JP2010167712A - 柔軟性を有するネイルシール - Google Patents

Abstract

【課題】爪に対して良好に貼付することのできる樹脂積層構造のネイルシールを提供する。
【解決手段】離型シート１の表面上に、爪形状を有する装飾貼付体２を剥離可能に設けたネイルシールである。装飾貼付体２は、離型シート１の表面上に感圧型水性接着剤を塗付して成る粘着層２１と、その粘着層２１上に水性樹脂液を塗り重ねて形成される厚さ１０〜１００μｍの下地層２２と、その下地層２２上に紫外線硬化型樹脂液を塗り重ねて形成される厚さ０．６〜１ｍｍの透明なトップ層２３とから成る。
【選択図】図２

Description

本発明は、指の爪をはじめとする身体部位、着衣、又は携帯電話機などに貼付する装飾シールに関する。

従来、指や足の爪をはじめ、顔面、着衣、あるいは携帯電話機などの携帯物に装飾を施すことが一般に広く行われているが、係る装飾体として合成樹脂を積層した種々のシールが知られている。

例えば、離型シート（セパレータ）上に接着剤層を設け、その上に有色の紫外線硬化樹脂を塗り重ねてインキ層とし、更にその上に紫外線硬化樹脂を点状に塗り重ねて表層側が透明なクリア層とされる複数の小突起部を形成し、その各小突起部がインキ層を介して連なるか、あるいは上記インキ層とクリア層により複数の小突起部を形成し、その各小突起部が当該小突起部と同一の層構造を有する線状の接続部を介して連なる構造とした装飾用貼付物が公知である（特許文献１）。

そして、上記のような貼付物によれば、これを離型シートから剥離して携帯電話機などに貼り付けることにより高い装飾効果を得ることができる。

登録実用新案第３１４５４７４号公報

しかしながら、特許文献１に開示される貼付物は、それを形成する樹脂材料として紫外線硬化樹脂が用いられることから、各層を薄く形成することが難しく、全体的に硬質で張りが強く、平面に対して良好に貼付できるものの、曲面に対する貼付は困難である。特に、曲率の大きい曲面に貼付した場合、接着剤層の粘着力に抗して全体が平面状に復元し、大部分が貼付面から剥離してしまう。このため、曲面状の爪や携帯電話機などの曲面部には好適に貼付できず、貼付対象が平面に限られるという欠点を有する。

本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は曲面に対しても良好に貼付することのできる装飾シールを提供することにある。

本発明は上記目的を達成するため、
離型シートの表面上に装飾貼付体を剥離可能に設けた装飾シールであり、
前記装飾貼付体は、前記離型シートの表面上に水性接着剤を塗付して成る粘着層と、この粘着層を覆う下地層と、この下地層上に形成される透明なトップ層とを有する積層構造とされ、
前記下地層は柔軟性を有する水性樹脂から形成され、前記トップ層は前記下地層より硬質の硬化型樹脂から形成されていることを特徴とする。

加えて、前記下地層と前記トップ層との間に、インク又は金属箔から成る色彩層が介在されるか、前記下地層に着色剤が含有され、又は前記下地層が着色剤を含有する有色下地層と着色剤を含有しない無色下地層とで成ることを特徴とする。

又、前記離型シートの表面上に複数の装飾貼付体が個々に独立して設けられていることを特徴とする。

又、前記粘着層及び下地層が前記離型シートの端縁に所定幅の余白部を残して面状に設けられると共に、前記トップ層が粒形にして前記下地層の表面上に点在され、その各トップ層が前記下地層を介して連なっていることを特徴とする。

更に、本発明は装飾シールの製造方法として、離型シートの表面上に水性接着剤を塗付して粘着層を形成し、次いで前記粘着層上に水性樹脂液を塗付して柔軟性を有する下地層を形成した後、前記下地層上に硬化型樹脂液を塗付して前記下地層より硬質の透明なトップ層を形成することを特徴とする。

本発明に係る装飾シールによれば、粘着層上に柔軟性を有する水性樹脂から成る下地層を介して透明なトップ層が設けられ、そのトップ層が下地層より硬質の硬化型樹脂から形成されていることから、下地層を介して粘着層とトップ層を一体の積層構造としながら、そのトップ層により下地層を外力から保護することができる。

又、水性樹脂により薄くて柔軟な下地層を形成できるので、シール全体を可撓性に富む薄型の積層構造とすることができる。このため、爪などの曲面に対して粘着層を全面的に密着させて良好に貼付することができる。更に、トップ層が樹脂光沢を呈することにより、貼付面の装飾効果が上がる。

加えて、下地層とトップ層との間にインク又は金属箔から成る色彩層が介在されるか、下地層に着色剤が含有されるものでは、装飾効果を一層高めることができる。

更に、離型シート上に複数の装飾貼付体が個々に独立して設けられるものでは、爪の形や大きさなどに対応した複数種の装飾貼付体をセットで提供できる。

又、トップ層が粒形にして下地層上に点在される装飾貼付体では、宝石を並べたような装飾効果が得られ、しかも当該装飾貼付体が離型シートの端縁に余白部を残して設けられることから、使用に際して離型シートから容易に剥離することができる。

本発明に係る装飾シールを示す平面概略図 図１の部分拡大断面図 本発明に係る装飾シールの変更例を示す平面概略図 図３の部分拡大断面図

以下、本発明に係る装飾シールの具体例を図面に基づき詳しく説明する。図１は、係る装飾シールを爪装飾用のネイルシールとして構成した例を示す。図１において、１は離型シートであり、この離型シート１は台紙１ａの表面全体を離型層１ｂで覆うことにより構成される。台紙１ａはプラスチックフィルムなどから成るシート材で、本例ではこれにポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）が用いられ、離型層１ｂにはシリコーン系離型剤が用いられる。尚、離型剤として、シリコーンのほか、フッ素樹脂、天然ワックス、ポリエチレンあるいはポリプロピレン系ワックス、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル及びその金属塩などを用いることもできる。

２は離型シート１（離型層１ｂ）の表面上に個々に独立して剥離可能に設けた装飾貼付体であり、本例ではその各々が爪に適合する爪形状とされている。そして、各装飾貼付体２は、大きさが異なる複数個（図示例において縦列の６つ）を一組として、その複数組が所定の間隔をあけて離型シート１上に並列状に配列されている。特に、各装飾貼付体２は合成樹脂の積層構造であり、その厚さは０．５〜１．２ｍｍとされている。

図２から明らかなように、装飾貼付体２の最下層は粘性を有する粘着層２１とされ、その粘着作用により離型シート１から剥離された装飾貼付体２を別の貼付対象（本例において爪）に貼付固定できるようになっている。この粘着層２１は、繰返し接着することのできる感圧型の水性接着剤（粘着剤）であり、その粘着剤には、例えばアクリル系水性エマルジョンに増粘剤や粘度調整剤として、ノニオン系特殊高分子を添加したものが用いられる。

又、図２において、２２は粘着層２１を全面的に覆う下地層であり、これは柔軟性を有する水性樹脂により形成される。係る水性樹脂としては、ゼラチンやポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を用いることも可能であるが、用途上の観点からウレタン樹脂、アクリル樹脂、又は酢酸ビニル樹脂などの水分散性合成樹脂を用いることが好ましい。そして、このような水性樹脂によれば、これを水性エマルジョンとして粘着層２１上に塗付（捺染、印刷）し、薄膜状（厚さ１０〜１００μｍ）にして可撓性に富む柔軟な下地層２２を形成することができる。

尚、図２において、下地層２２は、着色剤を含有しない透明な無色下地層２２ａと、着色剤を含有する有色下地層２２ｂとの二層構造とされるが、これを無色下地層２２ａ又は有色下地層２２ｂのいずれかの単層構造としてもよい。又、有色下地層２２ｂに代えて、下地層２２（無色下地層２２ａ）上の部位に、金属箔を貼り付けるか、若しくは水性インクによる所定形状の印刷パターン（図柄等）を施して図示せぬ色彩層とし、この色彩層を下地層２２とトップ層２３との間に介在させるようにしてもよい。

トップ層２３は、文字通り装飾貼付体２の最上層を成すもので、これは下地層２２より硬質の透明な硬化型樹脂により形成される。係る硬化型樹脂は、紫外線硬化型でも熱硬化型でもよいが、作業効率性の観点から紫外線硬化型の樹脂を好適に用いることができる。紫外線硬化型樹脂は、公知の如くオリゴマーやモノマーといった樹脂成分に適当な増感剤（光重合開始剤）を加えて紫外線を照射することにより樹脂成分を重合硬化させたもので、オリゴマーやモノマーとしてはアクリレート、エポキシ化合物、不飽和化合物とチオールとの配合物などが用いられ、増感剤にはベンゾフェノン、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフィンなどが用いられる。そして、係るトップ層２３によれば、柔軟な下地層２２を全面的に被覆して当該下地層２２を外圧から保護しながら、滑らかな光沢面を形成して装飾効果を高めることができる。尚、トップ層２３は厚さ０．６〜１ｍｍとすることが好ましく、０．６ｍｍ未満の厚さでは下地層２２を保護する機能が失われるほか、光沢に影響するレンズ効果が低下してしまう一方、１ｍｍを越える厚さではシール全体の柔軟性が損なわれ、爪の表面に沿う変形状態を維持し難くなる。

ここで、図１、図２に示される爪用装飾シールの製造方法に係る実施例を説明する。先ず、離型シート１として、シリコーン系離型剤により表面をコーティングした透明ＰＥＴフィルムを準備し、その表面（離型層１ｂ）上に図示せぬスクリーン（捺染用メッシュ）を介して水性接着剤を部分的に塗付して、爪形の粘着層２１を複数形成した。尚、水性接着剤には、日栄化工株式会社製の粘着剤（商品名：LIFE BOND VP-37）に、新中村化学工業株式会社製の粘度調整剤（商品名：ビスコンA-8）を加えたものを使用した。上記粘着剤はアクリル系水性エマルジョンであり、その主成分（樹脂成分）は変性アクリル共重合樹脂、粘度は１２．５ｍＰａ・ｓである。又、上記粘度調整剤は、ノニオン系特殊高分子である。

次に、図示せぬスクリーンを介して粘着層２１上に着色剤を含まない透明な第１の水性樹脂液を塗り重ね、これを常温下で３０分程度かけて乾燥させて無色下地層２２ａを形成し、更にその上に着色剤を含有した第２の水性樹脂液を塗り重ね、これを常温下で３０分程度かけて乾燥させて有色下地層２２ｂを形成した。尚、上記第１、第２の水性樹脂液には林化学工業株式会社製のバインダーCB235T（商品名）を使用した。この水性樹脂液は、樹脂成分（ウレタン系樹脂）３０重量％、エチレンオキサイド重縮合物５重量％、シリコーン油脂分１重量％、エチレングリコール３重量％、水約６０重量％のウレタン系樹脂水性エマルジョンであり、第２の水性樹脂液には着色剤として５重量％の桃色顔料を分散させた。

しかして、有色下地層２２ｂの形成後、その上に図示せぬスクリーンを介して透明な紫外線硬化型樹脂液（紫外線硬化型塗料）を塗り、これに紫外線を照射して樹脂成分を重合硬化させ、下地層２２（無色下地層２２ａ及び有色下地層２２ｂ）よりも硬質の透明なトップ層２３を形成した。

尚、紫外線硬化型樹脂液には、帝国インキ製造株式会社製のUV POT50209を使用した。この樹脂液はウレタンアクリレート１００重両部に対して光重合開始剤１〜１０重量部を加えたものである。

ここに、以上のようにして得られる装飾貼付体２は、全体が１ｍｍ程度と薄く柔軟で、可撓性に富み、爪に貼付して粘着層２１が爪全体に密着し、入浴時などにも不用意に剥離せず、マニキュアと同等の艶を有する上、必要に応じて容易に剥離することができ、表面（トップ層２３）を爪で擦るなどしても傷付かず、マニキュアや付爪の代用として普及が見込まれる。

次に、本発明に係る装飾シールの変更例について説明する。図３において、３は離型シート１の表面（離型層１ｂ）上に剥離可能に設けた単一シート状の装飾貼付体であり、本例ではその装飾貼付体３に、三種類の色彩層２４ａ，２４ｂ，２４ｃによる花柄が施されている。

図４から明らかなように、色彩層２４ａ〜２４ｃは下地層２２とは別にインク（水性印刷インク）又は金属箔を下地層２２上に部分的に設けて形成される。尚、色彩層２４ａ〜２４ｃは、金属箔を下層にしてその上にインクによるペイントを施すことが好ましく、これによれば金属箔による光の反射により色彩層２４ａ〜２４ｃの色が鮮やかとなり、光沢性も向上する。

ここで、色彩層２４ａ〜２４ｃは、粘着層２１を全面的に覆う下地層２２とは異なり、印刷パターンとして下地層２２上に部分的に設けられる有色の薄膜であり、その形成にインクを用いる場合には、捺染法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法が適用される。

一方、本例では、離型シート１上において、粘着層２１及び下地層２２は離型シート１の端縁に所定幅（例えば、１〜３ｍｍ）の余白部Ｅを残して面状に設けられ、その下地層２２に上記の色彩層２４ａ〜２４ｃを介してトップ層２３ａが設けられる。尚、色彩層２４ａ〜２４ｃが形成されない領域にも、図３のようにトップ層２３ｂが設けられるが、このトップ層２３ｂと下地層２２との間にも金属箔による色彩層を設けることが好ましい。

又、トップ層２３ａ，２３ｂは、粒形として下地層２２の表面上全域に高密度に点在され、それらトップ層２３ａ，２３ｂが下地層２２を介して連なっている。特に、本例において、トップ層２３ａ，２３ｂは直径１ｍｍ程度の円形であり、その各々の中心間距離は２ｍｍ程度、高さは０．５ｍｍ程度とされている。

ここに、図３、図４に示されるような装飾シールは、下地層２２の形成後において、その上に金属箔やインクによる色彩層２４ａ〜２４ｃを形成することを除いて上記例の爪用装飾シール（ネイルシール）と同様の材料、工程にて製造され、色彩層２４ａ〜２４ｃの形成には上記のように公知の印刷技術が適用される。そして、本例の装飾貼付体３も、全体が１ｍｍ程度と薄く柔軟で、可撓性に富み、携帯電話機などの曲面を含む広い面に貼付して粘着層２１が貼付面全体に密着し、経時的に剥離せず、種々の物品に貼付して高い装飾効果が持続され、剥離する必要が生じたときには容易に剥離することができる。

１ 離型シート
１ａ 台紙
１ｂ 離型層
２，３ 装飾貼付体
２１ 粘着層
２２ 下地層
２２ａ 無色下地層
２２ｂ 有色下地層
２３，２３ａ，２３ｂ トップ層
２４ａ，２４ｂ，２４ｃ 色彩層

Claims (7)

1. 離型シートの表面上に装飾貼付体を剥離可能に設けた装飾シールであり、
   前記装飾貼付体は、前記離型シートの表面上に水性接着剤を塗付して成る粘着層と、この粘着層を覆う下地層と、この下地層上に形成される透明なトップ層とを有する積層構造とされ、
   前記下地層は柔軟性を有する水性樹脂から形成され、前記トップ層は前記下地層より硬質の硬化型樹脂から形成されていることを特徴とする装飾シール。
2. 前記下地層と前記トップ層との間に、インク又は金属箔から成る色彩層が介在されていることを特徴とする請求項１記載の装飾シール。
3. 前記下地層に着色剤が含有されていることを特徴とする請求項１記載の装飾シール。
4. 前記下地層が着色剤を含有する有色下地層と着色剤を含有しない無色下地層とで成る請求項１記載の装飾シール。
5. 前記離型シートの表面上に複数の装飾貼付体が個々に独立して設けられていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の装飾シール。
6. 前記粘着層及び下地層が前記離型シートの端縁に所定幅の余白部を残して面状に設けられると共に、前記トップ層が粒形にして前記下地層の表面上に点在され、その各トップ層が前記下地層を介して連なっていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の装飾シール。
7. 離型シートの表面上に水性接着剤を塗付して粘着層を形成し、次いで前記粘着層上に水性樹脂液を塗付して柔軟性を有する下地層を形成した後、前記下地層上に硬化型樹脂液を塗付して前記下地層より硬質の透明なトップ層を形成することを特徴とする装飾シールの製造方法。

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