JP2010169963A - 反射防止フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮明な画像が得られ、かつ耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性いずれにも優れる反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に該透明基材フィルム側からハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層がこの順に積層されて構成されている。そして、低屈折率層が、下記の化学式(1)で示されるシランカップリング剤によって変性された変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を含有すると共に、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれる原料から成膜されて形成されている。
X−R1−Si(OR2)3 ・・・(1)
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
【選択図】なし
【解決手段】反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に該透明基材フィルム側からハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層がこの順に積層されて構成されている。そして、低屈折率層が、下記の化学式(1)で示されるシランカップリング剤によって変性された変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を含有すると共に、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれる原料から成膜されて形成されている。
X−R1−Si(OR2)3 ・・・(1)
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
【選択図】なし
Description
本発明は、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示画面(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、タッチパネル等の表面に適用され、視感度反射率を低くすることができると共に、表面の耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性を高めることができる反射防止フィルムに関する。
陰極管表示装置、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、タッチパネル等の電子画像表示装置は、その視認性を高めるために、蛍光灯などの外部光源から照射された光線の反射が少ないことが求められる。そのため、透明樹脂フィルム基材の表面に、反射防止層を設けて形成された反射防止フィルムをディスプレイ表面に貼り合わせて利用する方法が一般的に知られている。従来の反射防止フィルムを使用した場合、該反射防止フィルムは1μm以下の薄膜の積層体であり、しかもその膜厚により効果の現れる光の波長が変化するため、わずかな傷や磨耗であっても目立ちやすいという問題があった。
具体的には、透明樹脂フィルム基材上に、ハードコート層や帯電防止膜などの機能層、フッ素基含有モノマー、変性コロイダルシリカ、防汚成分及び重合開始剤を有する低屈折率層をこの順に積層することにより防汚性を有する減反射(反射防止)フィルムが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、この特許文献1に記載の反射防止フィルムは、フッ素基含有モノマー及び防汚成分を用いているため視感度反射率が低く、防汚性を有している。しかし、変性コロイダルシリカの含有量が少ないため耐擦傷性が低く、さらに滑り性を有する添加剤が含まれていないため視感度反射率が低く、かつ表面物性として防汚性、耐擦傷性、耐ペン摺動性及び耐磨耗性のいずれにも優れる反射防止フィルムではない。従って、これらの優れた表面物性を有し、電子画像表示装置に適した反射防止フィルムが市場から求められているのが現状である。
そこで本発明の目的とするところは、鮮明な画像が得られ、かつ耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性いずれにも優れる反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者らは前記問題点に鑑み鋭意検討した結果、反射防止層の組成、特に最外層となる低屈折率層の組成を検討することにより耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性のいずれにも優れる反射防止フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に該透明基材フィルム側からハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層がこの順に積層されて構成されている。そして、低屈折率層が、下記の化学式(1)で示されるシランカップリング剤によって変性された変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を含有すると共に、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれる原料から成膜されて形成されていることを特徴とする。
X−R1−Si(OR2)3 ・・・(1)
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の反射防止フィルムにおいては、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれていることから、低屈折率層の屈折率を下げ、視感度反射率を低くすることができる。また、変性コロイダルシリカは重合性二重結合を有するシランカップリング剤により変性されているため、シランカップリング剤の重合性二重結合と架橋剤の重合性二重結合とが共重合することにより、変性コロイダルシリカが樹脂に一体的に結合し、耐擦傷性を高めることができる。さらに、含有されるポリシロキサン樹脂の滑り性により、低屈折率層表面の耐ペン摺動性及び耐磨耗性を向上させることができる。加えて、ポリシロキサン樹脂によって防汚性を発現することができる。
本発明の反射防止フィルムにおいては、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれていることから、低屈折率層の屈折率を下げ、視感度反射率を低くすることができる。また、変性コロイダルシリカは重合性二重結合を有するシランカップリング剤により変性されているため、シランカップリング剤の重合性二重結合と架橋剤の重合性二重結合とが共重合することにより、変性コロイダルシリカが樹脂に一体的に結合し、耐擦傷性を高めることができる。さらに、含有されるポリシロキサン樹脂の滑り性により、低屈折率層表面の耐ペン摺動性及び耐磨耗性を向上させることができる。加えて、ポリシロキサン樹脂によって防汚性を発現することができる。
従って、本発明の反射防止フィルムによれば、視感度反射率が低く、鮮明な画像が得られると共に、優れた耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性を発揮することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に該透明基材フィルム側からハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層がこの順に積層されて構成されている。そして、低屈折率層は、特定のシランカップリング剤によって変性された変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を含有すると共に、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれる原料から成膜されて形成されている。
本実施形態の反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に該透明基材フィルム側からハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層がこの順に積層されて構成されている。そして、低屈折率層は、特定のシランカップリング剤によって変性された変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を含有すると共に、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれる原料から成膜されて形成されている。
次に、この反射防止フィルムの構成要素について順に説明する。
<透明基材フィルム>
前記透明基材フィルムは、透明な材料特に透明な樹脂により形成されているフィルムである。この透明な樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン及びポリエーテルイミド等が挙げられる。ここで、透明とは光線透過率で30%以上であることを意味し、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上であることを意味する。また、透明基材フィルムの屈折率は好ましくは1.45〜1.70であり、その厚みは10〜500μmであることが透明性及び作業性の点から好ましい。
<ハードコート層>
前記ハードコート層は、透明基材フィルム上すなわち透明基材フィルムと高屈折率層との間に形成される。このハードコート層の表面に凹凸を形成し、防眩作用を発現させるように構成してもよい。ハードコート層を形成する成分の種類や屈折率は特に制限されない。その成分の具体例としては、単官能(メタ)アクリレート〔ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む概念である。以下、化合物が変わっても同様である。)、多官能(メタ)アクリレート、そしてテトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物等の硬化物が挙げられる。ハードコート層の硬度を向上させるという観点より、紫外線硬化性の多官能(メタ)アクリレートを含む組成物の重合硬化物であることが好ましい。
<透明基材フィルム>
前記透明基材フィルムは、透明な材料特に透明な樹脂により形成されているフィルムである。この透明な樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン及びポリエーテルイミド等が挙げられる。ここで、透明とは光線透過率で30%以上であることを意味し、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上であることを意味する。また、透明基材フィルムの屈折率は好ましくは1.45〜1.70であり、その厚みは10〜500μmであることが透明性及び作業性の点から好ましい。
<ハードコート層>
前記ハードコート層は、透明基材フィルム上すなわち透明基材フィルムと高屈折率層との間に形成される。このハードコート層の表面に凹凸を形成し、防眩作用を発現させるように構成してもよい。ハードコート層を形成する成分の種類や屈折率は特に制限されない。その成分の具体例としては、単官能(メタ)アクリレート〔ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む概念である。以下、化合物が変わっても同様である。)、多官能(メタ)アクリレート、そしてテトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物等の硬化物が挙げられる。ハードコート層の硬度を向上させるという観点より、紫外線硬化性の多官能(メタ)アクリレートを含む組成物の重合硬化物であることが好ましい。
また、透明基材フィルムとハードコート層との屈折率が大きく異なるような場合には、干渉により外観を損なうので透明基材フィルムとハードコート層との間に干渉防止層を設けてもよい。ハードコート層の形成方法は特に制限されず、有機材料を用いた場合には、ロールコート法やダイコート法等の一般的なウェットコート法により形成することができる。形成された層は、適宜加熱により硬化させたり、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射して硬化させたりする。
ハードコート層の厚みは2〜25μmが好ましい。この厚みが2μm未満になると反射防止フィルムの表面硬度の低下等、十分な硬度を得ることが難しくなり、その一方25μmを超えると反射防止フィルムの耐屈曲性が低下する等の問題が生じる傾向を示す。
<高屈折率層>
前記高屈折率層は直上に形成される低屈折率層より高屈折率とし、さらに屈折率を1.6〜2.4の範囲とすることが好ましい。屈折率が1.6未満の場合には十分な反射防止効果を得ることが難しくなり、一方屈折率が2.4を超える場合にはウェットコーティング法で高屈折率層を形成するのが困難となる傾向にある。加えて、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を0.1以上とすることにより、十分な反射防止効果を得ることができる。
<高屈折率層>
前記高屈折率層は直上に形成される低屈折率層より高屈折率とし、さらに屈折率を1.6〜2.4の範囲とすることが好ましい。屈折率が1.6未満の場合には十分な反射防止効果を得ることが難しくなり、一方屈折率が2.4を超える場合にはウェットコーティング法で高屈折率層を形成するのが困難となる傾向にある。加えて、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を0.1以上とすることにより、十分な反射防止効果を得ることができる。
高屈折率層を構成する材料は特に制限されるものではなく、無機材料及び有機材料のいずれも用いることができる。無機材料としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化インジウム錫(以後、ITOとも称する。)等の微粒子が挙げられる。有機材料としては、例えば屈折率1.6〜1.8の重合性単量体を含む組成物を重合硬化したもの等を用いることができる。屈折率1.6〜1.8の重合体を形成する重合性単量体としては、2−ビニルナフタレン、4−ブロモスチレン、9−ビニルアントラセン等が挙げられる。
また、無機材料の微粒子と有機材料とを併用することができるが、この場合には前述の屈折率が1.6〜1.8の重合体を形成する重合性単量体のみならず、それ以外の重合性単量体及びこれらの重合体を含む組成物をウェットコーティング時のバインダーとして用いることができる。無機材料の微粒子の平均粒子径は高屈折率層の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。無機材料の微粒子の平均粒子径が高屈折率層の厚みより大きくなると、光の散乱が生じる等、高屈折率層の光学性能が低下するおそれがある。
高屈折率層の形成方法は従来公知の方法が採用され、例えば蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD法)、イオンプレーティング法等のドライコート法や、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等のウェットコート法が挙げられる。これらの中で、ロールコート法等の連続的に高屈折率層を形成できる方法が生産性の点より好ましい。
<低屈折率層>
前記低屈折率層は、コロイダルシリカ(SiO2)をシランカップリング剤によって修飾することによって得られる変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を必須成分として含む原料から成膜される。低屈折率層を形成するための原料は、変性コロイダルシリカ及び架橋剤を主成分とし、さらにポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を特定の割合で含むものである。
(変性コロイダルシリカ)
シランカップリング剤は変性コロイダルシリカを作製するために配合され、下記の化学式(1)に示される構造を有している。
<低屈折率層>
前記低屈折率層は、コロイダルシリカ(SiO2)をシランカップリング剤によって修飾することによって得られる変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を必須成分として含む原料から成膜される。低屈折率層を形成するための原料は、変性コロイダルシリカ及び架橋剤を主成分とし、さらにポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を特定の割合で含むものである。
(変性コロイダルシリカ)
シランカップリング剤は変性コロイダルシリカを作製するために配合され、下記の化学式(1)に示される構造を有している。
X−R1−Si(OR2)3 ・・・(1)
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
変性コロイダルシリカは微粒子状の低屈折率材料であり、変性コロイダルシリカの微粒子を配合することによって屈折率の低い低屈折率層を形成することができる。しかも、変性コロイダルシリカは重合性二重結合を有するシランカップリング剤により変性されているため、シランカップリング剤の重合性二重結合と架橋剤の重合性二重結合とが共重合することにより、変性コロイダルシリカが樹脂に一体的に結合すると共に、架橋構造が形成され、耐擦傷性に優れる反射防止フィルムを得ることができる。ここで、変性コロイダルシリカの微粒子の平均粒子径は低屈折率層の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。この平均粒子径が低屈折率層の厚みより大きくなると、光の散乱が生じる等、低屈折率層の光学性能が低下する傾向にある。
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
変性コロイダルシリカは微粒子状の低屈折率材料であり、変性コロイダルシリカの微粒子を配合することによって屈折率の低い低屈折率層を形成することができる。しかも、変性コロイダルシリカは重合性二重結合を有するシランカップリング剤により変性されているため、シランカップリング剤の重合性二重結合と架橋剤の重合性二重結合とが共重合することにより、変性コロイダルシリカが樹脂に一体的に結合すると共に、架橋構造が形成され、耐擦傷性に優れる反射防止フィルムを得ることができる。ここで、変性コロイダルシリカの微粒子の平均粒子径は低屈折率層の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。この平均粒子径が低屈折率層の厚みより大きくなると、光の散乱が生じる等、低屈折率層の光学性能が低下する傾向にある。
変性コロイダルシリカの含有量は、主成分である変性コロイダルシリカ及び架橋剤の総量中、75〜90質量%である。変性コロイダルシリカの含有量が75質量%より少ない場合、耐擦傷性に優れる膜強度を得ることが難しくなる。その一方、90質量%より多い場合、低屈折率層の架橋密度が低く、耐擦傷性が弱い上に、低屈折率層を形成する原料の硬化が進まなくなる。
(架橋剤)
架橋剤は、低屈折率層が架橋構造を有するものとし、反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させるために配合される。この架橋剤としては、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
(架橋剤)
架橋剤は、低屈折率層が架橋構造を有するものとし、反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させるために配合される。この架橋剤としては、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
架橋剤の含有量は、主成分である変性コロイダルシリカ及び架橋剤の総量中、25〜10質量%である。架橋剤の配合量が10質量%より少ない場合、低屈折率層の架橋密度が低く、耐擦傷性が弱い上に、低屈折率層を形成する原料の硬化が進行しなくなる。その一方、25質量%より多い場合、耐擦傷性に優れる膜強度を得ることが困難になる。
(ポリシロキサン樹脂)
ポリシロキサン樹脂は、その滑り性により低屈折率層表面の主に耐ペン摺動性及び耐磨耗性を向上させ、さらに防汚性を発現させるために配合される。そのようなポリシロキサン樹脂としては、例えばポリアミノ変性ポリシロキサン、ポリエポキシ変性ポリシロキサン、ポリアルコール変性ポリシロキサン、ポリカルボキシル変性ポリシロキサン、ポリメルカプト変性ポリシロキサン、ポリエステル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アクリル変性ポリシロキサン等が挙げられる。
(ポリシロキサン樹脂)
ポリシロキサン樹脂は、その滑り性により低屈折率層表面の主に耐ペン摺動性及び耐磨耗性を向上させ、さらに防汚性を発現させるために配合される。そのようなポリシロキサン樹脂としては、例えばポリアミノ変性ポリシロキサン、ポリエポキシ変性ポリシロキサン、ポリアルコール変性ポリシロキサン、ポリカルボキシル変性ポリシロキサン、ポリメルカプト変性ポリシロキサン、ポリエステル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アクリル変性ポリシロキサン等が挙げられる。
ポリシロキサン樹脂の市販品としては、例えばポリエステル変性ポリシロキサン樹脂(商品名:VXL4930、ビアノバレジン社製)、ポリエーテル変性ポリシロキサン樹脂(商品名:BYK306、BYKケミー社製)、アクリル変性ポリシロキサン樹脂〔商品名:TIC2457、信越化学工業(株)製〕、アクリル変性ポリシロキサン樹脂〔商品名:TIC1615、信越化学工業(株)製〕等が挙げられる。
このポリシロキサン樹脂の含有量は、変性コロイダルシリカ及び架橋剤の総量100質量部に対して好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは2〜6質量部である。この含有量が1質量部より少ない場合には反射防止フィルムの耐ペン摺動性が悪くなり、一方10質量部より多い場合には反射防止フィルムの耐磨耗性が悪くなる。
(重合開始剤)
重合開始剤は、前記架橋剤を重合硬化させるためのものである。この重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、その他チオキサントン系化合物等の光重合開始剤や、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の熱重合開始剤が挙げられる。
(重合開始剤)
重合開始剤は、前記架橋剤を重合硬化させるためのものである。この重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、その他チオキサントン系化合物等の光重合開始剤や、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の熱重合開始剤が挙げられる。
これらの中では、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〔商品名:IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、以下I−907と称する〕等の光重合開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
該重合開始剤の含有量は、変性コロイダルシリカ及び架橋剤の総量100質量部に対して好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは3〜7質量部である。この含有量が1質量部より少ない場合には、架橋剤の重合硬化が進まなくなる傾向にある。その一方、10質量部より多い場合には、低屈折率層の屈折率が上昇する結果、反射防止フィルムの反射防止性能を低下させる傾向を示す。
(その他の成分)
低屈折率層を形成するための原料には、前述の変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤以外に本発明の効果を損なわない範囲においてその他の成分を含んでいても差し支えない。斯かるその他の成分は特に制限されるものではなく、例えば防汚剤、無機又は有機顔料、重合体、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤等が挙げられる。また、ウェットコーティング法において成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。このウェットコーティング法を採用することにより、成膜を容易に行なうことができ、反射防止フィルムの製造コストを低減させることができる。
(その他の成分)
低屈折率層を形成するための原料には、前述の変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤以外に本発明の効果を損なわない範囲においてその他の成分を含んでいても差し支えない。斯かるその他の成分は特に制限されるものではなく、例えば防汚剤、無機又は有機顔料、重合体、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤等が挙げられる。また、ウェットコーティング法において成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。このウェットコーティング法を採用することにより、成膜を容易に行なうことができ、反射防止フィルムの製造コストを低減させることができる。
上記防汚剤としては、例えば含フッ素(メタ)アクリル酸エステルである1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン及び1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシ4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン、1−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカン、2,2−ビス(アクロイルオキシメチル)プロピオン酸−2−ヒドロキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデシル(以下、OHPDAと称する。)等が挙げられる。ポリシロキサン樹脂のみでも防汚性を発現することができるが、これら含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを単独又は混合物として用いることにより防汚性を一層高めることができる。
(低屈折率層の形成)
低屈折率層の反射防止機能を発揮させるためには、低屈折率層の屈折率をその直下の高屈折率層より低屈折率とし、さらにその屈折率を1.4〜1.5の範囲に設定することが好ましい。この屈折率が1.4未満の場合には、低屈折率層を十分に硬いものにすることが困難となる。一方、屈折率が1.5を超える場合には、低屈折率層が十分な反射防止効果を発揮することが難しくなる傾向にある。
(低屈折率層の形成)
低屈折率層の反射防止機能を発揮させるためには、低屈折率層の屈折率をその直下の高屈折率層より低屈折率とし、さらにその屈折率を1.4〜1.5の範囲に設定することが好ましい。この屈折率が1.4未満の場合には、低屈折率層を十分に硬いものにすることが困難となる。一方、屈折率が1.5を超える場合には、低屈折率層が十分な反射防止効果を発揮することが難しくなる傾向にある。
低屈折率層はウェットコーティング法等により、透明基材フィルム上に積層された高屈折率層上に前述の原料を塗布した後、適宜加熱により硬化させたり、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射して硬化させたりして成膜することにより得られる。
この場合、活性エネルギー線による硬化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。硬化に用いられるエネルギー線源としては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素等が使用される。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm2が好ましい。この照射量が50mJ/cm2未満の場合、原料の硬化が不十分となるため、低屈折率層の表面硬度が低下する。一方、照射量が5000mJ/cm2を超える場合、低屈折率層が着色して透明性が低下する傾向を示す。
加熱により原料を硬化させる場合には、従来公知の熱重合開始剤を前述の原料中に添加した後、熱重合開始剤の熱分解温度以上に加熱して硬化させ、低屈折率層を形成することができる。
<反射防止フィルムの物性及び利用>
反射防止フィルムにおける各層の光学膜厚は、透明基材フィルムの種類、形状等の反射防止フィルムの構造によって異なるが、可視光波長の1/4と同じ厚みが好ましい。例えば、可視光線に対する反射防止効果を発現させる場合には、各屈折率層の光学膜厚(n×d)は400≦4×n×d≦800(nm)を満たすように設計される。但し、nは各層の屈折率、dは各層の厚み(nm)である。
<反射防止フィルムの物性及び利用>
反射防止フィルムにおける各層の光学膜厚は、透明基材フィルムの種類、形状等の反射防止フィルムの構造によって異なるが、可視光波長の1/4と同じ厚みが好ましい。例えば、可視光線に対する反射防止効果を発現させる場合には、各屈折率層の光学膜厚(n×d)は400≦4×n×d≦800(nm)を満たすように設計される。但し、nは各層の屈折率、dは各層の厚み(nm)である。
また、反射防止フィルムの上下の最外層が低屈折率層及び接着層となるように、透明基材フィルムの低屈折率層が形成されていない面に接着層を備えることができる。接着層に用いられる材料としては特に制限されるものではないが、例えばアクリル系粘着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤等を挙げることができる。
反射防止フィルムは、その低屈折率層が荷重500gで10回往復の耐スチールウール擦傷試験後において目視により傷が確認できないものである。また、反射防止フィルムは、その低屈折率層が荷重300gで5万回往復の耐ペン摺動性試験後において目視により傷が確認できず、かつ荷重1kgで1000回往復の耐磨耗試験後において反射色の変化が観察されないものである。
反射防止フィルムは反射防止効果が要求される用途に用いられ、特に電子画像表示装置の表面反射を抑える用途に用いられる。電子画像表示装置としては、例えばブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LED)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、タッチパネル等が挙げられる。そして、その電子画像表示板に接着層を介して反射防止フィルムを間接的に密着させて用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、各例において、%は特に断らない限り質量基準である。また、各例における物性評価は以下に示す方法により行った。
(1)塗液の硬化物の屈折率
1)屈折率1.49のアクリル樹脂板〔商品名:デラグラスA、旭化成工業(株)製〕上に、ディップコーター〔杉山元理化学機器(株)製〕により、塗液を乾燥膜厚が光学膜厚で110nm程度となるように層の厚さを調整しながら塗布した。
(1)塗液の硬化物の屈折率
1)屈折率1.49のアクリル樹脂板〔商品名:デラグラスA、旭化成工業(株)製〕上に、ディップコーター〔杉山元理化学機器(株)製〕により、塗液を乾燥膜厚が光学膜厚で110nm程度となるように層の厚さを調整しながら塗布した。
2)溶媒乾燥後、必要に応じて紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕を用いて120W高圧水銀灯で窒素雰囲気下に400mJの紫外線を照射して硬化した。
3)アクリル樹脂板裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計〔商品名:U−best560、日本分光(株)製〕により、光の波長400〜650nmにおける+5°、−5°正反射率を測定し、その分光反射スペクトルから極小値又は極大値を読み取った。
3)アクリル樹脂板裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計〔商品名:U−best560、日本分光(株)製〕により、光の波長400〜650nmにおける+5°、−5°正反射率を測定し、その分光反射スペクトルから極小値又は極大値を読み取った。
4)塗液の硬化物の屈折率を以下の式を用いて計算した。
但し、nMはアクリル樹脂板の屈折率、nは層の屈折率である。
但し、nMはアクリル樹脂板の屈折率、nは層の屈折率である。
反射防止フィルムの裏面(透明樹脂フィルム側)をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計〔「U−Best V560」、日本分光(株)製〕により、光の波長380〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。これにより、低屈折率層の反射スペクトルが測定できる。
(3)視感度反射率
上記で測定した光の波長380〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で規定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを計算した。
(4)全光線透過率
ヘイズメーター〔商品名:NDH2000、日本電色工業(株)製〕を用いて全光線透過率(%)を測定した。
(5)荷重500gで10回往復の耐スチールウール擦傷試験
スチールウール(#0000)に所定荷重(500g)をかけて反射防止フィルムの低屈折率層側の表面を10回往復摩擦し、その傷を目視で観察して評価した。その評価基準としては、A:確認できる傷がなし、B:確認できる傷が1本以上10本未満、C:確認できる傷が10本以上20本未満、D:確認できる傷が20本以上の4段階である。なお、表中には耐擦傷性として示した。
(6)荷重300gで5万回往復の耐ペン摺動性試験
反射防止フィルムの低屈折層側を上にして透明粘着剤シート〔商品名:ノンキャリア、リンテック(株)製、両面粘着タイプ〕を用いて2mm厚ガラス板に貼着する。その後、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)を用いて直線的な摺動条件〔荷重:3N(300gf)、回数:10万回(5万回往復)、往復の幅:25mm、往復の速さ:100mm/s〕にて、消しゴム試験機〔(株)本光製作所製〕を用いて耐ペン摺動性試験を行った。試験は5回行い、5万回往復後において目視による傷がない試験回数をnとして求めた。そして表中には、n/試験回数を示した。
(7)耐磨耗性
8つ折りしたティッシュペーパー〔商品名:ワイパーS−200、(株)クレシア製〕に1kgの荷重をかけて反射防止フィルムの低屈折率層側の表面を1000回摩擦し、外観変化の度合いを観察して評価した。その評価基準としては、○:変化なし、△:反射色が僅かに変化、×:反射色が著しく変化又は低屈折率層が剥離、の3段階である。
(8)防汚性
マーカー〔ゼブラ(株)製、商品名:マッキー〕にて反射防止フィルムにマーキングを施した。その後、防汚性の評価を次の3段階で評価した。◎:インクのハジキあり、拭き取り可能である。○:インクのハジキはないが、拭き取り可能である。×:インクのハジキなく、拭き取り不可能である。
〔製造例1、ハードコート層用塗液(HC−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、DPHAと称する)80質量部、トリアクリル酸テトラメチロールメタン20質量部、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン20質量部、光重合開始剤〔商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製〕4質量部、イソプロパノール100質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−1)を調製した。
〔製造例2、高屈折率層用塗液(H−1)の調製〕
酸化インジウム錫微粒子(平均粒子径:0.06μm)80質量部、DPHA20質量部、ブチルアルコール900質量部、光重合開始剤I−907を5質量部混合して高屈折率層用塗液(H−1)を調製した。溶媒乾燥後の硬化物の屈折率は1.64であった。
〔製造例3、変性コロイダルシリカAの製造方法〕
3つ口フラスコにコロイダルシリカ微粒子の分散液〔商品名:XBA−ST、日産化学工業(株)製、平均粒子径:10〜50nm、固形分60g〕200.0gを用意し、次にシランカップリング剤であるγ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔商品名:KBM5103、信越化学工業(株)製〕を37.7g投入して混合した。次いで、十分に攪拌しながら蒸留水8.7gを少量ずつ加えて反応液とした。これを78℃に加温し、攪拌しながら78℃で4時間加熱を行った。加熱終了後、反応液を常温まで冷却して目的の変性コロイダルシリカを得た。また、熱質量測定法(TG)により測定された質量減少率が8.1%であった。
〔製造例4及び5、変性コロイダルシリカB及びCの製造方法)
XBA−ST、KBM5103及び水の仕込み量を表1に示したように変更した以外は製造例3と同様にして変性コロイダルシリカB及びCを作製した。
製造例3で得られた変性コロイダルシリカAを90%及び架橋剤としてDPHAを10%からなる主成分100質量部に対して、光重合開始剤I−907を5質量部、ポリエステル変性ポリシロキサン樹脂(製品名:VXL-4930、ビアノバレジン社製)を4質量部混合して低屈折率層用塗液(L−1)を調製した。このL−1の重合硬化物の屈折率は1.49であった。
〔製造例7、低屈折率層用塗液(L−2)の調製〕
変性コロイダルシリカAを変性コロイダルシリカBに変更した以外は製造例6と同様にして低屈折率層用塗液(L−2)を調製した。このL−2の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
〔製造例8、低屈折率層用塗液(L−3)の調製〕
ポリシロキサン樹脂(製品名:VXL-4930、ビアノバレジン社製)4質量部をアクリル変性ポリシロキサン樹脂〔製品名:TIC2457、信越化学工業(株)製〕2質量部に変更した以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−3)を調製した。このL−3の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
〔製造例9、低屈折率層用塗液(L−4)の調製〕
製造例7の組成にアクリル変性ポリシロキサン樹脂TIC2457を2質量部追加した以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−4)を調製した。このL−4の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
〔製造例10、低屈折率層用塗液(L−5)の調製〕
製造例7の組成に防汚剤として2,2−ビス(アクリロイルオキシメチル)プロピオン酸−2−ヒドロキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデシル(OHPDA)3.5質量部を追加した以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−5)を調製した。このL−5の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
〔製造例11、低屈折率層用塗液(L−6)の調製〕
製造例7の組成にアクリル変性ポリシロキサン樹脂TIC2457を2質量部と、防汚剤OHPDAを3.5質量部追加した以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−6)を調製した。このL−6の重合硬化物の屈折率は1.49であった。
〔製造例12、低屈折率層用塗液(L−7)の調製〕
変性コロイダルシリカCに変更した以外は製造例6と同様にして低屈折率層用塗液(L−7)を調製した。このL−7の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
〔製造例13、低屈折率層用塗液(L−8)の調製〕
変性コロイダルシリカBを60%及びDPHAを40%に変更した以外は製造例6と同様にして低屈折率層用塗液(L−8)を調製した。このL−8の重合硬化物の屈折率は1.49であった。
〔製造例14、低屈折率層用塗液(L−9)の調製〕
変性コロイダルシリカB75%及びDPHA25%に変更した以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−9)を調製した。このL−9の重合硬化物の屈折率は1.49であった。
〔製造例15、低屈折率層用塗液(L−10)の調製〕
変性コロイダルシリカB83%及びDPHA17%に変更した以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−10)を調製した。このL−10の重合硬化物の屈折率は1.49であった。
〔製造例16、低屈折率層用塗液(L−11)の調製〕
変性コロイダルシリカBを95%及びDPHAを5%に変更した以外は製造例6と同様にして低屈折率層用塗液(L−11)を調製した。このL−11の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
〔製造例17、低屈折率層用塗液(L−12)の調製〕
VXL-4930を除いた以外は製造例7と同様にして低屈折率層用塗液(L−12)を調製した。このL−12の重合硬化物の屈折率は1.48であった。
低屈折率層用塗液L−1〜12の調製時に使用した変性コロイダルシリカの種類やその他成分の割合を表2に示した。
厚みが80μmのTACフィルム〔商品名:TD80UL、富士フィルム(株)製〕上に、製造例1で調製したハードコート用塗液HCをバーコーターにより乾燥膜厚4μm程度になるように塗布した。これを、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕を用いて120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート処理TACフィルムを作製した。
その上に、ディップコーター〔杉山元理化学機器(株)製〕により、製造例2にて調製した高屈折率層用塗液Hをそれぞれ乾燥膜厚が550nmで最大の反射率を示す層の厚さを調整して塗布した。これを、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕を用いて窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯にて、400mJの紫外線を照射して硬化した。
得られた高屈折率層の上に同様にして、製造例6〜12にて調製した低屈折率層用塗液L−1〜7、9及び10をそれぞれ乾燥膜厚が、550nmで最小の反射率を示すように調整して塗布後、硬化して反射防止フィルムを作製した。
得られた反射防止フィルムの視感度反射率、全光線透過率、耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性を評価した。それらの結果をそれぞれ表3に示した。
(実施例10及び11)
TACフィルムを厚みが100μmのPETフィルム〔商品名:A4300、東洋紡ポリエステル(株)製〕に変えて、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。使用した塗液はハードコート層がHC、高屈折率層がH、低屈折率層がL−4及びL−5である。
(実施例10及び11)
TACフィルムを厚みが100μmのPETフィルム〔商品名:A4300、東洋紡ポリエステル(株)製〕に変えて、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。使用した塗液はハードコート層がHC、高屈折率層がH、低屈折率層がL−4及びL−5である。
そして、得られた反射防止フィルムの視感度反射率、全光線透過率、耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性を実施例1と同様にして評価した。それらの結果をそれぞれ表3に示した。
(比較例1〜3)
低屈折率層用塗液にL−8、11及び12を用いた以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。そして、得られた反射防止フィルムの視感度反射率、全光線透過率、耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性を実施例1と同様にして評価した。それらの結果をそれぞれ表3に示した。
(比較例1〜3)
低屈折率層用塗液にL−8、11及び12を用いた以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。そして、得られた反射防止フィルムの視感度反射率、全光線透過率、耐擦傷性、耐ペン摺動性、耐磨耗性及び防汚性を実施例1と同様にして評価した。それらの結果をそれぞれ表3に示した。
加えて、実施例3の結果から、ポリシロキサン樹脂VXL-4930の4質量部をポリシロキサン樹脂TIC2457の2質量部に置き替えできることが明らかとなった。実施例2又は実施例3でも十分な物理物性を有するが、2種類のポリシロキサン樹脂(VXL-4930とTIC2457)を併用した実施例4、実施例6又は実施例10においてさらに高い物理的物性を得られることが明らかとなった。その上、実施例2又は実施例3でも十分な防汚性を有するが、防汚剤であるOHPDAを3.5質量部使用した実施例5、実施例6又は実施例11において防汚性の一層の向上が認められた。
一方、比較例1及び2では光学性能は実施例と同等であるが、変性コロイダルシリカが、比較例1では少ないため効果が小さく、比較例2では多いため膜の形成が不十分であり、耐擦傷性、耐ペン摺動性及び耐磨耗性が劣っていた。また、比較例3では光学性能は実施例と同等であるが、ポリシロキサン樹脂が含有されていないため耐擦傷性、耐ペン摺動性及び耐磨耗性が劣っていた。また、防汚性も劣っていることから、ポリシロキサン樹脂は防汚性を発現できることが明らかとなった。
Claims (1)
- 透明基材フィルム上に該透明基材フィルム側からハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層がこの順に積層されて構成されている反射防止フィルムであって、
前記低屈折率層が、下記の化学式(1)で示されるシランカップリング剤によって変性された変性コロイダルシリカ、架橋剤、ポリシロキサン樹脂及び重合開始剤を含有すると共に、変性コロイダルシリカと架橋剤との総量中に変性コロイダルシリカが75〜90質量%及び架橋剤が25〜10質量%含まれる原料から成膜されて形成されていることを特徴とする反射防止フィルム。
X−R1−Si(OR2)3 ・・・(1)
〔式中、Xは(メタ)アクリロイルオキシ基、R1は炭素数1〜4のアルキレン基及びR2はメチル基又はエチル基である。〕
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