JP2010167798A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】駆動系に、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータ/ジェネレータMGを有し、第1クラッチCL1の締結/開放制御時、油圧アクチュエータ14の動作量である実ストロークを目標ストロークに一致させる流量制御を行う第1クラッチコントローラ5を備えている。このFRハイブリッド車両において、クラッチ制御手段(図5)は、ストローク−レリーズ力特性から目標ストロークと実ストロークの定常偏差特性を推定し、制御基準とする目標ストロークの基準点で定常偏差がゼロになるように定常偏差特性をチューニングし、基準点からの目標ストロークが変化するクラッチ制御時、チューニングした定常偏差特性に基づいて目標ストロークを補正する。
【選択図】図5
Description
このハイブリッド車両の制御装置において、前記クラッチアクチュエータの実ストロークを検出するアクチュエータストローク検出手段を設ける。そして、前記クラッチ制御手段は、ストローク−クラッチ動作荷重特性から目標ストロークと実ストロークの定常偏差特性を推定し、制御基準とする目標ストロークの基準点で定常偏差がゼロになるように前記定常偏差特性をチューニングし、基準点からの目標ストロークが変化するクラッチ制御時、前記チューニングした定常偏差特性に基づいて目標ストロークを補正する。
すなわち、摩擦クラッチの場合、例えば、新品の初期状態においても、個体バラツキ等により、目標ストロークの変化に対して定常偏差(目標ストロークと実ストロークの差)が非線形特性により変化する。これに対し、基準点からの目標ストロークが変化するクラッチ制御時、定常偏差特性から得られる定常偏差量により目標ストロークが補正される。このため、実ストロークが目標ストロークに収束するとき、補正無しのときに残る定常偏差が減少する。さらに、実ストロークを目標ストロークに向かって変化させる過渡状態では、摩擦クラッチの伝達トルクのうち、補正無しのときに生じる定常偏差分のトルク誤差が減少する。
この結果、摩擦クラッチを流量制御するとき、目標ストロークへの収束応答性の向上を図ることができると共に、実ストロークを目標ストロークに向かって変化させる過渡状態での伝達トルク精度を向上させることができる。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2の締結/開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置における作用を、「第1クラッチの定常偏差補正の考え方」、「定常偏差特性マップによる目標ストローク補正作用」、「定常偏差特性マップによる目標ストローク学習補正作用」、「ハイブリッドシステムにおける効用」に分けて説明する。
図6は、乾式クラッチにおけるピストンストロークに対するレリーズ力の関係特性とピストンストロークに対する定常偏差の関係特性を示す特性図である。図7は、乾式クラッチにおける目標ストロークに対する定常偏差特性とバネ特性を示す実験データグラフ図である。図8は、乾式クラッチにおけるピストンストロークに対するレリーズ力の関係特性とピストンストロークに対する定常偏差の関係特性が基準点に対して締結側と基準点に対して開放側とでヒステリシスを持つことを示す特性図である。以下、図6〜図8に基づいて、第1クラッチCL1の定常偏差補正の考え方を説明する。
図9は、新品状態の乾式クラッチにおける目標ストロークに対するピストン油圧特性と目標ストロークに対する定常偏差特性を示す図である。以下、図5および図9に基づいて、定常偏差特性マップによる目標ストローク補正作用を説明する。
図10は、摩耗状態の乾式クラッチにおける目標ストロークに対するピストン油圧特性と目標ストロークに対する定常偏差特性を示す図である。以下、図5および図10に基づいて、定常偏差特性マップによる目標ストローク学習補正作用を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両は、駆動系に、上流側からエンジンEng、第1クラッチCL1、モータ/ジェネレータMG、第2クラッチCL2を有する。そして、第1クラッチCL1を開放した「EVモード」での停止時や走行中、エンジン始動要求が出た場合、第2クラッチCL2を滑り締結し、モータ/ジェネレータMGをスタータモータとし、第1クラッチCL1を介して伝達されるモータトルクによりエンジンEngをクランキングし、エンジン始動して「HEVモード」にモード遷移するハイブリッドシステムとしている。この実施例1におけるハイブリッドシステムの場合、第1クラッチCL1の流量制御時、定常偏差を補正(学習補正を含む)することで、下記に述べるように、エンジン始動レスポンスの向上、燃費および耐久信頼性の向上、エンジン始動ショックの低減、という効用を得ることができる。
エンジン始動時の応答性を向上させるためには、「EVモード」でのCSCピストン14aの位置を、できるだけクラッチ締結開始位置に近い位置で、かつ、引き摺らない位置(=理想のCSCピストン14aの待機位置)に待機させておいた方が、エンジン始動の指令が出た時にすぐに応答できる。
これに対し、定常偏差が残っている状態では、理想のCSCピストン14aの待機位置に対して、CSCピストン14aが離れてしまうため、その分だけクラッチ締結に必要なストローク量が増えてしまい、応答性が悪化する。
また、定常偏差が残ってしまった結果、エンジン始動時の第1クラッチCL1の伝達トルクが必要以上に小さくなってしまった場合、エンジンEngの回転上昇が遅くなってしまい、エンジン始動レスポンスが悪化する。
実施例1の定常偏差を補正(学習補正を含む)は、このエンジン始動レスポンス(応答性)を改善するのに有効である。
ハイブリッドシステムにおいて、「EVモード」中に第1クラッチCL1のドラッグトルク(空転摩擦トルク:発熱の要因になる)を無くすことは、モータ/ジェネレータMGの消費電力を低下させ、その結果、燃費が向上する。
これに対し、定常偏差が残ってしまった結果、CSCピストン14aの位置がクラッチ締結開始位置状態よりも締結寄りになってしまった場合、「EVモード」中にも常時、第1クラッチCL1のドラッグトルクが発生することになり、燃費が悪化する。
実施例1の定常偏差を補正(学習補正を含む)は、このドラッグトルクを無くすことに有効であり、ドラッグトルクを無くすことで、燃費が向上すると共に、第1クラッチCL1のクラッチディスクの摩耗量が減り、使用可能年数が高まり、耐久信頼性向上が図られる。
ハイブリッドシステムにおいて、エンジン始動ショックを低減するためには、第2クラッチCL2が十分にスリップした状態で第1クラッチCL1を締結し、第1クラッチCL1の締結によるモータ/ジェネレータMGの回転の引き込みを逃す必要がある。
これに対し、定常偏差が残ってしまった結果、CSCピストン14aの位置が理想のCSCピストン14aの待機位置に対して締結側に近い場合、エンジン始動時に第2クラッチCL2が十分なスリップをする前に第1クラッチCL1が締結してしまい、モータ/ジェネレータMGの回転の引き込みを逃がすことができなくなり、エンジンg始動ショックとして車両挙動に現れてしまう。
また、定常偏差が残ってしまった結果、エンジン始動時の第1クラッチCL1の伝達トルクが必要以上に大きくなってしまった場合、エンジン始動ショックとして車両挙動に現れてしまう。
実施例1の定常偏差を補正(学習補正を含む)は、このエンジン始動ショックを改善することに有効である。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、摩擦クラッチ(第1クラッチCL1)を流量制御するとき、目標ストロークへの収束応答性の向上を図ることができると共に、実ストロークを目標ストロークに向かって変化させる過渡状態での伝達トルク精度を向上させることができる。
このため、摩擦クラッチ(第1クラッチCL1)の摩耗や経年劣化等によるバネ特性の変動に起因して定常偏差が生じたとしても、安定して収束応答性の向上と過渡状態での伝達トルク精度の向上を達成することができる。
このため、クラッチ動作荷重(レリーズ力)の差に比例した定常偏差が残るのに対応し、定常偏差特性を簡単な演算により精度良く推定できる。
このため、基準点からの目標ストロークが変化するクラッチ制御時、目標ストロークでの定常偏差量を、定常偏差量がゼロとした基準点からの定常偏差特性値により精度良く推定することができると共に、クラッチ制御の開始ストローク位置が変わっても、安定して収束応答性の向上と過渡状態での伝達トルク精度の向上を達成することができる。
このため、目標ストロークの補正に用いる定常偏差特性について乾式クラッチの皿バネのヒステリシス特性が考慮され、開放→締結ストロークを伴うクラッチ制御時にも締結→開放ストロークを伴うクラッチ制御時にも、目標ストロークでの定常偏差量を精度良く推定することができる。
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ(摩擦クラッチ)
MG モータ/ジェネレータ(モータ)
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪
RR 右後輪
FL 左前輪
FR 右前輪
5 第1クラッチコントローラ(クラッチ制御手段)
14 油圧アクチュエータ(クラッチアクチュエータ)
14a CSCピストン
15 第1ピストンストロークセンサ(アクチュエータストローク検出手段)
Claims (5)
- 駆動系に、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータの間に介装した摩擦クラッチを有し、前記摩擦クラッチの締結/開放制御時、クラッチアクチュエータの動作量である実ストロークを目標ストロークに一致させる流量制御を行うクラッチ制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチアクチュエータの実ストロークを検出するアクチュエータストローク検出手段を設け、
前記クラッチ制御手段は、ストローク−クラッチ動作荷重特性から目標ストロークと実ストロークの定常偏差特性を推定し、制御基準とする目標ストロークの基準点で定常偏差がゼロになるように前記定常偏差特性をチューニングし、基準点からの目標ストロークが変化するクラッチ制御時、前記チューニングした定常偏差特性に基づいて目標ストロークを補正することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、前記基準点で定常偏差がゼロになるようにチューニングした定常偏差特性を定常偏差特性マップとして設定し、目標ストロークが基準点のとき、目標ストロークと実ストロークに定常偏差の発生があると、前記定常偏差特性マップの全体を発生した定常偏差分だけオフセット修正し、基準点からの目標ストロークが変化するクラッチ制御時、前記オフセット修正した定常偏差特性マップに基づいて目標ストロークを学習補正することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、ストローク−クラッチ動作荷重特性から、クラッチ動作荷重と各ストローク位置での傾きの積による算出にて目標ストロークと実ストロークの定常偏差特性を推定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1から請求項3までの何れか1項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチ制御手段は、制御基準とする目標ストロークの基準点を、クラッチ制御が定常状態に入ったときの目標ストロークであるスタンバイストロークの位置に決定し、この基準点の決定を、クラッチ制御が定常状態に入る毎に行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1から請求項4までの何れか1項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記摩擦クラッチは、前記クラッチアクチュエータのストローク量がゼロのとき皿バネによる付勢力にて締結状態であり、ストローク量の増大により開放側へと移行するノーマルクローズの乾式クラッチであり、
前記クラッチ制御手段は、前記基準点に対して締結側の目標ストロークと実ストロークの定常偏差特性を、開放→締結のストローク−レリーズ力特性から推定し、前記基準点に対して開放側の目標ストロークと実ストロークの定常偏差特性を、締結→開放のストローク−レリーズ力特性から推定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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