JP2010167664A - ポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法、およびそれより得られる成形体 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法、およびそれより得られる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】
ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造方法であって、厚み方向に対して二色に分けて射出成形することにより、通常の射出成形で得られる成形体よりも高い引張強度を有する成形体を得ることが可能なポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂組成物がポリアミド樹脂にガラス繊維を配合してなり、下記の特性1)および2)を満たし、かつ、厚み方向に二色射出成形してなる成形体であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は結晶性熱可塑性樹脂であり、優れた機械的強度、熱安定性、成形性耐薬品性などの特性をもち、ガラス高充填の強化ポリアミド樹脂などは、自動車分野などで金属代替の材料として利用されている。一般的なガラス強化ポリアミド樹脂は、絶対強度では、金属等に劣るものの、設計を工夫したり、モジュール化するなどの方法で、その優位性を発揮している。
ガラス繊維を高充填してポリアミド樹脂の補強を行う場合は、ガラス繊維の配合はガラス繊維配合のポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、せいぜい60質量%程度までで、それ以上の配合では補強効率が悪くなり、また成形性なども悪くなる。特に厚さ10mm以上の肉厚成形体などでは、その速い結晶化速度と高い成形収縮率により、成形体中央部が固化する前に、ゲート部で樹脂が固化してしまうため、成形体中央部にボイドが発生しやすくなり、成形体の機械的強度がさらに低下するなどの問題があり、利用範囲が限られていた。
このような肉厚な成形体中に発生するボイドを抑える方法としては、ポリアミド66樹脂とエチレンアイオノマー樹脂の樹脂混合物に対し、ガラス繊維を配合する方法(特許文献1)や、長繊維強化熱可塑性樹脂を使用する方法(特許文献2)などが提案されている。これらは、いずれも特殊な樹脂を用いたり、特殊な樹脂ペレットの製造装置が必要になるなどコストアップとなり、産業上の利用範囲は狭くなっている。
一方で、成形方法での工夫も見られ、例えば、自動車用エンジン冷却水系部品などの中空成形体を製造するために、予め一次材を成形した複数の成形品を金型に配置し、その接合部に二次材を射出成形する方法(特許文献3)、一次成形体の表面に二次成形体を射出し一体化された成形品を得る方法(特許文献4)が示されている。しかし、これらはいずれも中空のような複雑な形状を持った成形体を得るために二色成形法を用いて、樹脂の流れ方向と垂直な面でそれらの成形体を金型内で溶着している。これらの方法では、8mm以上の肉厚を持った成形体中のボイドの発生を抑制するなどして成形体の強度を上げることはできなかった。
特開2007-112877号公報 特開2002-85109号公報 特開平11-179756号公報 特開平11-129284号公報
本発明は、ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造方法であって、厚み方向に対して二色に分けて射出成形することにより、通常の射出成形で得られる成形体よりも高い引張強度を有する成形体を得ることが可能なポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造において、厚み方向に対して二色に分けて射出成形することにより、通常の射出成形で得られる成形体よりも高い引張強度を有する成形体を得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂組成物がポリアミド樹脂にガラス繊維を配合してなり、下記の特性1)および2)を満たし、かつ、厚み方向に二色射出成形してなる成形体であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法。
特性1):ポリアミド樹脂組成物成形体の流れ方向の線膨張係数、成形時の樹脂温度、成形時の金型温度の間に下記一般式(I)が成り立つ。
A×(B-C)≦4.5×10-3 (I)
A:流れ方向の線膨張係数
B:成形時の樹脂温度
(ただし、ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂の融点≦B≦ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂の融点+80℃)
C:成形時の金型温度
(ただし、ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂のガラス転移温度≦C≦ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂のガラス転移温度+100℃)
特性2):上記特性1)を満たし、一色射出成形法で得られたポリアミド樹脂組成物成形体の引張破断強度(D)と、二色射出成形法で得られたポリアミド樹脂組成物の引張破断強度(E)が、下記一般式(II)を満たす。
(D)<(E) (II)
(2)ポリアミド樹脂組成物が、ポリアミド樹脂100質量部に対してガラス繊維5〜60質量部配合されてなるポリアミド樹脂組成物であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法。
(3)(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法で成形された成形体。
本発明者によれば、ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造において、厚み方向に対して二色に分けて射出成形することにより、通常の射出成形で得られる成形体よりも高い引張強度を有する成形体を得ることが可能なポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態である二色成形体の断面外略図を示す。 本発明の一実施の形態である図1の二色成形体に対し、通常成形体の断面外略図を示す。
S1 一次成形体
S2 二次成形体
L 樹脂の流れ方向
a 樹脂の流れとGFの向きが同方向なエリア
b 樹脂の流れとGFの向きが垂直方向なエリア。(ボイドが発生しやすい)
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂にガラス繊維を配合してなるポリアミド樹脂組成物である。
本発明に使用されるポリアミド樹脂は、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもナイロン6、ナイロン66が特に好ましい。
ポリアミド樹脂の相対粘度(分子量)は、特に制限はないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.5以上、3.5未満であることが好ましい。さらに好ましくは2.0以上3.5未満である。この値が1.5未満であると、得られたポリアミド樹脂組成物は強度に劣るので好ましくない。
本発明に使用するガラス繊維は公知のガラス繊維の製造方法により製造され、マトリックス樹脂との密着性、均一分散性の向上のためシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤などのカップリング剤を少なくとも1種類、皮膜形成剤などを含んだ配合する樹脂に適した公知の集束剤により集束され、集束されたガラス繊維ストランドを集めて一定の長さに切断したチョップドストランドの形態で使用される。本発明に使用するガラス繊維の断面は、丸型、偏平型、ひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型、矩形またはこれらの類似品などが挙げられる。
本発明に使用するガラス繊維の配合は、特に限定するものでないが、ポリアミド樹脂組成物の流れ方向の線膨張係数、成形時の樹脂温度、成形時の金型温度の間に下記一般式(I)が成り立つことが必要である。
A×(B-C)≦4.5×10-3 (I)
A:流れ方向の線膨張係数
B:成形時の樹脂温度
(ただし、ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂の融点≦B≦ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂の融点+80℃)
C:成形時の金型温度
(ただし、ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂のガラス転移温度≦C≦ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂のガラス転移温度+100℃)
上記一般式を満足するには、用いるポリアミド樹脂の融点、ガラス転移温度に対応させた成形時の樹脂温度、金型温度を制御する必要があり、また、このときに得られる樹脂組成物の線膨張係数を決定するための、ガラス繊維の配合を行う必要がある。
用いるポリアミド樹脂の融点は、150〜350℃であり、180〜320℃のものを使用することが好ましい。また、用いるポリアミド樹脂のガラス転移温度は、30〜155℃であり、40〜145℃であることが好ましい。このようなポリアミド樹脂に対し、ガラス繊維を配合して、所定の線膨張係数を得るためには、ポリアミド樹脂100質量部に対し、ガラス繊維5〜60質量部配合することが好ましく、ガラス繊維の配合が5質量部未満であると、所定の線膨張係数が得られにくくなり、また、ガラス繊維の配合が50質量部を越えると、樹脂組成物の混練が難しくなり、操業的に難しくなる。しかし、上記一般式(I)を満足するのであれば、上記配合の範囲を外れてもよいものとする。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造するに当たっては、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、耐光剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等を添加してもよい。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
強化材としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
これらのポリアミド樹脂で8mm以上の肉厚部をもつ成形体を成形する場合、一般的にポリアミド樹脂中ではガラス繊維の分布は概ね以下のようになる。つまり、流れ方向に対し長手の成形体において、成形体の厚み方向に平行な断面で観察すると、ガラス繊維の分布は、成形体断面の(イ)中心部、(ロ)中心を取り囲む周辺部でその分布は異なり、(イ)中心部では、樹脂の流れに対し垂直方向に、ガラス繊維の繊維軸がそろう。一方で、(ロ)周辺部では、樹脂の流れ方向に、ガラス繊維の繊維軸がそろう(図1参照)。
つまり、成形体の中心部分は成形体の引張方向にガラス繊維の繊維軸がそろわないため、成形体の長手方向に対する引張、または圧縮挙動に対し、ガラス繊維が補強効果を示さない。よって、成形体全体としても、ポリアミド樹脂のガラス繊維による補強効果は、ガラスの配合量により発現するであろう理論値よりも大幅に強度低下する傾向が見られる。また、表面が固化してから中心部が固化するまでの間に金型内でゲート部がシールされてしまうので、保圧がかからず中心部に空隙が残りやすい。つまり、この肉厚成形品の引張強度は、ガラス繊維が樹脂の流れ方向に並んだ表面層で保持されていると考えられる。
そこで、本発明では、この表面層の面積を増大させるために、樹脂の流れ方向に樹脂を二色成形させるのである(図2参照)。そうすることにより、成形品中央部にガラス繊維の繊維軸が並んだ表層を作り出すことが出来、また、二色射出成形の溶着界面には、溶着界面の両端に樹脂流れに平行な方向でのガラス繊維の繊維軸が並んだ層を並べることができ、上記効果により、成形体の引張強度を増加させることが出来る。なお、二色射出成形においては、そのような層が合計4つできることとなる。また、成形体の厚みに応じて、成形機の仕様により、そのような成形が可能な場合は、二色以上に分割して成形することで、上記効果を更に高めることができる。
しかし、この方法でどんなポリアミド樹脂でも成形可能となるわけではなく、樹脂の流れ方向で二色成形した場合、樹脂同士の接着面積が広くなる。そのため、射出後に樹脂が溶融状態から固体状態になるときに、樹脂が収縮することにより、界面での接着が十分ではなくなり、引張強度が通常成形体より低くなる場合がある。よって、本願の成形方法に適した樹脂特性および成形条件を満たす必要がある。つまり、ポリアミド樹脂組成物の流れ方向の線膨張係数、成形時の樹脂温度、成形時の金型温度の間に下記一般式(I)が成り立つことが必要である。
A×(B-C)≦4.5×10-3 (I)
A:流れ方向の線膨張係数
B:成形時の樹脂温度
(ただし、ポリアミド樹脂組成物、またはポリアミド樹脂の融点≦B≦ポリアミド樹脂組成物、またはポリアミド樹脂の融点+80℃)
C:成形時の金型温度
(ただし、ポリアミド樹脂組成物、またはポリアミド樹脂のガラス転移温度≦C≦ポリアミド樹脂組成物、またはポリアミド樹脂のガラス転移温度+100℃)
ここで、一般式(I)のA×(B-C)の値が4.5×10-3より小さいことが必要であり、さらに4.0×10-3より小さい値であると良い。この値が、4.5×10-3より大きいと、二色射出成形後の成形体の界面における溶着強度が十分でなく、成形体の引張強度が低くなるので問題である。成形時の樹脂温度、成形時の金型温度は所定の温度範囲で行っても、得られた成形体の線膨張係数が、上記一般式(I)を満たさない場合がある。この場合は、本発明で規定する高い引張強度を有する成形体を得ることができない。
二色射出成形の方法は、まず、一次成形品を射出成形し、金型内のポリアミド樹脂組成物からなる一次成形品の表面の一部に、二次成形材料であるポリアミド樹脂組成物を射出成形し、一次成形品と二次成形品とを融着させる方法である。
その方法として、一次成形品を得た後、それを一旦金型から取り出し、その後、別の金型のキャビティーにこの一次成形品を挿入し、二次射出材料を射出成形してもよいし、一次成形品を得た後、金型のキャビティーをスライド機構等で拡張した後、二次射出材料を射出成形してもよい。
成形条件は、樹脂の温度を樹脂組成物の融点以上にし、樹脂組成物の融点に80℃を加えた温度より低い温度で成形することが好ましい。樹脂組成物の融点より樹脂温度が低いと、樹脂を可塑化することが出来ないので、成形することが出来ない。また、樹脂組成物の融点に80℃を加えた温度より高温にすると、樹脂組成物が分解し始めるため、成形時に分解ガス等が発生し成形体の表面が荒れるなど外観不良となるので好ましくない。
さらに金型温度は、 樹脂組成物のガラス転移温度より高く、ガラス転移温度に100℃を加えた温度より低い温度にすることが好ましい。金型温度が樹脂組成物のガラス転移温度より低い場合、成形体の外観が悪くなったりするので好ましくなく、また、ガラス転移温度に100℃を加えた温度より高いと、樹脂組成物が金型内で固化するの遅くなり成形サイクルが長くなるなど成形性に問題が生じるので、好ましくない。
一次成形品の成形体の厚みは、2mm以上であり、好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上であるほうがよい。2mm未満であると、ガラス繊維の流れ方向の領域が狭くなり、得られたポリアミド樹脂成形体の引張破断強度の向上効果が低いため好ましくない。
本願のポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法を用いて成形される成形体としては、エンジンマウント、インテークマニホールド、シフトレバーハウジング、スタビライザー・リンケージロッド、ドアミラーステイ、ペダルモジュール、ステアリングホイールのような成形体の製造で用いることができ、特に、金属代替で用い、高い強度保持に用いるような、構造部材の成形で用いることができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお実施例および比較例に用いた原料および物性測定方法は次の通りである。
1.測定方法
(1)ポリアミド樹脂、またはポリアミド樹脂組成物の融点、ガラス転移温度
ポリアミド樹脂、またはポリアミド樹脂組成物10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線から融点を求めた。また、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。なお、ここで、ポリアミド樹脂の融点とポリアミド樹脂組成物の融点は同じものとして取り扱う。また、ポリアミド樹脂のガラス転移温度とポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度は同じものとして取り扱う。
(2)線膨張係数
試験片の厚みを10mm とし、ISO 11359-2に準拠して23℃にて測定した。
(3)引張強度
通常成形方法:試験片の厚みを12mm とし、ASTM D-638に準拠して、23℃で測定した。
二色成形方法:一次成形品を厚み6mmで作成し、この上に二次成形体を同条件で成形し、厚み12mmの成形体を得た後、ASTM D-638に準拠して、23℃で測定した。
通常成形方法で得られた値より、二色成形方法で得られた値が大きい時を合格とした。
(4)成形性
設定の樹脂温度、金型温度で一次、および二次射出成形を行い、冷却時間が25秒以上かかる場合、不合格とした。きちんとした成形体が得られていたいため、その後の引張強度、外観の評価は、行わなかった。
(5)外観
成形体の外観を目視で観察し、表面の荒れが見られれば、不合格とした。
2.原料
ポリアミド6ガラス繊維強化樹脂組成物およびポリアミド66ガラス繊維強化樹脂組成物は、下記の原料を用いて、東芝機械社製二軸混練機TEM37BSを用いて、シリンダー温度240℃〜290℃、スクリュー回転数250rpmにて溶融混練し、ストランド状に押出し、20℃で水冷、カッティングを行い、ポリアミド樹脂組成物を得た。
(1) ポリアミド樹脂
・ ポリアミド6(ユニチカ社製A1030BRL、ηrel=2.5、融点=221℃、ガラス転移温度=48℃)
・ ポリアミド66(ユニチカ社製 A125、ηrel=2.6、融点=262℃、ガラス転移温度=50℃)
(2) ガラス繊維
・ ガラス繊維(日東紡社製CSG3PE-451 チョップ長さ3mm、直径13μm)
(3) ガラス繊維配合済みポリアミド樹脂
・ 芳香族ポリアミド樹脂(ユニチカ社製 マラニールH199S ; ガラス繊維45%強化品、融点=305℃、ガラス転移温度=140℃)
実施例1〜4
表1に示されたポリアミド樹脂100質量部に対し、所定量のガラス繊維を配合して、ポリアミド樹脂組成物を得た。それぞれの線膨張係数を、表1に示したが、いずれも4.5×10-5/℃以下であった。このポリアミド樹脂組成物を指定の成形温度、金型温度で、通常の成形方法で12mm厚みのダンベル片を射出成形した。次に6mm厚みのダンベル片を一次射出成形した後、別の厚みが12mmの金型にこの6mm厚みのダンベル片を挿入し、その上に厚さ6mmの二次射出成形体を射出成形し、二色成形を得た。なお、ここで成形時の成形温度は、成形時のポリアミド樹脂温度と等しいものとする。
これら、ダンベル片の引張強度、成形性、および成形体の外観を評価した。結果を表1に示すがいずれも合格であった。
比較例1
実施例2と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度を260℃、金型温度を80℃にすることにより、一般式(1)の値が、7.56×10-3となり、本願請求項を外れる値となった。このポリアミド樹脂組成物の二色成形方法で得られた成形体の引張強度は95MPaであり、通常成形方法で得られた成形体の引張強度100MPaよりも低かった。
その結果を表2に示す。
比較例2
実施例2と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度240℃、金型温度を155℃で成形すると、金型温度がポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度48℃より、100℃以上高いため、成形時の冷却時間が25秒以上となり、成形性が不合格となった。
その結果を表2に示す。
比較例3
実施例1と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度310℃、金型温度を130℃で成形すると、成形温度がポリアミド樹脂組成物融点221℃より、80℃以上高いため、成形体の外観不良となり、不合格となった。その結果を表2に示す。
比較例4
実施例1と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度260℃、金型温度を150℃で成形すると、金型温度が樹ポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度48℃より、100℃以上高いため、成形時の冷却時間が25秒以上となり、成形性が不合格となった。その結果を表2に示す。
比較例5
実施例1と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度200℃、金型温度を100℃で成形すると、成形温度がポリアミド樹脂組成物融点221℃より、低いため、成形時にポリアミド樹脂組成物が可塑化せず、成形体が得られなかったため、不合格となった。その結果を表2に示す。
比較例6
実施例3と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度290℃、金型温度を30℃で成形すると、一般式(I)の値が、5.2×10-3となり、本願請求項を外れる値となった。このポリアミド樹脂組成物の二色成形方法で得られた成形体の引張強度は150MPaであり、通常成形方法で得られた成形体の引張強度190MPaよりも低かった。また、金型温度がポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度48℃より、低いため、成形体の外観が不合格となった。その結果を表3に示す。
比較例7
実施例3と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度270℃、金型温度を48℃で成形すると、金型温度がポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度50℃より、低いため、成形体の外観が不合格となった。その結果を表3に示す。
比較例8
実施例3と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度290℃、金型温度を160℃で成形すると、金型温度がポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度50℃より、100℃以上高いため、成形時の冷却時間が25秒以上となり、成形性が不合格となった。
その結果を表3に示す。
比較例9
実施例4と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度340℃、金型温度を100℃で成形すると、金型温度がポリアミド樹脂組成物のガラス転移温度140℃より、低いため、成形体の外観が不合格となった。その結果を表3に示す。
比較例10
実施例4と同じポリアミド樹脂組成物を用いて、成形温度400℃、金型温度を150℃で成形すると、成形温度がポリアミド樹脂組成物の融点305℃より、80℃以上高いため、成形体の外観が不合格となった。その結果を表3に示す。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂組成物よりなる厚さ8mm以上の成形体の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂組成物がポリアミド樹脂にガラス繊維を配合してなり、下記の特性1)および2)を満たし、かつ、厚み方向に二色射出成形してなる成形体であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法。
    特性1):ポリアミド樹脂組成物成形体の流れ方向の線膨張係数、成形時の樹脂温度、成形時の金型温度の間に下記一般式(I)が成り立つ。
    A×(B-C)≦4.5×10-3 (I)
    A:流れ方向の線膨張係数
    B:成形時の樹脂温度
    (ただし、ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂の融点≦B≦ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂の融点+80℃)
    C:成形時の金型温度
    (ただし、ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂のガラス転移温度≦C≦ポリアミド樹脂組成物またはポリアミド樹脂のガラス転移温度+100℃)
    特性2):上記特性1)を満たし、一色射出成形法で得られたポリアミド樹脂組成物成形体の引張破断強度(D)と、二色射出成形法で得られたポリアミド樹脂組成物の引張破断強度(E)が、下記一般式(II)を満たす。
    (D)<(E) (II)
  2. ポリアミド樹脂組成物が、ポリアミド樹脂100質量部に対してガラス繊維5〜60質量部配合されてなるポリアミド樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物成形体の製造方法で成形された成形体。








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