JP2010167835A - 軸箱支持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連結手段60を、軸箱側部材70と、軸箱側部材70に対して車両の進行方向に相対変位可能に接続された台車側部材80と、軸箱側部材70と台車側部材側80とを接近させる圧縮力を発生する戻しバネ100と、軸箱側部材70と台車側部材80とを離間させる伸張力を発生する空気バネ110と、車両の曲線走行時に空気バネ110に所定の内圧を供給して空気バネ110の伸張力Fpを増大する空気バネ制御手段とから構成し、空気バネ制御手段が空気バネ110に供給する内圧を制限するようにする。
【選択図】図2
Description
ところが、このような曲線走行時においては車輪の転走方向が曲線の接触方向と一致しておらず、このため車輪フランジとレールの車輪フランジ接触面との間にはアタックアングルと称する角度が生じ、これに起因する応力と車両の遠心力のため車輪とレール間には横圧が発生する。
この装置においては、車両の曲線走行時に、外軌側の軸箱の移動装置には前輪‐後輪間の距離を伸張させる操舵指令が入力され、内軌側の軸箱の移動装置には前輪‐後輪間の距離を短縮させる操舵指令が入力される。これによって車輪の転向方向が曲線の接線方向に接近して横圧の低減を図ることができる。
この軸箱支持装置によれば、車両の直線走行時においては戻しバネにより軸箱側部材と台車側部材とが接近して引張荷重に対する剛性が増大し、走行安定性の向上が図られる。また、車両の曲線走行時においては外軌側の空気バネの内圧を増大させる操舵指令が制御手段より入力されることで、軸箱側部材と台車側部材との距離が離間して輪軸の操舵を行うことができる。さらにこの際、連結手段の剛性が低下することで該連結手段がより伸張し易くなるため、輪軸の操舵を一層円滑に行うことができ、曲線通過性能を向上させることが可能となる。
即ち、本発明に係る軸箱支持装置は、鉄道車両用台車の前輪及び後輪の輪軸両端部に設けられる軸箱を、車両の進行方向に沿って延在する連結手段によって該台車の台車枠に対してそれぞれ支持する軸箱支持装置であって、前記連結手段は、前記軸箱に取り付けられる軸箱側部材と、前記台車枠に取り付けられ、前記軸箱側部材に対して前記車両の進行方向に相対変位可能に接続された台車側部材と、前記軸箱側部材と前記台車側部材との間に設けられ、これら軸箱側部材と台車側部材とを接近させる圧縮力Fsを発生する戻しバネと、前記軸箱側部材と前記台車側部材との間に設けられ、供給される内圧に応じてこれら軸箱側部材と台車側部材とを離間させる伸張力Fpを発生する空気バネと、前記車両の曲線走行時に、少なくとも外軌側の前記空気バネに所定の内圧を供給して該空気バネの伸張力Fpを増大する空気バネ制御手段とを備え、該空気バネ制御手段が、内軌側を走行する前輪がレールから受ける車両進行方向に沿った外力Finに対して、
本発明の支軸箱支持装置においては、前輪側における外軌側及び内軌側のそれぞれの空気バネの伸張力Fpが、戻しバネによる圧縮力Fsと内軌側の前輪がレールから受ける外力Finとの和以下となるように、それぞれの空気バネに供給される内圧が制限されることから、逆操舵の指令が入力された場合であっても前輪側の連結手段が上記圧縮力に逆らって伸張することはない。よって、逆操舵の場合における横圧の発生を防止することができる。
これを踏まえて、本発明の軸箱支持装置においては、前輪側の空気バネによる伸張力Fpが後輪側に比べて小さくされていることから、その分だけ供給する内圧を低減させてエネルギーの効率化を図ることができる。
図1は実施形態に係る軸箱支持装置を備えた鉄道車両用台車の側面図、図2は実施形態に係る軸箱支持装置の側断面図である。
なお、以下の説明では、通常の鉄道車両技術と同様に、レールの長手方向(車両の進行方向)を前後方向、軌道面におけるレール長手方向と直交する方向を左右方向(車幅方向)、軌道面に垂直な鉛直方向を上下方向と称する。
また、軸箱40は、輪軸30の車軸32の両端部にそれぞれ設けられて該輪軸30を回動可能に支持するものであって、車軸32をその軸線回りに回転可能に支持する軸受、該軸受を収容する軸箱体、及び潤滑装置等を備えて構成されている。
また、ダンパ52は、軸箱40の側部と台車枠10との間に設けられており、軸箱40が台車枠10に対して上下方向に変位した際に減衰力を発生させて振動を低減させるものである。
この円筒ゴムブッシュ90は、円筒状に形成された外筒及び内筒を備え、内筒は外筒の内径側に挿入されている。そして、外筒の内周面と内筒の外周面との間隔には、例えばゴム系の弾性材料が充填され、外筒及び内筒とそれぞれ加硫接着によって接合されている。そして、円筒ゴムブッシュ90の外筒が台車側部材80の外筒81の内径側に圧入されるとともに、該円筒ゴムブッシュ90の内筒に軸箱側部材70の軸部71が挿入されている。なお、本実施形態においてはこのような円筒ゴムブッシュ90が2つが軸線O方向に直列に並べて設けられている。
このようにして円筒ゴムブッシュ90は、主にゴム部が弾性変形することによって、軸箱側部材70の軸部71が台車側部材80の外筒81に対して軸線O方向、即ち前後方向に移動可能とされている。
このようにして戻しバネ100は、その内径側に保持ボルト101が挿入され、一方の端部は戻しバネ座85と当接するとともに他方の端部は保持ボルト101の頭部に係止され、これらの間で圧縮状態で保持されている。
これによって、連結手段60に引張方向の外力が実質的に作用しない場合もしくは直線走行時の輪軸蛇行動等によって入力される程度の比較的小さな引張荷重が作用した場合には、外筒81の軸箱40側の端部がフランジ72と当接し、連結手段60の長さは最も圧縮された状態である基本長に維持される。即ち、戻しバネ100による圧縮方向の付勢力から空気バネ110による伸長方向の付勢力を減じた値は、直線走行時に作用する最大引張力よりも常に大きい状態となる。
したがって、直線走行時においては、連結手段60の引張荷重に対する剛性(輪軸30の前後方向支持剛性)を大きくして輪軸30の蛇行等を防止し、直線走行時の走行安定性を確保することが可能となる。
このような内圧の供給は、例えば、車両の空気溜めから空気バネ110に圧縮空気を供給する管路の途中に、比例制御弁を設けることによって容易に実行することができる。
なお、車両の曲線走行の検出は、例えば、車体にヨーレートセンサや横Gセンサを設けて、その出力に基づいて行うことができる。このとき、これらの出力と車両の走行速度とに基づいて曲線の曲率を求め、曲率が小さくなるのに応じて空気バネ110の内圧の増加量を大きくしてもよい。また、車両が走行する路線の曲線データを予め保持し、自車の走行位置と曲線データを対比して曲線走行を検出するようにしてもよい。
曲線走行時において、4つの車輪31のうち外軌側の前輪31aには、車両進行方向前方へ向かっての外力Fout、即ち、前輪31aを台車側部材80から離間させる方向への外力Foutがレールから与えられる。
一方、内軌側の前輪31bには、車両進行方向後方へ向かっての外力Fin、即ち、前輪31bを台車側部材80に接近させる方向への外力Finがレールから与えられる。
外軌側の前輪31aについて図4(a)を参照して説明すると、この前輪31aに与えられた外力Foutは軸箱側部材70に対して同様の大きさの引張荷重として作用する。また、戻しバネ100によって軸箱側部材70と台車側部材80とを接近させる圧縮力Fsが作用し、さらに、空気バネ110によって軸箱側部材70と台車側部材80とを離間させる伸張力Fpが作用する。そして、曲線走行時においては空気バネ制御装置の操舵指令により空気バネ110に内圧が供給されて、空気バネによる伸張力Fpが徐々に大きくなる。そして、
さらに、空気バネ110が伸張することで該空気バネ110のバネ定数が大きくなると連結手段60の引張荷重に対する剛性が低下する。これによって、該連結手段60が伸張し易くなるため、輪軸30の操舵をより円滑に行って曲線通過性能を一層向上させることができる。
この場合、図4(b)に示すように、レールより車輪に与えられた外力Finに起因する圧縮荷重、戻しバネ100による圧縮力Fs、そして空気バネ110による伸張力Fpが作用する。そして、空気バネ110による伸張力Fpがレールより受ける外力Finと戻しバネ100による圧縮力Fsとの和よりも大きくなった場合、即ち、
まず、空気バネ制御装置は、車両が曲線走行である否か、即ち、車両が走行する軌道が曲線であるか直線であるかを検出する(ステップS1)。この検出方法は上述の通りである。
そして、制御状態が安定するまでステップS1〜S4が繰り返されることによって、曲線走行時の横圧の発生が防止されるとともに逆操舵時の極端な横圧の増加が防止される。
よって、本実施形態の軸箱支持装置50において、前輪31a、31b側の空気バネ110による伸張力Fpを後輪31側に比べて小さくすることで、その分だけ供給する内圧を低減させてエネルギーの効率化を図ることができる。
例えば、実施形態においては、逆操舵の場合であっても横圧の増加を防止することができる旨説明したが、これに限定されることはなく、例えば、より単純に、通常時から内軌側及び外軌側の空気バネ110に同時に内圧が供給される構成としてもよい。これによって、外軌側においては、レールから受ける外力Foutのサポートを受けて容易に伸張して操舵が行われる一方、内軌側においては、レールから受ける外力Foutによって伸長が抑制されて連結手段60は圧縮状態が維持される。これによっても、横圧を極端に大きくすることなく、車両の曲線走行性を向上させることが可能となる。なお、この場合であっても空気バネ110による伸張力Fpの最大値を上記同様制限することが、横圧の極端な増加を防止するための必須の要件となる。
具体的には図3に示すような2つの輪軸30を備えて4つの車輪31(前輪31a、31b、後輪31c、31d)のそれぞれに軸箱支持装置50が搭載された台車1が、R400の左曲線を速度65km/hで走行する場合について、操舵、逆操舵の指令を入力した際の連結手段60の伸び及び横圧を測定した。
まず、図6(a)の左側の山に示すように外軌側前輪31aのみを操舵した場合には、(b)に示すように供給内圧の増加とともに連結手段60の伸びが大きくなり内圧が500kPaの段階で最大となる。また、(c)に示すように供給内圧の増加及び連結手段60の伸びに伴って横圧が小さくなるが、内圧が300kPaの段階で横圧が最小となる。
よって、外軌側前輪31aのみを操舵した場合、比較的小さな内圧を空気バネ110に供給する動作をもって横圧を効果的に低減することが可能なことが分かった。
この結果を見ると、図7(b)に示すように外軌側前輪31aの連結手段60と外軌側前輪31bの連結手段60とがともに内圧の増加とともに伸びており、この際の外軌側前輪31a及び内軌側前輪31bの横圧は、図7(c)に示すように大きく低減されている。
よって、外軌側の前輪31aと後輪31cとを同時に操舵することにより極めて高い横圧低減効果を得ることができ、さらにこの効果は外軌側の前輪31aの空気バネ110の内圧を低く設定した場合であっても得ることができることが確認された。これによって、内圧の供給エネルギーの低減を図ることができることがわかった。
10 台車枠
20 台車空気バネ
30 輪軸
31 車輪
31a 前輪
31b 前輪
31c 後輪
31d 後輪
32 車軸
40 軸箱
50 軸箱支持装置
60 連結手段
70 軸箱側部材
80 台車側部材
86 空気供給孔
100 戻しバネ
110 空気バネ
Claims (2)
- 鉄道車両用台車の前輪及び後輪の輪軸両端部に設けられる軸箱を、車両の進行方向に沿って延在する連結手段によって該台車の台車枠に対してそれぞれ支持する軸箱支持装置であって、
前記連結手段は、
前記軸箱に取り付けられる軸箱側部材と、
前記台車枠に取り付けられ、前記軸箱側部材に対して前記車両の進行方向に相対変位可能に接続された台車側部材と、
前記軸箱側部材と前記台車側部材との間に設けられ、これら軸箱側部材と台車側部材とを接近させる圧縮力Fsを発生する戻しバネと、
前記軸箱側部材と前記台車側部材との間に設けられ、供給される内圧に応じてこれら軸箱側部材と台車側部材とを離間させる伸張力Fpを発生する空気バネと、
前記車両の曲線走行時に、少なくとも外軌側の前記空気バネに所定の内圧を供給して該空気バネの伸張力Fpを増大する空気バネ制御手段とを備え、
該空気バネ制御手段が、内軌側を走行する前輪がレールから受ける車両進行方向に沿った外力Finに対して、
- 前記空気バネによる伸張力Fpが後輪側に比べて前輪側において小さくなるように、前記空気バネ制御手段が前記空気バネに前記内圧を供給することを特徴とする軸箱支持装置。
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