JP2010172798A - 基材の光沢度調節方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基材の表面を部分的に被覆することにより、特に元の基材に対して光沢度を高くしたい場合に好適な、任意の値に基材の光沢度を調節することを可能とする。
【解決手段】 本発明では、表面を少なくとも部分的に被覆することにより基材の光沢度を調節する方法であって、(a)表面を有する基材を準備する工程、(b)前記基材表面上に前記金属酸化物粒子を所定領域有する膜状に分散付着させ被覆率を調整する工程、(c)前記付着させた金属酸化物粒子を焼成する工程からなるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材の表面を少なくとも部分的に被覆することにより光沢度を調節する方法に係り、特に元の基材に対して光沢度を高くしたい場合に好適な、任意の値に基材の光沢度を調節するための方法に関する発明である。
従来の基材の光沢度調節方法は、例えば、タイルのような窯業製品の素地表面に、ブライト釉薬とマット釉薬のように複数種の釉薬を施釉し前記釉薬の融点以上の温度で焼成することにより、ブライト部とマット部とが混在した、部分的に表面に光沢差を有する表面模様の形成方法があった(例えば、特許文献1参照。)。
このような場合、意図的にブライト部とマット部との光沢差をつけることによって表面に模様を形成したいような時には有効な技術であるが、模様を形成しないように一様に表面の光沢度を調節することは困難であり、特にマット部が混在するため、光沢度を高い側に大きく変化させることは無理であるという問題があった。
また、窯業製品の素地の上に第1層としてマット釉薬を均一に施し、第1層の釉薬上に第2層のマット釉薬を部分的に施すことによりマット釉薬の厚みを部分的に変化させ、表面の光沢度合が部分的に異なる施釉表面を有する窯業製品もあった(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、この場合もマット釉薬が混在するため、光沢度を高い側に大きく変化させることは困難であるという問題があった。また、タイルのような平板状の物体に対しては問題にならないが、異形の物体に対してこの技術を適用した場合には、物体の持つ曲率の違いにより光源の位置によっては光沢度が異なって見えることがあった。
特開平4−175282号公報(第1図) 特開平4−132672号公報(第2図、第3図)
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、基材の表面を少なくとも部分的に被覆することにより、元の基材に対して光沢度を高い側の任意の値に調節することおよび異形な物体に対しても外観上一様な光沢度となるようにするとが可能となる光沢度調節方法を提供することを目的とする。
本発明では、上記課題を解決すべく、表面を少なくとも部分的に被覆することにより基材の光沢度を調節する方法であって、(a)表面を有する基材を準備する工程、(b)前記基材表面上に金属酸化物粒子を所定領域有する膜状に分散付着させ被覆率を調整する工程、(c)前記付着させた金属酸化物粒子を焼成する工程、
からなることを特徴とする基材の光沢度調節方法を提供する。
本発明によれば、高い光沢度を有する金属酸化物粒子を用い、基材上に所定領域有する膜状に分散付着させる。所定領域を有する膜状に分散されるとは、基材上に粒子が偏析することなく、且つ、粒子の集合体として所定面積を有する領域として、その領域が基材上に一様に分散して付着していることを示す。このように配置することで、この金属酸化物粒子を所定領域有する膜状に分散付着された皮膜(以下、単に皮膜と称す。)は、所定領域の金属酸化物皮膜の形状及びその被覆率(基材の単位面積に存在する所定領域を有する金属酸化物皮膜の数)をコントロールすることで、基材表面の光沢度をコントロールすることが可能となる。
なお、被覆率は、基材表面を顕微鏡等により複数箇所拡大して観察し、各々の視野内で「皮膜部分の面積」と「基材が露出している部分の面積」を画像解析等の手段を用いて算出し、以下の式で定義して求め、その平均値とした。
本発明の好ましい態様において、前記被覆率は、15%以上100%以下であることで、光沢度を基材自身が有する光沢度に比べ、より高くできるようになる。
本発明の好ましい態様において、前記金属酸化物粒子の粒径は、平均粒径50nm以下の粒子とすることで、基材上にある皮膜は、非常に薄膜となり、透明となる。そのため基材がもっている色を阻害することがない。また、粒径が小さいことにより、より低温で基材への固定化が可能になるという点も好ましい。
本発明の好ましい態様においては、前記金属酸化物粒子は、酸化ジルコニウム粒子及び/又はジルコニウム化合物粒子であるようにする。
金属酸化物の中でも、特に酸化ジルコニウム及び/又はジルコニウム化合物粒子は、強度の高い皮膜を形成できるので、向上させた光沢度の経時変化が少ない。なお、酸化ジルコニウム及び/又はジルコニウム化合物粒子は、平均粒径が50nm以下の超微粒子が入手しやすく、この超微粒子を用いることにより透明度が高く、より光沢度の高い皮膜が得られるので好適である。
本発明の好ましい態様においては、前記光沢度は、JIS−Z8741によって測定される60度鏡面光沢度であって、工程(b)の前の60度鏡面光沢度が10%以上100%以下であり、工程(c)の後の60度鏡面光沢度が1.1から2.5倍の任意の値とし、基材の光沢度を高い領域で調整することが可能となる。
例えば、基材がタイルや衛生陶器の釉薬層である場合、その初期における60°鏡面光沢度は80%前後が一般的であって、種々の方法により光沢度を高めたとしてもせいぜい100%位が限界である。ここで、本発明の酸化ジルコニウム等の金属酸化物膜を前記基材表面に形成することにより、被覆率を100%とした場合には2.5倍程度まで向上させることが可能である。更に、前記被覆率を15%〜100%の間でコントロールすることにより、60度鏡面光沢度を元基材の60度鏡面光沢度の1.1から2.5倍の任意の値に調節することが可能となる。
本発明の好ましい態様においては、工程(b)は、前記金属酸化物粒子を溶媒に分散させ、前記基材表面上にスプレー噴霧することにより液滴状に付着させることを特徴とする。
本発明によれば、簡便な方法であり、液滴状の皮膜の重なりで、皮膜を形成するので、光沢度をより高い状態に設定可能となる。

本発明よれば、基材より高い光沢度をもつ金属酸化物を肉眼では、確認できないミクロな領域をもつ皮膜として基材上に分散させ、分散の程度をコントロールすることにより、マクロな性質である光沢度を調節することが可能となる。スプレーコーティングは、スプレーの液滴そのものによって、ミクロな領域の皮膜を簡単に作ることができ、且つ、スプレー時間により基材の単位面積あたりの液滴数をコントロールでき、被覆率を容易にコントロールできる。また、100%被覆後も更に液滴を重ねることで、膜厚をコントロールでき、100%被覆後も膜厚による光沢度の調節が可能となる。
本発明の好ましい態様においては、工程(c)が、50℃以上450℃以下の温度で行われるようにする。
焼成の工程での温度が高温過ぎると、基材からの不純物の影響を受け、金属酸化物膜本来の光沢度が得られなくなる虞れがある。また、温度が低すぎると被覆した金属酸化物膜がしっかりと基材に固定化されないという問題が生じる虞れがある。ここで、焼成温度を50℃以上450℃以下とすることにより、基材からの不純物の影響を受けにくく、膜がしっかりと固定化され、基材の光沢度をより調節し易くなるので好適である。焼成処理は、電気炉やガス窯等を用いた大気中の焼成、更には、オートクレーブ等を用いた水熱処理が利用できる。なお、焼成の前に乾燥工程を入れる場合も、本温度域が同様に望ましい。
本発明の好ましい態様においては、工程(a)の後、工程(b)の前に、前記基材を50℃以上に加熱するようにする。
基材の形状は、タイルやガラスのような平板状のものはむしろ少なく、地面に対して垂直面や傾斜面を持っている物が大部分である。前記組成物を前記基材表面に適用する際、前記組成物の粘性や塗布量によっては垂直面や傾斜面での「垂れ」が問題となる場合が有る。このような場合、塗布前に基材を50℃以上に加熱しておくことにより、垂直面や傾斜面での塗布した組成物の垂れを防止することができ、被覆率を容易にコントロールすることができることから、基材の光沢度をより細かく調節できるようになるので好適である。
本発明の好ましい態様においては、工程(a)によって準備される基材は、陶器素地および釉薬層から成る衛生陶器であるようにする。
衛生陶器の具体的な商品形態としては、便器、便器のサナ、ロータンク、洗面器、手洗い器、汚物流し等があり、特に洗面器や手洗い器には高い意匠性を求められることがあり、本発明の光沢度調節方法を適用することによって光沢度を任意の値に高めることができるので好適である。また、便器のボウル面、洗面器のボウル面のように、場所によって曲率が異なる複雑な形状の製品に対しては、場所によって被覆率を変化させ、全体として一様な光沢度の外観を持つようにすることができるので好ましい。
本発明によれば、基材表面の光沢度をの任意の値に調節することが可能になる。
本発明の光沢度調節方法を適用した基材の一実施態様を示す図である。 本発明の基材加熱無しでの実施例を示すレーザー顕微鏡写真である。 (a)基材の真上から見た表面形態 (b)基材の斜め上方からみた表面形態 本発明の基材加熱有りでの実施例を示すレーザー顕微鏡写真である。 (a)基材の真上から見た表面形態 (b)基材の斜め上方から見た表面形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる基材は、特に限定されることが無いが、焼成工程を有するので、耐熱性の素材が良い。
特に、光沢度は、意匠性を向上させる方法として、利用できるので、意匠性を要求される基材に好適である。
例えば、便器、便器のサナ、手洗い付きロータンクの手洗い鉢、洗面台の洗面器、手洗い器、汚物流し等と言った衛生陶器やタイルは、水周りの空間に適用される基材であるが、近年、水周りの空間をより快適な空間として演出するために、明るい色彩に更に光沢感を付与したり、濃色系の色彩に光沢を付与することで、高級感を演出できるようになる。
本発明における金属酸化物とは、例えばMg,Al,Ti,Cr,Zn,Ga,Y,Zr,Nb,Ce,Hf,Ta,W等の酸化物のことであり、屈折率の高い物質が好適に用いられる。具体的に、上記金属酸化物膜の波長550nm付近における屈折率は、MgO〜1.74,Al〜1.63,TiO〜2.3,Cr〜2.24,ZnO〜2.1,Ga〜1.45,Y〜1.87,ZrO〜2.05,Nb〜2.33,CeO〜2.2,HfO〜1.95,Ta〜2.16,WO〜2.2であって、いずれも高屈折率の膜である。これらの金属酸化物膜のいずれかを基材表面に適用すること、および前記適用時に被覆率を適切にコントロールすることにより、基材の光沢度を高い側に且つ任意の値に調節する。なお、金属酸化物膜は、複数併用してもよい。
基材への適用方法としては、上記金属酸化物をスプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティングなどの湿式方法、CVD、電子ビーム蒸着、スパッタなどの乾式方法により塗膜する方法があるが、スプレーコーティングは、CVD、電子ビーム蒸着、スパッタなどに比較して特別な設備を必要とせず、安価に塗布が可能な点で望ましい。
なお、形成する皮膜の形状としては、ランダムに分散されたものの他、マスクを利用して格子状などに規則性を持って構成されたもの等任意の形状が可能である。ただし、1つの皮膜は所定面積を有するものであり、且つその皮膜が光沢度を付与したい領域に一応に分散して配置されているようにする。
本発明における金属酸化物粒子を製造する方法は、気相法または液相法による。気相法は、乾燥粉末が直接得られるため、比較的分散性の良い粉末が得られる。しかし、化学炎法を除いて量産性に乏しく、高コストとなるため工業的生産には適さない。液相法は、溶液中の化学反応により結晶核を生成、成長させ、次いで乾燥、焼成の工程をとる。反応温度、固形分濃度などの製造条件を、粒成長が起こらないように各工程で厳密にコントロールすることにより、分散性が良く、粒径が50nm以下の超微粒子が得られる。液相法は、量産性に優れているため、工業的生産にも適している。
また、上記金属酸化物粒子は、溶媒中に分散させた溶液状で、例えば、スプレーコーティングで、付与する際の溶媒としては、親水性溶媒が溶媒の蒸発速度を調整することで、液滴状の皮膜の形状を光沢度調整に好適な形状に調整できるので望ましい。親水性溶媒としては、水、アルコールまたは下記のごとき親水基を有する有機化合物を挙げることができる。但し、下記の親水基における元素記号以外の符号はそれぞれ、M:金属、R:アルキル基、X:ハロゲン、シアン、アジドのいずれか、を示すものとする。
−COOH,−OOH,−CSOH,−SOH,−CSSH,−SOH,−SOH,−SOH,−COOM,−OOM,−CO−O−CO−,−COOR,−COX,−OX,−CONX,−ONH,−CO−NHNH,−CONHCO,−C(NH)NH,−C=N,−NC,−OCN,−NCO,−SCN,−NCS,−CHO,−OH,−CHS,−SH,−OOH,−NH,=NH,−NH,−NHNH,−OR,−O
これらの親水性溶媒は、複数併用しても良い。
また、金属酸化物粒子と親水性溶媒を含む組成物を前記基材表面に適用する方法は、基材表面に、例えば酸化ジルコニウム等の前駆体からなる溶液を、上記親水性溶媒で適切な濃度に希釈した後、フローコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング等の方法により被覆することによる。これらの方法の中で、スプレーコートは、被コート表面とスプレーノズル先端との距離と時間を調整することによって、任意の被覆率が容易に調整可能であるので、望ましい方法である。また、垂直面への適用の際に前記組成物の垂れが問題となるような場合には、適用前に基材を加熱しておいても良い。
本発明の基材表面は、被覆率15%〜100%の範囲で金属酸化物粒子によって被覆される。被覆率100%の場合を除く、同15%〜99.9%の範囲における本発明の一実施態様を図1に示す。図1では、基材1の表面に酸化ジルコニウム等の金属酸化物薄膜2が、基材の一部が点在するように分散露出させて被覆形成されている。
本発明における、前記付着させた金属酸化物粒子を焼成する方法は、電気炉やガス窯等を用いた焼成、更にはオートクレーブ等を用いた水熱処理が利用できる。温度としては、50〜450℃、より好ましくは200〜450℃で焼成して固化させる。
前記被覆後の基材表面の光沢度は、鏡面光沢度測定方法JIS−Z8741の方法3に示された60度鏡面光沢Gs(60°)が、10%以上250%以下であるようにすると良い。前記被覆後の基材表面の60度鏡面光沢Gs(60°)を元基材の1.1から2.5倍の任意の値に調節するには、例えば、基材のGs(60°)が10%以上100%以下であるものを準備し、その上に酸化ジルコニウム等の金属酸化物膜を形成する。基材のGs(60°)が10%以上100%以下であるものの一例としては衛生陶器の釉薬表面がこれに該当し、前記衛生陶器を準備する方法は、原料を湿式粉砕して衛生陶器用素地泥漿を準備する工程、前記衛生陶器用素地泥漿を便器や洗面器等の石膏型に鋳込み成形して成形素地を得る工程、前記成形素地を乾燥する工程、釉薬原料を湿式粉砕して釉薬泥漿を準備する工程、前記釉薬泥漿を前記乾燥後の成形素地上に適用して釉薬層を形成する工程、焼成する工程、を経て行う。前記釉薬層表面のGs(60°)を1070%以上100%以下にするための方法は、例えば釉薬原料に非晶質成分を含む釉薬や、平均粒径が1.5μm未満の微粒釉薬を使用し、それを陶器素地表面にフローコート、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、バーコート、グラビアコート等の方法により施釉して1000℃〜1300℃で焼成することによる。
ここで、本願の衛生陶器は、以下に限定されるものではないが、例えば、便器、便器のサナ、手洗い付きロータンクの手洗い鉢、洗面台の洗面器、手洗い器、汚物流し等が挙げられる。
(実施例1〜6)
衛生陶器釉薬を施釉した板状のサンプル上に住友大阪セメント製ジルコニアゾル(固形分濃度2.5wt%、一次粒径3nm)をエタノールとイソプロピルアルコール(Isopropyl Alcohol、以下、二IPAと称す。)の混合溶液(エタノール:IPA=1:1(重量比))で2倍に希釈した溶液を塗布した。前記塗布の工程は、前記板状のサンプル(釉薬表面の水との接触角30°)を加熱しない状態でスプレーを用い、スプレー時間を調節することで、コーティング被覆率を変化させた。被覆率の測定は、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製 VHX-900)で各サンプル5点(400倍)撮影し、各写真の大きさを1250×830ピクセル(計:1037500ピクセル)に揃え、デジタル処理で2値化(膜部分:黒、膜無部分:白)を行い、ピクセルカウンターで黒のピクセル数を数えて求めた。得られた被覆率の違うサンプルを300℃×1.5時間焼成することで、強固な皮膜を得た。各被覆率におけるサンプル表面の60度光沢度の測定値及びデジタルマイクロスコープ(キーエンス製 VHX-900)で観察した液滴の表面形態をまとめて表1に示す。
表1に示したように、基材を加熱しない場合は、釉薬表面へのジルコニアゾル被覆率を30%〜78%の範囲に変化させることで、光沢度を96%〜161%の間でコントロールすることができた。
また、上記実施例1〜6における表面形態をレーザー顕微鏡(キーエンス製VK9700)により詳細に観察した結果を、図2に示す。
図2に示しように、基材加熱をしない場合は、液滴の形態は、台形もしくは中央が少し凹んだ滑らかな形をしており、被覆率が上がるにつれて、光沢度が著しく上昇すると考えられる。
この液滴の形状では、基材の光沢度をより高く調整した場合に、適している。
(実施例7〜12)
衛生陶器釉薬を施釉した板状のサンプル上に住友大阪セメント製ジルコニアゾル(固形分濃度2.5wt%、一次粒径3nm)をエタノールとIPAの混合溶液(エタノール:IPA=1:1(重量比))で2倍に希釈した溶液を塗布した。前記塗布の工程は、前記板状のサンプル(釉薬表面の水との接触角30°)を約65℃に加熱した状態でスプレーを用い、スプレー時間を調節することで、コーティング被覆率を変化させた。被覆率の測定は、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製 VHX-900)で各サンプル5点(400倍)撮影し、各写真の大きさを1250×830ピクセル(計:1037500ピクセル)に揃え、デジタル処理で2値化(膜部分:黒、膜無部分:白)を行い、ピクセルカウンターで黒のピクセル数を数えて求めた。得られた被覆率の違うサンプルを300℃×1.5時間焼成することで、強固な皮膜を得た。各被覆率におけるサンプル表面の60度光沢度の測定値及びデジタルマイクロスコープ(キーエンス製 VHX-900)で観察した液滴の表面形態をまとめて表2に示す。
表2に示したように、基材を加熱した場合は、釉薬表面へのジルコニアゾル被覆率を19%〜93%の範囲に変化させることで、光沢度を83%〜104%の間でコントロールすることができた。
また、上記実施例7〜12における表面形態をレーザー顕微鏡(キーエンス製VK9700)により詳細に観察した結果を、図3に示す。
図3に示したように、基材加熱をした状態では、液滴の形態は、エッジ部が尖った形をしており、被覆率が上がるにつれて光沢度は上昇するが、基材加熱無しの場合と比較すると、その上昇度合いは緩やかである。
この液滴の形状では、光沢度を細かく調整する場合に適している。
(実施例13)
衛生陶器釉薬を施釉した板状のサンプル上に住友大阪セメント製ジルコニアゾル(固形分濃度2.5wt%、一次粒径3nm)をエタノールとIPAの混合溶液(エタノール:IPA=1:1(重量比))で2倍に希釈した溶液を基材加熱無し、被服率が60%となるように塗布し、300℃×1.5時間焼成することで、実施例13のサンプルを得た。また、同一の衛生陶器釉薬を施釉した板状のサンプル上に、一般的にタイルのラスター処理に用いられるラスター釉を基材加熱無しで全面に塗布し、800℃×1時間焼成することで比較例2のサンプルを得た。比較例2および実施例13のサンプルを用いて、摺動面での圧力9.8KPa、水和条件下で、摺動試験を行った。摺動試験には、市販の不織布を用いて、市販の摺動試験機(太平理化工業:ラビングテスタこすり試験機)を用いた。結果をまとめて表3に示す。
比較例2のラスター釉薬では、100回摺動で明らかな傷が入るのに対し、本発明品(実施例13)では、ほとんど傷が見られず、また、1万回の摺動後、光沢度においても変化は見られなかった。
表1〜2および図1〜2に示したように、基材加熱の有無で液滴付着形態を変え、かつジルコニアゾル被覆率を変えることで、60度鏡面光沢度を1.1から2.5倍の任意の値にコントロールすることが可能となった。
1…基材
2…金属酸化物膜
3…釉薬表面
4…ジルコニアゾル被覆(液滴)
5…液滴断面形状

Claims (9)

  1. 表面を少なくとも部分的に被覆することにより基材の光沢度を調節する方法であって、
    (a)表面を有する基材を準備する工程、
    (b)前記基材表面上に金属酸化物粒子を所定領域有する膜状に分散付着させ被覆率を調整する工程、
    (c)前記付着させた金属酸化物粒子を焼成する工程、
    からなることを特徴とする基材の光沢度調節方法。
  2. 前記被覆率は、15%以上100%以下であることを特徴とする請求項1記載の基材の光沢度調整方法。
  3. 前記粒子は、平均粒径50nm以下の金属粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の光沢度調整方法。
  4. 前記金属酸化物粒子は、酸化ジルコニウム粒子及び/又はジルコニウム化合物粒子であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の基材の光沢度調節方法。
  5. 前記光沢度は、JIS−Z8741によって測定される60度鏡面光沢度であって、工程(b)の前の60度鏡面光沢度が10%以上100%以下であり、工程(c)の後の60度鏡面光沢度を1.1から2.5倍の任意の値にコントロールできることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の基材の光沢度調節方法。
  6. 工程(b)は、前記金属酸化物粒子を溶媒に分散させ、前記基材表面上にスプレー噴霧することにより液滴状に付着させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の基材の光沢度調節方法。
  7. 工程(c)が、50℃以上450℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の基材の光沢度調節方法。
  8. 工程(a)の後、工程(b)の前に、前記基材を50℃以上に加熱することを特徴とする請求項6に記載の基材の光沢度調節方法。
  9. 工程(a)によって準備される基材は、陶器素地および釉薬層から成る衛生陶器であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の基材の光沢度調節方法。
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