JP2010168508A - 低屈折率組成物および反射防止材ならびにディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも(1)加水分解可能な官能基を2個以上有するアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られたシリカ前駆体および(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を混合してなる低屈折率組成物であって、前記有機溶媒が、アルコール類およびケトン類から選択された少なくとも1種からなり、且つ、前記金属キレート化合物が、前記アルコキシシランに対して0.5〜10.0重量%含まれ、且つ、前記(2)シリカ粒子が、前記(1)シリカ前駆体に対して10.0〜40.0重量%含まれることを特徴とする低屈折率組成物とした。
【選択図】図1
Description
低反射薄膜、反射防止薄膜は、多層膜からなり、残存反射率が低いものが一般的に知られている。多層膜からなる場合、作製方法は真空蒸着法、ディップコート法等のような方法を用いるため、煩雑であり、生産性が低く、コストが高く経済的に問題もある。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
本発明の低屈折率組成物は、少なくとも(1)加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られる透明なシリカ前駆体を含有する。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機官能基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
また、本発明の低屈折率組成物は、溶媒として水ではなくアルコール類、ケトン類を有機溶媒として用いるため、組成物の長時間貯蔵安定性が高い。また、塗工適性を向上させることができる。なお、有機溶媒として用いられるアルコール類、ケトン類は吸水性を示し少量の水を含むことができ、アルコキシシランを加水分解することができる。
図1に示した本発明の反射防止材1にあっては基材11上にハードコート層12、低屈折率層13を順に備える。
また、基材の厚みは特に限定されるものではないが、30μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
(透明なシリカ前駆体の調製)
密閉ガラス容器中で、0.05molテトラエトキシラン、イソプロピルアルコール20.0g、0.0025mol金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムを混合し、1日間あるいは50℃で3時間攪拌した。得られた液体を5000rpmで10分間遠心分離、上澄み液を取り透明なシリカ前駆体を得た。
20.0gシリカ分散液(住友大阪セメント株式会社のナノポーラスシリカ(溶媒:イソプロピルアルコール))を5000rpmで10分間遠心分離して、上澄みを取って17.0g分散液を得た。
密閉ガラス容器中で、前記透明なシリカ前駆体2.0g、前記シリカ分散液1.5gおよび溶剤イソプロピルアルコール6.0gを混合し、2時間攪拌し、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物は安定であり、密閉で1週間放置しても、沈殿物は析出しなかった。
日本合成化学社製紫外線硬化型樹脂UV−1700B 8.0g及び溶剤メチルエチルケトン/酢酸メチル混合溶媒8.0gを混合し、1時間で攪拌してハードコート組成物を得た。トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム株式会社製)表面に3.0ml滴下し、ワイヤーバーを用いて塗布し、成膜した。50℃で1分乾燥、紫外線照射(露光量211mJ/cm2)による硬化してハードコート層を形成し、トリアセチルセルロースフィルム上にハードコート層を備えるハードコートフィルムを得た。形成されたハードコート層の膜厚は8μmであった。
次に、得られた低屈折率組成物をそのハードコートフィルム表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。なお、得られた低屈折率層の膜厚は0.11μmであった。
島津製作所製UV−Vis分光光度計UV−2400を用いて入射角8°で測定した。測定は、反射防止材の低屈折率層表面及び低屈折率層を形成する前のハードコートフィルムのハードコート層表面についておこなった。測定した結果、波長560nmにおいて最小反射率を示し、低屈折率層がない場合に4.7%であったものが、0.7%に抑制された。またその低屈折率層の屈折率は1.34であった。
なお、このときの分光反射率曲線を図2に表す。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール製 No.0000)
移動距離(片道):13cm
こすり速度:13cm/秒
荷重:250g/cm2、500g/cm2、1kg/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm
こすり回数:10往復
反射防止材と接触するラビングテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウールを巻いて、動かないようバンド固定しこすりテストをおこない、こすり終えた反射防止材の低屈折率層形成面の反対側に油性黒インキを黒塗り、40Wの三波長蛍光灯下約10cmのところで反射光で角度を変えて目視で評価した。こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
二重丸印: 非常に注意深く見ても、全く傷が確認されない。
丸印 : 非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が1〜3本までが確認されるが実用上問題ない。
三角印 : 弱い傷が5本以上が確認される。
バツ印 : 一目見ただけで分かる傷が確認される。
評価の結果、250g、500g/cm2荷重下で二重丸評価となり、1kg/cm2の荷重下で丸評価となった。
実施例1において、金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例1同様に操作し低屈折率組成物を得た。
得られた低屈折率組成物を(実施例1)のハードコートフィルム表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。
得られた反射防止材の入射角8°での分光反射率測定を実施例1と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%になり、低屈折率層の屈折率が1.35であった。スチールウール耐傷性は250g/cm2荷重下で二重丸評価となり、500g/cm2荷重下で丸評価となり、1kg/cm2の場合で三角評価となった。
実施例1において、シリカ粒子分散液として、日産化学工業株式会社製スノーテックスOUP(溶媒:イソプロピルアルコール)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物溶液は密閉で1週間放置しても、沈殿物の析出がなかった。
得られた低屈折率組成物を(実施例1)のハードコートフィルム表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。
得られた反射防止材について、入射角8°での分光反射率測定を(実施例1)と同様におこなったところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は250g、500g、1kg/cm2荷重下で二重丸評価となった。
実施例2において金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。
得られた低屈折率組成物を(実施例1)のハードコートフィルム表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。
得られた反射防止材について、入射角8°での分光反射率測定を(実施例1)と同様におこなったところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は500g/cm2荷重下で二重丸評価となり、1kg/cm2の場合で丸評価となった。
実施例1において、シリカ粒子分散液として、日産化学工業株式会社製IPA−ST(溶媒:イソプロピルアルコール)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物溶液は密閉で1週間放置しても、沈殿物の析出がなかった。
得られた低屈折率組成物を(実施例1)のハードコートフィルム表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。
得られた反射防止材について、入射角8°での分光反射率測定を(実施例1)と同様におこなったところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は250g、500g、1kg/cm2荷重下で二重丸評価となった。
実施例3において金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例3と同様の操作を行ったが、低屈折率組成物中に沈殿物を析出して、成膜することが不能になった。これはアルカリ性のIPA−STシリカ粒子分散液中で塩酸を添加すると中和反応が起こり、沈殿を析出したものと考えられる。
実施例3において有機溶剤イソプロピルアルコールの代わりに、トルエンを用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。
得られた低屈折率組成物を(実施例1)のハードコートフィルム表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥した結果、反射防止材を作製できなかった。その理由はトルエン中で含まれる水分が不足であり、テトラエトキシランの加水分解反応は不十分であったためと考えられる。そのために、低屈折率層が形成できなかったものと考えられる。
11 基材
12 ハードコート層
13 低屈折率層
Claims (8)
- 少なくとも(1)加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られたシリカ前駆体および(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を混合してなる低屈折率組成物であって、
前記有機溶媒が、アルコール類およびケトン類から選択された少なくとも1種からなり、且つ、
前記金属キレート化合物が、前記アルコキシシランに対して0.5〜10.0重量%含まれ、且つ、
前記(2)シリカ粒子が、前記(1)シリカ前駆体に対して10.0〜40.0重量%含まれる
ことを特徴とする低屈折率組成物。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
- 前記金属キレート化合物が、一般式R3OH(式中、R3は炭素1〜8のアルキル基を表す。)および/またはR4COCH2COR5(式中、R4は炭素1〜8のアルキル基を表し、R5は炭素1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を表す。)で表される化合物を配位子としたAl、Ti、ZrおよびSnから選択された金属を中心金属とする少なくとも1種類の金属キレート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率組成物。
- 前記(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液が粒径15nm以上80nm以下の範囲内のシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の低屈折率組成物。
- 基材上に、請求項1乃至4のいずれかに記載の低屈折率組成物を塗布し塗膜を形成する工程と、
前記基材上の塗膜を加熱し低屈折率層を形成する工程と
を順に備える反射防止材の製造方法。 - 前記塗膜を加熱する温度が100℃以上180℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項4記載の反射防止材の製造方法。
- 基材上に、請求項1乃至4のいずれかに記載の低屈折率組成物を塗布し、加熱し、屈折率1.20以上1.40以下の範囲内の低屈折率層を形成してなることを特徴とする反射防止材。
- 前記基材と低屈折率層との間にハードコート層を有することを特徴とする請求項5に記載の反射防止材。
- 請求項6または請求項7に記載の反射防止材を表面に設けたことを特徴とするディスプレイ。
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