JP2009102508A - 低屈折率組成物および反射防止材ならびにディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】基材に対して低屈折率低反射層を形成でき、安定性に優れた低屈折率組成物、反射防止材およびディスプレイを提供する。
【解決手段】(1)少なくとも1種の加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られたシリカ前駆体および(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を混合してなり、前記有機溶媒が、アルコール類およびケトン類から選択された少なくとも1種からなる低屈折率組成物、それを用いた反射防止材およびディスプレイ。一般式1:RmSi(OR1)n(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
【選択図】図1
【解決手段】(1)少なくとも1種の加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られたシリカ前駆体および(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を混合してなり、前記有機溶媒が、アルコール類およびケトン類から選択された少なくとも1種からなる低屈折率組成物、それを用いた反射防止材およびディスプレイ。一般式1:RmSi(OR1)n(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
【選択図】図1
Description
本発明は、低温硬化でき、高透過率である低屈折率組成物およびそれを用いた反射防止材ならびにディスプレイに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)などの各種ディスプレイ、光学部品のレンズ、スクリーンなどの反射防止塗層としては、低反射薄膜、反射防止薄膜が知られている。
低反射薄膜、反射防止薄膜は、多層膜からなり、残存反射率が低いものが一般的に知られている。多層膜からなる場合、作製方法は真空蒸着法、ディップコート法等のような方法を用いるため、煩雑であり、生産性が低く、コストが高く経済的に問題もある。
低反射薄膜、反射防止薄膜は、多層膜からなり、残存反射率が低いものが一般的に知られている。多層膜からなる場合、作製方法は真空蒸着法、ディップコート法等のような方法を用いるため、煩雑であり、生産性が低く、コストが高く経済的に問題もある。
これに対して、2層または1層の塗膜層からなる構成も知られており、この構成ではコストが低く、量産が容易であるが残存反射率が高いという欠点があげられる。
この問題を解決するために、各種低屈折率塗層の開発が行われてきた。シリカは比較的低屈折率の材料であり、広い波長範囲で光透過性も優れ、且つ、シリカに空隙を導入することにより、さらに低い屈折率材料を得ることができる。多孔性シリカ微粒子を用いて低屈折率薄膜を製造する方法例がある(特許文献1〜5参照)。
特開2001−115028号公報
特開平6−299091号公報
特開平3−199043号公報
特開2004−170901号公報
特開2005−307158号公報
しかし、上記の方法例では以下の問題がある。前記特許文献1では後処理の際、高温の加熱が必要であり、フィルムに対して低屈折率薄膜の作製が困難である。前記特許文献2ではシリカの酸性加水分解物と塩基性加水分解物を混合することによって系の安定性が悪く、放置すると沈殿物が析出することがある。前記特許文献3では開孔剤を抽出する時に薄膜が膨潤したり、基材から、剥離するという問題がある。前記特許文献1、2の問題を解決するために、前記特許文献4と前記特許文献5では金属キレートを利用して、低屈折率材料組成物の改良を行ったが、シリカ加水分解物は低屈折率材料組成の一成分あるいは微粒子の分散改良手段であるために、他のバインダーポリマーが必要である。そして、調液する場合に、水の添加または酸触媒の添加が必要である。低屈折率組成物の作製の効率とコストの改善が必要である。
そこで、本発明は前記従来技術の問題点を解決し、透明フィルムなどの基材に対して低屈折率低反射層を形成でき、安定性に優れた低屈折率組成物を提供することを目的とする。また、それを用いた反射防止材およびディスプレイを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、(1)少なくとも1種の加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られたシリカ前駆体および(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を混合してなる低屈折率組成物であって、前記有機溶媒が、アルコール類およびケトン類から選択された少なくとも1種からなることを特徴とする低屈折率組成物である。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
請求項2に記載の発明は、前記金属キレート化合物が、一般式R3OH(式中、R3は炭素1〜8のアルキル基を表す。)および/またはR4COCH2COR5(式中、R4は炭素1〜8のアルキル基を表し、R5は炭素1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を表す。)で表される化合物を配位子としたAl、Ti、ZrおよびSnから選択された金属を中心金属とする少なくとも1種類の金属キレート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率組成物である。
請求項3に記載の発明は、前記(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液が、粒径15〜80nmのシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の低屈折率組成物である。
請求項4に記載の発明は、前記(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液中、シリカ粒子が0.5〜5.0重量%含まれ、かつ、前記金属キレート化合物が、前記シリカ粒子に対して0.5〜10.0重量%含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低屈折率組成物である。
請求項5に記載の発明は、基材上に、請求項1〜3のいずれかに記載の低屈折率組成物を塗布し、加熱し、屈折率1.2〜1.4の範囲内の低屈折率層を形成してなることを特徴とする反射防止材である。
請求項6に記載の発明は、前記基材と低屈折率層との間にハードコート層を有することを特徴とする請求項5に記載の反射防止材である。
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の反射防止材を表面に設けたことを特徴とするディスプレイである。
本発明の低屈折率組成物はコーティングにより簡便に効率よく、絶対反射率が低い薄膜を形成でき、得られた薄膜は1.2〜1.4という低い屈折率を有する。尚、本発明の低屈折率組成物は長時間(1週間)放置しても沈殿物を析出しないという特徴を有する。即ち、本発明の低屈折率組成物は安定性が良い。このために、反射防止コーティング剤に応用した時、安定した低屈折率層を得ることができる。本発明の低屈折率組成物は低い硬化温度(100〜150℃)で、硬化でき、耐擦傷性を持っている。さらに、本発明の低屈折率組成物を作製する場合、酸触媒、水などの添加が必要ないので、普通のゾルゲル法よりも作製方法は簡単、便利である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の組成物は、(1)少なくとも1種の加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られた、透明なシリカ前駆体を含有する。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機官能基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
本発明の組成物は、(1)少なくとも1種の加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られた、透明なシリカ前駆体を含有する。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機官能基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。)
Rとしては、例えば置換または無置換のアルキル、アリール、アルケニル基またはこれらの基を組み合わせた基が挙げられる。アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のアルキル基が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、アルケニル基としては、炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。R1としては、加水分解可能な官能基であればとくに制限されないが、例えば炭素数1〜5のアルコシキ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記アルコキシシランとしては、2官能基または3官能基または4官能基を有するものを用いることができる。耐擦傷性を向上するために、3官能基または4官能基のアルコキシシランが好ましい。
4官能基のアルコキシシランとしては、テトラメトキシラン、テトラエトキシランなどが挙げられるが、この限りではない。
3官能基のアルコキシシランとしては、トリメトキシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどが挙げられる。
2官能基のアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(イソ−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(sec−ブトキシキシ)シラン、ジメチルジ(tert−ブトキシキシ)シラン、ジメチルジ(sec−ブトキシキシ)シラン、ジエチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(イソ−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(sec−ブトキシキシ)シラン、ジエチルジ(tert−ブトキシキシ)シラン、ジエチルジ(sec−ブトキシキシ)シランなどが挙げられるが、この限りではない。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類あるいはメチルエチルケトンなどのケトン類等の極性溶媒を用いることができる。有機溶媒の使用量は、アルコキシシランに対し、20〜100倍(重量基準)であることが好ましい。
本発明の組成物において、金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素1〜8のアルキル基を表す。)および/またはR4COCH2COR5(式中、R4は炭素1〜8のアルキル基を表し、R5は炭素1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を表す。)で表される化合物を配位子としたAl、Ti、ZrおよびSnから選択された金属を中心金属とする少なくとも1種類の金属キレート化合物であることが好ましい。
金属キレート化合物としては、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス( エチルアセトアセテート) アルミニウム、イソプロポキシビス( アセチルアセトナート) アルミニウム、トリス( エチルアセトアセテート) アルミニウム、トリス( アセチルアセトナート) アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス( エチルアセトアセテート) アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物や、ジイソプロポキシ・ビス( エチルアセトアセテート) チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス( アセチルアセテート) チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス( アセチルアセトン) チタニウムなどのチタニウムキレート化合物などが挙げられるが、この限りではない。
金属キレート化合物の使用量は、アルコキシシランに対し、0.5〜10重量%が好ましい。また金属キレート化合物の使用量は、下記で説明する(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液中のシリカ粒子に対し、0.5〜10.0重量%であることが好ましい。
金属キレート化合物としては、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス( エチルアセトアセテート) アルミニウム、イソプロポキシビス( アセチルアセトナート) アルミニウム、トリス( エチルアセトアセテート) アルミニウム、トリス( アセチルアセトナート) アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス( エチルアセトアセテート) アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物や、ジイソプロポキシ・ビス( エチルアセトアセテート) チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス( アセチルアセテート) チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス( アセチルアセトン) チタニウムなどのチタニウムキレート化合物などが挙げられるが、この限りではない。
金属キレート化合物の使用量は、アルコキシシランに対し、0.5〜10重量%が好ましい。また金属キレート化合物の使用量は、下記で説明する(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液中のシリカ粒子に対し、0.5〜10.0重量%であることが好ましい。
本発明の組成物においては、(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を用いる。本発明では、シリカ粒子の有機溶媒分散液を用いたために、水性シリカ分散液より、安定性が高く、長期間保存しても劣化しないものとなる。
このシリカ粒子の有機溶媒分散液は粒径15〜80nmのシリカ微粒子を含むことがこのましい。例として、ナノポーラスシリカ有機溶媒分散液、シリカゾルなどを挙げることができる。具体例として、住友大阪セメント株式会社のナノポーラスシリカ、日産化学工業株式会社製スノーテックスOS、スノーテックスPS−MO、スノーテックスOUP、IPA−ST、IPA−ST−UP等などを挙げることができる。
このシリカ粒子の有機溶媒分散液は粒径15〜80nmのシリカ微粒子を含むことがこのましい。例として、ナノポーラスシリカ有機溶媒分散液、シリカゾルなどを挙げることができる。具体例として、住友大阪セメント株式会社のナノポーラスシリカ、日産化学工業株式会社製スノーテックスOS、スノーテックスPS−MO、スノーテックスOUP、IPA−ST、IPA−ST−UP等などを挙げることができる。
本発明の組成物を用いる低屈折率層の形成方法を例示する。前記アルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合して得られた透明なシリカ前駆体と前記シリカ粒子の有機溶媒分散液とを混合して室温〜50℃で3,4時間攪拌した後、基材に塗布し、100〜150℃で加熱乾燥、硬化させることにより低屈折率層を形成することができる。その低屈折率層は耐擦傷性を持っている。
本発明にあっては金属キレート化合物が触媒として作用する。そして、アルコキシシランと金属キレート化合物とを混合して得られた透明なシリカ前駆体と前記シリカ粒子の有機溶媒分散液について十分な攪拌をおこなうことにより安定な低屈折率組成物とすることができる。また、本発明にあってはキレート化合物を触媒として作用させることにより、塩酸等の酸触媒を用いる必要がない。本発明の低屈折率組成物は酸触媒を含まないため、塗布装置に対するダメージを抑えることができる。酸触媒を用いた場合には、酸触媒が塗布装置の金属部分にダメージを与える。
また、本発明の低屈折率組成物は、溶媒として水ではなくアルコール類、ケトン類を有機溶媒として用いるため、組成物の長時間貯蔵安定性が高い。また、塗工適性を向上させることができる。なお、有機溶媒として用いられるアルコール類、ケトン類は吸水性を示し少量の水を含むことができ、アルコキシシランを加水分解することができる。
また、本発明の低屈折率組成物は、溶媒として水ではなくアルコール類、ケトン類を有機溶媒として用いるため、組成物の長時間貯蔵安定性が高い。また、塗工適性を向上させることができる。なお、有機溶媒として用いられるアルコール類、ケトン類は吸水性を示し少量の水を含むことができ、アルコキシシランを加水分解することができる。
形成される低屈折率層の屈折率は膜厚、使用した成分種類、シリカ前駆体、シリカ粒子の有機溶媒分散液の割合などによって変動する。光を垂直で入射する時に、低屈折率層単層では入射波長において、膜厚=1/4波長で与えられる条件が満たされる時に反射率が最低になる。
通常は人間の視感度の高い550nm前後の波長で最低値になるように設計するために、この時の膜厚は100nm前後になることが好ましい。薄膜の空隙率が高くなると屈折率が下がる。このために、収縮率の差に加えて、多孔性シリカ粒子の割合が高い方が好ましく、特に該シリカ粒子の割合が7〜9割であることが好ましい。さらに、多量の溶剤の蒸発により、多数の気孔を含むことになり、薄膜の屈折率が低下するために、(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液中、シリカ粒子は0.5〜5.0重量%の割合で含まれることが好ましい。
通常は人間の視感度の高い550nm前後の波長で最低値になるように設計するために、この時の膜厚は100nm前後になることが好ましい。薄膜の空隙率が高くなると屈折率が下がる。このために、収縮率の差に加えて、多孔性シリカ粒子の割合が高い方が好ましく、特に該シリカ粒子の割合が7〜9割であることが好ましい。さらに、多量の溶剤の蒸発により、多数の気孔を含むことになり、薄膜の屈折率が低下するために、(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液中、シリカ粒子は0.5〜5.0重量%の割合で含まれることが好ましい。
また、本発明の低屈折率組成物中には、汚染防止剤を混入させても良い。汚染防止剤を用いることで、反射防止材としてディスプレイの前面に設けた時に、汚れなどから保護または汚れが付着した際に容易に除去することができる。
汚染防止剤としては、特に限定はしないが、フッ素および珪素を含む化合物などを含む組成物を好適に用いることができる。
特に、パーフルオロ基を有するアルコキシシラン化合物などが挙げられる。
汚染防止剤としては、特に限定はしないが、フッ素および珪素を含む化合物などを含む組成物を好適に用いることができる。
特に、パーフルオロ基を有するアルコキシシラン化合物などが挙げられる。
本発明では、前述の低屈折率組成物を基材上に塗布し、低屈折率層を形成することで反射防止材とすることができる。
基材としては、透明であることが好ましい。このようなものとしては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリル(PMMA)、ナイロン(Ny)、ポリエテルサルフォン(PES)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリポロピレン(PP)などのプラスチックフィルム系基材、ガラス基材などが挙げられる。
なお、LCDの表面に用いる反射防止材とする場合は、光学特性の点でTACフィルムを用いることが好ましい。
なお、LCDの表面に用いる反射防止材とする場合は、光学特性の点でTACフィルムを用いることが好ましい。
プラスチックフィルム系基材を構成する有機高分子に、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤等を含有させたものも使用することができる。また、このフィルム系基材としては、単層、あるいは、複数の有機高分子積層したものでも良い。また、その厚みは特に限定されるものではないが、50〜200μmが好ましい。
また、前記基材と低屈折率層の間にハードコート層を設けても良い。
ハードコート層としては、透明性が高く、反射防止材の表面硬度、機械強度を向上させるものであれば特に限定するものではなく、公知のものを用いることができる。
ハードコート層としては、透明性が高く、反射防止材の表面硬度、機械強度を向上させるものであれば特に限定するものではなく、公知のものを用いることができる。
ハードコート層は電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に紫外線硬化型であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のアクリル系や、有機珪素系の樹脂、熱硬化型のポリシロキサン樹脂等が好適である。膜厚は3〜20μmの範囲であれば十分な機械強度が発現するが、透明性、塗工精度、取り扱いから、より望ましくは5〜15μmの範囲が好ましい。
また、ハードコート層は防眩性、帯電防止性などの機能を持たせるため、機能性の添加剤を加えても良い。
防眩性を持たせるためには、例えば粒径0.1〜10μm程度のアクリル樹脂粒子やシリカ粒子などを用いることができる。
また、帯電防止性を持たせるためには、酸化亜鉛系粒子、スズ-インジウム複合酸化物(ITO)粒子、酸化スズ系粒子、酸化アンチモン系粒子などの導電性粒子を用いることができる。
防眩性を持たせるためには、例えば粒径0.1〜10μm程度のアクリル樹脂粒子やシリカ粒子などを用いることができる。
また、帯電防止性を持たせるためには、酸化亜鉛系粒子、スズ-インジウム複合酸化物(ITO)粒子、酸化スズ系粒子、酸化アンチモン系粒子などの導電性粒子を用いることができる。
このようにして得られた反射防止材は、LCD、CRT、PDP、ELなどの各種ディスプレイの前面に貼り合わせて用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
実施例1
(透明なシリカ前駆体の調製)
密閉ガラス容器中で、0.05molテトラエトキシラン、イソプロピルアルコール20.0g、0.0025mol金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムを混合し、1日間あるいは50℃で3時間攪拌した。得られた液体を5000rpmで10分間遠心分離、上澄み液を取り透明なシリカ前駆体を得た。
(透明なシリカ前駆体の調製)
密閉ガラス容器中で、0.05molテトラエトキシラン、イソプロピルアルコール20.0g、0.0025mol金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムを混合し、1日間あるいは50℃で3時間攪拌した。得られた液体を5000rpmで10分間遠心分離、上澄み液を取り透明なシリカ前駆体を得た。
(シリカ分散液の前処理)
20.0gシリカ分散液(住友大阪セメント株式会社のナノポーラスシリカ(溶媒:イソプロピルアルコール))を5000rpmで10分間遠心分離して、上澄みを取って17.0g分散液を得た。
20.0gシリカ分散液(住友大阪セメント株式会社のナノポーラスシリカ(溶媒:イソプロピルアルコール))を5000rpmで10分間遠心分離して、上澄みを取って17.0g分散液を得た。
(低屈折率組成物の調製)
密閉ガラス容器中で、前記透明なシリカ前駆体2.0g、前記シリカ分散液1.5gおよび溶剤イソプロピルアルコール6.0gを混合し、2時間攪拌し、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物は安定であり、1週間放置しても、沈殿物は析出しなかった。
密閉ガラス容器中で、前記透明なシリカ前駆体2.0g、前記シリカ分散液1.5gおよび溶剤イソプロピルアルコール6.0gを混合し、2時間攪拌し、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物は安定であり、1週間放置しても、沈殿物は析出しなかった。
(反射防止材の形成)
得られた組成物をトリアセチルセルロースフィルム基材(富士フィルム株式会社製)表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。なお、得られた低屈折率層の膜厚は0.14μmであった。
得られた組成物をトリアセチルセルロースフィルム基材(富士フィルム株式会社製)表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。なお、得られた低屈折率層の膜厚は0.14μmであった。
次に得られた反射防止材の入射角8°での絶対反射率を測定した。絶対反射率は(株)島津製作所製UV−Vis分光光度計UV−2400を用いて入射角8°で測定した。
測定した結果、560nmにおいて最小反射率を示し、低屈折率層がない場合に4.3%であったものが、0.7%に抑制された。またその低屈折率層の屈折率は1.34であった。
なお、この時の波長分散を図1に表す。
測定した結果、560nmにおいて最小反射率を示し、低屈折率層がない場合に4.3%であったものが、0.7%に抑制された。またその低屈折率層の屈折率は1.34であった。
なお、この時の波長分散を図1に表す。
スチールウール耐傷性(S W 強度) 評価ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件: 25℃ 、60%RH
こすり材: 試料と接触するテスターのこすり先端部( 1 cm × 1 cm )にスチールウール(日本スチールウール製、N o .0000 )を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道) : 13 cm 、こすり速度: 13 cm/秒、荷重: 250 g〜1kg/cm2 、先端部接触面積: 1 cm × 1 cm 、こすり回数: 10 往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを黒塗り、40 W の三波長蛍光灯下約10 cmのところで反射光で角度を変えて目視で評価した。こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎ : 非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○ : 非常に注意深く見ると僅かに弱い傷1〜3本までが見えるが実用上問題ない。
△ : 弱い傷5本以上が見える。
△ × : 中程度の傷あるいは弱い傷15本以上が見える。
× : 一目見ただけで分かる傷がある。
測定した結果、250g、500g/cm2荷重下で、◎であり、1kg/cm2の場合で、○である(表1)。
評価環境条件: 25℃ 、60%RH
こすり材: 試料と接触するテスターのこすり先端部( 1 cm × 1 cm )にスチールウール(日本スチールウール製、N o .0000 )を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道) : 13 cm 、こすり速度: 13 cm/秒、荷重: 250 g〜1kg/cm2 、先端部接触面積: 1 cm × 1 cm 、こすり回数: 10 往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを黒塗り、40 W の三波長蛍光灯下約10 cmのところで反射光で角度を変えて目視で評価した。こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎ : 非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○ : 非常に注意深く見ると僅かに弱い傷1〜3本までが見えるが実用上問題ない。
△ : 弱い傷5本以上が見える。
△ × : 中程度の傷あるいは弱い傷15本以上が見える。
× : 一目見ただけで分かる傷がある。
測定した結果、250g、500g/cm2荷重下で、◎であり、1kg/cm2の場合で、○である(表1)。
比較例1
実施例1において、金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例1同様に操作し低屈折率組成物を得た。
該低屈折率組成物の上澄みを取ってTAC表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。
得られた反射防止材の入射角8°での絶対反射率測定を実施例1と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%になり、低屈折率層の屈折率が1.35であった。スチールウール耐傷性は500g/cm2荷重下で、○であり、1kg/cm2の場合で、△である(表1)。
実施例1において、金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例1同様に操作し低屈折率組成物を得た。
該低屈折率組成物の上澄みを取ってTAC表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥、固定し、低屈折率層を形成し、反射防止材を得た。
得られた反射防止材の入射角8°での絶対反射率測定を実施例1と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%になり、低屈折率層の屈折率が1.35であった。スチールウール耐傷性は500g/cm2荷重下で、○であり、1kg/cm2の場合で、△である(表1)。
実施例2
実施例1において、シリカ粒子分散液として、日産化学工業株式会社製IPA−ST(溶媒:イソプロピルアルコール)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物溶液は1週間放置しても、沈殿物の析出がなかった。
その後実施例1と同様の操作で反射防止材を得て、入射角8°での絶対反射率測定を実施例1と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は500g、1Kg/cm2荷重下で、◎である(表1)。
実施例1において、シリカ粒子分散液として、日産化学工業株式会社製IPA−ST(溶媒:イソプロピルアルコール)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。該低屈折率組成物溶液は1週間放置しても、沈殿物の析出がなかった。
その後実施例1と同様の操作で反射防止材を得て、入射角8°での絶対反射率測定を実施例1と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は500g、1Kg/cm2荷重下で、◎である(表1)。
比較例2
実施例2において金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。
その後実施例2と同様の操作で反射防止材を得て、入射角8°での絶対反射率測定を実施例2と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は500g/cm2荷重下で、○であり、1Kg/cm2の場合で、△である(表1)。
実施例2において金属キレートジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウムの代わりに、1.0N HClを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。
その後実施例2と同様の操作で反射防止材を得て、入射角8°での絶対反射率測定を実施例2と同様に測定したところ、560nmにおいて最小反射率を示し、0.8%に抑制され、その低屈折率層の屈折率は1.35であった。スチールウール耐傷性は500g/cm2荷重下で、○であり、1Kg/cm2の場合で、△である(表1)。
比較例3
実施例2において有機溶剤イソプロピルアルコールの代わりに、トルエンを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。
該低屈折率組成物の上澄みを取ってTAC表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥した結果、反射防止材を作製できなかった。その理由はトルエン中で含まれる水分が不足であり、テトラエトキシランの加水分解反応は不十分である。そのために、該低屈折率組成物の成膜性が悪いと考えられる。
実施例2において有機溶剤イソプロピルアルコールの代わりに、トルエンを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、低屈折率組成物を得た。
該低屈折率組成物の上澄みを取ってTAC表面に1.5ml滴下し、室温にスピンコート法により、3000rpmの回転下で成膜した。120℃で5分乾燥した結果、反射防止材を作製できなかった。その理由はトルエン中で含まれる水分が不足であり、テトラエトキシランの加水分解反応は不十分である。そのために、該低屈折率組成物の成膜性が悪いと考えられる。
Claims (7)
- (1)少なくとも1種の加水分解可能な官能基を2個以上有する下記一般式1で表されるアルコキシシランを有機溶媒中で金属キレート化合物と混合させて得られたシリカ前駆体および(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液を混合してなる低屈折率組成物であって、前記有機溶媒が、アルコール類およびケトン類から選択された少なくとも1種からなることを特徴とする低屈折率組成物。
一般式1:RmSi(OR1)n
(一般式1中、Rは有機基を表し、R1は加水分解可能官能基を表し、mは0〜2の整数を表し、nは2〜4の整数を表す。) - 前記金属キレート化合物が、一般式R3OH(式中、R3は炭素1〜8のアルキル基を表す。)および/またはR4COCH2COR5(式中、R4は炭素1〜8のアルキル基を表し、R5は炭素1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を表す。)で表される化合物を配位子としたAl、Ti、ZrおよびSnから選択された金属を中心金属とする少なくとも1種類の金属キレート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率組成物。
- 前記(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液が、粒径15〜80nmのシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の低屈折率組成物。
- 前記(2)シリカ粒子の有機溶媒分散液中、シリカ粒子が0.5〜5.0重量%含まれ、かつ、前記金属キレート化合物が、前記シリカ粒子に対して0.5〜10.0重量%含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低屈折率組成物。
- 基材上に、請求項1〜3のいずれかに記載の低屈折率組成物を塗布し、加熱し、屈折率1.2〜1.4の範囲内の低屈折率層を形成してなることを特徴とする反射防止材。
- 前記基材と低屈折率層との間にハードコート層を有することを特徴とする請求項5に記載の反射防止材。
- 請求項5または6に記載の反射防止材を表面に設けたことを特徴とするディスプレイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007275200A JP2009102508A (ja) | 2007-10-23 | 2007-10-23 | 低屈折率組成物および反射防止材ならびにディスプレイ |
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JP2007275200A JP2009102508A (ja) | 2007-10-23 | 2007-10-23 | 低屈折率組成物および反射防止材ならびにディスプレイ |
Publications (1)
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JP2009102508A true JP2009102508A (ja) | 2009-05-14 |
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JP2007275200A Pending JP2009102508A (ja) | 2007-10-23 | 2007-10-23 | 低屈折率組成物および反射防止材ならびにディスプレイ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010168508A (ja) * | 2009-01-26 | 2010-08-05 | Toppan Printing Co Ltd | 低屈折率組成物および反射防止材ならびにディスプレイ |
-
2007
- 2007-10-23 JP JP2007275200A patent/JP2009102508A/ja active Pending
Cited By (1)
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