11に示したように、各圧力室504は供給口506を介して共通流路510と連通されている。共通流路510はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路510を介して各圧力室504に供給される。
圧力室504の一部の面(図11において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)512には個別電極514を備えたアクチュエータ516が接合されている。個別電極514と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ516が変形して圧力室504の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル502からインクが吐出される。なお、アクチュエータ516には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ516の変位が元に戻る際に、共通流路510から供給口506を通って新しいインクが圧力室504に再充填される。
入力画像からデジタルハーフトーニング処理によって生成されるドットデータに応じて各ノズル502に対応したアクチュエータ516の駆動を制御することにより、ノズル502からインク滴を吐出させることができる。記録媒体22を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル502のインク吐出タイミングを制御することによって、記録媒体22上に所望の画像を記録することができる。
上述した構造を有するインク室ユニット508を図12に示すごとく主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット508を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影(正射影)されたノズルのピッチPNはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル502が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影される実質的なノズル列の高密度化を実現することが可能になる。
なお、描画可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドでノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を描画するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図12に示すようなマトリクス状に配置されたノズル502を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル502-11 、502-12 、502-13 、502-14 、502-15 、502-16 を1つのブロックとし(他にはノズル502-21 、…、502-26 を1つのブロック、ノズル502-31 、…、502-36 を1つのブロック、…として)、記録媒体22の搬送速度に応じてノズル502-11 、502-12 、…、502-16 を順次駆動することで記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ラインを描画する。
一方、上述したフルラインヘッドと記録媒体22とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の描画を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録媒体22の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ516の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
<インク供給系の構成>
図13はインクジェット記録装置1におけるインク供給系の構成を示した概要図である。ここでは、インク供給系について説明するが、処理液をインクジェットヘッドと同様の吐出ヘッドによって打滴する場合には図13と同様な処理液供給系を設けてもよい。
図13はインクジェット記録装置1におけるインク供給系の構成を示した概要図である。ここでは、インク供給系について説明するが、処理液をインクジェットヘッドと同様の吐出ヘッドによって打滴する場合には図13と同様な処理液供給系を設けてもよい。
インクタンク560はヘッド500にインクを供給する基タンクである。インクタンク560の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図13に示したように、インクタンク560とヘッド500の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ562が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下とすることが好ましい。図13には示さないが、ヘッド500の近傍又はヘッド500と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置1には、ノズル502の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ564と、ノズル面500Aの清掃手段としてのクリーニングワイパ566とが設けられている。これらキャップ564及びクリーニングワイパ566を含むメンテナンスユニット(回復手段)は、不図示の移動機構によってヘッド500に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド500下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ564は、図示せぬ昇降機構によってヘッド500に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ564を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド500に密着させることにより、ノズル面500Aをキャップ564で覆う。
クリーニングワイパ566は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬワイパ移動機構によりヘッド500のノズル面500A(ノズルプレート表面)に摺動可能である。ノズルプレート表面にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングワイパ566をノズルプレートに摺動させることでノズル面を拭き取る。
描画中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ564(インク受けとして兼用)に向かって予備吐出(パージ)が行われる。
ヘッド500は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ516が動作してもノズル502からインクを吐出できなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ516の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、アクチュエータ516を動作させ、粘度上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。
また、ノズル面500Aの清掃手段として設けられているクリーニングワイパ566等のワイパによってノズルプレート表面の汚れを清掃した後に、このワイパ摺擦動作によってノズル502内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。
その一方で、ノズル502や圧力室504に気泡が混入したり、ノズル502内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド500のノズル面500Aに吸引手段たるキャップ564を当接させて、吸引ポンプ567で圧力室504内のインク(気泡が混入したインク又は増粘インク)を吸引する。かかる吸引動作によって吸引除去されたインクは回収タンク568へ送られる。回収タンク568に集められたインクは、再利用してもよいし、再利用不能な場合は廃棄してもよい。
上記の吸引動作は、圧力室504内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きいため、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出による回復を行うことが好ましい。なお、上記の吸引動作は、ヘッド500へのインク初期装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われる。また、予備吐出や吸引動作などヘッド500のメンテナンスは、ヘッド500を描画ドラム70の直上の画像記録位置(描画位置)から所定のメンテナンス位置(たとえば、描画ドラム70軸方向のドラム外の位置)へ退避させた状態で実行するように構成されている。
<乾燥部>
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる処理を行う。
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる処理を行う。
図7に示すように、乾燥部16は、乾燥ドラム76と、第1のIRヒータ78と、温風噴出しノズル80と、第2のIRヒータ82とで構成される。第1のIRヒータ78と、温風噴出しノズル80と、第2のIRヒータ82は、乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置され、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計回り方向)に対して、上流側から第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82の順で配置されている。
乾燥ドラム76は、第2の中間搬送部26の中間搬送体30から記録媒体22を受け取り、回転搬送して、第3の中間搬送部28の中間搬送体30に受け渡す。この乾燥ドラム76は、図示しないモータに駆動されて回転し、そのモータの駆動は、図示しないモータドライバで制御される。
乾燥ドラム76の周面には、グリッパが備えられており、記録媒体22は、このグリッパに先端部を把持されて、回転搬送される。この際、記録媒体22は、その記録面が外側に向けられて、回転搬送される。
なお、本例の乾燥ドラム76には、周面の2カ所にグリッパが設けられており、2カ所で記録媒体22を保持できるように構成されている。グリッパの設置数は、これに限定されるものではなく、ドラムの外径等を考慮して設定される。
記録媒体22は、この乾燥ドラム76による搬送過程で第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82によって乾燥処理される。
温風噴出しノズル80は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m3/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、第1のIRヒータ78と第2のIRヒータ82は、それぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体22の記録面のインク溶媒に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
また、上記の乾燥ドラム76は、その外周面を所定の温度(たとえば60℃以下)に制御するとよい。
さらに、乾燥ドラム76は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を乾燥ドラム76の周面に密着保持することができる。
<定着部>
定着部18は、記録媒体22の記録面に形成された画像を定着させて、堅牢化させる処理を行う。
定着部18は、記録媒体22の記録面に形成された画像を定着させて、堅牢化させる処理を行う。
図8に示すように、定着部18は、定着ドラム84、第1定着ローラ86、及び、第2定着ローラ88で構成される。第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88は、定着ドラム84の周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向(図8において反時計回り方向)に対して、上流側から第1定着ローラ86、第2定着ローラ88の順で配置される。
定着ドラム84は、第3の中間搬送部28の中間搬送体30から記録媒体22を受け取り、回転搬送して、排紙部20に受け渡す。この定着ドラム84は、図示しないモータに駆動されて回転し、そのモータの駆動は、図示しないモータドライバで制御される。
定着ドラム84の周面には、グリッパが備えられており、記録媒体22は、このグリッパに先端部を把持されて、回転搬送される。この際、記録媒体22は、その記録面が外側に向けられて、回転搬送される。
なお、本例の定着ドラム84には、周面の2カ所にグリッパが設けられており、2カ所で記録媒体22を保持できるように構成されている。グリッパの設置数は、これに限定されるものではなく、ドラムの外径等を考慮して設定される。
記録媒体22は、この定着ドラム84による搬送過程で第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88による定着処理が行われる。
第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88は、記録媒体22に形成された画像を定着させるためのローラ部材であり、記録媒体22を加圧・加熱するように構成される。すなわち、第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88はそれぞれ、定着ドラム84に対して圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。
これにより、記録媒体22は、第1定着ローラ86と定着ドラム84との間、及び、第2定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧(たとえば1MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
なお、第1定着ローラ86、第2定着ローラ88と、定着ドラム84との一方の表面に弾性層を形成し、記録媒体22に対して均一なニップ幅を持つ構成とするとよい。
また、第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体22を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体22の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、本例では、加熱と加圧の両方を行う構成としたが、一方のみを行うよう構成としてもよい。
また、第1定着ローラ86、第2定着ローラ88は、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性により、複数段設けた構成でもよい。
さらに、定着ドラム84の表面を所定の温度(たとえば60℃)に制御するようにしてもよい。
以上のように構成された定着部18によれば、乾燥部16で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が、第1定着ローラ86、第2定着ローラ88によって加圧・加熱されて溶融されるので、記録媒体22に固定定着させることができる。
また、定着部18によれば、定着ドラム84が他のドラムに対して構造上分離されているので、定着部18の温度設定を、描画部14や乾燥部16と分離して自由に設定することができる。
なお、上記の定着ドラム84は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を定着ドラム84の周面に密着保持することができる。
<画像読取部>
画像読取部19は、記録媒体22に形成された画像を読み取る処理を行う。この画像読取部19は、スキャナ90を備えて構成される。図8に示すように、スキャナ90は、定着ドラム84の周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向(図8において反時計回り方向)に対して、第2定着ローラ88の下流側に配置される。スキャナ90は、定着ドラム84によって回転搬送される記録媒体22の記録面を撮像する。
画像読取部19は、記録媒体22に形成された画像を読み取る処理を行う。この画像読取部19は、スキャナ90を備えて構成される。図8に示すように、スキャナ90は、定着ドラム84の周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向(図8において反時計回り方向)に対して、第2定着ローラ88の下流側に配置される。スキャナ90は、定着ドラム84によって回転搬送される記録媒体22の記録面を撮像する。
図14は、スキャナの概略構成を示す斜視図である。スキャナ90は、並列して配置された一対の読取センサ部574を備えている。各読取センサ部574は、ラインCCD570と、そのラインCCD570の受光面に画像を結像させるレンズ572と、光路を折り曲げるミラー573とを一体として構成されており、図示しないフレームに取り付けられている。
ラインCCD570は、RGB3色のカラーフィルタを備えた色別のフォトセル(画素)アレイを有し、RGBの色分解によりカラー画像の読み取りが可能に構成されている。たとえば、RGB3ラインそれぞれのフォトセルアレイの隣には、1ライン中の偶数画素と奇数画素の電荷を別々に転送するCCDアナログシフトレジスタを備える。このようなラインCCDとして、画素ピッチ9.325μm、7600画素×RGB、素子長(フォトセルの配列方向のセンサ幅)70.87mmのNECエレクトロニクス株式会社製のラインCCD「μPD8827A」(商品名)を用いることができる。本例のスキャナ90は、このラインCCDを用いて構成されている。
レンズ572は、定着ドラム84の上に巻かれた記録媒体上の画像を所定の縮小率で結像させる縮小光学系のレンズである。たとえば、0.19倍に画像を縮小するレンズを採用した場合、記録媒体上の373mm幅がラインCCD上に結像される。このとき、記録媒体上の読み取り解像度は、518dpiとなる。
なお、各読取センサ部574は、図示しないフレームに対して、定着ドラム84の軸と平行な方向に移動可能に取り付けられている。一対の読取センサ部574は、読み取る画像が僅かに重なるように位置調整されて、フレームに固定される。
また、読取センサ部574は、ラインCCD570のフォトセルの配列方向と定着ドラム84の軸とが平行になるようにして取り付けられる。
また、図14には示されていないが、照明ランプ(たとえば、キセノン蛍光ランプ)が、ブラケット575の裏面、記録媒体側に配置されている。また、定期的に白色基準板が画像と照明の間に挿入され、白基準が測定されるとともに、その状態でランプが消灯されて、黒基準が測定される。
スキャナ90は、以上のように構成される。定着ドラム84によって回転搬送される記録媒体22は、このスキャナ90によって記録面に形成された画像(テストパターンを含む)が読み取られる。そして、このスキャナ90で読み取られた画像に基づいて、インクの吐出異常や処理液の塗布異常等がチェックされる。この点については、のちに詳述する。
<排紙部>
図1に示すように、定着部18に続いて排紙部20が設けられている。排紙部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部18の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
図1に示すように、定着部18に続いて排紙部20が設けられている。排紙部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部18の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
<制御系>
図15は、本実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図15は、本実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置1は、システムコントローラ100、通信インターフェース102、画像メモリ104、給紙制御部106、処理液塗布制御部108、描画制御部110、乾燥制御部112、定着制御部114、画像読取制御部116、排紙制御部118、中間搬送制御部120、操作部122、表示部124、記憶部126等を備えている。
システムコントローラ100は、インクジェット記録装置1の各部を制御する制御部であり、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。このシステムコントローラ100は、所定の制御プログラムに従ってインクジェット記録装置1の各部を制御する。ROMには、このシステムコントローラ100が実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
通信インターフェース102は、ホストコンピュータ130から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。ホストコンピュータ130から送出された画像データは、この通信インターフェース102を介してインクジェット記録装置1に取り込まれる。
画像メモリ104は、画像データ(通信インターフェース102を介してインクジェット記録装置1に取り込まれた画像データや画像読取部19のスキャナ90で読み取られた画像データ等)を一時的に記憶する記憶手段であり、システムコントローラ100を通じてデータの読み書きが行われる。
給紙制御部106は、システムコントローラ100からの指令に応じて給紙部10を構成する各部(マガジン等)の駆動を制御する。
処理液塗布制御部108は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液塗布部12を構成する各部(渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、温風噴出しノズル58、IRヒータ60等)の駆動を制御する。
描画制御部110は、システムコントローラ100からの指示に従って描画部14を構成する各部(描画ドラム70、インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72K等)の駆動を制御する。
乾燥制御部112は、システムコントローラ100からの指示に従って乾燥部16を構成する各部(乾燥ドラム76、第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82等)の駆動を制御する。
定着制御部114は、システムコントローラ100からの指示に従って定着部18を構成する各部(定着ドラム84、第1定着ローラ86、第2定着ローラ88等)の駆動を制御する。
画像読取制御部116は、システムコントローラ100からの指示に従って画像読取部19を構成する各部(スキャナ90等)の駆動を制御する。
排紙制御部118は、システムコントローラ100からの指示に従って排紙部20を構成する各部(渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98等)の駆動を制御する。
中間搬送制御部120は、システムコントローラ100からの指示に従って中間搬送部24、26、28を構成する各部(中間搬送体30等)の駆動を制御する。
操作部122は、所要の操作手段(操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備え、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ100に出力する。
表示部124は、所要の表示装置(LCDパネル等)を備え、システムコントローラ100からの指示に従って所要の情報を表示装置に表示させる。
記録部126は、所要の記憶装置(EEPROM等の不揮発性メモリやHDD等)を備え、システムコントローラ100からの指示に従って所要のデータを記録する。
上記のように、画像データは、ホストコンピュータ130から通信インターフェース102を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、画像メモリ104に格納される。システムコントローラ100は、この画像メモリ104に格納された画像データに所要の信号処理を施して、描画用の制御データ(描画データ)を生成する。そして、生成した描画データに基づいて、描画制御部110に制御信号を出力し、描画部14のインクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kの駆動(インクの吐出)を制御して、所望の画像を記録媒体22の記録面に形成する。
≪画像記録動作≫
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置1による画像記録動作について説明する。
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置1による画像記録動作について説明する。
上記のように、記録媒体22は、給紙部10から給紙され、所定の搬送経路を通って、処理液塗布部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、画像読取部19、排紙部20の各部に搬送される。
給紙部10から給紙された記録媒体22は、まず、処理液塗布部12で記録面に処理液が塗布される。
処理液塗布部12では、給紙部10から給紙された記録媒体22を処理液ドラム54で受け取り、その処理液ドラム54で記録媒体22を回転搬送する。そして、その搬送過程で記録媒体22の記録面に、所定の処理液が付与された塗布ローラ62を当接させて、処理液を塗布する。また、処理液が塗布された記録媒体22に対して、温風噴出しノズル58から温風を吹き付けるとともに、IRヒータ60で加熱することにより乾燥させる。これにより、塗布された処理液が薄層化される。
処理液塗布部12で処理液が塗布された記録媒体22は、第1の中間搬送部24を介して描画部14に搬送される。そして、その描画部14で記録面にインク滴が打滴されて、画像が記録される。
描画部14では、第1の中間搬送部24から受け渡された記録媒体22を描画ドラム70で受け取り、その描画ドラム70で記録媒体22を回転搬送する。そして、その搬送過程で記録媒体22の記録面に各インクジェットヘッド72C、72M、72Y、72Kから各色のインク滴を打滴して、記録媒体22の記録面に画像を記録する。
描画部14で記録面に画像が形成された記録媒体22は、第2の中間搬送部26を介して乾燥部16に搬送される。そして、その乾燥部16で記録面が乾燥される。
乾燥部16では、第2の中間搬送部26から受け渡された記録媒体22を乾燥ドラム76で受け取り、その乾燥ドラム76で記録媒体22を回転搬送する。そして、その搬送過程で第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80及び第2のIRヒータ82によってインク中の不要溶媒を乾燥させる。
乾燥部16で乾燥処理された記録媒体22は、第3の中間搬送部28を介して定着部18に搬送される。そして、その定着部18で記録面に形成された画像が定着される。
定着部18では、第3の中間搬送部28から受け渡された記録媒体22を定着ドラム84で受け取り、その定着ドラム84で記録媒体22を回転搬送する。そして、その搬送過程で第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88により記録媒体22を加熱加圧して、画像を記録媒体22に定着させる。
第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88で定着処理された記録媒体22は、必要に応じて、画像読取部19のスキャナ90で記録面に形成された画像が読み取られ、その後、排紙部20に受け渡される。
排紙部20では、定着ドラム84から受け渡された記録媒体22を渡し胴94を介して受けとり、搬送ベルト96を介して、排紙トレイ92に排紙する。
≪管理動作≫
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置1の管理動作について説明する。
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置1の管理動作について説明する。
本実施の形態のインクジェット記録装置1には、処理液の塗布状態を管理する機能が備えられており、塗布ローラ62の劣化に処理液の塗布異常を検出できるようにされている。
処理液の塗布状態の管理は、記録媒体22に所定のテストパターンを記録し、記録された画像を画像読取部19のスキャナ90で読み取ることによって行われる。
テストパターンは、所定パターンで配列された細線(所定幅の線分)で構成され、その記録は、通常の画像記録と同じ手順で行われる。
たとえば、処理液塗布部12の塗布ローラ62が劣化してくると、記録媒体22に塗布される処理液の膜厚にムラが出始める。そして、処理液の膜厚にムラが出始めると、記録媒体22に記録したテストパターンの各細線の幅に変動が生じる。これは、塗布量が少ない部位では、凝集不足により、ドット径が大きくなる一方、塗布量が多い部位では、凝集速度が上がり、ドット径が小さくなるからである。
したがって、記録したテストパターンの結果を観察すれば、塗布ローラ62の劣化に基づく、処理液の塗布異常の有無を判定することができる。
図16は、テストパターンの一例を示す図である。同図に示すように、テストパターンは、記録媒体22の搬送方向と平行な細線(線分)を記録媒体22の幅方向(=搬送方向と直交する方向)に一定ピッチで多数配列して構成される。
ここで、各細線の長さは、塗布ローラ62の外周よりも長くなるように設定することが好ましい。これにより、塗布ローラ62の全周で異常検出が可能になる。
また、各細線は、記録媒体22の画像記録領域の幅方向の全域に描画されるように設定することが好ましい。したがって、本実施の形態のインクジェット記録装置1のように、フルラインタイプのインクジェットヘッドを用いて画像を描画するタイプのインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドに形成された全てのノズルを用いてテストパターンを描画するように設定することが好ましい。この場合、全ノズルから一度にインク滴を吐出させると、いわゆるベタ塗りとなり、細線が形成されないので、たとえば、図17に示すように、隣り合う細線を記録媒体22の搬送方向に交互にずらして2段で形成する。すなわち、1段目の細線は、奇数番のノズルからインク滴を吐出させて描画するように設定し、2段目の細線は、偶数番のノズルからインク滴を吐出させて描画するように設定する。これにより、記録媒体22の画像記録領域の幅方向の全域に描画されるように設定される。そして、このようにテストパターンを設定することにより、画像記録領域の幅方向の全域で隙間なく塗布異常を検出することが可能になる。
なお、図17に示す例では、隣り合う細線を記録媒体22の搬送方向に交互にずらして2段で形成することにより、画像記録領域の幅方向の全域で細線が描画されるようにしているが、画像記録領域の幅方向の全域で細線が描画されるようにするためのテストパターンの例は、これに限定されるものではない。たとえば、図18に示すように、3本の細線を一組として、各組で隣り合う細線を1段ずつ記録媒体22の搬送方向にズラして、3段で形成しても、同様に画像記録領域の幅方向の全域で細線が描画されるように設定することができる。この場合、1段目の細線は、1、4、7、…、(3n−2)番のノズルからインク滴を吐出させて描画するように設定し、2段目の細線は、2、5、8、…、(3n−1)番のノズルからインク滴を吐出させて描画するように設定し、3段目の細線は、3、6、9、…、(3n)番のノズルからインク滴を吐出させて描画するように設定する(n=1、2、3、…)。
このように、隣り合う細線を記録媒体22の搬送方向にずらし、細線を多段階で形成することにより、画像記録領域の幅方向の全域で細線が描画されるようにテストパターンを設定することができる。
なお、全ノズル分の線幅を読み取れるテストパターンとするためには、3本以上の細線を一組とし、各組で隣り合う細線を記録媒体22の搬送方向に一段ずつズラして、3段以上でテストパターンを構成することが好ましい。
また、上記の例では、1つの細線を1つのノズルから吐出されるインク滴で描画するように設定されているが、1つの細線を複数のノズルから吐出されるインク滴で描画されるように設定することもできる。たとえば、図19に示すように、隣り合う1組のノズルから吐出したインク滴で1本の細線が描画されるように設定することもできる。
なお、図19に示す例では、隣り合う細線を記録媒体22の搬送方向に交互にずらして2段で形成しており、各細線を2つ1組のノズルから吐出させたインク滴で形成するように設定している。具体的には、1段目の1本目の細線を1、2番目のノズルから、2本目の細線を5、6番目のノズルから、n本目の細線を(3n−2)、(3n−1)番目のノズルから吐出させて描画し、2段目の1本目の細線を3、4番目のノズルから、2本目の細線を7、8番目のノズルから、n本目の細線を(3n)、(3n+1)番目のノズルから吐出させて描画するように設定している。
なお、この場合も2段に限らず、多数段で細線を形成するようにテストパターンを設定することができる。
テストパターンの情報は、システムコントローラ100のROM(又は記憶部126)に格納され、システムコントローラ100は、このROM(又は記憶部126)に格納された情報を読み出して、テストパターンの描画処理を行う。
テストパターンの情報は、画像データとして格納するようにしてもよいし、また、描画データとして格納するようにしてもよい。
記録媒体22に記録されたテストパターンは、定着部18で定着後、画像読取部19のスキャナ90で読み取られる。スキャナ90で読み取られたテストパターンの画像データは、画像メモリ104に格納される。
システムコントローラ100は、この画像メモリ104に格納されたテストパターンの画像データを解析し、記録媒体22に記録されたテストパターンの各細線の幅を計測する。
そして、計測された各細線の幅の情報に基づいて、塗布ローラ62の劣化に基づく、塗布異常の有無を判定する。すなわち、上記のように、塗布異常が生じると、各細線の幅が変動するので、幅の変動の有無を判定して、塗布異常の有無を判定する。
各細線の幅の変動は、あらかじめ設定された基準値との対比で行われる。システムコントローラ100は、基準値に対する変化率若しくは変化量を算出する。そして、算出された変化率若しくは変化量が、あらかじめ設定された許容範囲内か否かを判定し、塗布異常の有無を判定する。すなわち、算出された変化率若しくは変化量が、許容範囲を超えていれば、塗布異常と判定する。
システムコントローラ100のROM(又は記憶部126)には、この基準値及び許容範囲の情報が格納されている。
なお、許容範囲については、記録される画像の品質とランニングコストとの関係で決まるので、ユーザが任意に設定できることが好ましい。この場合、表示部124に所要の設定画面を表示し、操作部122を利用して、任意の許容範囲を設定できるようにする。入力された許容範囲の情報については、記憶部126に格納する。なお、ユーザが、許容範囲を設定しない場合は、あらかじめ設定された許容範囲を用いて判定される。
処理液の塗布異常の有無の判定は、たとえば、毎日の装置起動時に実施されるように設定する。この他、あらかじめ設定された枚数処理すると、実施されるように設定してもよいし、あらかじめ設定された時間運転すると、実施されるように設定してもよい。また、これらの実施タイミングをユーザが任意に設定できるようにしてもよい。本例では、毎日の装置起動時に処理液の塗布異常の有無の判定処理を行うものとする。
図20は、処理液の塗布異常の判定処理の手順を示すフローチャートである。
装置が稼働されると、システムコントローラ100は、処理液の塗布異常の判定処理を行うため、ROM(又は記憶部126)に格納されたテストパターンのデータ(画像データ又は描画データ)を読み出す(ステップS10)。そして、読み出したテストパターンの描画処理を実施し、描画されたテストパターン画像を読み取る(ステップS11)。テストパターンの描画処理は、通常の画像描画処理と同じ手順で行われる。すなわち、記録媒体22を給紙部10から給紙し、処理液塗布部12で記録面に処理液を塗布したのち、描画部14で記録面にインク滴を打滴して、テストパターンを描画する。テストパターンが描画された記録媒体22は、乾燥部16で乾燥処理され、定着部18で定着処理されたのち、記録面に描画されたテストパターン画像が、画像読取部19のスキャナ90で読み取られて、排紙部20に排紙される。
システムコントローラ100は、画像読取部19のスキャナ90で読み取られたテストパターン画像の画像データを取得し、画像メモリ104に格納する(ステップS12)。そして、その取得したテストパターン画像の画像データを解析して、描画された各細線の幅を計測する(ステップS13)。
この後、システムコントローラ100は、計測された各細線の幅の基準値に対する変化率(又は変化量)を演算し(ステップS14)、算出された変化率(又は変化量)が、あらかじめ設定された許容範囲内か否かを判定する(ステップS15)。
そして、算出された変化率(又は変化量)が許容範囲内であれば、処理液の塗布異常は生じていないと判断して、運転を開始する(ステップS16)。すなわち、通常の画像の描画処理を開始する。
一方、算出された変化率(又は変化量)が許容範囲外であれば、処理液の塗布異常が生じていると判断して、警告を発生する(ステップS17)。この警告は、たとえば、表示部124に所定のメッセージ(たとえば、「塗布ローラの交換時期です」等)を表示することにより行われる。この他、インクジェット記録装置に警告灯が搭載されている場合には、当該警告灯を点灯させるようにしてもよいし、また、スピーカが搭載されている場合には、当該スピーカから所定の警告音を発生させるようにしてもよい。ユーザは、この警告に応じて、塗布ローラ62の交換処理等を行う。
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置1では、所定の細線からなるテストパターンを描画し、描画された細線の変動をチェックして、塗布ローラ62の劣化に基づく、処理液の塗布異常の有無を判断する。これにより、塗布ローラ62の劣化に基づく、処理液の塗布異常(塗布ムラ等)を未然に防止することができ、安定した処理液の塗布を行うことができる。
なお、上記のように、テストパターンを構成する各細線の長さは、塗布ローラ62の外周以上の長さに設定することが好ましいが(塗布ローラ62の全周で異常を検出できるようにため)、本実施の形態のインクジェット記録装置1の処理液塗布部12のように、処理液塗布に複数本のローラが関与する場合、その中の最大径のローラの外周以上の長さに設定することが好ましい。本実施の形態のインクジェット記録装置1では、塗布ローラ62と計量ローラ64とが処理液の塗布に関与しているため、その二つのローラのうち外径が大きい方のローラ(本例では塗布ローラ)の外周以上になるように、テストパターンを構成する各細線の長さが設定される。
また、描画された細線の幅の計測位置については、特に限定されないが、幅は、長さ方向で変動する場合がある。これは、塗布ローラ62の幅方向の故障ではなく、回転軸の周方向の故障と考えられる。したがって、各細線の幅の長さ方向の変動も監視することが、より好ましい。この場合、たとえば、描画された各細線について、長さ方向に一定の間隔で幅を計測し、その長さ方向の変動(たとえば、長さ方向の変化率)を計測する。そして、その変動が、あらかじめ設定された許容範囲内か否かを判定して、塗布異常の有無を判断する。これにより、回転軸の周方向の故障も検出することができる。なお、この場合も許容範囲をユーザが任意に設定できるようにすることが好ましい。
≪インクの吐出異常による線幅変動との区別≫
上述したように、本発明では、描画した細線の線幅の変動を監視して、塗布異常の有無を検出する構成としているが、線幅の変動は、インクの吐出異常(不吐出や吐出曲がり等)によるものもあり得る。したがって、インクの吐出異常による線幅の変動と区別することにより、より高精度に処理液の塗布異常を検出することができる。
上述したように、本発明では、描画した細線の線幅の変動を監視して、塗布異常の有無を検出する構成としているが、線幅の変動は、インクの吐出異常(不吐出や吐出曲がり等)によるものもあり得る。したがって、インクの吐出異常による線幅の変動と区別することにより、より高精度に処理液の塗布異常を検出することができる。
ところで、インクジェット記録装置では、インクの吐出異常が生じた場合に、その吐出異常が生じたノズルの近傍のノズルで濃度ムラを補正する方法が知られている。
ただし、この方法は、一般に隣り合う5ノズル中の1ノズルに吐出異常が生じたところを補正機能の働く限度とされており、隣り合う5ノズル中にそれ以上のノズルで吐出異常が生じた場合は、良好な補正ができない。
したがって、この補正機能を搭載したインクジェット記録装置では、隣り合う5ノズル中の1ノズルに吐出異常が生じた場合に補正が働く仕様とし、隣り合う5ノズル中にそれ以上のノズルで吐出異常が生じた場合は、メンテナンス等を行う仕様とされる。
したがって、このような仕様のインクジェット記録装置では、描画する細線に、隣り合う4ノズル以上で同時に吐出異常が生じることはあり得ない。
したがって、このような仕様のインクジェット記録装置では、細線の線幅が、隣り合うノズルの4本以上で線幅変化の傾向が合う場合に処理液の塗布異常と判断すればよい。
ここで、隣り合うノズルの4本以上で線幅変化の傾向が合う場合とは、たとえば、(1)線分の幅の変化について、太くなる方向であるならば太くなる方向で、細くなる方向であるならば細くなる方向で一致し、変化量若しくは変化率の数がほぼ同等である場合をいう。また、(2)線分中の長さ方向のローカリティについても、ほぼ同等な部位の局所的な傾向でも、上記(1)の傾向が隣り合う4本以上の線分で同様である場合をいう。
≪遠隔管理システムの構成≫
次に、上述したインクジェット記録装置1をネットワーク経由で遠隔管理するシステムの例を説明する。
次に、上述したインクジェット記録装置1をネットワーク経由で遠隔管理するシステムの例を説明する。
図21は、遠隔管理システム600の構成図である。ここでは、複数台のインクジェット記録装置1A、1B、1Cを遠隔管理センタのコンピュータ(以下「遠隔管理センタ装置」という。)610によって集中管理するシステムを例に説明する。
なお、図21では、3台のインクジェット記録装置1A、1B、1Cを示すが、監視対象とするインクジェット記録装置の台数について、特に制限はない。
各インクジェット記録装置1A、1B、1Cは、通信回線620を介して遠隔管理センタ装置610に通信可能に接続される。したがって、各インクジェット記録装置1A、1B、1Cには、この通信のための通信手段が組み込まれる。
通信回線620の形態は、特に限定されず、構内LANでもよいし、インターネットのような広域通信網(WAN)であってもよい。通信方式は、特に限定されず、有線、無線を問わず、これらの組合せでもよい。
各インクジェット記録装置1A、1B、1Cは、各自の画像読取部19で読み取ったテストパターン画像の画像データを通信回線620経由で遠隔管理センタ装置610に送信する。
遠隔管理センタ装置610は、各インクジェット記録装置1A、1B、1Cから収集したテストパターン画像の画像データを装置別に記憶装置612に格納する。
また、遠隔管理センタ装置610は、各インクジェット記録装置1A、1B、1Cから収集したテストパターン画像の画像データから処理液の塗布異常の有無を判定する。すなわち、収集したテストパターン画像の画像データを解析し、描画された各細線の幅を計測し、幅の基準値に対する変化率若しくは変化量を算出する。そして、算出された変化率若しくは変化量が許容範囲内か否かを判定して、処理液の塗布異常の有無を判定する。
遠隔管理センタ装置610は、メンテナンスサービスを提供するサービスセンタのコンピュータ(以下「サービスセンタ装置」という。)630と通信可能に接続されている。遠隔管理センタ装置610は、処理液の塗布異常が検出されると、処理液の塗布異常が検出されたインクジェット記録装置に対して、サービスマンの出動を要請する情報を作成し、この情報(メンテナンス依頼情報)をサービスセンタ装置630に送信する。
サービスセンタ装置630は、メンテナンス依頼情報を統括的に管理して、サービスマンを派遣する業務を支援する。こうして、サービスセンタから該当する装置のもとへサービスマンが派遣され、サービスマンによって塗布ローラの交換など所要のメンテナンス作業が行われる。
なお、遠隔管理センタ装置610とサービスセンタ装置630とは構内LANで接続されていてもよいし、インターネットのような広域通信網(WAN)を介して接続されてもよい。
また、遠隔管理センタ装置610とサービスセンタ装置630を共通のコンピュータで実現する態様も可能であり、図15で説明したホストコンピュータ130を遠隔管理センタ装置610として兼用する構成も可能である。
また、上記の例では、各インクジェット記録装置1A、1B、1Cから読み取ったテストパターン画像の画像データを遠隔管理センタ装置610に送信する構成としているが、各インクジェット記録装置1A、1B、1Cから遠隔管理センタ装置610に送信する情報は、これに限定されるものではない。たとえば、この他、計測した各細線の線幅の情報を送信するようにしてもよいし、また、処理液の塗布異常の有無の情報を送信するようにしてもよい。
なお、処理液の塗布異常の有無の情報を送信する場合は、遠隔管理センタ装置側で処理液の塗布異常の判定処理を行う必要はない。この場合、遠隔管理センタ装置610は、処理液の塗布異常の情報を受信すると、メンテナンス依頼情報をサービスセンタ装置630に送信する。
≪インク及び処理液≫
次に、本発明に係るインクジェット記録装置で使用するのに好適なインク及び処理液の組成について説明する。
次に、本発明に係るインクジェット記録装置で使用するのに好適なインク及び処理液の組成について説明する。
<シアンインク組成物の作成例>
合成例
<樹脂分散剤P−1の合成>
下記スキームに従って合成した。
合成例
<樹脂分散剤P−1の合成>
下記スキームに従って合成した。
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2、2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2、2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してP−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。
次に、重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を得た。なお、下記に示した化合物例(B−01)の各構成単位の数字は質量比を表す。以下、各構造式に関しても同様である。
<シアン顔料含有樹脂粒子の分散物の作成>
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220) 10質量部と、下記表1に記載のP−1樹脂分散剤5質量部と、メチルエチルケトン42質量部と、1規定 NaOH水溶液 5.8質量部と、イオン交換水86.9質量部を混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220) 10質量部と、下記表1に記載のP−1樹脂分散剤5質量部と、メチルエチルケトン42質量部と、1規定 NaOH水溶液 5.8質量部と、イオン交換水86.9質量部を混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の顔料含有樹脂粒子の分散物を得た。
<シアンインク組成物C-1の調製>
次に、得られた顔料含有樹脂粒子の分散物、自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を使い、以下の組成でインク組成物を調製した。
<シアンインク組成物C-1の調製>
次に、得られた顔料含有樹脂粒子の分散物、自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を使い、以下の組成でインク組成物を調製した。
上記顔料含有樹脂粒子の分散物 39.2質量部
上記自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物 28.6質量部
GP−250(トリオキシプロピレングリセリルエーテル、
サンニックスGP250、三洋化成工業(株)製)) 10 質量部
DEGmEE(ジエチレングリコールモノエチルエーテル) 5 質量部
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1 質量部
イオン交換水 16.2質量部
<マゼンタインク組成物M-1の調製>
シアン顔料分散物の調製の際にピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)をチバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR-122)とした以外はシアンインク組成物の調製と同様にしてマゼンタインク組成物M-1を作成した。
上記自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物 28.6質量部
GP−250(トリオキシプロピレングリセリルエーテル、
サンニックスGP250、三洋化成工業(株)製)) 10 質量部
DEGmEE(ジエチレングリコールモノエチルエーテル) 5 質量部
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1 質量部
イオン交換水 16.2質量部
<マゼンタインク組成物M-1の調製>
シアン顔料分散物の調製の際にピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)をチバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR-122)とした以外はシアンインク組成物の調製と同様にしてマゼンタインク組成物M-1を作成した。
<イエローインク組成物Y-1の調製>
シアン顔料分散物の調製の際にピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)をチバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)とした以外はシアンインク組成物の調製と同様にしてイエローインク組成物Y-1を作成した。
シアン顔料分散物の調製の際にピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)をチバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)とした以外はシアンインク組成物の調製と同様にしてイエローインク組成物Y-1を作成した。
<ブラックインク組成物Bk-1の調製>
シアン顔料分散物の調製の際にピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)を三菱化学社製カーボンブラック MA100とした以外はシアンインク組成物の調製と同様にしてブラックインク組成物Bk-1を作成した。
シアン顔料分散物の調製の際にピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)を三菱化学社製カーボンブラック MA100とした以外はシアンインク組成物の調製と同様にしてブラックインク組成物Bk-1を作成した。
<凝集処理剤の調整>
以下の組成で材料を混合し、調整を行った。
・マロン酸(和光純薬製) :22.5w%
・ GP250(トリオキシプロピレングリセリルエーテル、
サンニックスGP250、三洋化成工業(株)製) :10.0w%
・界面活性剤1(下記[化3]構造式) : 0.01w%
・イオン交換水 :67.49w%
上記反応液の物性値を測定したところ、粘度2.3mPa・s、表面張力42mN/m、pH0.9であった。
界面活性剤1
以下の組成で材料を混合し、調整を行った。
・マロン酸(和光純薬製) :22.5w%
・ GP250(トリオキシプロピレングリセリルエーテル、
サンニックスGP250、三洋化成工業(株)製) :10.0w%
・界面活性剤1(下記[化3]構造式) : 0.01w%
・イオン交換水 :67.49w%
上記反応液の物性値を測定したところ、粘度2.3mPa・s、表面張力42mN/m、pH0.9であった。
界面活性剤1
図1に示すインクジェット記録装置で描画される細線の幅の変化量と、その画像品質との関係を調べる実験を行った。具体的には、描画される細線の幅の変化量が、±5%以内、±10%以内、±20%以内、±30%以内のときに描画される画像と、オフセット印刷、電子写真系デジタル印刷、オフィスカラーコピー、インクジェットプリンタ等で印刷した画像とを比較し、その画像品質を評価した。図22は、その画像品質の評価結果を示す表である。
同図に示すように、描画される細線の幅の変化率が±5%以内の時は、オフセット印刷の画像品質と同等であることが確認された。
また、描画される細線の幅の変化率が±10%以内の時は、オフセット印刷品質と多くの印刷物で区別がつかないレベルであることが確認された。
また、描画される細線の幅の変化率が±20%以内が、商業印刷の分野の刷り物として許容限度であることが確認され、描画される細線の幅の変化率が±30%以内とすると、商業印刷の分野の刷り物としては、許容外であることが確認された。
上述したように、描画される細線の幅の変化率の許容範囲は、要求される画像品質とランニングコストとの関係で決定されるが、商業印刷の分野で許容される画像品質とするには、幅の変化率を±20%以内に設定することが好ましい。
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液塗布部、14…描画部、16…乾燥部、18…定着部、19…画像読取部、20…排紙部、22…記録媒体、56…処理液塗布装置、62…塗布ローラ、72C、72M、72Y、72K…インクジェットヘッド、90…スキャナ、100…システムコントローラ、112…乾燥制御部、502…ノズル、570…ラインCCD、600…遠隔管理システム、610…遠隔管理センタ装置、620…通信回線
Claims (15)
- 所定の搬送経路を搬送される記録媒体に処理液塗布部で塗布ローラを当接させて、前記記録媒体に所定の処理液を塗布したのち、描画部でインクジェットヘッドからインク滴を吐出させて、前記記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置の管理方法において、
前記処理液塗布部で前記記録媒体に前記処理液を塗布する工程と、
前記記録媒体の搬送方向と平行な線分を前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成されたテストパターンの画像を前記描画部で前記記録媒体に形成する工程と、
前記記録媒体に形成されたテストパターンの画像を読み取る工程と、
読み取ったテストパターンの画像から各線分の幅を求める工程と、
求めた各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を求める工程と、
求めた各線分の変化量又は変化率に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する工程と、
からなることを特徴とするインクジェット記録装置の管理方法。 - 前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラの外周以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置の管理方法。
- 複数のローラを介して前記塗布ローラに処理液が供給される場合において、前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラを含めた前記複数のローラの中で最大径のローラの外周以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置の管理方法。
- 前記テストパターンは、隣り合う線分が、前記記録媒体の搬送方向にずらされて、多段階で形成され、フルラインタイプのインクジェットヘッドの全ノズルを使用して前記記録媒体に形成されるように設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法。
- 読み取ったテストパターンの画像から各線分の長さ方向の幅の変動を求める工程と、
求めた各線分の長さ方向の幅の変動に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法。 - 隣接する所定本数分の線分の幅の変化量又は変化率が、すべて許容範囲を超える場合に前記処理液塗布部の異常と判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法。
- 求めた各線分の変化量又は変化率が許容範囲を超えた場合に前記処理液塗布部の異常と判定する場合において、前記許容範囲を設定する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置の管理方法。
- 所定の搬送経路を搬送される記録媒体に処理液塗布部で塗布ローラを当接させて所定の処理液を塗布したのち、描画部でインクジェットヘッドからインク滴を吐出させて画像を形成するインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の搬送方向と平行な線分を前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成されたテストパターンのデータが格納されたテストパターンデータ格納手段と、
前記インクジェットヘッドの駆動を制御して、前記記録媒体に前記テストパターンの画像を形成させる制御手段と、
前記記録媒体に形成されたテストパターンの画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の幅を計測する線幅計測手段と、
前記線幅計測手段で計測された各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を算出する演算手段と、
前記演算手段で算出された各線分の変化量又は変化率に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラの外周以上であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
- 複数のローラを介して前記塗布ローラに前記処理液が供給され、
前記テストパターンを構成する各線分の長さが、前記塗布ローラを含めた前記複数のローラの中で最大径のローラの外周以上であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。 - 前記テストパターンは、隣り合う線分が、前記記録媒体の搬送方向にずらされて、多段階で形成され、フルラインタイプのインクジェットヘッドの全ノズルを使用して前記記録媒体に形成されるように設定されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 読み取ったテストパターンの画像から各線分の長さ方向の幅の変動を計測する幅変動計測手段と、
前記幅変動計測手段で計測された各線分の長さ方向の幅の変動に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する第2の判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記判定手段は、隣接する所定本数分の線分の幅の変化量又は変化率が、すべて許容範囲を超える場合に前記処理液塗布部の異常と判定することを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記判定手段は、前記演算手段で算出された各線分の変化量又は変化率が許容範囲を超えた場合に前記処理液塗布部の異常と判定し、
前記許容範囲を設定する許容値設定手段を備えたことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。 - 所定の搬送経路を搬送される記録媒体に処理液塗布部で塗布ローラを当接させて所定の処理液を塗布したのち、描画部でインクジェットヘッドからインク滴を吐出させて画像を形成するインクジェット記録装置であって、前記記録媒体の搬送方向と平行な線分を前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に一定ピッチで配置して構成されたテストパターンのデータが格納されたテストパターンデータ格納手段と、前記インクジェットヘッドの駆動を制御して、前記記録媒体に前記テストパターンの画像を形成させる制御手段と、前記記録媒体に形成されたテストパターンの画像を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られたテストパターンの画像から各線分の幅を計測する線幅計測手段と、前記線幅計測手段で計測された各線分の幅の基準値に対する変化量又は変化率を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された各線分の変化量又は変化率に基づいて前記処理液塗布部の異常の有無を判定する判定手段と、前記読取手段で読み取られたテストパターンの画像データを送信する送信手段と、を備えたインクジェット記録装置と、
前記送信手段から送信されたテストパターンの画像データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたテストパターンの画像データを格納する格納手段と、を備えた管理装置と、
からなることを特徴とするインクジェット記録装置の管理システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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