JP2010168564A - ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体 - Google Patents

ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体 Download PDF

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Tetsuo Okuyama
哲雄 奥山
Atsushi Okamoto
淳 岡本
Nobushi Taniguchi
信志 谷口
Satoshi Maeda
郷司 前田
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Abstract

【課題】高い弾性率と実用上十分な機械的強度を有し、耐久性絶縁性の改善された耐熱シートや成形物として、多層配線板の基板材料などに応用できるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体を提供する。
【解決手段】ガラス繊維と、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類を反応して得られるポリイミドベンゾオキサゾールとの複合体であるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体で、質量比率でガラス繊維が10%から60%の間にあり、ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)であるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス繊維を含有してなるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体であって、高い弾性率と実用上十分な機械的強度を有し、スティフネスの改善された耐熱シートなどとして、印刷回路基板などに使用されるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体に関する。
ポリイミドフィルムはフレキシブルプリント配線板、COF、TAB、LOCテープなど電気、電子分野において、耐熱性があり、なおかつ柔軟な絶縁材料として広く用いられている。また、最近では携帯電話などの小型機器に用いられる小型薄型のコネクタ端子などに、比較的厚手のポリイミドフィルムが補強材として用いられている。
一般に高分子素材は圧縮弾性率が低いため、曲げ応力が加わった場合に曲がりやすく、柔軟性がある反面、高い剛性、スティフネスが必要な場合には、厚みによりコシの強さを出すという選択をせざるを得ない。
材料の強度や弾性率を上げるために粉体を配合し粉体補強複合材料する手法は一般に知られている。ポリイミド樹脂に粉体を配合するアイデア(特許文献1参照)も、提案されている。当該文献には、ポリイミド基板がフィラーを混合したポリイミド系樹脂からなることを特徴とするポリイミド基板を有した電子部品が開示され、フィラーとしては高熱伝導材料、低線膨張係数材料、磁性体材料、誘電体材料が例示されているが、具体的な例示はない。フィラーを配合した液状樹脂を何らかの基板上にスクリーン印刷し、乾燥、熱処理、硬化させるもので、フィラーを含むポリイミド樹脂のフィルムを意図したものではなく、材料の強度に関する開示もされていない。
粉体、特に体質顔料を含むポリイミド樹脂をフィルム化し、高いスティフネスを実現する試みについて過去十分に検討されてきたとは云えない。スティフネスを上げようとして高濃度に体質顔料を配合すると、硬くなると同時に脆くなる。顔料の分散が不均一でかえってフィルムの強度が下がる。特に製膜プロセス中において、熱風処理などの際に破断などが生じやすく生産性が高くない。フィラーを高濃度に配合した場合、フィルム表面の平滑性が低下し、メタライズ時に欠点が生じやすい。
ポリイミド樹脂に補強繊維を複合化し、上記課題を解決せんとする試みは多数提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、カーボン繊維などの繊維にエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジンなどの樹脂材を含浸させてなる反りや表面のうねりが少ない低熱膨張のプリント配線板(特許文献3参照)や、平面状に形成される第1繊維層を有する第1絶縁体と、前記第1絶縁体上に配置され、平面状に形成される第2繊維層を有する第2絶縁体と、前記第1絶縁体と前記第2絶縁体の間に介在されてなる導体とを備えたコアレス基板で、繊維層は、ポリベンゾオキサゾール、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステルなど、樹脂層は、ポリイミド、アラミド、ポリイミドベンゾオキサゾールなどのコアレス基板(特許文献4参照)も開示されている。
特開平07−335440号公報 特開平09−055562号公報 特開2001−144413号公報 特開2008−085107号公報
従来の高耐熱性のポリイミドでは、延伸により配向性をあげて強度を出しており、高濃度にフィラーを配合した系では、フィラー近傍で構造破壊が生じ、配向が進まないため高強度のフィルムやシートは得られがたい。さらにはフィラー部分から破断が生じやすく、特にガラス繊維との線膨張係数に乖離のあるポリイミドを使用したガラス繊維補強ポリイミド複合体においては、補強繊維とマトリックスポリイミドとの間で加熱による剥離などの問題が発生し、これらを使用した印刷回路基板などにおいて絶縁不良などの欠陥を生じることとなり、使用上、生産性上に大きな問題があった。
ガラス繊維の分散が不均一、ガラス繊維とマトリックスとの線膨張係数などの物性差による、複合体シートなどの強度が下がる、使用中の絶縁性不良発生という従来のポリイミド樹脂マトリックスに対して、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミドをマトリクスに使用することにより、このポリイミド(フィルム)は自己組織化的に配向するため、強度が発現しやすく、フィラーを高濃度に配合してもフィルム強度を保つことが出来、さらに線膨張係数がガラス繊維とマトリックス樹脂との間で差があまりないことに由来する剥離空間からの水分などの浸入などによる絶縁性不良発生が生じ難いことを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1.ガラス繊維と、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類を反応して得られるポリイミドベンゾオキサゾールとの複合体であって、複合体中のガラス繊維が、質量比率で10%から60%の範囲で含まれており、複合体の線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)であることを特徴とするガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
2.ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類が下記化1〜化4で示されるジアミン類から選ばれた一種以上である1.のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
Figure 2010168564
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3.ガラス繊維が、フィラメント直径が1〜20μmで、フィラメント本数20〜2000のガラス長繊維のストランドおよびまたは前記ストランドからなる織物である1.〜2.いずれかに記載のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
4.1.〜3.いずれかに記載のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体のシート状物の一面に、易接着層を設けた複合材料。
本発明のガラス繊維と、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類を反応して得られるポリイミドベンゾオキサゾールとの複合体であるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体で、質量比率でガラス繊維が10%から60%の間にあり、ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)であるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体は、ガラス繊維の分散が均一になり易く、ガラス繊維とマトリックスとの線膨張係数などの物性差が少なく、複合体シートなどの強度が低下せず、使用中の絶縁性不良発生という従来のポリイミド樹脂マトリックスに対して、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合してなるポリイミドをマトリクスに使用することにより、このポリイミド(フィルム)は自己組織化的に配向するため、強度が出やすく、フィラーを高濃度に配合してもフィルム強度を保つことが出来、さらに線膨張係数がガラス繊維とマトリックス樹脂との間で差があまりないことからくる剥離空間からの水分などの浸入などによる絶縁性不良発生が生じ難いという優れた性能を保有しており、印刷回路基板などのあらゆる電子部品の絶縁性材料として耐久性を備えた使用が可能であり、工業的に極めて有効である。
本発明のベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とが重縮合(以下、重合ともいう)して得られるポリイミドをマトリックスとするガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体は、例えばベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを溶媒中で重縮合して得られるポリアミド酸の溶液を、ガラス繊維布帛などのガラス繊維に流延もしくは含浸もしくは混合して乾燥し、ポリアミド酸の自己支持性である前駆体複合体(グリーンシートまたは前駆体シートなど)とし、これを高温処理してイミド化してガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体(以下、複合体ともいう)とする方法などで得られるものである。
ポリアミド酸溶液にガラス繊維を添加含有せしめる方法は、特に限定されず例えば溶媒にガラス繊維を添加含有せしめ、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを添加して重縮合せしめてもよく、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを溶媒中で重縮合して得られるポリアミド酸の溶液にガラス繊維を添加含有せしめる方法であってもよい。
好ましい態様としては、ガラス繊維布帛にベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを溶媒中で重縮合して得られるポリアミド酸の溶液を含浸せしめ、これを乾燥などの手段で脱溶媒を実施し、得られた前駆体複合体をさらに高温処理してガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体とする方法が挙げられる。
本発明のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体に用いられるベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2010168564
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを80モル%以上使用することが好ましい。
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの20モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン。
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン。
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド。
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン。
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の10モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0以上が好ましく、4.0以上がさらに好ましく、これらの還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)と制御し易くなる。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、本発明の複合体を形成するためには、前記したように、ポリアミド酸溶液にガラス繊維を添加含有せしめる方法であってもよく、ポリアミド酸溶液作成時にガラス繊維を添加含有せしめる方法がある。
好ましい態様としては、ガラス繊維布帛にベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを溶媒中で重縮合して得られるポリアミド酸の溶液を含浸せしめ、これを乾燥などの手段で脱溶媒を実施し、得られた前駆体複合体をさらに高温処理してガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体とする方法が挙げられる。
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液をガラス繊維と混合した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
シート状として使用する場合のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の厚さは特に限定されないが、通常20〜1000μm、好ましくは25〜500μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を含浸せしめるガラス繊維体容量や厚さ、さらに塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明におけるガラス繊維は、公知のガラス繊維であって補強用に使用されるものおよびこれらと同等の線膨張係数と引張り弾性率をもつものであれば特に限定されないが、線膨張係数が0〜10ppm/℃の範囲にあるガラス繊維が好ましい。
本発明における好ましい態様して、質量比率でガラス繊維が10%から60%(質量)の間にあるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体、またガラス繊維が、フィラメント直径が1から20μmで、フィラメント本数20〜2000更に好ましくは100から2000本のガラス長繊維を使用したガラス織物であるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体、またガラス繊維が、フィラメント直径が1から20μmで、フィラメント本数20〜2000更に好ましくは100から2000本のガラス長繊維ストランドであるガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体が挙げられる。
ガラス繊維の質量比率は、ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体に対して10〜60質量%更に好ましくは 30から 50質量%である。10質量%未満であると、ガラス繊維による補強効果が十分でなく、60質量%を超えると成形することが困難になる場合が多い。
ガラス繊維の平均繊維長は6mm以上より好ましくは10mm以上であり、長繊維がさらに好ましい。平均ガラス繊維直径は1〜20μmである。平均繊維長が6mm以下、平均繊維径が20μmを超えるものであると、ガラス繊維による補強効果が不十分になることがある。ここで、ガラス繊維の平均繊維長又は平均繊維直径とは、100本以上の繊維を顕微鏡で観察し、その内の100本の繊維長又は繊維径の平均値をいうものである。
本発明における線膨張係数(CTE)の測定は下記による。
<線膨張係数測定>
測定対象について、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、90℃〜100℃、100℃〜110℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を400℃まで行い、100℃から350℃までの全測定値の平均値をCTE(平均値)として算出した。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
初荷重 ; 34.5g/mm2
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
本発明の好ましい態様である、ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)であるシート状ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体のCTEは、より好ましくは、0〜10(ppm/℃)である。使用したガラス繊維のCTEに較べて乖離の少ないCTE保有ポリイミドベンゾオキサゾ−ルを使用することで本発明の目的である、ガラス繊維とマトリックス樹脂との熱履歴を受けたときの剥離などが生じ難いものとなる。
本発明のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の好ましい応用例は、この複合体の少なくとも一面に易接着層を設けたものであり、これらをプリント配線基板用ベース基板などに使用することができる。
ここで、「プリント配線基板用ベース基板」とは、絶縁板の少なくとも片面に金属層を積層してなる構成の略平板状の基板である。積層される金属層は、エッチング等の加工によって回路を形成することが意図される回路用の金属層であってもよいし、特に後加工をせずに絶縁板と一緒になって放熱等の目的に用いられる金属層であってもよい。
「プリント配線基板用ベース基板」の用途としては、FPC、TAB用キャリアテープ、COF用基材、CSP用基材などが好ましい。
ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の少なくとも片面に積層される金属は特に限定はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ステンレス鋼などである。積層手段は特に問わず、以下のような手段が例示される。
・接着剤を用いて、ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体に金属板を貼り付ける手段、
・ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体に蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空コーティング技術を用いて金属層を形成する手段、
・無電解めっき、電気めっきなどの湿式メッキ法により金属層をガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体に形成する手段。
これらの手段を単独で、あるいは組み合わせることによってガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の少なくとも片面に金属層を積層することができる。
導電化層の厚みは、好ましくは100〜5000Åである。電気めっきする金属としては、Cuが好ましい。
金属層の厚さは特に制限はないが、当該金属層を回路用(導電性)とする場合には、その金属層の厚さは好ましくは1〜175μmであり、より好ましくは3〜105μmである。金属層を貼合わせたガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体を放熱基板として用いる場合には、金属層の厚さは、好ましくは50〜3000μmである。この金属層のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体と接着される表面の表面粗さについては特に限定されないが、JIS B 0601(表面粗さの定義と表示)における、中心線平均粗さ(以下Raと記載する)および十点平均粗さ(以下Rzと記載する)で表示される値が、Raについては0.1μm以下、Rzについては1.00μm以下であるものがフィルムと金属層との接着性向上の効果が大きく好ましい。その中でも特にこれらの条件を同時に満足するものが好ましい。なお、RaおよびRzは小さいほど好ましいが、入手・加工の容易さからRaの下限は0.0001μm、Rzの下限は0.001μmが例示される。
本発明で使用する金属層の表面には、金属単体や金属酸化物などといったガラス物の塗膜を形成してもよい。また金属層の表面を、カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)による処理、サンドプラスト処理、ホ−リング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。同様に、ポリイミド複合体の表面をホ−ニング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は、前記したもの以外は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミド複合体の厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1245D)を用いて測定した。
3.マイグレーション判定(銅スルーホール間マイグレーション)
各複合体を用いて、0.4mm穿孔、25μm銅鍍金後、テスト用プリント配線板用となし、ホール間1mmで、温度85℃、相対湿度85%、直流100Vの環境で、絶縁抵抗を測定し、1000時間以上、10の10乗以上を保てる物を○とし、900時間以上1000時間まで10の10乗以上を保てる物を△とし、900時間に満たない時間だけしか10の10乗以上を保てないものを×として判定した。
4.質量比率(複合体中のガラス繊維分の質量比率)
質量比率は、複合体を灰化させ、その前後の質量の変化を測定し、樹脂分とガラス分の和(初期質量)に対して、灰化後のガラス分の質量を求め、複合体中におけるガラス繊維分の質量比率を求めた。
5.形状性判定
複合体の外観を目視して、ガラス繊維のはみ出しなどの外観不良が見られるものを×、そのような異常の見られないものを○として判定した。
〔参考例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え,25℃の反応温度で36時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。このもののηsp/Cは4.2であった。
〔参考例2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、2190質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、白褐色の粘調な体質顔料分散ポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.1であった。
*実施例1〜4、比較例1〜5
参考例1〜3で得たポリアミド酸溶液を24時間減圧脱泡したものと、下記ガラス繊維布帛を使用して複合体を作成した。
ポリアミド酸溶液の中に各ガラス繊維布帛を浸漬し含浸せしめ、ポリアミド酸溶液を含浸したガラス繊維を垂直にポリアミド酸溶液から引き上げ、ロール間を通して余分なポリアミド酸溶液を搾り取り、垂直状態で110℃熱風中乾燥させポリイミド前駆体複合体を作成し、このポリイミド前駆体複合体を、120℃、200℃、450℃の各熱風乾燥機内で熱処理して、各ガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体を得た。
各実施例、各比較例の、使用したポリアミド酸溶液、使用したガラス繊維布帛、得られたガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体の評価を表1に示す。
ガラス繊維布帛1;ガラス繊維はJIS R3410規定のEガラス(比重2.6、線膨張係数5.6ppm/℃)を使用した。
繊維直径:5μm、繊維数:200、のフィラメント糸条を使用して、縦60/インチ、横47/インチで織った布帛を平面化処理した48g/m2のガラス繊維布帛
ガラス繊維布帛2;ガラス繊維はJIS R3410規定のEガラス(比重2.6、線膨張係数5.6ppm/℃)を使用した。
繊維直径:4μm、繊維数:50、のフィラメント糸条を使用して、縦85/インチ、横85/インチで織った布帛を平面化処理した11g/m2のガラス繊維布帛
ガラス繊維布帛3;ガラス繊維はJIS R3410規定のEガラス(比重2.6、線膨張係数5.6ppm/℃)を使用した。
繊維直径:9μm、繊維数:400、のフィラメント糸条を使用した、縦44/インチ、横30/インチで織った布帛を平面化処理した203g/m2のガラス繊維布帛

それぞれの単繊維は途中断線の無い繊維である。
Figure 2010168564
以上述べてきたように、本発明のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体は、高い弾性率と実用上十分な機械的強度を有し、耐久性絶縁性の改善された耐熱シートや成形物として、多層配線板の基板材料、あるいは時計の歯車など歯車、カムなどの機械部品カメラボディー、ノートパソコン筐体、コンピューター周辺機器の筐体家電品、複写機、プリンター、FAXなどの事務機器のケースなど構造部品、自動車の電装部品、コネクターラジエターグリル、ランプハウジング、半田に対する耐熱性を要する部材プリント配線板用ベース基板、プリント配線版部材として、多層配線板のコア層として広く応用でき、工業的価値が大きいものである。

Claims (4)

  1. ガラス繊維と、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類を反応して得られるポリイミドベンゾオキサゾールとの複合体であって、複合体中のガラス繊維が、質量比率で10%から60%の範囲で含まれており、複合体の線膨張係数が−10から+16(ppm/℃)であることを特徴とするガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
  2. ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類が下記化1〜化4で示されるジアミン類から選ばれた一種以上である請求項1記載のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
    Figure 2010168564
    Figure 2010168564
    Figure 2010168564
    Figure 2010168564
  3. ガラス繊維が、フィラメント直径が1〜20μmで、フィラメント本数20〜2000のガラス長繊維のストランドおよびまたは前記ストランドからなる織物である請求項1〜2いずれかに記載のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載のガラス繊維補強ポリイミドベンゾオキサゾール複合体のシート状物の一面に、易接着層を設けた複合材料。
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