JP2010170876A - 回路遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】接点間に膠着するアークを高速に転流させて接点の摩耗の少ない回路遮断器を提供する。
【解決手段】固定電極側アークランナー導体8に突起30を設けることにより、開極時に可動電極接点61と固定電極接点21間に発生するアーク10を早期に可動電極6の先端部と突起30間に転流させることができる。これにより、両接点の消耗を低減することができ、複数回遮断をおこなった後でも両接点間の接圧を保持できる回路遮断器を提供できる。
【選択図】図3
【解決手段】固定電極側アークランナー導体8に突起30を設けることにより、開極時に可動電極接点61と固定電極接点21間に発生するアーク10を早期に可動電極6の先端部と突起30間に転流させることができる。これにより、両接点の消耗を低減することができ、複数回遮断をおこなった後でも両接点間の接圧を保持できる回路遮断器を提供できる。
【選択図】図3
Description
この発明は、配線用遮断機や回路遮断機に関し、電極接点間に発生したアークを早期に転流させ、効率よく消弧室で限流、遮断する遮断器に関するものである。
従来の回路遮断器は、異常電流や短絡電流を検知すると、電磁石の吸引力によって可動電極を駆動し、固定電極からこれを引き離すことによって電路を開放し、負荷回路や電路の損傷を回避するためものであり、回路に定格電流を安定して流すことができる。
万一、回路に短絡等の異常事態が発生して回路遮断器の遮断機能が働くと、可動電極接点と固定電極接点間にアークが発生する。
発生したアークは、電極間に流れる電流が作る磁界によって駆動されて移動する。アークは固定電極側では、固定電極接点から固定電極側アークランナー導体に転流し、更に消弧室の内部に転流する。一方、可動電極側でも、アークは固定電極側ランナー導体を通って消弧室内部へと転流する。この転流の過程で、それぞれのアークランナー導体上を通る両アークスポット間の距離が次第に大きくなり、その間に発生しているアークが引き延ばされる。
そして、引き延ばされたアークは消弧室内のアークグリッドで分断されて消滅する(特許文献1)。
万一、回路に短絡等の異常事態が発生して回路遮断器の遮断機能が働くと、可動電極接点と固定電極接点間にアークが発生する。
発生したアークは、電極間に流れる電流が作る磁界によって駆動されて移動する。アークは固定電極側では、固定電極接点から固定電極側アークランナー導体に転流し、更に消弧室の内部に転流する。一方、可動電極側でも、アークは固定電極側ランナー導体を通って消弧室内部へと転流する。この転流の過程で、それぞれのアークランナー導体上を通る両アークスポット間の距離が次第に大きくなり、その間に発生しているアークが引き延ばされる。
そして、引き延ばされたアークは消弧室内のアークグリッドで分断されて消滅する(特許文献1)。
しかし従来の遮断器は、開極動作中における可動電極と固定電極側アークランナー導体との距離が単調に大きくなる構造だったので、両接点間に生じたアークが可動電極の先端と固定側ランナー導体間へとスムーズに転流せずに接点間に膠着し、接点の消耗量が多かった。したがって複数回遮断後、両電極を閉じて復帰する場合に、両接点の接圧を確保して安定して電流を流すことが難しいという問題があった。
この発明に係る回路遮断器は、
絶縁容器に収納された、可動電極接点を有する可動電極と、可動電極接点と離合する固定電極接点を有する固定電極と、可動電極と固定電極間を開閉する開閉機構と、可動電極と固定電極の間を流れる電流を監視して開閉機構を制御する電流監視部と、開閉機構による開極時に可動電極接点と固定電極接点の間に発生するアークを消弧する消弧室と、固定電極に接続され、アークを消弧室に誘導する固定電極側アークランナー導体とを備えた回路遮断器において、
固定電極側アークランナー導体上に突出部を設け、
突出部は、開閉機構による開極動作中の所定の時点で、突出部と可動電極との最短距離が、両接点間の距離より小さくなるように配置されているものである。
絶縁容器に収納された、可動電極接点を有する可動電極と、可動電極接点と離合する固定電極接点を有する固定電極と、可動電極と固定電極間を開閉する開閉機構と、可動電極と固定電極の間を流れる電流を監視して開閉機構を制御する電流監視部と、開閉機構による開極時に可動電極接点と固定電極接点の間に発生するアークを消弧する消弧室と、固定電極に接続され、アークを消弧室に誘導する固定電極側アークランナー導体とを備えた回路遮断器において、
固定電極側アークランナー導体上に突出部を設け、
突出部は、開閉機構による開極動作中の所定の時点で、突出部と可動電極との最短距離が、両接点間の距離より小さくなるように配置されているものである。
この発明に係る回路遮断器は、
固定電極側アークランナー導体上に突出部を設け、
突出部は、開閉機構による開極動作中の所定の時点で、突出部と可動電極との最短距離が、両接点間の距離より小さくなるように配置されているものなので、
接点間に膠着するアークを、固定電極側アークランナー導体と可動電極先端近傍に高速に転流させることにより両接点の接点材の消耗量を低減し、複数回の遮断をしても接点の接圧を保持できる。
固定電極側アークランナー導体上に突出部を設け、
突出部は、開閉機構による開極動作中の所定の時点で、突出部と可動電極との最短距離が、両接点間の距離より小さくなるように配置されているものなので、
接点間に膠着するアークを、固定電極側アークランナー導体と可動電極先端近傍に高速に転流させることにより両接点の接点材の消耗量を低減し、複数回の遮断をしても接点の接圧を保持できる。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について詳細を説明する前に本発明が属する回路遮断器の一般構成を概説する。
図1は、一般的な回路遮断器の断面図である。
この回路遮断器1は、絶縁物からなる容器の中に、異常電流を検出する電流監視部、異常を検知した場合に回路の開極を指示するリレー部、開極指令を受けて可動電極2を固定電極3から引き離す開閉機構部、両電極間に発生したアーク電流を限流して消弧させる消弧室4などで構成されている。
本発明の実施の形態1について詳細を説明する前に本発明が属する回路遮断器の一般構成を概説する。
図1は、一般的な回路遮断器の断面図である。
この回路遮断器1は、絶縁物からなる容器の中に、異常電流を検出する電流監視部、異常を検知した場合に回路の開極を指示するリレー部、開極指令を受けて可動電極2を固定電極3から引き離す開閉機構部、両電極間に発生したアーク電流を限流して消弧させる消弧室4などで構成されている。
異常電流が検知されて開閉機構が動作すると、可動電極2に設けられた接点が、固定電極3に設けられた接点から高速に離れるのであるが、両電極の開離と同時に両電極の接点間にアークが発生する。可動電極2が固定電極3から離れる過程で、最初は両電極の接点間に流れていたアーク電流が、固定電極3側では固定電極接点からアークランナー導体8上へ、可動電極2側では可動電極2の接点から可動電極2の先端部2a近傍へ転流し、その2点の間にアークが移動する。
図2のグラフAは、開極開始後の可動電極2と固定電極3の接点間の最短距離の時間依存性を、グラフBは、開極開始後の可動電極2の表面上のいずれかの点とアークランナー導体8表面上のいずれかの点の間の最短距離の時間依存性を概念的に表したものである。開離からT1時間経過した後にグラフBの距離がグラフAの距離より短くなる。この時点を本明細書中では転流時点と呼ぶ。転流時点を過ぎると、両電極の接点間に膠着していたアークが固定電極3側ではアークランナー導体8方向に、可動電極2側では同電極の先端2a方向に転流する。接点間の距離と、両電極間の最短距離の逆転によって電界強度も逆転するからである。
本発明は、固定電極側アークランナー導体に突起を設けることによりこの転流時点を早めることによって、接点間にアークが膠着する時間を短縮し、電極接点の消耗を低減しようとするものである。
この発明の実施の形態1を図2、図3、図4に基づいて説明する。
本発明による回路遮断器の基本構成は先述した一般的回路遮断器と同様である。
図3は本発明の実施の形態1による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
可動電極20、固定電極30、消弧室40は、それぞれ、図1で説明した一般的回路遮断器1の可動電極2、固定電極3、消弧室4に相当する。
図示しないが、閉極している時の可動電極20は、可動電極20に設けられている可動電極接点21が、固定電極30に設けられている固定電極接点31に押圧される位置にある。この時、可動電極20と固定電極30の電気的導通が確保されている。図3に示すように、固定電極側アークランナー導体80(以下導体80という)は、固定電極30に電気的に接続され、消弧室の壁面に沿ってその内部へと延びている。可動電極側ランナー導体9は可動電極20上のアークスポットを飛び移らせて、消弧室40へ誘導するためのものである。
図4は、固定電極30、固定電極接点31及び導体80の要部を示す斜視図である。
導体80自体がくの字状に曲がっている部分が突出部81であり、突出部81上に更に突起82を設けている。
本発明による回路遮断器の基本構成は先述した一般的回路遮断器と同様である。
図3は本発明の実施の形態1による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
可動電極20、固定電極30、消弧室40は、それぞれ、図1で説明した一般的回路遮断器1の可動電極2、固定電極3、消弧室4に相当する。
図示しないが、閉極している時の可動電極20は、可動電極20に設けられている可動電極接点21が、固定電極30に設けられている固定電極接点31に押圧される位置にある。この時、可動電極20と固定電極30の電気的導通が確保されている。図3に示すように、固定電極側アークランナー導体80(以下導体80という)は、固定電極30に電気的に接続され、消弧室の壁面に沿ってその内部へと延びている。可動電極側ランナー導体9は可動電極20上のアークスポットを飛び移らせて、消弧室40へ誘導するためのものである。
図4は、固定電極30、固定電極接点31及び導体80の要部を示す斜視図である。
導体80自体がくの字状に曲がっている部分が突出部81であり、突出部81上に更に突起82を設けている。
短絡電流を感知して、図示しない電極開閉機構が開極動作を始めると、可動電極20は図3に示すように、次第に破線で描かれた位置、太実線の位置、そして細実線の位置へと固定電極30から離れていく。
可動電極接点21が固定電極接点31から離れると、まずこの2つの接点間にアーク10が発生する。先述したように、突起82のような突起を設けていない場合、可動電極20と導体80との最短距離の方が、両接点間の距離より短くなった時、両接点間に膠着していたアーク10がアーク11方向に矢印のように転流する。
可動電極接点21が固定電極接点31から離れると、まずこの2つの接点間にアーク10が発生する。先述したように、突起82のような突起を設けていない場合、可動電極20と導体80との最短距離の方が、両接点間の距離より短くなった時、両接点間に膠着していたアーク10がアーク11方向に矢印のように転流する。
ここで、導体80上に図3及び図4に示すように突起82を設けると、可動電極20と導体80上に設けた突起82間の距離が、可動電極接点21と固定電極接点31との距離より短くなった時、両接点間に膠着していたアーク10がアーク11方向に矢印のように転流する。
突起82によって、それぞれの距離の大小関係の逆転を早め、かつ電界強度を増して、接点間に膠着するアークの転流を促進することができる。突起82はAgZnO、AgNi等のいわゆる電気接点として使用可能な材料(ここでは電気接点材料と呼ぶことにする)で構成されている。これにより、可動電極20の先端部と突起82の消耗を低減できる。
図2を用いてアーク転流時の状況を具体的に説明する。グラフA、Bは先に説明した突起の無い状態での、時間の経過と、両接点間の距離(グラフA)の変化と可動電極20と導体80間の距離(グラフB)の変化の関係を示している。突起82が無い状態では、両接点が開離し始めてからT1時間経過後に転流時点となるのに対して、突起82を設けると、グラフBは途中からグラフB’の軌跡を辿りT2時間後に転流時点T2を迎える。
突起82によって、それぞれの距離の大小関係の逆転を早め、かつ電界強度を増して、接点間に膠着するアークの転流を促進することができる。突起82はAgZnO、AgNi等のいわゆる電気接点として使用可能な材料(ここでは電気接点材料と呼ぶことにする)で構成されている。これにより、可動電極20の先端部と突起82の消耗を低減できる。
図2を用いてアーク転流時の状況を具体的に説明する。グラフA、Bは先に説明した突起の無い状態での、時間の経過と、両接点間の距離(グラフA)の変化と可動電極20と導体80間の距離(グラフB)の変化の関係を示している。突起82が無い状態では、両接点が開離し始めてからT1時間経過後に転流時点となるのに対して、突起82を設けると、グラフBは途中からグラフB’の軌跡を辿りT2時間後に転流時点T2を迎える。
突起の数は1個に限らない。また、アークの走行をよりスムーズにするために、突起82の、導体80上を前記アークのアークスポットが移動する方向の両端部は、端に近づくほど、次第に、滑らかに高さが低くなるように整形してある。電界集中によるアークの膠着を防止するためである。
可動電極20が更に図3に示す細実線の位置まで移動すると、アークによる磁気駆動力を受ける可動電極20側のアークスポットは、可動電極20と電気的に接続されている可動電極側アークランナー導体9に飛び移る。同様に磁気駆動力を受けて、導体80上のアークスポットも消弧室40方向に進む。両アークスポットの間隔が広がることにより引き延ばされたアークは、アーク14に示すようにアークグリッド45を構成する複数の金属板によって分断、冷却されて限流し、次第に消弧する。
このように、本実施の形態によれば、接点間に膠着するアークを、固定電極側アークランナー導体80と可動電極20先端近傍に早期に転流させることにより両接点の接点材の蒸発による消耗量を低減することが可能となる。さらに、回路遮断器が接続されたラインや、これに接続された他の回路遮断器および負荷等への過電流による負担を軽減することができ、複数回の遮断に耐える構造となる。
また、突起82に電気接点材料を使用しているのでアーク転流先である突起82の消耗を緩和でき、複数回の遮断に更に良く耐える構造となる。
また、アークの転流を早めることにより、アークを早期にアークグリッド45に到達させることができる。更に、早期にアークの限流を開始し、早期に電流を遮断できる。このように、限流性能を向上できればアークグリッド45の体積を小さくすることができるので、同一容量の製品であれば省エネルギーで安全性の高い小型化した回路遮断器を提供できる。
このように、本実施の形態によれば、接点間に膠着するアークを、固定電極側アークランナー導体80と可動電極20先端近傍に早期に転流させることにより両接点の接点材の蒸発による消耗量を低減することが可能となる。さらに、回路遮断器が接続されたラインや、これに接続された他の回路遮断器および負荷等への過電流による負担を軽減することができ、複数回の遮断に耐える構造となる。
また、突起82に電気接点材料を使用しているのでアーク転流先である突起82の消耗を緩和でき、複数回の遮断に更に良く耐える構造となる。
また、アークの転流を早めることにより、アークを早期にアークグリッド45に到達させることができる。更に、早期にアークの限流を開始し、早期に電流を遮断できる。このように、限流性能を向上できればアークグリッド45の体積を小さくすることができるので、同一容量の製品であれば省エネルギーで安全性の高い小型化した回路遮断器を提供できる。
可動電極20先端部分もアークスポットが膠着しやすい場所であるため、この部分を上述の電気接点材料で構成することも有効であり、本実施の形態の一つのバリエーションである。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2を図2,図5、図6に基づいて説明する。
回路遮断器の基本構成、動作は実施の形態1と同様であるので異なる部分を中心に説明する。
図5はこの実施の形態による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
図6は導体80と固定電極接点31及び突起83の近傍を示す斜視図である。
図7は可動電極20と導体80、突起83をA−A部分で切断した断面図である。
この発明の実施の形態2を図2,図5、図6に基づいて説明する。
回路遮断器の基本構成、動作は実施の形態1と同様であるので異なる部分を中心に説明する。
図5はこの実施の形態による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
図6は導体80と固定電極接点31及び突起83の近傍を示す斜視図である。
図7は可動電極20と導体80、突起83をA−A部分で切断した断面図である。
実施の形態1と、この実施の形態との違いは突起83の位置と構造である。
図6に示すように、この実施の形態では、突起83をアーク進行方向、接点の近傍に設けている。突起83は導体80の両側縁上に平行に2箇所ある。
図5に示すように、両電極が閉極している時、可動電極20の可動電極接点21より先端側に存在する部分の一部は、この二つの突起83の間に挟まれていて、突起83の固定電極接点31側端部が、可動電極20の先端部より、固定電極接点31側に存在する。
異常電流あるいは短絡電流を検知して開閉機構が開極動作を開始すると、両接点は開離を始める。
図6に示すように、この実施の形態では、突起83をアーク進行方向、接点の近傍に設けている。突起83は導体80の両側縁上に平行に2箇所ある。
図5に示すように、両電極が閉極している時、可動電極20の可動電極接点21より先端側に存在する部分の一部は、この二つの突起83の間に挟まれていて、突起83の固定電極接点31側端部が、可動電極20の先端部より、固定電極接点31側に存在する。
異常電流あるいは短絡電流を検知して開閉機構が開極動作を開始すると、両接点は開離を始める。
図7に示すように突起83と可動電極20との間の距離dは、可動電極20が突起83の高さ以上に開離して初めて増加する。
接点が圧接されている状態での、可動電極20と導体80との間の隙間の高さをh1、突起83の高さの最大値をh2、可動電極20と突起83との間の距離をdとするとき、dをh2−h1より小となるように設定しておく。
図7では、説明の便宜上、断面四角形の可動電極20と突起83が描かれているが、それぞれの形状はどのような形でも良い。この場合、dおよびh1のそれぞれの値は、可動電極20が突起83に挟まれている部分での最小値として計算すればよい。
両接点が開離し、両接点間の距離がh2−h1となると、可動電極20の底面は、概ね導体80から突起83の高さh2まで離れる。この位置までは、可動電極20と突起83の間の距離はdで一定なので、可動電極20がこの位置を越えて開離するまでの間に必ず可動電極20の先端近傍と突起83の間の距離の方が両接点間の距離より小さくなる。
この時、接点間に膠着していたアークが可動電極20と突起83間に転流することになる。
接点が圧接されている状態での、可動電極20と導体80との間の隙間の高さをh1、突起83の高さの最大値をh2、可動電極20と突起83との間の距離をdとするとき、dをh2−h1より小となるように設定しておく。
図7では、説明の便宜上、断面四角形の可動電極20と突起83が描かれているが、それぞれの形状はどのような形でも良い。この場合、dおよびh1のそれぞれの値は、可動電極20が突起83に挟まれている部分での最小値として計算すればよい。
両接点が開離し、両接点間の距離がh2−h1となると、可動電極20の底面は、概ね導体80から突起83の高さh2まで離れる。この位置までは、可動電極20と突起83の間の距離はdで一定なので、可動電極20がこの位置を越えて開離するまでの間に必ず可動電極20の先端近傍と突起83の間の距離の方が両接点間の距離より小さくなる。
この時、接点間に膠着していたアークが可動電極20と突起83間に転流することになる。
図2、グラフCはこの実施の形態における、突起83と可動電極20との間の距離の時間依存性を示すグラフである。
グラフCでは、可動電極20が突起83の高さを越えて開離するまでの間、可動電極20と突起83の間の距離はdとなり一定の値を取る。そして、可動電極20が突起83の高さを越えて開離すると、グラフCは両接点間の距離の変化を示すグラフAと概略平行となる。
このようにdが一定の値を保つ間に、グラフCとグラフAが交差する(転流時点T3を迎える)ようにすれば良いことになる。
グラフCでは、可動電極20が突起83の高さを越えて開離するまでの間、可動電極20と突起83の間の距離はdとなり一定の値を取る。そして、可動電極20が突起83の高さを越えて開離すると、グラフCは両接点間の距離の変化を示すグラフAと概略平行となる。
このようにdが一定の値を保つ間に、グラフCとグラフAが交差する(転流時点T3を迎える)ようにすれば良いことになる。
転流後のアークの動きは実施の形態1の場合と同様であって、アークは磁気駆動力を受けて消弧室40へ向かうことになる。
この実施の形態でも固定電極側アークランナー導体80は、くの字型の突出部81を有している。また、突起83を利用してアークの転流時点を早めるという基本的効果は実施の形態1と同じであるが、突出部81と突起83の2カ所でアークの転流を促進し、実施の形態1より早い時期にアークを転流させることができるので、接点間にアークが膠着する時間をより短縮することができる。
また、上の説明では突起83を2個並列して設けた例を使用したが、突起83はどちらか片方だけでも同じ効果がある。
また、上の説明では突起83を2個並列して設けた例を使用したが、突起83はどちらか片方だけでも同じ効果がある。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3を図8、図9に基づいて説明する。
なお、図8は、この実施の形態による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
固定電極側アークランナー導体180(以下導体180という)には弾性も持たせてあり、裏面からバネ51で付圧されて突出部181を形成している。
バネ51によって付圧することにより、突出部181が形成されているので実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
この実施の形態3では、開極時に可動電極20を導体180の突出部181に接触させることにより、アークの転流を確実なものとすることができる。
バネの形状は図8に示すようにアーチ状のものであって、両脚部を固定されたものであっても良いし、図9に示すような片持ちのバネでも良い。
導体180を支持でき、可動電極20が導体180に接触したときの衝撃を吸収し、導体180を元の位置に復元できるものであれば良い。
この発明の実施の形態3を図8、図9に基づいて説明する。
なお、図8は、この実施の形態による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
固定電極側アークランナー導体180(以下導体180という)には弾性も持たせてあり、裏面からバネ51で付圧されて突出部181を形成している。
バネ51によって付圧することにより、突出部181が形成されているので実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
この実施の形態3では、開極時に可動電極20を導体180の突出部181に接触させることにより、アークの転流を確実なものとすることができる。
バネの形状は図8に示すようにアーチ状のものであって、両脚部を固定されたものであっても良いし、図9に示すような片持ちのバネでも良い。
導体180を支持でき、可動電極20が導体180に接触したときの衝撃を吸収し、導体180を元の位置に復元できるものであれば良い。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を図10、図11、図12に基づいて説明する。
図10は、この実施の形態による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
固定電極側アークランナー導体280(以下導体280という)には弾性があり、先端部に突出部281を設けている。導体280の端部は、可撓性導体である網状のシャント16で固定電極130に接続されている。導体280そのものの弾性で突出部281を突き出すことによって、実施の形態1と同様に接点間の距離と突出部281と可動電極20間との距離の大小関係の転換を早めることができる。
可動電極20の先端が導体280の先端に接触すると可撓性導体である網状のシャント16が柔軟に曲がり、固定電極20が接触後に開離すると導体280は元の位置に戻る。
図11および図12はこの実施の形態のバリエーションを示すものでる。
図11では図10の網状のシャント16に代えて、弦巻バネ17を使用している。弦巻バネ16の太さは、流れる電流の容量に合わせて決定すればよい。
図12では図10の網状のシャント16に代えて、断面積の大きな板バネを複数枚重ねた板バネ構造体18を利用している。
これらの構造によれば、実施の形態1や実施の形態2と同様の効果がある。
また、実施の形態1と同様に導体280の突出部281や可動電極20の先端近傍など、アークの膠着しやすい場所を電気接点材料とすることで各部の耐久性を向上できる。
この発明の実施の形態4を図10、図11、図12に基づいて説明する。
図10は、この実施の形態による回路遮断器の可動電極20、固定電極30、消弧室40およびその近傍の断面図である。
固定電極側アークランナー導体280(以下導体280という)には弾性があり、先端部に突出部281を設けている。導体280の端部は、可撓性導体である網状のシャント16で固定電極130に接続されている。導体280そのものの弾性で突出部281を突き出すことによって、実施の形態1と同様に接点間の距離と突出部281と可動電極20間との距離の大小関係の転換を早めることができる。
可動電極20の先端が導体280の先端に接触すると可撓性導体である網状のシャント16が柔軟に曲がり、固定電極20が接触後に開離すると導体280は元の位置に戻る。
図11および図12はこの実施の形態のバリエーションを示すものでる。
図11では図10の網状のシャント16に代えて、弦巻バネ17を使用している。弦巻バネ16の太さは、流れる電流の容量に合わせて決定すればよい。
図12では図10の網状のシャント16に代えて、断面積の大きな板バネを複数枚重ねた板バネ構造体18を利用している。
これらの構造によれば、実施の形態1や実施の形態2と同様の効果がある。
また、実施の形態1と同様に導体280の突出部281や可動電極20の先端近傍など、アークの膠着しやすい場所を電気接点材料とすることで各部の耐久性を向上できる。
以上に説明した各実施の形態の構成はそれぞれに限定されるものではなく、例えば、実施の形態3及び4で説明した、弾性を有する固定電極側アークランナー導体の突出部に、更に突起を設ける等、各実施の形態で説明した構成要素を組み合わせても良いことは言うまでもない。
1 回路遮断器、20 可動電極、21 可動電極接点、30,130 固定電極、
31 固定電極接点、80,180,280 固定電極側アークランナー導体、
81,181,281 突出部、82,83 突起、
9 可動電極側アークランナー導体、10,11,12,13,14 アーク、
16 シャント、17 弦巻バネ、18 板バネ構造体、40 消弧室、
45 アークグリッド、51,52 バネ。
31 固定電極接点、80,180,280 固定電極側アークランナー導体、
81,181,281 突出部、82,83 突起、
9 可動電極側アークランナー導体、10,11,12,13,14 アーク、
16 シャント、17 弦巻バネ、18 板バネ構造体、40 消弧室、
45 アークグリッド、51,52 バネ。
Claims (11)
- 絶縁容器に収納された、可動電極接点を有する可動電極と、前記可動電極接点と離合する固定電極接点を有する固定電極と、前記可動電極と前記固定電極間を開閉する開閉機構と、前記可動電極と前記固定電極の間を流れる電流を監視して前記開閉機構を制御する電流監視部と、前記開閉機構による開極時に前記可動電極接点と前記固定電極接点の間に発生するアークを消弧する消弧室と、前記固定電極に接続され、前記アークを前記消弧室に誘導する固定電極側アークランナー導体とを備えた回路遮断器において、
前記固定電極側アークランナー導体上に突出部を設け、
前記突出部は、前記開閉機構による開極動作中の所定の時点で、前記突出部と前記可動電極との最短距離が、両接点間の距離より小さくなるように配置されていることを特徴とする回路遮断器。 - 前記突出部上に更に突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
- 前記突出部は、前記固定電極側アークランナー導体上を前記アークのアークスポットが移動する方向と平行に、前記固定電極側アークランナー導体の、前記可動電極側の面上に設けた突起であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
- 前記突起は、前記固定電極側アークランナー導体の縁上に設けたことを特徴とする請求項3に記載の回路遮断器。
- 閉極時において、前記突起の前記固定電極接点側の端部が、前記可動電極の先端部より、前記固定電極接点側に存在し、
前記突起と前記可動電極間の距離の最小値は、前記突起の高さの最大値から、前記可動電極のうち前記突起の前記固定電極接点側の端部より前記アーク走行方向側に存在する部分と前記固定電極側アークランナー導体との間の隙間の最小値を引いた値より小であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の回路遮断器。 - 前記突起の、前記固定電極側アークランナー導体上を前記アークのアークスポットが移動する方向の両端部は、前記突起の端に向けて滑らかに高さが低くなることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の回路遮断器。
- 前記固定電極側アークランナー導体は弾性を有し、前記可動電極は開極動作中に前記突出部に接触することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回路遮断器。
- 前記固定電極側アークランナー導体は裏面から弾性体で付圧されて前記突出部を形成することを特徴とする請求項7に記載の回路遮断器。
- 前記固定電極と前記固定電極側アークランナー導体とは伸縮する電導体で接続されていることを特徴とする請求項7乃至請求項8のいずれか1項に記載の回路遮断器。
- 前記突出部は電気接点材料からなる請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の回路遮断器。
- 前記可動電極の先端部は電気接点材料からなる請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回路遮断器。
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-
2009
- 2009-01-23 JP JP2009012940A patent/JP2010170876A/ja active Pending
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