JP2005041439A - 鉄道車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低コストで高速走行時の蛇行動を抑制できる鉄道車両を提供する。
【解決手段】 異常検出装置がヨーダンパの異常を検出した場合に、左右動ダンパの減衰係数が増加するように前記減衰係数調節装置を制御する。これによれば、ヨーダンパの異常が検知されると、左右動ダンパの減衰係数が増加する。このため、台車の蛇行動限界速度が向上される。このため、ヨーダンパの異常が発生した場合でも、台車を高速で走行させることができる。また、ヨーダンパに異常が検出されない場合には、左右動ダンパの減衰係数が不必要に高くなることがないので、通常走行時の乗り心地を悪化させることがない。
【選択図】 図4

Description

本発明は、鉄道車両に関する。
新幹線車両等の高速鉄道車両においては、走行時に台車の蛇行動が発生する可能性があるため、これを抑止すべく車体と台車との間に設けられ車体の進行方向に延在するヨーダンパを備えることが多い。そして、このヨーダンパによって台車の回転(ヨー)運動が効率よく減衰されるので、台車が蛇行動を開始する速度である蛇行動限界速度が最高速度よりも十分高くされている。
また、ヨーダンパが一本故障しても蛇行動が起こらないように、ヨーダンパが一つの台車あたりに複数設けられることが多く、例えば、現在の新幹線車両では、一つの台車の両側面に一つづつヨーダンパが設けられている。
さらなる鉄道車両の高速化を実現する場合、ヨーダンパが一本故障してもその高速化された速度において蛇行動が起こらないようにすることが必要である。そして、例えば、ヨーダンパの本数を、4本程度まで増やすことで、ヨーダンパが一本故障した場合でも、蛇行動限界速度が高速化された営業速度より十分高く維持されるようにすることが考えられている。
しかしながら、ヨーダンパの本数が増えると、ヨーダンパの取り付けが困難となると共に部品点数が増加し、イニシャルコストやメンテナンスコストが高くなり好ましくない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低コストで高速走行時の蛇行動を抑制できる鉄道車両を提供することを目的とする。
本発明に係る鉄道車両は、車体と、車体を支持する台車と、車体と台車との間に設けられたヨーダンパと、車体と台車との間に設けられた左右動ダンパと、左右動ダンパの減衰係数を調節する減衰係数調節手段と、ヨーダンパの異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段がヨーダンパの異常を検出した場合に、左右動ダンパの減衰係数が増加するように減衰係数調節手段を制御する制御手段と、を備える。
これによれば、ヨーダンパの異常が検知されると、左右動ダンパの減衰係数が増加する。このため、左右動ダンパによって台車の蛇行動を抑制する効果が高まり、台車の蛇行動限界速度が向上される。したがって、ヨーダンパの異常が発生した場合でも、台車を高速で走行させることができる。また、ヨーダンパに異常が検出されない場合には、左右動ダンパの減衰係数が不必要に高くなることがないので、通常走行時の乗り心地を悪化させることがない。
ここで、制御手段は、異常検出手段がヨーダンパの異常を検出した場合に、左右動ダンパの減衰係数が1倍を超えて3.5倍までの範囲内で増加するように減衰係数調節手段を制御することが好ましい。
このような範囲で減衰係数を増加させると、蛇行動限界速度を十分に引き上げることができる。特に、左右動ダンパの減衰係数が1.5倍から3.5倍までの範囲内で増加するように減衰係数調節手段を制御すると、蛇行動限界速度をより一層引き上げることができて好ましい。
また、鉄道車両が走行する際に前記走行に対してあらかじめ定められた最高速度を取得する最高速度取得手段と、前記最高速度に基づいて、制御手段による減衰係数調整手段の制御の要否を判断する制御要否判断手段と、をさらに有することが好ましい。
これによれば、前記最高速度が十分低速であり、ヨーダンパが一本故障しても蛇行動が発生するおそれがない走行を行っている場合には、ヨーダンパが故障した場合でも、左右動ダンパの減衰係数を増加させないようにすることができ、不要な左右動ダンパの減衰係数の増加によって乗り心地が悪化することがない。
本発明によれば、低コストで高速走行時の蛇行動を抑制できる鉄道車両が提供される。
本発明の第一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る鉄道車両の概略側面図、図2は、図1の台車並びに車体の中心ピン及び取り付け部材の上面図、図3は図2のIII−III矢視図である。
本実施形態に係る鉄道車両100は、図1に示すように、主として、走行装置である台車10と、台車10上に配設される車体5と、減衰係数制御コンピュータ90と、を備えている。
台車10は、図2に示すように、上方から見て略H字形状をなす台車枠19を備えている。この台車枠19の進行方向端部には、図1〜図3に示すように、車輪30を固定している輪軸34を回転自在に支持するための軸箱36が取り付けられている。
この軸箱36と台車枠19との間には、図1に示すように、軸ばね24及び軸ダンパ25が配置され、台車枠19の上部には、図1〜3に示すように、車体5を支持する空気ばね12が車体幅方向に一対設けられている。
また、図2に示すように、輪軸34には歯車装置41が接続され、歯車装置41には主電動機42が接続されている。
そして、この台車10は、図3に示すように、車体5に設けられ下方に垂下する中心ピン16に対してリンク20により連結されている。リンク20は、ゴムブッシュ等を備えており、台車10は、中心ピン16すなわち車体5に対して、車体5の幅方向に所定幅移動可能となっており、さらに、台車10は、中心ピン16の軸周りを所定角度回動可能となっている。
また、台車10の両側面には、図1〜図3に示すように、鉄道車両100の進行方向に延在するヨーダンパ50、50が各々設けられている。ヨーダンパ50,50の一端は、図1及び図3に示すように、台車枠19の側面に連結されている一方、ヨーダンパ50の他端は、図1及び図2に示すように、車体5の底面から垂下する取付部材14と連結されている。このヨーダンパ50は、主として、中心ピン16周りの台車10の回動(ヨー)運動を減衰させる。
さらに、図2に示すように、中心ピン16を挟んで台車10の進行方向両側には、各々車体幅方向に延在すると共に減衰係数調節装置69を有する左右動ダンパ60,60を備えている。
左右動ダンパ60,60は、各々の一端が台車枠19と連結されている共に、各々の他端が車体5の中心ピン16に連結されている(図3参照)。
この左右動ダンパ60,60は、主として、車体5と台車10との間の車体幅方向の相対運動、すなわち、左右動運動を各々減衰させる。
左右動ダンパ60は、図4に示すように、いわゆるオイルダンパであり、オイル(不図示)が封入された円筒状のシリンダ61内に、シリンダ61の軸方向に貫通する小孔63が形成されたピストン62が設けられてなるものである。また、このシリンダ61には、シリンダ61の一端側と他端側とを連通するバイパス経路65が設けられており、このバイパス経路65には、通電時に開となり、非通電時に閉となる電磁弁67が設けられている。ここで、バイパス経路65及び電磁弁67が減衰係数調節装置(減衰係数調節手段)69を構成している。
この減衰係数調節装置69の電磁弁67は、車体5に設けられた減衰係数制御コンピュータ90の制御部97(詳しくは後述)と各々接続されており、通常は、通電によって開とされる一方、所定の条件で閉とされてオイルの流路が狭くなるように制御されている。電磁弁67が閉となる場合、電磁弁67が開となっている場合に比べてオイルの流路が狭くなりピストン62が動いたときのピストン62に対する抵抗が大きくなるので、左右動ダンパ60の減衰係数を増加させることが可能となっている。
また、台車10には、図1に示すように、加速度センサ80が設けられている。この加速度センサ80は、台車10の蛇行動の発生を検出するためのものであり、例えば、車体幅方向の加速度を検出する。
続いて、減衰係数制御コンピュータ90について図5を用いて、詳しく説明する。図5は、減衰係数制御コンピュータ90の機能を示すブロック図と、この減衰係数制御コンピュータ90と台車10との接続関係とを示す概略図である。ここで、図16中の黒丸は車体5との機械的接続部を示している。
減衰係数制御コンピュータ90は、加速度取得部91、異常検出部(異常検出手段)93、加速度閾値格納部94、制御部(制御手段)97、列車番号設定部101、最高速度取得部(最高速度取得手段)103、最高速度データベース102、制御要否判定部(制御要否判定手段)105、速度閾値格納部104の機能を発揮するコンピュータ装置であり、最高速度に基づいて左右動ダンパ60の制御が必要か否かを判断し、制御が必要な場合には、ヨーダンパ50の故障を検出して左右動ダンパ60,60の減衰係数を制御する。
列車番号設定部101は、あらかじめ、運転手等からの入力により、鉄道運行ダイヤにおける当該鉄道車両の運行に対して割り当てられた列車番号が格納される。
最高速度データベース102は、列車番号と、この列車番号に対応する運行に対して定められている最高速度とがあらかじめ記憶されたデータベースである。ここで、最高速度とは、車両の性能に基づく車両固有の最高速度ではなく、運行の都合によって定められる最高速度である。例えば、新幹線車両であれば、「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」のいずれの種別として運転されるか等によって列車番号毎にあらかじめ定められている。
最高速度取得部103は、列車番号設定部101に格納された列車番号を取得し、この列車番号に基づいて最高速度データベース102を参照して、この列車番号に対応する鉄道車両の運行における最高速度を取得する。
速度閾値格納部104は、左右動ダンパ60の制御が必要か否かの最高速度の閾値が格納されている。この最高速度の閾値は、例えば、ヨーダンパ50が一本故障したときの蛇行動開始速度にほぼ対応するように設定される。ヨーダンパ50が一本故障したとしてもその状態での蛇行動開始速度が、最高速度よりも十分高ければ、左右動ダンパ60の制御は不要だからである。
そして、制御要否判定部105は、最高速度取得部103が取得した最高速度と、速度閾値格納部104に格納された速度閾値とを比較し、左右動ダンパ60の制御が必要か否かを判断する。具体的には、例えば、取得された最高速度が、速度閾値を超えている場合には、左右動ダンパ60の制御が必要であると判断する一方、最高速度が速度閾値を超えていない場合には、左右動ダンパ60の制御は不要であると判定する。そして、制御要否判定部105は、判断結果を加速度取得部91に通知する。
加速度取得部91は、加速度センサ80と接続されている。そして、加速度取得部91は、制御要否判定部105から左右動ダンパ60の制御を要する旨の通知を受けると台車の車体幅方向の加速度の経時データを加速度センサ80から取得する。これに対して、加速度取得部91は、制御要否判定部105から制御不要の通知を受けた場合、加速度の取得を特に行わない。
加速度閾値格納部94は、あらかじめ定められた加速度の閾値が格納されている。この加速度閾値は、何れか一方のヨーダンパ50の減衰係数がほぼ0%程度になるまで低下した場合に生じる最大加速度に対応するように設定されていることが好ましい。ヨーダンパの減衰係数が正常時の50%程度まで低下した程度では、蛇行動限界速度がほとんど低下しない場合が多く、減衰係数の制御が不要となる場合が多いからである。
異常検出部93は、加速度取得部91が取得した加速度データと、加速度閾値格納部94に格納された加速度閾値とに基づいて、ヨーダンパ50の故障を検出する。例えば、検出された加速度が加速度閾値を超えた場合に、ヨーダンパ50が故障したと判定することができる。また、検出された加速度が、定められた時間内に所定回数、加速度閾値を超えた場合にヨーダンパ50の故障と判定しても良い。異常検出部93は、ヨーダンパ50が故障したことを検出すると、制御部97にその旨の情報を送信する。
ここで、加速度取得部91、異常検出部93、加速度閾値格納部94、及び加速度センサ80が異常検出装置(異常検出手段)95を構成している。
制御部97は、異常検出部93からの情報に基づいて、以下のように減衰係数調節装置69の制御を行う。
すなわち、制御部97は、異常検出部93からヨーダンパ50の故障を検知した旨の通知を受けた場合、減衰係数調節装置69への通電を遮断し、電磁弁67を閉状態にさせる。
一方、制御部97は、異常検出部93からヨーダンパ50の故障を検知した旨の通知を受けない限り、減衰係数調節装置69への通電を維持し、電磁弁67を開状態に維持する。
続いて、図6のフローチャートを参照して、本実施形態による鉄道車両100の作用について説明する。
まず、あらかじめステップS101において、減衰係数制御コンピュータ90は、運転手等から今回の運行に関して定められた列車番号の入力を受ける。つづいて、ステップS103において、当該入力された列車番号に基づいて、最高速度を取得する。
次に、ステップS105において、取得した最高速度に基づいて左右動ダンパ60の制御が必要であるか否かを判断する。ここで、例えば、最高速度が速度閾値を超えていない場合には、一本のヨーダンパ50が故障しても蛇行動を起こす可能性がないとして左右動ダンパに関する制御の動作を終了する。この場合には、左右動ダンパ60の減衰係数が初期状態を維持し、乗り心地等が良好な状態が常に維持される。
一方、ステップS105において、例えば、最高速度が速度閾値を超える場合等には、左右動ダンパ60の制御が必要としてステップS201以降の工程に進む。
減衰係数制御コンピュータ90は、ステップS201において、まず、加速度センサ80からの加速度を取り込み、ステップS203において、取り込んだ加速度に基づいてヨーダンパ50が故障したか否かを検出する。そして、ヨーダンパの故障が検出されない場合には、ステップS205へ進んで減衰係数調節装置69への通電を維持する。これにより、減衰係数調節装置69におけるバイパス経路65が開に維持され、好適な左右動ダンパの減衰係数によって、車体5の不要な幅方向の振動等が減衰される。
そして、ステップS207において、制御を続けるかどうかを判断し制御終了の信号を受け取った場合には制御を終了する一方、制御終了の信号を受け取らない場合には、再びステップS201に戻って、加速度の取得を行う。
一方、ステップS203で、ヨーダンパ50の故障が検出された場合には、ステップS215に進んで、減衰係数調節装置69への通電を遮断する。これにより、電磁弁67が閉となり、バイパス経路65が遮断され、左右動ダンパ60の減衰係数が増加する。このため、台車10のヨー運動が抑制されて台車10の蛇行動が抑制され、蛇行動限界速度が高められる。従って、鉄道車両100の高速走行を維持することができる。そして、このようにして、左右動ダンパ60の減衰係数を増加させた後に、減衰係数調節装置69への通電を遮断したまま減衰係数制御コンピュータ90の制御工程を終了する。
このように、本実施形態によれば、ヨーダンパ50の異常を検出した場合に、左右動ダンパ60の減衰係数が増加するように減衰係数調節装置69を制御している。
このため、左右動ダンパ60の減衰係数が増加し、台車10の蛇行動限界速度が向上する。従って、ヨーダンパ50が一本故障した場合でも、台車10すなわち鉄道車両100を高速で走行させることができる。また、ヨーダンパ50に異常が検出されない場合には、左右動ダンパ60の減衰係数が初期の低いままに維持されるので、通常走行時の乗り心地を悪化させることがない。
ここで、ヨーダンパ50が故障した時の左右動ダンパ60の減衰係数を、1倍を超えて3.5倍までの範囲内で増加させることが好ましく、1.5〜3.5倍までの範囲内で増加させることがより好ましく、2.0〜3.0倍の範囲内で増加させることがより一層好ましい。減衰係数を1.5倍未満となるように増加させた場合、蛇行動限界速度の向上効果が低くなる傾向がある。一方、減衰係数が3.5倍を超える場合も、蛇行動限界速度がそれほど向上せず、さらに、乗り心地が悪化しやすい傾向がある。
このような減衰係数の増加割合を設定するためには、例えば、ピストン62の小孔63の径と、バイパス経路65の径や長さを適切な値に設定すればよい。
ここで、ヨーダンパ50の故障時に、左右動ダンパ60の減衰係数を高めることにより蛇行動限界速度を十分に高めるためには、幅方向に延在する左右動ダンパ60を、台車10の進行方向において中心ピン16の中心から離れた位置に設けることが好ましい。これにより、台車10の車体5に対する回動運動を好適に抑制することができる。ここで、ヨーダンパ50が、中心ピン16の中心を通る幅方向の線上に配置されていてもヨーダンパ50の故障時に蛇行動限界速度を向上させる効果はある。
なお、左右動ダンパ60によって、台車10の蛇行動を抑制できる理由は例えば、以下のように考えられる。すなわち、一方のヨーダンパ50が故障すると、台車10の他方側のヨーダンパ50のみが機能するので、台車10の回転運動の中心位置が中心ピン16の中心からずれるためと考えられる。
また、本実施形態においては、減衰係数制御コンピュータ90は、車両100の最高速度を取得し、最高速度が所定の速度閾値を超える場合に、左右動ダンパ60の減衰係数が増加するように減衰係数調節装置69を制御する一方、最高速度が所定の速度閾値を下まわる場合には、減衰係数調節装置69を制御しない。
このため、鉄道車両100が十分低速でしか営業運転せず、ヨーダンパ50が一本故障しても台車10の蛇行動が発生するおそれがない場合には、ヨーダンパ50が故障しても、左右動ダンパ60の減衰係数が増加されず、左右動ダンパ60の不要な減衰係数の増加によって乗り心地が悪化することがない。
続いて、本発明の効果を検証すべく、シミュレーションを行った。
シミュレーション対象の車両は、2つの輪軸を有する台車を2台備えた鉄道車両である。
ここで、各台車は、進行方向に延在し台車の側面と車体とを連結するヨーダンパを各側面に1本づつ有するものとした。また、各台車は、車体幅方向に延在する左右動ダンパを中心ピンを挟んで2本づつ有することとした。
ここで、左右動ダンパの中心ピンの中心からの車体前後方向の距離は、200mmとした。
そして、輪軸(ばね下)と台車(ばね間)とは、軸箱毎に進行方向のバネ及びダンパ、車体幅方向のバネ及びダンパ、垂直方向のバネ及びダンパにより連結されるものとした。
また、台車(ばね間)と車体(ばね上)とは、台車毎に車体幅方向に一対設けられた空気バネと、台車毎に設けられたけん引装置と、台車毎に中心ピンを挟んで一対各々幅方向に設けられた左右動ダンパとによって連結されているものとした。ここで、空気バネは、垂直方向のバネ及びダンパ、幅方向のバネ、進行方向のバネを有するものとした。また、けん引装置は、進行方向のバネ、幅方向のバネ、ヨー回転方向のバネを有するものとした。さらに、左右動ダンパは、幅方向のダンパを有するものとした。
そして、一車両当たり28自由度でのシミュレーションを行った。
すなわち、輪軸(ばね下)については、水平方向2自由度と垂直軸回りの回転自由度との3自由度×4本で12自由度を与えた。台車(ばね間)については、水平方向2自由度と垂直軸回りの回転自由度と台車の進行方向の軸回りのロール回転自由度との4自由度×2台で8自由度を与えた。車体(ばね上)については、水平方向2自由度と垂直軸回りの回転自由度と車体の進行方向の軸回りのロール回転自由度との4自由度×1台で4自由度を与えた。さらにヨーダンパについては、バネ(ゴム)とダンパ(減衰要素)との直列結合とし、ヨーダンパのバネとダンパとの結合部に質量のない車体進行方向の1自由度を与え、この1自由度×4本で合計4自由度を与えた。
そして、輪軸、台車、車体、ヨーダンパの結合部において、運動方程式を連立させて固有値解析を行うことにより、蛇行動が起き始める速度、すなわち、蛇行動限界速度を取得した。ここでは、運動方程式による数値解析により固有値を求め、減衰比が0.1を下回る速度を蛇行限界速度とした。
まず、ヨーダンパが正常なときの蛇行動限界速度を求めた。続いて、一方の台車の一つのヨーダンパの減衰係数をゼロとし、当該台車の一つの左右動ダンパの減衰係数を通常走行時の減衰係数の0.5倍、1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍として、各々蛇行動限界速度を求めた。
まず、図7に示すように、ヨーダンパがすべて正常な場合には、蛇行動限界速度は680km/hであった。これに対して、ヨーダンパが1本故障して減衰係数がゼロとなった場合に、当該台車の各左右動ダンパの減衰係数を増加させない、すなわち、増加倍率1倍とすると、蛇行動限界速度は400km/h程度にまで、低下した。
しかしながら、図8に示すように、各左右動ダンパの減衰係数を、1.2倍、1.5倍、2.0倍、2.5倍、3倍、3.5倍と各々増加させていくと、蛇行動限界速度は、500km/h程度にまで回復することが判明した。
また、各左右動ダンパの減衰係数を4倍以上にすると、蛇行動限界速度は低下する傾向がある。さらに、各左右動ダンパの減衰係数を通常走行時よりも低下させた場合、蛇行動限界速度は、減衰係数を増加させない場合に比して、さらに低下した。
以上、実施形態に基づいて本発明について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形態様をとることが可能である。
例えば、上記実施形態では、台車10につきヨーダンパ50を2本備えているが、1本でも、3本以上でも良い。
また、上記実施形態では、台車10につき左右動ダンパ60を2本備えているが、台車10につき1本でもよく、また3本以上備えていてもよい。台車10が複数の左右動ダンパ60を備える場合には、蛇行動の抑制の観点からすると、制御部97が複数の左右動ダンパ60のすべての減衰係数を同様の倍率となるように制御することが好ましいが、制御部97が一部の左右動ダンパ60の減衰係数を制御するようにしても良い。
また、左右動ダンパ60と並列に、アクティブ制御用アクチュエータを設けても良い。アクティブ制御用アクチュエータは、センサによって車体5の車体幅方向の振動を検知し、この振動をうち消すような外力を台車10から車体5に対して与えるものであり、乗り心地をより高めることができる。
また、減衰係数調節装置69は、左右動ダンパ60につきバイパス経路65と電磁弁67とを一つづつ有しているが、複数のバイパス経路65と、これらのバイパス経路65の各々に対応して設けられた複数の電磁弁67を有してもよい。この場合には、異常検出部93が最初にヨーダンパ50の異常を検出すると、一本のバイパス経路65を閉鎖して幅方向の運動の減衰係数を増加させ、その後、さらにヨーダンパ50の異常を異常検出部93が検出すると、さらに他のバイパス経路65を閉鎖して、減衰係数をさらに増加させてもよく、このように、他段階に減衰係数を増加させるようにすることにより、きめ細かい制御ができる。
また、減衰係数調節装置69として、バイパス経路65の径を連続的に変化させ、減衰係数を連続的に変化させることが可能なものを用いることもできる。
また、異常検出部93は、加速度と閾値とを用いてヨーダンパの異常を検出しているが、例えば、加速度の変化から算出されるマハラノビス距離に基づいて、異常を検出しても良い。
また、加速度センサ80は、台車10でなく、車体5に設けても良い。
また、異常検出装置50は加速度に基づいてヨーダンパ50の異常を検出しているが、例えば、ヨーダンパ50の変位に基づいてヨーダンパ50の異常を検出してもよく、取付部材14にかかる応力に基づいてヨーダンパ50の異常を検出しても良い。
また、上記実施形態では、列車番号に基づいて最高速度を取得しているが、これに代えて現在車両が運行している区間を認識し、この区間に基づいて最高速度を取得しても良い。最高速度は、運行区間毎にあらかじめ定められる場合もあるからである。なお、列車番号と区間とに基づいて最高速度を取得しても良い。
図1は本発明の実施形態に係る鉄道車両の概略側面図である。 図2は、図1の台車、並びに、車両の中心ピン及び取付部材の一部破断上面図である。 図3は、図2のIII−III矢視図である。 図4は、図3の左右動ダンパ及び減衰係数調節装置69を示す概略図である。 図5は、図1の台車10と減衰係数制御用コンピュータとを示すブロック図である。 図6は、図5の減衰係数制御用コンピュータのフロー図である。 鉄道車両において、ヨーダンパ正常時の蛇行動限界速度と、ヨーダンパが一本故障した場合であって左右動ダンパの減衰係数を変化させない場合の蛇行動限界速度変化と、を示すシミュレーション結果である。 鉄道車両において、ヨーダンパが一本故障した場合であって左右動ダンパの減衰係数を0.5〜4倍まで変化させた時の蛇行動限界速度の変化を示すシミュレーション結果である。
符号の説明
5…車体、10…台車、19…台車枠、50…ヨーダンパ、60…左右動ダンパ、69…減衰係数調節装置、95…異常検出装置(異常検出手段)、97…制御部(制御手段)、100…鉄道車両、103…最高速度取得部(最高速度取得手段)、105…制御要否判定部(制御要否判定手段)。

Claims (2)

  1. 車体と、
    前記車体を支持する台車と、
    前記車体と前記台車との間に設けられたヨーダンパと、
    前記車体と前記台車との間に設けられた左右動ダンパと、
    前記左右動ダンパの減衰係数を調節する減衰係数調節手段と、
    前記ヨーダンパの異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段が前記ヨーダンパの異常を検出した場合に、前記左右動ダンパの減衰係数が増加するように前記減衰係数調節手段を制御する制御手段と、
    を備える鉄道車両。
  2. 前記制御手段は、前記異常検出装置が前記ヨーダンパの異常を検出した場合に、前記左右動ダンパの減衰係数が1倍を超え3.5倍までの範囲内で増加するように前記減衰係数調節手段を制御する請求項1に記載の鉄道車両。

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