JP2010172615A - 機能イメージング眼科装置 - Google Patents

機能イメージング眼科装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010172615A
JP2010172615A JP2009020837A JP2009020837A JP2010172615A JP 2010172615 A JP2010172615 A JP 2010172615A JP 2009020837 A JP2009020837 A JP 2009020837A JP 2009020837 A JP2009020837 A JP 2009020837A JP 2010172615 A JP2010172615 A JP 2010172615A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
mask
unit
time
captured
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009020837A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5372540B2 (ja
Inventor
Yoko Hirohara
陽子 広原
Toshibumi Mihashi
俊文 三橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Topcon Corp
Original Assignee
Topcon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Topcon Corp filed Critical Topcon Corp
Priority to JP2009020837A priority Critical patent/JP5372540B2/ja
Publication of JP2010172615A publication Critical patent/JP2010172615A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5372540B2 publication Critical patent/JP5372540B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Eye Examination Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出できる機能イメージング眼科装置を提供する。
【解決手段】本機能イメージング眼科装置1は、近赤外域の照明光束で、被検眼Eの眼底Fを照明する照明光学系10と、照明光束の眼底Fからの反射光束を受光する受光部30と、受光部30で第1の時間t1で撮影された撮影画像P1を基に、第1の時間t1及び第1の時間t1と異なる第2の時間t2で撮影された撮影画像P2からそれぞれ測定対象領域を抽出するためのマスクM1,M2を形成するマスク形成部73と、マスク形成部73により形成されたマスクM1,M2を用いて、第1の時間t1及び第2の時間t2で撮影された撮影画像P1,P2からそれぞれ測定対象領域を抽出する画像抽出部74と、画像抽出部74で抽出された測定対象領域の画像を表示する表示部9とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、機能イメージング眼科装置に関する。特に、複数の波長域の撮影画像を用いて刺激による眼の分光特性の変化を測定する機能イメージング眼科装置に関する。
眼の診断において眼底観察の重要性は疑うまでもない。現在、眼底カメラのカラー眼底像、蛍光造影像などにより眼底を診断して異常所見が見つけ出されている。機能イメージング眼科装置は、眼底カメラを用いて、刺激をしたときの眼底の画像的な変化を解析して眼底、さらに網膜内の細胞などの活性度を知ることができる装置である。これまで、機能イメージング眼科装置の試みとして、眼底反射の強度変化に基づいて解析が行なわれてきた。例えば、光を用いたフラッシュ刺激や電気を用いた強膜1点刺激で機能イメージングを行った例が報告されている。また、刺激により神経系が活性化されると、血液中の酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの濃度、血流、網膜での光散乱が変化することが見出されている。(非特許文献1〜3参照)
ところで、例えば、撮影時間を20秒程度継続すると、この間、眼と装置のアライメントが変化するため、各分光画像間には撮像された同一部分に位置ずれが生じるという問題があった。そこで、発明者達は、時間変化による眼と装置のアライメントの変化が生じても、各分光画像間の同一部分の位置ずれを解消できる分光眼底画像データ測定装置及びその測定方法を提案した。また、分光眼底画像から各部分を分光特性に基づいて容易かつ高精度に特定できる分光眼底測定装置及びその測定方法を提案した。さらに、発明者達は、これらの文献において、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光感度(吸収光量)が波長依存性を有することから網膜の酸素飽和度を解析した。(特許文献1、2参照)
特開2006−158547号公報(段落0029〜0082、図1〜図21) 特開2007−330557号公報(段落0024〜0061、図1〜図12)
Kazushige Tsunoda,Yoshihisa Oguchi,Gen Hanazono,and Manabu Tanifuji "Mapping Cone−and Rod−Induced Retinal Responsiveness in Macaque Retina by Optical Imaging" Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2004 45:3820−3826. 角田和繁 「総説:網膜神経活動のイメージング 網膜内因性信号計測法:Functional Retinography(FRG)」 視覚の科学,2008年 29巻1号 Yoshitaka Okawa,Takashi Fujikado,Tomomitsu Miyoshi,Hajime Sawai,Shunji Kusaka,Toshifumi Mihashi,Yoko Hirohara,and Yasuo Tano "Optical Imaging to Evaluate Retinal Activation by Electrical Currents Using Suprachoroidal−Transretinal Stimulation" Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2007 48:4777−4784.
しかしながら、従来の眼底反射の強度変化や酸素飽和度の静的な絶対値測定のみでは、眼底での酸素飽和度や、網膜内に分布する物質の成分量の刺激に対する時間的な変化を定量的に測定できておらず、臨床に役立てるには不十分であった。すなわち、これらの時間的な変化を定量的に測定できれば、網膜細部の活性がより詳細に分かる可能性があり、臨床的にも大いに役立つと考えられる。特に、複数の波長域の撮影画像を時系列的に、例えば、光刺激による酸素飽和度の分光分布を時系列的に測定することにより、光刺激による網膜内の物質の反応を分析できるようになり、また、分光分布が分かれば、分光画像から網膜内の成分分析ができ、眼の診断に役立てられる可能性が高い。そこで、酸素飽和度等の比較事象を時系列的に比較することが可能であり、刺激による眼底の各部分の反応を検知できる機能イメージング眼科装置を提供することを本発明の第1の目的とする。
また、眼底画像における血管部分等は周囲との差異があまり明瞭といえず、これら特定部分を明瞭に抽出できる技術が求められている。そこで、より明瞭に血管部分等の特定部分を抽出できるような機能イメージング眼科装置を提供することを本発明の第2の目的とする。
また、時間の変化に伴い眼と装置のアライメントが変化するので、眼底の経時変化を測定する場合、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出するのが困難であるという問題があった。そこで、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出できる機能イメージング眼科装置を提供することを本発明の第3の目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の機能イメージング眼科装置1は、例えば図1に示すように、近赤外域の照明光束で、被検眼Eの眼底Fを照明する照明光学系10と、照明光束の眼底Fからの反射光束を受光する受光部30と、受光部30で第1の時間t1で撮影された第1の撮影画像P1を基に、第1の撮影画像P1及び第1の時間t1と異なる第2の時間t2で撮影された第2の撮影画像P2からそれぞれ測定対象領域を抽出するためのマスクM1,M2を形成するマスク形成部73と、マスク形成部73により形成されたマスクM1,M2を用いて、第1の撮影画像P1及び第2の撮影画像P2からそれぞれ測定対象領域を抽出する画像抽出部74と、画像抽出部74で抽出された測定対象領域の画像を表示する表示部9とを備える。
ここにおいて、マスクM1,M2は典型的には画像処理により形成されるものであり、ハードマスクに限られない。また、撮影画像P1,P2には撮影画像を加工処理した画像を含むものとする。本態様のように構成すると、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出するマスクを形成することにより、同一部分を効率良く抽出できる機能イメージング眼科装置を提供できる。
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の機能イメージング眼科装置1において、例えば図1に示すように、第1の撮影画像P1から測定対象領域を抽出するためのマスクを基準マスクM1と、第2の撮影画像P2から測定対象領域を抽出するためのマスクを抽出マスクM2と称し、マスク形成部73は、第1の撮影画像P1と第2の撮影画像P2を位置合わせするための変換パラメータを求める変換パラメータ算出部76と、変換パラメータを用いて基準マスクM1を変換処理することにより抽出マスクM2を形成する抽出マスク作成部79とを有する。
このように構成すると、画像を変換処理してマスクを形成することにより、抽出マスクを効率良く形成できる。
また、本発明の第3の態様、第2の態様の機能イメージング眼科装置1において、例えば図9及び図10に示すように、変換パラメータ算出部76は、第1の撮影画像P1のうち測定対象領域を含む基準ウインドウ領域A1を定め、第2の撮影画像P2のうち基準ウインドウ領域A1に対応する抽出ウインドウ領域A2を定め、基準ウインドウ領域A1と抽出ウインドウ領域A2を位置合わせするための変換パラメータを求める。
このように構成すると、局所的な領域に限定して変換パラメータを求めることにより、変換処理に要する時間を短縮できる。
また、本発明の第4の態様の機能イメージング眼科装置1は、例えば図1に示すように、近赤外域の照明光束で、被検眼Eの眼底Fを照明する照明光学系10と、照明光束の眼底Fからの反射光束を、近赤外域の複数の波長域の光束に分割する波長分割部28と、波長分割部28で分割された複数の波長域の光束を同じタイミングで受光する受光部30と、前記受光部30で同じタイミングで撮影された複数の波長域での撮影画像から比較対象画像を作成する比較部70と、第1の時間t1で撮影された撮影画像から作成された第1の比較対象画像を基に、第1の比較対象画像及び第1の時間t1と異なる第2の時間t2で撮影された撮影画像から作成された第2の比較対象画像から、それぞれ測定対象領域を抽出するためのマスクM1,M2を形成するマスク形成部73と、マスク形成部73により形成されたマスクM1,M2を用いて、第1の比較対象画像及び第2の比較対象画像からそれぞれ測定対象領域を抽出する画像抽出部74と、画像を表示する表示部9とを備え、比較部70は、第1の比較対象画像及び前記第2の比較対象画像から、画像抽出部74により抽出された測定対象領域を時系列的に比較し、表示部9は、比較部70で時系列的に比較された結果を表示する。
ここにおいて、複数の波長域の光束はそれぞれ単一波長に特定した光束でも良く、波長範囲を有する光束でも良い。なお、波長範囲を有する光束の場合の撮影画像から得られる検出結果は波長に対して平均的な値となる。また、比較対象画像とは、例えば酸素飽和度画像のような特定の物性に注目して時間的、空間的又は分光的に比較する価値のある画像をいう。波長の異なる撮影画像間の差画像も、波長により変化する部分を抽出できるので、比較対象画像になりうる。本態様のように構成すると、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出するマスクを形成することにより、同一部分を効率良く抽出できる機能イメージング眼科装置を提供できる。
また、本発明の第5の態様は、第4の態様の機能イメージング眼科装置において、例えば図1に示すように、第1の比較対象画像から測定対象領域を抽出するためのマスクを基準マスクM1と、第2の比較対象画像から測定対象領域を抽出するためのマスクを抽出マスクM2と称し、マスク形成部73は、第1の比較対象画像と第2の比較対象画像を位置合わせするための変換パラメータを求める変換パラメータ算出部76と、変換パラメータを用いて基準マスクM1を変換処理することにより抽出マスクM2を形成する抽出マスク作成部79とを有する。
このように構成すると、画像を変換処理してマスクを形成することにより、抽出マスクを効率良く形成できる。
また、本発明の第6の態様は、第1の態様ないし第5の態様のいずれかの機能イメージング眼科装置において、例えば図1に示すように、可視域の刺激光束で眼底Fの測定対象領域を照射して刺激する刺激光照射光学系40を備え、第1の時間t1として、刺激光束での刺激の前の時間を選択し、第2の時間t2として、刺激光束での刺激の後の時間を選択する。
ここにおいて、刺激の後には刺激中を含んでも良い(刺激中は開始時の刺激後に該当する)。本態様のように構成すると、光刺激の有無による測定対象領域の変化を検出できる。
また、本発明の第7の態様は、第1の態様ないし第5の態様のいずれかの機能イメージング眼科装置において、例えば図1に示すように、可視域の刺激光束で眼底Fの測定対象領域を照射して刺激する刺激光照射光学系40を備え、第1の時間t1として、刺激光束での刺激の前後の任意の時間を選択し、第2の時間t2として、刺激光束での刺激の前後にわたる複数の時間を選択する。
このように構成すると、光刺激による測定対象領域の変化を時系列的に検出できる。
また、本発明の第8の態様は、第6の態様又は第7の態様の機能イメージング眼科装置において、比較対象画像は、複数の波長域での撮影画像から作成された酸素飽和度画像である。
このように構成すると、被検眼について酸素飽和度を用いた解析が可能になる。これにより、網膜の活動部位や、糖尿病性網膜症による血管の障害を特定できる。
また、本発明の第9の態様は、第6の態様又は第7の態様の機能イメージング眼科装置において、比較対象画像は、複数の波長域のうちの2波長域での撮影画像間の差画像である。
このように構成すると、差画像を作成することにより、波長により吸光感度が変化しない部分を除去した画像が得られるので、波長により吸光感度が変化する部分、例えば血管(動脈、静脈)を低バックグラウンドノイズで抽出できる。
また、本発明の第10の態様は、第1の態様ないし第8の態様のいずれかの機能イメージング眼科装置において、例えば図1に示すように、測定対象領域の測定データを蓄積する記憶部9を備え、測定対象領域が血管であり、記憶部9は、血管の受光信号強度データを累積する。
このように構成すると、血管の累積データを診断等に利用できる。
また、本発明の第11の態様のマスク形成方法は、例えば図7に示すように、第1の時間t1で撮影された第1の撮影画像P1と第1の時間と異なる第2の時間t2で撮影された第2の撮影画像P2を取得する工程(S351)と、第1の撮影画像P1から測定対象領域を抽出する工程(S352)と、測定対象領域を抽出する工程(S352)で抽出された測定対象領域を二値化して基準マスクM1を形成する工程(S353)と、第1の撮影画像P1と第2の撮影画像P2を位置合わせするための変換パラメータを求める工程(S354)と、変換パラメータを用いて基準マスクM1を変換処理することにより、第2の撮影画像P2から測定対象領域を抽出するための抽出マスクを形成する工程(S355)とを備える。
このように構成すると、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出するマスクを形成できる。
また、本発明の第12の態様は、第12の態様のマスク形成方法において、変換パラメータを求める工程(S354)は、第1の撮影画像P1のうち測定対象領域を含む基準ウインドウ領域A1を定め、第2の撮影画像P2のうち基準ウインドウ領域A1に対応する抽出ウインドウ領域A2を定め、基準ウインドウ領域A1と抽出ウインドウ領域A2を位置合わせするための変換パラメータを求める。
このように構成すると、局所的な領域に限定して変換パラメータを求めることにより、変換処理に要する時間を短縮できる。
本発明の1態様によれば、同じタイミングで撮影された複数の波長域での撮影画像から比較対象画像を作成して、時系列的に比較する比較部を備えることにより、比較事象を時系列的に比較することが可能であり、刺激による眼底の各部分の反応を検知できる機能イメージング眼科装置を提供できる。
また、本発明の別の態様によれば、波長域の異なる複数の撮影画像を利用して、明瞭に血管部分等の特定部分を抽出できるような機能イメージング眼科装置を提供できる。
また、本発明のさらに別の態様によれば、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出するマスクを形成することにより、同一部分を効率良く抽出できる機能イメージング眼科装置を提供できる。
実施例1における機能イメージング眼科装置の構成例を示す図である。 実施例1における機能イメージング眼科装置を用いた眼機能画像解析方法の処理フロー例を示す図である。 酸化、還元ヘモグロビンの吸収光量の例を示す図である。 画像処理部における画像取得の処理フローを詳細に例示する図である。 眼底画像のヘモグロビン濃度の経時変化の解析フローの例を示す図である。 第1のCCDカメラ及び第2のCCDカメラで撮影した撮影画像から作成した酸素飽和度画像の時間的変化の例を示す図である。 マスク形成の処理フロー例を示す図である。 時間t1で撮影された撮影画像P1と時間t2で撮影された撮影画像P2を並べて示す図である。 時間t1で撮影された撮影画像P1から測定対象領域を抽出するための基準マスクを示す図である。 撮影画像P2から測定対象領域を抽出するための抽出マスクを示す図である。 抽出された基準マスク領域の例を示す図である。 加工処理の流れの例を示す図である。 変換パラメータ算出及び抽出マスク形成の処理フローの例を示す図である。 実施例4における機能イメージング眼科装置を用いた眼機能画像解析方法の処理フロー例を示す図である。 実施例5における機能イメージング眼科装置を用いた眼機能画像解析方法の処理フロー例を示す図である。 実施例9における画像処理部の構成例を示す図である。
以下、図面に基き本発明の実施の形態について説明する。
実施例1では、眼底に可視光を照射して光刺激を与え、反射光束を2波長域に分割して受光し、第1比較モード及び第2比較モードを実行する例を説明する。また、第1比較モードにおいて、撮影画像から酸素飽和度画像を作成する例を、第2比較モードにおいて、画像処理により、眼底の測定対象領域を抽出するためにマスクを形成し、マスクにより抽出された測定対象領域の酸素飽和度画像を時系列的に比較する例を説明する。
[装置構成]
図1に、本実施例における機能イメージング眼科装置1の構成例を示す。図1において、機能イメージング眼科装置1は、眼底カメラ部2、トップハウジング部3、記憶部6、画像処理部7、制御部8、表示部9に大別される。眼底カメラ部2は、主として被検眼Eの眼底Fを照明するための照明光学系10、眼底Fからの反射光束を受光して受光部(撮像カメラ)30の受光面に眼底像を形成する受光光学系20の前段部、検眼者が眼底Fを観察する照射光の眼底Fへの照射位置をアライメントするためのアライメント光学系50の光源51、検眼者が被検眼Eを観察するためのファインダー光学系60等を備える。トップハウジング部3は、主として被検眼Eの眼底Fに刺激光を照射するための光刺激光学系40、眼底Fからの反射光束を受光して撮像カメラの受光面に眼底像を形成する受光光学系20の後段部、アライメント光学系50の受光部を備える。また、受光光学系20の後段部は反射光束を近赤外域の複数の波長域の光束に分割する波長分割部28と波長分割部28で分割された複数の波長域の光束を同じタイミングで受光する受光部30を有する。本実施例では、波長分割部28は2波長域に分割するものとし、受光光学系20は、第1波長域の光束を受光して撮像する第1の受光光学系20Aと第2波長域の光束を受光して撮像する第2の受光光学系20Bを有する。また、受光部30は第1波長域の光束を撮像する第1受光部としての第1のCCDカメラ31、第2波長域の光束を撮像する第2受光部としての第2のCCDカメラ32を有する。また、アライメント光学系50の受光部は第3のCCDカメラ54を有する。なお、これらの受光部としてCCDカメラ以外の撮像カメラも使用可能である。また、図1中、c1〜c3は制御信号、d1〜d3は撮影画像信号の接続を示す。
照明光学系10は、近赤外域の照明光束で、被検眼Eの眼底Fを照明する。眼底カメラ部2において、照明光源としてのハロゲンランプ11、コンデンサーレンズ12、分光特性補正フィルタ13、絞り板14、反射鏡15、リレーレンズ16、ビームスプリッター17、対物レンズ18を照射光軸上に順次配置してなる。ここで、ハロゲンランプ11はコンデンサーレンズ12の前側焦点位置付近に配置されている。ハロゲンランプ11は、照射光が可視光から赤外線領域にわたる波長範囲を連続的にカバーしており、また、撮影を時系列で行うために30秒程度の連続点灯が可能であり、また、CCDの進歩によりフラッシュを使用しなくても画像が取得できるようになった。また、分光特性補正フィルタ13は、照明光束を近赤外域(例えば波長730nm〜1μm)の範囲に限定する。なお、光源の輝度や撮像カメラの感度等の波長依存性を考慮してなるべく均質な撮影画像が得られるように光の透過率を補正する特性を持たせても良い。絞り板14はビームスプリッター17と共役となるように配置されている。
照明光学系10は、さらに、ビームスプリッター17からの反射光束を対物レンズ18を通して被検眼Eの眼底Fを照明する。このビームスプリッター17は近赤外域の光を反射し、可視域の光を透過する。ビームスプリッター17と被検眼Eの間は、照明光学系10と受光光学系20との共通光学系をなしている。
受光光学系20は、照明光束の眼底Fからの反射光束を、近赤外域の第1波長域の光束と第2波長域の光束に分割する波長分割部28と、刺激光束での刺激の前後において、波長分割部28で分割された第1波長域の光束を受光する第1受光部20Aと、第2波長域の光束を受光する第2受光部20Bとを有する。眼底カメラ部2内において、被検眼Eを通る反射光軸上に、対物レンズ18、ビームスプリッター17、アイリス絞り板21、合焦レンズ22、結像レンズ23、反射鏡24、切り替えミラー25を順次配置してなり、トップハウジング部3の受光光学系に接続される。アイリス絞り板21は被検眼Eの瞳と共役な位置に配置されている。切り替えミラー25は通常は受光光学系20の光路外に配置されるが、観察者が被検眼Eの観察を欲する時には、例えばソレノイドを用いて切り替えミラー25を受光光学系20の光路に挿入し、ファインダー系60に光路を切り替えて目視によるアライメントを可能にする。
受光光学系20は、トップハウジング部3において、被検眼Eからの反射光軸上にフィールドレンズ26、ダイクロイックミラー27が配置され、ダイクロイックミラー27は、光刺激光学系40の可視域の光(例えば400nm〜720nm)と長波長の近赤外域の光(例えば920nm〜1μm)を透過し、第1波長域(例えば730nm〜780nm)から第2波長域(例えば820nm〜880nm)にわたる近赤外域の光を反射させる。ダイクロイックミラー27からの反射光束の光軸上にさらに波長分割部としてのダイクロイックミラー28が配置され、ダイクロイックミラー28は第1波長域(例えば730nm〜780nm)の光束を透過させ、第2波長域(例えば820nm〜880nm)の光束を反射させる。第1波長域と第2波長域は、後述するように血液の酸化ヘモグロビンHbOと還元ヘモグロビンHbの分光濃度特性の交点を挟んで設定されている(図3参照)。ダイクロイックミラー28を透過した第1波長域の光束の光軸上にフィルタ34、結像レンズ35、第1の撮像部としての第1のCCDカメラ31が配置されている。ダイクロイックミラー28から反射した第2波長域の光束の光軸上にフィルタ36、結像レンズ37、第2の撮像部としての第2のCCDカメラ32が配置されている。また、第1のCCDカメラ31及び第2のCCDカメラ32の受光面は眼底像が形成されるように、被検眼Eの眼底Fと共役となるように配置されている。CCDカメラ31,32は可視光から近赤外領域まで幅広い波長に感度があり、例えば130万画素(1344×1024)の高精細画像を得られ、高速(約8フレーム/秒)、低ノイズの読み出しが可能である。フィルタ34は第1波長域(例えば730nm〜780nm)の光束を選択的に透過させ、フィルタ36は第2波長域(例えば820nm〜880nm)の光束を選択的に透過させる。結像レンズ35、37はそれぞれ、フィルタ34、36からの射出光をCCDカメラ31、32にリレーするためのレンズである。かかる構成により受光光学系20は、照明された眼底Fからの反射光束を、第1波長域の分割光束及び第2波長域の分割光束に分割して受光し、波長域の異なる分光眼底画像を撮像できる。
光刺激光学系40は、可視域の光(例えば400nm〜720nm)を被検眼Eの眼底Fの測定対象領域を照射して刺激する。トップハウジング部3において、刺激光光源41から射出された刺激光束の光軸上に、コンデンサーレンズ42、反射鏡43、ダイクロイックミラー44、ダイクロイックミラー27が配置されている。刺激光光源41として、光源の前に絞りを配置したもの、液晶パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)等を使用できる。絞りは眼底Fの一部の領域に刺激光を限定して照射するための絞りで、任意の寸法、形状を選択できる。液晶パネル、有機ELは液晶や有機ELの各画素を光表示するか否かを選択することにより、パネル上に任意の色彩、形状のカラーパターンを表示できる。例えばスリット状のパターンとすることにより、眼底の上下方向の線状領域に刺激光を照射でき、色彩も赤、緑、青等自由に選択できる。ダイクロイックミラー44は可視域の刺激光を透過させ、アライメント用の近赤外域の光(例えば920nm〜1μm)を反射させる。ダイクロイックミラー27は、光刺激光学系40の可視域の光(例えば400nm〜720nm)と長波長の近赤外域の光(例えば920nm〜1μm)を透過し、第1波長域(例えば730nm〜780nm)から第2波長域(例えば820nm〜880nm)にわたる近赤外域の光を反射させる。かかる構成により刺激光光源41から射出された刺激光は、ダイクロイックミラー44及びダイクロイックミラー27を透過する。ダイクロイックミラー27を透過後の光刺激光学系40の光軸は受光光学系20の光軸と一致し、眼底カメラ部2内において被検眼Eの眼底Fに至る。
アライメント光学系50は、照射光の眼底Fへの照射位置をアライメントするためのものである。眼底カメラ部2内において、アライメント光源51からの近赤外域の長波長(例えば920nm〜1μm)の照射光はビームスプリッター17、対物レンズ18を透過し、被検眼Eの角膜で反射される。角膜で反射され、対物レンズ18、ビームスプリッター17を透過したアライメント光学系50の光軸はダイクロイックミラー44まで光刺激光学系40の光軸と一致する。ダイクロイックミラー44は可視域の刺激光を透過させ、アライメント用の近赤外域の光を反射させる。ダイクロイックミラー44で反射したアライメント光の光軸上に、結像レンズ53、第3の撮像部としての第3のCCDカメラ54が配置されている。第3のCCDカメラ54ではアライメント光源51からの光を被検眼Eの角膜へ投影したときの反射光を撮像する。アライメント光源51の波長は、近赤外(例えば940nm)とすることで、可視域での分光画像に影響を与えることなく分光画像取得中もアライメントが行える。
ファインダー光学系60は、検眼者が眼底Fを肉眼で観察するためのものである。切り替えミラー25を受光光学系20の光路に挿入し、ファインダー系60に光路を切り替えて観察する。
記憶部6は撮像された撮影画像、比較対象画像等を記憶する。また、マスク形成に係る変換パラメータは比較対象画像又は測定開始からの経過時間を特定して保存する。また、動脈、静脈の光学濃度等のデータを記憶する。
画像処理部7は、撮影画像や撮影画像を基に作成された比較対象画像を比較する比較部70を備える。比較部70は、同じタイミングで撮影された複数の波長域での撮影画像を比較し、これらの撮影画像から比較対象画像を作成する第1比較部70aと、第1比較部70aで作成された比較対象画像を時系列的に比較する第2比較部70bとを有する。比較対象画像とは、受光部30で同じタイミングで撮影された複数の波長域での撮影画像から作成された画像で、時系列的に比較される画像である。本実施例では第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から求めた酸素飽和度画像をいうが、その他、第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像との差画像でも良く、第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像を比較して作成されたその他の画像でも良い。また、画像処理部7は、CCDカメラ31、32で撮像された撮影画像を取得する撮影画像取得部71、同じ測定対象領域に関して異なる条件(撮影時間、波長等)で撮影された撮影画像間の位置合わせを行なう位置合わせ部72、受光部30での撮影画像から測定対象領域を抽出するマスクを形成するマスク形成部73、マスク形成部73により形成されたマスクを用いて、撮影画像から測定対象領域を抽出する画像抽出部74、比較部70での比較結果から刺激光束での刺激による被検眼Eの反応を解析する画像解析部75とを備える。さらに、マスク形成部73は、撮影時間の異なる撮影画像について各特徴点の位置を合わせる変換パラメータを求める変換パラメータ算出部76、第1の時間t1で撮影された撮影画像から眼底画像上の血管(動脈、静脈)等の測定対象領域の輝度とその背景の輝度とのコントラストを算出し、測定対象領域を抽出する基準マスク領域抽出部77、基準マスク領域抽出部77で抽出した測定対象領域に対し、眼底画像に対してフィルタ処理、ラベリング処理、膨張細線化処理等の加工処理を行い、基準マスクM1を形成する加工処理部78、基準マスクM1を基に変換パラメータを用いて第2受光部32での撮影画像から測定対象領域を抽出する抽出マスクM2を形成する抽出マスク作成部79を有する。画像抽出部74は抽出マスクM1を用いて第1の時間t1で撮影された撮影画像P1及び抽出マスクM2を用いて第2の時間t2で撮影された撮影画像P2から測定対象領域を抽出する。
表示部9は第1比較部70aで比較を行なう被検眼Eの撮影画像及び第2比較部70bで比較を行なう比較対象画像を表示する。比較対象画像として、本実施例では、第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された酸素飽和度画像を表示するが、他の実施例では、第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像の差画像を表示する。比較対象画像は時系列的に表示される。また、抽出された測定対象領域、記憶部6に蓄積された各種データ、解析部75での解析結果等を表示する。
制御部8は、機能イメージング眼科装置1を機能させるために、眼底カメラ部2、トップハウジング部3、記憶部6、画像処理部7、表示部9の動作、データや信号の流れ等、機能イメージング眼科装置1全体を制御する。また、刺激光束の照射(絞り、光量、時間)、CCDカメラ30の撮影(露光、時間)を制御する制御用プログラムを格納する。条件設定部80は、刺激と撮影の条件、繰り返し回数等の測定条件を設定する。経過時間判定部81は測定開始からの経過時間を判定し、また、今度の測定が刺激前、刺激中、刺激後のいずれのコースの測定であるかを判定する。繰返回数判定部82は測定の繰り返し回数が予め設定された回数に到達したか否かを判定する。なお、画像処理部7及び制御部8は通常のパーソナルコンピュータで実現できる。
[処理フロー]
図2に、本実施例における機能イメージング眼科装置1を用いた眼機能画像解析方法の処理フロー例を示す。
まず、測定の準備を行なう(準備・条件設定工程:S000)。すなわち、機能イメージング眼科装置1を準備し、被検眼Eにセットする。また、測定条件を設定し、制御部8のプログラムにより条件を満たすように制御する。測定条件については後述するが、主として刺激と撮影の条件で、繰り返し回数を含むものである。次に、照明用光源11からの近赤外域の照明光束で、被検眼Eの眼底Fを照明する(照明工程:S100)。そして、照明光束に対して眼のアライメントを行なう。次に、可視域の刺激光束で眼底Fの測定対象領域を照射して刺激し(刺激光照射工程:S110)、被検眼Eの刺激に対する反応を測定するのであるが、設定条件に従い、刺激前、刺激中、刺激後について、それぞれ設定された回数分繰り返し撮影を行なう。制御部8は、撮影時間判定部81で今度の撮影が刺激前、刺激中、刺激後のいずれのコースの撮影であるかを判定し(刺激前中後コース判定工程:S105)、刺激前、刺激中、刺激後の各コースについて設定された撮影回数分繰り返し撮影し、順次、次のコース(刺激前→刺激中、刺激中→刺激後)に移行する。いずれのコースの測定であるかは、条件設定において測定開始時からの経過時間により定められている。各コースにおける撮影回数はそれぞれ刺激前時間、刺激中時間、刺激後時間を撮影間隔で除した値に定められる。刺激中のコースでは刺激光束を照射するが、刺激前及び刺激後のコースでは刺激光束を照射しない。また、刺激前、刺激中、刺激後の全コースにおいて設定された回数分繰り返し撮影がされたら、かかる刺激付与のコースを設定繰返回数分繰り返す。測定において、照明光束の眼底からの反射光束を受光光学系20に導き、反射光束を波長分割部としてのダイクロイックミラー28により、近赤外域の第1波長域(730nm〜780nm)の光束と第2波長域の光束(820nm〜880nm)に分割する(波長分割工程:S120)。
刺激光照射工程(S110)での刺激の前中後にわたり、複数の波長域に分割された光束を同じタイミングで受光して撮影する(受光工程:S130)。本実施例では、2波長域に分割するものとし、第1のCCDカメラ31で分割された第1波長域の光束を受光して撮影し、第2のCCDカメラ32で分割された第2波長域の光束を受光して撮影する。次に、画像処理部7では、比較部の第1比較部70aにおいて、同じタイミングで取得された第1波長域の撮影画像と第2波長域の撮影画像とを比較し(第1比較工程:S140)、これら画像の差異が第1波長域と第2波長域における酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収光量の差異に基づくことを利用して、第1波長域での撮影画像と第2波長域での撮影画像から比較対象画像としての酸素飽和度画像を作成する(比較対象画像作成工程:S150)。次に比較対象画像を表示部9にて表示する(第1表示工程:S155)。次に、制御部8は、繰返回数判定部82で各コースにおける撮影回数及び刺激付与の繰り返し回数が予め設定された回数に到達したか否かを判定し(繰り返し回数判定工程:S160)、各コースにおける撮影回数及び刺激付与の繰り返し回数が予め設定された回数に到達するまで測定を繰り返す。各コースにおける撮影回数及び刺激付与の設定繰返回数は予め準備・条件設定工程(S000)において定められている。刺激付与の繰り返し回数が予め設定された回数に到達すると、比較対象画像作成工程(S150)で作成された比較対象画像としての酸素飽和度画像を時系列的に比較する(第2比較工程:S170)。光刺激による酸素飽和度画像の経時変化から眼底F中の各部分の反応の様相を検知できる。次に、第2比較工程(S170)での比較結果を表示部9にて表示する(第2表示工程:S175)。第2比較工程(S170)での比較結果は、例えば酸素飽和度画像等の比較対象画面全体を比較したものでも良く、測定対象領域を抽出して比較したものでも良く、酸素飽和度をグラフ化して示したものでも良く、酸素飽和度を表形式で示したものでも良い。なお、第1比較工程(S140)ないし第1表示工程(S155)は、短時間で実行できない場合もあるので、繰り返し回数判定工程(S160)の後に行なっても良い。また、第1表示工程(S155)は、第2表示工程(S175)で比較対象画像が時系列的に表示される場合には、省略可能である。ここで、説明の便宜のため、第1比較工程(S140)ないし第1表示工程(S155)を第1比較モード、第2比較工程(S170)及び第2表示工程(S175)を第2比較モードと称することとする。
図3に酸化、還元ヘモグロビンの吸収光量(単位:cm−1/moles/liter)の例を示す。図3(a)におよそ可視域、図3(b)におよそ近赤外域の吸収光量を示す。酸化ヘモグロビンをHbO、還元ヘモグロビンをHbで示す。網膜の酸素飽和度解析は、刺激光束の波長により、酸化・還元ヘモグロビンの吸収光量に差があることを利用している。この分光特性のパターンが各測定対象領域における分光特性にどのくらい含まれているかを解析することにより、該測定対象領域に酸化・還元ヘモグロビンの含まれている割合を決定でき、さらに、酸化ヘモグロビンの割合から酸素飽和度を知得できる可能性がある。近赤外域において、吸収光量は約800nmで逆転しており、第1波長域(730nm〜780nm)では酸化ヘモグロビンHbOの方が大きく、第2波長域(820nm〜880nm)では還元ヘモグロビンHbの方が大きく、明確に差が生じている。後述するように、これら画像の差異が第1波長域と第2波長域における酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収光量の差異に基づくことを利用して、第1波長域での撮影画像と第2波長域での撮影画像から比較対象画像としての酸素飽和度画像を作成できる(図5参照)。なお、波長域を多くすると、吸収光量パターンにより合致し、精度の高い酸素飽和度画像を作成でき、好適である。
図4に画像処理部7における画像取得の処理フローを詳細に例示する。比較部70において、第1比較モード(第1比較部70aで処理)では、同じタイミングで取得された第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像とを比較し、これらの撮影画像から比較対象画像としての酸素飽和度画像を作成する。第2比較モード(第2比較部70bで処理)では、第1比較部70aで作成した酸素飽和度画像を時系列的に比較する。このため、第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像とを同じタイミングで時系列的に撮影する。これらの撮影画像は撮影画像取得部71により画像処理部7に取得される。
まず、制御部8の条件設定部80において、光刺激の付与条件及びCCDカメラ(第1のCCDカメラ31と第2のCCDカメラ32)での撮影条件を設定する(条件設定工程:S201)。光刺激については、刺激の種類と刺激付与の繰り返し回数を設定する。刺激の種類として光刺激、経角膜刺激、強膜1点刺激、視交差逆行性刺激等があるが、本実施例では光刺激を採用する。光刺激においては、光波長、光強度、刺激領域(絞り、スリット)、刺激時間を設定する。また、刺激付与の繰り返し回数として、例えば10回に設定する。また、撮影条件(画像取得条件)として、例えば、露光時間を20msとし、撮影時間を、刺激前2秒間、刺激中4秒間、刺激後20秒間とし、撮影間隔を25msと設定する。なお、露光時間、撮影時間、撮影間隔の組み合わせを変更したり、設定繰返回数の中で複数種類の組み合わせを設定しても良い。次に、アライメント光学系50を用いて眼のアライメントを行なう(アライメント工程:S202)。アライメント光源51からの近赤外域の長波長(例えば920nm以上)の照射光を用い、被検眼Eの角膜での反射光を撮像面の中心(すなわち撮影画像の中心)に来るように合せ、第3のCCDカメラ54で撮像し、モニターする。これにより、被検眼Eの位置がアライメントされる。
次に、条件設定工程(S201)で設定した撮影条件で、繰り返し撮影を行なう(繰り返し撮影工程)。制御部8は設定された撮影条件に従い、刺激光光源41及びCCDカメラ(第1のCCDカメラ31と第2のCCDカメラ32)を自動制御する。繰り返し撮影工程の内容は次のようである。まず、刺激光を照射しない状態(刺激前コース)で、CCDカメラで撮影し、撮影画像を取得する(S203)。第1のCCDカメラ31と第2のCCDカメラ32で同時に撮影し、撮影間隔は25msとする。制御部8の撮影時間判定部81は撮影時間が2秒経過したか否かを判定し(S204)、2秒経過していなければ刺激前の撮影を継続し(S203に戻る)、2秒経過したら刺激を開始する(S205)。刺激光に、例えば定常光や4Hzのフリッカー光を使用できる。また、スリットや絞りを用いて眼底Fの一部の領域に刺激光を限定して定常光やフリッカー光を照射しても良い。刺激光を照射した状態(刺激中コース)で、CCDカメラで撮像し、撮影画像を取得する(S206)。第1のCCDカメラ31と第2のCCDカメラ32で同時に撮影し、撮影間隔は25msとする。制御部8の撮影時間判定部81は撮影時間が4秒経過したか否かを判定し(S207)、4秒経過していなければ刺激中の撮影を継続し(S206に戻る)、4秒経過したら刺激を終了する(S208)。次に、刺激光を照射しない状態(刺激後コース)で、CCDカメラで撮像し、撮影画像を取得する(S209)。第1のCCDカメラ31と第2のCCDカメラ32で同時に撮影し、撮影間隔は25msとする。制御部8の撮影時間判定部81は撮影時間が20秒経過したか否かを判定し(S210)、20秒経過していなければ刺激後の撮影を継続し(S209に戻る)、20秒経過したら、制御部8の繰返回数判定部82は繰返回数nを設定繰返回数n=10と比較する(S211)。繰返回数nは繰返回数判定部82のカウンタに記憶され、設定繰返回数nと比較される。n<n=10であれば、カウンタの繰返回数nを1増加し(S212)、カウンタのデータ保存時間を次の繰返回数判定部82での判定までの時間(本実施例では26秒)より長く確保する(S213)。なお、余裕時間を有る程度長く(例えば判定までの時間の3割以上)取ることが望ましい。繰返回数nが設定繰返回数nに達するまで、刺激前、刺激中、刺激後のコースが再度採択され(S203に戻る)、光刺激と撮影が繰り返される。n≧n=10であれば、撮影を終了し、撮影画像の比較・解析を行なう(S214)。
撮影画像の比較・解析(S214)は画像処理部7で行なわれる。画像処理部7は、撮影画像取得部71において受光部30から撮影画像を取得し、比較部70では、第1比較モード(第1比較部70aで処理)において、同じタイミングで取得した第1のCCDカメラ31の撮影画像と第2のCCDカメラ32の撮影画像とを比較し、これらの撮影画像から酸素飽和度画像を作成する。第1、第2CCDカメラ間でアライメントがずれている場合は、位置合わせ部72において、どちらか(例えば第1CCDカメラ31)を基準にして、基準にしたカメラで撮影した画像を基準に位置合わせ処理を行う。第2比較モード(第2比較部70bで処理)では、異なる撮影時間で撮影された撮影画像に基づいてそれぞれ作成された複数の酸素飽和度画像を時系列的に比較する。また、画像解析部75にて、比較部70での比較結果から刺激光束での刺激による被検眼Eの反応を解析する。必要に応じて、差分解析、主成分分析等の解析を行なう。次に比較結果を表示部9に表示する(S215)。比較結果は、例えば酸素飽和度画像等の比較対象画面全体を比較したものでも良く、画像の局所部分、例えば、動脈、静脈、黄斑、視神経乳頭などの測定対象領域を抽出して比較したものでも良く、局所部分の酸素飽和度、繰り返し回数分の平均受光強度をグラフ化して示したものでも良く、これらを表形式で示したものでも良い。また、酸素飽和度解析は、繰り返し取得した画像の各繰り返し開始時から同じ時間経過後の撮影画像の平均受光強度(この例では10回の平均受光強度)を用いて行なっても良い。他の解析結果も必要に応じて表示される。表示は好ましくは時系列的に表示され、光刺激による被検眼の反応が検知される。
[ヘモグロビン濃度の解析]
次に血液中のヘモグロビン濃度の解析方法について説明する。ヘモグロビン濃度の解析は主として比較部70の第1比較部70aにて行なわれる。撮影画像から血管部分を抽出し、ビア・ランバートの法則を利用して酸化還元ヘモグロビンの濃度を算出する。ビア・ランバートの法則によれば、媒質に入射する前の光の強度をI、媒質中を距離L移動したときの光の強度をIとしたき、

log10(I/I)=−αL=−εcL ・・・(式1)

ここで、αは吸収係数、εはモル吸光係数、cは媒質のモル濃度である。
したがって、cを血管中のヘモグロビン濃度、Lを血管中を光が進む距離とすると、入射光に対する反射光の強度の比を測定することにより、血管中のヘモグロビン濃度を評価できる。
図5に眼底画像のヘモグロビン濃度の経時変化の解析フローの例を示す。解析フローのアルゴリズムは次のようである。
(a)被検眼Eと眼底カメラ部2とのアライメントを行う。アライメント光を点灯し、第3のCCDカメラ54で取得した画像を見ながらアライメント(位置あわせ)を行なう(S301)。
(b)画像処理部7の撮影画像取得部71において眼底画像を取得する。ピント調整を行い、撮影時間(撮影開始からの経過時間)の順に眼底像を順次取得する(S302)。
(c)取得した画像から、1の波長で撮影した撮影画像を基準画像とし、他の波長で撮影した撮影画像を補正前画像として、補正前画像について例えばアフィン変換を行い、像のゆがみを基準画像にあわせて補正する(S303)。なお、ヘルマート変換を用いても良い。補正は位置合わせ部72にて行なわれる。
(d)次に、第1比較部70aにおいて比較対象画像としての酸素飽和度画像を作成する。まず、波長λにおける動脈、静脈、バックグラウンドの各々の平均強度
を算出する(S304)。
(e)波長λにおける動脈、静脈の光学濃度((ODartery)’λ、(ODvein)’λ)を算出する(S305)。
(f)平均強度を測定した位置の動脈、静脈の太さ(tartery、tvein)を測定し、動脈、静脈の光学濃度((ODarteryλ、(ODveinλ)を補正する(S306)。
(g)網膜上の特徴点等の各座標(x,y)に対応する局所的な強度を測定し、各位置(x、y)での動脈、静脈の光学濃度((ODx,yλ)を算出する(S307)。
(h)波長λにおける動脈、静脈の光学濃度((ODarteryλ、(ODveinλ)を要素として、網膜上の各位置(x、y)での動脈、静脈の光学濃度((ODx,yλ)の因子分析を行なう(S308)。因子分析を行なうことにより、網膜上の各位置(x、y)での動脈血、静脈血の割合が算出され、酸化ヘモグロビン濃度C(HbO)及び還元ヘモグロビン濃度C(Hb)を求めることができる。第1比較部70aは因子分析を行ない、酸化ヘモグロビン濃度C(HbO)、還元ヘモグロビン濃度C(Hb)及び酸素飽和度を求める。酸化ヘモグロビンの割合は概略、C(HbO)/(C(HbO)+C(Hb))と表され、酸素飽和度は酸化ヘモグロビンの割合×100(%)と表される。
(i)酸化ヘモグロビンの割合をカラーコードマップ化する(S309)。
なお、上記では光学濃度OD算出時に動脈、静脈の平均強度もしくは各位置の平均強度とバックグラウンドの平均強度の比を取り、対数を取ってマイナスをかけているが、ODの代わりに吸光濃度(AD)を使用し、動脈、静脈の平均強度もしくは各位置の平均強度からバックグラウンドの平均強度を引き、その値をバックグラウンドの平均強度で割ったものを使用してもよい。ここで、任意の点での吸光濃度(AD)は、次式で示される。
この分光網膜画像解析フローはプログラム制御可能である。プログラムは画像処理部7に格納され、第1比較部70aでの比較結果として酸化ヘモグロビンの割合等がマップ化される。
図6に、第1のCCDカメラ34及び第2のCCDカメラ37で撮影した撮影画像から作成した酸素飽和度の時間的変化の例を示す。酸素飽和度は上述のヘモグロビン濃度の解析から求められたものである。図6の例では、刺激光をスリット状にして眼底に照射した。それぞれ、(a)網膜撮影画像、(b)刺激開始前0.2秒、(c)刺激開始後0.5秒、(d)刺激開始後2秒、(e)刺激終了後0.2秒、(f)刺激終了後0.5秒、(g)刺激終了後1秒、(h)刺激終了後2秒、(i)刺激終了後4秒、(j)刺激終了後6秒、(k)刺激終了後8秒、(l)刺激終了後10秒の撮影画像である。刺激開始後及び刺激終了後で画像が少し明るくなっているスリット状の部分が刺激光が照射された部分である。左下の丸い部分が乳頭、乳頭から脈状に伸びている部分が血管である。血管のうち、酸化ヘモグロビンHbOの方が大きくなっている部分が動脈に対応しており、例えば視神経乳頭から中上方へ伸びている血管が該当する。また、還元ヘモグロビンHbの方が大きくなっている部分が静脈に対応しており、例えば視神経乳頭から左上方へ伸びている血管が該当する。どちらも、刺激開始後から濃くなり始め、刺激終了後0.2秒後に明瞭になり、1〜2秒後に最大になり、その後次第に薄くなっていくのが解る。
[マスクの形成]
次に、撮影画像の経時変化を観測する場合に、時間の異なる画像から同一の部分を抽出して比較する方法について説明する。本実施例では、時間の異なる画像から同一の部分を抽出する場合に、マスクを用いて行なう方法を説明する。なお、実施例9で説明するように、位置合わせ部72を用いて順次位置合せを行なうことも可能である。
本実施例では、画像処理部7は、受光部30での撮影画像から測定対象領域を抽出するマスクを形成するマスク形成部73と、マスク形成部73により形成されたマスクを用いて、撮影画像から測定対象領域を抽出する画像抽出部74とを備え、表示部9は、画像抽出部74で抽出された測定対象領域の撮影画像を表示する。
図7にマスク形成の処理フロー例を示す。まず、画像処理部7は撮影画像取得部71にて、時間t1で撮影された撮影画像P1と時間t2で撮影された撮影画像P2を取得する(S351)。本実施例では、本来、これらの撮影画像に代えて時間t1における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像と時間t2における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像にマスク形成を適用するのであるが、ここでは説明の簡易のため、撮影画像P1と撮影画像P2について適用する例を説明する。なお、撮影画像には撮影画像を加工処理した画像を含むものとする。
図8に、時間t1で撮影された撮影画像P1と時間t2で撮影された撮影画像P2を並べて示す。図8(a)に撮影画像P1、図8(b)に撮影画像P2を示す。時間t1と時間t2との間に眼球運動が生じると撮影画像P1と撮影画像P2とに差異が生じる。すなわち、比較したい対象部分の位置が撮影画像P1と撮影画像P2とで異なることになる。次に、基準マスク領域抽出部77にて撮影画像P1から測定対象領域を抽出する(S352)。
図9に時間t1で撮影された撮影画像P1から測定対象領域を抽出するための基準マスクM1を示す。この例では測定対象領域として動脈の一部を抽出する。撮影画像P1から比較したい測定対象領域を抽出するには、例えば明度が周囲に比して暗く、コントラストが高い部分を抽出するなど、適当なアルゴリズムを使用する。アルゴリズムについては後述する。このようにして抽出した部分を白色(抽出領域)、他の部分を黒色(排除領域)と二値化して基準マスク領域とする(S353)。また、加工処理部78において基準マスク領域を加工し、完成度を高めて基準マスクM1を形成する。アルゴリズムについては後述する。なお、加工処理部78の加工を省略し、基準マスク領域をそのまま基準マスクM1として使用することも可能である。
次に、撮影画像P1と撮影画像P2を位置合せするための変換パラメータを求める(S354)。撮影画像P1のうち基準マスク領域を含む基準ウインドウ領域(例えば測定対象領域の凸包(convex hull)を含む四角形、凸包はここでは測定対象領域を囲む凸の多角形をいう。)A1を定める。基準ウインドウ領域A1は、変換に利用できる特徴点を多く含むように拡張しても良い。また、撮影画像P2のうち基準ウインドウ領域A1に対応する抽出ウインドウ領域A2を定める。撮影画像P1内の基準ウインドウ領域A1と撮影画像P2内の抽出ウインドウ領域A2の位置が異なる可能性があるので、マスク形成部73は変換パラメータ算出部76にて、基準ウインドウ領域A1と抽出ウインドウ領域A2から共通の特徴点を複数個抽出して、基準ウインドウ領域A1と抽出ウインドウ領域A2を、すなわち、撮影画像P1と撮影画像P2を位置合せするための変換パラメータを求める。変換は、移動、回転、縮小/拡大等であり、例えばアフィン変換を用いる。なお、ヘルマート変換を用いても良い。変換の詳細については後述する。撮影画像全体を変換するよりも、基準マスク領域周辺すなわち測定対象領域周辺に限定して変換することにより、変換パラメータを求める工程(S354)、後述する抽出マスク(S355)を形成する工程を含め変換処理に要する時間を短縮できる。変換パラメータは比較対象画像又は経過時間を特定して記憶部6に保存しておく。
図10に時間t2で撮影された撮影画像P2から測定対象領域を抽出するためのマスクである抽出マスクM2を示す。また、図中に抽出ウインドウ領域A2を示す。抽出マスクM2は記憶部6に保存された変換パラメータを用いて、抽出マスク作成部79にて、基準マスクM1を変換処理(移動、回転、縮小/拡大等)して求める(S355)。変換は、変換パラメータを求めた時と同じ変換、例えばアフィン変換を用いる。図10では、基準マスクM1を黒色で、抽出マスクM2を灰色で表している。画像抽出部74では、この抽出マスクM2を用いて撮影画像P2から測定対象領域を抽出する(S356)。網膜の撮影画像間の変化はこのような移動、回転、縮小/拡大等の簡単な変換で近似できるので、このように変換処理して形成した抽出マスクM2で充分実用可能である。
ここで、第1の時間t1と第2の時間t2は異なる時間であれば任意に選択できる。例えば第1の時間t1として測定開始時の撮像時間を、第2の時間t2としてその後の撮像時間を採用できる。この方法によれば、同じ基準マスクを用いてその後の複数の撮像画像からの抽出マスクを形成できるので、基準が安定しているといえる。
次に、測定対象領域抽出のアルゴリズムについて説明する。マスク形成部73では基準マスク領域抽出部77において、眼底画像に基づいて測定対象領域(血管、網膜動静脈、視神経乳頭等)の輝度とその背景の輝度とのコントラストを算出し、コントラストの高い部分を基準マスク領域として抽出する。
図11に抽出された基準マスク領域の例として、網膜動静脈と視神経乳頭の抽出画像の例を示す。図中黒色の部分が基準マスク領域である。このうち、中央から左側の非常に明るい楕円形の部分が視神経乳頭に該当し(楕円形内部を基準マスク領域に含めても良い)、その部分から放射状に延びている細長い線状の部分が網膜動静脈に該当する。このようにして抽出された基準マスク領域から基準マスクM1を形成できる。ただし、図11の例のように基準マスク領域を広くとる代わりに、図7の処理フローで説明したように、局所的な領域に限定して変換パラメータを求めることにより、変換処理に要する時間を短縮できる。
基準マスク領域は測定対象領域の特徴を手がかりに検出することも可能である。例えば網膜動静脈血管は線状で輝度が低いという特徴、視神経乳頭は楕円形であるという特徴、脈絡膜血管は線状で輝度が高いという特徴があり、これらの特徴を拠り所に抽出できる。
図12に加工処理の流れの例を示す。ここでは、加工処理のアルゴリズムについて説明する。加工処理は加工処理部78において、基準マスク領域抽出部77にて抽出された基準マスク領域についてノイズ除去等の加工処理を行なう。まず、平均値フィルタを適用し(S501)、次いでラプラシアンガウシアンフィルタを適用する(S502)。平均値フィルタは周囲の画素を含めて平均化し、ノイズを除去するオペレータ、ラプラシアンガウシアンフィルタはコントラストが鮮明なエッジを抽出し、ガウス関数を適用してなだらかに処理することによりノイズを除去するオペレータである。次に、ラベリング処理により連続する同じ特性を有する部分に1つの番号を付与して識別し(S503)、膨張処理により点を膨らませ(S504)、細線化処理により線を細くしてノイズを除去する(S505)。次に、ラベル付け、すなわち番号付けした各部分について属性を付し、例えばカラー表示する(S506)。次に網膜動静脈の線幅を測定する(S507)。線幅は健康状態或は病状の尺度を表すものとして用いられる。このように血管(動脈、静脈)等の測定対象領域に対して加工処理を行い、ノイズ除去した鮮明な測定対象領域を抽出する。形成された基準マスクM1は制御部8の制御により記憶部6に保存され、第1の時間t1で取得された撮影画像P1から測定対象領域を抽出するための基準マスクM1として使用に供される。
抽出マスク作成部79では、この基準マスクM1に記憶部6に保存した変換パラメータを用いてアフィン変換等の変換処理を行い抽出マスクM2を形成する。このような画像処理により形成するマスクは、撮影時間の異なる任意の2画像について、ハードマスクを作成することなく、それぞれの画像に適した測定対象領域の基準マスク及び抽出マスクを形成でき、融通性、便宜性に富んだ抽出マスクとして利用できる。
図13に変換パラメータ算出及び抽出マスク形成の処理フローの例を示す。画像処理部7では撮影画像取得部71において、受光部30のCCDカメラで異なる時間に撮影した2つの撮影画像P1,P2を読み込む(S401)。本実施例では、本来、撮影画像P1,P2に代えて時間t1における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像と時間t2における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像について変換パラメータ算出及び抽出マスク形成の処理を適用するのであるが、ここでは説明の簡易のため、撮影画像P1と撮影画像P2について適用する例を説明する。次に、変換パラメータ算出部76において、画像合わせのマッチング点として複数の特徴点(特徴があり識別性が高い点、線状の場合もある)を2画像から選択する(S402)。次に、変換パラメータ算出部76において、対応するマッチング点の位置を探索する(S403)。探索には例えば最小二乗法(LSM:Least Squares Matching)を用いる。
最小二乗法とは、テンプレートの位置と形状を固定し、マッチングウインドウとテンプレートとの濃淡の差の二乗和が最小になるようにマッチングウインドウの位置と形状を変化させてマッチングを行う(相関をとる)方法である。マッチングウインドウの位置と形状を変化するために、アフィン変換又はヘルマート変換を選択可能である。これらについて変換パラメータ(変換係数)を変えて濃淡の差を演算し、最も適切な変換パラメータ(変換係数)を求める(S404)。変換パラメータは制御部8の制御により記憶部6に保存しておく。次に、抽出マスク作成部79において、基準マスク領域抽出部77及び加工処理部78において形成された基準マスクM1に対して、求められた変換パラメータ(変換係数)を用いて画像の変換を行ない、抽出マスクM2を形成する(S405)。この場合、線形補間法又はバイキュービック補間法を選択可能である。
バイキュービック法(bicubic法)とは、3次補間法と呼ばれている画像の補間方式である。一般のスキャナでは1次補間法(2点を通る直線上にある画素を参照して計算する)や最近傍法(ニアレストネイバー法)で計算させている機種が多いが、バイキュービック法は情報の損失が最も少なく、写真画などでは滑らかで自然な画像が得られる。ただし、複雑な演算を行なうため処理に時間がかかる。また、線形補間法とは、最近傍法が周りの1つの画素のみから値を決定しているのに対し、周りの最も近い4つの画素から値を設定する手法なので、最近傍法に比して補間精度が高い。
次に、基準マスクM1から変換された抽出マスクM2を制御部8の制御により記憶部6に保存する(S406)。形成された抽出マスクM2は制御部8の制御により記憶部6に保存され、第2の時間t2で取得された撮影画像P2から測定対象領域を抽出するための抽出マスクM2として使用に供される。保存形式は、例えば、BMP形式、JPG形式を使用でき、生データとして出力しても良い。基準マスクM1及び抽出マスクM2により抽出された測定対象領域の画像は、時系列的に比較可能である。本実施例では、撮影画像P1,P2に代えて時間t1における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像と時間t2における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像にマスク形成を適用して基準マスクM1及び抽出マスクM2を形成し、基準マスクM1及び抽出マスクM2により抽出された測定対象領域の画像を時系列的に比較することにより光刺激による眼底の各部分の反応の様相を解析する。
以上により、本実施例によれば、第1に、同じタイミングで撮影された複数の波長域での撮影画像から比較対象画像を作成して、時系列的に比較する比較部70を備えることにより、比較事象を時系列的に比較することが可能であり、刺激による眼底の各部分の反応を検知できる機能イメージング眼科装置を提供できる。第2に、波長域の異なる複数の撮影画像から作成した比較対象画像を利用して、明瞭に血管部分等の特定部分を抽出できるような機能イメージング眼科装置を提供できる。第3に、異なる時間に撮影された撮影画像から同一部分を効率良く抽出するマスクを形成することにより、同一部分を効率良く抽出できる機能イメージング眼科装置を提供できる。
実施例1では、反射光束を2波長域に分割して受光する例を説明したが、実施例2では、反射光束を3以上の波長域に分割して受光する例について説明する。図3によれば、酸化ヘモグロビンHbO及び還元ヘモグロビンHbの吸収光量は、波長により大きな変化を示す。したがって、2波長域での光学濃度(ODx,yλ1,(ODx,yλ2の測定値から酸化ヘモグロビン濃度C(HbO)及び還元ヘモグロビン濃度C(Hb)を求めるよりも、多くの波長域での測定値を用いることにより、吸収光量パターンに良く合致するようにより精度の高い酸化ヘモグロビン濃度C(HbO)及び還元ヘモグロビン濃度C(Hb)を求めることができる。波長分割部として、例えば、実施例1における1つのダイクロイックミラー28(図1参照)に代えて2段構成のダイクロイックミラーを用いると、波長域を4分割できる。また、波長分割部として、4分割プリズムを用いて波長域を4分割しても良い。そして、4つの分割光束を、それぞれフィルタ、結像レンズを通してCCDカメラで受光することにより受光光学系20を構成できる。また、同じタイミングで4つのCCDカメラで撮像する。同じタイミングで撮影された4つの撮影画像による4波長域での光学濃度の測定値を用いることにより、酸化ヘモグロビン濃度C(HbO)及び還元ヘモグロビン濃度C(Hb)を高い精度で求めることができる。また、実施例1と同様であるが、これら複数の波長域でのそれぞれの撮影画像や測定値の時系列的変化を比較でき、それぞれの局所位置での測定値の時系列的変化をグラフ化することも可能である。これにより、各波長での変化を直接検討することも可能である。その他の装置構成及び処理フローは実施例1と同様である。
実施例1では、比較対象画像として酸素飽和度画像を作成する例を説明したが、実施例3では比較対象画像として第1波長域の撮影画像と第2波長域の撮影画像との差画像を作成する例について説明する。本実施例では、図2の第1比較工程(S140)において、第1波長域の撮影画像と第2波長域の撮影画像とを比較し、比較対象画像作成工程(S150)において、その差画像を作成する。図3より、酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光感度が波長依存性を有し、特定の波長で両者の吸光感度が逆転することがわかる。そこで、酸化ヘモグロビンの感度が高い波長と還元ヘモグロビンの感度が高い波長の差画像を作成すればより血管部分を明瞭に抽出できる。また、差画像を作成すると、波長により吸光感度が変化しない部分を除去した画像が得られるので、波長により吸光感度が変化する部分、例えば血管(動脈、静脈)を低バックグラウンドノイズで抽出できる。本実施例では、このように、比較部70では、第1比較モードにおいて、比較対象画像として第1波長域の撮影画像と第2波長域の撮影画像との差画像を作成し、血管(動脈、静脈)を抽出する。また、第2比較モードにおいて、抽出された血管(動脈、静脈)を時系列的に比較し、刺激による血管(動脈、静脈)の反応を検知する。なお、時系列的比較として、差画像で局所部分の平均強度を算出してグラフ化してもよい。これにより、画像解析部75にて、血管(動脈、静脈)部分に特定した解析ができる。その他の装置構成及び処理フローは実施例1と同様である。本実施例によれば、波長域の異なる撮影画像の差画像を利用して、明瞭に血管部分等の特定部分を抽出できるような機能イメージング眼科装置を提供できる。
実施例1では、第1比較モード及び第2比較モードを共に実行し、両者の結果を共に表示する例を説明したが、実施例4では第2比較モードのみを実行し、その比較結果を表示する例について説明する。実施例1と異なる点を主に説明する。
図14に、本実施例における眼機能画像解析方法の処理フロー例を示す。図2に比して波長分割工程(S120)、第1比較工程(S140)ないし第1表示工程(S155)がなく、同じタイミングで複数波長域での受光工程(S130)の代わりに全体で1つの受光工程(S135)がある。第2比較工程(S170)では刺激の前中後における撮影画像又は撮影画像に基づいて加工した画像を時系列的に比較する。装置構成では、図1において、波長分割部28がなくなり、受光光学系20及び受光部30は1つになる。この構成では、血管中の酸素飽和度のような定量的な変化を検出できないが、酸素濃度の変化のために血管の吸収光量の変化を検出できるので、刺激による反応の様相を定性的に検出可能である。なお、受光部30の前に波長可変フィルタを挿入すれば、時間は異なるが複数波長域での受光も可能になる。その他の装置構成及び処理フローは実施例1と同様である。
実施例1では、第1比較モード及び第2比較モードを共に実行し、両者の結果を共に表示する例を説明したが、実施例5では、第1比較モードのみを実行し、第2比較モードを行わない例を説明する。実施例1と異なる点を主に説明する。
図15に、眼機能画像解析方法の処理フロー例を示す。図2に比して、刺激前中後コース判定工程(S105)、繰り返し回数判定工程(S160)、第2比較工程(S170)、第2表示工程(S175)が削除されている。すなわち、測定は刺激中の1回又は刺激後の1回でも良い。その他の工程は実施例1と同じである。すなわち、受光工程(S130)での第1波長域の撮影画像と第2波長域の撮影画像とを比較し(第1比較工程:S140)、比較対象画像を作成する(比較対象画像作成工程:S150)。比較対象画像として、第1受光部31での撮影画像と前記第2受光部32での撮影画像の差画像を作成すると、波長により吸光感度が変化しない部分を除去した画像が得られるので、波長により吸光感度が変化する部分、例えば血管(動脈、静脈)を低バックグラウンドノイズで抽出できる。また、比較対象画像として酸素飽和度画像を作成しても良い。また、光学系構成は実施例1と同様に図1で表される。
実施例1では、第1比較モード及び第2比較モードを共に実行し、両者の結果を共に表示する例を説明したが、実施例6では、第1比較モードの表示を省略し、第2比較モードの表示を行う例を説明する。実施例1と異なる点を主に説明する。機能イメージング眼科装置を用いた眼機能画像解析方法の処理フローは、図2から第1表示工程S155を省略するだけである。それでも、第2表示工程(S175)で比較対象画像が時系列的に表示される場合には、その表示に含まれることになる。また、光学系構成は実施例1と同様に図1で表される。したがって、実施例1と同様の効果を奏する。
実施例1では、光刺激を付与して繰り返し測定を行なう場合に、第1の時間t1として測定開始時の撮像時間を、第2の時間t2としてその後の撮像時間を採用する例を説明したが、別の選択も可能である。実施例4では、測定開始時の撮像時間を第1の時間t1とし、第1の時間t1での第1の撮影画像P1に基づいて基準マスクM1を形成し、第2番目の撮影時間を第2の時間t2での第2の撮影画像P2から測定対象領域を抽出するマスクM2を基準マスクM1と変換パラメータを用いて形成した後に、第2番目の撮影時間を第1の時間t1、その時の撮影画像を第1の撮影画像P1、その時に形成された抽出マスクを新たな基準マスクM1として使用し、第3番目の撮影時間を第2の時間t2、その時の撮影画像を第2の撮影画像P2、その時に第2の撮影画像P2から測定対象領域を抽出するために形成されるマスクを新たな抽出マスクM2とする。このように、順次、新たな基準マスクM1により新たな抽出マスクM2を形成することも可能である。この方法によれば、第1の時間t1と第2の時間t2の間隔を短くできるので、常に変換の程度が少なくなり、誤差の少ない抽出マスクM2を得られる。その他の光学系構成、処理フローは実施例1と同様であり、実施例1と同様の効果を奏する。
実施例1では、光刺激を付与して繰り返し測定を行なう場合に、第1の時間t1として各繰り返しにおける測定開始時の撮像時間を、第2の時間t2としてその後の撮像時間を採用する例を説明したが、別の選択も可能である。実施例8では、第1の時間t1として、光刺激による反応により測定対象領域が最も鮮明に撮影される撮像時間とする。これにより、明確な基準マスクを得られやすく、基準マスクM1の形成が容易になる。また、全撮像画像の中で、位置がほぼ中間にあるものを第1の時間t1とし、他の撮像画像を第2の時間t2として変換処理することもできる。こうすることにより、全体の位置の変化量を抑えることができ、安定した変換画像が得られる。その他の光学系構成、処理フローは実施例1と同様であり、実施例1と同様の効果を奏する。
実施例1では、第2比較モードにおいて、画像処理により、眼底の測定対象領域を抽出するためにマスクを形成し、マスクにより抽出された測定対象領域を時系列的に比較する例を説明したが、実施例9では、画像間の位置合わせを行ない、測定対象領域を時系列的に比較する例を説明する。実施例1と異なる点を主に説明する。本実施例では、本来、撮影画像P1,P2に代えて時間t1における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像と時間t2における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像について画像間の位置合わせを適用するのであるが、ここでは説明の簡易のため、撮影画像P1と撮影画像P2について適用する例を説明する。なお、撮影画像には撮影画像を加工処理した画像を含むものとする。
図16に、実施例9における画像処理部7の構成例を示す。その他の構成は実施例1(図1参照)と同様である。画像処理部7は、マスク形成部73が無く、これに代えて異なる時間に取得された撮影画像間の位置合わせを位置合わせ部72により行う。位置合わせ部72が行なう画像間の位置合わせの処理フローは図13の処理フローと類似する。すなわち、画像合わせのマッチング点の選択(S402)から画像の変換(S405)までの工程を位置合わせ部72が行なうが、ここで変換される画像がマスクではなく、第1の時間t1で撮影された撮影画像P1(基準画像)と第2の時間t2で撮影された撮影画像P2(補正前画像)である。そして、変換された補正画像を新たな基準画像とし、次の時間に撮影された撮影画像を新たな補正前画像として、順次、画像合わせのマッチング点の選択(S402)から画像の変換(S405)が行なわれる。また、画像抽出部74は位置合わせ部72により位置合わせされた画像から測定対象領域を抽出する。この抽出には例えば実施例1における基準マスク領域抽出部77での抽出のアルゴリズムを適用できる。その他の処理フローは実施例1において図13で説明したと同様である。
本実施例では、撮影画像P1,P2に代えて時間t1における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像と時間t2における第1受光部31での撮影画像と第2受光部32での撮影画像から作成された比較対象画像に画像間の位置合わせを適用して、第2比較モードにおいて測定対象領域の画像を時系列的に比較することにより光刺激による眼底の各部分の反応の様相を解析する。このように、画像間の位置合わせを行なえば、マスクを使用しない時系列的比較も可能である。
実施例1では、刺激の種類として光刺激を使用する例を説明したが、実施例10では経角膜電気刺激を使用する例を説明する。経角膜電気刺激は、例えばコンタクトレンズ型の電極を用いて経角膜的に網膜を電気刺激するもので、神経保護治療が期待されている。実施例1の光学的構成の、光刺激光学系40の照射系である刺激光光源41、コンデンサーレンズ42、反射鏡43を削除し、経角膜的に網膜を電気刺激するための、パルス電源、リード線、コンタクトレンズ型の電極を追加すれば、図1の光学的構成を使用できる。機能イメージング眼科装置を用いた眼機能画像解析方法の処理フローは、光刺激に代えて電気刺激を用いる。その他の構成、処理フローは実施例1と同様である。これにより、電気刺激による被検眼の反応を検知可能である。なお、電気刺激として、強膜上の局所的な部分に電気刺激を与える強膜1点刺激を用いても良い。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施例に種々変更を加えられることは明白である。
例えば、照明用光源については、およそ700nmから900nmの近赤外域の光束を発光できれば、ハロゲンランプに限定されず、レーザ光を使用しても良い。また、波長分割部についても、ダイクロイックミラーに限られず、他のビームスプリッターを使用しても良い。また、画像処理のフローも変更可能であり、例えば基準マスクの形成工程から加工工程を省略しても良く、変換パラメータを求める際に定めた基準ウインドウ領域を基準マスク領域を求めるために用いても良い。また、例えば血管等の特徴を手がかりに、最も鮮明な画像を得られる波長での撮影画像から測定対象領域を抽出し、基準マスクを形成しても良い。また、以上の実施例では、ヘモグロビンの吸収光量を比較・解析する例を説明したが、ヘモグロビン以外の成分の分光分布を測定することも可能である。また、記憶部に測定対象領域としての血管の受光信号強度データを累積することにより、血管の累積データを診断等に利用することも可能である。その他、刺激付与条件、波長域の範囲、撮影条件等も適宜変更可能である。
本発明は、機能イメージング眼科装置に利用できる。特に、複数の波長域の撮影画像を用いて刺激による眼の分光特性の変化を測定する機能イメージング眼科装置に利用できる。
1 機能イメージング眼科装置
2 眼底カメラ部
3 トップハウジング部
7 画像処理定部
6 記憶部
8 制御部
9 表示部
10 照明光学系
11 ハロゲンランプ
12 コンデンサーレンズ
13 分光特性補正フィルタ
14 絞り板
15 反射鏡
16 リレーレンズ
17 ビームスプリッター
18 対物レンズ
20 受光光学系
20A 第1の受光光学系
20B 第2の受光光学系
21 アイリス絞り板
22 合焦レンズ
23 結像レンズ
24 反射鏡
25 切り替えミラー
26 フィールドレンズ
27 ダイクロイックミラー
28 ダイクロイックミラー(波長分割部)
30 受光部
31 第1のCCDカメラ(第1受光部)
32 第2のCCDカメラ(第2受光部)
34 フィルタ
35 結像レンズ
36 フィルタ
37 結像レンズ
40 光刺激光学系
41 刺激光光源
42 コンデンサーレンズ
43 反射鏡
44 ダイクロイックミラー
50 アライメント光学系
51 アライメント光源
53 結像レンズ
54 第3のCCDカメラ
60 ファインダー光学系
70 比較部
70a 第1比較部
70b 第2比較部
71 撮影画像取得部
72 位置合わせ部
73 マスク形成部
74 画像抽出部
75 画像解析部
76 変換パラメータ算出部
77 基準マスク領域抽出部
78 加工処理部
79 抽出マスク作成部
80 条件設定部
81 経過時間判定部
82 繰返回数判定部
A1 基準ウインドウ領域
A2 抽出ウインドウ領域
E 被検眼
F 眼底
M1 基準マスク
M2 抽出マスク
P1 第1の撮影画像
P2 第2の撮影画像
t1 第1の時間
t2 第2の時間

Claims (12)

  1. 近赤外域の照明光束で、被検眼の眼底を照明する照明光学系と;
    前記照明光束の前記眼底からの反射光束を受光する受光部と;
    前記受光部で第1の時間で撮影された第1の撮影画像を基に、前記第1の撮影画像及び前記第1の時間と異なる第2の時間で撮影された第2の撮影画像からそれぞれ測定対象領域を抽出するためのマスクを形成するマスク形成部と;
    前記マスク形成部により形成されたマスクを用いて、前記第1の撮影画像及び前記第2の撮影画像からそれぞれ測定対象領域を抽出する画像抽出部と;
    前記画像抽出部で抽出された前記測定対象領域の画像を表示する表示部とを備える;
    機能イメージング眼科装置。
  2. 前記第1の撮影画像から前記測定対象領域を抽出するためのマスクを基準マスクと、前記第2の撮影画像から測定対象領域を抽出するためのマスクを抽出マスクと称し;
    前記マスク形成部は、前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像を位置合わせするための変換パラメータを求める変換パラメータ算出部と、前記変換パラメータを用いて前記基準マスクを変換処理することにより前記抽出マスクを形成する抽出マスク作成部とを有する;
    請求項1に記載の機能イメージング眼科装置。
  3. 前記変換パラメータ算出部は、前記第1の撮影画像のうち前記測定対象領域を含む基準ウインドウ領域を定め、前記第2の撮影画像のうち前記基準ウインドウ領域に対応する抽出ウインドウ領域を定め、前記基準ウインドウ領域と前記抽出ウインドウ領域を位置合わせするための変換パラメータを求める;
    請求項2に記載の機能イメージング眼科装置。
  4. 近赤外域の照明光束で、被検眼の眼底を照明する照明光学系と;
    前記照明光束の前記眼底からの反射光束を、近赤外域の複数の波長域の光束に分割する波長分割部と;
    前記波長分割部で分割された複数の波長域の光束を同じタイミングで受光する受光部と;
    前記受光部で同じタイミングで撮影された複数の波長域での撮影画像から比較対象画像を作成する比較部と;
    第1の時間で撮影された撮影画像から作成された第1の比較対象画像を基に、前記第1の比較対象画像及び前記第1の時間と異なる第2の時間で撮影された撮影画像から作成された第2の比較対象画像から、それぞれ測定対象領域を抽出するためのマスクを形成するマスク形成部と;
    前記マスク形成部により形成されたマスクを用いて、前記第1の比較対象画像及び前記第2の比較対象画像からそれぞれ測定対象領域を抽出する画像抽出部と;
    画像を表示する表示部とを備え;
    前記比較部は、前記第1の比較対象画像及び前記第2の比較対象画像から、前記画像抽出部により抽出された測定対象領域を時系列的に比較し;
    前記表示部は、前記比較部で時系列的に比較された結果を表示する;
    機能イメージング眼科装置。
  5. 前記第1の比較対象画像から前記測定対象領域を抽出するためのマスクを基準マスクと、前記第2の比較対象画像から測定対象領域を抽出するためのマスクを抽出マスクと称し;
    前記マスク形成部は、前記第1の比較対象画像と前記第2の比較対象画像を位置合わせするための変換パラメータを求める変換パラメータ算出部と、前記変換パラメータを用いて前記基準マスクを変換処理することにより前記抽出マスクを形成する抽出マスク作成部とを有する;
    請求項4に記載の機能イメージング眼科装置。
  6. 可視域の刺激光束で前記眼底の測定対象領域を照射して刺激する刺激光照射光学系を備え;
    前記第1の時間として、前記刺激光束での刺激の前の時間を選択し;
    前記第2の時間として、前記刺激光束での刺激の後の時間を選択する;
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の機能イメージング眼科装置。
  7. 可視域の刺激光束で前記眼底の測定対象領域を照射して刺激する刺激光照射光学系を備え;
    前記第1の時間として、前記刺激光束での刺激の前後の任意の時間を選択し;
    前記第2の時間として、前記刺激光束での刺激の前後にわたる複数の時間を選択する;
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の機能イメージング眼科装置。
  8. 前記比較対象画像は、前記複数の波長域での撮影画像から作成された酸素飽和度画像である;
    請求項6又は請求項7に記載の機能イメージング眼科装置。
  9. 前記比較対象画像は、前記複数の波長域のうちの2波長域での撮影画像間の差画像である。;
    請求項6又は請求項7に記載の機能イメージング眼科装置。
  10. 前記測定対象領域の測定データを蓄積する記憶部を備え;
    前記測定対象領域が血管であり;
    前記記憶部は、血管の受光信号強度データを累積する;
    請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の機能イメージング眼科装置。
  11. 第1の時間で撮影された第1の撮影画像と前記第1の時間と異なる第2の時間で撮影された第2の撮影画像を取得する工程と;
    前記第1の撮影画像から測定対象領域を抽出する工程と;
    前記測定対象領域を抽出する工程で抽出された前記測定対象領域を二値化して基準マスクを形成する工程と;
    前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像を位置合わせするための変換パラメータを求める工程と;
    前記変換パラメータを用いて前記基準マスクを変換処理することにより、前記第2の撮影画像から測定対象領域を抽出するための抽出マスクを形成する工程とを備える;
    マスク形成方法。
  12. 前記変換パラメータを求める工程は、前記第1の撮影画像のうち前記測定対象領域を含む基準ウインドウ領域を定め、前記第2の撮影画像のうち前記基準ウインドウ領域に対応する抽出ウインドウ領域を定め、前記基準ウインドウ領域と前記抽出ウインドウ領域を位置合わせするための変換パラメータを求める;
    請求項11に記載のマスク形成方法。
JP2009020837A 2009-01-30 2009-01-30 機能イメージング眼科装置及びマスク形成方法 Active JP5372540B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009020837A JP5372540B2 (ja) 2009-01-30 2009-01-30 機能イメージング眼科装置及びマスク形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009020837A JP5372540B2 (ja) 2009-01-30 2009-01-30 機能イメージング眼科装置及びマスク形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010172615A true JP2010172615A (ja) 2010-08-12
JP5372540B2 JP5372540B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=42704119

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009020837A Active JP5372540B2 (ja) 2009-01-30 2009-01-30 機能イメージング眼科装置及びマスク形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5372540B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014100175A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Nidek Co Ltd 眼底撮影装置
JP2016010728A (ja) * 2015-10-08 2016-01-21 キヤノン株式会社 眼科情報処理システム、眼科情報処理方法及びプログラム
WO2019240300A1 (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 眼撮影装置及び眼撮影システム
JPWO2021048954A1 (ja) * 2019-09-11 2021-03-18

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005185590A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Nidek Co Ltd 眼底撮影装置

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005185590A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Nidek Co Ltd 眼底撮影装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014100175A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Nidek Co Ltd 眼底撮影装置
JP2016010728A (ja) * 2015-10-08 2016-01-21 キヤノン株式会社 眼科情報処理システム、眼科情報処理方法及びプログラム
WO2019240300A1 (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 眼撮影装置及び眼撮影システム
JPWO2019240300A1 (ja) * 2018-06-14 2021-03-18 株式会社ナノルクス 眼撮影装置及び眼撮影システム
JPWO2021048954A1 (ja) * 2019-09-11 2021-03-18
WO2021048954A1 (ja) * 2019-09-11 2021-03-18 株式会社ニコン 画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5372540B2 (ja) 2013-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6970306B2 (ja) 動的視覚刺激を用いたマルチスペクトル眼底イメージングシステムおよび方法
JP4197953B2 (ja) 網膜機能カメラ
CN104523225B (zh) 多模激光斑点成像
CN104173023B (zh) 信息处理设备和信息处理方法
JP5773598B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
WO2014175154A1 (ja) 血流画像診断装置及び診断方法
US20080007692A1 (en) Apparatus and method for spectrally measuring fundus
WO2020188007A1 (en) A patient tuned ophthalmic imaging system with single exposure multi-type imaging, improved focusing, and improved angiography image sequence display
JP5170625B2 (ja) 赤外光眼底撮影方法および装置
US10165939B2 (en) Ophthalmologic apparatus and ophthalmologic apparatus control method
JP6188992B1 (ja) 画像解析装置、画像解析システム、画像解析装置の作動方法
JP6742691B2 (ja) 眼科装置、画像処理方法およびプログラム
JP5372540B2 (ja) 機能イメージング眼科装置及びマスク形成方法
CN107137073A (zh) 一种基于甲壁血流分析的青光眼和糖尿病等微循环系统疾病检测技术
JP2010172614A (ja) 機能イメージング眼科装置
JP5032347B2 (ja) 眼科撮影装置
JP2003532461A (ja) 網膜像を用いた非観血的測定方法
JP2005261447A (ja) 眼科撮影装置
Di Cecilia et al. Hyperspectral imaging of the human iris
JP2018000587A (ja) 情報取得装置、撮影装置及び情報取得方法
Arimoto et al. Retinal blood oxygen saturation mapping by multispectral imaging and morphological angiography
Beach et al. Multispectral fundus imaging for early detection of diabetic retinopathy
JP2014161500A (ja) 画像処理装置、眼科撮影装置及び方法、並びにプログラム
CN111528793B (zh) 一种视网膜血管光学造影成像系统及方法
JP7494855B2 (ja) 画像処理方法、画像処理装置、及び画像処理プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130327

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130910

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5372540

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250